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【アマゾン決算みどころ】AWS・広告事業の好調つづくか(Amazon)
本記事では、アマゾンの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、2月6日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に44%上昇し、S&P500指数の上昇率の2倍弱のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:堅調な業績見通しで株価上昇10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比10%増と市場予想を上回りました。年末商戦を含む、10-12月期の売上高・営業利益についても堅調な見通しを示したことから、株価は時間外取引で6%上昇しました。売上高:$1589億(予想:$1573億)EPS:$1.43(予想:$1.14) 事業別売上高は、「クラウド事業」が前年同期比19%増の275億ドルと市場予想と一致しました。ただし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業は同四半期に30%以上成長しており、一部アナリストは高い増収率であったものの、売上成長率が21-22%になる期待感があったと指摘しています。主力のオンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなど中国発の割引サイトとの競争激化に直面しているなか、前年同期比7%増の614億ドル。同社で最も急成長している広告事業の売上高は前年同期比19%増の143億ドルと、市場予想をわずかに上回りました。また、2024年通年の設備投資額は約750億ドルとの見通しを示し、来年はさらに投資額を増やす予定を明らかにしました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は電話会見で、AIをおそらく二度とないチャンスと捉え、積極的に追求していると述べました。10-12月期の注目点:営業利益率と業績見通し2024年10-12月期のアマゾンの「売上高予想は$1873億、EPS予想は$1.47」、平均目標株価は$252です。クラウド事業の利益率はさらに改善か2024年のアマゾンの株価成長は、主に営業利益率とEPSの成長が牽引しました。同社の営業利益の約60%を稼ぐクラウド事業は、7-9月期に営業利益率が38%に達し、AIインフラへの巨額な投資にもかかわらず、同社は過去最高の四半期営業利益を計上しました。アナリストらは、企業がAIクラウドへの支出を急速に拡大していることから、アマゾンのクラウド事業の売上と利益率が引き続き成長することを見込んでいますが、利益率にサプライズがあれば株価に影響を及ぼす可能性があります。またアナリストらは、中国のAIスタートアップ企業DeepSeekによる低コストAIモデル「RI」の出現について、アマゾンは有利な立場にあると指摘します。同社は、AIモデルがコモディティ化されることを予測した、クラウド/AI プラットフォームを設計しており、コスト効率の変化を活用するのに最適なクラウド・AI戦略をとっています。1月30日にはアマゾンはマイクロソフトに続き、DeepSeekの低コストAIモデルへのアクセスをAWS(Amazon Web Services)上で提供開始しました。アマゾンの幹部らは、R1の台頭について「AWSのAIアプローチが想定していたタイプの出来事である」と述べています。広告事業の好調つづくかアマゾンにとってもうひとつの高利益事業である広告事業も力強い成長を見せています。同社はデジタル広告市場でも大きなシェアを獲得しつつあり、現在米国でアルファベットとメタに次ぐ第3位となっています。市場調査会社eMarketerの予測によると、アマゾンの米国のデジタル市場シェアは2025年に15.4%を達し、引き続き2桁の売上成長を維持する見込みです。また直近では、小売業者が自社のウェブサイト上で広告を表示できるようにする広告ツール「Amazonリテール広告サービス」を発表し、広告事業のさらなる拡大が見込まれています。

【ディズニー決算みどころ】映画事業の好調続く、Disney+の成長は(Disney)
本記事では、ディズニー(DIS)の2024年7-9月期決算を振り返りつつ、2月5日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約24%上昇しました。前期の振り返り:利益が予想を上回り株価上昇11月14日に発表された2024年7-9月期決算では、マーベル映画「デッドプール&ウルヴァリン」のヒットが追い風となり、売上高が前年同期比6%増、EPSが同39%増と市場予想を上回りました。2026-27年についても2桁台の増益率を見込むとの予想を示したことから、時間外取引で株価は一時10%上昇となりました。売上高:$226億(予想:$224.5億)EPS:$1.14(予想:$1.10) 「エンターテインメント」部門は、Disney+を含むストーリーミング事業が2四半期連続で黒字を達成し、営業利益は前年同期比2倍以上の11億ドルとなりました。一方、テーマパーク事業を含む「エクスペリエンス」部門は、米国以外でのテーマパークでの利益減少から、営業利益が前年同期比6%減の16.6億ドルとなりました。ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は「今年はウォルト・ディズニーにとって極めて重要な成功の年」であるとし、「大きな課題と混乱の時期を乗り越え、成長に向けた好位置につけ、将来に楽観的な見通しを持つことができました」と声明文で述べています。また、昨年同様2025年度に30億ドル相当の自社株買い計画を発表し、12月4日には年間配当を1株1ドルに引き上げました。10-12月期の注目点:ストリーミング事業の収益性と業績見通し2024年10-12月期のディズニーの「売上高予想は$247億、EPS予想は$1.45」、平均目標株価は$128です。ストリーミング事業の収益性はさらに改善かディズニーのストリーミング事業は、主力のDisney+の料金が、10月17日から米国で月額2ドル引き上げられたことから、加入者数の増加に加え、価格上昇の恩恵を受けると考えられています。また、ネットフリックス同様に広告付きの低価格プランが好調であり、米国のDisney+加入者の約半数が広告付きプランを選択し、各種ストリーミングサービスにおける広告関連の収益が、インプレッションの増加とともに増加しています。映画事業の好調つづく2024年、『インサイド・ヘッド2』、『デッドプール&ウルヴァリン』、『モアナと伝説の海2』の世界興行収入上位3本の映画をディズニーが手掛け、コンテンツ販売・ライセンス事業は好調な業績を記録しました。11月に全米公開されたアニメ映画『モアナと伝説の海2』は、5日間のオープニング興行成績で映画史上No.1の興行収入記録を樹立し、12月に公開されたばかりの『ライオン・キング:ムファサ』も2024年世界興行収入興行収入7位になる等、10-12月期も好調な業績が予想されています。2025年も『キャプテン・アメリカ』、実写版『白雪姫』、『ズートピア』、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』シリーズ最新作の公開が控え、大ヒットが期待されています。

【ウーバー決算みどころ】ライドシェア事業の需要懸念も、利益率は改善か(UBER)
