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【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

本記事では、マイクロソフトの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月30日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約13%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。7-9月期の注目点:Azureの成長性とAI投資のコスト圧力2024年7-9月期の「売上高予想は$645.1億、EPS予想は$3.1」、平均目標株価は$497です。クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるかマイクロソフトのクラウド部門は同社で最も成長しているセグメントであるため、投資家が最も注目する傾向があります。直近4四半期において、Azureは競合のAWSよりも速いペースで成長しており、世界のクラウドインフラ市場でのシェアを25%にまで伸ばし、シェア首位であるAWSの31%に近づいています。一方で過去5年間、マイクロソフトの設備投資額は収益よりもはるかに速いペースで増加しており、積極的な設備投資によるコスト圧力にも注目が集まります。2024年度の設備投資額は前年比75%増の557億ドルに達し、売上高の23%に相当する額となりました。フッド氏は7月の決算発表で、2025年度も設備投資額が増加する見込みであると述べており、アナリスト予想では設備投資額が売上高に占める割合は2025年度は28%となっています。AIインフラへの莫大な投資は、短中期的に利益率の拡大を制限する可能性があり、少なくとも今後1年間は同社の収益にとって逆風となると指摘されています。したがって、Azure AIの成長が停滞したり市場の期待に応えられない場合は、株価の調整が引き起こされる可能性があります。オープンAIとの関係も懸念材料にまたこれまでに130億ドルの投資している、オープンAIとの関係性にも懸念が示されています。10月2日、オープンAIは66億ドルの資金を調達し、企業価値が1570億ドルと評価されました。マイクロソフトはオープンAIの最大の外部株主であり、追加で7.5億ドルを投じましたが、利害関係者の増加は両社の関係を弱める可能性があると指摘されています。オープンAIが非営利組織から営利企業への移行を進める中で、株式をどのように分配するのかも注目されており、マイクロソフトの株式保有額が大きければ大きいほど、規制当局が監視の目が厳しくなると予想されています。さらに、ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)をはじめオープンAIの幹部が相次ぎ退社するなど、新たな波紋を呼んでいます。一部アナリストは、オープンAIの損失が同社の最大の懸念事項であるとし、これらの損失は2025年度には20億〜30億ドルになる可能性があると予想しています。

【アマゾン決算みどころ】AI投資と宇宙開発の利益率への影響は(Amazon)

【アマゾン決算みどころ】AI投資と宇宙開発の利益率への影響は(Amazon)

本記事では、アマゾンの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月24日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。アマゾンの株価は年初来から25%以上上昇し、S&P500指数の上昇率と同程度のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:営業利益見通しが予想を下回り、株価下落8月1日に発表された2024年4-6月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比10%増となりましたが市場予想を下回りました。7-9月期の営業利益見通しについても市場予想を下回り、株価は時間外取引で6%下落しました。売上高:$1480億(予想:$1486億)EPS:$1.26(予想:$1.03) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業と比較すると成長率は遅れ、「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。オンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面し、前年同期比5%増。サードパーティ販売者サービスの売上は同12%増となりました。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、売上高は前年同期比20%増でしたが、市場予想をわずかに下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2024年上期にクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターなどの設備投資に305億ドルを投じたとし、下期には投資額を増やす予定と述べています。7-9月期の注目点:小売・AWSの成長性と営業利益率2024年7-9月期のアマゾンの「売上高予想は$1572億、EPS予想は$1.14」、平均目標株価は$221.2です。プライムデー効果で小売事業は好調予想7-9月期の業績に影響を与える、7月の「プライムデー」の売上高は142億ドルと、前年比11%増で過去最高を記録しました。アナリストらはプロモーションイベントとしてのプライムデーの成功は、記録的な売上とプライム会員の新規加入の増加に表れているだけでなく、アマゾンの広告事業にも貢献した可能性が高いと予想しています。スポーツコンテンツ強化で広告事業も好調かアマゾンの広告収入は今年前半に市場予想をわずかに下回りましたが、一部アナリストは、今年後半は全体の収益に大きく貢献すると予想しています。特に、Prime VideoサービスでのNFLの試合の増加、2025シーズンのNBA66試合、2024年PPA世界選手権の独占放映権など、スポーツコンテンツの大幅な拡大が指摘されており、ライブスポーツ中継での広告が貢献し、来年の広告契約獲得目標である18億ドルを既に達成したと報じられています。また最近のニュースとしては、10月9日米国のPrime Videoサービスに、月額9.99ドルの追加サブスクリプションとしてApple TV+を提供することを発表しています。AI投資と宇宙開発の営業利益率への影響はAWSについては、クラウドインフラ市場でシェアトップのプロバイダーであり、2023年にはアマゾンに営業利益の3分の2をもたらしましたが、前期決算発表において、AIサービス構築に向けて年間の設備投資を拡大する姿勢を明らかにしており、大規模な支出に見合う高い成長が達成可能かを投資家に示す必要があります。また最近、アマゾンの衛星インターネット事業「Project Kuiper」が同社の営業利益率にどのような影響を与えるかについて、アナリストの間で議論が活発化しています。Project Kuiperは、世界中のネットワークが行き届いていない地域に、高速で低遅延のインターネット接続を提供することを目指しており、すでに2つのプロトタイプ衛星のテストを終え、量産衛星の打ち上げは2025年に開始される予定です。ジャシー氏は4月に株主に宛てた書簡の中で、同事業を「非常に大きな収益機会」と述べています。同社はこの取り組みに少なくとも100億ドルを費やすとしていますが、SpaceXのStarlinkとの競争を見据えると、コストは200億ドル以上に上昇する可能性が高いと予想されています。一部アナリストは、プロジェクトのコストにより2025年のアマゾンの北米部門の営業利益目標は6%の下方修正に直面する可能性があると、Project Kuiperがアマゾンの利益率に重しになるとの懸念を示しています。一方、アマゾンの今年の手元資金は1000億ドル(約15.3兆円)を超えると予測されることから、「たとえカイパーに200億ドルの費用がかかり、今後18カ月間利益率を多少圧迫するとしても、誤差である」と強気な見方を示すアナリストもいます。

【アルファベット決算みどころ】堅調な業績期待も、独占是正案が株価の重しか(GOOGLE)

【アルファベット決算みどころ】堅調な業績期待も、独占是正案が株価の重しか(GOOGLE)

