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トランプトレードの注目銘柄は?トランプ再選が株価に与える影響

トランプトレードの注目銘柄は?トランプ再選が株価に与える影響

本記事では「トランプラリー」、「トランプトレード」について解説のうえ、2024年大統領選でのドナルド・トランプ氏再選が米国株市場に与える影響を考察します。今年の大統領選挙戦については、当初最後まで接戦が繰り広げられると予想されていましたが、6月の第1回討論会、7月のトランプ氏の暗殺未遂事件を受けて、米国では第2次トランプ政権が発足するとの見方が強まっています。大統領選のアノマリー(規則性や傾向)については過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。トランプラリー、トランプトレードとは「トランプラリー」とは、2016年米国大統領選挙でのトランプ氏当選から生じた、米金利・株式・米ドルの急激な上昇を指します。トランプ政権の掲げる減税や財政出動などの経済政策期待から、米国長期金利が上昇し、外国為替市場ではドル高が進行しました。NYダウは45%、 S&P500は34%上昇し、米株式相場の上昇に伴って、日本をはじめ世界の株式相場も上昇しました。「トランプトレード」は、トランプ氏が大統領に当選した場合の政策を考慮した投資や資産売却を指します。今回の米国大統領選挙でも減税や規制緩和といったトランプ氏の公約に対する市場の期待感は強く、2016年の選挙においては当選後に始まったトランプトレードが前倒しで活発化しています。現在報道されているトランプ氏の公約・主張には以下のような内容が挙げられます。ただし、アナリストらは関税が経済に及ぼす影響については不透明感が強いと指摘しています。減税法人税を21%から15%に引き下げ中間層向けの減税株式売却益の減税関税引き上げ全ての貿易相手国に一律10%の関税中国からの輸入には60%超える対中関税を導入石油・天然ガス産業の推進、パリ協定から離脱米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の2026年5月の任期満了を認める方針JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)の財務長官への起用を検討トランプトレードの注目銘柄は?石油・天然ガス関連銘柄トランプ氏は石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大方針を表明しており、エクソンモービル(XOM)などの石油生産会社やガソリン車メーカーは恩恵を受ける可能性があります。また、トランプ氏はバイデン政権による電気自動車(EV)普及政策を度々非難していますが、トランプ氏がEV購入に対する連邦税控除の廃止や関税の引き上げを実施すれば、競争が激化するEV市場でテスラ(TSLA)が恩恵を受ける可能性が高いです。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がトランプ氏に献金したことは報じられており、マスク氏はテスラの年次株主総会にてトランプ氏がサイバートラックの大ファンであることも述べています。ヘルスケア(製薬・医療保険)銘柄共和党が政権を奪取した場合、民主党とバイデン氏によるインフレ抑制法の下で導入された薬価抑制が実施される可能性が低くなり、イーライリリー(LLY)やメルク(MRK)などの製薬企業や、ユナイテッドヘルス(UNH)といった医療保険企業が規制緩和の恩恵を受ける見通しです。銀行・M&A関連銘柄トランプ政権では金融規制が緩和され、JPモルガン・チェース(JPM)やバンク・オブ・アメリカ(BAC)などの銀行株が恩恵を受けるとみられています。また、反トラスト法(独占禁止法)の運用についても緩くなる公算が大きいことから、M&Aが活発化して、ゴールドマン・サックス(GS)やモルガン・スタンレー(MS)などの投資銀行にも注目が集まります。暗号資産関連銘柄トランプ氏は仮想通貨を支持する姿勢を示しており、仮想通貨に対する規制撤廃を公約しています。トランプ氏返り咲きの見方が強まると、コインベース・グローバル(COIN)やマラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)などの暗号資産関連銘柄は大幅上昇しました。トランプ氏は、7月27日に開催されるビットコインカンファレンス「ビットコイン2024」への登壇も予定しています。

テクノロジー銘柄が下落する中、ダウ平均や小型株は好調?米国市場の現在地

テクノロジー銘柄が下落する中、ダウ平均や小型株は好調?米国市場の現在地

こんにちは。ブルーモ証券代表の中村です。7月8日週から、米国株式市場ではテクノロジー銘柄の大きな下落と、為替市場ではドル円の円高への是正が進んでいます。特に7月17日の米国市場ではNASDAQが2.7%超の大幅下落をしました。これは2024年冒頭から続いたグロース株上昇と円安進行に対する大きな変化(ショック)で、驚かれている方も多いのではないかと思います。本記事では、足下の米国市場で何が起きているかを解説していきたいと思います。相場下落時の対応については以下記事もご覧ください。米国株式市場に対する調整の背景大型テクノロジー銘柄に過度な資金集中が生じていた2024年はNASDAQが21.8%上昇、S&P500が17.8%上昇と大きな相場上昇が続いていました(年初来、202年7月17日終値ベース)。特に2024年第2四半期(4-6月)はNVIDIAをはじめとする半導体企業の決算が好調だったこともあり、テクノロジー株に投資が集中して株価が上昇する一方、伝統的な大型銘柄は伸び悩んでいました。具体的には、第2四半期でS&P500とNASDAQは四半期でそれぞれ3.9%、8.3%上昇しましたが、ダウ工業株30種は1.7%安でした。こうした大型テクノロジー企業の株価好調に支えられ、S&P500の指数に占めるマグニフィセント7銘柄の比率は30%超と、歴史的な高水準に達していました。好調な業績を背景にしているとはいえ、この資金集中に対する巻き戻しが生じる可能性があったと言えます。資金集中の巻き戻しの結果、7月17日にNASDAQが2.7%下落した際も、ダウ工業株30種は上昇しています。高金利下で過小評価されていた小型株に見直しテクノロジー株から資金移動が起きる中、大きく上昇していたのは米国小型株です。この小型株への資金シフトトレンドが明確に現れたのはRussel2000という米国の小型株インデックスで、米国企業の時価総額1001位から3000位の2000銘柄で構成されています。Russel2000はS&P500やNASDAQが落ちる中、先週から10%近く上昇しており、特徴的な動きとして注目を集めています。小型株は一般的に債務負担が大きい(=借入をして事業に投資する)ため、高金利下では業績が伸び悩む傾向にありますが、足下でFRBの利下げが確定路線になったことで、収益改善の見通しが立って上昇していると考えられます。米政府の対中強行姿勢で半導体株が下落また、足下での動きとして、米国政府が中国に対する最先端の半導体輸出に対して規制をかける可能性があると報じられており、これが半導体企業の業績にマイナスの影響を与えると懸念され、半導体株が大幅下落しています。中国に対する規制検討は現行のバイデン政権での報道ですが、大統領選の対抗馬であるトランプ前大統領も中国に対して強行姿勢のため、いずれが政権を取った場合でも大きな方向性に変わりはないとも見られています。一方、半導体株への期待は足下で高まり過ぎていたところでもあるので、決算を前に一旦の落ち着きを見せて良かったと評価するアナリストもいます。為替市場でのドル高是正の背景日米金利差是正に向けた進展ドル円は160円台と歴史的な高水準に達していましたが、大きな要因は米国と日本の金利差(高金利の米国に低金利の日本から資金が流出する)にありました。2024年は当初利下げが期待されていたものの、第1四半期で中々インフレが沈静化しないのを見て、日米金利差は縮まらない状態でした。ところが、足下の1−2ヶ月間は重要なインフレ指標であるCPIも予想を下回る数字を見せており、FRBの利下げ路線が固まったと見られています。この利下げ予測が日米金利差の縮小を期待させて、円高へのプッシュとなりました。さらに、それを後押しするように7月17日には米国のトランプ前大統領からドル高是正のコメントが、日本の河野太郎デジタル相から日銀への利上げ要求コメントがあり、さらに日米金利差の縮小を期待させる要因になっています。日本の当局による断続的な為替介入こうした円高方向の為替変動トリガーとなるイベントに対して、日本の政府・日銀が断続的な為替介入も続けています。5月の大型介入の後、追加での為替介入はないと見ていた市場関係者からはこれがサプライズとなり、足下の円高進行を支えています。今後の注目ポイント足下の米国市場は、資金が一部のテクノロジー企業から市場全体に循環している動きなので、ある程度分散して投資をしていれば大きな懸念がある状態ではないと言えます。米経済のソフトランディングが進む中、FRBはまだまだ利下げ余地を残しているので、市場全体が大きく落ち込み続けるリスクは低いと言えます。テクノロジー銘柄に集中投資している場合、今後どこまで資金流出が進むかがポイントです。次回決算で出てくる業績が大きなファクターになりますが、足下で一旦過度な期待への調整が入ったので、決算が良かった企業にとってはアップサイドの大きい環境になっています。この機に集中投資からリスクを下げて分散したり、ポートフォリオの構成を見直したい方は以下の記事をご覧ください。ドル円相場はより予測が難しいですが、直近で追加のサプライズは出にくい環境になっています。まず、為替介入は無限に投下されるわけではないので、ここだけに期待することは難しいと見られています。FRBのFOMC(利下げを決める会合)や日銀の金融政策決定会合を控えているので、会合後のコメントで何かサプライズが出れば相場変動の要因になります。7月30日・31日開催予定のFOMCと日銀金融政策決定会合には注目です。金融市場の全体像やFRBの仕組みについての解説はこちらをご覧ください。

