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【米国株見通し】景気後退懸念で調整売り、FANG+指数の今後と個人投資家が考慮すべき事は?

【米国株見通し】景気後退懸念で調整売り、FANG+指数の今後と個人投資家が考慮すべき事は?

本記事では、FANG+指数の下落要因について概説し、個人投資家が考慮すべき事項や今後の見通しについて紹介します。FANG+指数の構成銘柄の入れ替え基準と過去のパフォーマンスについてはこちらの記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。※FANG(ファング)は、Facebook・Amazon・Netflix・Googleの4銘柄の頭文字を意味し、これらの銘柄にアップル、マイクロソフトを含む6銘柄を加えた大型テクノロジー10銘柄に10%ずつ等配分投資をする株価指数がFANG+指数です。米国株調整で、FANG+は大幅下落2025年、ドナルド・トランプ大統領の関税政策やその他の政策の不透明感による貿易戦争や景気後退への懸念から、米国株は2023年以来初の調整局面に入りました。S&P 500指数は2月19日の高値から10%以上下落し、ハイテク銘柄で構成されるFANG+指数は、投資家がリスク回避志向を強めていることから市場全体よりも大きく下落しています。株価の一時的な調整はよくあることLPL Researchによると、1928年以降に米国株は10%以上の調整を1.1年ごと、15%以上の大幅な調整を2年ごとに迎えており、調整相場でのピークから底までの平均下落率は13.8%となっています。一方、1950年以降においてS&P 500指数は調整局面に入ってから3ヶ月後には平均6.5%、6ヶ月後には12%のリターンを記録。中でも、経済政策の不透明感が株安を引き起こした事例では、短期的に市場が不安定化したものの、長期的には米国株の買いの好機となりました。ただし、大きな買いに積極的になるべきというわけではありません。一般的に、調整局面での底打ちは一度限りの出来事ではなく、プロセスとして生じます。ヤルデニ・リサーチによると、平均的な調整期間は115日であり、株価が持続的に上昇するには時間がかかるので、投資家は時間をかけて少しずつ株を買い戻すことが賢明と言えます。ハイテク株の見通しはマクロ経済状況に依存また、相場に対する投資家心理を反映する指数として知られるボラティリティ指数は依然として20を超え、政策や経済成長に対する市場参加者の強い警戒感が続いていることを示しています。FANG+の見通しは不透明が強く、政策金利の引き下げが確実視されればハイテク株は反発する可能性がありますが、中国、メキシコ、カナダからの輸入品に対する関税がインフレ懸念の長期化を招けば、ハイテク企業の利益率に重しとなる可能性があります。さらに、景気後退が起こった場合は、消費者や企業のテクノロジーへの支出が減り、株価にさらなる圧力がかかることが想定されます。FANG+への投資を検討する際には、リスクの許容度と投資期間を考慮する必要があります。マクロ経済の見通しが明確になるまでハイテク株は低迷する可能性がありますが、経済状況が改善すれば大幅な上昇も期待できます。一方、インフレと景気後退への懸念が高まる状況では、特定のセクターに特化するのではなく、ボラティリティの低い堅実な資産へ投資をし、より分散されたポートフォリオをを検討するのも手です。マーケットの底打ちはいつか市場は経済成長の鈍化をある程度織り込んでいるため、今後数か月で景気後退リスクがさらに高まるかどうかが当面の注目点となります。市場の底打ちには、1) 実体経済が堅調であり、景気後退リスクが限定的であることを示唆するデータ(経済指標)、2) FR​​Bの金融緩和シグナル、3) 政権のスタンス変化等が観測されることが必要と考えられます。ただし、経済指標が悪化した場合には市場の懸念が裏付けられますが、堅調な指標が維持されたとしても、景気後退を回避できると市場が十分に確信するまでに時間がかかる可能性があります。政策による下振れリスクが最も懸念されていることを考えると、政策スタンスの変化や政権が経済支援のために政策を調整する用意があるといったメッセージを発することが、明確な回復への道となると想定されます。

景気後退懸念で株価は大きく下落。インフレ鈍化と買い戻しで反発し、株式市場は一進一退に|米国市場サマリー

景気後退懸念で株価は大きく下落。インフレ鈍化と買い戻しで反発し、株式市場は一進一退に|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領の報道番組での景気後退シナリオ容認ともみられる発言を契機に、米国の景気後退懸念が市場に広がり、週頭から株価が大きく下落しました。CPI結果でインフレ鈍化傾向が見えたので、一時株価は回復するも、トランプ大統領がEUに対する関税も表明したことで再度下落します。週末には、直近の相場が下落し過ぎているとの見立てから、買い戻しが入り、株価は急上昇して1週間を終えました。為替は、米国の景気後退懸念からリスクオフ先として円が買われ、一時的に円高が進行しました。しかし、米国の株式市場が反発すると、円買いを強めていた海外投機筋が一部資金を引き上げ、円安が進行しました。全体としては、円安が進んだ1週間となりました。米国株式市場:景気後退懸念から株式市場は大幅下落するも、インフレ鈍化と買い戻しで市場は一進一退3月10日(月) 米国株式市場は急落し、景気後退懸念が強まりました。ダウ (-890ドル)、NASDAQ (-4%)、S&P 500 (-2.7%) と大幅安となり、S&P 500は200日移動平均線を割り込む 事態となりました。トランプ大統領の関税政策 や米政府機関閉鎖の可能性 が不安要因となりました。NVIDIA、Tesla (-15.4%)、Coinbase (-17.6%) などハイテク株が売られました。3月11日(火) 市場は続落しましたが、ウクライナとロシアの暫定停戦報道 を受けて下げ幅を縮小しました。S&P 500は一時、最高値から10%以上の下落 となり、調整局面入りが懸念されました。トランプ大統領がカナダからの鉄鋼・アルミニウム関税を50%に引き上げ たことで、景気減速懸念が高まりました。Kohl’s (-24.1%)、Delta Air Lines (-7.3%)、American Airlines (-8.3%) など消費・航空関連株が大幅安となりました。3月12日(水) S&P 500は反発しました。2月の消費者物価指数 (CPI) が前年比2.8%上昇 し、市場予想を下回ったことで、インフレ鈍化が好感されました。NASDAQは1%以上上昇 し、ハイテク株に買いが入りました。Intel (+4.6%)、NVIDIA、AMD など半導体株が上昇。一方、PepsiCo (-2.7%) は投資判断引き下げを受け下落しました。3月13日(木) 市場は大幅下落し、S&P 500は調整局面入りを確認しました。トランプ大統領がEUのアルコール製品に200%関税を課すと表明 したことで、関税合戦が激化し、景気後退懸念が強まりました。NASDAQ (-2%) は売り込まれ、ダウ輸送株指数も急落しました。Intel (+14.6%) は新CEOの就任を好感し急伸しましたが、Adobe (-13.9%) は四半期売上見通しが予想並みだったことで急落しました。3月14日(金) 市場は反発し、売られすぎ感からの買い戻しが入りました。S&P 500とNASDAQは昨年11月6日以来の大きな上昇率 を記録し、主要11セクターがすべて上昇しました。Tesla (+3.9%) は上海工場でのモデルY廉価版生産計画が報じられ買われました。NVIDIA (+5.3%) もCEOの講演を控え期待が高まりました。しかし、S&P 500とNASDAQは4週連続の下落 となり、市場は依然として不安定な状況が続いています。為替市場:トランプ大統領が日本の通貨安を批判し、米国からのリスクオフも進んだことで円高が進む為替は、米国の景気後退懸念からリスクオフで円が買われ、一時147円まで円高が進みました。しかし、株式市場の反発に合わせて、円安に戻しており、全体としては円安が進んだ1週間となりました。現在の円高要因には海外投機筋による円買いもあるとされ、投機筋のポジション解消次第では円安が進むとみられますが、トランプ大統領の関税政策により経済への不透明感が強いため、為替の反発は限定的になっています。今週のマーケット:FOMCは金利据え置きが予想されるも、コメントに注目か今週(2025/3/17-3/21)は、FOMCが開催されますが、現在の市場予想は金利据え置きです。FOMC後の要人発言が今後の金利水準や株価への影響では大事でしょう。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

調整局面の米国株、安全な投資先として需要が高まる銘柄とは?

調整局面の米国株、安全な投資先として需要が高まる銘柄とは?