本記事では、アルファベットの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月22日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。独占是正案に関する警戒から、同社の株価は年初来から約19%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:好業績も設備投資見通し高止まりで、株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では検索とクラウドが成長を牽引し、売上高が前年同期比14%増、純利益が同28.6%増と市場予想を上回る堅調な結果でした。しかし、YouTubeの広告収入が予想に届かず、年間を通じて設備投資額が高止まりするとの見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$847.4億(予想:$841.9億)EPS:$1.89(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億ドル。うち、Youtube広告が同13%増の87億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の103.5億ドルと、四半期で初めて100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。「その他の事業」の売上高は、自動運転車会社「ウェイモ」を含め、前年同期比28%増の3.65億ドルとなりました。ウェイモは、第2四半期中にサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。また、アルファベットはウェイモに対する新たな50億ドルの複数年投資計画を発表しました。四半期設備投資額は130億ドルとなり、年内の四半期設備投資額は120億ドル以上になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIスタックのあらゆる層で革新を進めている」と述べた上で、「過小投資のリスクは、過剰投資のリスクよりはるかに大きい」との考えを示しました。一部アナリストは、グーグルのAIへの巨額投資について、一部投資家が「AIによってどのぐらいの売り上げを得ているか」明確な証拠を求めている段階に入り、これが懐疑的な見方や株価の不安定な動きにつながっていると指摘しています。7-9月期の注目点:YouTubeとクラウドの成長性2024年7-9月期のアルファベットの「売上高予想は$863.5億、EPS予想は$1.84」、目標株価は201.8です。独占禁止法訴訟が長期化同社に関する最近の報道の多くは、同社に対する反トラスト法(独占禁止法)の調査に焦点を当てています。8月、連邦地方裁判所はグーグルのインターネット検索サービスが独占禁止法に違反したとの判決を下し、10月8日には独占に伴う弊害の是正に向け、司法省が同社に一部事業の切り離しを求める勧告をするよう裁判所に求める可能性があると明らかにしました。是正案が実現すれば、独占禁止法に基づく企業分割の歴史的ケースとなります。司法省は11月20日までに具体的な是正案を裁判所に提出する見通しであり、グーグルは連邦地裁の判断を不服として控訴するとしています。一方、上述の裁判は「インターネット検索」についてですが、9月9日にはグーグルの「オンライン広告」を巡る独占禁止法訴訟が始まりました。司法省は、グーグルのデジタル広告市場における優位性が広告主とコンテンツ制作者に損害を与えていると主張しており、検索と同様に今回の広告訴訟でもグーグルの事業分割を求める構えです。最終弁論は11月25日に予定されており、判決は年末までに下される可能性が高いと考えられています。アナリストの多くは、裁判結果に関する不確実性がアルファベット株の短期から中期的な重荷になると予想し、同社の目標株価を引き下げたものの、長期的な見通しに対しては引き続き前向きな姿勢を示しています。クラウド部門の好調は続くかアナリストらは7-9月期の売上高、利益ともに堅調な業績を期待しており、グーグルクラウドとYouTubeの成長が鍵と見ています。クラウド部門はアマゾンとマイクロソフトに次ぐ第3位のサービスプロバイダーですが、新たな機会を狙い設備投資を増やしています。最近開催されたクラウドイベント「Gemini at Work 2024」では継続的にイノベーションを行っていることが強調され、AIワークロードの投資収益率が改善し、クラウド部門のさらなる収益成長の可能性が示されました。株価に反映されていなウェイモ事業また現時点では、アルファベットの株価評価にウェイモ事業はほとんど反映されていませんが、テスラに先駆けてロボタクシーサービスを米国で唯一運営しており、投資家が新たな展開を注視すべき企業資産です。10月4日、ウェイモとヒュンダイは複数年にわたる戦略的提携を提携したことを発表しました。提携の第一段階では、両社はウェイモの最新の自動運転技術をヒュンダイの完全電気自動車「IONIQ 5 SUV」に組み込み、最終的にはウェイモのロボタクシー車両群の一部となる予定です。ヒュンダイは米国で第2位のEVメーカーであり、ヒュンダイ、起亜、ジェネシスのブランドを含めると約10%の市場シェアを占めています。

【テスラ決算みどころ】ロボタクシー発表を終え、材料出尽くしか(TESLA)

【テスラ決算みどころ】ロボタクシー発表を終え、材料出尽くしか(TESLA)

本記事では、テスラの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月23日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は一時S&P500種構成銘柄の中で最も悪いパフォーマンスでしたが、過去6ヶ月間で約30%上昇と見事V字回復を果たしています。前期の振り返り:純利益大幅減で株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では、売上高が前年同期比2%増、純利益は同45%減となりました。投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)についても14.6%と、1-3月期の16.4%から低下し、株価は翌日12%下落しました。売上高:$255.0億(予想:$247.7億)EPS:$0.52(予想:$0.62) セグメント別では、自動車部門の売上が前年同期比7%減の199億ドルでしたが、テスラのエネルギー生成・貯蔵部門の売上が倍増したことにより、全体の売上高の成長に寄与しました。また、7-9月の自動車生産が4-6月期よりも増える見通しを明らかにしたものの、2024年の納車台数の伸び率は前年より「著しく低くなる」見通しをあらためて示しました。テスラは引き続きコスト削減に重点を置くとし、新モデルのサイバートラックは年内に黒字化する方向。低価格車の計画も前進しており、25年前半に生産開始の見込みです。そのほか、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、「ロボタクシー」の発表イベントを10月10日に延期すると明らかにしました。ロボタクシーはヒューマノイドロボット「オプティマス」と同様に、テキサス州オースティンにある工場で製造されます。アナリストからはテスラの株価を押し上げる強力な材料が短期的に不足との指摘もあり、一部アナリストは10月のロボタクシー発表が実質的な内容より願望に近いものになる可能性があると懐疑的に見ています。7-9月期の注目点:利益率とロボタクシーの詳細2024年7-9月期のテスラの「売上高予想は$255.3億、EPS予想は$0.59」、目標株価は$214となっています。販売台数改善も投資家の期待に届かずテスラが10月2日に発表した、2024年7-9月期の販売台数は中国市場で販売促進策を強化したことが功を奏し、前年同期比6%増の46万2890台と3四半期ぶりの増加となりました。しかし、市場予想をわずかに下回り、投資家の期待に届かなかったことから株価は5%下落しました。中国乗用車協会(CPCA)によると、同社の中国製EVの9月販売台数は前年同期比19%増の8万8321台となり、7-9月期の中国製EV販売台数は12%増加しました。テスラは、中国市場で景気減速に伴う消費鈍化や現地企業との競争が激化に直面しており、最長5年の無利子ローン提供などインセンティブを拡大しています。一方、大規模なプロモーションは、同社車両の平均販売価格の重しとなっています。2024年第1四半期、テスラ車両の平均価格は前年同期の約47,000ドルから45,000ドル以下に下がりましたが、第2四半期には平均価格はさらに下がり、約44,500ドルになりました。ロボタクシーの詳細情報は限定的テスラは10月10日「We, Robot」イベントにて、ロボットタクシー「サイバーキャブ」のプロトタイプを公開しました。スケジュールについては、来年テキサス州とカリフォルニア州でモデル3とモデルYの完全自動運転を開始し、2026年までにサイバーキャブの生産が開始される見込みですが、遅くとも2027年になる可能性もあると発表されました。「サイバーキャブ」のイメージ画像テスラは新モデルを発売する際、最初に示したスケジュールから数ヶ月、ときには数年遅れて納車していますが、イベントではマスク氏自身が「スケジュールに関しては楽観的な傾向があり、製品の納品は当初の見積もりよりも遅れることが多い」と述べています。「市場はもっと明確なタイムラインを望んでいたと思う」と指摘する声も上がっており、株価は時間外取引で下落しました。また、完全自動運転車のネットワークは固定費が高いことから、初期費用と非ピーク時の稼働率に関して、採算の点で疑問が生じると一部アナリストは懸念を示しています。決算説明会では、ロボタクシーサービスの仕組みや詳細についてアナリストから質問されることが想定されます。