リスクオフとは?相場下落時の3つのオプション

リスクオフとは?相場下落時の3つのオプション

こんにちは、ブルーモ証券代表の中村です。米国株市場は近年右肩上がりで上昇していますが、上昇相場には「調整」と呼ばれる短期的な下落局面が必ず生まれます。これは、過熱した株価を適正水準に修正するような取引が生まれ、それまでとは逆方向に株価が揺れることを意味します。上昇相場の中で投資を始めた方も多く、下落局面を初めて経験する方もいると思うので、相場が下落した時にどうすれば良いのか、いくつか判断材料を提供できればと思います。ブルーモでは、リバランス機能によってポートフォリオの組み替えを簡単に実行できるので、今後の運用を迷っているユーザーの皆さんも是非読んでみてください。(最終更新:2024年7月)目次前提:長期投資であれば時間は味方リスクオフとは?「何もしない」以外の3つのオプションオプション1:株式に追加投資していくオプション2:安全資産の比率を高めるオプション3:一時的に安全資産に逃避する安全資産とは?おすすめのリスクオフ先米国短期債券ゴールド足下の市場で何が起きているのか(2024年4月時点)米国利下げ延期見通しと中東情勢で、上昇相場に調整が入った下落相場の中でも上がっているポートフォリオは?前提:長期投資であれば時間は味方まず基本的な部分ですが、長期で分散した投資をしている場合、足下の相場が下落しても慌てる必要はありません。投資期間が1ヶ月のような短期ではなく、10年以上のような長期であれば、世界経済が成長する中でリターンが出る確率は高いです。以下は当社HPにも掲載している過去30年の株式相場推移ですが、少なくとも米国市場は過去に大きなショック(ドットコムバブル、リーマンショック、コロナショック)もありましたが、長期的に株式市場は上昇しています。もう少し細かく月次のS&P500指数の動きから、各ショックの継続期間と下落幅をまとめたものは以下になります。足下の相場下落はここまで大きな話になっていませんが、ワーストシナリオを知る意味で参考になります。なので、長期的な資産運用をするのであれば「ここで投資をやめる」は得策ではなく、「何もしない」でも大きな問題はないです。ただ、足下の下落に対して何か動きたい方に向けて、いくつかのオプションを解説したいと思います。リスクオフとは?「何もしない」以外の3つのオプション投資用語で「リスクオフ」とは、投資家が相場の下落に備えて金融資産をリスクの高い商品からリスクの低い商品(安全資産)に移すことを言います。逆に「リスクオン」とは、投資家がリスクの高い商品に移行することを指します。足下の相場に対して「リスクオフ」をするかどうかは、今後の市場に対する見立てに依存します。以下に「何もしない」パターン以外の投資オプションを、市場への見立てによってまとめました。オプション1:株式に追加投資していく仮に足下の相場下落が一時的な場合、下落した価格で投資できるチャンスと考えることができます。投資からのリターンは、投資している銘柄の平均取得単価(投資時の株価平均)と時価の差分で生まれるので、株価が低い時に資金をたくさん入れると、当然ですが将来上昇した時のリターンも大きくなります。なので、投資銘柄の平均取得単価を下げるため、新たに現金を投入して追加投資することがオプションになります。注意点としては、株価の下落がさらに続く場合、追加投資分も含めてしばらく損失が出るので、相場の下げ止まりに確信が持てない場合、分割して徐々に資金を入れていくのが得策です。積立投資設定をしている方は、何も設定を変えないと基本はこのオプションで投資が続きます。オプション2:安全資産の比率を高める相場が下落しても影響を受けない安全資産のポートフォリオ比率を高め、相場変動に対する影響を中和するオプションで、今回のオプション1とオプション3の中間に当たります。具体的には株式・暗号資産・不動産といったリスクの高い商品を売却し、債券などのリスクの低い商品に投資するリバランスを実行することになります。相場変動への影響中和は下落時も上昇時も同じなので、相場上昇時のリターンも限定的になる点には注意が必要です。基本は一時的に安全資産の比率を高める想定ですが、今回のような相場下落に備え、安全資産をこの先もある程度組み込むのも良いでしょう。オプション3:一時的に安全資産に逃避する3つ目は相場下落に対して最も大きな動きになりますが、一時的にポートフォリオ全体を安全資産で構成してリバランスするというオプションになります。相場下落の影響は全く受けなくなるので、どれだけ市場が悪化しても資産が減ることはなくなります(安全資産そのものに変動がある場合を除く)。「ここで投資をやめる」に近いように感じるかも知れませんが、大きな違いは「一時的なこと」「安全資産からも一定のリターンを期待する」点にあります。「一時的なこと」とは、上昇のタイミングでのリスクオン(安全資産から株式等にリバランスすること)を実行し、上昇局面でのリターンを取り逃がさないことを意味します。このオプションを取る場合、いつ戻すかをその後も検討するのが大事です。安全資産とは?おすすめのリスクオフ先現金以外の安全資産として、ブルーモからも投資できる代表的なものを2つ紹介します。うまく活用すれば下落相場でも一定のリターンを期待できます。米国短期債券安全資産の一番代表的なものは債券(特に国債)です。債券は一定の利率を設定して発行された借入のための有価証券です。国債であれば借入元は政府なので、(特に先進国なら)債務不履行のリスクはほとんどなく、利率から安定したリターンを期待できます。今回の相場下落の大きな要因にもなっている「米国の高金利」ですが、これは裏を返すと米国の債券の利率が高いことを意味しています。なので、米国債に投資することで相場変動を回避しつつ、日本の金利よりは遥かに高いリターン(2024年4月時点で年利回り5%程度)を得ることができます。ただし、リスクオフを目的に債券投資する場合、気をつけないといけないのが「短期債であること」です。長期債の場合、金利が上がると価格が下がる関係にあるため、米国の利下げがさらに遅れるとそのタイミングで価格下落に直面するリスクがあります。ブルーモでも取り扱っている具体的な商品としては、「米国短期国債ETF(SHV)」と「米ドル建て投資適格変動金利ETF(FLRN)」がリスクの低さからおすすめです。米国短期国債ETF(SHV)残存期間1年未満の米国債に投資するETFで、流動性が極めて高いため、金利が上下してもほとんど価格が変動しません。過去5年間の値動きでも、+0.47%~-0.71%の間でしか動いておらず、ほぼ現金見合いとも言える変動の低さです。ここまで安全だとリターンも低そうですが、足下の米国金利の高さから分配年利回りは2024年4月時点で5.27%と、安全資産としては安定したインカムリターンを提供してくれます。米ドル建て投資適格変動金利ETF(FLRN)こちらは変動金利債に投資するETFで、投資債券の金利自体が市場水準に合わせて変動するので、金利の影響での価格変動は限定的です。こちらも2024年4月時点の分配金利回りは5.97%と、一定のインカムリターンを提供してくれます。SHVも同様ですが、短期債は金利が下落するとそれに伴い分配金利回りもすぐ下がるので、将来的にも年5%のリターンを約束されているわけではなく、金利下落局面(そしておそらくは株価上昇局面)での見直し検討は必要です。ゴールドもう一つの代表的な安全資産がゴールド(金)です。信用リスクのない(投資先が破綻したりがない)現物資産として、金はリスクオフのタイミングで買われる傾向にあります。最近は世界の中央銀行が運用先として金を買っていることから、さらに相場が上がっており、株式市場が下落する中でも金は上がり続けています。金に手軽に投資する方法は、ETFを購入することで、ブルーモでもゴールドETF(GLD)を取り扱っています。ゴールドETFは過去5年で83%上昇しており、過去1ヶ月間でも9.3%上昇しています。ただし、短期債と違って、金は現物資産の取引状況によって下落する可能性もあるので注意が必要です。資産価格の変動をどれだけ排除したいかで、短期債ETFにするかゴールドETFにするかを決めると良いでしょう。足下の市場で何が起きているのか(2024年4月時点)米国利下げ延期見通しと中東情勢で、上昇相場に調整が入った2024年第二四半期は世界的に株式市場が調整局面に入り、4/15-4/19の1週間で米国のS&P500指数は3.8%下落、日本の日経平均も5%下落するなど、大きな市場変動が起きています。そもそもの話として、4月に入ってからの株式市場で何が起きているかを振り返ります。2024年の株式相場は、米国での利下げ期待により好調でした(上昇を続けていました)。利下げで企業業績が良くなり、株価上昇を見越した投資家が米国株への投資を進めたことで、相場全体が上がっていました。ここに「利下げ延期見通し」と「中東情勢の不安定化」が飛び込んできました。「利下げ延期見通し」は、米国経済の強すぎる指標(物価指数など)が明らかになることで、FRBが利下げを予想通りには実行できない見通しが出てきたことを意味します。経済が強いのは良いことなのですが、結果的に利下げ延期見通しになって株式相場を下落させています。「中東情勢の不安定化」は、イスラエルと周辺勢力の関係が悪化することで原油の流通に問題が出て、原油価格の高騰から経済の低成長につながるのではないかという株価を伸びにくくしています。大きな危機が顕在化している状況ではなく、米国に限れば実体経済は堅調ですが、上記による不確実性から株式市場のリスクオフが進んでいるのが現状です。下落相場の中でも上がっているポートフォリオは?ブルーモでは、「週間比ランキング」から直近でどんなユーザーのポートフォリオが評価損益で上昇しているか分かります。今週の動きを見ると、高配当株の公式ポートフォリオをコピーして運用しているユーザーのポートフォリオが伸びていました。具体的には「ダウの犬」「高配当株式セレクション」の公式ポートフォリオは週間比で1.8%くらいの上昇を見せていました(同期間でS&P500は3.8%下落)。また、債券ETFをミックスした公式ポートフォリオも価格変動しておらず、一定の分配金利回りがあることを考えると、これらのポートフォリオをコピーして運用している場合もリスクオフ時の投資としてはうまくいっていそうです。セクター特化のポートフォリオでは、「小売・生活必需品」「金融サービス」の週間比上昇が大きく、リスク時に強いセクターも見えています。

過去10年のポートフォリオから学ぶ、バフェット流資産運用(後編)

過去10年のポートフォリオから学ぶ、バフェット流資産運用(後編)

