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【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

本記事では、マイクロソフトの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月30日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約13%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。7-9月期の注目点:Azureの成長性とAI投資のコスト圧力2024年7-9月期の「売上高予想は$645.1億、EPS予想は$3.1」、平均目標株価は$497です。クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるかマイクロソフトのクラウド部門は同社で最も成長しているセグメントであるため、投資家が最も注目する傾向があります。直近4四半期において、Azureは競合のAWSよりも速いペースで成長しており、世界のクラウドインフラ市場でのシェアを25%にまで伸ばし、シェア首位であるAWSの31%に近づいています。一方で過去5年間、マイクロソフトの設備投資額は収益よりもはるかに速いペースで増加しており、積極的な設備投資によるコスト圧力にも注目が集まります。2024年度の設備投資額は前年比75%増の557億ドルに達し、売上高の23%に相当する額となりました。フッド氏は7月の決算発表で、2025年度も設備投資額が増加する見込みであると述べており、アナリスト予想では設備投資額が売上高に占める割合は2025年度は28%となっています。AIインフラへの莫大な投資は、短中期的に利益率の拡大を制限する可能性があり、少なくとも今後1年間は同社の収益にとって逆風となると指摘されています。したがって、Azure AIの成長が停滞したり市場の期待に応えられない場合は、株価の調整が引き起こされる可能性があります。オープンAIとの関係も懸念材料にまたこれまでに130億ドルの投資している、オープンAIとの関係性にも懸念が示されています。10月2日、オープンAIは66億ドルの資金を調達し、企業価値が1570億ドルと評価されました。マイクロソフトはオープンAIの最大の外部株主であり、追加で7.5億ドルを投じましたが、利害関係者の増加は両社の関係を弱める可能性があると指摘されています。オープンAIが非営利組織から営利企業への移行を進める中で、株式をどのように分配するのかも注目されており、マイクロソフトの株式保有額が大きければ大きいほど、規制当局が監視の目が厳しくなると予想されています。さらに、ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)をはじめオープンAIの幹部が相次ぎ退社するなど、新たな波紋を呼んでいます。一部アナリストは、オープンAIの損失が同社の最大の懸念事項であるとし、これらの損失は2025年度には20億〜30億ドルになる可能性があると予想しています。

半導体下落でNASDAQは低調。銀行株と小型株が好調でS&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

半導体下落でNASDAQは低調。銀行株と小型株が好調でS&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

先週は、ASMLの低い売上見通しから半導体需要低迷懸念が広がり、半導体中心にグロース市場が下落しました。一方、小売売上高が予想を上回ったこともあり、決算が好調だった銀行株の上昇がダウ平均やS&P500を押し上げ、最高値を更新しています。また、小型株指数も好調で、市場全体でテクノロジー株からその他セクターへの資金還流が進んでいます。為替は、米国小売売上高の結果を受け、強い経済からFRBが利下げペースを遅らせる見通しが出て、円安が進みました。米国株式市場:半導体需要低迷懸念でNASDAQは下落するも、堅調な経済と決算でS&P500は上昇10月14日(月) 米国株式市場は上昇し、S&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新しました。企業決算発表を控え、半導体やテクノロジー株が買われ、特にNVIDIAが2.4%上昇し終値として最高値を記録。半導体企業指数(SOX)は1.8%上昇し、S&P情報技術指数もセクター別でトップの上昇率を示しました。一方、Caterpillarはアナリストの投資判断引き下げを受けて2%下落、Boeingも1.3%下落しました。10月15日(火) 米国株式市場は反落し、NASDAQが下落を主導しました。特に半導体株が需要低迷懸念で売られ、NVIDIAは4.7%下落。ASMLが示した低調な売上見通しが影響し、フィラデルフィア半導体指数は5.3%の大幅下落となりました。また、UnitedHealth Groupは利益見通しが市場予想を下回ったことで8%下落。原油価格の下落を受け、エネルギー株も売られましたが、Bank of AmericaとCharles Schwabは好調な決算を受け、それぞれ上昇しました。10月16日(水) 米国株式市場はダウ工業株30種が反発し、最高値を更新。銀行大手の好決算が市場を押し上げ、Morgan Stanleyが6.5%急伸しました。金融株や小型株が好調で、ラッセル2000指数は1.6%上昇し、S&P小型株指数も1.4%上昇。半導体株ではNVIDIAが前日の下落から3.1%上昇し、S&P 500の複数セクターが最高値で取引を終えました。航空株も好調で、United Airlinesが12.4%上昇しました。10月17日(木) 米国株式市場はダウ工業株30種が上昇し、5日中4日で最高値を更新。小売売上高が予想を上回り、経済の堅調さが示されました。台湾のTSMCが強気な見通しを発表し、同社株は9.8%急伸、NVIDIAも0.9%上昇。保険会社のTravelersや資産運用のBlackstoneも好決算を受け、それぞれ9%、6.3%上昇しました。地方銀行の決算も好調で、M&T BankやSynovus Financialが5%超上昇しました。10月18日(金) 米国株式市場はS&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新し、NASDAQもプラス圏で引けました。Netflixが11.1%急騰し、テクノロジー株が市場を押し上げました。特にAppleは1.2%上昇し、iPhoneの中国での好調な売上が支援材料となりました。半導体大手NVIDIAも0.8%上昇。金融セクターは一服し、S&P銀行株指数は0.1%下落しましたが、全体的に市場は強気ムードが続いています。今週は火曜日にASMLの低い売上見通しが半導体市場の需要低迷懸念につながり、グロース市場は前半で大きく落ち込みました。しかし、その後は予想を上回る小売売上高で経済の堅調さが示され、決算では特に銀行株が予想を超える内容だったため、ダウ平均は最高値を連続更新しました。小型株もテクノロジー株から流出した資金の受け皿となり大きく上昇しています。銀行株だけでなく、NetflixやUnited Airlinesといった銘柄の決算も口調で、今四半期決算は順調な滑り出しとなっています。為替市場:FRB利下げ観測に合わせて方向性を欠いた1週間に為替は、米国の小売売上高が上振れしたため、FRBの年内利下げ期待がさらに後退し、円安に触れて一時150円もつけました。来週に向けては重要指標もなく、しばらくは方向性を欠く展開になりそうです。今週のマーケット:M7決算が始まる今週(2024/10/21-10/25)は、M7決算がついに始まります。テクノロジー銘柄への期待形成に重要な決算となるので要注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金に対する強気な市場状況を反映し、9月金ETF(上場投資信託)は14億ドルの流入超となり、5カ月連続での流入超を記録しました。米連邦準備理事会(FRB) が9月18日に利下げ開始を決定したことが好材料となり投資家に好機をもたらしています。本記事では「金価格が上昇している理由」を解説のうえ、ETFを通じた金投資の利点について紹介いたします。最高値を更新し続ける金価格金価格は3月以来急騰し、10月17日には初めて1オンス2700ドルを上回りました。金価格は年初来で約35%上昇しており、S&P500指数の上昇率の約1.5倍のパフォーマンスとなっています。安全資産の需要増、米利下げも追い風金価格は様々な要因によって影響を受けますが、最近の上昇はFRBを含む主要中央銀行による金融緩和への期待と地政学的緊張によって牽引されています。通常、金利が低下すると、銀行に預けた資金や債券から得られる利息が少なくなり、相対的に利息収入が得られない金の魅力が高まります。2000年以降、3回あった米利下げサイクルでは金価格は上昇し、世界株式を上回るパフォーマンスとなっています。また、金は市場の不確実性に対するヘッジとしても見られており、米大統領選や中東紛争をめぐる不透明感から、安全資産としての魅力がさらに高まっています。ゴールドマン・サックスは「世界的な金利低下、構造的な中央銀行の需要増加、地政学、金融、景気後退のリスクに対する金のヘッジ効果により、金ロングをあらためて推奨する」とし、2025年初めの金価格予想を1オンス2700ドルから2900ドルに引き上げました。金価格に連動し、銀価格も高騰また、銀価格も年初来で35%以上上昇し、約12年ぶりの高値近辺で推移しています。金相場高騰に追随していることに加え、銀は太陽光パネルや電子機器など工業用の需要が高まっています。ETFであれば、金投資が簡単に金ETFは、金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託で、現物投資と異なり保管リスクがなく、最低投資額が金価格の10分の1〜100分の1と小口のものも多くなっています。さらに、上場投資信託の名前にもある通り上場しているため、取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができ、運用管理においても、金ETFであれば株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握がしやすいというメリットが挙げられます。また現物投資と、ETFを通じて金投資するのでは、利益に対する税金の取り扱いが異なります。現物投資して得た利益は、給与などの他の所得と合わせて総合課税の対象となり、税率は累進課税が適用されます。一方、金ETFに投資して得た利益は株式と同様に税率は20.315%となり、損失が出た場合は株式などとの損益通算ができます。