本記事では、ウーバー・テクノロジーズの2024年7-9月期の決算を振り返り、2月5日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。前期の振り返り:見通し弱く、株価下落10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比20%増と市場予想を上回りました。しかし、10-12月期のライドシェア事業の総予約件数が市場予想を下回ったことから、株価は米株式市場午前の取引で約9%の下落となりました。売上高:$112億(予想:$110億)EPS:$1.20(予想:$0.37) 部門別では、ライドシェア事業の売上高が旅行量の増加により、前年同期比26%増の64億ドルと成長を大きく牽引。Uber Eatsを含む宅配サービス事業は同18%増の35億ドルとなりました。また、株式投資に関連する17億ドルの税引前利益により、営業利益は過去最高の10.6億ドルを記録しました。プラシャンス・マヘンドララジャ最高財務責任者(CFO)は「当社は、自社株買いを通じて株主に資本を還元するとともに、今後の大きなチャンスを捉えられるよう、有機的な成長ベクトルに戦略的に投資することに引き続き注力します」と述べています。10-12月期の注目点:ライドシェア事業の成長は維持されるか2024年10-12月期のウーバーの「売上高予想は$118億、EPS予想は$0.49」、平均目標株価は$89.6です。ロボットタクシーを巡る潜在的な競争環境アナリストは、アルファベット傘下の自動運転車会社ウェイモやテスラのロボットタクシーの取り組みにより、ライドシェア業界が自動運転車に移行する中でウーバーが苦戦する可能性があると指摘しており、同社の株価の重しとなっています。ウーバーは、ジョージア州アトランタとテキサス州オースティンでの自動運転配車サービスについてはウェイモとの提携を発表していますが、ウェイモは急成長を遂げており、既にフェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスで商業ベースのロボットタクシーサービスを展開し、2026年にマイアミに拡大するをサービスを計画を発表しています。テスラもまた、今年テキサス州とカリフォルニア州での配車サービスの展開が予定されています。昨年11月には、ドナルド・トランプ大統領が自動運転車の規制緩和を検討していると報じられており、テスラに有利な自動運転車の規制枠組みができる可能性が高くなっています。ライドシェア事業の需要低減も、利益率は改善か前回決算での見通し発表から、10-12月期のライドシェア事業の成長はやや鈍化することが見込まれていますが、アナリストの中にはコスト最適化施策や広告収入の増加等により営業利益が大幅に増加し、経営陣が示したガイダンスの上限に近い利益成長率を達成する可能性があると予測する声もあります。直近の株価の低迷には、ライドシェア事業の競争環境や需要低減への懸念が織り込まれているため、決算報告で好調な売上成長や利益率が示されれば、株価上昇が期待されます。

【アルファベット決算みどころ】クラウド好調続くか、DeepSeekの影響は(GOOGLE)
本記事では、アルファベットの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、2月4日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約35.5%上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド好調で株価上昇10月29日に発表された2024年7-9月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比15%増、純利益が同33.6%増と市場予想を上回り、時間外取引で株価は6%近くの上昇となりました。売上高:$883億(予想:$864億)EPS:$2.12(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比10%増の658.5億ドル。うち、Youtube広告が同12%増の89億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の113.5億ドルと、増収率が8四半期ぶりの高水準となりました。自動運転車会社ウェイモなどの「その他の事業」の売上高は、3.88億ドルとなりました。またグーグルは、競合のアマゾンやマイクロソフトに対抗するため、同社の生成AI「Gemini」の強化やAI検索サービスの改善に取り組み、多額の投資を続けています。四半期設備投資額は130億ドルとなり、10-12月期も同様になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIへの投資が検索事業とクラウド事業を通じて実を結んでいる」と述べ、またAI検索での回答にかかるコストを18ヶ月で90%削減したと説明しました。一方、投資家の懸念事項である米政府による反トラスト法(独占禁止法)訴訟について、ピチャイ氏は「予期せぬ結果」をもたらす可能性があると警告しました。10-12月期の注目点: AI戦略とクラウドの成長性2024年10-12月期のアルファベットの「売上高予想は$967億、EPS予想は$2.12」、目標株価は216です。DeepSeekは機会かリスクか中国のAIスタートアップ企業DeepSeekが、世界トップクラスのAIモデルと同等の性能を発揮するAIモデル「R1」を低コストで開発したと発表したことから、27日の米国株市場ではAI関連株が大幅下落し、アルファベットの株価も4.2%安となりました。DeepSeekのAIモデルは、データセンターでなくスマートフォンやPCでの使用を目的としているため、ChatGPTやアルファベットのGeminiと競合していると指摘する声もあり、決算会見では同社のAI事業戦略に関する経営陣の説明に注目が集まります。また、アルファベットの成長が鈍化した場合には、設備投資の高さが嫌気され株価の下落要因となる可能性も考えられます。2024年通期での設備投資額は約512億ドルとなる見通しですが、7-9月期の決算会見で2025年の設備投資についても「増加を見越している」ことが示されています。YouTube、クラウドの好調続くかグーグルに対する司法省の反トラスト法(独占禁止法)訴訟は続いており、主力のインターネット検索広告事業は司法省の監視下にあります。アナリストらは、YouTubeとクラウド事業の成長を鍵としており、YouTubeについては短編動画のShortsからどれだけの収益を上げるかを注視しています。一方、クラウド部門はアマゾンとマイクロソフトに次ぐ第3位のサービスプロバイダーですが、事業の好調な傾向が2025年度と2026年度も続くとし、営業利益へ貢献することが予想されています。株価に反映されていないウェイモ事業アルファベットの株価評価にウェイモ事業はほとんど反映されていませんが、テスラに先駆けてロボタクシーサービスを米国で運営しており、投資家にとって隠れた価値を提供している可能性のある企業資産です。10月下旬には、ウェイモはアルファベットが主導した資金調達で56億ドルを確保しました。さらに、有料配車回数が週15万回の移動を達成したことも明らかにし、8月の週10万回から急成長を遂げています。12月5日には、ウェイモは2026年に自動運転配車サービスをマイアミに拡大する計画を発表。ウェイモの自動運転配車サービスは現在、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスで運営されており、テキサス州オースティンとアトランタでもウーバー・テクノロジーズと提携してサービスを開始する予定となっています。