【JPモルガン・チェース決算みどころ】金利収入の市場予想は楽観的過ぎる?利下げの影響に注目(JPMorgan Chase)

【JPモルガン・チェース決算みどころ】金利収入の市場予想は楽観的過ぎる?利下げの影響に注目(JPMorgan Chase)

本記事では、米国最大の銀行であるJPモルガン・チェース(JPM)の2024年4-6月期決算を振り返りつつ、10月12日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同行の株価は年初来で約23%上昇し、S&P500指数を上回るパフォーマンスを記録しています。8月の経済指標の結果を受けて米国の景気後退懸念が弱まり、8月30日には上場来高値を記録しました。前期の振り返り:過去最高益を達成、投資銀行部門が堅調7月12日に発表された2024年4-6月期決算では、収入・EPSともに市場予想を上回る結果となりました。しかし、主流の銀行業務の伸びは鈍化しており、決算後にJPモルガン・チェースの株価はおよそ1%下落しています。収入:$502億(予想:$417.2億)EPS:$4.4(予想:$4.14) 同行の利益は前年同期比で25%増加し、4四半期ぶりの過去最高益となる181.5億ドルを計上しました。その内およそ79億ドルはクレジットカード大手ビザの株式交換に伴う一時的な収入で、実質的にはサプライズ決算とはなりませんでした。ただ、株式市場の回復が業績に大きく寄与し、投資銀行部門の収益は25億ドルで、前年同期から46%上昇しました。また、株式取引収益は21%増の30億ドルで、予想を2.3億ドル上回りました。CEOのジェイミー・ダイモンは、株式の評価は比較的良好な経済見通しを反映していると述べました。地政学的な状況は第二次世界大戦以来最も危険であるとも指摘しつつも、グローバル経済にもたらす影響はまだ分からないと述べています。また、同行は四半期中に30.5億ドルの貸倒引当金を計上し、予想の27.8億ドルを上回りました。これは将来の債務不履行が増加することを見越したもので、クレジットカード事業が引当金の増加の主な要因でした。7-9月期の注目点:利下げ動向の金利収入への影響2024年7-9月期のJPモルガンの「売上高予想は$418.2億、EPS予想は$4.02」、平均目標株価は$223.3です。9月のFOMCで4年半ぶりに利下げが実施され、それを踏まえた上での純金利収入(NII)の見通しに注目が集まります。純金利収入の見通しは「楽観的」過ぎるか?9月10日、COOのダニエル・ピントは、5月に示した純金利収入に対するアナリスト予想が楽観的過ぎると指摘しました。「NIIの予想は少し高過ぎる。来年はもう少し厳しい年になる」と述べており、今後の利下げ動向に弱気な姿勢を見せています。ゴールドマン・サックス・グループのソロモンCEOが自社の見通しに対して減益を示唆するなど、各金融機関からも悲観的な見通しが相次いでおり、純金利収入の見通しが株価評価に大きな影響を与えると考えられます。投資銀行部門の業績に期待前回決算で投資銀行部門の収益は、前年同期から46%増加して25億ドルとなりました。JPモルガン・チェースの株価は、2024年4-6月期決算発表後から約2.9%上昇しており、投資銀行部門の好業績を一部織り込んでいると考えられます。9月のFRBによる利下げに伴い、投資銀行業務の業績がどのような結果になるか注目です。前期で好調だった投資銀行業務が今期の決算でもその勢いを保てるかが重要で、予想を下回った場合は期待感とのギャップから株価の下落要因になる可能性があります。

【ネットフリックス決算みどころ】広告付きプランで会員増の勢い続くか(NETFLIX)

【ネットフリックス決算みどころ】広告付きプランで会員増の勢い続くか(NETFLIX)