2025年、ドナルド・トランプ大統領の関税政策やその他の政策の不透明感による貿易戦争や景気後退への懸念が、米国株下落の波を引き起こしています。本記事では、先行き不安の強い米金融市場において安全投資先として需要が高まっている銘柄を紹介します。1. 中小型バリュー株景気後退懸念時には、安定した収益を上げている企業や割安な株が見直されやすく、バリュー株へ新たな資金が流入しています。特に、関税などのマイナス要因よりも規制緩和や減税の恩恵が大きい中小型株が注目され、ドラッグストア運営と処方箋の販売および管理を提供するヘルスケア企業CVSヘルス(CVS)の年初来上昇率は50%超、世界最大のたばこメーカーフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)は25%超、アッヴィ(ABBV)は17%超と主要指数を大きく上回るパフォーマンスを発揮しています。また、バリュー投資家として知られるウォーレン・バフェットが率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRK.B)は金利上昇により同社の投資収益が増加し、株価が年初来上昇率は13%超となっています2. 大型高配当株市場の不確実性がますます高まる中、安定した四半期配当を提供する高配当銘柄の一部も好調に推移しています。米国で財務が健全な高配当企業を厳選したETFであるiシェアーズ・コア高配当株ETF(HDV)は年初来で5%超上昇。同指数の組入上位銘柄である医薬品・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の年初来上昇率は12%超、コカ・コーラ(KO)は11%超といずれも年初来上昇率が2桁に達しています。3. 金・銀ETF古くから市場の不確実性に対するヘッジとして見られる金は、安全資産としての魅力がさらに高まっています。中央銀行による金買い需要も堅調であり、SPDRゴールドETF(GLD)は年初来で12%超上昇。銀価格も堅調に推移し、iシェアーズ シルバーETF(SLV)は年初来で14%超上昇しています。3月14日、金スポット価格は史上初めて1オンス=3000ドルを突破しました。過去1年、アナリストらは金価格予想を上方修正してきており、一部アナリストは1オンス=3500ドルが次の目標になると予想しています。一方で、貿易問題の解決が見え株式市場の混乱が解消すれば、大幅な調整が起きる可能性があるとの見方も示されています。4. 米国債安全資産需要から米国債相場も急上昇し、昨年11月5日の大統領選以降の期間では米国株を上回るリターンとなっています。また、ベッセント米財務長官が「当面は長期債増発の計画がない」「トランプ氏の政策により米10年債利回りは自然に低下するはずだ」と述べたことや、複数のFRB当局者が量的引き締め(QT)の停止ないし縮小に言及したことも米国債への強気姿勢を促しました。債券投資を行う際は、個別債券への投資のほか債券型のETFによる投資も可能です。債券ETFであれば、少額から投資可能で、満期がなく取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができます。また、株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握しやすいというのも特徴です。

【米国株】下落相場・調整局面こそ、NISA投資に最適な理由

【米国株】下落相場・調整局面こそ、NISA投資に最適な理由

相場の下落や調整局面では投資を続けることへ不安を感じるものですが、投資銘柄の長期的な成長が期待できる場合、NISAで投資をする好機とも考えられます。本記事では、下落相場・調整局面がNISA投資に最適な理由を解説のうえ、米国株市場の状況を見ていきます。調整局面での投資は、NISAを有効活用しやすい1. 同じ投資額でより多くの非課税資産を形成NISA制度では投資枠の上限が決まっているため、 同じ投資額で多くの口数(または株数)を購入可能な値下がり時に投資を行うと、より多くの資産を積み上げることができます。2. 優良銘柄を割安で取得可能(バーゲンセールのような状態)相場下落時は、多くの銘柄が一時的に本来の価値より過小評価されることが起こります。投資銘柄の本質的な成長ストーリーが大きく変わらない場合、相場回復後のリターンを最大限に享受できます。3. 配当利回りが上昇の可能性調整局面であっても、多くの優良企業や投資信託は配当金を維持する傾向にあり、投資元本に対する配当利回りは上昇します。NISA口座での取引は、売買益だけでなく配当金や分配金も非課税のため、より多くのインカムゲインが期待できます。M7を中心に割高改善がすすむ米国株市場2025年、多くの投資家は昨年につづき米国株市場が堅調に推移すると予想していました。しかし、貿易戦争や景気後退への懸念、AI相場崩壊の兆しが、米国株下落の波を引き起こしています。現在、S&P500指数、ナスダック100指数、ダウ平均株価は、支持線として注視される200日移動平均線を下回り、各指数とも昨年11月の選挙当日の水準を下回っています。株価の割安度を判断する際に用いられる予想PER(株価収益率)に着目すると、2025年1月末から3月10日にかけて、S&P500指数の予想PERは22.1倍から20.4倍と約8%調整しています。調整は割高感のあった大型テクノロジー企業7社「マグニフィセント・セブン(M7:アップル、マイクロソフト、エヌビディア、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、テスラ)」を中心とし、M7は同期間に予想PERは30.9倍から25.2倍と約18%調整しています。一方、エネルギー・公益事業株をはじめとするバリュー株には新たな資金が流入しています。LSEGリッパーによると、米国のバリュー株の予想PERは現在17.6倍で、米国のバリュー型ETFは今月18億ドルの流入を記録しています。重要なのは、政策金利動向と企業業績2025年は政治的な不安定さから株価の乱高下が想定され、長期的な視点で投資を行い、短期的な変動に耐えることが求められます。政策金利動向に目を向けると、2月の米消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の軟調であったことから、米連邦準備理事会(FRB)は6月から利下げを再開し、年内に3回の利下げを実施するとの見方が高まっています。一方、現時点では米国株のEPS下方修正は限定的となっており、投資家はマーケットの底打ちがいつかを探ろうとしています。今後の相場の行方については政策動向のほか、短期的には3月18-19日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で発表される経済見通しやパウエル議長の会見が鍵となります。

ドル円は146円台へ。円高はこのまま続くのか

ドル円は146円台へ。円高はこのまま続くのか

2025年3月時点で外国為替市場では急速に円高が進み、ドル円レートは一時1ドル=146円台という約5カ月ぶりの円高水準を記録しました 。わずかな期間で円高が進行した背景には、日本と米国それぞれの金融政策見通しや景気見通しの変化が影響しています。以下では、特に日銀(日本銀行)の利上げ観測と米国の景気後退懸念という二つの要因に焦点を当て、そのメカニズムを解説します。急激に円高が進んだ背景とは日銀の早期利上げ見通しが日米金利差の縮小期待を形成したまず、日本側の要因として日銀の金融政策スタンスの変化が挙げられます。近年、日本では物価上昇率が日銀の目標である2%を上回り、賃金も上昇傾向にあることから、日銀が金融緩和を転換し利上げに踏み切るとの見通しが市場で高まりました 。実際に日銀は2025年1月に政策金利を0.25%から0.5%へと引き上げており、追加利上げへの期待もくすぶっています 。日銀の早期利上げ観測が広がると、日本と米国の金利差(利回り差)が縮小するとの予想につながり、これが円を買う動きを促しました。金利差縮小によりドルを持つ魅力が相対的に低下するため、投資家がドル資産から円資産へとシフトし、結果として円高圧力が強まったのです 。米国の景気後退懸念がドルから資金流出を招いている一方、米国側の要因として、景気後退(リセッション)への懸念がドル安・円高を後押ししました。2025年に入り、米国では高関税政策の影響などで経済成長の減速懸念が台頭し、株式市場が不安定化しています 。特に「貿易戦争」による先行き不安から「有事の円買い」と呼ばれる現象が起こり、リスク回避志向の投資家が安全資産とみなされる円を買う動きが強まりました 。具体的には、米国経済の減速リスクが意識され始めた3月上旬、米株価の急落に追随して投資マネーがドルから流出し、日本円やスイスフランといった安全通貨に流入しました。その結果、ドルは対円で売られ、為替相場は急激な円高方向(ドル安方向)へ振れたのです 。このように、日米金利差だけでなく景気見通しによる資金の流れも円高の背景にあると言えます。円高傾向が長期で続くかは疑問直近の円高は顕著ですが、この円高傾向が長期にわたって持続する可能性は低いのではという懐疑的な見方も専門家から出ています。その理由として、米国の金融政策が思ったほど早く緩和(利下げ)に転じない見通しや、日本国内の金融・財政面での日銀利上げの制約、そして将来的に米国景気の不安要因が解消した際の資金フローの逆転が挙げられます。以下で順に説明します。米国はトランプ関税で利下げが遅れる見通し第一に、米国の金融政策に関して、早期の利下げが見込みにくい状況があります。トランプ大統領による関税引き上げ(いわゆる「トランプ関税」)が再び導入・維持されたことで物価の先行きに不透明感が生じ、インフレ圧力が残るとの見方があるためです。実際、米連邦準備制度理事会(FRB)は直近で追加利下げを急がない方針を示していますが、その背景には米国経済が比較的堅調であることに加え、第2次トランプ政権の高関税政策による世界経済の不確実性が影響しています 。世界的に他国の中央銀行が利下げに動く中で、FRBは「米国経済への信頼が強く、現時点での追加利下げは必要ない」と判断している状況です 。このため日米金利差はすぐには大きく縮小せず、円高基調が長く続く決定打には欠けるとの見通しが強いのです。日本の市中銀行は国債を消化できず日銀の利上げは難しい第二に、日本国内の事情として、日銀が大幅な追加利上げや金融引き締めを行うには高いハードルがあります。長年の金融緩和で日銀が国債市場で圧倒的な存在感を持ってきたため、市中の銀行や機関投資家が国債を安定的に消化する体制が十分に整っていないからです。実際、国内の銀行や保険など機関投資家は10年物国債金利がおおむね2%程度に達しないと、本格的に国債を買い増すのは難しいとの姿勢を示しています 。現在の長期金利水準(1%前後)では、民間が積極的に国債を吸収するインセンティブが弱く、国債市場の安定消化は日銀の買い入れに依存しているのが実情です 。このため日銀が利上げによって国債買い入れを減らそうとすると金利急騰や市場混乱を招くリスクがあり、日銀は利上げに慎重にならざるを得ません。要するに、日本の構造的な事情から日銀は急ピッチの金融引き締めが難しく、円高要因である日米金利差縮小も緩やかになりやすいのです。米国の景気後退懸念が解消するとドルへ資金が還流する第三に、現在円高を促している米国景気への悲観論も永続するわけではありません。仮に米国の景気後退懸念が今後薄れ、経済が安定軌道に戻ると市場参加者のリスク回避姿勢も和らぐでしょう。そうなれば、安全資産とされる円への資金流入は減少し、代わって成長期待のあるドルや新興国通貨への投資資金が戻っていく可能性が高いと考えられます。過去を振り返っても、大きな危機の際に急騰した円は、その危機が去れば徐々に反落し円安基調に戻る傾向があります。今回も米国経済がソフトランディング(景気後退を回避)すれば、現在進んでいるような円高圧力は次第に弱まり、中長期的には再び円安方向に振れていくシナリオが有力です。