【アマゾン決算みどころ】AI投資と宇宙開発の利益率への影響は(Amazon)

【アマゾン決算みどころ】AI投資と宇宙開発の利益率への影響は(Amazon)

本記事では、アマゾンの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月24日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。アマゾンの株価は年初来から25%以上上昇し、S&P500指数の上昇率と同程度のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:営業利益見通しが予想を下回り、株価下落8月1日に発表された2024年4-6月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比10%増となりましたが市場予想を下回りました。7-9月期の営業利益見通しについても市場予想を下回り、株価は時間外取引で6%下落しました。売上高:$1480億(予想:$1486億)EPS:$1.26(予想:$1.03) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業と比較すると成長率は遅れ、「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。オンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面し、前年同期比5%増。サードパーティ販売者サービスの売上は同12%増となりました。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、売上高は前年同期比20%増でしたが、市場予想をわずかに下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2024年上期にクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターなどの設備投資に305億ドルを投じたとし、下期には投資額を増やす予定と述べています。7-9月期の注目点:小売・AWSの成長性と営業利益率2024年7-9月期のアマゾンの「売上高予想は$1572億、EPS予想は$1.14」、平均目標株価は$221.2です。プライムデー効果で小売事業は好調予想7-9月期の業績に影響を与える、7月の「プライムデー」の売上高は142億ドルと、前年比11%増で過去最高を記録しました。アナリストらはプロモーションイベントとしてのプライムデーの成功は、記録的な売上とプライム会員の新規加入の増加に表れているだけでなく、アマゾンの広告事業にも貢献した可能性が高いと予想しています。スポーツコンテンツ強化で広告事業も好調かアマゾンの広告収入は今年前半に市場予想をわずかに下回りましたが、一部アナリストは、今年後半は全体の収益に大きく貢献すると予想しています。特に、Prime VideoサービスでのNFLの試合の増加、2025シーズンのNBA66試合、2024年PPA世界選手権の独占放映権など、スポーツコンテンツの大幅な拡大が指摘されており、ライブスポーツ中継での広告が貢献し、来年の広告契約獲得目標である18億ドルを既に達成したと報じられています。また最近のニュースとしては、10月9日米国のPrime Videoサービスに、月額9.99ドルの追加サブスクリプションとしてApple TV+を提供することを発表しています。AI投資と宇宙開発の営業利益率への影響はAWSについては、クラウドインフラ市場でシェアトップのプロバイダーであり、2023年にはアマゾンに営業利益の3分の2をもたらしましたが、前期決算発表において、AIサービス構築に向けて年間の設備投資を拡大する姿勢を明らかにしており、大規模な支出に見合う高い成長が達成可能かを投資家に示す必要があります。また最近、アマゾンの衛星インターネット事業「Project Kuiper」が同社の営業利益率にどのような影響を与えるかについて、アナリストの間で議論が活発化しています。Project Kuiperは、世界中のネットワークが行き届いていない地域に、高速で低遅延のインターネット接続を提供することを目指しており、すでに2つのプロトタイプ衛星のテストを終え、量産衛星の打ち上げは2025年に開始される予定です。ジャシー氏は4月に株主に宛てた書簡の中で、同事業を「非常に大きな収益機会」と述べています。同社はこの取り組みに少なくとも100億ドルを費やすとしていますが、SpaceXのStarlinkとの競争を見据えると、コストは200億ドル以上に上昇する可能性が高いと予想されています。一部アナリストは、プロジェクトのコストにより2025年のアマゾンの北米部門の営業利益目標は6%の下方修正に直面する可能性があると、Project Kuiperがアマゾンの利益率に重しになるとの懸念を示しています。一方、アマゾンの今年の手元資金は1000億ドル(約15.3兆円)を超えると予測されることから、「たとえカイパーに200億ドルの費用がかかり、今後18カ月間利益率を多少圧迫するとしても、誤差である」と強気な見方を示すアナリストもいます。