本記事では、過去10年のウォーレン・バフェットのポートフォリオを振り返りながら、バフェット氏の資産運用手法について2回に分けて解説します。前編記事はこちら。目次ワラントでバンカメ株は約6倍に「逆張り投資家」のバフェットコカコーラ株を愛する理由配当を支払うビジネスの価値近年は石油株を買い増し以下の図表は、2015年から2024年にかけて、バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイの上場ポートフォリオで4%以上保有されていた銘柄の比率の推移を示したものです。(*注:2023のKHCは4%以下であるが例外的に記載)出典:フォーム13F ※2024年は3月末時点2015-2024年にバークシャーが4%以上保有していた銘柄アップル(AAPL)バンク・オブ・アメリカ(BAC)アメリカン・エキスプレス(AXP)コカコーラ(KO)シェブロン(CVX)オキシデンタル・ペトロリアム (OXY)クラフト・ハインツ(KHC)ウェルズ・ファーゴ(WFC)アイ・ビー・エム(IBM)フィリップス66(PSX)ワラントでバンカメ株は約6倍にポートフォリオの中で2番目に大きなポジションを占める、バンク・オブ・アメリカ(BAC)への投資は込み入った事情があります。バークシャーがバンク・オブ・アメリカに初めて投資したのは、金融危機が始まった2007年でしたが、2010年までにバンク・オブ・アメリカ株をすべて売却しています。その後、欧州債務危機が発生し、2011年8月、バフェット氏は、バンク・オブ・アメリカに救済資金として50億ドル出資し、2021年9月まで普通株7億株を1株当たり7.14ドルで購入できるワラント(一定の値段で、あらかじめ定められた期間内に発行会社の株式を購入できる権利)付きの優先株を受け取りました。優先株の配当利回りは6%で、配当収入のみで年間3億ドルがもたらされました。その約6年後の2017年に、バークシャーはワラントを行使しました。現在、バンク・オブ・アメリカの株価は40ドル付近で推移しており、バークシャーがワラントを行使するのに支払った価格に対して6倍弱まで上昇しています。さらに、バンク・オブ・アメリカは過去10年間で大幅に増配しており、バークシャーが得るトータルリターンはさらに高いものとなっています。「逆張り投資家」のバフェットバフェット氏は逆張り投資家として有名で「他人が貪欲なときは恐れ、他人が恐れているときは貪欲になれ」という名言を残しています。逆張り投資はその名の通り、特定の時点における投資家の感情の流れに逆らう戦略ですが、バリュー投資に似ており、株価が企業の本質的価値よりも低い株式を探します。他の投資家の悲観的な見方が過剰になっているため、株式の価格が本来あるべき水準を下回っているときに、逆張り投資家は市場に参入し、株価が回復する前に株式を購入します。実際にバフェット氏は金融危機のさなかに積極投資を行なっており、バンク・オブ・アメリカ以外にも2008年9月24日、バークシャーはゴールドマン・サックスに50億ドルの投資を行いました。このとき発行された優先株は年間5億ドルに相当する10%の利回りが約束されており、さらには2013年10月1日まで普通株約4350万株を1株当たり115ドルで購入できるワラントや、ゴールドマン・サックスの都合で優先株を買い戻したい場合にはバークシャーが購入した価格より10%高い価格で買い取るという魅力的な条件もついていました。優先株については11年に買い戻しが完了し、2013年に、バークシャーはワラントは行使されました。コカコーラ株を愛する理由コカコーラ(KO)はバフェット氏が長年絶賛している銘柄で、バークシャー社が絶対に売却しない銘柄の1つと見ています。1988年から継続保有しており、バークシャーが保有する4億株の取得原価は1株当たり約3.25ドルと非常に低いです。そのため、コカコーラの1株当たり年間1.94ドルの配当は、バークシャーにとって取得原価に対する利回り約60%に相当します。また、コカコーラは62回連続で増配をしています。配当を支払うビジネスの価値2023年2月に公開された「株主への手紙」で、バフェット氏は成功の秘訣としてコカコーラを例に挙げ、配当を支払う強固で確立されたビジネスの価値を説明しました。「1994年にコカ・コーラから受け取った現金配当は7500万ドルでした。2022年にはその配当が7億400万ドルに増加しました。成長は毎年、誕生日のように確実に起こりました。チャーリーと私がする必要があったのは、コカ・コーラの四半期ごとの配当金小切手を現金化することだけでした。我々はこれらの小切手が今後も増加する可能性が非常に高いと期待しています。」現在バークシャーのポートフォリオは年間約60億ドルの配当収入を生み出していますが、その7割以上は5社に由来しています。バークシャーの2023年年間配当収入 上位5銘柄バンク・オブ・アメリカ(BAC): 9億9,150万ドルオキシデンタル・ペトロリアム(OXY):8億9,750万ドルアップル(AAPL):8億6,930万ドルシェブロン(CVX):8億2,210万ドルコカコーラ(KO):7億7,600万ドル近年は石油株を買い増しバークシャーのポートフォリオで5番目と6番目に大きいポジションは、シェブロン(CVX)とオキシデンタル(OXY)です。バフェット氏は、近年エネルギーセクターへの投資を増やしており、2社でポートフォリオの約10%を占めています。しかし、バークシャーは2008年に石油会社コノコフィリップスへの投資で大損し、2014年にはエクソンモービルから撤退した過去があり、バフェット氏がバークシャーの2015年の株主総会で「石油・ガス株をあまり頻繁に買うつもりはない」と述べたこともありました。長年バフェット氏を追跡してきた市場関係者からは、化石燃料からの移行は市場予想よりも時間がかかると見立ているのではとの指摘があり、バフェット氏自身も2022年に「米国が石油から完全に離れる兆しは見えなかった」と発言しています。

過去10年のポートフォリオから学ぶ、バフェット流資産運用(前編)

過去10年のポートフォリオから学ぶ、バフェット流資産運用(前編)

