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調整局面の米国株、安全な投資先として需要が高まる銘柄とは?
2025年、ドナルド・トランプ大統領の関税政策やその他の政策の不透明感による貿易戦争や景気後退への懸念が、米国株下落の波を引き起こしています。本記事では、先行き不安の強い米金融市場において安全投資先として需要が高まっている銘柄を紹介します。1. 中小型バリュー株景気後退懸念時には、安定した収益を上げている企業や割安な株が見直されやすく、バリュー株へ新たな資金が流入しています。特に、関税などのマイナス要因よりも規制緩和や減税の恩恵が大きい中小型株が注目され、ドラッグストア運営と処方箋の販売および管理を提供するヘルスケア企業CVSヘルス(CVS)の年初来上昇率は50%超、世界最大のたばこメーカーフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)は25%超、アッヴィ(ABBV)は17%超と主要指数を大きく上回るパフォーマンスを発揮しています。また、バリュー投資家として知られるウォーレン・バフェットが率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRK.B)は金利上昇により同社の投資収益が増加し、株価が年初来上昇率は13%超となっています2. 大型高配当株市場の不確実性がますます高まる中、安定した四半期配当を提供する高配当銘柄の一部も好調に推移しています。米国で財務が健全な高配当企業を厳選したETFであるiシェアーズ・コア高配当株ETF(HDV)は年初来で5%超上昇。同指数の組入上位銘柄である医薬品・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の年初来上昇率は12%超、コカ・コーラ(KO)は11%超といずれも年初来上昇率が2桁に達しています。3. 金・銀ETF古くから市場の不確実性に対するヘッジとして見られる金は、安全資産としての魅力がさらに高まっています。中央銀行による金買い需要も堅調であり、SPDRゴールドETF(GLD)は年初来で12%超上昇。銀価格も堅調に推移し、iシェアーズ シルバーETF(SLV)は年初来で14%超上昇しています。3月14日、金スポット価格は史上初めて1オンス=3000ドルを突破しました。過去1年、アナリストらは金価格予想を上方修正してきており、一部アナリストは1オンス=3500ドルが次の目標になると予想しています。一方で、貿易問題の解決が見え株式市場の混乱が解消すれば、大幅な調整が起きる可能性があるとの見方も示されています。4. 米国債安全資産需要から米国債相場も急上昇し、昨年11月5日の大統領選以降の期間では米国株を上回るリターンとなっています。また、ベッセント米財務長官が「当面は長期債増発の計画がない」「トランプ氏の政策により米10年債利回りは自然に低下するはずだ」と述べたことや、複数のFRB当局者が量的引き締め(QT)の停止ないし縮小に言及したことも米国債への強気姿勢を促しました。債券投資を行う際は、個別債券への投資のほか債券型のETFによる投資も可能です。債券ETFであれば、少額から投資可能で、満期がなく取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができます。また、株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握しやすいというのも特徴です。

ドル円は146円台へ。円高はこのまま続くのか
2025年3月時点で外国為替市場では急速に円高が進み、ドル円レートは一時1ドル=146円台という約5カ月ぶりの円高水準を記録しました 。わずかな期間で円高が進行した背景には、日本と米国それぞれの金融政策見通しや景気見通しの変化が影響しています。以下では、特に日銀(日本銀行)の利上げ観測と米国の景気後退懸念という二つの要因に焦点を当て、そのメカニズムを解説します。急激に円高が進んだ背景とは日銀の早期利上げ見通しが日米金利差の縮小期待を形成したまず、日本側の要因として日銀の金融政策スタンスの変化が挙げられます。近年、日本では物価上昇率が日銀の目標である2%を上回り、賃金も上昇傾向にあることから、日銀が金融緩和を転換し利上げに踏み切るとの見通しが市場で高まりました 。実際に日銀は2025年1月に政策金利を0.25%から0.5%へと引き上げており、追加利上げへの期待もくすぶっています 。日銀の早期利上げ観測が広がると、日本と米国の金利差(利回り差)が縮小するとの予想につながり、これが円を買う動きを促しました。金利差縮小によりドルを持つ魅力が相対的に低下するため、投資家がドル資産から円資産へとシフトし、結果として円高圧力が強まったのです 。米国の景気後退懸念がドルから資金流出を招いている一方、米国側の要因として、景気後退(リセッション)への懸念がドル安・円高を後押ししました。2025年に入り、米国では高関税政策の影響などで経済成長の減速懸念が台頭し、株式市場が不安定化しています 。特に「貿易戦争」による先行き不安から「有事の円買い」と呼ばれる現象が起こり、リスク回避志向の投資家が安全資産とみなされる円を買う動きが強まりました 。具体的には、米国経済の減速リスクが意識され始めた3月上旬、米株価の急落に追随して投資マネーがドルから流出し、日本円やスイスフランといった安全通貨に流入しました。その結果、ドルは対円で売られ、為替相場は急激な円高方向(ドル安方向)へ振れたのです 。このように、日米金利差だけでなく景気見通しによる資金の流れも円高の背景にあると言えます。円高傾向が長期で続くかは疑問直近の円高は顕著ですが、この円高傾向が長期にわたって持続する可能性は低いのではという懐疑的な見方も専門家から出ています。その理由として、米国の金融政策が思ったほど早く緩和(利下げ)に転じない見通しや、日本国内の金融・財政面での日銀利上げの制約、そして将来的に米国景気の不安要因が解消した際の資金フローの逆転が挙げられます。以下で順に説明します。米国はトランプ関税で利下げが遅れる見通し第一に、米国の金融政策に関して、早期の利下げが見込みにくい状況があります。トランプ大統領による関税引き上げ(いわゆる「トランプ関税」)が再び導入・維持されたことで物価の先行きに不透明感が生じ、インフレ圧力が残るとの見方があるためです。実際、米連邦準備制度理事会(FRB)は直近で追加利下げを急がない方針を示していますが、その背景には米国経済が比較的堅調であることに加え、第2次トランプ政権の高関税政策による世界経済の不確実性が影響しています 。世界的に他国の中央銀行が利下げに動く中で、FRBは「米国経済への信頼が強く、現時点での追加利下げは必要ない」と判断している状況です 。このため日米金利差はすぐには大きく縮小せず、円高基調が長く続く決定打には欠けるとの見通しが強いのです。日本の市中銀行は国債を消化できず日銀の利上げは難しい第二に、日本国内の事情として、日銀が大幅な追加利上げや金融引き締めを行うには高いハードルがあります。長年の金融緩和で日銀が国債市場で圧倒的な存在感を持ってきたため、市中の銀行や機関投資家が国債を安定的に消化する体制が十分に整っていないからです。実際、国内の銀行や保険など機関投資家は10年物国債金利がおおむね2%程度に達しないと、本格的に国債を買い増すのは難しいとの姿勢を示しています 。現在の長期金利水準(1%前後)では、民間が積極的に国債を吸収するインセンティブが弱く、国債市場の安定消化は日銀の買い入れに依存しているのが実情です 。このため日銀が利上げによって国債買い入れを減らそうとすると金利急騰や市場混乱を招くリスクがあり、日銀は利上げに慎重にならざるを得ません。要するに、日本の構造的な事情から日銀は急ピッチの金融引き締めが難しく、円高要因である日米金利差縮小も緩やかになりやすいのです。米国の景気後退懸念が解消するとドルへ資金が還流する第三に、現在円高を促している米国景気への悲観論も永続するわけではありません。仮に米国の景気後退懸念が今後薄れ、経済が安定軌道に戻ると市場参加者のリスク回避姿勢も和らぐでしょう。そうなれば、安全資産とされる円への資金流入は減少し、代わって成長期待のあるドルや新興国通貨への投資資金が戻っていく可能性が高いと考えられます。過去を振り返っても、大きな危機の際に急騰した円は、その危機が去れば徐々に反落し円安基調に戻る傾向があります。今回も米国経済がソフトランディング(景気後退を回避)すれば、現在進んでいるような円高圧力は次第に弱まり、中長期的には再び円安方向に振れていくシナリオが有力です。

S&P500はどうなる?トランプ危機への対応は