【アップル決算みどころ】サービス部門好調も、つづくiPhone販売減少(Apple)
本記事では、アップルの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月30日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約30%上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を下回る見通しで、株価下落10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、iPhone16の販売好調などで売上高が前年同期比6%増と市場予想を上回りました。しかし、同社が控えめな10-12月期の見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$949億(予想:$944億)EPS:$1.64(予想:$1.60) 事業別売上高は、総売上の約半分を占めるiPhoneの売上高が前年同期比5.5%増の462億ドルと市場予想を上回りました。ただし、新型iPhone 16の発売は9月20日と四半期末の約10日前のため、決算に反映されている売り上げは数日分のみになります。一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同12%増の250億ドルと過去最高を記録しましたが、市場予想を下回りました。ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は電話会見で、サービス部門の売上高は10-12月期も引き続き2桁の伸び率となり、2024年度と同程度になるとの見通しを示しています。地域別では、投資家の懸念材料である中国市場の売上高はほぼ横ばいの150.3億ドルでしたが、市場予想を下回り、中国市場での不振が持続する可能性を示しました。10-12月期の注目点:iPhoneの売上見通し2024年10-12月期のアップルの「売上高予想は$1250億、EPS予想は$2.36」、平均目標株価は$247です。つづくiPhone需要への懸念市場調査会社カウンターポイント・リサーチによると、中国での2024年10-12月期のiPhone販売台数は18.2%減少したと推定されており、アナリストによる目標株価の引き下げが相次いでいます。販売低迷については、新型モデル「iPhone 16」の目玉機能であるAI機能「Apple Intelligence」が中国市場で展開できなかったことが主な要因とされ、中国での販売不振により、10-12月期の全世界のiPhone販売台数も5%減少したと見込まれています。一部アナリストは、Apple Intelligenceについて機能の展開と普及が予想よりも遅いため、現行のiPhoneと今後発売される新型モデルの売上高の見積もりが高すぎると指摘するほか、消費者はまだスマートフォンのAIに興味を持っておらず、Apple Intelligenceの展開は段階的に進む可能性が高いと予想されています。しかし、最近の株価下落にはこうした懸念が織り込まれている可能性があり、アップルの株価下落については行き過ぎとする声も上がっています。ゴールドマン・サックスのアナリストは、2025年春の新型Mac、iPad、iPhone SEの発売、そして2025年秋から2026年秋にかけてのiPhone 17/18の新機能への期待論から、市場心理は2025年半ばに改善することを予想しています。一方で、iPhoneに次ぐ収益源であるサービス部門については、引き続き2桁の成長が想定されており、好調な推移は2025年1-3月期まで続くと予想されています。
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【メタ決算みどころ】TikTok危機の影響、設備投資の見通しは(META)
本記事では、メタ・プラットフォームズの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月29日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。AIの進歩と好調な広告収益に支えられ、同社の株価は2024年に約65%上昇しました。前期の振り返り:AI支出懸念で株価下落10月30日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、来年にAI関連のインフラ費用の伸びが大幅に加速するとの見通しを示したことから、株価は時間外取引で約3%下落となりました。売上高:$406億(予想:$402億)EPS:$6.03(予想:$5.21) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出しており、2024年7-9月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比7%増加し、広告あたりの平均価格は同11%増加しました。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「当社アプリと事業全般におけるAIの進歩により、好調な四半期となった」と述べ、同社の生成AIモデル「Meta AI」、「Llama」、AI搭載スマートグラスの勢いが増していると指摘しました。また、2024年通年の設備投資見通しは370-400億ドルから380-400億ドルへ更新され、2025年も引き続き設備投資額が大幅に増加するとの予想が示されました。ザッカーバーグ氏は、インフラ支出拡大は「投資家が目先望んでいることではないかもしれない」と述べた上で、「ただ非常に大きな機会が存在していると思っている」と説明しました。10-12月期の注目点:広告収益の伸びと設備投資のコスト圧力2024年10-12月期のメタの「売上高予想は$470億、EPS予想は$6.73」、平均目標株価は$678です。TikTokの不確実性を巡る、広告収益への影響は1月20日トランプ大統領は、TikTokの米国内での禁止措置施行を75日間延期する大統領令に署名しました。アプリが存続するには、TikTok米事業の株式50%を米国の投資家に売却が求められます。アナリストらは、広告主やユーザーがTikTokから離れた場合、メタのInstagram ReelsとYouTubeのShortsが最も恩恵を受けると指摘しており、米国のソーシャルメディア広告費の15%を占めるTikTokの広告予算の一部が流入することで、2025年のメタの広告収入が若干増加すると見込んでいます。モルガン・スタンレーのアナリストは、メタがTikTokで現在費やされている米国ユーザー時間の10%を獲得するごとに、2026年のEPSに30〜60セントが追加される可能性があると試算しており、米国ユーザー時間の半分を獲得した場合には、2026年のEPSに1〜3ドルが追加される可能性が高いと指摘しています。また1月7日には、メタはサードパーティのファクトチェッカーを廃止し、代わりにユーザーが作成したコミュニティノートに置き換えることを発表しており、トランプ氏との関係修復を目指した動きがみられています。2025年の設備投資状況は1月29日の決算発表では10-12月期の業績発表と合わせて、2025年度の経費/設備投資の見通しが発表される予定です。投資家は、2025年のメタの設備投資額が前年比31%増の514億ドルと予想していますが、見通しにサプライズがあれば株価に影響を及ぼす可能性があります。