本記事では、米動画配信サービス大手ネットフリックス(NFLX)の2024年4-6月期の決算を振り返り、10月17日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約50%上昇し、S&P500指数の上昇率の約2.5倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:好業績も見通し予想届かず、株価横ばい7月18日に発表された2024年4-6月期決算では、会員数の伸びが追い風となり、売上高が前年同期比17%増、EPSが同48%増と、ともに市場予想を上回る結果となりました。有料会員数は2億7700万人に達し、前四半期からの純新規会員数の増加は800万人超と、前年同期の590万人を大幅に上回りました。売上高:$95.6億(予想:$95.3億)EPS:$4.88(予想:$4.74) 投資家が注目する広告付きプランの会員数は前四半期比34%増。同プランが提供されている市場では、4-6月期の新規契約の45%以上を占め、経営陣は広告ビジネスが順調に成長し、長期的な収益成長に寄与すると見込んでいます。ただし、株主宛て書簡では「定額料金収入の規模が大きいことも相まって、2024年、25年に広告が収益成長の主要な原動力になるとは考えていない」と広告事業が収益拡大の主要な原動力となるのは2026年以降だろうと述べています。また、2024年通期の売上高と利益率の見通しを引き上げましたが、7-9月期の見通しについては前年同期比14%増と市場予想をわずかに下回りました。7-9月期の注目点:新規会員数動向と広告戦略2024年7-9月期のネットフリックスの「売上高予想は$97.6億、EPS予想は$5.09」、平均目標株価は$716.8です。市場の注目は、新規会員数の動向および同社の広告戦略に集まると想定されています。広告付きプランの収益性はネットフリックスは、2023年半ばから同一世帯以外のアカウント共有の取り締まりを強化し、会員数を大きく押し上げました。しかし、取り締まりによる力強い成長は鈍化し、広告付きの安価プランによる加入者の拡大が続くと見込まれています。競争の激しいストリーミング市場における同社の確固たる地位と広告成長軌道への信頼からアナリスト評価は好意的な見方が多いですが、サード・ブリッジのアナリストは同社の広告事業について「収益の観点からはまだ能力が証明されていない」と指摘し、アマゾンの方が広告市場では大きな成功を収めており、ネットフリックスが同分野で規模を拡大するには一層の取り組みが必要との見方を示しています。スポーツコンテンツで新規会員獲得かネットフリックスは最近、アメフトやレスリングの生中継などライブスポーツ関連の契約を多数発表しており、一部のアナリストはクリスマス当日に放送されるNFLの試合が新規会員を獲得するきっかけになる可能性があると指摘しています。アナリストらは、同社がスポーツ中継に力を入れているのは広告ビジネスを成長させるためだと考えており、ライブスポーツコンテンツの拡充が視聴者と広告主を引きつけ、広告付きプランの成長を促進することを期待しています。また、ネットフリックスは来年からWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)のプロレスイベントの公式放送局になることが発表されています。

【ナイキ決算みどころ】逆風下で回復の兆しを見せるか、CEO交代の影響は(NIKE)

【ナイキ決算みどころ】逆風下で回復の兆しを見せるか、CEO交代の影響は(NIKE)

本記事では、ナイキ(NKE)の2024年3-5月期決算を振り返り、10月1日に控える2024年6-8月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約16%下落していますが、著名なバリュー投資家のビル・アックマン氏がナイキ株約300万株に2.29億ドルを投じたことが明らかとなり、8月に株価は11%以上上昇しました。前期の振り返り:通期見通し引き下げで株価急落6月27日に発表された2024年3-5月期決算では、売上高が前年同期比1.7%減と市場予想を下回る結果となりました。また、消費者需要の減速により売上高が1桁台半ばの割合で減少すると、2025年度通期の見通しを引き下げたことから、株価は翌日20%下落しました。総収入:$126億(予想:$129億)EPS:$1.01(予想:$0.84) ブランド別では、「ナイキ」ブランドの売上高が前年同期比1%減の121億ドル。「コンバース(CONVERSE)」ブランドは北米と西欧で販売が振るわず、売上高が同18%減の4.8億ドルとなりました。地域別の売上高では、北米が前年同期比1%減の55億ドル、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は同2%減の33億ドル、中国は同3%増の19億ドル、APLA(中国を除くアジア太平洋地域と中南米)は同1%増の17億ドルと、アジア太平洋地域と中南米で業績をわずかに伸ばしたものの、主要地域での販売不調が示されました。マット・フレンド最高財務責任者(CFO)は電話会見で「この規模での復活には時間がかかる」と述べ、ライフスタイル商品の需要が鈍化していることを受けて、製品ラインナップの再編を進めていると説明しました。6-8月期の注目点:業績見通しとCEO交代の影響2024年6-8月期のナイキの「総収入予想は$116.4億、EPS予想は$0.52」、平均目標株価は$91.9です。アナリストらは業績見通しに慎重姿勢複数のアナリストは、ナイキが2024年後半の業績見通しを引き下げる可能性を予想していますが、これは買い手側が予想していることであるため、株価に悪影響を与えない可能性があるとしています。JPモルガンの分析では、同社の苦戦の主な要因として主要地域における逆風であると指摘しており、短期的には財務上の課題が続くと予想しています。アナリストはナイキの回復軌道にとって、同社のデジタル販売、卸売業績、主要地域での消費者需要が重要になると考えています。決算後の投資家向け説明会にも注目ナイキは9月19日、ジョン・ドナホー最高経営責任者(CEO)の後任としてエリオット・ヒル氏が10月14日付けで新CEOに就任すると発表しました。ヒル氏は同社のこれまでの成功の多くに貢献した人物で、1988年にインターンとしてナイキでキャリアをスタートし、2020年に退職するまで欧州や北米で上級管理職を歴任し、最終的にはナイキとジョーダンブランドの商業・マーケティング業務を指揮していました。アナリストらはナイキというブランドを熟知しているヒル氏のCEO就任を歓迎しており、中期的にポジティブな成長を達成可能であると予測しています。CEOの交代は決算発表の2週間後となるため、ヒル氏から具体的な同社のビジョンを聞くのは11月19日の投資家向け説明会等になることが予想されますが、投資家はヒル氏の就任がナイキに与える影響を測るため、今後の業績見通しや具体的な戦略についての報告を待ち望んでいます。

【コストコ決算みどころ】好業績期待も株価に割高感か(Costco Wholesale)

【コストコ決算みどころ】好業績期待も株価に割高感か(Costco Wholesale)