S&P500はどうなる?トランプ危機への対応は

S&P500はどうなる?トランプ危機への対応は

2025年3月10日、米国株式市場で大幅な暴落が起き、S&P500指数は1日で2.7%安、ナスダック総合指数も4%安と今年最大の下げ幅を記録しました 。ダウ平均株価は一時1100ドル超下落し、終値でも890ドル安(-2.08%)となっています。この急落の背景には、トランプ政権による政策への不透明感と、それに伴う景気後退(リセッション)への懸念が急速に広がったことがあります。以下では「トランプ危機」とも言える今回の状況について、その原因と背景を詳しく見ていきます。1. 何が起きているのか1-1. トランプ政権の不透明感が相場を止めた今回の相場急落の大きな要因は、トランプ大統領による政策運営の不透明さです。就任当初、市場はトランプ氏の減税や規制緩和といった成長重視の政策に期待し株高が進んでいました。しかし足元では貿易関税の引き上げや連邦政府職員の大量解雇など、場当たり的で予測困難な政策運営により投資家心理が冷え込んでいます 。実際、トランプ大統領の関税政策による不確実性が景気悪化懸念を招き、S&P500指数の時価総額は2月の過去最高値から約4兆ドルも減少しました 。主要な貿易相手国(カナダ・メキシコ・中国)への関税方針が二転三転するなど、不安定な政策運営が市場の先行き見通しを困難にしています 。米株式市場を牽引してきたハイテク大型株も売りの直撃を受け、アップルやエヌビディアが5%前後の急落、テスラに至っては15%安と急落しました 。かつて「トランプトレード」と呼ばれた楽観的な買いムードは完全に影を潜め、市場はトランプ政権の政策リスクを意識して慎重姿勢に転じています。ジョーンズ・トレーディングのチーフ市場ストラテジストのコメントも、この状況を端的に表しています。「以前はトランプ氏就任で何もかも素晴らしくなるという圧倒的コンセンサスがあった」が、「構造的変化には不確実性と摩擦が伴う。市場参加者が懸念を強め利益確定に動き始めたのも理解できる」と指摘されています 。つまり、これまで追い風だった政策期待が一転、政策の不透明感が株式相場の重しとなり、上昇基調を止めてしまったのです。1-2. 景気後退懸念が市場を支配政策への不安に加え、景気後退(リセッション)への懸念が投資家心理を一気にネガティブに傾けました。引き金となったのはトランプ大統領自身の発言です。3月9日放送のFOXニュースのインタビューで、トランプ氏は「米経済は今、過渡期にある」と述べ、2025年内に景気後退入りする可能性を明確には否定しませんでした 。年内リセッション予測について問われた際、「そういった予測は好まない。我々はいま非常に大きなことを進めているので、過渡期がある」と述べ、事実上景気後退の可能性を排除しなかったのです。この発言に市場は敏感に反応し、以前から警戒感を募らせていた投資家の間で不安が一気に広がりました 。その結果、「景気後退が来るかもしれない」という恐怖が市場を支配し、大量の売りが発生しました。ウォール街の恐怖指数と呼ばれるVIX指数は年初来最高水準に急上昇し、CNNの「恐怖と強欲指数」でも直近2週間は「極度の恐怖」が市場を支配している状態です 。米国株だけでなくリスク資産全般に売りが波及し、暗号資産のビットコインですら7万8000ドル近辺まで急落し昨年11月以来の安値を付けました 。一方で、安全資産とされる米国債が買われ長期金利が低下するなど、市場は典型的なリスクオフの動きを示しています 。こうした景気後退懸念の高まりが、短期的な投機筋の動きも巻き込み相場下落に拍車をかけました。ヘッジファンドは3月上旬にかけて株式ポジションを大幅に縮小し、ここ2年で最大規模の売り越しを行ったとの指摘もあります 。投資家のリスク回避姿勢が極度に強まった結果、昨年11月の大統領選以降の米株上昇分はほぼ帳消しとなり、主要株価指数は調整局面(高値から10%以上の下落)入りが意識される水準にまで低下しました 。言い換えれば、市場は「トランプ政権下で景気後退が起こる」という最悪シナリオを相当織り込み始めた状態と言えます。2. 今後の見通しはどうなるかでは、今後の市場はどう動くのでしょうか。短期的には不安定な動きが続く可能性がありますが、中長期的に見ると過度に悲観する必要はないとの見方も多くあります。ここでは、実体経済の状況と金融政策の見通しを踏まえ、短期と長期それぞれの視点から今後の展望を整理します。2-1. 実体経済は堅調で景気後退リスクは高くないまず押さえておきたいのは、足元の実体経済は依然として堅調だという点です。株式市場が悲観に傾いている一方で、米国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は決して悪化していません。たとえば失業率は依然歴史的低水準にあり、個人消費も堅調さを維持しています。企業の業績も総じて良好で、金融システム不安などの兆候も見られません。このため、「米国経済がすぐに景気後退に陥る可能性は低い」とする専門家の声が多数を占めています。実際、エコノミストの間では「米国は景気後退には至らず、ソフトランディング(穏やかな経済軟着陸)の可能性が高い」との見通しが有力です。2024年12月時点では第一生命経済研究所の藤代主席エコノミストからも「多くのエコノミストも同様に主張しており、確率的には8割ほどの確度でソフトランディングするだろう。景気後退(GDPが2四半期連続マイナス成長)はまず考えにくい」との指摘がなされています 。つまり、多少の景気減速はあっても「大惨事」にはならず、米経済は底堅さを維持すると見られています。この見立ては3月10日の大幅下落後も大きく変わらず、JPモルガンアセットマネジメントは米国の景気後退確率を15%から20%に引き上げましたが、それでもまだ80%の確率でソフトランディングの見通しを持っています。また、年末時点でのS&P500指数は6400を予想しており、2024年末に予想していた水準と大きく変わらないものとなっています。加えて、インフレ率の低下傾向も追い風となる可能性があります。昨年まで高騰していた物価上昇率は世界的にピークアウトしつつあり、米国でもエネルギー価格の落ち着きなどからインフレ圧力が和らいできました。ニッセイ基礎研究所の井出主任研究員はこちらの記事で「世界的にインフレ率は低下しており、その上米国の景気は底堅い。結果として2025年は米国株の強さが際立つ年になるだろう」と指摘しています 。これは、実体経済の堅調さがいずれ市場にも評価され、過度な悲観は修正されるという見方です。したがって、足元の景気後退不安はあくまで「心理的なもの」が先行している面が強く、現実の経済がすぐ悪化に向かう可能性は高くないと考えられます。2-2. 短期では利下げ延期リスクあるが、年末にかけては戻すのでは短期的な視点では、依然として金融政策をめぐる不確実性が相場の波乱要因となり得ます。市場では当初、2025年半ば以降に米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じるとの期待があり、金利先物市場は6月・7月・10月に各0.25%の利下げを織り込んでいました 。しかし、トランプ政権の掲げる大規模な減税や歳出拡大策、関税引き上げなどが短期的にインフレ(物価上昇)圧力を高める可能性があり、FRBが利下げ開始を遅らせるリスクも指摘されています 。実際、ゴールドマン・サックスはこうした政策の影響を踏まえ米国の成長率見通しを引き下げる一方、インフレ率見通しを引き上げました 。仮に物価上昇が続けば、FRBは景気下支えよりもインフレ抑制を優先し、政策金利の引き下げを当初予定より「延期」せざるを得なくなる可能性があります。FRBが利下げを渋れば、目先の株式市場には逆風となるでしょう。利下げ期待で先行していたハイテク株などは失望売りにさらされやすく、投資家心理も不安定さを増すかもしれません。ただし、こうした短期的な金融政策リスクは一時的なものとの見方もあります。仮にインフレが再燃しそうになっても、トランプ政権も物価高対策に動くと表明しており、FRBと政府が協調してインフレ抑制に努める可能性が高いからです 。実際、「そもそも世界的にインフレ率は低下傾向にある中で、米国景気は底堅い。結果として大幅な株価下落リスクは小さい」と指摘する専門家もいます 。短期的に利下げ開始が数ヶ月遅れる程度であれば、実体経済の強さが勝り、企業業績や投資マインドは年後半にかけて持ち直す可能性があります。年末にかけては市場が落ち着きを取り戻し、株価が回復基調に戻るとの予想も少なくありません。実例として、株式ストラテジスト4人による2025年1月下旬時点でのこちらの予測では「2025年前半はトランプ政権の影響で調整局面があるものの、年後半からは上昇に転じ最高値更新へ」との見通しが示されています 。この背景には、前述したように政策の不透明感が徐々に解消し、実体経済の強さが評価され直す展開が想定されているためです。米国株も同様に、「今年後半には景気の底堅さを反映して株価が持ち直す」との見方が現時点では優勢と言えます。従って、短期的には乱高下があり得るものの、2025年全体で見れば緩やかな上昇基調を維持し、年末にかけて株価は今より高い水準に戻っている可能性が十分考えられます。3. 個人投資家はどうすべきか以上を踏まえ、急落局面において個人投資家はどのように行動すべきでしょうか。結論から言えば、長期的な視点を持つことと、機械的な積立投資の継続が鍵となります。相場の下落局面は不安を感じるものですが、こうした局面でこそ冷静に対応し、将来のための有利な投資行動を取ることが重要です。以下では投資期間の長さに応じた戦略と、具体的な資産運用上のポイントを解説します。3-1. 10年以上の長期目線なら投資継続で一択まず、投資期間が10年以上と十分長い場合は、基本戦略は「継続保有」一択と言ってよいでしょう。歴史的に見ても、株式市場は短期的な暴落を何度も乗り越え、長期では成長してきました。例えばリーマンショックやコロナショックのような大暴落でも、その数年後には株価は回復し過去の高値を更新しています。長期の資産形成を目指す個人投資家にとって、目先の下落で保有資産を手放すことは、長い目で見れば機会損失になりかねません 。実際、ある調査によれば弱気相場が終わった後の1年間でフルに株式市場で投資を続けていた場合のリターンは平均+38.3%だったのに対し、下落時に現金化して株式市場への復帰が遅れた場合は+8.0%にとどまったとのデータもあります 。つまり、下落局面で投資をやめてしまうと、その後の大きな反発局面の恩恵を受け損ねるリスクが高いのです。長期目線の投資家は、今回の下落をむしろ「時間を味方につける」好機と捉えるべきです。積立投資を継続している人にとって、一時的な価格下落はドルコスト平均法の効果を高めるチャンスでもあります。こちらの記事の通り「一時的な株価の下落は、長期積立投資をしている人にとってやめるタイミングではなく、むしろドルコスト平均法を実践する時だ」との指摘もあります 。価格が下がった局面で淡々と買い増すことで、取得単価を引き下げ将来のリターンを高められる可能性があるからです。実際、今回のような相場急落時に冷静さを保ち投資を続けられるかどうかが、長期投資の成果を大きく左右すると言えます。要するに、10年以上先の目標に向けて投資している場合、今回の下落で戦略を変える必要はありません。焦って売却したり、タイミングを計って出たり入ったりするよりも、基本方針を貫き通すことが最善策です。米国株式市場の長期的な成長ストーリー(人口増加や技術革新による経済拡大)は大きく変わっておらず、むしろこの局面は割安に仕込む好機とも考えられます。自分のポートフォリオやリスク許容度を再点検しつつ、「長期投資の王道」を継続する姿勢が肝要です。3-2. 積立継続・増額は良いが、大きな買いのタイミングは難しい次に、積立投資を行っている場合の戦略です。基本的には、現在の積立投資(例えば毎月の買付)をそのまま継続するのが賢明です。先ほど触れたドルコスト平均法の通り、価格が下がったときにこそ同じ金額でより多くの口数を購入でき、将来価格が元に戻るだけでプラスのリターンを得られる可能性が高まります 。実際、「相場が下がったときに買った株は、相場回復で値上がりし、元に戻るだけで利益が出る」ことから「下落時こそ積立継続」を推奨する金融機関もあります 。したがって、今回の下落局面でも積立を止めず、むしろ余裕資金があるなら積立額を一時的に増やすことも検討に値します。一方で、「今が買いの好機だからといって、一度に大金を投じる」のは注意が必要です。確かに大きく下がった直後にまとめて買えれば理想的ですが、現実には誰も株価の大底を正確に見極めることはできません。多くの投資家が「もう少し下がってから買おう」と思って現金のまま待機しますが、そのうちに相場が反転して上昇に乗り遅れてしまうケースがよくあります 。マーケットタイミングを完璧に図るのはプロでも難しく、底値を逃してしまうとリターンを大きく損なう可能性があるのです 。ですから、「ここが底だ」と決め打ちしての一括投資はリスクが高く、避けた方が無難でしょう。つまり、個人投資家にとって現実的なのは“時間分散”による投資です。既に積立投資を行っている人は、その計画を崩さず続けることが最善策ですし、追加投資をする場合も何回かに分けて少しずつ買い増す方法がリスクを抑えられます。逆に、「暴落したから全力で買う」といった衝動的な行動は慎むべきです。投資はあくまで余裕資金で、生活に支障が出ない範囲で続けることが大原則 です。この原則を守りながら、下落局面でも計画的に資産形成を継続することこそ、長期的に見た最良の結果につながるでしょう。2024年夏の相場下落をケーススタディに取りつつ、こうした長期・分散・積立投資の大切さを解説した記事はこちらなので、今後の運用方針に迷われる方は併せてお読みください。