【マイクロソフト決算みどころ】クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるか(Microsoft)
本記事では、マイクロソフトの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月29日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は、2024年に約12%上昇しましたが、S&P500指数の上昇率を大きく下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド事業が成長鈍化で、株価下落10月30日に発表された2024年7-9月期では、売上高が前年同期比16%増、純利益は同11%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、設備投資額が拡大する一方でクラウド事業の成長は減速するとの見通しが発表されたため、時間外取引で株価が3.6%下落しました。売上高:$656億(予想:$646億)EPS:$3.30(予想:$3.10) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比20%増の241億ドルで、うちAzureの売上高が同33%増と市場予想の32%をやや上回る結果となりました。ただし、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は一部のデータセンター能力が実現しなかったと説明し、これがAzure事業の10-12月期売上高の伸びを抑えるとの見通しを示しました。生産性とビジネスプロセス部門は12%増の241億ドル、個人向けコンピューティング部門は17%増の132億ドルの売上を上げました。また、設備投資額は200億ドルに達し、市場予想の192.3億ドルを上回り、過去最高を記録しました。アナリストらは、マイクロソフトのAIへの投資額は非常に高く、フリーキャッシュフローと利益率へ大きな足かせとなっていると指摘しています。10-12月期の注目点:クラウド部門の成長性と売上高見通し2024年10-12月期の「売上高予想は$689億、EPS予想は$3.13」、平均目標株価は$510です。クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるかマイクロソフトのインテリジェント・クラウド部門は、投資家が最も注目する傾向があり、同社はこれまでAIサービスへの需要が供給能力を上回っていると説明してきました。しかし過去5年間、マイクロソフトの設備投資額は収益よりも速いペースで増加しており、積極的な投資によるコストの増加が収益にとって逆風であると指摘されてきました。アナリスト予想では設備投資額が売上高に占める割合は2025年度は28%となっており、1月3日には、AIモデルのトレーニングや運用などに対応するデータセンターの建設に2025年度に約800億ドル投じる計画が明らかになりました。一方、同社は22日にドナルド・トランプ大統領らが発表したソフトバンクグループとオープンAI、オラクルによるAIインフラ共同出資事業「スターゲート・プロジェクト」のテクノロジーパートナーになっています。マイクロソフトはこれまでオープンAIに約140億ドルを出資していますが、スターゲート・プロジェクトはオープンAIとマイクロソフトの提携内容が見直されたことが示唆されています。市場関係者は、AI関連支出を他の企業に一部転嫁できることから、マイクロソフトにとって好ましい展開であると指摘しています。その他、米ゼネラル・モーターズのロボタクシー事業の撤退を受け、同事業への投資に関連して8億ドルの減損費用を計上することが見込まれており、1株当たり約9セントの利益に影響を与えると予想されています。

【テスラ決算みどころ】新型モデル発売で、好調な業績見通し示せるか(TESLA)
本記事では、テスラの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月29日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は、ドナルド・トランプ次期大統領の選挙勝利後に急伸し、2024年に約63%上昇しました。前期の振り返り:2025年の納車台数大幅増で株価急伸10月23日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比8%増、純利益は同17%増となりました。投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)が17.05%と、4-6月期の14.6%から改善し、さらに2025年の納車台数が20-30%増えるとの見通しを示したことから、株価は翌日22%急騰しました。売上高:$252億(予想:$254億)EPS:$0.72(予想:$0.6) セグメント別では、自動車部門の売上高が前年同期比2%増の200億ドルと中核事業であるEV生産・販売の改善が示されました。 エネルギー生成・貯蔵部門の売上高は同52%増の23.8億ドル、利益率は31%と全体の利益を押し上げました。また、前回の4-6月期決算では「2024年の納車台数の伸び率は前年より著しく低くなる」との見通しを示していましたが、今回の決算では「2024年の納車台数が若干増加し、昨年の180万台を上回る」と見通しの改善が発表され、10-12月期も好調な納車台数を予想していることが示唆されました。そのほか、電話会見でイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏が大統領選で勝利し自身が政権で職を得た場合の行動についても触れました。新たな「政府効率化省」の役割について説明し、トップに任命された場合、自動運転車について州ごとではなく「連邦政府による承認の道筋をつくる」と述べています。10-12月期の注目点:2025年の業績見通し2024年10-12月期のテスラの「売上高予想は$272億、EPS予想は$0.76」、目標株価は$317となっています。2024年の販売台数は前年割れも中国市場好調テスラが1月2日に発表した2024年10-12月期の販売台数は、過去最高の49万5570台を記録しましたが、市場予想を下回りました。2024年の世界販売台数は、前年比1.1%減の179万台と年間販売台数が初めての前年割れとなったことから、株価は一時6%下落しました。しかし、翌日に中国市場でのEV販売台数が前年比8.8%増と堅調な売れ行きを見せたとの報道を受け、株価は反発しました。2024年に販売台数のうち36%超が中国の顧客に納入されました。また1月10日、テスラは日本を含むアジア太平洋で、モデルYのアップグレードモデルを発表し、1日で中国から5万件の注文が入ったと報じられました。中国市場では3月から納車が開始し、欧州や北米でも数か月以内に発売される予定です。BofA Securitiesによると、新型モデルYの価格は旧モデルより5%高くなっています。低価格モデルとロボタクシーのタイムラインは経営陣の「2025年の販売台数が20-30%増える」という見通しについては、新型モデルYの発売のほか、2025年上半期に発売が予定されている3万ドル未満の低価格モデルが鍵となっています。しかし、一部のアナリストは低価格モデルの生産拡大は経営陣の見通しよりも時間がかかる可能性が高いと懐疑的な見方を示しています。一方、モルガン・スタンレーは、テスラの販売台数が予想を下回ったとしても、エネルギー生成・貯蔵事業の好調を考慮すると、それほど問題にはならない可能性があると指摘しています。アナリストは、エネルギー事業が10-12月期で予想を約15%上回り、2024年度では約113%増加したと述べています。また、テスラは今年カリフォルニア州とテキサス州でモデル3とモデルYの完全自動運転のライドシェアリングサービスを開始する予定ですが、完全自動運転ソフトウェア「フルセルフドライビング(FSD)」の改善状況やロボタクシーサービスの仕組みや詳細についても注目が集まります。