本記事では、過去10年のウォーレン・バフェットのポートフォリオを振り返りながら、バフェット氏の資産運用手法について2回に分けて解説します。2024年3月末時点での最新ポートフォリオについては、過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。目次バフェットポートフォリオの変遷「集中投資」型の運用アップル株は19兆円越えの利益にアップルへの投資はバークシャーらしくない?優良企業を適正な価格で買う自社株買いのメリットバフェットポートフォリオの変遷バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(以下、「バークシャー」)のポートフォリオは、四半期ごとに米証券取引委員会(SEC)に提出される報告書「フォーム13F」にて開示されています。以下の図表は2015年から2024年にかけて、バークシャーの上場ポートフォリオで4%以上保有されていた銘柄の比率の推移を示したものです。(*注:2023のKHCは4%以下であるが例外的に記載)出典:フォーム13F ※2024年は3月末時点2015-2024年にバークシャーが4%以上保有していた銘柄アップル(AAPL)バンク・オブ・アメリカ(BAC)アメリカン・エキスプレス(AXP)コカコーラ(KO)シェブロン(CVX)オキシデンタル・ペトロリアム (OXY)クラフト・ハインツ(KHC)ウェルズ・ファーゴ(WFC)アイ・ビー・エム(IBM)フィリップス66(PSX)「集中投資」型の運用バフェット氏は集中度の高いポートフォリオを運用しており、上場ポートフォリオが40社程度で構成されるなか、4%以上を占める銘柄は5〜7銘柄です。そして、この上位5〜7銘柄がポートフォリオの70%以上を占めているのが特徴です。バフェット氏と長年のパートナーであるチャーリー・マンガー氏は「バフェット氏について、人々は次のことを理解していない。彼は生まれながらの資本主義者であり、小規模で気を散らすようなポジションを好まない」と語っています。また、銘柄の入れ替えや比率の見直しも積極的に行なっており、10年間でポートフォリオの中身が大きく変化したことが見て取れます。アップル株は19兆円越えの利益に近年のポートフォリオ占有率1位であるアップル株(AAPL)をバークシャーが初めて取得したのは、2016年第1四半期です。当時は「買うのが遅すぎたのでは」という市場関係者の声もありましたが、最初の投資以来、13回の購入と7回の売却をし、バークシャーはアップル株に313億ドル(約5兆円)を投資し、1200億ドル(約19.2兆円)以上の利益を得ています。これは投資家や企業が単一株で得た最高額と推定され、バフェット氏のキャリアの中で利益額において最大のホームラン投資となりました。アップルへの投資はバークシャーらしくない?マンガー氏が「アップルほどバークシャーらしからぬ企業は考えられないだろう」と2013年にロイター通信に語ったように、バフェット氏は、IBMを除きテクノロジー株には投資をしないことで長らく知られていました。実際、アップルの株の投資は同社にとって少額の約10億ドルの投資として始まり、最初の投資を主導したのはバフェット氏ではなく、彼の投資マネージャーの1人(テッド・ウェシュラー)でした。しかし、アップルの株主への利益還元、さらには顧客維持率の高く、価格決定力もかなりあることから、バフェット氏はアップルを消費財企業とみなすようになり、強気派に転向しました。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バフェット氏は孫たちがiPhoneに「依存」していた様子や、iPhoneを紛失して悲嘆に暮れた友人の話にも影響を受けたといいます。優良企業を適正な価格で買うバフェット氏は「株価が企業価値を下回っている株式を買う」バリュー投資家として有名です。バフェット氏の銘柄選定基準のひとつに、今後12か月の予想収益に基づく株価収益率 (PER) が15倍未満が挙げられますが、アップルはその条件も満たしていました。バークシャーが初めてアップル株を購入した当時、13年ぶりの減収でPERは11倍でしたが、現在は30倍以上に上昇しています。自社株買いのメリットまた、バフェット氏は長年自社株買いのメリットを信じており、2022年2月に公開された「株主への手紙」にて、アップルの積極的な自社株買いを大絶賛しています。 「アップル株の保有比率は1年前の5.39%から5.55%に増加しました。この増加は些細なものに見えるかもしれません。しかし、アップル株の0.1%は1億ドルに相当するのを考えてみてください。バークシャーはこの増加のために追加投資をしていません。アップルの自社株買いがこれを実現させました」アップルは2013年に自社株買いプログラムを開始しましたが、米企業が発表した自社株買い規模上位10件のうち、首位から6位までをアップルが占めています。これはアップルの1株当たり利益を押し上げるだけでなく、何もしなくてもバークシャーの同社に対する所有権を着実に増やしています。

米国株のアノマリーとは?サマーラリーと大統領選サイクルから考える2024年下半期の市場動向

米国株のアノマリーとは?サマーラリーと大統領選サイクルから考える2024年下半期の市場動向