2025年3月10日、米国株式市場で大幅な暴落が起き、S&P500指数は1日で2.7%安、ナスダック総合指数も4%安と今年最大の下げ幅を記録しました 。ダウ平均株価は一時1100ドル超下落し、終値でも890ドル安(-2.08%)となっています。この急落の背景には、トランプ政権による政策への不透明感と、それに伴う景気後退(リセッション)への懸念が急速に広がったことがあります。以下では「トランプ危機」とも言える今回の状況について、その原因と背景を詳しく見ていきます。1. 何が起きているのか1-1. トランプ政権の不透明感が相場を止めた今回の相場急落の大きな要因は、トランプ大統領による政策運営の不透明さです。就任当初、市場はトランプ氏の減税や規制緩和といった成長重視の政策に期待し株高が進んでいました。しかし足元では貿易関税の引き上げや連邦政府職員の大量解雇など、場当たり的で予測困難な政策運営により投資家心理が冷え込んでいます 。実際、トランプ大統領の関税政策による不確実性が景気悪化懸念を招き、S&P500指数の時価総額は2月の過去最高値から約4兆ドルも減少しました 。主要な貿易相手国(カナダ・メキシコ・中国)への関税方針が二転三転するなど、不安定な政策運営が市場の先行き見通しを困難にしています 。米株式市場を牽引してきたハイテク大型株も売りの直撃を受け、アップルやエヌビディアが5%前後の急落、テスラに至っては15%安と急落しました 。かつて「トランプトレード」と呼ばれた楽観的な買いムードは完全に影を潜め、市場はトランプ政権の政策リスクを意識して慎重姿勢に転じています。ジョーンズ・トレーディングのチーフ市場ストラテジストのコメントも、この状況を端的に表しています。「以前はトランプ氏就任で何もかも素晴らしくなるという圧倒的コンセンサスがあった」が、「構造的変化には不確実性と摩擦が伴う。市場参加者が懸念を強め利益確定に動き始めたのも理解できる」と指摘されています 。つまり、これまで追い風だった政策期待が一転、政策の不透明感が株式相場の重しとなり、上昇基調を止めてしまったのです。1-2. 景気後退懸念が市場を支配政策への不安に加え、景気後退(リセッション)への懸念が投資家心理を一気にネガティブに傾けました。引き金となったのはトランプ大統領自身の発言です。3月9日放送のFOXニュースのインタビューで、トランプ氏は「米経済は今、過渡期にある」と述べ、2025年内に景気後退入りする可能性を明確には否定しませんでした 。年内リセッション予測について問われた際、「そういった予測は好まない。我々はいま非常に大きなことを進めているので、過渡期がある」と述べ、事実上景気後退の可能性を排除しなかったのです。この発言に市場は敏感に反応し、以前から警戒感を募らせていた投資家の間で不安が一気に広がりました 。その結果、「景気後退が来るかもしれない」という恐怖が市場を支配し、大量の売りが発生しました。ウォール街の恐怖指数と呼ばれるVIX指数は年初来最高水準に急上昇し、CNNの「恐怖と強欲指数」でも直近2週間は「極度の恐怖」が市場を支配している状態です 。米国株だけでなくリスク資産全般に売りが波及し、暗号資産のビットコインですら7万8000ドル近辺まで急落し昨年11月以来の安値を付けました 。一方で、安全資産とされる米国債が買われ長期金利が低下するなど、市場は典型的なリスクオフの動きを示しています 。こうした景気後退懸念の高まりが、短期的な投機筋の動きも巻き込み相場下落に拍車をかけました。ヘッジファンドは3月上旬にかけて株式ポジションを大幅に縮小し、ここ2年で最大規模の売り越しを行ったとの指摘もあります 。投資家のリスク回避姿勢が極度に強まった結果、昨年11月の大統領選以降の米株上昇分はほぼ帳消しとなり、主要株価指数は調整局面(高値から10%以上の下落)入りが意識される水準にまで低下しました 。言い換えれば、市場は「トランプ政権下で景気後退が起こる」という最悪シナリオを相当織り込み始めた状態と言えます。2. 今後の見通しはどうなるかでは、今後の市場はどう動くのでしょうか。短期的には不安定な動きが続く可能性がありますが、中長期的に見ると過度に悲観する必要はないとの見方も多くあります。ここでは、実体経済の状況と金融政策の見通しを踏まえ、短期と長期それぞれの視点から今後の展望を整理します。2-1. 実体経済は堅調で景気後退リスクは高くないまず押さえておきたいのは、足元の実体経済は依然として堅調だという点です。株式市場が悲観に傾いている一方で、米国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は決して悪化していません。たとえば失業率は依然歴史的低水準にあり、個人消費も堅調さを維持しています。企業の業績も総じて良好で、金融システム不安などの兆候も見られません。このため、「米国経済がすぐに景気後退に陥る可能性は低い」とする専門家の声が多数を占めています。実際、エコノミストの間では「米国は景気後退には至らず、ソフトランディング(穏やかな経済軟着陸)の可能性が高い」との見通しが有力です。2024年12月時点では第一生命経済研究所の藤代主席エコノミストからも「多くのエコノミストも同様に主張しており、確率的には8割ほどの確度でソフトランディングするだろう。景気後退(GDPが2四半期連続マイナス成長)はまず考えにくい」との指摘がなされています 。つまり、多少の景気減速はあっても「大惨事」にはならず、米経済は底堅さを維持すると見られています。この見立ては3月10日の大幅下落後も大きく変わらず、JPモルガンアセットマネジメントは米国の景気後退確率を15%から20%に引き上げましたが、それでもまだ80%の確率でソフトランディングの見通しを持っています。また、年末時点でのS&P500指数は6400を予想しており、2024年末に予想していた水準と大きく変わらないものとなっています。加えて、インフレ率の低下傾向も追い風となる可能性があります。昨年まで高騰していた物価上昇率は世界的にピークアウトしつつあり、米国でもエネルギー価格の落ち着きなどからインフレ圧力が和らいできました。ニッセイ基礎研究所の井出主任研究員はこちらの記事で「世界的にインフレ率は低下しており、その上米国の景気は底堅い。結果として2025年は米国株の強さが際立つ年になるだろう」と指摘しています 。これは、実体経済の堅調さがいずれ市場にも評価され、過度な悲観は修正されるという見方です。したがって、足元の景気後退不安はあくまで「心理的なもの」が先行している面が強く、現実の経済がすぐ悪化に向かう可能性は高くないと考えられます。2-2. 短期では利下げ延期リスクあるが、年末にかけては戻すのでは短期的な視点では、依然として金融政策をめぐる不確実性が相場の波乱要因となり得ます。市場では当初、2025年半ば以降に米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じるとの期待があり、金利先物市場は6月・7月・10月に各0.25%の利下げを織り込んでいました 。しかし、トランプ政権の掲げる大規模な減税や歳出拡大策、関税引き上げなどが短期的にインフレ(物価上昇)圧力を高める可能性があり、FRBが利下げ開始を遅らせるリスクも指摘されています 。実際、ゴールドマン・サックスはこうした政策の影響を踏まえ米国の成長率見通しを引き下げる一方、インフレ率見通しを引き上げました 。仮に物価上昇が続けば、FRBは景気下支えよりもインフレ抑制を優先し、政策金利の引き下げを当初予定より「延期」せざるを得なくなる可能性があります。FRBが利下げを渋れば、目先の株式市場には逆風となるでしょう。利下げ期待で先行していたハイテク株などは失望売りにさらされやすく、投資家心理も不安定さを増すかもしれません。ただし、こうした短期的な金融政策リスクは一時的なものとの見方もあります。仮にインフレが再燃しそうになっても、トランプ政権も物価高対策に動くと表明しており、FRBと政府が協調してインフレ抑制に努める可能性が高いからです 。実際、「そもそも世界的にインフレ率は低下傾向にある中で、米国景気は底堅い。結果として大幅な株価下落リスクは小さい」と指摘する専門家もいます 。短期的に利下げ開始が数ヶ月遅れる程度であれば、実体経済の強さが勝り、企業業績や投資マインドは年後半にかけて持ち直す可能性があります。年末にかけては市場が落ち着きを取り戻し、株価が回復基調に戻るとの予想も少なくありません。実例として、株式ストラテジスト4人による2025年1月下旬時点でのこちらの予測では「2025年前半はトランプ政権の影響で調整局面があるものの、年後半からは上昇に転じ最高値更新へ」との見通しが示されています 。この背景には、前述したように政策の不透明感が徐々に解消し、実体経済の強さが評価され直す展開が想定されているためです。米国株も同様に、「今年後半には景気の底堅さを反映して株価が持ち直す」との見方が現時点では優勢と言えます。従って、短期的には乱高下があり得るものの、2025年全体で見れば緩やかな上昇基調を維持し、年末にかけて株価は今より高い水準に戻っている可能性が十分考えられます。3. 個人投資家はどうすべきか以上を踏まえ、急落局面において個人投資家はどのように行動すべきでしょうか。結論から言えば、長期的な視点を持つことと、機械的な積立投資の継続が鍵となります。相場の下落局面は不安を感じるものですが、こうした局面でこそ冷静に対応し、将来のための有利な投資行動を取ることが重要です。以下では投資期間の長さに応じた戦略と、具体的な資産運用上のポイントを解説します。3-1. 10年以上の長期目線なら投資継続で一択まず、投資期間が10年以上と十分長い場合は、基本戦略は「継続保有」一択と言ってよいでしょう。歴史的に見ても、株式市場は短期的な暴落を何度も乗り越え、長期では成長してきました。例えばリーマンショックやコロナショックのような大暴落でも、その数年後には株価は回復し過去の高値を更新しています。長期の資産形成を目指す個人投資家にとって、目先の下落で保有資産を手放すことは、長い目で見れば機会損失になりかねません 。実際、ある調査によれば弱気相場が終わった後の1年間でフルに株式市場で投資を続けていた場合のリターンは平均+38.3%だったのに対し、下落時に現金化して株式市場への復帰が遅れた場合は+8.0%にとどまったとのデータもあります 。つまり、下落局面で投資をやめてしまうと、その後の大きな反発局面の恩恵を受け損ねるリスクが高いのです。長期目線の投資家は、今回の下落をむしろ「時間を味方につける」好機と捉えるべきです。積立投資を継続している人にとって、一時的な価格下落はドルコスト平均法の効果を高めるチャンスでもあります。こちらの記事の通り「一時的な株価の下落は、長期積立投資をしている人にとってやめるタイミングではなく、むしろドルコスト平均法を実践する時だ」との指摘もあります 。価格が下がった局面で淡々と買い増すことで、取得単価を引き下げ将来のリターンを高められる可能性があるからです。実際、今回のような相場急落時に冷静さを保ち投資を続けられるかどうかが、長期投資の成果を大きく左右すると言えます。要するに、10年以上先の目標に向けて投資している場合、今回の下落で戦略を変える必要はありません。焦って売却したり、タイミングを計って出たり入ったりするよりも、基本方針を貫き通すことが最善策です。米国株式市場の長期的な成長ストーリー(人口増加や技術革新による経済拡大)は大きく変わっておらず、むしろこの局面は割安に仕込む好機とも考えられます。