本記事では、会員制量販店のコストコ・ホールセール(COST)の2024年第3四半期決算を振り返り、9月26日に控える2024年第4四半期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約37.9%上昇し、S&P500指数の上昇率の約2倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を上回る好業績5月30日に発表された2024年第3四半期決算では、売上高が前年同期比9.1%増、純利益が同29%増と市場予想を上回る結果となりました。ガソリン価格と為替調整後の既存店売上高は6.5%増加し、Eコマースも20.7%増加しました。会員費を含む総収入:$585.2億(予想:$581.3億)EPS:$3.78(予想:$3.71) 好調をけん引するのは、2023年から販売を開始した「金の延べ棒や銀貨」や世界中から集めた輸入品など、コストコならではユニークな商品であり、同社は毎月2億ドル(305億円)相当の金の延べ棒と銀貨を販売しています。ロン・ヴァクリス最高経営責任者(CEO)は、「スポーツ用品、玩具、家具、家庭用品、これらすべての分野が現在非常に好調」、「商品の継続的イノベーションがコストコの顧客たちをワクワクさせ続けている」と述べています。第3四半期末の有料会員数は前年比8%増の7,450万人。昨年の会員更新率は米国とカナダで93%と好調で、世界全体でも90%を超え、会員の満足度を維持しています。また会員制モデルで顧客が比較的な裕福なコストコは、消費支出の後退の影響をさほど受けておらず、競合のターゲットやウォルマートのような広範な値下げを行わずに競争力を維持するとしています。第4四半期の注目点:好業績期待も株価に割高感か2024年第4四半期のコストコの「総収入予想は$801.5億、EPS予想は$5.07」、平均目標株価は$897です。投資家の懸念は株価収益率の高さコストコは1998年以来、ほぼ毎年10%を超えるROIC(投資資本利益率)を達成している、歴史上最も好成績を収める銘柄のひとつです。一方、同社の株価収益率(PER)は約56倍とS&P500の中で最も高価な小売株であり、業界平均より約60%高く、2位のアマゾンより29%高くなっています。割高な株価に対する懸念にもかかわらず、同社の8月の世界売上高が7.1%増、米国売上高が6.7%増となったことを受けて、アナリストらは売上高の勢いが強く、食品以外の分野でも前向きな傾向にあるとして、目標株価を相次いで引き上げました。エバーコアISIのアナリストは、コストコの米国売上高は「米国全体の小売売上高の2倍の伸び」であると指摘しています。モルガン・スタンレーのアナリストはコストコの目標株価を855ドルから950ドルに引き上げ、現在の株価収益率は高いが、同社の成長原動力は持続可能であるため、目標株価は達成可能な水準であるとの考えを示しています。7年ぶりの年会費引き上げまた、コストコは米国とカナダの顧客を対象に9月1日から年会費を7年ぶりに引き上げました。ゴールドスター会員とビジネス会員は年間60ドルから65ドルに、エグゼクティブ会員は年間120ドルから130ドルとなります。会費の引き上げは約5200万人の会員に影響し、その半数強がエグゼクティブ会員です。コストコは小売売上高が好調であることを強調していますが、同社の粗利益率は12~13%とウォルマートの約半分の低い利幅で販売しているため、会費は利益成長の鍵となっています。

【アドビ決算みどころ】AI製品好調で、株価続伸なるか(Adobe)

【アドビ決算みどころ】AI製品好調で、株価続伸なるか(Adobe)

本記事では、アドビ(ADBE)の2024年3-5月期の決算を振り返り、9月12日に控える2024年6-8月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約3%の下落となっていますが、6月上旬の安値から過去3か月で30%以上上昇しています。オプション市場は決算発表後に約±4%の変動を織り込んでいます。前期の振り返り:通期見通し上方修正で株価大幅上昇6月13日に発表された2024年3-5月期決算では、売上高が前年同期比10%増、EPSは同15%増と市場予想を上回る結果となりました。また、2024年度通期の売上高見通しも上方修正したことを受けて、時間外取引で株価が16%超の上昇となりました。売上高:$53.1億(予想:$52.9億)EPS:$4.48(予想:$4.39) 全体の約75%を占める主要事業セグメントである、デジタルメディア部門の収益は前年同期比11%の成長を遂げ、アナリストらが注目する6-8月期の新規年間経常収益(ARR)は4.6億ドルと、市場予想の4.35億ドルを上回りました。ARRはサブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされています。アドビは近年、より手頃な価格で同様のサービスを提供するCanvaやFigma、AI に重点を置いた新興スタートアップなどとの競争に直面しており、一部のアナリストから「アドビはこれまで企業としての高い競争優位性を維持してきたが、AI はこうした競争障壁の多くを崩し、時間の経過とともに競争圧力が高まっている」と指摘されていました。しかし、今回の決算ではAI 搭載製品を拡充しユーザーエクスペリエンスを向上させることに注力する同社の取り組みが、顧客の支持を集めていることを示唆する結果となりました。ダン・ダーン最高財務責任者(CFO)は、「市場をリードする当社の製品、強力な実行力、そして世界クラスの財務規律により、2024年後半以降も当社は好調な状態にあります」と声明文で述べています。6-8月期の注目点:デジタルメディア部門のARRの成長見通し2024年6-8月期のアドビの「売上高予想は$53.7億、EPS予想は$4.53」、平均目標株価は$610です。デジタルメディア部門の好調な成長が予想されることから、市場関係者は同社の見通しに強気です。下半期は価格設定が追い風になる予想注目は引き続き、デジタルメディア部門の新規ARRの成長見通しです。下半期は、過去2年間におけるCreative Cloudの値上げ実施の成果に加えて、現在ベータ版であるさまざまなAI搭載製品がリリースされることで収益化が開始し、ARRの成長に貢献すると想定されています。特に、アドビの最近の成長は「Acrobat AI Assistant」と同社の画像生成AI「Adobe Firefly」の貢献が大きく、Firefly AIは発売以来90億枚を超える画像を生成しています。また、決算後の10月14日-16日には、毎年恒例の 「MAX Creativity Conference」 がマイアミでの開催を予定しており、大きく注目を集めています。