米国株市場にはさまざまなアノマリー(規則性や傾向)が存在し、投資家は市場動向を予測するヒントとして、アノマリーを活用することがあります。米国株のアノマリーの例1月効果(January Effect)セルインメイ(Sell in May and Go Away)サマーラリー(Summer Rally)サンタクロースラリー(Santa Claus Rally)大統領選サイクル(Presidential Cycle)トリプルウィッチング(Triple Witching Day)スーパーボウル指標(Super Bowl Indicator)本記事では、2024年下半期の市場動向に関連する「サマーラリー」、「サンタクロースラリー」、「大統領選サイクル」のアノマリーについて解説のうえ、市場から注目を集めているポイントについても見ていきます。トリプルウィッチングについては過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。サマーラリーとはサマーラリー(Summer Rally)は、夏季に株式市場が上昇する傾向を指し、米国では独立記念日(7月4日)からレイバーデー(9月第1月曜日)までの期間に見られます。海外の機関投資家が夏季休暇の前に株を買いだめすることから株価が上昇するとされています。なかでも、大統領選挙の年は7月と8月にプラスのリターンをもたらす傾向が高まるといわれており、8月最初の10日間は特に好調でS&P 500は平均1.53%上昇しています。2024年のサマーラリーについて、ゴールドマンサックスはパッシブ株式投資からの資金が7月初めに株式市場に流入し、初夏まで上昇が続く見通しを予測しています。また、8月には「夏枯れ相場」というアノマリーも存在します。機関投資家などが長期休暇を取るため、株式市場の取引高が減少し、相場が上がりにくく、悪材料に反応して株価が下振れしやすいともいわれています。一般的に夏枯れ相場は一時的なものであり、市場の基本的な健全性は影響を受けないことが多いです。サンタクロースラリーとはサンタクロースラリー(Santa Claus Rally)は、12月の最後の5営業日と翌年の最初の2営業日にかけて株価が上昇する傾向を指します。1950年以来、S&P 500はサンタクロースラリー期間で平均1.3%上昇しています。ホリデーシーズンの楽観的な見通しや、年末調整で株を売った後の買い戻しなどが影響しているとされています。ただし、2023年末から2024年始にかけての直近のサンタクロースラリーについては、S&P 500は0.9%下落となりました。これは2015年末以来最悪のパフォーマンスであり、7年連続のサンタクロースラリー期間のプラスの記録が途絶える結果になりました。 大統領選サイクルとは大統領選アノマリーとは、米国大統領の4年間の任期が株式市場に与える影響を指します。選挙サイクルは、選挙前年・選挙年・選挙翌年・中間選挙年で構成され、歴史的に見ると、このサイクルと市場のパフォーマンスに一定の相関が見られることがわかります。2023年は選挙前年、今年は選挙年に該当します。選挙前年現職大統領が再選を目指して経済政策を強化し、景気を刺激する施策を打ち出すことが多いことから、選挙前年は市場のパフォーマンスが最も良い年とされています。2023年は米国主要3株価指数がいずれも2桁の上昇を記録しました。選挙年選挙年も比較的好調な市場パフォーマンスが見られることが多くなっています。ただし、大統領選挙の結果やその不確実性が市場に影響を与えるため、ボラティリティが高まることもあります。選挙翌年新大統領が就任する選挙翌年は、市場パフォーマンスが低迷する傾向にあります。新政権の政策が不透明であることや、新たな政策が経済にどのように影響するかが不確定であるためです。特に、大統領選挙で大統領の出身政党が変わった場合には、選挙年と選挙翌年で株価の騰落が逆転することが知られています。具体的には、選挙年の市場パフォーマンスが上昇(下落)であれば、選挙翌年に下落(上昇)することであり、1897年以降このような株価の騰落逆転が75%の確率(12回の政党交代のうち9回)で起こりました。中間選挙年選挙後2年目の中間選挙年も、パフォーマンスがやや低調であることが多いです。中間選挙の結果が議会の勢力図を大きく変える可能性があるため、市場は慎重な姿勢を取ります。下半期はハイテク銘柄決算と9月の政経動向に注目2024年11月5日は米大統領選挙です。大統領選挙年の米国株式市場では、夏季にサマーラリーが期待され、その後9月10月については選挙を目前としマーケットは様子見。選挙が終わり、大統領が決定した後から年末にかけて株価が再び上昇に転じるというのが大統領選挙年のアノマリーとなっています。サマーラリーか調整局面か、ハイテク銘柄の決算次第かS&P 500は今年に入って最高値を31回更新し、年初来の上昇率は15%以上に達しました。しかし、過去3ヶ月に同指数の時価総額上位10銘柄は中央値で17%上昇しましたが、その他の銘柄は1.3%下落しています。これは第1四半期に見られた市場全体底上げ型の強気市場とは異なり、一部のハイテク銘柄を除き、ほとんどの銘柄が上昇に寄与していない状況となっています。直近のS&P500の年末目標引き上げについても、マイクロソフト、エヌビディア、 グーグル、アマゾン、メタ・プラットフォームズのハイテク企業の2024年の業績見通し上方修正とAI投資の高まりによるバリュエーションの拡大が上昇の原動力となっており、これらのハイテク企業を中心とした第2四半期決算の結果がサマーラリーと調整局面どちらに市場が向かうかを左右すると想定されています。また今年の大統領選挙戦は接戦で、全国世論調査ではバイデン氏とトランプ氏がほぼ同数となっています。両氏は6月27日に討論会を行うことで合意しており、これは大統領選史上最も早い討論会となり、投資家の注目が通常より早く選挙結果と政策への影響に集まることとなります。9月からは利下げ動向と選挙戦が焦点か9月には2回目となるバイデン氏とトランプ氏の討論会に加えて、9月17〜18日にFOMC(米連邦公開市場委員会)の実施が予定されており、利下げ実施の有無とFOMC参加者による金利見通しに注目が集まっています。6月のFOMCでは、年内の利下げ回数の見通しが3月の3回から1回に減少し、インフレ見通しが引き上げられました。9月のFOMCでも引き続き利下げに対して慎重な姿勢が示された場合、さらに投資家が選挙戦について様子見ムードになるにつれ、株価が停滞または下落する可能性が予想されます。このようなボラティリティが高まる時期に備えたい方に向けて、相場下落に備えて金融資産をリスクの高い商品からリスクの低い商品(安全資産)に移す「リスクオフ」についての解説記事もありますので、ご関心のある方はぜひご覧ください。