自分のポートフォリオやリスク許容度を再点検しつつ、「長期投資の王道」を継続する姿勢が肝要です。3-2. 積立継続・増額は良いが、大きな買いのタイミングは難しい次に、積立投資を行っている場合の戦略です。基本的には、現在の積立投資(例えば毎月の買付)をそのまま継続するのが賢明です。先ほど触れたドルコスト平均法の通り、価格が下がったときにこそ同じ金額でより多くの口数を購入でき、将来価格が元に戻るだけでプラスのリターンを得られる可能性が高まります 。実際、「相場が下がったときに買った株は、相場回復で値上がりし、元に戻るだけで利益が出る」ことから「下落時こそ積立継続」を推奨する金融機関もあります 。したがって、今回の下落局面でも積立を止めず、むしろ余裕資金があるなら積立額を一時的に増やすことも検討に値します。一方で、「今が買いの好機だからといって、一度に大金を投じる」のは注意が必要です。確かに大きく下がった直後にまとめて買えれば理想的ですが、現実には誰も株価の大底を正確に見極めることはできません。多くの投資家が「もう少し下がってから買おう」と思って現金のまま待機しますが、そのうちに相場が反転して上昇に乗り遅れてしまうケースがよくあります 。マーケットタイミングを完璧に図るのはプロでも難しく、底値を逃してしまうとリターンを大きく損なう可能性があるのです 。ですから、「ここが底だ」と決め打ちしての一括投資はリスクが高く、避けた方が無難でしょう。つまり、個人投資家にとって現実的なのは“時間分散”による投資です。既に積立投資を行っている人は、その計画を崩さず続けることが最善策ですし、追加投資をする場合も何回かに分けて少しずつ買い増す方法がリスクを抑えられます。逆に、「暴落したから全力で買う」といった衝動的な行動は慎むべきです。投資はあくまで余裕資金で、生活に支障が出ない範囲で続けることが大原則 です。この原則を守りながら、下落局面でも計画的に資産形成を継続することこそ、長期的に見た最良の結果につながるでしょう。2024年夏の相場下落をケーススタディに取りつつ、こうした長期・分散・積立投資の大切さを解説した記事はこちらなので、今後の運用方針に迷われる方は併せてお読みください。

【米国株】NISAで買える、2025年急成長グロース銘柄を解説
2025年、トランプ政策を巡る懸念などから、米国株市況は最高値付近で停滞する状況が続いていますが、一部銘柄は主要指数を大きく上回るパフォーマンスを発揮しています。本記事では、2025年に急成長している米国グロース銘柄を解説します。2025年急成長グロース銘柄10選1. テンパスAI(TEM)テンパスAIは、AI技術を活用した精密医療診断サービスプロバイダーです。同社は、腫瘍学や神経精神医学、心臓病学、感染症学、放射線学などの分野で遺伝子検査を販売し、アストラゼネカといった製薬大手などを顧客に持ち、グーグルやソフトバンクグループなどが出資しています。今年1月に、患者のためのAI対応パーソナルヘルス・コンシェルジュアプリ「olivia」 をリリースしたことに加え、株式の女王として知られる元下院議長ナンシーペロシ氏がテンパス株を購入したことが明らかになり、株価が急騰。テンパスの株価は年初来で約85%、直近1年で約56%上昇のパフォーマンスとなっています。2. ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)ヒムズ・ハーズ・ヘルスは、2017年に設立された遠隔医療会社で、オンライン診療や処方箋の提供、サプリメントの販売を行っています。同社は、減量薬分野において製薬大手のノボ・ノルディスクやイーライ・リリーが供給不足に苦しむなか、同じ有効成分を低価格で消費者に提供することで市場参入に成功しました。直近では、2月19日にニュージャージー州を拠点とする在宅検査施設「Trybe Labs」の買収を発表。2月21日には、国内サプライチェーンの強化に向けて、カリフォルニア州に所在する米国のペプチド製造施設の買収を発表し、新たなカテゴリーへの参入が期待されています。ヒムズの株価は年初来で約63%、直近1年で約300%上昇のパフォーマンスとなっています。3. スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)スーパー・マイクロ・コンピューターは、ITソリューションプロバイダーで、AIサーバー向けのソリューションが注目を集めています。同社は、昨年会計規則に違反したとする元従業員の告発を受けて、株価が大幅下落。ナスダック上場廃止の危機に陥りましたが、未提出となっていた2024年度の決算報告書を米証券取引委員会(SEC)に2月25日までに提出できるとの見通しを示し、上場廃止回避への期待感が高まりました。また2月6日、エヌビディアの「Blackwell GPU」を搭載し、次世代冷却システムを備えたAIデータセンター向けのラックソリューションの本格生産開始の発表を受け、株価が急騰。スーパー・マイクロの株価は年初来で約63%上昇、直近1年で約45%下落のパフォーマンスとなっています。4. オクロ(OKLO)オクロは、小型モジュール原子炉(SMR)を開発する企業で、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて2024年5月にニューヨーク証券取引所に上場しました。同社は、OpenAIのサム・アルトマン氏が会長を務めており、アルトマン氏は「核融合による先進的エネルギーソリューションの商業化において、最も有利な位置につけている」と評価し、2015年に出資をしました。米国では近年、グーグルやアマゾンをはじめとするハイテク大手がAIシステム運用に必要な大規模データセンターの電力需要に対応するため、原子力発電への投資を強化。米国政府も原子力容量を3倍にする目標を掲げ、民間を後押ししています。オクロの株価は年初来で約51%、直近1年で約211%上昇のパフォーマンスとなっています。5. クラウドフレア(NET)クラウドフレアは、クラウドサービスプロバイダーで、Webサイトの表示速度を高速化する「コンテンツデリバリネットワーク(CDN)」やインターネットセキュリティサービスを提供しています。同社は2月の決算発表で、大口顧客が前年比27%増加し、大口顧客からの収益が前年同期比69%上昇したことを発表し、大きな注目を集めました。アナリストも決算を受け、生成AI関連やサイバーセキュリティ分野の需要拡大を見込み、一斉に目標株価を引き上げました。クラウドフレアの株価は年初来で約29%、直近1年で約47%上昇のパフォーマンスとなっています。6. ASTスペースモバイル(ASTS)ASTスペースモバイルは、米国を拠点とする上場衛星製造企業で、英通信大手ボーダフォンや米国の通信大手AT&Tと提携し、スペースXのスターリンクと競合する商業用衛星と携帯電話を直接つなぐモバイル・ブロードバンドサービスの提供を開発しています。1月末に、モバイル・ブロードバンドサービスを年内に欧州の顧客に提供し始めると報じられたことで、株価が上昇。日本では楽天モバイルと提携し、2026年内の低軌道衛星による通信サービス提供を目指しています。ASTの株価は年初来で約28%、直近1年で約764%上昇のパフォーマンスとなっています。7. ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)ロビンフッド・マーケッツは、米国の金融サービス企業であり、主にミレニアル世代やZ世代の投資家をターゲットに、直感的なインターフェースと低コストの取引サービスを特徴とした投資アプリ「Robinhood」を通じて、株式、ETF、暗号資産の取引を提供しています。同社は、手数料無料の取引所として急成長し、近年は暗号資産事業などの拡大に注力しており、トランプ政権下での暗号資産に対する規制緩和の恩恵を受けると期待されています。ロビンフッドの株価は年初来で約19%、直近1年で約203%上昇のパフォーマンスとなっています。8. リカージョン・ファーマシューティカルズ(RXRX)リカージョン・ファーマシューティカルズは、米国を拠点とするバイオ医薬品企業で、AIソフトウェアを使用して医薬品開発のペースを1年で10倍に加速させています。同社の株価は、2023年にエヌビディアがリカージョンの創薬用AIモデルの訓練加速に5000万ドルを投じる公表したときに急騰し、直近では、2月14日にエヌビディアがSECに提出した書類で、2024年の10-12月中にいくつかのAI関連株の持ち株を売却したにもかかわらず、リカージョンの約770万株すべてを保有し続けたことが明らかになったことで、再び注目を集めています。リカージョンの株価は年初来で約19%上昇、直近1年で約42%下落のパフォーマンスとなっています。9. アップラビン(APP)アップラビンは、AIを活用したマーケティングプラットフォーム企業で、特にモバイルゲーム市場に強みを持ち、ROI(投資対効果)ベースで広告の最適化配信を行うのが特徴です。2月12日の決算発表では、主力の広告事業が前年同期比73%増の10億ドルに大幅成長し、第1四半期の業績見通しも市場予想を上回ったことから、翌日に株価は一時40%高となりました。アップラビンの株価は年初来で約13%、直近1年で約552%上昇のパフォーマンスとなっています。10. パランティア・テクノロジーズ(PLTR)パランティア・テクノロジーズは、ビッグデータ解析を手掛ける企業で、ペイパル共同創業者のピーター・ティール氏らによって設立されました。政府機関や企業向けのデータ活用支援に強みを持っており、2024年9月にS&P 500指数の構成銘柄に採用されたことで株価が急成長しました。直近では、2月19日に米国防総省の予算削減が報道されたことで、株価が10%下落。同社の総売上高の半分以上を政府向けが占めており、政府関連業務がここ数年間の売上急増に寄与していました。パランティアの株価は年初来で約17%、直近1年では約274%上昇のパフォーマンスとなっています。

【ナンシー・ペロシのポートフォリオ解説】株式取引の女王の2025年注目銘柄は?