【マグニフィセント7決算解説】AI需要に懸念、株価調整局面入りか

【マグニフィセント7決算解説】AI需要に懸念、株価調整局面入りか

本記事では、米大型テクノロジー企業7社で構成される、Magnificent 7(マグニフィセント・セブン)の2024年第2四半期決算の振り返りをお届けします。テスラ(Tesla): 純利益大幅減で株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では、売上高が前年同期比2%増、純利益は同45%減となりました。投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)についても14.6%と、1-3月期の16.4%から低下し、株価は翌日12%下落しました。売上高:$255.0億(予想:$247.7億)EPS:$0.52(予想:$0.62) セグメント別では、自動車部門の売上が前年同期比7%減の199億ドルでしたが、テスラのエネルギー生成・貯蔵部門の売上が倍増したことにより、全体の売上高の成長に寄与しました。また、7-9月の自動車生産が4-6月期よりも増える見通しを明らかにしたものの、2024年の納車台数の伸び率は前年より「著しく低くなる」見通しをあらためて示しました。テスラは引き続きコスト削減に重点を置くとし、新モデルのサイバートラックは年内に黒字化する方向。低価格車の計画も前進しており、25年前半に生産開始の見込みです。そのほか、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、「ロボタクシー」の発表イベントを10月10日に延期すると明らかにしました。ロボタクシーはヒューマノイドロボット「オプティマス」と同様に、テキサス州オースティンにある工場で製造されます。アナリストからはテスラの株価を押し上げる強力な材料が短期的に不足との指摘もあり、一部アナリストは10月のロボタクシー発表が実質的な内容より願望に近いものになる可能性があると懐疑的に見ています。アルファベット(Alphabet): 好業績も設備投資見通し高止まりで、株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では検索とクラウドが成長を牽引し、売上高が前年同期比14%増、純利益が同28.6%増と市場予想を上回る堅調な結果でした。しかし、YouTubeの広告収入が予想に届かず、年間を通じて設備投資額が高止まりするとの見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$847.4億(予想:$841.9億)EPS:$1.89(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億ドル。うち、Youtube広告が同13%増の87億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の103.5億ドルと、四半期で初めて100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。「その他の事業」の売上高は、自動運転車会社Waymoを含め、前年同期比28%増の3.65億ドルとなりました。Waymoは、第2四半期中にサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。また、アルファベットはWaymoに対する新たな50億ドルの複数年投資計画を発表しました。四半期設備投資額は130億ドルとなり、年内の四半期設備投資額は120億ドル以上になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIスタックのあらゆる層で革新を進めている」と述べた上で、「過小投資のリスクは、過剰投資のリスクよりはるかに大きい」との考えを示しました。一部アナリストは、グーグルのAIへの巨額投資について、一部投資家が「AIによってどのぐらいの売り上げを得ているか」明確な証拠を求めている段階に入り、これが懐疑的な見方や株価の不安定な動きにつながっていると指摘しています。マイクロソフト(Microsoft): クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms): AI活用で堅調な収益、株価急伸7月31日に発表された2024年4-6月期決算では、堅調な広告収益と大規模リストラが功を奏し、売上高が前年同期比22%増、純利益は同73%増と市場予想を上回りました。また、第3四半期の売上高についても明るい見通しを示したことから、株価は時間外取引で7%上昇となりました。売上高:$390.7億(予想:$383.1億)EPS:$5.16(予想:$4.73) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出していますが、2024年4-6月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比10%増加し、広告あたりの平均価格は同10%増加しました。スーザン・リー最高財務責任者(CFO)は「健全な広告需要が世界的に続いている」とし、同社のAIを活用したデジタル広告事業の効率性を改善するプロジェクトの成果も出ていると説明しました。また、第2四半期のコストは7%増加しましたが、営業利益率は29%から38%に上昇し、収益の伸びがコストの伸びを大幅に上回りました。アナリストは、メタの利益率が健全なことから、同社の積極的なAIとメタバースへの支出について投資家が抱いていた収益性への懸念は和らぐ可能性があると指摘しています。2024年の設備投資は370億ー400億ドルになるとの見通しが示されています。アップル(Apple): 新型iPad好調も中国販売不振で、株価横ばい8月1日に発表された2024年4-6月期決算では、「iPad」の新モデルの販売好調などで売上高が前年同期比5%増と市場予想を上回りました。一方で投資家の懸念材料である中国市場の売上高は6.5%減の147億ドルと市場予想を下回り、時間外取引で株価は横ばいとなりました。売上高:$857.8億(予想:$845.3億)EPS:$1.40(予想:$1.35) 事業別売上高は、総売上の約46%を占めるiPhoneが前年同期比1%減の393億ドル。四半期中に最も成長したiPadの売上高は、同24%増の72億ドルとなりました。一方、アップルにとって重要な成長カテゴリーである、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同14%増の242億ドルとなりました。また、iPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどアップル社製のアクティブデバイス数は、すべての製品セグメントと地域セグメントにおいて過去最高を更新しました。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は電話会見で、iPhoneやMac、iPadに搭載予定のAI新機能「Apple Intelligence」が新機種購入の新たな理由になると指摘し、「人を強く引きつけるアップグレードサイクルの極めて重要な時期になるだろう」と語りました。新型デバイスの需要について同社は自信を深めており、9月に発売が予想されている「iPhone 16」は少なくとも9000万台の出荷を目指しています。一部のアナリストは近い将来に新たなiPhoneアップグレードサイクルを迎え、アップルが時価総額4兆ドルに到達する軌道に乗っている可能性があると指摘します。ただし、サービス部門についてはアップストアの変更を求める規制当局からの圧力にさらされているため、サブスクリプションプランやアプリのダウンロードからの収入が抑制される恐れがあります。アマゾン(Amazon): 営業利益見通しが予想を下回り、株価下落8月1日に発表された2024年4-6月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比10%増となりましたが市場予想を下回りました。7-9月期の営業利益見通しについても市場予想を下回り、株価は時間外取引で6%下落しました。売上高:$1480億(予想:$1486億)EPS:$1.26(予想:$1.03) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業と比較すると成長率は遅れ、「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。オンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面し、前年同期比5%増。サードパーティ販売者サービスの売上は同12%増となりました。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、売上高は前年同期比20%増でしたが、市場予想をわずかに下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2024年上期にクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターなどの設備投資に305億ドルを投じたとし、下期には投資額を増やす予定と述べています。エヌビディア(NVIDIA): 売上高見通しが期待に届かず、株価急落8月28日に発表された2024年5-7月期決算では、売上高が前年同期比2.2倍、純利益は同2.7倍と市場予想を上回り、500億ドルの自社株買いも発表されました。しかし、8-10月期の売上高見通しが市場予想のレンジ内に留まり、株価は決算発表後の3営業日で14%下落下落しました。売上高:$300億(予想:$287億)EPS:$0.68(予想:$0.65) 売上の8割以上を占めるデータセンター部門が売上高前年同期比154%増の263億ドルとなりました。一方、8月3日に報道された次世代AI半導体「Blackwell」の発売の遅れについては、出荷遅延は生産効率を向上させるための仕様変更によるものであり、11-1月期に数十億ドルの売上高を達成するを見込みと述べるにとどまり、それ以上詳しく説明しなかったことから、投資家の失望を誘いました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は電話会見で、「世界のデータセンターに設置されている時代遅れの機器を置き換えるには、1兆ドル規模の機器が必要になる。その交換作業は始まったばかり」と述べています。また決算後、9月3日に企業のAI支出に警戒感を示す調査レポートが2つ発表され、投資家の動揺を誘いました。一部アナリストは、長期的にはエヌビディア株に引き続き前向きであるものの、「問題なのは明るい材料が提供されそうな予定が当面は見当たらないこと」と指摘しています。

【ブロードコム決算みどころ】AI半導体需要とソフトウェアの業績に高まる期待(Broadcom)

【ブロードコム決算みどころ】AI半導体需要とソフトウェアの業績に高まる期待(Broadcom)