【徹底解説】インド株式の基礎知識と投資家が注目すべきポイント

【徹底解説】インド株式の基礎知識と投資家が注目すべきポイント

本記事では、世界で最も急速に成長している市場の一つであるインド株式市場の魅力やリスクについて詳しく解説します。目次インド経済の成長要因政府の製造業振興とデジタル化推進地政学的背景:製造拠点としての台頭人口統計上の優位性インド株式のリスク雇用創出の課題政治リスク割高なバリュエーションインドの代表的な株価指数であるSENSEX指数は過去5年間で約2倍弱に成長し、米国を代表する株価指数であるS&P500指数を上回る上昇率となっています。さらに、1月には上場株の時価総額が香港を抜き、世界4位に躍進しました。インド経済の成長要因近年のインドは大規模なインフラ投資の追い風を受け、さらには経済安全保障の観点から欧米を中心に中国市場の有望な代替投資先としての期待も高まっており、成長の勢いを加速させています。政府の製造業振興とデジタル化推進2014年に首相に就任したモディ首相の下で、インドはより多くの製造業を国内に誘致するため、「Make in India」を掲げ、規制の負担を緩和し、道路やその他のインフラに投資し、税制優遇措置や還付金を提供してきました。デジタルインフラの構築についても政府が主導権を握っており、サプライチェーンのデジタル化が功を奏し、インドは世界銀行の物流パフォーマンス指数で2018年から2023年の間に6位上昇しました。これにより、多くの企業がインドに注目し、投資を拡大しています。地政学的背景:製造拠点としての台頭新型コロナウイルス感染症によって生じたグローバルでのサプライチェーンの混乱は、多くの企業の中国依存を明らかにしました。また2022年2月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ロシアからの企業の撤退が相次ぎ、多くの企業が中国やロシア以外での製品生産を決定する中で、世界的に競争力のある拠点としてインドに製造拠点を設ける動きが本格化しています。たとえば、Appleは2022年よりインドでのiPhoneの生産を拡大しており、関係者によると現在ではiPhoneの7台に約1台、最大約14%をインドで生産しています。また、2023年6月に米国の半導体大手マイクロン・テクノロジーの工場建設発表が呼び水となり、半導体製造に絡む企業が集結しつつあります。日本企業からもルネサスエレクトロニクスが2024年1月に、インドに現地企業と合弁で半導体の組み立てや検査を手掛ける工場を建設すると発表しました。人口統計上の優位性インドは人口14億人を超え、中国を抜いて世界で最も人口の多い国となっていますが、歴史的に新興市場の成功を支えてきた「若者人口の多さ」が特徴です。人口の中央値は28歳で中国や米国の39歳と比べて非常に若く、ミレニアル世代とZ世代が2030年までにインドの人口の50%以上を占めることが予想されています。豊富な労働力は、サービスや製造業の分野での短期的な成長目標を達成するだけでなく、消費者支出の成長に寄与します。これは、世界中で商品需要が冷え込み、製造業が低迷する中、投資家が注目している点で、国際通貨基金(IMF)は2025年にも名目GDPでインドが日本を追い抜くと予想しています。インド株式のリスクインドはマクロ経済の安定性で際立っており、その中長期的な成長の可能性は、外国資本の誘致、サプライチェーンの再編、地政学的立場、人口動態などによって支えられています。一方で、インド株式投資にはリスクも存在します。雇用創出の課題インドは人口統計上の優位性がある一方で、労働力参加率は40%半ばと世界平均の65%を大きく下回っています。雇用創出が生産年齢人口の増加に追いついていないことが大きな原因ですが、女性、特に既婚女性の労働力参加をあまり支持しない文化も原因の1つとなっています。インド女性の労働力参加率は2000年の31%から2022年には24%に低下しました。また、労働力の約半数は農業に従事しており、労働者一人当たりの生産量を抑制しています。多くの雇用を創出するには成長余地の大きい製造業を育成することが有効ですが、政府によるグローバル企業の誘致も現時点では大規模な雇用創出につながっておらず、今後のインド経済の持続的な高成長には製造業振興策の成功が鍵といえます。政治リスクインドは世界最大の民主主義国であり、2024年には地方選挙、国会議員選挙、議会選挙が予定されており、政治的な不安定さや政策変更が経済に影響を与える可能性があります。直近では、予想外の選挙結果から株価が乱高下する場面もありました。長期的な視点で投資を行い、短期的な変動に耐えることが大切です。割高なバリュエーション米国株と同様に、インド株は予想利益の20倍強で取引されています。現在の株価はすでに同国の成長の可能性を織り込んでおり、上場株式の比較的割高なバリュエーションは一部の投資家にとって懸念材料となっています。インド株式市場は歴史的に企業の利益成長によってけん引されてきたため、企業業績の推移を把握することが重要です。ただし、ゴールドマン・サックスは今年と来年に年15%程度の利益成長を予想しており、こうした利益成長でバリュエーションは抑制されると述べています。また、選挙期間中は低迷していた外国からの投資フローが再び増加するとの期待もされています。