株式の女王として知られる元下院議長ナンシー・ペロシ氏は、株式ポートフォリオで2024年に54%の利益を上げ、多くの大手ヘッジファンドの業績を上回りました。本記事では、ナンシー・ペロシ氏のポートフォリオを紹介の上、2025年の取引動向について解説します。ナンシー・ペロシポートフォリオの中身ペロシ氏はハイテク株を中心に取引していることで知られ、株式ポートフォリオは11銘柄で構成されており、上位5銘柄で約60%を占めています。ナンシー・ペロシの保有銘柄エヌビディア(NVDA):19.4%アルファベット(GOOGL) : 13.6%パロアルトネットワークス(PANW): 10.7%テンパスAI(TEM): 9.6%アマゾン(AMZN): 9.5%ブロードコム(AVGO) : 9.1%ビストラ・コープ(VST): 8.7%クラウド(CRWD): 5.6%アップル(AAPL) : 5.3%マイクロソフト(MSFT): 4.7%テスラ(TSLA): 3.9%2025年は5銘柄を購入、テンパスAIが急成長2025年、ペロシ氏はテンパスAI、ビストラ・コープ、アマゾン、アルファベット、エヌビディア株を購入したことが、1月の定期取引報告書で明らかになりました。中でも、テンパスとビストラ株の新規購入は市場の注目を集め、ペロシ氏の保有開示により1月21日の時間外取引でテンパスは約19%、 ビストラは約6%株価が上昇しました。AI関連2銘柄を新規購入テンパスAIは、AI技術を活用した精密医療診断サービスプロバイダーです。同社は、腫瘍学や神経精神医学、心臓病学、感染症学、放射線学などの分野で遺伝子検査を販売し、アストラゼネカといった製薬大手などを顧客に持ち、グーグルやソフトバンクグループなどが出資しています。ペロシ氏は、2025年1月14日に5〜10万ドル相当のテンパス株を購入しました。その後、テンパスは患者のためのAI対応パーソナルヘルス・コンシェルジュアプリ「olivia」 をリリースしたことで、株価が急騰。テンパスの株価は2025年1月のみで約90%上昇して、非常に収益性の高い取引となりました。ビストラ・コープは、小売電力および発電の公益事業会社です。同社は、2024年に原子力発電能力を大幅に増強し、株価が年初来264%上昇を記録。 S&P 500株価指数でトップクラスのパフォーマンスとなりました。ペロシ氏は、2025年1月14日に5〜10万ドル相当のビストラ株を購入しました。大手ハイテク株への強気姿勢を維持また、ペロシ氏は2025年1月14日に25〜50万ドル相当のアマゾン、アルファベット、エヌビディア株を購入しました。ただし、エヌビディア株については2024年12月31日に100~500万ドル相当の1万株を売却しており、DeepSeekの低コストAIモデルや不透明な関税動向を巡って、エヌビディアが下落する前に売り抜けていたと一部投資家の中で話題となっています。

【バフェットのポートフォリオ解説】金融株削減し、石油・消費財株を買い増し
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の2024年12月末時点でのポートフォリオが、2月14日に米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書「フォーム13F」にて明らかになりました。本記事では、バフェット氏の最新ポートフォリオを紹介します。バフェットポートフォリオの中身バークシャーの上場ポートフォリオは35社で構成されており、上位5銘柄で約70%、上位10銘柄で約90%を占めています。上位保有銘柄アップル(AAPL) : 28.1%アメリカン・エキスプレス(AXP) : 16.8%バンク・オブ・アメリカ(BAC) : 11.2%コカコーラ(KO): 9.3%シェブロン(CVX): 6.4%オキシデンタル・ペトロリアム (OXY): 4.9%ムーディーズ(MCO): 4.4%クラフト・ハインツ(KHC): 3.7%チャブ(CB): 2.8%ダビータ(DVA): 2.0%金融株を売却、オキシデンタル株を買い増しアップル、アメリカン・エキスプレス、コカコーラ などの主要保有銘柄に大きな変化はありませんでしたが、7-9月に続いて、10-12月もバンク・オブ・アメリカ株の約15%を売却しました。シティグループ、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ヌー・ホールディングスなど、その他の金融株についても一部売却をしましたが、金融セクターは依然としてポートフォリオの約4割を占めています。一方、ポートフォリオの中で6番目に大きなポジションを占める、オキシデンタル・ペトロリアムへは半年ぶりに890万株の追加投資をしました。原油安により、バークシャーはオキシデンタル普通株で一時22億ドルの含み損を抱えていたと報じられていましたが、エネルギー関連銘柄に対する強気姿勢が維持されました。2月7日には、さらにオキシデンタル株76万株を購入しています。そのほか、大きな保有額ではありませんでしたが、Vanguard S&P 500 ETF(VOO)とSPDR S&P 500 ETF(SPY)からの完全撤退も注目を集めました。バフェット氏は、バークシャーの2020年年次株主総会で「ほとんどの人にとって、S&P500インデックスファンドを保有することが最善策だ」と述べていました。トップアルコールブランドへの新規投資が明らかにバークシャーは、米国最大のビール輸入会社コンステレーションブランズ(STZ)へ12.4億ドルの新規投資を開始しました。コンステレーションブランズは、米国でコロナビールとモンデロビールの輸入・独占販売権を持つことで知られ、ワインやスピリッツのブランドもいくつか所有しています。1月の決算発表で、同社は売上高と利益で市場予想を下回り、通年の見通しを引き下げたことから、株価は現在年初来23%下落し、数年ぶりの安値で取引されています。市場関係者は、バクシャーは「将来のキャッシュフロー予測よりも大幅に割安で取引されている、価値の高い株を探している」とし、コンステレーションブランズはバリュー投資の完璧な例と指摘しています。また、7-9月期に新規投資が明らかになった、ドミノ・ピザ(DPZ)への投資を86%、プール(POOL)への投資を48%増やしました。バークシャーは2月22日に第4四半期の決算発表を予定しており、年次報告書と毎年恒例の「株主への手紙」を公開し、投資家に対してさらなる情報を提供する予定です。バフェットポートフォリオを簡単コピー?ブルーモ証券では、2024年12月末時点でのバークシャーのポートフォリオをワンタップでコピーし、投資を始めることができます。株式のみで構成されるポートフォリオのほか、米短期債を含む手元資金を反映したポートフォリオのコピーもできますし、そこから変更を加えてオリジナルのポートフォリオの作成も可能です。

トランプ関税に揺れる市場、米国株市場の先行きは
2月1日、ドナルド・トランプ大統領はメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名しました。経済成長やインフレ再燃を巡る懸念から、週明け3日の米国株市況は、S&P 500指数が0.8%安、ナスダック総合指数が1.2%安となりました。本記事では、トランプ政権の関税政策動向を解説し、米国株市場の見通しについて市場関係者の見方を紹介いたします。対メキシコ・カナダ関税は発動1カ月見送り2月3日、メキシコとカナダに対する関税の発動延期が明らかになり、相場の多くが反転しました。両国は国境警備を強化し、合成麻薬フェンタニルの密輸取り締まりを強化することを約束しました。現時点では、トランプ氏にとって「関税は交渉ツール」との見方が市場では主流となっていますが、短期的な混乱で終わるかどうか判断するのは難しいとの声もあります。中国は対抗措置を発表も慎重姿勢一方、中国に対しては4日に追加関税を発動しました。同日、中国も米国からの輸入品に10日から最大15%の追加関税を課すと発表したほか、グーグルへの独占禁止法調査開始やタングステンなど金属5品目への輸出規制といった対抗措置とみられる発表が相次ぎました。しかし、中国の関税措置の対象が140億ドル(約2.2兆円)相当と、トランプ氏による関税措置の対象と比べてわずかに留めたことから、金融市場の大きな混乱は免れました。市場関係者は、中国の対米輸出が米国の対中輸出規模の3倍ほどあり、関税を課す対象品目が少なく米国との貿易不均衡が大きいため、全面的な関税戦争は中国の利益にはならないと分析しています。目下は、中国の関税措置が発動される10日までに両首脳が合意に至ることができるかどうかに注目が集まります。ただし、メキシコやカナダとは異なり、中国がトランプ氏の経済的・政治的要求をすんなりと受け入れるとは考えにくいことから、米中の関税動向が今年の市場変動の主因となる可能性があると指摘するアナリストもいます。米国株は短期的に下落も、長期的には楽観かストラテジストらは、トランプ政権による関税措置が適用されれば、企業の業績見通しが悪化し、S&P 500指数は短期的に5~10%下げるリスクがあると分析しています。ただし、関税が交渉のための一時的な措置と投資家が考えている限り、株式市場への影響は小さく、一方で関税が引き上げられるとの見方が強まれば、株式への影響はより大きくなると述べています。また、第1次トランプ政権の関税戦争に対する市場の反応を振り返ると、長期的には市場に大きな影響は出ない可能性があると、楽観視するアナリストもいます。2018年から2019年にかけての関税戦争も市場に大きな影響を及ぼし、交渉が決裂したり追加関税が適用されたりすると、米国株は売られ、2019年10月に第1段階の貿易協定が発表されると米国株は大幅に上昇しました。S&P 500指数は、2018年に4.4%下落しましたが、2019年には31.5%上昇しました。