【アルファベット決算みどころ】堅調な業績期待も、独占是正案が株価の重しか(GOOGLE)

【アルファベット決算みどころ】堅調な業績期待も、独占是正案が株価の重しか(GOOGLE)

本記事では、アルファベットの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月22日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。独占是正案に関する警戒から、同社の株価は年初来から約19%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:好業績も設備投資見通し高止まりで、株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では検索とクラウドが成長を牽引し、売上高が前年同期比14%増、純利益が同28.6%増と市場予想を上回る堅調な結果でした。しかし、YouTubeの広告収入が予想に届かず、年間を通じて設備投資額が高止まりするとの見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$847.4億(予想:$841.9億)EPS:$1.89(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億ドル。うち、Youtube広告が同13%増の87億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の103.5億ドルと、四半期で初めて100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。「その他の事業」の売上高は、自動運転車会社「ウェイモ」を含め、前年同期比28%増の3.65億ドルとなりました。ウェイモは、第2四半期中にサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。また、アルファベットはウェイモに対する新たな50億ドルの複数年投資計画を発表しました。四半期設備投資額は130億ドルとなり、年内の四半期設備投資額は120億ドル以上になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIスタックのあらゆる層で革新を進めている」と述べた上で、「過小投資のリスクは、過剰投資のリスクよりはるかに大きい」との考えを示しました。一部アナリストは、グーグルのAIへの巨額投資について、一部投資家が「AIによってどのぐらいの売り上げを得ているか」明確な証拠を求めている段階に入り、これが懐疑的な見方や株価の不安定な動きにつながっていると指摘しています。7-9月期の注目点:YouTubeとクラウドの成長性2024年7-9月期のアルファベットの「売上高予想は$863.5億、EPS予想は$1.84」、目標株価は201.8です。独占禁止法訴訟が長期化同社に関する最近の報道の多くは、同社に対する反トラスト法(独占禁止法)の調査に焦点を当てています。8月、連邦地方裁判所はグーグルのインターネット検索サービスが独占禁止法に違反したとの判決を下し、10月8日には独占に伴う弊害の是正に向け、司法省が同社に一部事業の切り離しを求める勧告をするよう裁判所に求める可能性があると明らかにしました。是正案が実現すれば、独占禁止法に基づく企業分割の歴史的ケースとなります。司法省は11月20日までに具体的な是正案を裁判所に提出する見通しであり、グーグルは連邦地裁の判断を不服として控訴するとしています。一方、上述の裁判は「インターネット検索」についてですが、9月9日にはグーグルの「オンライン広告」を巡る独占禁止法訴訟が始まりました。司法省は、グーグルのデジタル広告市場における優位性が広告主とコンテンツ制作者に損害を与えていると主張しており、検索と同様に今回の広告訴訟でもグーグルの事業分割を求める構えです。最終弁論は11月25日に予定されており、判決は年末までに下される可能性が高いと考えられています。アナリストの多くは、裁判結果に関する不確実性がアルファベット株の短期から中期的な重荷になると予想し、同社の目標株価を引き下げたものの、長期的な見通しに対しては引き続き前向きな姿勢を示しています。クラウド部門の好調は続くかアナリストらは7-9月期の売上高、利益ともに堅調な業績を期待しており、グーグルクラウドとYouTubeの成長が鍵と見ています。クラウド部門はアマゾンとマイクロソフトに次ぐ第3位のサービスプロバイダーですが、新たな機会を狙い設備投資を増やしています。最近開催されたクラウドイベント「Gemini at Work 2024」では継続的にイノベーションを行っていることが強調され、AIワークロードの投資収益率が改善し、クラウド部門のさらなる収益成長の可能性が示されました。株価に反映されていなウェイモ事業また現時点では、アルファベットの株価評価にウェイモ事業はほとんど反映されていませんが、テスラに先駆けてロボタクシーサービスを米国で唯一運営しており、投資家が新たな展開を注視すべき企業資産です。10月4日、ウェイモとヒュンダイは複数年にわたる戦略的提携を提携したことを発表しました。提携の第一段階では、両社はウェイモの最新の自動運転技術をヒュンダイの完全電気自動車「IONIQ 5 SUV」に組み込み、最終的にはウェイモのロボタクシー車両群の一部となる予定です。ヒュンダイは米国で第2位のEVメーカーであり、ヒュンダイ、起亜、ジェネシスのブランドを含めると約10%の市場シェアを占めています。

FOMC議事要旨とCPIで利下げ期待は一進一退しつつ、S&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

FOMC議事要旨とCPIで利下げ期待は一進一退しつつ、S&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