【徹底解説】FRBとFOMCの基礎知識と投資家が注目すべきポイント

【徹底解説】FRBとFOMCの基礎知識と投資家が注目すべきポイント

FRBの動向は金融市場に大きな影響を与え、FOMCの発表内容を理解することは投資判断において重要な材料となります。本記事では投資家が抑えておくべき、FRBとFOMCの役割や注目すべきポイントについて詳しく解説します。目次FRBとはFOMCとはFOMC参加者の投票権と金融政策スタンス四半期に1度公表される「経済見通し」と「ドットチャート」FRBとは米連邦準備制度理事会(FRB, The Federal Reserve Board)は米国の中央銀行に相当する組織で、1913年の連邦準備法成立により設立されました。FRBの主な役割は「雇用の最大化」と「物価の安定」で、米経済の情勢を判断し、適切な金利政策を実行することで経済の安定と成長を図ります。また、全米12地区の連邦準備銀行(地区連銀)の業務を監督する権限を付与されており、日本でいうと日本銀行と金融庁の役割をあわせ持つ組織になります。FRBは7名の理事から構成され、うち議長1名、副議長1名、金融監督担当副議長1名が含まれます。理事は大統領が任命し、上院議会の承認を得て就任します。FOMCとは連邦公開市場委員会(FOMC, Federal Open Market Committee)は、FRBが開催する米国の金融政策を決定するための会合です。FOMCは通常年に8回開催され、2024年の開催日程は以下のとおりです。2024年のFOMC開催予定1月30-31日3月19-20日4月30-5月1日6月11-12日7月30-31日9月17-18日11月6-7日12月17-18日FOMC参加者の投票権と金融政策スタンスFOMCの会合では、参加者19名(FRB理事7名と地区連銀総裁12名)のうち理事7名と地区連銀総裁5名が政策決定の投票権を持ちます。理事とニューヨーク地区連銀総裁は、常に投票権を持つ常任メンバーですが、残りの4名の地区連銀総裁は、輪番制により1年の任期となります。政策決定は多数決で決まるため、「タカ派、ハト派」と呼ばれるFOMC参加者の金融政策スタンスを把握することが重要になります。タカ派は金融引き締め寄りの政策を支持する人のことを呼び、反対にハト派は金融緩和的な政策を支持する傾向がある人のことを呼びます。2024年のFOMCで投票権を持つメンバーの政策スタンス<常任メンバー>パウエル議長:中立ジェファーソン副議長:ハト派バー金融監督担当副議長:中立ボウマン理事:タカ派ウォラー理事:中立クック理事:ハト派クグラー理事:ハト派ウィリアムズニューヨーク連銀総裁:中立<メンバー>メスタークリープランド連銀総裁:中立バーキンリッチモンド連銀総裁:中立ボスティックアトランタ連銀総裁:タカ派デイリーアトランタ連銀総裁:中立FOMCの経済見通しと「ドットチャート」FOMCの終了後には声明文が発表され、3月、6月、9月、12月の会合では「経済予想サマリー(SEP, Summaru of Economic Projections)」という経済見通し資料をあわせて発表します。これはFOMC参加者の経済予想を集計したもので、実質GDP成長率、失業率、インフレ率、政策金利の見通しの要素を含みます。これらの予測は米経済の情勢を示し、金融政策の方向性を示す重要な指標です。なかでも、米国の短期金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準を点として図示した、「ドットチャート」からは利上げ/利下げ幅を予測できることから市場からの注目が高くなっています。3月会合で発表されたドットチャート(出典: FOMC)例えば、3月のFOMCで示された政策金利の見通しでは年内利下げ回数は3回でしたが、ドットプロットに着目すると19人の参加者のうち約半数の9人が利下げを2回以下に留めており、FFレートの上振れと利下げ期待の後退リスクを予想できます。また、ここでFOMC参加者の政策スタンスを理解していると、それぞれのドットが誰かと考えることができ、誰がスタンスを変更すると政策決定に大きな影響があるか(利下げ見通しに慎重なタカ派姿勢が中立派のメンバーに波及すると、利下げが遠のくなど)検討をつけることもできます。FRBがどのような政策方針を示すかを市場はあらかじめ予想して、相場に織り込んでいます。この予想と実際の結果に大きな差分があると、市場が大きく動く要因となります。FRB動向について、より理解を深めたい方は以下の経済指標解説記事もぜひご覧ください。経済指標は、連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決定する際の重要な情報源であり、パウエル議長をはじめとするFRB高官は「米政策金利の次の動きはデータ次第で判断」と繰り返し発言をしています。