【ネットフリックス決算みどころ】好調な新コンテンツで、新規会員数倍増か(NETFLIX)
本記事では、米動画配信サービス大手ネットフリックス(NFLX)の2024年7-9月期の決算を振り返り、1月21日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。好調な業績に支えられ、同社の株価は2024年に約84%上昇しました。前期の振り返り:新規会員が予想を上回り、株価上昇10月17日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比15%増、EPSが同45%増と、ともに市場予想を上回る結果となりました。前四半期からの純新規会員数も510万人増と市場予想を上回り、時間外取引で株価が約4.8%上昇しました。売上高:$98.2億(予想:$97.7億)EPS:$5.40(予想:$5.12) 投資家が注目する安価な広告付きプランの会員数は前四半期比35%増。同プランが提供されている市場では、7-9月期の新規契約の50%以上を占め、9月末の全世界の有料会員数は2億8270万人に達しました。経営陣は2026年以降に収益拡大のけん引役となることを見込んでいます。また、年末のホリデーシーズンを含む10-12月期については、7-9月期を上回る会員数の増加を見込むとしましたが、具体数は示しませんでした。10-12月期の注目点:新規会員数動向と業績見通し2024年10-12月期のネットフリックスの「売上高予想は$97.6億、EPS予想は$5.09」、平均目標株価は$866です。市場の注目は、新規会員数の動向および業績見通しに集まると想定されています。スポーツコンテンツを新たな差別化要因にネットフリックスは、オリジナルコンテンツに多額の資金を投入することで他のストリーミングサービスと差別化を図ってきましたが、2024年は次なるカテゴリとしてライブスポーツコンテンツへの多額の投資とパートナーシップ契約を発表してきました。最近では新たに2027年と2031年にFIFA 女子ワールドカップを米国で独占放映する権利を獲得しました。アナリストらは、同社が広告ビジネスを成長させるためにスポーツ中継に力を入れていると指摘してきましたが、スポーツコンテンツの強化は新規会員を獲得するきっかけやサブスクリプション料金の上昇につながる可能性があると指摘しています。ニールセンによると、クリスマス当日にストリーミング配信されたNFLの2試合の視聴者数は、米国だけで6,500万人に達しました。四半期ごとの新規会員数公表は10-12月期で終了また、NFLのクリスマスゲームのほか、過去に最も視聴されたドラマである「イカゲーム」のシーズン2など10-12月期のコンテンツが好調だったことから、アナリストらは同四半期に純新規会員者数が約1,000万人増加したと推定しています。ネットフリックスは、新規登録数よりも売上高の伸びや利益率に注目するよう投資家に促してきており、2025年1-3月期から四半期ごとの新規会員数の公表を停止し、今後は節目に達した場合のみ発表する方針を明らかにしています。同社は、会員増とサブスクリプション料金の値上げにより2025年の売上高は11-13%増の最大440億ドルに達するとの見通しを示しています。

【マイクロン・テクノロジー決算みどころ】AIサーバー向けメモリの好調つづくか(Micron Technology)
本記事では、半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU)の2024年6-8月期の決算を振り返り、12月18日に控える2024年9-11月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約19%上昇しています。前期の振り返り:堅調な見通しで株価上昇9月25日に発表された2024年6-8月期決算では、好調なAI需要から売上高が前年同期比93%増と市場予想を上回りました。また、9-11月期の売上高見通しも市場予想を上回ったことから、時間外取引で株価が約14%上昇しました。売上高:$77.5億(予想:$76.6億)EPS:$1.18(予想:$1.11) 製品別では、AIデータセンター向けのDRAM製品と高帯域幅メモリ(HBM)製品の売上急増を牽引しました。HBMは次世代メモリ技術の一つであり、メモリチップを垂直に積層し接続することで、従来のDRAMに比べて高い帯域幅を提供しながらも低消費電力で高速なデータ処理が可能となっています。サンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は「マイクロンは史上最高の競争優位性を備えて2025年度を迎えます。収益性も大幅に改善し、2025年度には大幅な売上高を達成する見通しです」と述べています。9-11月期の注目点:2025年度の売上高見通し2024年9-11月期のマイクロンの「売上高予想は$87億、EPS予想は$1.73」、平均目標株価は$147です。HBMチップの技術的優位経営陣はHBM市場が2023年の40億ドルから2025年には250億ドルに成長すると予想しており、同社は2025年までに市場の約20-25%のシェア獲得を目指しています。需要が供給を上回っていることから、マイクロンは価格を引き上げて長期契約を確保することができており、6-8月期の決算では2024年と2025年分のHBMチップ製品がすでに完売したと明らかにしています。HBM市場をターゲットとするメモリメーカーはマイクロン、SKハイニックス、サムスンの3社のみであり、マイクロンは3社の中で最も小規模ですが、競合他社の製品よりも消費電力が20%低く、容量が50%大きい、トップのHBM製品を保有していると主張しています。さらに、マイクロンは次世代HBMを開発しており、カスタマイズ機能を提供するため、生成型AIアプリケーションの開発において重要な役割を果たすことが期待されており、大きな注目を集めています。チップ製造のための62億ドルの助成金を獲得12月10日、半導体補助金法に基づき、米商務省はマイクロンへの62億ドルの補助金給付を確定しました。補助金はマイクロンが米国内に最先進チップ製造施設を建設するために充てられ、46億ドルはニューヨーク州、15億ドルはアイダホ州の設備に投じられます。同省によると、今回の投資によって約2万人の雇用が生まれ、高度メモリー半導体製造に占める米国のシェアは、現状の2%未満から2035年までに約10%に拡大する見通しです。

【ブロードコム決算みどころ】好調な売上見通しで、株価続伸なるか(Broadcom)