DeepSeekの衝撃!株式市場とAI戦略の行方。Microsoft/Meta決算と解説
本記事では、中国発生成AIであるDeepSeekの登場の影響について解説します。DeepSeekの登場は「現在の最先端レベルのAIを低コストで再現する」ひとつの大きなブレイクスルーであり、そのインパクトは今後の生成AI開発の方向性を左右する可能性があります。とはいえ、米中AI競争の激化により地政学リスクをはじめとする外部要因も大きく変化する局面にあり、DeepSeekのインパクトもセクターによって均一ではないので、各セクターの中長期的な成長性とリスクをDeepSeek登場の影響も踏まえて評価することが必要になります。本記事はYouTube動画も併せて公開しています(動画リンク)。DeepSeekの登場生成AI開発を揺るがすコストイノベーション中国で開発された最新の生成AIモデル「DeepSeek」が世界を驚かせています。同モデルは、OpenAIのChatGPT-o1クラスに相当するトップレベルの生成AIを、わずか約600万ドルという低コストで開発したとされ、AI業界や株式市場に大きなインパクトを与えました。参考までに、OpenAIが1世代前のGPT-4を開発する際には最低でも7,800万ドル、さらに最新モデルにおいては数十億ドル単位の開発コストがかかると言われており、DeepSeekのコスト優位性が際立っています。加えて、ランニングコスト面でも注目を集めています。DeepSeekは“重要な計算だけ高性能GPUを使う”というソフトウェア最適化を行っており、従来よりもハードウェア依存度を下げることで維持費を大きく圧縮しています。結果として「高性能GPUの確保が必須」と考えられていた生成AI領域において、テック大手の独占体制に大きく疑問符を投げかける存在となっています。DeepSeekは最新技術をオープンソースで公開したことで、誰でも同レベルのAIモデルを作成できる可能性が広がりました。マーク・アンドリーセン氏はこれを「AIのスプートニク」と評し、1957年に旧ソ連が人工衛星の打ち上げに成功した際、米国など西側陣営が受けた衝撃になぞらえています。コストへの疑義と技術面のポイントとはいえ、DeepSeekの開発コストが「本当に600万ドル程度で済んだのか」という点には、複数の観点から疑義が提示されています。たとえば、基礎研究費やエンジニア人件費、インフラ構築などの実際の費用がどこまで含まれているのか、外部からははっきりと確認できていません。また、一部では「ChatGPTなどの出力データを学習に使ったのではないか」という指摘もあり、MicrosoftやOpenAIが状況を調査していると報じられています。さらに、DeepSeekは対中輸出規制を回避する形でNVIDIAの“H800”という高性能GPUを大量に確保・利用していたという見方もあります。H800は規制の抜け穴として一時的に輸出が許可されていた製品ですが、事実上“低速化版”とはいえ高性能であり、それを大量に導入して開発を進めていた可能性が取り沙汰されています。ただし、モデル自体のソフトウェア面での効率性は否定されていないため、「どこまで低コストか」の程度問題であり、イノベーションとしての意義が損なわれるわけではないと思われます。市場の反応株価動向とセクターの明暗DeepSeekが最新モデルを公開した直後の1月27日(月)米国市場では、株価が一時大きく下げる局面がありました。しかし翌日には「売られすぎ」と判断した投資家の買い戻しが入り、全体としては下落分を取り戻す動きが見られました。現状では、DeepSeekのショックが株式市場の大きな総崩れにまでは発展していない状況です。1月30日時点での過去5日間株価推移を指数(セクター)別に見ると、以下のような結果になっています。• 半導体セクター(NVDAなど)やフィラデルフィア半導体指数(SOX): 過去5日間で大幅下落• NASDAQ: マイナス• S&P 500: ややマイナス• ダウ平均(DJIA): プラス圏で推移この株価の差は、AI投資やサプライチェーンでの立ち位置が異なる企業によって明暗が分かれているからと考えられます。DeepSeekが「高性能GPUに大きく依存しないAI開発」を打ち出したことで、GPU需要の減速懸念が高まり、半導体関連銘柄には一時的に売りが先行しました。一方、GPU購入コスト負担が軽減される可能性が出てきたテック企業や、安価なAIがもたらす生産性向上メリットを享受する一般企業は相対的に下げ幅が少なく、あるいは株価が上昇する場面も見られました。AIサプライチェーン上での企業に対する影響DeepSeekの影響は、AIサプライチェーンでどこに位置付けられるかによって、以下のように変わってきます。これらの立ち位置の違いが、過去5日間での株価変動の差にもつながっていると考えられます。1. 半導体企業• 高性能GPU需要が従来の拡大ペースから減速するリスクがあり、短期的には株価が伸び悩む可能性。• ただし、AI市場そのものは拡大が見込まれるため、長期的には底堅い需要が期待できるとの見方も。2. テック企業(クラウド・ソフトウェアなど)• 開発コスト削減や効率化によって、より幅広いAI導入余地を確保できる。• 例えば、Snowflakeは早速DeepSeekモデルをAIモデルマーケットプレイスに追加し、顧客が生成AIを活用しやすい環境を整備。過去5日間で株価は約5%上昇し、市場の期待を証明している。3. 一般企業(非IT企業も含む)• 生成AIの利用コストが下がることで、さまざまな業種で自社の生産性やサービスの高度化につなげられる。• AIを本格活用する敷居が下がるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる企業も増える可能性が高い。「本当にGPUが不要か?」将来世代の開発費には疑問もDeepSeekが現在の最先端レベルを安価に再現できる方法を示したことは事実ですが、「次の最先端モデル」も同様に低コストで開発できるかは未知数です。OpenAIの最新モデルを「蒸留」する形で開発していた可能性が指摘されているため、いずれにせよ根幹となる“最先端研究”には巨額の投資が必要という見方も残っています。GPUの大規模運用を本当に不要とできるか、あるいは高性能GPUや高速ネットワークへの依存度がゼロになるわけではないと考えられ、今後も継続的な調査や検証が求められそうです。NVIDIAもDeepSeekの進歩を認めつつ、今後のAI開発には引き続き大規模な計算処理が必要との見方を出しています。米中AI競争と地政学リスクさらに、AI分野での米中対立の激化はマクロ経済的なリスクも含んでいます。トランプ大統領による、対中輸出規制強化やトランプ関税の復活など、地政学リスクが再燃する可能性が高まっています。これによって半導体企業の需要に上限がかかったり、米国のインフレリスクが上昇したりするシナリオも考えられます。主要テック企業の決算から見るAI投資:減速は見られずMicrosoftの決算直近までの背景前四半期ではAI投資負担の増大とクラウドの成長鈍化が懸念され、株価は下落傾向。特に、OpenAIへの多額投資や自社データセンターへの設備投資が利益を圧迫するとの不安が浮上していました。今回の決算結果売上・EPSは市場予想を上回りましたが、クラウド事業(Azure)の成長率が31%と事前予測の32%に届かず、市場ではやや失望感が強まりました。設備投資は前年同期比で2倍水準とさらに拡大しており、AI分野への大規模投資は継続している様子。トランプ大統領主導のStargateプロジェクトへの参加で、OpenAIの負担を他企業と分担できる枠組みができつつあるのはポジティブ材料と見られています。サティア・ナデラCEOは、AIモデルのコモディティ化によって全体のリソース消費がむしろ増大するとする「ジェボンのパラドックス」を引き合いに出し、Microsoftのクラウドサービスや生成AIサービスの市場拡大に自信を示しています。Metaの決算直近までの背景前四半期の決算で売上が予想を上回ったものの、AIインフラへの投資拡大を嫌気され、一時株価が下落しました。TikTokが米国で禁止措置施行を延期されたことから、広告収入への影響を懸念する声もありました。今回の決算結果売上・EPSは市場予想を再度上回った一方、今期の売上成長率予想がやや鈍化する見通しが示され、市場の評価はマイナスに。ザッカーバーグCEOは2025年のAI投資額を2024年比で1.5倍にする意向を表明し、設備投資の拡大路線が継続。投資家からは「短期的な利益を圧迫しかねない」という不安も広がりました。結果としてアフターマーケットで株価は下落。とはいえ、Metaがメタバース戦略と並行してAI活用をさらに深める姿勢は崩しておらず、長期的には企業価値向上が期待できるとの分析もあります。両社とも「DeepSeekの登場によるGPU投資の大幅抑制」という動きは見られず、むしろテック大手はAIインフラをさらに強化する方針が明確になっています。この点は、半導体企業にとっては当面の需要源となり得るため、短期的にはやや安心材料と言えそうです。