先週は、FOMC議事要旨が想定より利下げに前向きだったことから、利下げ期待が強まり株価が上昇しました。CPIは予想よりやや上振れしたので利下げ期待は一進一退でしたが、JP Morgan等の大手金融機関決算が好調だったことでS&P500は最高値を更新して上昇し、1週間を終えました。為替は、先週の雇用統計から利下げ期待が後退して一時円高になりましたが、その後FOMC議事要旨で円安が進み、さらにCPIで円高にやや戻しました。結果として、方向性を欠く1週間となりました。米国株式市場:利下げ観測はFOMC議事要旨とCPIで一進一退も、S&P500は最高値更新10月7日(月) 米国株式市場は主要3指数が約1%下落しました。FRBの利下げ観測が後退し、中東での紛争が原油価格に与える影響が懸念され、AlphabetやAmazon、Appleの株が売られました。特にGoogleがモバイルアプリ事業の見直しを命じられたことが、投資家のセンチメントを悪化させました。VIX指数が大きく上昇し、投資家の不安感が高まりました。エネルギーセクターのみが上昇しましたが、その他のセクターは軟調でした。10月8日(火) 米国株式市場は反発し、ハイテク株への買い戻しが進みました。特にNVIDIA、Apple、Teslaなどが上昇し、NASDAQも強含みました。データ解析企業のPalantirとサイバーセキュリティー企業Palo Alto Networksも相場を押し上げましたが、素材セクターは下落しました。エネルギーセクターは原油安を受けて2.6%下落し、全体的には慎重な姿勢が続いています。10月9日(水) 米国株式市場は主要株価3指数が続伸し、S&P 500とダウ工業株30種が終値で最高値を更新しました。FOMC議事要旨が公表され、FRBが年内にさらに利下げを行う可能性が高まったことが市場に安心感を与えました。Alphabetは米司法省による事業分割懸念から売られましたが、他の業種が強含みました。特にクルーズ関連株が好調で、Norwegian Cruise Lineが大幅上昇しました。10月10日(木) 米国株式市場は反落し、9月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回ったことで、利下げ観測がやや後退しました。デルタ航空などの航空株は売られましたが、エネルギー株は原油価格の上昇を受けて堅調でした。インフレと雇用のデータが交錯する中、FRBの次の一手に市場の注目が集まっています。10月11日(金) S&P 500とダウ工業株30種は最高値で引け、金融株が好調でした。JP MorganとWells Fargoが好調な四半期決算を発表し、銀行株が相場をけん引しました。また、インフレ指標を受け、11月のFOMCで利下げが行われるとの観測が強まりました。テスラはロボタクシーの発表を行いましたが、具体的な生産計画が明らかにされなかったため、株価は一時下落しました。今週はFOMC議事要旨が公開され、FRB内部が想定より利下げに前向きだったことが明らかになり、年内追加利下げの観測が強まって株価が上昇しました。しかし、CPIの数値が予想をやや上回るものだったこともあり、利下げ観測については一進一退が続いています。決算シーズンが始まり、金融銘柄の業績が好調だったことからS&P500やダウ平均は押し上げられ、最高値を更新しています。為替市場:FRB利下げ観測に合わせて方向性を欠いた1週間に為替は、先週のサプライズだった雇用統計の影響で一時円高が進むも、FOMC議事要旨で再度利下げ観測が強まり円安に戻し、上振れたCPIでやや円高方向によって1週間を終えています。トータルではやや円安という結果でした。為替はしばらく大きな材料がないまま相場が動きそうです。今週のマーケット:金融銘柄とヘルスケア銘柄の大型決算に注目今週(2024/10/7-10/11)は、決算シーズンが本格化し、金融銘柄の残りとヘルスケア銘柄の決算が控えているので注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

なぜ大幅利下げ観測が後退?年内利下げ不要論も

なぜ大幅利下げ観測が後退?年内利下げ不要論も

直近の米金融市場では、利下げ観測後退を背景にドル高・円安が進む展開となっています。投資家にとって、今後の利下げ幅とペースは重要な問題であり、本記事では米利下げ観測の変化とその要因を解説します。11月に0.25%の利下げ観測がコンセンサスにFRB(連邦準備制度理事会)は9月17-18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を0.5%引き下げ、4.75-5%にすることを決定しました。パウエル議長は会合後に記者会見で、大幅利下げに踏み切った一因は労働市場の力強さを維持するための「再調整」と説明しています。予想外に強かった9月雇用統計ところが、10月4日に発表された9月の雇用統計は、7月と8月の就業者数は合計7.2万人の上方修正され、9月の就業者数の伸びは25.4万人と市場予想を大幅に上回りました。失業率も予想外に4.2%から4.1%に低下し、労働市場の底堅さが示されたことから、10月雇用統計が大崩れしない限り、11月のFOMCでは再び0.5ポイントの大幅利下げには踏み切らず、通常の0.25ポイントの利下げを実施する見方が大勢となりました。その後10月10日に発表された、9月の消費者物価指数(CPI)は市場予想をやや上回る伸びとなりました。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年同月比が3.3%上昇と8月の3.2%上昇から反転し、物価上昇率が順調に低下していない可能性があるとの懸念を生じさせました。一方、同日に発表された週次の新規失業保険申請件数は、ハリケーンなどが影響し、前週比3.3万件増と週間の増加幅としては2021年7月以来最大となりました。ハリケーン「ヘリーン」は米南東部の広範囲で甚大な被害を出し、一部では道路や電力の復旧に苦慮しており、事業回復には時間がかかると想定されています。市場はコアCPIインフレ率の上昇よりも失業保険申請件数の急増を重視し、11月の利下げ確率は約90%に急上昇しました。また、10月の労働市場関連の経済指標には、ボーイング従業員3万3000人が加盟する労働組合による9月のストライキとハリケーンの影響から解釈が難しくなることが指摘されています。利下げ継続に慎重な見方も一部からは、米経済の力強さと根強いインフレによって、年内の利下げはあと1回に留まるとの見通しも出ています。具体的には、10月の雇用統計が比較的力強く、インフレ鈍化の流れが休止する状況が続けば、追加利下げを控える可能性が指摘されています。また、著名エコノミストのエド・ヤルデニ氏は、原油価格が上昇傾向にあり、中国が景気刺激策を打ち出す中で、FRBがさらなる利下げを行えば、インフレを引き起こす懸念があるりFRBは年内の利下げは必要ないという見方を示しています。今後の注目イベント11月1日 雇用統計11月5日 大統領選挙11月6〜7日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合11月13日 消費者物価指数(CPI)12月6日 雇用統計12月11日 消費者物価指数(CPI)12月17〜18日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合

【テスラ決算みどころ】ロボタクシー発表を終え、材料出尽くしか(TESLA)

【テスラ決算みどころ】ロボタクシー発表を終え、材料出尽くしか(TESLA)