トランプ関税が二転三転する中、株式市場は下落して調整局面へ。米国リスクオフで円高も進む|米国市場サマリー

トランプ関税が二転三転する中、株式市場は下落して調整局面へ。米国リスクオフで円高も進む|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領の関税政策が二転三転し、市場に不透明感が広がる中で株価は下落し、NASDAQは一時最高値から10%下落となりました。雇用統計も雇用は伸びつつも失業率は上昇し、相場に対して大きなサポートにはなりませんでした。一方、FRBのパウエル議長は「米国の景気は良い状態」と発言し、相場の反発要因となりました。為替は、トランプ大統領が日本政府に対して通貨安政策をやめるように発言し、米国株式市場全体が軟調でリスクオフが進んでいることから、円高が大きく進んだ1週間となりました。日銀副総裁講演を経ての日銀利上げ期待上昇も後押しになっています。米国株式市場:トランプ関税で混迷する中で株式市場は調整局面に、パウエル議長は「景気は良い状態」と発言3月3日(月) 米国株式市場は主要3指数が反落しました。ISM製造業景気指数の低下 や、トランプ大統領がカナダとメキシコへの25%関税発動を表明 したことが影響しました。NVIDIA (-8.7%)、Amazon (-3.4%) など主要ハイテク株が売られました。一方で、不動産、ヘルスケア、公益事業セクター は上昇しました。Tesla (-2.84%) は一時上昇しましたが、終値では下落。Intel (-4%) も一時の上昇を打ち消しました。3月4日(火) 市場は続落し、NASDAQは調整局面に迫りました。トランプ政権がメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税 を導入し、中国製品への追加関税を20%に引き上げ たことで貿易摩擦が激化しました。金融・工業セクターが大きく下落 し、Citigroup (-6.2%)、JPMorgan Chase (-4%) が売られました。NASDAQは一時、昨年12月16日につけた最高値から10%下落する場面がありました。また、Ford (-2.9%)、GM (-4.6%) も下落しました。3月5日(水) 株式市場は反発しました。トランプ大統領がカナダとメキシコに対する関税導入を30日間延期 する可能性を示唆し、これを好感した買いが入りました。主要セクターの中では素材、工業、一般消費財、通信サービスが上昇 しました。一方、エネルギーと公益事業は下落 しました。Ford (+5.8%)、GM (+7.2%)、Tesla (+2.6%) など自動車株が買われましたが、Intel (-2.4%) はトランプ大統領のCHIPS法廃止発言 を受けて下落しました。また、CrowdStrike (-6.3%) は売上高見通しが市場予想を下回り、急落しました。3月6日(木) 市場は反落し、NASDAQは昨年12月以来の調整局面に入りました。トランプ大統領はカナダとメキシコへの関税を1カ月間免除する と発表しましたが、関税政策の混乱が市場の不安を高めました。情報技術、不動産、一般消費財セクターが大幅安 となり、NASDAQは12月16日以来、10.4%下落 しました。Tesla (-5.6%) はベアード証券が「弱気フレッシュ・ピック」に指定したことで下落。Marvell Technology (-20%) は決算が期待を下回り急落し、Broadcom、NVIDIA など半導体株も売られました。3月7日(金) 市場は反発しました。FRBのパウエル議長が「景気は良い状態にある」と発言 し、序盤の下落から持ち直しました。公益事業、エネルギー、情報技術、工業セクターが上昇 しました。Broadcom (+8.6%) は第2四半期の好調な業績見通しを発表し急伸しました。一方、HP Enterprise (-12%) は関税の影響で利益見通しが悪化し下落。また、Costco (-6%) は商品コスト上昇の影響で市場予想を下回る四半期業績を発表し売られました。週間ではS&P 500 (-3.1%)、NASDAQ (-3.45%)、ダウ (-2.37%) と軟調な展開となりました。為替市場:トランプ大統領が日本の通貨安を批判し、米国からのリスクオフも進んだことで円高が進む為替は、トランプ大統領が日本に対して通貨安政策を牽制したことから、円高が進行しつつ1週間が始まりました。5日の内田日銀副総裁の講演から、日銀の利上げ継続を市場は期待し、さらに円高を加速させる要因となりました。米雇用統計がいまいちの結果に終わったことから、米国からのリスクオフが進み、結果として円が買われる局面ともなり、ドル円は大きく円高が進んで1週間を終えています。今週のマーケット:CPIの発表。トランプ関税を前にインフレ傾向は一服するか今週(2025/3/10-3/14)は、米国のインフレ傾向を左右するCPI・PPIの発表があり、今後の利下げ動向にも影響するため要注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【アドビ決算みどころ】AI機能の収益化で、投資家心理改善なるか(Adobe)