本記事では、半導体大手ブロードコム(AVGO)の2024年5-7月期の決算を振り返り、12月12日に控える2024年8-10月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約62%上昇し、S&P500指数の上昇率の約2倍以上のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:見通し振るわず、株価下落9月5日に発表された2024年5-7月期決算では、売上高が前年同期比47%増と市場予想を上回りました。しかし、8-10月期の売上高見通しが140億ドル前後と市場予想をわずかに下回り、時間外取引で株価が約5%下落しました。売上高:$130.7億(予想:$129.7億)EPS:$1.24(予想:$1.21) セグメント別では、ソフトウェア部門が2023年11月に買収したソフトウェアプロバイダーVMwareの売上が寄与し、売上高前年比3倍の58億ドルと成長を大きく牽引しました。半導体部門は同5%増の73億ドルとなりました。ホック・タン最高経営責任者(CEO)は「第3四半期の業績は、ブロードコムのAI半導体ソリューションとVMwareの継続的な強い需要を反映しており、2024年度のAI関連収益は、データセンター向けのイーサネットネットワークとカスタムアクセラレータが牽引し、120億ドルに達する見込みである」と述べています。8-10月期の注目点:2025年度の売上高見通し2024年8-10月期のブロードコムの「売上高予想は$140.6億、EPS予想は$1.39」、平均目標株価は$194.8です。アナリストの多くは、同社が売上高と利益の両方で市場予想を上回ると見込んでおり、決算発表後の株価の動向は2025年度の経営ガイダンスの内容に左右されると予想されています。好調なAIチップで力強い成長見通しを示せるか直近の決算において、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなどのブロードコムの大口顧客が引き続き設備投資額を大幅に増加するとの見通しを発表しており、半導体部門の売上成長への関心が高まっています。JPモルガンのアナリストは、ブロードコムのAI製品需要が堅調であり、AI以外の半導体最終市場でも回復が続いていること、VMWareとの収益相乗効果が発揮されていることから強気の見方を示しており、カスタムAIチップ市場におけるブロードコムの優位な立場を考慮すると、経営陣は2025年度に向けて力強いガイダンスを提供することが可能であると指摘しています。ブロードコムは現在AIチップの顧客として、グーグル、メタ・プラットフォームズ、TikTokの親会社であるバイトダンス、OpenAIを含む6社獲得しており、経営陣は今後5年間でAI半導体は1500億ドル以上のビジネスチャンスがあると見込んでいます。また経営陣は最近、ファウンドリパートナーであるTSMCの高度なチップパッケージング技術を使用して、カスタムAIチップを高速化し、より多くのメモリを詰め込む新しい技術を開発したと発表しています。

【セールスフォース決算みどころ】AIサービスで成長加速なるか(Salesforce)
本記事では、米顧客管理ソフト大手セールスフォース(CRM)の2024年5-7月期の決算を振り返り、12月3日に控える2024年8-10月期決算の見どころを解説します。セールスフォースの株価は年初来で約29%上昇し、S&P500指数の上昇率をわずかに上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を上回る業績も株価は下落8月28日に発表された2024年5-7月期決算では、売上高が前年同期比8%増、純利益が同13%増と市場予想を上回りましたが、8-10月期の売上高見通しは市場予想を若干下回りました。四半期の増収率が1桁となるのは上場後の約20年で初めてで、株価は当初上昇しましたが、決算後の1週間では4.7%下落しました。売上高:$93億(予想:$92億)EPS:$2.56(予想:$2.35) サブスクリプションおよびサポート収益は前年同期比9%増で、製品別では「Slack」は好調で収益が17%増加しました。「Mulesoft」は13%、「Tableau」は11%増加しましたが、両事業は前四半期にそれぞれ27%と21%の成長を記録しており、大きな減速が示されました。一方、人員削減とコスト削減策により利益率は上昇しており、エイミー・ウィーバー最高財務責任者(CFO)は、「この四半期は営業利益率が記録的水準だった」と述べています。そのほか、ウィーバー氏のCFO退任も発表されました。同氏は後任が指名されるまでは同職にとどまり、その後は顧問として体制移行を支援します。8-10月期の注目点:AI製品の動向と業績見通し2024年8-10月期のセールスフォースの「売上高予想は$94億、EPS予想は$2.44」、平均目標株価は$349となっています。生成AIサービスで成長加速なるかセールスフォースは、9月に開催されたAIイベント「Dreamforce 2024」と自律型AIエージェントの「Agentforce」の発表以来、株価が約30%上昇しています。Agentforceはカスタマーサービスへの回答や見込み顧客の選別、マーケティングキャンペーンの最適化などのタスクを処理する、独自のAIエージェントを作成できるように設計されており、10月から一般提供が開始されています。モルガン・スタンレーは、「生成AIの恩恵を受けられる立場にあるソフトウェア企業に対する投資家の関心が高まっており、セールスフォースのAgentforceプラットフォームは有利な立場にあるようだ」と指摘しています。ただし、セールスフォースは今年度の収益は8~9%しか伸びないと予想しており、生成AIサービスの収益化状況が明確にわかるのは、来年度以降と想定されています。マーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)は、2025年末までに10億のAIエージェントを導入することを目標に掲げています。

【マグニフィセント7決算解説】 明暗分かれる第3四半期、利益見通しが鍵に
本記事では、米大型テクノロジー企業7社で構成される、Magnificent 7(マグニフィセント・セブン)の2024年第3四半期決算の振り返りをお届けします。テスラ(Tesla): 来年の納車台数大幅増で株価急伸10月23日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比8%増、純利益は同17%増となりました。投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)が17.05%と、4-6月期の14.6%から改善し、さらに2025年の納車台数が20-30%増えるとの見通しを示したことから、株価は翌日22%急騰しました。売上高:$252億(予想:$254億)EPS:$0.72(予想:$0.6) セグメント別では、自動車部門の売上高が前年同期比2%増の200億ドルと中核事業であるEV生産・販売の改善が示されました。 エネルギー生成・貯蔵部門の売上高は同52%増の23.8億ドル、利益率は31%と全体の利益を押し上げました。また、前回の4-6月期決算では「2024年の納車台数の伸び率は前年より著しく低くなる」との見通しを示していましたが、今回の決算では「2024年の納車台数が若干増加し、昨年の180万台を上回る」と見通しの改善が発表され、10-12月期も好調な納車台数を予想していることが示唆されました。そのほか、電話会見でイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏が大統領選で勝利し自身が政権で職を得た場合の行動についても触れました。新たな「政府効率化省」の役割について説明し、トップに任命された場合、自動運転車について州ごとではなく「連邦政府による承認の道筋をつくる」と述べています。アルファベット(Alphabet): クラウド好調で株価上昇10月29日に発表された2024年7-9月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比15%増、純利益が同33.6%増と市場予想を上回り、時間外取引で株価は6%近くの上昇となりました。売上高:$883億(予想:$864億)EPS:$2.12(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比10%増の658.5億ドル。