本記事では、テスラの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月23日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は一時S&P500種構成銘柄の中で最も悪いパフォーマンスでしたが、過去6ヶ月間で約30%上昇と見事V字回復を果たしています。前期の振り返り:純利益大幅減で株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では、売上高が前年同期比2%増、純利益は同45%減となりました。投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)についても14.6%と、1-3月期の16.4%から低下し、株価は翌日12%下落しました。売上高:$255.0億(予想:$247.7億)EPS:$0.52(予想:$0.62) セグメント別では、自動車部門の売上が前年同期比7%減の199億ドルでしたが、テスラのエネルギー生成・貯蔵部門の売上が倍増したことにより、全体の売上高の成長に寄与しました。また、7-9月の自動車生産が4-6月期よりも増える見通しを明らかにしたものの、2024年の納車台数の伸び率は前年より「著しく低くなる」見通しをあらためて示しました。テスラは引き続きコスト削減に重点を置くとし、新モデルのサイバートラックは年内に黒字化する方向。低価格車の計画も前進しており、25年前半に生産開始の見込みです。そのほか、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、「ロボタクシー」の発表イベントを10月10日に延期すると明らかにしました。ロボタクシーはヒューマノイドロボット「オプティマス」と同様に、テキサス州オースティンにある工場で製造されます。アナリストからはテスラの株価を押し上げる強力な材料が短期的に不足との指摘もあり、一部アナリストは10月のロボタクシー発表が実質的な内容より願望に近いものになる可能性があると懐疑的に見ています。7-9月期の注目点:利益率とロボタクシーの詳細2024年7-9月期のテスラの「売上高予想は$255.3億、EPS予想は$0.59」、目標株価は$214となっています。販売台数改善も投資家の期待に届かずテスラが10月2日に発表した、2024年7-9月期の販売台数は中国市場で販売促進策を強化したことが功を奏し、前年同期比6%増の46万2890台と3四半期ぶりの増加となりました。しかし、市場予想をわずかに下回り、投資家の期待に届かなかったことから株価は5%下落しました。中国乗用車協会(CPCA)によると、同社の中国製EVの9月販売台数は前年同期比19%増の8万8321台となり、7-9月期の中国製EV販売台数は12%増加しました。テスラは、中国市場で景気減速に伴う消費鈍化や現地企業との競争が激化に直面しており、最長5年の無利子ローン提供などインセンティブを拡大しています。一方、大規模なプロモーションは、同社車両の平均販売価格の重しとなっています。2024年第1四半期、テスラ車両の平均価格は前年同期の約47,000ドルから45,000ドル以下に下がりましたが、第2四半期には平均価格はさらに下がり、約44,500ドルになりました。ロボタクシーの詳細情報は限定的テスラは10月10日「We, Robot」イベントにて、ロボットタクシー「サイバーキャブ」のプロトタイプを公開しました。スケジュールについては、来年テキサス州とカリフォルニア州でモデル3とモデルYの完全自動運転を開始し、2026年までにサイバーキャブの生産が開始される見込みですが、遅くとも2027年になる可能性もあると発表されました。「サイバーキャブ」のイメージ画像テスラは新モデルを発売する際、最初に示したスケジュールから数ヶ月、ときには数年遅れて納車していますが、イベントではマスク氏自身が「スケジュールに関しては楽観的な傾向があり、製品の納品は当初の見積もりよりも遅れることが多い」と述べています。「市場はもっと明確なタイムラインを望んでいたと思う」と指摘する声も上がっており、株価は時間外取引で下落しました。また、完全自動運転車のネットワークは固定費が高いことから、初期費用と非ピーク時の稼働率に関して、採算の点で疑問が生じると一部アナリストは懸念を示しています。決算説明会では、ロボタクシーサービスの仕組みや詳細についてアナリストから質問されることが想定されます。

【JPモルガン・チェース決算みどころ】金利収入の市場予想は楽観的過ぎる?利下げの影響に注目(JPMorgan Chase)

【JPモルガン・チェース決算みどころ】金利収入の市場予想は楽観的過ぎる?利下げの影響に注目(JPMorgan Chase)

本記事では、米国最大の銀行であるJPモルガン・チェース(JPM)の2024年4-6月期決算を振り返りつつ、10月12日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同行の株価は年初来で約23%上昇し、S&P500指数を上回るパフォーマンスを記録しています。8月の経済指標の結果を受けて米国の景気後退懸念が弱まり、8月30日には上場来高値を記録しました。前期の振り返り:過去最高益を達成、投資銀行部門が堅調7月12日に発表された2024年4-6月期決算では、収入・EPSともに市場予想を上回る結果となりました。しかし、主流の銀行業務の伸びは鈍化しており、決算後にJPモルガン・チェースの株価はおよそ1%下落しています。収入:$502億(予想:$417.2億)EPS:$4.4(予想:$4.14) 同行の利益は前年同期比で25%増加し、4四半期ぶりの過去最高益となる181.5億ドルを計上しました。その内およそ79億ドルはクレジットカード大手ビザの株式交換に伴う一時的な収入で、実質的にはサプライズ決算とはなりませんでした。ただ、株式市場の回復が業績に大きく寄与し、投資銀行部門の収益は25億ドルで、前年同期から46%上昇しました。また、株式取引収益は21%増の30億ドルで、予想を2.3億ドル上回りました。CEOのジェイミー・ダイモンは、株式の評価は比較的良好な経済見通しを反映していると述べました。地政学的な状況は第二次世界大戦以来最も危険であるとも指摘しつつも、グローバル経済にもたらす影響はまだ分からないと述べています。また、同行は四半期中に30.5億ドルの貸倒引当金を計上し、予想の27.8億ドルを上回りました。これは将来の債務不履行が増加することを見越したもので、クレジットカード事業が引当金の増加の主な要因でした。7-9月期の注目点:利下げ動向の金利収入への影響2024年7-9月期のJPモルガンの「売上高予想は$418.2億、EPS予想は$4.02」、平均目標株価は$223.3です。9月のFOMCで4年半ぶりに利下げが実施され、それを踏まえた上での純金利収入(NII)の見通しに注目が集まります。純金利収入の見通しは「楽観的」過ぎるか?9月10日、COOのダニエル・ピントは、5月に示した純金利収入に対するアナリスト予想が楽観的過ぎると指摘しました。「NIIの予想は少し高過ぎる。来年はもう少し厳しい年になる」と述べており、今後の利下げ動向に弱気な姿勢を見せています。ゴールドマン・サックス・グループのソロモンCEOが自社の見通しに対して減益を示唆するなど、各金融機関からも悲観的な見通しが相次いでおり、純金利収入の見通しが株価評価に大きな影響を与えると考えられます。投資銀行部門の業績に期待前回決算で投資銀行部門の収益は、前年同期から46%増加して25億ドルとなりました。JPモルガン・チェースの株価は、2024年4-6月期決算発表後から約2.9%上昇しており、投資銀行部門の好業績を一部織り込んでいると考えられます。9月のFRBによる利下げに伴い、投資銀行業務の業績がどのような結果になるか注目です。前期で好調だった投資銀行業務が今期の決算でもその勢いを保てるかが重要で、予想を下回った場合は期待感とのギャップから株価の下落要因になる可能性があります。

【ネットフリックス決算みどころ】広告付きプランで会員増の勢い続くか(NETFLIX)

【ネットフリックス決算みどころ】広告付きプランで会員増の勢い続くか(NETFLIX)