【アドビ決算みどころ】AI機能の収益化で、投資家心理改善なるか(Adobe)

本記事では、アドビ(ADBE)の2024年9-11月期の決算を振り返り、3月12日に控える2024年12月-2025年2月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約1%上昇しています。前期の振り返り:業績見通しが予想を下回り、株価下落12月11日に発表された2024年8-11月期決算では、売上高が前年同期比11%増、EPSは同13%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、2025年度通期の売上高見通しが市場予想を下回り、翌日の取引で株価が約14%の下落となりました。売上高:$56.1億(予想:$55億)EPS:$4.81(予想:$4.67) 全体の約75%を占める主要事業セグメントである、デジタルメディア部門の収益は前年同期比12%の成長を遂げ、アナリストらが注目する新規年間経常収益(ARR)は5.8億ドルとなりました。ARRはサブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされています。アドビは近年、より手頃な価格で同様のサービスを提供するCanvaやFigma、オープンAIやメタ・プラットフォームズ、グーグルらが提供するクリエイティブツールとの競争に直面しており、競合他社に対抗してソフトウェア製品に独自AIモデル「Firefly」を搭載し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることに注力してきました。しかし、アナリストらはアドビのAI搭載製品がどれだけ収益化できるか疑問が残る決算であったとし、競争圧力から市場シェアが低下するのではないかという投資家の懸念を払拭しきれぬ結果となりました。ダン・ダーン最高財務責任者(CFO)は、「アドビの戦略、AIイノベーション、そしてクロスクラウドの大きな機会が、2025年以降アドビを有利に導く」と声明文で述べています。12-2月期の注目点:2025年度の売上高見通し2024年12月-2025年2月期のアドビの「売上高予想は$56.6億、EPS予想は$4.97」、平均目標株価は$572で、現在の価格水準に対して約29%の上昇の可能性を示しています。AI機能の収益化見通しはアドビは過去20四半期すべてで利益予想を上回ってきましたが、AI搭載製品が収益に大きく貢献していないことから同社の株価は低い株価収益率で取引され、マイクロソフトやセールスフォースに次ぐテクノロジーセクターのバリュー株として際立っています。モルガンスタンレーのアナリストは、「2025年後半に生成AIによって利益の成長が加速することが、株価上昇の重要なきっかけになると考えている」と述べ、投資家はアドビがAIを理由にサブスクリプション価格を引き上げても成長を維持できるという話を聞きたがっていると指摘しています。新しいAI製品に関する経営陣のコメントや堅調な2025年の業績見通しが示された場合は、株価が上昇する可能性があります。また、アドビは2月12日、業界初の商業的に安全なAIビデオ生成モデル「Adobe Firefly Video Model」をパブリックベータ版としてリリースし、株価が上昇しました。バークレイズのアナリストは、FireflyがCreative Cloudサブスクリプションの一部として収益化できるようになったと指摘し、これがどの程度の貢献をするかはまだ分からないが、同社に対する感情の改善に役立つ可能性があると述べています。

【ブロードコム決算みどころ】好調なAI需要で見通し上方修正なるか(Broadcom)

【ブロードコム決算みどころ】好調なAI需要で見通し上方修正なるか(Broadcom)

本記事では、半導体大手ブロードコム(AVGO)の2024年8-10月期の決算を振り返り、3月12日に控える2024年11月-2025年1月期決算の見どころを解説します。AI支出に対する懸念や、関税や半導体の輸出制限に関するトランプ政権の政策の不確実性の中、同社の株価は年初来から約19%の下落となっています。前期の振り返り:予想を上回る見通しで、株価上昇12月12日に発表された2024年8-10月期決算では、売上高が前年同期比51%増と市場予想をわずかに下回りました。しかし、AIチップの需要が急増するとの見通しを示したことから、時間外取引で株価が約14%上昇し、時価総額は初めて1兆ドルに達しました。売上高:$140.5億(予想:$140.9億)EPS:$1.42(予想:$1.39) セグメント別では、ソフトウェア部門が2023年11月に買収したソフトウェアプロバイダーVMwareの売上が寄与し、売上高前年比約3倍の58億ドルと成長を大きく牽引しました。半導体部門は同12%増の82億ドルとなりました。AI関連の収益は、カスタムAIチップ「XPU」とデータセンター向けのイーサネットネットワークキングポートフォリオが牽引し、前年同期比3.3倍となりました。ホック・タン最高経営責任者(CEO)は、同社が3つの大手クラウド顧客とAIチップを開発していると述べ、2027年度までにAI関連収益は600~900億ドルに達する可能性があると語りました。11-1月期の注目点:2025年度の売上高見通し2024年11月-2025年1月期のブロードコムの「売上高予想は$151億、EPS予想は$1.51」、平均目標株価は$252です。アナリストの多くは、最近の株価下落にもかかわらず、楽観的な見通しを維持しています。好調なAI需要で見通し上方修正なるか直近の決算において、アルファベットやメタ・プラットフォームズなどのブロードコムの大口顧客が今年の設備投資額を大幅に増加し、データセンターやAI向けインフラ構築に投じる方針を示したことから、半導体部門の売上成長への関心が高まっています。2025年、アルファベットの設備投資予定額は前年比43%増の750億ドル(約11.5兆円)。メタは、AI関連の投資を最大で前年比59%増の650億ドル(約10.2兆円)に増やす計画を発表しました。アナリストは、ブロードコムのAI製品需要が堅調であり、カスタムAIチップにおけるブロードコムの優位な立場を考慮すると、2025年度の売上高見通しを上方修正する可能があると指摘しています。また他の最近のニュースでは、2月15日に、ブロードコムが半導体大手インテルの半導体設計とマーケティング部門の買収に関心を示していることが報じられました。インテルのこれらの事業はシェア低下に直面しているものの、2024年には約490億ドルを売り上げ、20%台半ばの営業利益率を達成しています。

【クラウドストライク決算みどころ】好調なクロスセルで成長再加速なるか(CrowdStrike)

【クラウドストライク決算みどころ】好調なクロスセルで成長再加速なるか(CrowdStrike)

本記事では、米サイバーセキュリティ企業クラウドストライク(CRWD)の2024年8-10月期の決算を振り返り、3月4日に控える2024年11月-2025年1月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約14%上昇し、S&P500指数の上昇率1.5%を大きく上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:利益見通しが予想を下回り、株価下落11月26日に発表された2024年8-10月期決算では、売上高が前年同期比29%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、2024年11月-2025年1月期の利益見通しが市場予想を下回ったことから、株価は時間外取引で約1.5%下落しました。売上高:$10.1億(予想:$9.82億)EPS:$0.93(予想:$0.81) サブスクリプションサービスの成長指標とみなされる、年間経常収益(ARR)は前年同期比27%増の40億1800万ドル。そのうち1億5300万ドルは四半期中に追加された新規ARRでした。また、クラウドストライクはモジュールをバンドルで販売しており、クロスセルも重要な成長の原動力となっています。8-10月期にモジュールの採用は加速し、採用率は5つ以上のモジュールが66%、6つ以上が47%、7つ以上が31%、8つ以上のモジュールで20%に増加しました。ジョージ・カーツ最高経営責任者(CEO)は、声明文にて「顧客は(主力製品の)Falconプラットフォームの技術的優位性とサイバーセキュリティ統合のメリットに引き続き注目している」と説明し、サイバーセキュリティAIプラットフォームとしてのクラウドストライクの明るい未来に自信を持っていると述べています。11-1月期の注目点:業績見通しとモジュール採用率2024年11月-2025年1月期のクラウドストライクの「売上高予想10億、EPS予想は$0.86」、平均目標株価は$414です。同社の株式は機関投資家とヘッジファンドによる保有が7割以上と高いことから、株価は大口投資家の取引に左右される可能性があります。堅調な業績で投資家心理改善なるか直近のアナリスト調査では、システム障害による顧客の離脱は最小限であり、Falconプラットフォームの有効性に対する顧客の評価は大きく変化しなかったことが示されています。むしろ顧客はより多くのモジュールを追加または、クラウドストライクとの契約期間を延長しており、アナリストらはクロスセルやアップセル戦略による収益増加の可能性も指摘しています。今回の決算発表で、新規ARRが予想を大きく上回り、今年後半に成長の再加速が見込まれれば、システム障害の影響は限定的であったと投資家に安心感を与える可能性があります。また、2024年11月-2025年1月期にFalconプラットフォームは、ドイツ連邦情報技術安全局 (BSI) が定めるクラウドセキュリティの監査基準「C5 コンプライアンス」を達成し、米国連邦政府のクラウドサービスを対象とした認証制度「FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)」を取得しました。これら2つの新たな認証により、同社は両国の連邦政府機関からより多くの契約を獲得し、売上高に貢献したと考えられています。