サンタクロースラリーとは?期待と懸念入り混じる2024年年末相場
2024年、S&P 500指数は今週の大きな下落にもかかわらず、年初来で23%以上上昇し歴史的に好調な年間終値を迎えることが期待されています。本記事では、サンタクロースラリーについて解説のうえ、2024年末の米国株市場見通しについて紹介します。サンタクロースラリーとはサンタクロースラリー(Santa Claus Rally)は、12月の最後の5営業日と翌年の最初の2営業日にかけて株価が上昇する傾向を指し、1950年以来、S&P 500指数はサンタクロースラリー期間中に約80%の確率で上昇し、平均1.3%上昇しています。株価の上昇は、新年を好調なスタートで迎えたいというポジティブ投資家心理や年末調整で株を売った後の買い戻しなどが影響しているとされています。また、機関投資家が休暇期間中に取引を控えことが多く、市場の取引量が減って価格変動への抵抗が少なくなることから、上昇トレンドが生まれやすくなります。2024年は期待と懸念が入り混じる足元では、連邦準備制度理事会(FRB)が12月の会合で今後の利下げペースが鈍化する可能性が示され、米国株式主要3指数はいずれも8月以来の大幅安を記録し、金融市場に動揺が広がっています。市場関係者の間では、12月18日の下落について「市場の過熱感が一部解消され、反発の下地が出来た」という見方もあれば、「下落幅が大きかったため、トレーダーが利益確定を行えば売りがさらに進む可能性もある」という見方もあります。ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのトム・リー氏は、大幅な売りは一時的なものである可能性が高いと予想しています。リー氏は、12月18日にシカゴ・オプション取引所のボラティリティ指数(VIX)が74%急上昇し、史上過去2番目に高い上昇率を記録したことを指摘し、歴史的にVIXが大幅に急上昇した後、株価は1ヶ月以内に回復していると述べています。また連邦準備制度理事会(FRB)の姿勢はよりタカ派的になったものの、FRBは引き続き市場を支援しており、この売りはまたとない買いの機会となると述べています。一方、ドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を受けて11月にS&P 500指数が5.7%、ナスダック総合指数が6.2%、ダウ平均株価が7.5%、小型株のラッセル2000が10.8%上昇したことを踏まえると、2024年は「年末のラリーが12月ではなく11月に早めに到来した可能性がある」と指摘する声もあります。2025年の米国株の見通しについての市場関係者の見方は、以下の記事をご覧ください。

2025年利下げ鈍化見通しで米国株式市場は急落。今後の市場への示唆とは
ブルーモ証券代表の中村です。12月18日のFOMC結果を受け、米国株式市場が大きく下落したので、背景で何が起きているのか・今後の市場への示唆は何かについて解説していきたいと思います。要約すると、2025年の利下げは鈍化見通しとなりましたが、事前にある程度予想されていたので、株式市場に対して継続的な影響があるとは考えにくい内容といえます。ただ、2025年の米国経済がインフレ・高金利環境になる方向性が明確になったことを理解してしておくと良いでしょう。12月FOMCの結果政策金利は引き下げられるも、2025年の利下げ鈍化見通しで株価が急落2024年最後のFOMCが12月18日に開催され、FRBは追加で0.25%の利下げを決定しました。利下げ自体は景気・株価に対してプラスなのですが、今回の利下げは事前に予想されていたため、それ自体が追加で株価上昇の材料になることはなく、同時に公表された2025年の利下げ見通しに注目が集まりました。FRBの2025年の利下げ見通しが、24年9月会合時点での1%から、24年12月会合時点では0.5%に後退しています。これは2025年に想定より利下げが行われないことを意味するので、企業の資金環境に対する追い風の減速懸念から12月18日の市場で株価は大きく下落しました。引用:Marketwatch2025年はインフレ基調とFRBは予想そもそも、FOMCでは四半期に一度(3月、6月、9月、12月)に「経済予想サマリー(SEP, Summary of Economic Projections)」という経済見通し資料をあわせて発表します。これはFOMC参加者の経済予想を集計したもので、実質GDP成長率、失業率、インフレ率、政策金利の見通しの要素を含みます。これらの予測は米経済の情勢を示し、金融政策の方向性を示す重要な指標です。なかでも、米国の短期金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準を点として図示した、「ドットチャート」からは利上げ/利下げ幅を予測できることから市場からの注目が高くなっています。24年12月に公表された経済予想サマリーでは、24年9月に比べて政策金利の分布が3.88-4.12%のレンジに大きくシフト・集中していることが分かります。FRBのその他経済指標の見通しを24年9月と24年12月で比べると、実態経済指標(GDPや失業率)には大きな変化はないものの、インフレ率(PCE inflation rate)の見通しが大きく上がっていることが分かります。つまり、今回のFRB利下げ見通しの後退は、24年9月時点と比べてFRBの米国インフレ率見通しが変わったことが直接の原因と言えます。今後の市場への示唆一時的に株価は下落したが、予想はされていた展開FOMCでの利下げ鈍化見通しはサプライズとして受け取られ、12月18日に株式市場を急落させましたが、FRBは事前にこの方向性を示唆するコメントを出しており、ある程度予想はできていた展開と言えます。2024年11月5日の米大統領戦でトランプ新大統領が当選したことを受け、米経済のインフレ基調は見えていたので、11月15日にFRBパウエル議長は「現在の強い経済状態であればFRBが利下げを急ぐ必要はない」とメッセージを出していました。なので、ある程度サプライズではあるものの織り込まれていたシナリオではあり、今後の株式市場の見通しに与える影響は限定的で、ここから大きく株価が下がり続けるリスクは低いと考えられます。引用:Reutersトランプ新政権でのインフレ・高金利環境がより明確に12月FOMC後の会見で、「FOMC参加者がインフレ率の上振れを予想している理由は大統領選にあるか」と聞かれ、FRBパウエル議長は「実際にそれだけではない」と回答し、足元のインフレ率が高止まりしていることも影響したと説明しています。しかし、11月15日のタイミングでコメントを出したことを考えると、トランプ新政権で予想される政策が大きく影響していることは明らかです。11月5日の大統領選後は、「トランプトレード」と呼ばれる一部銘柄の上昇と、米国株式市場全体の上昇相場が続きましたが、トランプ大統領の政策には関税引き上げが盛り込まれており、インフレ圧力がかかることに注意が必要です。2025年1月20日にトランプ新大統領は就任しますが、2025年はインフレ・高金利環境になる見通しは今回FOMC結果もあり、明確になってきたと言えます。2025年の米国株式市場も上昇基調の強気相場の予想が各社から出ていますが、同時に米国金利も高い状態が続くので、株式市場のパフォーマンスは常に債券金利の水準と比較される環境になると考えられます。

【トランプトレード】トランプ政権で株価上昇の恩恵が期待される銘柄10選