本記事では、半導体大手ブロードコム(AVGO)の2024年2-4月期の決算を振り返り、9月5日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約50%弱上昇し、S&P500指数の上昇率の約2.5倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を上回る収益と見通し上方修正で株価上昇6月12日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比43%増と市場予想を上回りました。通期の売上高見通しも市場予想を上回り、時間外取引で株価が一時13%上昇しました。売上高:$124.9億(予想:$120.6億)EPS:$10.96(予想:$10.85) セグメント別では、ソフトウェア部門が2023年11月に買収したソフトウェアプロバイダーVMwareの売上が寄与し、売上高前年比2倍と成長を大きく牽引しました。半導体部門は同6%増の72億ドルとなりました。そのほか、2024年7月15日付で1株を10株にする株式分割が発表されました。5-7月期の注目点:半導体部門の成長続くか2024年5-7月期のブロードコムの「売上高予想は$129.7億、EPS予想は$1.21」、平均目標株価は$193.4です。OpenAIの顧客獲得でAIチップの地位を固める直近の決算において、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなどのブロードコムの大口顧客が軒並み設備投資額が過去最高に達したと発表されたため、半導体部門の売上成長への関心が高まっています。また、JPモルガンは顧客向けメモの中で、ブロードコムは最近AIチップの新規顧客としてOpenAIを含む2社獲得し、「経営陣は今後5年間でAI半導体は1500億ドル以上のビジネスチャンスがあると語っている」と述べています。市場はこの協業について好意的な反応を示しており、ウェルズ・ファーゴのアナリストは、OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマンが最大7兆ドルの資金を確保し、チップ生産能力を増強する計画を持っていることを指摘しています。今年のブロードコムのAIチップの収益は、すでにグーグルとメタ・プラットフォームズの2社だけで、90億ドル以上の増加が予想されており、TikTokの親会社バイトダンスからの需要の増加も予想されています。

決算結果が予想を上回るも株価は下落?24/8のNVIDIA決算の市場への影響

決算結果が予想を上回るも株価は下落?24/8のNVIDIA決算の市場への影響

こんにちは。ブルーモ証券代表の中村です。米国時間8/28の市場閉場後に、注目されていたNVIDIAの24年5-7月期決算が発表されました。結果は市場予想を上回ったものの、NVIDIAの株価は閉場後の時間外取引で6%程度下落しています。本記事では決算結果の紹介と、今後の市場に与える影響について分析していきたいと思います。NVIDIA決算の結果今期決算内容のサマリー売上:300億ドル(予想は287億ドル)EPS:68セント(予想は65セント)現四半期の見通し:中間値で325億ドル(予想は317億ドル)自社株買い:500億ドル分を追加NVIDIAの売上は過去1年間で2倍以上になっており(+122%)、業績に関しては引き続き強い内容でした。NVIDIAの四半期売上推移グラフ出所:Barron's決算後の会見での発言決算後の会見で事業に関するポイントをまとめます。データセンター売上成長の鈍化:売上の8割以上を占めるデータセンター事業で、四半期成長が+16.4%で、前四半期の+22.6%に比べて鈍化した。大きな取引先である中国市場が、輸出規制もあり厳しい状況にあると発言。新商品Blackwellの見通し進展:新しいAI半導体チップBlackwellの出荷遅延は生産効率を向上させるための仕様変更によるものだったと発表。第4四半期から本格的な出荷・売上計上が始まり、来年にかけて広がっていくと発言。営業利益率は高水準を維持:NVIDIAの営業利益率は62%と高い水準で、S&P500の情報技術セクターの67社中では2番目に高い。1年前の50%からは大幅に上がっているが、前四半期の64%からは僅かに下がった。今後の株式市場への影響NVIDIAに対する過剰期待の落ち着き2024年の株式相場はNVIDIAの急成長に牽引されていましたが、どんな事業でも永続的に指数関数的な成長を続けることは不可能で、どこかで成長は鈍化していくと考えるのが合理的です。NVIDIAの場合、業績は好調なものの、高すぎる期待に対する調整が入ったのが今回決算だったと言えます。市場全体への影響はどうかというと、決算後のNVIDIA株価変動の方向とS&P500指数の変動の方向が一致したのは、過去8回の決算中4回だけです。NVIDIA株価とS&P500指数の相関係数は0.65(1が完全に同じように動き、-1が完全に逆に動く)なので、連動はしているもののそこまで一致はしていません。なので、NVIDIAをはじめとするとMagnificent7の株価が急上昇した近年の相場環境では市場全体への影響は大きかったですが、今回のNVIDIA決算と株価下落によって市場全体が大きく下落していくとまでは言えないと考えます(仮に決算が予想を下回っていたら、AIエコシステムや経済全体への懸念から、市場全体への下落圧力になりましたが、決算自体は予想以上の内容でした)。市場は利下げによる全体底上げ型の上昇相場に入れるか次第Magnificent7の株価急上昇という上昇ファクターは薄れつつある米国市場ですが、9月の利下げに伴う市場全体底上げ型の成長余地は残されていると考えられます。そして、利下げに伴う上昇相場が来る場合、小型株や半導体以外のセクターでも成長が期待できると考えられます。その意味で、今回の決算結果はNVIDIAに頼った成長からの調整・転機であり、投資家としては広範な市場の成長に期待しつつ、FRBの金融政策により注目すべき環境になったと言えます。

【クラウドストライク決算みどころ】システム障害による通期ガイダンスへの影響は(CrowdStrike)

【クラウドストライク決算みどころ】システム障害による通期ガイダンスへの影響は(CrowdStrike)

本記事では、米サイバーセキュリティ企業クラウドストライク(CRWD)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月28日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は、7月19日に発生した大規模システム障害で急落しましたが、8月2日の安値から約25%上昇し、現在は年初来で約10%上昇しています。前期の振り返り:通期見通しを上方修正で株価上昇6月4日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比33%増と市場予想を上回る結果となりました。2025年度通期の収益見通しも上方修正し、株価は時間外取引で大幅上昇しました。売上高:$9.21億(予想:$9.05億)EPS:$0.93(予想:$0.89) 年間経常収益(ARR)は前年同期比33%の36億5000万ドル、そのうち2億1200万ドルは四半期中に追加された新規ARRです。ARRはサブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされています。バート・ポドベレ最高財務責任者(CFO)は「好調なトップライン業績に加えて、記録的な粗利益や売上高の35%にあたるフリー・キャッシュ・フローなどは、ARR100億ドルに向けた収益性の高い事業拡大に焦点を当てていることを示しています」と述べています。5-7月期の注目点:システム障害による通期ガイダンスへの影響2024年5-7月期のクラウドストライクの「売上高予想9.58億、EPS予想は$0.97」、平均目標株価は$342です。システム障害が発生して以来初の決算報告であり、売上に与える短期的な影響について投資家に最新情報を提供するとみられます。システム障害の影響はシステム障害は四半期終了の10日前に発生したもので、5-7月期の業績への影響は限定的であると想定されています。一方、障害の影響を受けた顧客が契約条件を再交渉することで割引率や解約率に影響する可能性が高く、経営陣が通期のガイダンスをどのように扱うかが重要になります。一部アナリストは、クラウドストライクの顧客が同社に最大40%の値引きを迫る可能性があり、さらに今四半期に交渉される取引のほぼ半数が延期となる可能性があると述べています。また、クラウドストライクは障害の影響を受けた顧客から法的措置を受ける可能性があり、決算報告において潜在的な訴訟費用の見通しに関しても情報を提供する可能性があります。直近では、デルタ航空が5億ドル以上の損害賠償を請求したことが報じられています。