トランプ関税と悪い経済指標で株式市場は大きく下落。NVIDIA決算も回復させられず|米国市場サマリー

トランプ関税と悪い経済指標で株式市場は大きく下落。NVIDIA決算も回復させられず|米国市場サマリー

先週は、消費者信頼感指数の大幅下落と、トランプ大統領のメキシコ・カナダ・中国に対する関税政策の発表が響き、株価指数は大きく下落しました。NVIDIA決算は予想を上回る内容だったものの、粗利率の低下傾向を不安視され、株価の回復要因にはなりませんでした。株式市場は調整局面入りしたと見られています。為替は、トランプ大統領の関税政策による円安進行と、日本の株式市場下落による割安感からの円買いによる円高進行がクロスしましたが、全体としては円安が優位に進み、1週間を円安に進んで終えています。米国株式市場:経済指標悪化とトランプ関税で市場は大きく下落、NVIDIA決算も下落を止められず2月24日(月) NASDAQは1%以上下落し、3営業日続落しました。NVIDIA (-3.1%) の決算発表を前に、AI関連銘柄に売りが広がり、Broadcom (-4.9%)、Amazon (-1.8%)、Microsoft (-1.0%)、Palantir (-10.5%) も下落しました。一方、Apple (+0.7%) は今後4年間で米国に5,000億ドルを投資すると発表し上昇しました。Berkshire Hathaway (+4.0%) は営業利益の過去最高更新を受けて急伸。Nike (+4.9%) もジェフリーズの投資判断引き上げを受けて上昇しました。2月25日(火) NASDAQとS&P 500は4営業日続落し、一時1カ月ぶりの安値を記録しました。消費者信頼感指数が98.3に低下し、2021年8月以来の大幅な下落となった ことが影響しました。NVIDIA (-2.8%) は決算を控え下落し、フィラデルフィア半導体指数を押し下げました。また、暗号資産の下落 を受け、Coinbase (-6.4%)、MicroStrategy (-11.4%) など仮想通貨関連銘柄も売られました。Zoom (-8.5%) は通年の売上高見通しが市場予想を下回り急落しました。2月26日(水) S&P 500はほぼ横ばいで取引を終えました。NVIDIAの決算発表 が控え、市場は慎重な動きとなりました。午後にはトランプ大統領がEUからの輸入品に25%の関税を賦課すると発表 し、メキシコとカナダに対する関税についても4月2日に発動すると表明しました。一方、NVIDIAは上昇して終了し、フィラデルフィア半導体指数も上昇 しました。業種別では情報技術セクターが上昇 した一方、ヘルスケアや主要消費財セクターに売り が出ました。2月27日(木) NASDAQは2.78%下落し、1カ月ぶりの大幅下落 となりました。NVIDIA (-8.5%) は決算発表後に急落し、時価総額が2,740億ドル減少しました。売上高見通しは市場予想を上回ったものの、粗利益率の見通しが予想を下回った ことが嫌気されました。この影響でBroadcom (-7%)、AMD (-5%) も大幅安となり、フィラデルフィア半導体指数は6.1%下落 しました。一方、エネルギー株は原油高を受けて上昇 しました。また、トランプ大統領はメキシコとカナダに対する25%の関税を3月4日に発動すると表明 し、中国に対する追加関税をさらに10%上乗せすることも発表しました。2月28日(金) 市場は不安定な動きの中で反発しました。トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談が決裂したとの報道を受け、株価は一時下落しましたが、その後回復しました。NVIDIA (+4%)、Tesla (+4%) が上昇し、S&P 500を押し上げました。業種別では、S&P 500の11セクター全てが上昇 し、特に金融 (+2.1%)、一般消費財 (+1.8%) が目立ちました。Dell (-4.7%)、HP (-6.8%) は2026年度の見通しが嫌気され下落しました。一方、Snowflake (+4.5%) は売上高見通しが市場予想を上回り上昇しました。為替市場:日銀高田審議委員発言で日銀の早期利上げ観測が強まり、大きく円高に進む為替は、トランプ大統領の関税政策によるインフレ懸念から円安が進んでいますが、一方で日本の株式市場でも大幅な株安が進行しているため、割安感から円が買われる(=円で日本株を買う)動きも見られました。全体としては1週間を通じて円安に振れて終わっています。今週のマーケット:雇用統計が発表。米国経済への懸念は晴れるか今週(2025/3/3-3/7)は、金曜日の雇用統計の発表で米国経済に対する減速懸念が晴れるかに注目です。また、グロース銘柄で注目のCrowdstrikeやBroadcomの決算があるので、こちらもグロース市場に対する影響に注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【マグニフィセント7決算解説】 底堅い業績報告も、成長鈍化懸念で上値の重い展開に