本記事では、米動画配信サービス大手ネットフリックス(NFLX)の2024年4-6月期の決算を振り返り、10月17日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約50%上昇し、S&P500指数の上昇率の約2.5倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:好業績も見通し予想届かず、株価横ばい7月18日に発表された2024年4-6月期決算では、会員数の伸びが追い風となり、売上高が前年同期比17%増、EPSが同48%増と、ともに市場予想を上回る結果となりました。有料会員数は2億7700万人に達し、前四半期からの純新規会員数の増加は800万人超と、前年同期の590万人を大幅に上回りました。売上高:$95.6億(予想:$95.3億)EPS:$4.88(予想:$4.74) 投資家が注目する広告付きプランの会員数は前四半期比34%増。同プランが提供されている市場では、4-6月期の新規契約の45%以上を占め、経営陣は広告ビジネスが順調に成長し、長期的な収益成長に寄与すると見込んでいます。ただし、株主宛て書簡では「定額料金収入の規模が大きいことも相まって、2024年、25年に広告が収益成長の主要な原動力になるとは考えていない」と広告事業が収益拡大の主要な原動力となるのは2026年以降だろうと述べています。また、2024年通期の売上高と利益率の見通しを引き上げましたが、7-9月期の見通しについては前年同期比14%増と市場予想をわずかに下回りました。7-9月期の注目点:新規会員数動向と広告戦略2024年7-9月期のネットフリックスの「売上高予想は$97.6億、EPS予想は$5.09」、平均目標株価は$716.8です。市場の注目は、新規会員数の動向および同社の広告戦略に集まると想定されています。広告付きプランの収益性はネットフリックスは、2023年半ばから同一世帯以外のアカウント共有の取り締まりを強化し、会員数を大きく押し上げました。しかし、取り締まりによる力強い成長は鈍化し、広告付きの安価プランによる加入者の拡大が続くと見込まれています。競争の激しいストリーミング市場における同社の確固たる地位と広告成長軌道への信頼からアナリスト評価は好意的な見方が多いですが、サード・ブリッジのアナリストは同社の広告事業について「収益の観点からはまだ能力が証明されていない」と指摘し、アマゾンの方が広告市場では大きな成功を収めており、ネットフリックスが同分野で規模を拡大するには一層の取り組みが必要との見方を示しています。スポーツコンテンツで新規会員獲得かネットフリックスは最近、アメフトやレスリングの生中継などライブスポーツ関連の契約を多数発表しており、一部のアナリストはクリスマス当日に放送されるNFLの試合が新規会員を獲得するきっかけになる可能性があると指摘しています。アナリストらは、同社がスポーツ中継に力を入れているのは広告ビジネスを成長させるためだと考えており、ライブスポーツコンテンツの拡充が視聴者と広告主を引きつけ、広告付きプランの成長を促進することを期待しています。また、ネットフリックスは来年からWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)のプロレスイベントの公式放送局になることが発表されています。

中東情勢は緊迫化するも米雇用統計が期待を大きく上回り、株価回復・円安が進む|米国市場サマリー

中東情勢は緊迫化するも米雇用統計が期待を大きく上回り、株価回復・円安が進む|米国市場サマリー

先週は、中東情勢の緊迫化から週の前半は株価が下落しましたが、金曜日の雇用統計が予想を大きく上回る好内容だったことから、株価は大きく回復して1週間を終えています。一方、FRBの追加利下げは急がない情勢になったのではないかとの見立ても出ています。為替は、石破首相が日銀の追加利上げに対して否定的な見解を表明したことから、石破政権での利上げ加速を見越していた市場の期待が変化し、円安が進みました。また、米国の雇用統計結果を受けて、FRBの利下げペースが鈍化するとの見通しから、週末にかけてさらに円安が加速しました。米国株式市場:中東情勢は緊迫化するも、雇用統計が期待を大きく上回る9月30日(月) 米国株式市場は、S&P 500が小幅反発し、終値で最高値を更新しました。FRBのパウエル議長が追加利下げを急がない姿勢を示したため、一時下落しましたが、四半期末に向けたモメンタム取引が後押しし、最終的に上昇しました。パウエル議長は、年内にさらに2回の利下げを実施する可能性を示しましたが、市場は慎重に反応しました。個別では、CVS Healthが2.4%上昇し、ヘッジファンドの活動が注目されました。10月1日(火) NASDAQは1%以上下落し、特にハイテク株が売られました。背景には、イランがイスラエルに対してミサイルを発射し、中東情勢の緊迫化がありました。これにより、リスク回避の動きが強まり、防衛関連株が買われました。Northrop Grummanが3%上昇、Lockheed Martinも3.6%上昇するなど、防衛関連銘柄が軒並み上昇しました。原油価格の上昇によりエネルギー株も買われ、ExxonMobilは2.3%高となりましたが、Delta Air Linesは1.6%下落しました。10月2日(水) 米国株式市場はS&P 500が横ばいで終了しました。NVIDIAが1.6%上昇し、半導体株が市場を支えましたが、Teslaは第3四半期の納入台数が予想を下回り、3.5%下落しました。中東情勢の緊張が続く中、バイデン米大統領はイスラエルがイランに対する核施設攻撃を行うことを支持しない意向を表明し、均衡ある対応を促しました。加えて、労働市場の堅調さを示すデータが発表され、9月の全米雇用報告では、民間部門雇用者数が予想を上回りました。10月3日(木) NASDAQは、FRBが注目している雇用統計の発表を控え、慎重なムードが広がり下落しました。新規失業保険申請件数は小幅に増加したものの、FRBが利下げを検討する要因とはならないと見られています。市場では中東情勢の緊迫化が続き、投資家のリスク回避姿勢が強まり、原油価格が高騰したため、エネルギーセクターが1.6%上昇しました。10月4日(金) 米国株式市場は、ダウ工業株30種が過去最高値を更新し、NASDAQも1%以上の上昇を見せました。米労働省が発表した9月の非農業部門雇用者数が25万4000人増と予想を大幅に上回り、これが市場の安心感を後押ししました。これを受けて、FRBが11月の会合で50ベーシスポイントの大幅利下げを行う可能性は低下しました。S&P金融セクターは1.6%上昇し、Russell 2000指数も1.5%上昇するなど、小型株が好調でした。今週前半は中東情勢の緊迫化からリスクオフの流れとなり、株式市場は下落しましたが、金曜日の雇用統計が予想を大幅に上回る堅調なものだったので、米経済に対する安心感を醸成し、週間で見ると株価は横ばいで終えています。中東情勢が緊迫化する中でも、軍需の拡大を見越した防衛関連株の上昇や、原油価格上昇の恩恵を受けるエネルギー企業の株価は上昇し、市場の反応は一律ではありませんでした。為替市場:石破首相発言と強い米雇用統計で日米金利差の維持が意識され、大きく円安が進む為替は、先週の自民党総裁に石破氏が選出されたことで利上げ期待から円高に触れていましたが、今週は首相に選出された石破氏から「追加の利上げをするような環境に現在はない」との発言を受け、円安が進みました。また、米国の雇用統計が予想を大きく上回る内容だったことから、FRBの利下げペースも緩まるとの観測から、さらに日米金利差の維持が意識されて円安が進みました。今週のマーケット:景気指数と雇用統計に注目今週(2024/10/7-10/11)は、第4四半期の決算発表が始まり、消費財と金融の大手企業決算があります。さらに次の利下げ動向に大きく影響するCPIの発表があるので注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【米国株見通し】S&P500は年末6000突破なるか