【エヌビディア決算みどころ】株価最高値更新なるか、Blackwell情報にも注目(NVIDIA)

【エヌビディア決算みどころ】株価最高値更新なるか、Blackwell情報にも注目(NVIDIA)

本記事では、半導体大手エヌビディア(NVDA)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月28日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来で約164%上昇しており、S&P500のなかでもトップパフォーマンスの銘柄となっています。前期の振り返り:AI 需要持続で過去最高収益を達成5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比3.6倍と市場予想を上回る結果となりました。5-7月期の売上高見通しも市場予想を上回り、株価は翌日に9.3%上昇しました。売上高:$260.4億(予想:$246.5億)EPS:$6.12(予想:$5.59) セグメント別では、主力のデータセンター部門が生成AIのトレーニングおよび推論に対する力強い需要から、売上高前年同期比5.3倍と成長を大きく牽引しました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、「生成AIがクラウド サービスプロバイダーにとどまらず、さまざまな産業へ拡大しており、数十億ドル規模の市場をいくつも生み出している」と説明し、最新GPUアーキテクチャ「Blackwell」プラットフォームがフル生産中であり、「エヌビディアは次の成長の波の準備ができている」と述べています。そのほか、2024年6月7日を効力発生日とした10対1の株式分割を実施と、四半期配当を1株当たり10セントに引き上げることが発表されました。5-7月期の注目点:Blackwellの最新情報と8-10月期の見通し2024年5-7月期のエヌビディアの「売上高予想は$286.4億、EPS予想は$0.64」、平均目標株価は$140です。アナリストらは堅調な業績を予想していますが、決算発表前に株価が大きく上昇した場合、良好な決算内容であっても株価上昇が鈍いものとなる可能性があります。エヌビディアの需要に、アナリストは楽観エヌビディアの成長を示す指標として「ハイパースケーラーの設備投資支出」が挙げられますが、第二四半期の決算発表では主要ハイパースケーラー全てが設備投資の見通しを引き上げ、同社の主要顧客が設備投資を減速する懸念が払拭され、力強い需要が示されました。エヌビディアの最大の顧客であるマイクロソフトは、今後12か月間の設備投資額がさらに高くなると予想しており、メタは設備投資額のガイダンスの中央値を10億ドル引き上げました。アマゾンもAWSインフラの需要増加に対応するため、今年後半からAIへの支出を増やすと予想しています。Blackwell投入の具体的なタイムラインはまた、8月3日にBlackwellの発売が遅れる可能性があると報道されましたが、エヌビディアは「下半期には生産が拡大する見込みである」とコメントしています。BlackwellチップはHopperモデルよりも約2倍高速でありながら、エネルギー消費を著しく抑え、数兆パラメータのLLMによるリアルタイム生成AIの構築および実行を可能にします。この製品のリリースにより、NVIDIAは2025年および 2026年度も2桁成長を達成する期待が高まっており、投資家は決算発表でBlackwell製品拡大のより具体的なタイムラインが発表されることを期待しています。ただし、アナリストは発売の遅延が発生した場合も、旧型製品の売上がギャップを埋めるのに役立ち、収益や需要に大きな影響が及ぶことはないとの見方を示しています。

【スノーフレーク決算みどころ】生成AI強化で成長加速なるか(Snowflake)

【スノーフレーク決算みどころ】生成AI強化で成長加速なるか(Snowflake)

本記事では、クラウド技術を活用したビッグデータの保管・分析サービスを提供する米スノーフレーク(SNOW)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月21日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。スノーフレークの株価は年初来で約33%下落しており、52週間の安値付近で取引されています。前期の振り返り:予想を上回る増収と見通しで株価上昇5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比33%増と市場予想を上回る結果となりました。また、5-7月期の見通しについても市場予想を上回ったことから、時間外取引で株価が一時4%上昇しました。売上高:$8.29億(予想:$7.87億)EPS:$0.14(予想:$0.18) 製品収益は、前年同期比34%増の約7億9,000 万ドル、残存履行義務は同46%増の50億ドルとなりました。スリダール・ラマスワミ最高経営責任者(CEO)は、「多くの主要指標で好調な業績を達成して第1四半期を終えた」と述べています。5-7月期の注目点:AI製品の動向と業績見通し2024年5-7月期のスノーフレークの「売上高予想は$8.52億、EPS予想は$0.16」、平均目標株価は$201となっています。生成AI強化で成長加速なるかスノーフレークは直近生成AI領域を強化しており、6月に開催されたユーザーカンファレンス「Snowflake Data Cloud Summit 2024」では、エヌビディアとの新たな協業やApache Icebergのオープンカタログである「Polaris Catalog」などが発表され、AIデータクラウド分野におけるリーダーシップを確立しようとする同社の姿勢が示されました。ゴールドマン・サックスによると、スノーフレークのTAM(獲得可能な最大市場規模)は2028年までに1,500億ドルを超えると推定され、AI製品の市場参入を成功させることができれば、30%を超える成長が見込まれます。また8月8日には、カナダのAI企業Cohereとの提携検討が報じられました。提携が実現されれば、スノーフレークの顧客はチャットボットやコーディングアシスタントといったCohereのAIアプリケーションを利用できるようになります。CohereはOpenAIの数少ない競合として知られ、エヌビディアや富士通をはじめ多くのテクノロジー企業から支援を受けており、評価額は55億ドル(約8500億円)に達しています。そのほか、スノーフレークの最近の動きとしては、エンジニアリングおよびサポート担当執行役員 (EVP)のGrzegorz Czajkowski氏の辞任の発表が挙げられます。Czajkowski氏は同社の成長に大きく貢献しており、スノーフレークの優位性と市場での地位を維持するために極めて重要な役職であることから、投資家は後任者の行方を注視しています。