本記事では「トランプラリー」、「トランプトレード」で株価上昇の恩恵が期待される銘柄10選を紹介します。【暗号資産関連銘柄】COIN・MSTR7月末に開催された「ビットコイン2024」カンファレンスにて、トランプ大統領はアメリカを地球上の仮想通貨の首都にし、「戦略的ビットコイン準備金(SBR)」の立ち上げを示唆しました。暗号資産関連規制が緩和されるとの期待から、米大統領選でトランプ氏勝利後の2週間でビットコインの価格は約40%上昇し、仮想通貨関連銘柄も急騰しました。米国を拠点とする暗号資産取引所コインベース・グローバル(COIN)の株価は直近1ヶ月で約65%上昇。ビットコインを購入する会社として広く知られる、マイクロストラテジー(MSTR)の株価は約58%上昇しています。その他注目のビットコイン・暗号資産(仮想通貨)関連株については過去の記事でも解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。【銀行関連銘柄】GS・JPMトランプ政権での金融規制緩和と金利上昇の見方から、銀行の純利息収入が増加するとの期待が強く、銀行株の上昇を後押ししています。ゴールドマン・サックス(GS)の株価は直近1ヶ月で約17.5%上昇。 JPモルガン・チェース(JPM)の株価は約12%上昇し、史上最高値を更新しています。直近では、バイデン政権が掲げてきた反トラスト法(独占禁止法)の規制が緩和される可能性も報道されており、運用緩和が実現した場合、M&A(企業の合併・買収)が活性化し、投資銀行をはじめとするM&A関連銘柄には追い風となります。【ハイテク・工業関連銘柄】TSLA・CAT・RTX大統領選挙でトランプ氏を支援し、トランプ次期政権の「政府効率化省(DOGE)」のトップに就任するイーロン・マスク氏のテスラ(TSLA)は直近1ヶ月で約38%上昇。トランプ氏がEV購入に対する補助金の削減や関税の引き上げを実施すれば、テスラは競争から守られるだろうとアナリストらは指摘しています。また規制緩和と保護関税の見通しが工業株の上昇を後押ししています。産業用機械メーカーキャタピラー(CAT)は直近1ヶ月で約8%上昇。中国市場へのエクスポージャーが限定的であり、国内生産への注力から恩恵を享受する見通しです。同盟国に安全保障政策の負担を求めるとの見方から、防衛株へも資金が流れ込んでいます。地対空ミサイル「Patriot(パトリオット)」、巡航ミサイル「Tomahawk(トマホーク)」などを手掛る、米大手防衛関連企業RTXコーポレーション(RTX)の株価はトランプ氏の勝利後、上場来最高値を記録しました。【石油・天然ガス関連銘柄】XOM・CVXトランプ氏は石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大方針を表明しており、エクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)などの石油生産会社やガソリン車メーカーも恩恵を受ける可能性があります。一部の市場関係者は、石油業界の規制緩和は供給過剰を引き起こし、原油価格を下落させるリスクがあると警告していますが、政策の変更が実際のエネルギー需給に影響を及ぼすには、数年単位の年月を要します。一方で、トランプ氏がイランへの制裁を強化することで、短期的には供給減少で原油価格が急伸する可能性も指摘されています。【小型株】IWM法人税減税や中小企業に対する規制緩和が近づいているとの楽観的な見方を反映し、小型株指数ラッセル2000(IWM)は直近1ヶ月で約10%の上昇となっています。 これらの企業は収益の多くを米国国内で上げているため、保護主義の高まりからも恩恵を受ける可能性が高く、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測も追い風となると予想されています。トランプ銘柄にワンタップで簡単投資?ブルーモ証券の提供する投資アプリ「Bloomo」では、米国株・ETFを組み合わせたポートフォリオで簡単に投資することが可能です。今回紹介したトランプ政権で株価上昇の恩恵が期待される10銘柄から構成された「トランプトレード」ポートフォリオをワンタップでコピーし投資を始めることができ、そこから変更を加えてオリジナルのポートフォリオの作成も可能です。投資信託と同様に日本円を入金するだけで投資ができ、自分でやると面倒なリバランスもワンタップで実行できるので、投資信託に興味がありつつも、自分でも中身をいじりたい方にはおすすめできます。

【バフェットのポートフォリオ解説】アップル、バンカメ追加売却、新規投資はドミノ・ピザとプール
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の2024年9月末時点でのポートフォリオが、11月14日に米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書「フォーム13F」にて明らかになりました。本記事では、バフェット氏のポートフォリオを紹介の上、今回新たに投資が明らかになったドミノ・ピザ(DPZ)とプール(POOL)について解説します。2024年12月末時点でのポートフォリオについては、以下の記事をご覧ください。バフェットポートフォリオの中身アップル株、バンカメ株を追加売却バフェット氏は集中度の高いポートフォリオを運用していることで知られ、上場ポートフォリオは上位5銘柄で約70%、上位10銘柄で約90%を占めています。上位保有銘柄アップル(AAPL) : 26.2%アメリカン・エキスプレス(AXP) : 15.4%バンク・オブ・アメリカ(BAC) : 11.9%コカコーラ(KO): 10.8%シェブロン(CVX): 6.6%オキシデンタル・ペトロリアム (OXY): 4.9%ムーディーズ(MCO): 4.4%クラフト・ハインツ(KHC): 4.3%チャブ(CB): 2.9%ダビータ(DVA): 2.2%4-6月に続いて、7-9月もアップル株の約4分の1を売却。バークシャーの2024年6月末時点のポートフォリオでは、アップル株は3割近くを占めていましたが、今回の株式売却により保有比率は26%へ低下しました。また、ポートフォリオの中で2番目に大きなポジションを占めていた、バンク・オブ・アメリカ株の保有も約4分の1削減し、アメリカン・エキスプレスに次ぐ3番目のポジションとなりました。投資縮小の理由や意図についてバフェット氏はこれまでのところ明らかにしていませんが、10月以降も継続して、バークシャーはバンカメ株の売却を行なっています。ドミノ・ピザとプール製品の卸売業者への新規投資が明らかにそのほか、注目を集めたのはドミノ・ピザ(DPZ)とプール(POOL)への新規投資です。ドミノ・ピザは世界最大の宅配ピザチェーンで、世界で約2万店舗を展開しています。同社はファストフードチェーン業界全体が減速するなか、第2四半期にプロモーションの頻度を増やさずに、売上を前年同期比7.1%成長させました。しかし、国際市場での純店舗数増加が予定より175~275店舗少なくなる可能性があるとの見通しを受け、7月18日の決算発表後に株価が13%下落していました。一方、プールは北米、ヨーロッパ、オーストラリアに約 440 の販売センターを構える、スイミングプール関連製品の世界最大の卸売業者です。コロナ禍で自宅で楽しめるプールをつくる人が増えたことから、プールの株価は一時急騰していましたが、借入コストの上昇が住宅の修理や改修需要を圧迫し、最近のパフォーマンスは年初来約8%の下落と低迷しています。9月末時点でのドミノ・ピザの保有は約5億4900万ドル、プールの保有は約1億5200万ドルに相当し、どちらもバークシャーにとっては少額の保有となります。手元資金は約50兆円に、自社株買いも見送りバークシャーは2024年7-9月期に346億ドル相当の株式を売り越したため、現金と米短期債保有額を合計した広義の手元資金は9月末時点で3252億ドル(約49兆7600億円)に達し、過去最高値を更新しました。また、自社株買いも2018年第2四半期以降、6年ぶりに見送りました。バークシャーは最低300億ドルの現金を保有することを約束していますが、適正価格で購入できる企業全体や個別株が見つからない場合には、現金を蓄積させることが多くなっています。年次総会でバフェット氏は、「非常にリスクが低く、多くの利益をもたらすと思われる場合以外はバークシャーは投資を急がない」と述べています。市場関係者の間では、バフェット氏は株価が割高だと考えているのか、不況が来ると考えているのか、大型買収のために資金を確保しているのか、それとも引退の準備をしているのか、様々な憶測がとんでいます。バフェットポートフォリオを簡単コピー?ブルーモ証券では、2024年9月末時点でのバークシャーのポートフォリオをワンタップでコピーし、投資を始めることができます。株式のみで構成されるポートフォリオのほか、米短期債を含む手元資金を反映したポートフォリオのコピーもできますし、そこから変更を加えてオリジナルのポートフォリオの作成も可能です。

トランプ氏当選で株価急騰、大統領選後の米国株市場の見通しは?