うち、Youtube広告が同12%増の89億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の113.5億ドルと、増収率が8四半期ぶりの高水準となりました。自動運転車会社Waymoなどの「その他の事業」の売上高は、3.88億ドルとなりました。またグーグルは、競合のアマゾンやマイクロソフトに対抗するため、同社の生成AI「Gemini」の強化やAI検索サービスの改善に取り組み、多額の投資を続けています。四半期設備投資額は130億ドルとなり、10-12月期も同様になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIへの投資が検索事業とクラウド事業を通じて実を結んでいる」と述べ、またAI検索での回答にかかるコストを18ヶ月で90%削減したと説明しました。一方、投資家の懸念事項である米政府による反トラスト法(独占禁止法)訴訟について、ピチャイ氏は「予期せぬ結果」をもたらす可能性があると警告しました。マイクロソフト(Microsoft): クラウド事業が成長鈍化で、株価下落10月30日に発表された2024年7-9月期では、売上高が前年同期比16%増、純利益は同11%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、設備投資額が拡大する一方でクラウド事業の成長は減速するとの見通しが発表されたため、時間外取引で株価が3.6%下落しました。売上高:$656億(予想:$646億)EPS:$3.30(予想:$3.10) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比20%増の241億ドルで、うちAzureの売上高が同33%増と市場予想の32%をやや上回る結果となりました。ただし、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は一部のデータセンター能力が実現しなかったと説明し、これがAzure事業の10-12月期売上高の伸びを抑えるとの見通しを示しました。生産性とビジネスプロセス部門は12%増の241億ドル、個人向けコンピューティング部門は17%増の132億ドルの売上を上げました。また、設備投資額は200億ドルに達し、市場予想の192.3億ドルを上回り、過去最高を記録しました。アナリストらは、マイクロソフトのAIへの投資額は非常に高く、フリーキャッシュフローと利益率へ大きな足かせとなっていると指摘しています。メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms): AI支出懸念で株価下落10月30日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、来年にAI関連のインフラ費用の伸びが大幅に加速するとの見通しを示したことから、株価は時間外取引で約3%下落となりました。売上高:$406億(予想:$402億)EPS:$6.03(予想:$5.21) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出しており、2024年7-9月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比7%増加し、広告あたりの平均価格は同11%増加しました。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「当社アプリと事業全般におけるAIの進歩により、好調な四半期となった」と述べ、同社の生成AIモデル「Meta AI」、「Llama」、AI搭載スマートグラスの勢いが増していると指摘しました。また、2024年通年の設備投資見通しは370-400億ドルから380-400億ドルへ更新され、2025年も引き続き設備投資額が大幅に増加するとの予想が示されました。ザッカーバーグ氏は、インフラ支出拡大は「投資家が目先望んでいることではないかもしれない」と述べた上で、「ただ非常に大きな機会が存在していると思っている」と説明しました。アップル(Apple): 予想を下回る見通しで、株価下落10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、iPhone16の販売好調などで売上高が前年同期比6%増と市場予想を上回りました。しかし、同社が控えめな10-12月期の見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$949億(予想:$944億)EPS:$1.64(予想:$1.60) 事業別売上高は、総売上の約半分を占めるiPhoneの売上高が前年同期比5.5%増の462億ドルと市場予想を上回りました。ただし、新型iPhone 16の発売は9月20日と四半期末の約10日前のため、決算に反映されている売り上げは数日分のみになります。一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同12%増の250億ドルと過去最高を記録しましたが、市場予想を下回りました。ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は電話会見で、サービス部門の売上高は10-12月期も引き続き2桁の伸び率となり、2024年度と同程度になるとの見通しを示しています。地域別では、投資家の懸念材料である中国市場の売上高はほぼ横ばいの150.3億ドルでしたが、市場予想を下回り、中国市場での不振が持続する可能性を示しました。アマゾン(Amazon): 堅調な業績見通しで株価上昇10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比10%増と市場予想を上回りました。年末商戦を含む、10-12月期の売上高・営業利益についても堅調な見通しを示したことから、株価は時間外取引で6%上昇しました。売上高:$1589億(予想:$1573億)EPS:$1.43(予想:$1.14) 事業別売上高は、営業利益の約60%を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増の275億ドルと市場予想と一致しました。ただし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業は同四半期に30%以上成長しており、一部アナリストは高い増収率であったものの、売上成長率が21-22%になる期待感があったと指摘しています。また、主力のオンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなど中国発の割引サイトとの競争激化に直面しているなか、前年同期比7%増の614億ドル。同社で最も急成長している広告事業の売上高は前年同期比19%増の143億ドルと、市場予想をわずかに上回りました。また、2024年通年の設備投資額は約750億ドルとの見通しを示し、来年はさらに投資額を増やす予定を明らかにしました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は電話会見で、AIをおそらく二度とないチャンスと捉え、積極的に追求していると述べました。エヌビディア(NVIDIA): 売上高見通しが期待に届かず、株価下落11月20日に発表された2024年8-10月期決算では、売上高が前年同期比94%増、純利益は同109%増と市場予想を上回りました。