【米国株見通し】S&P500は年末6000突破なるか

2024年第3四半期、公益から資本財、金融に至るまで幅広い銘柄が上昇したことにより、S&P500指数は5.5%上昇し、年初来の上昇率は21%に達しました。四半期ベースでは4四半期連続高で2021年以来の長期上昇局面。1-9月の上昇率としては1997年以来の大きさとなります。本記事では、2024年第4四半期の米国株の見通しを紹介し、個人投資家が注目すべき動向を考察します。S&P500、年末6000超えの予想も企業業績が力強く、米経済が十分健全に見えることから、多くの投資家は強気相場が少なくとも年末まで続く可能性が高いと考え、10-12月(第4四半期)は第3四半期と同様にボラティリティーは高いものの、好調さを維持したまま年末を迎えることが予想されています。ゴールドマン・サックス・グループのスコット・ルブナー氏は顧客向けレポートで「年末の米国株の上げは10月28日に開始すると強気にみている。目標の6000が低過ぎるのではないかと懸念している」と述べています。ルブナー氏の算出によると、1928年以降、S&P500は10月27日から平均で約4%上昇する傾向にあり、米大統領選後は株高になりやすいです。また、ブラックロックは顧客向けレポートにおいて「第3四半期のボラティリティは、部分的には景気減速への懸念と連邦準備制度理事会 (FRB) が対応に遅れを取っているのではないかという懸念に起因しており、株式市場の基盤となるファンダメンタルズとはほとんど関係がないと私たちは考えている」と述べています。 ボラティリティが予想される第4四半期足元の米国株に対して慎重な姿勢については、金融政策の不透明感のほか米大統領選挙や中東地域の緊張等、金融市場を取り巻く不確実性を反映しています。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX)は10月1日、一時20.7まで上昇しましたが、投資調査会社CFRAによると、10月の平均ボラティリティーは1945年以降、他の11カ月の平均を34%上回っています。ボラティリティには株価の上昇と下降の両方が伴い、不安をかき立てるものですが、珍しいことではなく、健全な株式をセール価格で買い増す機会となることもあります。ブラックロックの分析によると、VIXが12以下の場合、6か月後のS&P500のリターンは約5%、VIXが29以上に達した場合の6か月後のリターンは16%と、1990年までさかのぼるデータではボラティリティが高いほど短期リターンが高くなることが示されています。試される「ソフトランディング」特に市場心理に影響を与える可能性が高いのは、FRBの利下げ動向です。アナリストらは「ソフトランディングのシナリオや金融緩和継続への期待を後押ししないデータには過敏に反応するだろう」と指摘しており、雇用統計やFRB高官の発言に注目が集まります。10月3日時点のFedWatchでは、11月会合で0.25%の利下げ、12月会合で0.5%の利下げ予想と引き続き積極的な利下げ期待が反映されています。第4四半期注目のイベント10月4日 雇用統計11月1日 雇用統計11月5日 大統領選挙11月6〜7日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合11月14日 エヌビディア(NVDA)決算12月6日 雇用統計12月17〜18日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合