【マグニフィセント7決算解説】 底堅い業績報告も、成長鈍化懸念で上値の重い展開に

本記事では、米大型テクノロジー企業7社(アップル、マイクロソフト、エヌビディア、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、テスラ)、マグニフィセント・セブン(M7)の2024年第4四半期決算の振り返りをお届けします。2025年のM7動向の市場関係者の見方について、以下の記事をご覧ください。テスラ(Tesla): 業績予想未達も、株価上昇1月29日に発表された2024年10-12月期決算では、売上高が前年同期比2%増、純利益は同71%減と市場予想を下回り、投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)も13.59%と、7-9月期の17.05%から低下しました。しかし、予定通りに低価格の新モデルを2025年前半に販売するとの見通しを示したことから、株価は時間外取引で5%上昇しました。売上高:$257億(予想:$272億)EPS:$0.73(予想:$0.76) セグメント別では、中核事業である自動車部門の売上高が前年同期比8%減の198億ドル。一方、エネルギー生成・貯蔵部門の売上高は同113%増の30.6億ドル、サービス部門は同31%増と好調な成長を示しました。完全自動運転のライドシェアリングサービスについては、6月にテキサス州オースティンで開始し、その他の州でも年内に、完全自動運転ソフトウェア「フルセルフドライビング(FSD)」の試験を行うと見込んでいます。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、電話会見で「我々は製造ラインを構築しており、壮大な26年と、とんでもない27年と28年に向けた地ならしをしている」と述べ、テスラの中長期の成長を強調しました。メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms): AIへの楽観的な見通しで株価上昇1月29日に発表された2024年10-12月期決算では、売上高が前年同期比21%増と市場予想を上回りました。2025年1-3月期の売上高見通しについては市場予想を下回りましたが、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)がAI関連の取り組みについて電話会見で楽観的な見通しを示したことから、株価は時間外取引で一時約4%を超える上昇となりました。売上高:$484億(予想:$470億)EPS:$8.02(予想:$6.73) メタの収益は96%以上を広告事業で稼ぎ出しており、2024年10-12月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比6%増加し、広告あたりの平均価格は同14%増加しました。1月24日に、メタは2025年にAI関連のプロジェクトに最大650億ドル計画を明らかにしましたが、決算発表では2025年の総経費の見通しが1140-1190億ドルとなる見通しを示しました。ザッカーバーグ氏は、2025年を「パーソナライズされたAIアシスタントが10億人余りに行き渡る年」になると予想し、「メタのAIがそれをリードするAIアシスタントになると期待している」と述べています。マイクロソフト(Microsoft): クラウド事業が成長鈍化で、株価下落1月29日に発表された2024年10-12月期では、売上高が前年同期比12%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、設備投資額が拡大する一方でクラウド事業の成長が市場予想を下回ったため、時間外取引で株価が5%超下落しました。売上高:$696億(予想:$689億)EPS:$3.23(予想:$3.13) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比19%増の255億ドルで、うちAzureの売上高が同31%増となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は、7-9月期と同様に一部のデータセンター能力が実現しなかったことがクラウド部門の売上高の伸びを抑えていると説明し、年度末までにデータセンター能力の制約は解消される見込みと述べています。生産性とビジネスプロセス部門は14%増の294億ドル、個人向けコンピューティング部門はほぼ横ばいで147億ドルの売上となりました。また、将来の売上高の指標とされる大口顧客との新規契約「コマーシャル・ブッキング」については67%増加を記録し、堅調な需要を示しました。設備投資額は226億ドルに達し、市場予想の210億ドルを上回りました。ただし、2月24日にマイクロソフトは、データセンター2カ所分に相当する大規模なAIデータセンター向けのリースをキャンセルしたことが報じられ、一部これまでほどのAI投資が不要になる可能性も指摘されています。アップル(Apple): 堅調な業績見通しで、株価上昇1月30日に発表された2024年10-12月期決算では、中国市場の販売低迷で売上高が前年同期比4%増と市場予想を下回りました。しかし、2025年1-3月期の業績見通しについては市場予想を上回ったことから、時間外取引で株価は約3%上昇となりました。売上高:$1243億(予想:$1250億)EPS:$2.40(予想:$2.36) 事業別売上高は、総売上の約半分を占めるiPhoneの売上高が前年同期比1%弱減少し、691億ドルと市場予想を下回りました。iPhoneの販売低迷については、新型モデル「iPhone 16」の目玉機能であるAI機能「Apple Intelligence」が一部市場で展開できなかったことが主な要因とされ、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は電話会見で、AI機能を展開した市場ではiPhone 16の売れ行きが好調であったと述べています。一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同13.9%増の263億ドルと市場予想を上回り、過去最高を記録。MacとiPadの売上高についても、それぞれ90億ドルと81億ドルで、市場予想を上回りました。地域別では、投資家の懸念材料である中国市場の売上高は11%減の185億ドルと市場予想を下回りました。クック氏は、中国での減収の半分以上は在庫問題に起因すると説明しています。アルファベット(Alphabet): クラウド事業が成長鈍化で、株価下落2月4日に発表された2024年10-12月期決算では、売上高が前年同期比12%増と市場予想を下回り、時間外取引で株価は9%の下落となりました。売上高:$965億(予想:$967億)EPS:$2.15(予想:$2.12) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比10.6%増の725億ドル。うち、Youtube広告が同13.8%増の105億ドルとどちらも市場予想を上回りました。一方、グーグルクラウドの売上高はAI需要をとりこみ、同30%増の120億ドル。好調な成長を示しましたが市場予想を下回りました。自動運転車会社Waymoなどの「その他の事業」の売上高は、4億ドルとなりました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「第4四半期は、AIにおけるリーダーシップと事業全体の勢いに牽引された堅調な四半期となった」と述べ、2025年の設備投資額が約750億ドルになるとの見通しを明らかにしました。アマゾン(Amazon): 業績見通しさえず、株価下落2月6日に発表された2024年10-12月期決算では、好調な年末商戦が功を奏し、売上高が前年同期比10%増と市場予想を上回りました。しかし、2025年1-3月期の売上高・営業利益見通しが市場予想を下回ったことから、株価は時間外取引で約4%下落しました。売上高:$1878億(予想:$1873億)EPS:$1.86(予想:$1.47) 事業別売上高は、営業利益の約6割を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増の288億ドルと市場予想を下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は、コンピューターチップ供給と電力容量の不足がアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の成長を抑えていると説明し、2025年後半には緩和される可能性が高いとの見通しを示しました。主力のオンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなど中国発の割引サイトとの競争激化に直面しているなか、前年同期比8%増の756億ドル。同社で最も急成長している広告事業の売上高は前年同期比18%増の173億ドルとなりました。アマゾンはAI支出を拡大しており、10-12月期の設備投資額は263億ドルに達しました。2025年も同様のペースで投資をつづけ、約1000億ドル(約15兆円)をデータセンターや自社製半導体などに投じる計画を明らかにしました。エヌビディア(NVIDIA): 粗利益率低下の見通しで、株価下落2月26日に発表された2024年11月-2025年1月期決算では、売上高が前年同期比78%増と市場予想を上回りました。2025年2-4月期の売上高見通しはわずかに市場予想を上回りましたが、粗利益率の見通しが市場予想を下回ったことを受け、株価は翌日の取引で8%超の下落となりました。売上高:$393億(予想:$380億)EPS:$0.89(予想:$0.84) 売上の8割以上を占めるデータセンター部門は売上高前年同期比93%増の356億ドルと市場予想を上回りました。うち、投資家が供給制約を懸念していた、新型AI半導体のブラックウェル関連製品は110億ドルを売り上げ、エヌビディアの歴史で最も速い製品の立ち上げとなりました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は声明文で、「ブラックウェルの需要は驚異的である」と述べました。一方、ブラックウェルの生産拡大は一時的に収益性に影響し、同社の粗利益率は2-4月期は71%にまで低下する見通しが示されました。生産拡大に伴いコストは改善し、年末までに70%台半ばに上昇すると予想されています。

【米国株】NISAで買える、2025年急成長グロース銘柄を解説

【米国株】NISAで買える、2025年急成長グロース銘柄を解説

2025年、トランプ政策を巡る懸念などから、米国株市況は最高値付近で停滞する状況が続いていますが、一部銘柄は主要指数を大きく上回るパフォーマンスを発揮しています。本記事では、2025年に急成長している米国グロース銘柄を解説します。2025年急成長グロース銘柄10選1. テンパスAI(TEM)テンパスAIは、AI技術を活用した精密医療診断サービスプロバイダーです。同社は、腫瘍学や神経精神医学、心臓病学、感染症学、放射線学などの分野で遺伝子検査を販売し、アストラゼネカといった製薬大手などを顧客に持ち、グーグルやソフトバンクグループなどが出資しています。今年1月に、患者のためのAI対応パーソナルヘルス・コンシェルジュアプリ「olivia」 をリリースしたことに加え、株式の女王として知られる元下院議長ナンシーペロシ氏がテンパス株を購入したことが明らかになり、株価が急騰。テンパスの株価は年初来で約85%、直近1年で約56%上昇のパフォーマンスとなっています。2. ヒムズ・ハーズ・ヘルス(HIMS)ヒムズ・ハーズ・ヘルスは、2017年に設立された遠隔医療会社で、オンライン診療や処方箋の提供、サプリメントの販売を行っています。同社は、減量薬分野において製薬大手のノボ・ノルディスクやイーライ・リリーが供給不足に苦しむなか、同じ有効成分を低価格で消費者に提供することで市場参入に成功しました。直近では、2月19日にニュージャージー州を拠点とする在宅検査施設「Trybe Labs」の買収を発表。2月21日には、国内サプライチェーンの強化に向けて、カリフォルニア州に所在する米国のペプチド製造施設の買収を発表し、新たなカテゴリーへの参入が期待されています。ヒムズの株価は年初来で約63%、直近1年で約300%上昇のパフォーマンスとなっています。3. スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)スーパー・マイクロ・コンピューターは、ITソリューションプロバイダーで、AIサーバー向けのソリューションが注目を集めています。同社は、昨年会計規則に違反したとする元従業員の告発を受けて、株価が大幅下落。ナスダック上場廃止の危機に陥りましたが、未提出となっていた2024年度の決算報告書を米証券取引委員会(SEC)に2月25日までに提出できるとの見通しを示し、上場廃止回避への期待感が高まりました。また2月6日、エヌビディアの「Blackwell GPU」を搭載し、次世代冷却システムを備えたAIデータセンター向けのラックソリューションの本格生産開始の発表を受け、株価が急騰。スーパー・マイクロの株価は年初来で約63%上昇、直近1年で約45%下落のパフォーマンスとなっています。4. オクロ(OKLO)オクロは、小型モジュール原子炉(SMR)を開発する企業で、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて2024年5月にニューヨーク証券取引所に上場しました。同社は、OpenAIのサム・アルトマン氏が会長を務めており、アルトマン氏は「核融合による先進的エネルギーソリューションの商業化において、最も有利な位置につけている」と評価し、2015年に出資をしました。米国では近年、グーグルやアマゾンをはじめとするハイテク大手がAIシステム運用に必要な大規模データセンターの電力需要に対応するため、原子力発電への投資を強化。米国政府も原子力容量を3倍にする目標を掲げ、民間を後押ししています。オクロの株価は年初来で約51%、直近1年で約211%上昇のパフォーマンスとなっています。5. クラウドフレア(NET)クラウドフレアは、クラウドサービスプロバイダーで、Webサイトの表示速度を高速化する「コンテンツデリバリネットワーク(CDN)」やインターネットセキュリティサービスを提供しています。同社は2月の決算発表で、大口顧客が前年比27%増加し、大口顧客からの収益が前年同期比69%上昇したことを発表し、大きな注目を集めました。アナリストも決算を受け、生成AI関連やサイバーセキュリティ分野の需要拡大を見込み、一斉に目標株価を引き上げました。クラウドフレアの株価は年初来で約29%、直近1年で約47%上昇のパフォーマンスとなっています。6. ASTスペースモバイル(ASTS)ASTスペースモバイルは、米国を拠点とする上場衛星製造企業で、英通信大手ボーダフォンや米国の通信大手AT&Tと提携し、スペースXのスターリンクと競合する商業用衛星と携帯電話を直接つなぐモバイル・ブロードバンドサービスの提供を開発しています。1月末に、モバイル・ブロードバンドサービスを年内に欧州の顧客に提供し始めると報じられたことで、株価が上昇。日本では楽天モバイルと提携し、2026年内の低軌道衛星による通信サービス提供を目指しています。ASTの株価は年初来で約28%、直近1年で約764%上昇のパフォーマンスとなっています。7. ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)ロビンフッド・マーケッツは、米国の金融サービス企業であり、主にミレニアル世代やZ世代の投資家をターゲットに、直感的なインターフェースと低コストの取引サービスを特徴とした投資アプリ「Robinhood」を通じて、株式、ETF、暗号資産の取引を提供しています。同社は、手数料無料の取引所として急成長し、近年は暗号資産事業などの拡大に注力しており、トランプ政権下での暗号資産に対する規制緩和の恩恵を受けると期待されています。ロビンフッドの株価は年初来で約19%、直近1年で約203%上昇のパフォーマンスとなっています。8. リカージョン・ファーマシューティカルズ(RXRX)リカージョン・ファーマシューティカルズは、米国を拠点とするバイオ医薬品企業で、AIソフトウェアを使用して医薬品開発のペースを1年で10倍に加速させています。同社の株価は、2023年にエヌビディアがリカージョンの創薬用AIモデルの訓練加速に5000万ドルを投じる公表したときに急騰し、直近では、2月14日にエヌビディアがSECに提出した書類で、2024年の10-12月中にいくつかのAI関連株の持ち株を売却したにもかかわらず、リカージョンの約770万株すべてを保有し続けたことが明らかになったことで、再び注目を集めています。リカージョンの株価は年初来で約19%上昇、直近1年で約42%下落のパフォーマンスとなっています。9. アップラビン(APP)アップラビンは、AIを活用したマーケティングプラットフォーム企業で、特にモバイルゲーム市場に強みを持ち、ROI(投資対効果)ベースで広告の最適化配信を行うのが特徴です。2月12日の決算発表では、主力の広告事業が前年同期比73%増の10億ドルに大幅成長し、第1四半期の業績見通しも市場予想を上回ったことから、翌日に株価は一時40%高となりました。アップラビンの株価は年初来で約13%、直近1年で約552%上昇のパフォーマンスとなっています。10. パランティア・テクノロジーズ(PLTR)パランティア・テクノロジーズは、ビッグデータ解析を手掛ける企業で、ペイパル共同創業者のピーター・ティール氏らによって設立されました。政府機関や企業向けのデータ活用支援に強みを持っており、2024年9月にS&P 500指数の構成銘柄に採用されたことで株価が急成長しました。直近では、2月19日に米国防総省の予算削減が報道されたことで、株価が10%下落。同社の総売上高の半分以上を政府向けが占めており、政府関連業務がここ数年間の売上急増に寄与していました。パランティアの株価は年初来で約17%、直近1年では約274%上昇のパフォーマンスとなっています。