11-1月期の売上高見通しについても市場予想を上回りましたが、増収率が7四半期ぶりの低い水準となったことを受け、株価は時間外取引で1.5%下落しました。売上高:$351億(予想:$331億)EPS:$0.81(予想:$0.75) 売上の8割以上を占めるデータセンター部門は売上高前年同期比112%増の308億ドルと市場予想を上回りました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は声明文で、「AI時代が本格的に到来し、NVIDIAのコンピューティングへの世界的な移行が進んでいる」とし、「(既存製品)Hopperへの需要と(次世代AI半導体)Blackwellのフル生産への期待は信じられないほど高まっている」と述べています。ただし、HopperからBlackwellへの切り替えは一時的に収益性に影響し、同社の粗利益率は8-10月期の75%から11-1月期は73%にまで低下する見通しが示されました。Blackwellの利益率は当初70%台前半が見込まれ、生産拡大に伴い70%台半ばに上昇すると予想されています。また市場関係者は、供給の制約について懸念しており、Blackwellの供給動向を注視しています。

【クラウドストライク決算みどころ】堅調な業績で、投資家心理改善なるか(CrowdStrike)
本記事では、米サイバーセキュリティ企業クラウドストライク(CRWD)の2024年5-7月期の決算を振り返り、11月26日に控える2024年8-10月期決算の見どころを解説します。同社の株価は、7月に発生した大規模システム障害で一時40%以上下落しましたが、現在は年初来約39%上昇とS&P500指数の上昇率の1.5倍以上のパフォーマンスとなっており、力強い回復を遂げています。前期の振り返り:投資家の懸念より良好な結果か8月28日に発表された2024年5-7月期決算では、売上高が前年同期比32%増と市場予想を上回る結果となりました。売上高:$9.64億(予想:$9.58億)EPS:$1.04(予想:$0.97) サブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされる、年間経常収益(ARR)は前年同期比32%の38億6000万ドル。そのうち2億1800万ドルは四半期中に追加された新規ARRです。システム障害の余波から、市場の予想通り2025年度通期の収益見通しは2.5%下方修正となりましたが、アナリストらはセキュリティー製品を変更するコストの大きさから顧客離れはさほど進まない可能性があると指摘しています。クラウドストライクの経営陣は、同社を取り巻く厳しい環境は約1年間続き、来年後半に成長の再加速が見込まれると述べ、2031年度までにARR100億ドルを達成するという長期目標は変わらず達成できるとの考えを示しています。8-10月期の注目点:四半期業績と通期ガイダンスの修正有無2024年8-10月期のクラウドストライクの「売上高予想9.83億、EPS予想は$0.81」、平均目標株価は$331です。現在、同社の株式は機関投資家とヘッジファンドによる保有が7割以上と高いことから、株価は大口投資家の取引に左右される可能性があります。堅調な業績で投資家心理改善なるか同社の株価は、多くのアナリスト予想よりも早くシステム障害前の水準に戻りましたが、投資家心理は「ネガティブ」のままだと考えられています。そのため、8-10月期の業績が引き続き堅調な結果を示し、さらに通期の業績見通しを上方修正した場合、顧客が留まっていることが示唆され、株価上昇の可能性があるとアナリストらは予想しています。また、ジョージ・カーツ最高経営責任者(CEO)をはじめとする同社の経営陣が、システム障害の影響は薄れつつあると投資家に安心感を与える発言を行うかも注目が集まります。

【エヌビディア決算みどころ】続くAI需要、成長見通しは投資家の期待を超えるか(NVIDIA)
本記事では、半導体大手エヌビディア(NVDA)の2024年5-7月期の決算を振り返り、11月20日に控える2024年8-10月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約3倍に上昇しており、S&P500のなかでもトップパフォーマンスの銘柄となっています。前期の振り返り:売上高見通しが期待に届かず、株価急落8月28日に発表された2024年5-7月期決算では、売上高が前年同期比2.2倍、純利益は同2.7倍と市場予想を上回り、500億ドルの自社株買いも発表されました。しかし、8-10月期の売上高見通しが市場予想のレンジ内に留まり、株価は決算発表後の3営業日で14%下落しました。売上高:$300億(予想:$287億)EPS:$0.68(予想:$0.65) 売上の8割以上を占めるデータセンター部門は売上高前年同期比154%増の263億ドルとなりました。一方、8月3日に報道された次世代AI半導体「Blackwell」の発売の遅れについては、出荷遅延は生産効率を向上させるための仕様変更によるものであり、「11-1月期に数十億ドルの売上高を達成する見込み」と述べるにとどまり、それ以上詳しく説明しなかったことから、投資家の失望を誘いました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は電話会見で、「世界のデータセンターに設置されている時代遅れの機器を置き換えるには、1兆ドル規模の機器が必要になる。その交換作業は始まったばかり」と述べています。8-10月期の注目点:11-1月期の業績見通し2024年8-10月期のエヌビディアの「売上高予想は$329.7億、EPS予想は$0.74」、平均目標株価は$153です。堅調なAI需要は続く見込み直近のハイテク大手の決算では、エヌビディアの主要顧客であるマイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズは、今後12か月間の設備投資額を拡大する方針を明らかにしており、上記4社は7-9月にデータセンターなどの設備に合計590億ドル(約9兆円)を投じ、四半期ベースで過去最高を記録しました。UBSウェルス・マネジメントでは、ハイテク大手のAI投資が今年前年比50%増の2220億ドルに達し、2025年にはさらに20%伸びると分析した上で、「マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタの4社でAI関連支出のほぼ半分を占めており、これらの企業の強固な財務状況と投資意欲がAI投資の力強い伸びを今後も支えるだろう」との考えを明らかにしています。また、AI需要の強さは「ハイテク大手の設備投資支出」以外にも示されています。半導体の受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の7-9月期の売上高は前年同期比39%増と市場予想を大幅に上回りました。会長兼CEOの魏哲家氏は「AI需要は本物」であるとし、これから何年も続くだろうと述べています。Blackwellの売上見通しはエヌビディアはBlackwellの出荷遅延から、6月の高値から8月の安値にかけて一時9000億ドル近くの時価総額を失いましたが、フアン氏が10月に生産は順調に進んでおり、需要は「常軌を逸している」と発言したことで株価は再び上昇気流に乗っています。モルガン・スタンレーのアナリストは、Blackwellの注文は12ヶ月先まで予約済みであり、2025年度だけでも100億ドルの収益がもたらされると予測しています。Blackwellのリリースは、11-1月期(第4四半期)からエヌビディアに大幅な収益成長をもたらすことを踏まえると、11-1月期の業績見通しや粗利益への影響が焦点となることが想定されます。