本記事では、ドナルド・トランプ氏の大統領選勝利への米国株市場の反応を解説のうえ、米景気と株価の今後の見通しについて市場関係者の見方を紹介いたします。「トランプラリー」、「トランプトレード」やトランプ氏再選が米国株市場に与える影響については過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。トランプトレード一色の市場トランプ氏の選挙勝利により、11月6日主要3指数はすべて過去最高値を更新しました。ダウ工業株30種平均は3.6%(約1,500ポイント)と2年ぶりの大幅上昇。S&P 500は2.5%上昇し、ナスダック総合指数は3%上昇しました。トランプ大統領が掲げる規制緩和と減税の公約に対する市場の期待感は強く、経済政策の恩恵を受けると見込まれる銀行、工業会社、中小型株の株価が上昇しました。銀行株トランプ政権は金融規制が緩和されるとの見方が強く、銀行株指数は10.7%急伸しました。 JPモルガン・チェース(JPM)の株価は12%上昇し、史上最高値を更新。ウェルズ・ファーゴ(WFC)とゴールドマン・サックス(GS)はともに13%上昇しました。国債利回りの急上昇も銀行の純利息収入が増加することから、銀行株の上昇を後押ししました。ハイテク・工業株大統領選挙でトランプ氏を支援してきた、イーロン・マスク氏のテスラ(TSLA)は15%上昇。トランプ氏がEV購入に対する補助金の削減や関税の引き上げを実施すれば、テスラは競争から守られるだろうとアナリストらは指摘しています。その他ハイテク企業もトランプ政権から大きな恩恵を受けることが期待され、エヌビディア(NVDA)とグーグルの親会社アルファベット(GOOG)はともに4%上昇しました。ただし、フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ(META)は、マグニフィセント・セブンの中で唯一わずかに下落しました。8月末、トランプ氏はメタのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に終身刑をちらつかせ、自身に不利な行為をしないよう圧力をかけていることが報道されています。また、規制緩和と保護関税の見通しが工業株の上昇を後押しし、キャタピラー(CAT)は8.7%上昇し史上最高値を更新。3M(MMM)は5.8%上昇となりました。暗号資産関連銘柄暗号資産関連規制が緩和されるとの期待から、ビットコインは約8%上昇し、仮想通貨関連銘柄も急騰しました。仮想通貨取引所コインベース・グローバル(COIN)の株価は31%上昇。マイニング企業のマラソン・デジタル(MARA)は19%、マイクロストラテジー(MSTR)は13%上昇しました。7月末に開催された「ビットコイン2024」カンファレンスにて、トランプ大統領はアメリカを地球上の仮想通貨の首都にし、「戦略的ビットコイン準備金(SBR)」の立ち上げを示唆しています。 中小型株法人税減税や中小企業に対する規制緩和が近づいているとの楽観的な見方を反映し、小型株指数ラッセル2000(IWM)は5.8%の上昇となりました。 不動産・公益株一方、多くの投資家はトランプ大統領の政策がインフレを加速させ、財政赤字を拡大させるとみており、国債供給量増加の見通しが国債価格の下落を後押ししました。住宅ローン金利に影響を与える10年国債の利回りは4.425%に上昇し、金利の影響を受けやすい不動産や公益事業株が下落しました。不動産はS&P500セクターの中で最もパフォーマンスが悪く、2.6%の下落となりした。投資家は住宅ローン金利の上昇が需要を減退させると予想しています。足元では下院が焦点に市場は、共和党が下院の主導権を奪還し、上院、下院、ホワイトハウスのすべてを掌握する「トリプルレッド」を達成できるかどうかに注目が集まります。共和党が下院でも勝利した場合、共和党が政策の決定権を握り、トランプ氏の公約実現を後押しすることになるため、トランプ氏が選挙戦中の公約を実際に実行するかどうかに焦点は移行します。一方、下院で民主党が多数派となった場合は、減税の実現が難しくなる可能性があり、スタグフレーションのリスクにつながる可能性があります。米国株の見通しは好調S&P 500の年初来上昇率は25%と株価は今年すでに大幅に上昇していますが、トランプ大統領の経済政策への期待と堅調なマクロ経済環境から多くの投資家は強気相場が年末まで続く可能性が高いと考え、S&P 500は2024年末までに6,000ポイントを超える可能性が高いと予想しています。また、一部のアナリストは法人税率が実質的に18%に引き下げられ、S&Pの株価収益率(PER)が22倍に拡大することを前提として、S&P 500の2025年末目標を7,000に引き上げています。7,000への上昇した場合、11月5日の終値から約21%の上昇となります。

【米大統領選挙直前】トランプトレード活性化、選挙結果に関わらず好調な銘柄は?
本記事では、米大統領選動向について解説のうえ、選挙結果に関わらず好調に推移する可能性がある銘柄を紹介いたします。11月5日の開票まで2週間を切り、相場要因として選挙トレードの存在感が増しています。過去の選挙結果とセクター別パフォーマンスの関係についても過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。世論調査は接戦を示すも、トランプトレードが活性化10月中旬に実施された世論調査では、選挙結果を左右する主要な激戦州でカマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領両候補の支持率が49%と接戦が続いています。しかし、世界最大の予想賭博市場である「Polymarket」では10月25日時点で、トランプ氏の支持率が61%、ハリス氏は39%とオッズがトランプ氏優勢へと大きく傾いています。10月初めの時点では、予想賭博市場でのトランプ氏とハリス氏のオッズは拮抗していましたが、過去数週間にトランプ氏の勝率が上昇するにつれて、金利上昇・ドル買いが進み、「トランプトレード」が意識されるようになりました。ヘッジファンドのポートフォリオを追跡しているJPモルガンのポジショニング調査部門によると、世界のヘッジファンドはトランプ氏が勝利した場合に良いパフォーマンスを期待できる銘柄を過去数週間に購入し、民主党政権下で良好なパフォーマンスが期待できる銘柄は急激に売られたと指摘しています。ただし、Polymarketにおけるトランプ氏勝利の確率の急上昇は、4,500万ドル(約69億円)を賭けたユーザーによる影響と見られており、当該ユーザーは金融業のバックグラウンドがあるフランス人であると特定されています。選挙リスクを軽減する取引も意識される一方、トランプ氏とハリス氏の接戦のほか、共和党ないし民主党が議会上下両院で多数派を獲得する可能性がどの程度であるのか読めないことから、一部のヘッジファンドは大統領選に向けて特定の投資ポジションを構築することはせず、ボラティリティーを抑える方法や、選挙結果にかかわらず勝てそうな取引に注力しています。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのカート・ライマン氏は、公益株と金融株はどちらの政権下でも好調に推移する可能性があると述べています。公益株は高配当で、経済環境にかかわらず比較的安定したパフォーマンスが期待できるディフェンシブ銘柄であり、AI関連のエネルギー需要の恩恵も受けます。一方、金融株は割安感があるとし、金融業界は最近好決算を発表したと指摘します。また、伝統的なヘッジ手段である金も今年急騰しており、多くの投資家がボラティリティへのヘッジをしていることが伺えます。

景気動向が鍵?利下げが株価に与える影響
FRB(連邦準備制度理事会)が9月のFOMC(連邦公開市場委員会)にて利下げ転換に踏み切ることが市場で広く予想されています。本記事では「利下げが米国株に与える影響」について解説します。ソフトランディングか景気後退か短期金利の引き下げにより企業や消費者の借り入れコストが下がり、理論的には利下げ後は株価が好調になるとされています。しかし、過去の主要な利下げサイクルを振り返ると市場の反応は様々であり、今後の株価動向を理解するにはFRBが金利を引き下げた背景を考察する必要があります。FRBが経済をコントロールし、ソフトランディングを実現したと市場が認識した場合、株価は堅調に推移することが期待されます。しかし、FRBが景気後退のリスクを受けて反動的に金利を引き下げていると捉えられた場合、株価は調整局面に入ることが考えられます。直近の経済指標のほとんどが米経済の底堅さを示していることから、多くのアナリストやエコノミストにとってソフトランディングは基本シナリオとなっています。7月・8月と予想を下回る雇用統計が発表されたことから景気後退懸念も再燃していますが、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、今後1年間に米国が景気後退に陥る可能性は20%と予想しています。市場の関心は「FRBがどの程度利下げを進めていくか、景気がどの程度のペースで減速するか」であり、ソフトランディングになるのかハードランディングになるのかになるのか見極めている状況にあります。大幅利下げにはリスク懸念の声も9月13日時点のFedWatchでは、9月会合で0.25ポイントの利下げを織り込んでいるほか、11月と12月会合の両方で0.5ポイントの利下げを予想しています。一部アナリストは、9月会合で0.5ポイントの利下げに踏み切った場合、米経済の健全性について懸念を生み出す可能性があると指摘します。これは1990年以降のFRBの5回の利下げサイクルのうち、0.5ポイントの利下げでサイクルを開始した2回(2001年と2007年) はいずれも景気後退が続いたためです。またFRB高官の一部は、早計な金融緩和によるインフレ上振れリスクへの懸念を示しています。企業収益や経済動向にも注目一方、2024年のFRBの利下げ幅が市場予想を下回ったとしても、必ずしも株価にとって悪いことではないとの声もあります。ヤルデニ・リサーチのストラテジストは、金利変化よりも企業利益の方が将来の株式市場のリターンを予測する上で信頼できる指標であり、経済成長が予想以上に強く、労働市場の指標もそれほど悪くなく、消費者支出も引き続き増加している環境では、利益が伸び続ける中で株価の上昇余地が広がると述べています。