トランプ政策懸念で経済指標悪化、株式市場は大きく下落する。日銀利上げ観測で円高も進む|米国市場サマリー

トランプ政策懸念で経済指標悪化、株式市場は大きく下落する。日銀利上げ観測で円高も進む|米国市場サマリー

先週は、S&P500の最高値更新から始まりましたが、トランプ大統領が新たに自動車や医薬品・半導体に対して25%関税を課す方針を発表したことで市場は動揺し、さらにPMI(購買担当者景気指数)がトランプ政策に対する懸念から下がったことで、株式市場も大きく下げて1週間を終えています。為替は、日銀の高田審議委員が利上げに前向きな発言をして、石破首相と植田総裁の会談でも長期金利に対する話題は出なかったことから、日銀の利上げを政府も容認しているとの見立てが強まり、大きく円高が進みました。米国株式市場:トランプ政権への不安から経済指標が悪化し、株式市場も大きく下げる2月17日(月) President's Dayのため市場休場2月18日(火) 米国株式市場は上昇し、S&P 500は終値で過去最高値を更新しました。市場はFOMC議事要旨の公表や主要小売企業の決算を控える中、慎重な動きとなりました。Intel (+16.1%) は、TSMC や Broadcom が同社の事業買収に関心を示していると報じられ急騰。Philadelphia Semiconductor Index (+1.7%) も上昇しました。また、Constellation Brands (+4.0%) は Berkshire Hathaway の株式取得が明らかになり買われました。一方、Meta (-2.8%) は連騰が20日でストップしました。2月19日(水) 市場は小幅に続伸し、S&P 500は2日連続で終値の最高値を更新しました。投資家はFOMC議事要旨を精査し、トランプ大統領が発表した新たな関税措置を消化しました。FRBは議事要旨で、インフレの根強さや関税政策の影響に懸念を表明しました。トランプ大統領は、輸入自動車、半導体、医薬品に対し25%の関税を課す方針を示しました。Analog Devices (+9.7%) は四半期の利益と売上高が市場予想を上回り急伸。2月20日(木) 市場は反落し、ウォルマートの業績見通しの悪化や関税懸念が重しとなりました。Walmart (-6.5%) は今年度の売上高と利益の見通しが市場予想を下回り、消費者需要の減退を示唆しました。他の小売株も影響を受け、Target (-2.0%)、Costco (-2.6%) も下落しました。トランプ大統領は関税の対象を自動車、半導体、医薬品に加え、木材や林産品にも広げる方針を示しました。2月21日(金) 市場は大幅に下落し、S&P 500は昨年12月18日以来の1日として最大の下げ幅を記録しました。S&PグローバルのPMI(購買担当者景気指数)が50.4と低下し、NAR(全米リアルター協会)の中古住宅販売戸数が4.9%減少するなど、経済指標の悪化が投資家心理を冷やしました。UnitedHealth (-7.2%) は、米司法省がメディケア請求慣行を巡る調査に乗り出したと報じられ、大幅下落。Block (-17.7%) は第4四半期の利益が市場予想を下回り急落しました。Tesla (-4.7%)、Rivian (-4.7%) はリコール(無償修理)の発表を受け売られました。また、超大型ハイテク7銘柄(“Magnificent Seven”)は全てマイナスとなり、NVIDIA (-4.1%) も下落しました。為替市場:日銀高田審議委員発言で日銀の早期利上げ観測が強まり、大きく円高に進む為替は、19日に日銀の高田審議委員が「利上げで一段のギアシフトを進める局面にある」と発言したことで、日銀の早期利上げ観測が強まり、大きく円高に動いた1週間でした。20日の日銀植田総裁と石破首相の会談でも長期金利上昇に関する話は出なかったことから、政府も利上げを容認していると市場は見ていると考えられます。今週のマーケット:ついに注目のNVIDIA決算。Magnificent7の上昇は続くか今週(2025/2/24-2/28)は、注目のNVIDIA決算があり、テクノロジー銘柄の株価に大きな影響があると想定されます。また、PCE物価指数の公表もあるので、今後のFRB利下げ動向にも注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【ナンシー・ペロシのポートフォリオ解説】株式取引の女王の2025年注目銘柄は?

【ナンシー・ペロシのポートフォリオ解説】株式取引の女王の2025年注目銘柄は?

株式の女王として知られる元下院議長ナンシー・ペロシ氏は、株式ポートフォリオで2024年に54%の利益を上げ、多くの大手ヘッジファンドの業績を上回りました。本記事では、ナンシー・ペロシ氏のポートフォリオを紹介の上、2025年の取引動向について解説します。ナンシー・ペロシポートフォリオの中身ペロシ氏はハイテク株を中心に取引していることで知られ、株式ポートフォリオは11銘柄で構成されており、上位5銘柄で約60%を占めています。ナンシー・ペロシの保有銘柄エヌビディア(NVDA):19.4%アルファベット(GOOGL) : 13.6%パロアルトネットワークス(PANW): 10.7%テンパスAI(TEM): 9.6%アマゾン(AMZN): 9.5%ブロードコム(AVGO) : 9.1%ビストラ・コープ(VST): 8.7%クラウド(CRWD): 5.6%アップル(AAPL) : 5.3%マイクロソフト(MSFT): 4.7%テスラ(TSLA): 3.9%2025年は5銘柄を購入、テンパスAIが急成長2025年、ペロシ氏はテンパスAI、ビストラ・コープ、アマゾン、アルファベット、エヌビディア株を購入したことが、1月の定期取引報告書で明らかになりました。中でも、テンパスとビストラ株の新規購入は市場の注目を集め、ペロシ氏の保有開示により1月21日の時間外取引でテンパスは約19%、 ビストラは約6%株価が上昇しました。AI関連2銘柄を新規購入テンパスAIは、AI技術を活用した精密医療診断サービスプロバイダーです。同社は、腫瘍学や神経精神医学、心臓病学、感染症学、放射線学などの分野で遺伝子検査を販売し、アストラゼネカといった製薬大手などを顧客に持ち、グーグルやソフトバンクグループなどが出資しています。ペロシ氏は、2025年1月14日に5〜10万ドル相当のテンパス株を購入しました。その後、テンパスは患者のためのAI対応パーソナルヘルス・コンシェルジュアプリ「olivia」 をリリースしたことで、株価が急騰。テンパスの株価は2025年1月のみで約90%上昇して、非常に収益性の高い取引となりました。ビストラ・コープは、小売電力および発電の公益事業会社です。同社は、2024年に原子力発電能力を大幅に増強し、株価が年初来264%上昇を記録。 S&P 500株価指数でトップクラスのパフォーマンスとなりました。ペロシ氏は、2025年1月14日に5〜10万ドル相当のビストラ株を購入しました。大手ハイテク株への強気姿勢を維持また、ペロシ氏は2025年1月14日に25〜50万ドル相当のアマゾン、アルファベット、エヌビディア株を購入しました。ただし、エヌビディア株については2024年12月31日に100~500万ドル相当の1万株を売却しており、DeepSeekの低コストAIモデルや不透明な関税動向を巡って、エヌビディアが下落する前に売り抜けていたと一部投資家の中で話題となっています。