セクターローテーションとは?景気サイクルと株価の関係

セクターローテーションとは?景気サイクルと株価の関係

セクターローテンションとは、景気の変動に合わせて値上がりが予想される業種(セクター)に投資対象を切り替える投資戦略です。季節の変わり目に、コートをしまって半袖の服を出す「衣替え」のように、特定の株式セクターが他のセクターよりも好まれる時期があります。この切り替わりのきっかけとなるのが景気サイクル(景気循環)です。セクターローテーションの考え方は、米国では一般投資家にも浸透していますが、どの業種にいつ投資をすればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、相場の循環とセクターローテーションについて詳しく解説します。目次景気サイクルと株価の関係株式市場は景気サイクルに先駆けて動く相場の循環とセクターローテンション利下げ動向が鍵、米国市場の現在の状況は景気サイクルと株価の関係景気には波があり、好景気と不景気を繰り返して経済は成長します。この波を景気サイクルと呼び、四季のように「好況→後退→不況→回復」の4つの局面が順番に訪れて、繰り返していくと考えられています。景気の最も良い時を「景気の山」、最も悪い時を「景気の谷」と呼び、景気サイクルは、谷から次の谷までを1つの周期としています。株式市場は景気サイクルに先駆けて動く株式市場は、景気サイクルを予想して3~6ヵ月早く動く傾向があります。株式市場の値動きは、将来の材料を株価に織り込みながら波を作っています。そのため、セクターローテーションを活用する時は、実際の景気サイクルと市場の状況を分けて考える必要があります。景気サイクルの変動には中央銀行の金融政策が大きく影響します。中央銀行は物価の安定などを目標に、景気が過熱したり冷え込みすぎたりしないよう金融政策によって景気の大きな変動を抑えます。景気が悪い時には金融緩和をし、景気が良い時にはインフレが進みすぎないよう金融引き締めを行います。相場の循環とセクターローテンション株式市場は、景気と金融政策の影響を重視して株価の変動を「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」という4つの段階で捉えることができます。金融相場:金利が下がり、株価は上昇金融相場とは、金融政策が株価上昇のけん引役となる相場です。中央銀行が金融緩和をする不況期から回復期にかけて見られます。この時期の企業業績は良くなくても、金融緩和によって市場に投資マネーが流入し、成長ポテンシャルが大きい情報技術関連や新興企業などのグロース株が値上がりしやすくなります。業績相場:金利が低いまま、株価はさらに上昇景気サイクルが回復期から好況期に向かうと、消費が増えビジネスが活発になり、企業業績の改善が株価上昇をけん引する「業績相場」となります。この時期には資本財や素材などのセクターが値上がりしやすくなります。逆金融相場:金利が上がり、株価は下落景気が過熱し、インフレが進むと、中央銀行は金融引き締めを実施します。景気拡大ペースが鈍り、株式相場が反転する局面を「逆金融相場」と呼びます。この時期は経済環境が不安定になり、安定した収益を上げる財務体質が強固な企業やエネルギーセクターなどが買われやすくなります。逆業績相場:金利が高いまま、株価はさらに下落後退期が続くと不況期に突入し、企業の売上や消費が大幅に落ち込みます。この悪循環によって株価の下落が続くのが「逆業績相場」です。この時期には、景気に左右されにくい生活必需品や公益事業といったセクターに投資資金が向かいやすくなります。利下げ動向が鍵、米国市場の現在の状況は足元、米経済は4月の消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化を受けて、FRBの利下げ期待が再燃しています。一方、米企業全体の良好な業績見通しは維持されており、金融相場と業績相場がせめぎ合いつつ、株式相場を下支えしています。ただし、現在の市場では「好景気→インフレ再燃懸念→利下げ後倒し」という思惑が働くため、株式市場が上昇するために景気減速の方が歓迎されています。5月23日には、米PMI統計が好調な企業活動とインフレ再加速を示す内容となったことで、株・国債ともに下落となりました。Bloomoで簡単セクターローテーションセクターローテーションを効率的に行うには、セクター別のETFをご活用いただけます。ブルーモ証券の提供する投資アプリ「Bloomo」ではセクターETFが購入可能なのはもちろん、投資先を大きく変更したい場合に、投資する銘柄と比率を決めれば、一気に必要な売買を実行してくれるので面倒な個別銘柄の売買をせずに、個別銘柄でのセクターローテーションが簡単にできます。

【ウォーレン・バフェットのポートフォリオ解説】新規保有銘柄のチャブ?手元資金は過去最高に

【ウォーレン・バフェットのポートフォリオ解説】新規保有銘柄のチャブ?手元資金は過去最高に

本記事では、市場の注目を集めるウォーレン・バフェットのポートフォリオについて解説します。目次バフェットポートフォリオの中身上位10銘柄で90%以上、アップルは引き続き1位損害保険会社「チャブ」の大量保有が明らかに手元資金は過去最高を更新バフェットポートフォリオの中身ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の2024年3月末時点での最新ポートフォリオが、5月15日に米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書「フォーム13F」にて明らかになりました。上位10銘柄で90%以上、アップルは引き続き1位バフェット氏は常に集中度の高いポートフォリオを運用しており、上場ポートフォリオは41社で構成されているにもかかわらず、上位5銘柄で75%以上、上位10銘柄は90%以上占めています。上位保有銘柄アップル(AAPL) : 40.8%バンク・オブ・アメリカ(BAC) : 11.8%アメリカン・エキスプレス(AXP) : 10.4%コカコーラ(KO): 7.4%シェブロン(CVX): 5.8%オキシデンタル・ペトロリアム (OXY): 4.9%クラフト・ハインツ(KHC): 3.6%ムーディーズ(MCO): 2.9%チャブ(CB): 2.0%ダビータ(DVA): 1.1%アップル株は、2024年1-3月期に13%程度売却されましたが、依然として同社はバークシャーのポートフォリオの40%近くを占めています。売却について、バフェット氏は売却益にかかる税率は上昇していくという見立てが背景にあると説明しており、アップルはアメリカン・エキスプレスとコカ・コーラの2社よりも「さらに優れた」企業と高い評価は変わらないと語っています。また、シェブロンの既存ポジションを約2.5%削減し、オキシデンタル・ペトロリアムのポジションを2%弱拡大しました。損害保険会社「チャブ」の大量保有が明らかに13F報告書で最も注目を集めたのはチャブの保有です。チャブのポジションは67億ドル(約1兆300億円)に相当し、上場ポートフォリオの中で9番目に大きな保有ポジションとなります。バークシャーは2023年第3四半期以来特例制度を用いて保有状況を非開示としており、保有の伝わった15日の時間外取引でチャブ株は8%以上上昇しました。チャブはスイスに本拠地を構え、ニューヨーク証券取引所に上場している企業です。3月に、作家E・ジーン・キャロル氏の民事名誉毀損訴訟でトランプ前大統領に9160万ドル(約135億円)の上訴保証金を引き受けたことで話題となりました。バフェット氏は、2月に公開された株主への手紙で、「損保事業はバークシャーの健全性と成長性の中核を担っている」「57年間事業に携わっており、1,700万ドルから830億ドルへ取扱高が5,000倍近く増加しているにもかかわらず、成長の余地は沢山ある」と述べています。バークシャーは子会社に自動車保険ガイコや再保険のジェネラル・リーなどを持ち、業界に精通しています。また、チャブは30年間にわたり毎年配当金を増額しており、バフェット氏の配当好きとも一致しています。 手元資金は過去最高を更新バークシャーの2024年1-3月期の株式売買動向は173億ドルの売り越しとなりました。現金と米短期債保有額を合計した広義の手元資金は3月末時点で1890億ドル(約29兆円)に達し、過去最高値を更新しました。5月4日の株主総会では、バフェット氏が現時点で大規模な投資を行わない理由について、「現時点で効果的な使い道が見当たらないため、手元資金を温存している」「魅力的な投資先が見つからない」と説明しました。また「投資したいが、リスクがほとんどなく、大もうけできるような案件でない限り、投資しないだろう」と述べ、カナダ投資を検討していると付け加えました。