移管してもなくならない?意外と知られていない「NISA口座移管」の真実

移管してもなくならない?意外と知られていない「NISA口座移管」の真実

本記事では、意外と知られていない「NISA口座移管」の仕組みを徹底解説していきたいと思います。NISA口座移管のポイントは、①NISA口座はニーズに合わせて毎年異なる金融機関で開設できる、②一度NISA口座で投資した資産は口座移管してもずっと非課税(実は「移管」してもNISA口座はなくならない)、③政府が金融機関横断でNISA残高を把握するので複数開設しても安心、という3点になります。NISA口座移管のポイントNISA口座はニーズに合わせて毎年異なる金融機関で開設できる「NISA口座は1人1口座」というイメージが強いかも知れませんが、実は「1年間でNISA口座で取引できる金融機関は1つだけ」が制度の正しい説明になります。「NISA口座は1年に1金融機関」なので、毎年NISA口座を移管して、異なる金融機関でNISA口座をいくつも開いていくことも制度上は可能です。NISA口座を利用する金融機関を移管(変更)する理由としては、①「A証券会社で口座開設したが何を買って良いか分からなかったので、もっと分かりやすいB証券会社に移管する」②「C証券会社でおまかせ運用にNISAを使っていたが、個別株も取引したくなったのでD証券会社に移管する」③「E証券会社ではいま投資したい商品がないので、F証券会社に移管する」といったものが考えられます。一度NISA口座で投資した資産は口座移管してもずっと非課税NISA口座は自由に移管できるとして、次に出てくる疑問は「NISA口座を移管した場合、既に投資した資産はどうなるのか?」だと思います。結論から言うと、NISA口座で一度投資した資産は生涯ずっと非課税です(2024年からの新NISAの場合)。つまり、投資した資産から支払われる配当も非課税ですし、売却した際に出てくる利益も非課税です。NISA口座を移管するためには、現在投資しているNISA口座を「廃止」する必要がありますが、これには「勘定廃止」と「口座廃止」の2パターンがあります。「勘定廃止」はNISA口座と残高を残したまま、現在利用中の金融機関でのNISA投資をやめる(=別の金融機関に移管する)もので、この場合だとNISAで投資した資産は引き続き非課税のままとなります。「口座廃止」はNISA口座そのものを廃止するので、現在利用中の金融機関にNISA口座と資産は残りません。「口座廃止」をしたい場合、基本的にはご自身でNISA口座にある資産を売却いただく必要があります。上記から、NISA口座移管の際に「勘定廃止」を選べば、既にNISA口座で投資した資産は非課税のまま以前の金融機関で保有できます。政府が金融機関横断でNISA残高を把握するので複数開設しても安心NISA口座は毎年移管できて、移管することで既に投資した分の節税メリットが失われることがないことまでは分かった上で気になるのが、色々な金融機関でNISA口座を作って投資して、それを忘れてしまうことがないかという点かと思います。前提として、NISA制度の重複利用を防止するため、政府は個人をマイナンバーで紐付けて非課税適用を把握しているので、税務署(国税庁)には誰がどこでNISA口座を開設しているかという情報があります(なので、仮にどこでNISA口座を開いたか忘れても税務署に聞けば教えてくれます)。さらに、新NISA制度では個人の生涯を通じた上限となる買付残高が存在するため、個人の保有残高を政府がクラウドで把握・管理することになります。NISAの生涯残高が上限に達するのは早くても2028年末のため、まだ政府による残高管理は始まっていませんが、2026年を目処に政府のクラウドによる把握・管理が始まるとされています。なので、仮に複数の金融機関でNISA口座を開設・投資して、過去にどこで投資したか忘れてしまった場合でも、政府のクラウドで情報は把握できるので、資産にアクセスできなくなることはないようになっています。NISA口座移管の方法具体的にどのようにしてNISA口座を移管できるかを以下解説します。現在NISA口座を開いている金融機関で「廃止通知書」をもらうまず、現在NISA口座を開いている金融機関にNISA口座を廃止したい旨を伝えて、「廃止通知書」をもらいます。この際、上述したように、既にNISA口座で投資している資産がある場合、資産を維持しつつ「勘定廃止通知書」を貰い、NISA口座を開設したが投資しないでいた場合は「口座廃止通知書」を貰うのがお勧めです。「廃止通知書」は郵送で送られることが多いので、ご自宅で受け取る必要があります。移管する先の金融機関に「廃止通知書」を提出する次に、NISA口座を移管して新たに開設したい金融機関でNISA口座開設の申込みをして、先ほどの「廃止通知書」を提出します。「廃止通知書」が提出できたら、税務署の審査を待って(2週間ほどかかります)、NISA口座の開設が完了します。「廃止通知書」の提出方法は、制度改正があり、2024年からオンラインでも可能になっています。しかし、一部の金融機関では郵送手続きを求められることがあるので、その場合はご自身で送付いただく必要があります。ブルーモ証券では、スマホで「廃止通知書」の写真を撮り、アップロードするだけで提出が完了するようになっています。移管する場合は前年中に作業を終えるように注意「NISA口座は1年に1金融機関」なので、仮にNISA口座を移管しようと思っても、既に元の金融機関でNISA口座を利用していると、その年の間はNISA口座を移管できません。例えば、NISA口座で積立投資を設定していると、1月に元の金融機関のNISA口座にて投資がされた時点でその年はNISA口座が移管できないことになります。NISA制度は、口座移管をスムーズにするため、NISA口座の移管手続きを前年の10月から開始できるようにしています。つまり、移管したい年の1月から積立投資が行われてNISA口座を移管できなくならないように、前年のうちから移管手続きができます。NISA口座を移管される際は、自由に手続きができる「10月〜12月」をひとつのタイミングとして検討されることをお勧めします。ブルーモ証券でも「かんたんNISA」機能を提供ブルーモ証券では、簡単にNISA口座を活用して投資できる「かんたんNISA」機能を提供しており、著名投資家のポートフォリオをコピーしたり、自分の好きな銘柄で組んだポートフォリオで、NISA制度をフル活用することができます。ご関心ある方は、是非以下サイトをご覧ください。

米経済は堅調で株価は上昇。自民党総裁に石破氏選出で為替は円高が進行する|米国市場サマリー

米経済は堅調で株価は上昇。自民党総裁に石破氏選出で為替は円高が進行する|米国市場サマリー

先週は、堅調な経済指標を受けて株価が上昇し、S&P500とダウ平均は最高値を更新しています。PCE価格指数でインフレの沈静化が意識されたことから、11月の0.5%利下げも期待され始めています。中国の大型景気刺激策の公表により、素材関連株の上昇も見られました。為替は、週半ばまでは米経済の堅調さからFRBの利下げペースが緩まる期待から円安傾向でしたが、27日の自民党総裁戦で石破氏が総裁に選出されたことで、円高が進みました。米国株式市場:堅調な経済指標でS&P500は最高値を更新9月23日(月) 米国株式市場は、ダウ工業株30種が最高値を更新し、全体的に小幅な上昇となりました。FRBが先週の会合で大幅な0.5%の利下げを実施したことを背景に、投資家は今後の動向を見極める姿勢を示していました。市場では、FRBのさらなる利下げが議論されており、アトランタ連銀のボスティック総裁も利下げを支持しています。個別銘柄では、Metaが0.6%上昇し、Intelが投資提案の報道を受け3.05%上昇しました。9月24日(火) S&P 500とダウはともに最高値を更新しました。中国政府による大型景気刺激策の発表を受け、素材株が大幅に上昇し、特に非鉄金属や資源関連企業が好調でした。Visaは独占禁止法違反の訴訟を受けて5.49%下落するなどの動きもありました。9月25日(水) 米国株式市場は反落し、ダウとS&P 500がそれぞれ下落しました。今後の経済指標やFRBによる追加利下げの期待を見極めるため、投資家は様子見の姿勢を取りました。エネルギーセクターは1.9%下落し、Amgenが治療薬に関するデータのばらつきで軟調となり、指数を押し下げました。一方で、NVIDIAは2.14%上昇し、S&P 500の下落を一部相殺しました。9月26日(木) 米国株式市場は主要3指数が上昇し、S&P 500は過去最高値を更新しました。Micron Technologyが好調な業績見通しを発表し、同社株は14.7%急騰しました。また、週間新規失業保険申請件数が4カ月ぶりに低水準を記録したことが、市場に安心感を与えました。他の半導体株も軒並み上昇し、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は3.47%の上昇を見せました。9月27日(金) PCE価格指数の伸び鈍化が発表され、米国株式市場は小型株を中心に上昇し、ダウは過去最高値を更新しました。ラッセル2000指数は0.67%上昇し、低金利の恩恵を受ける企業が多い小型株のパフォーマンスが顕著でした。市場はFRBが次回会合で0.5%の利下げを実施する可能性を織り込み、PCEデータを背景にその確率が上昇しています。FRBの利下げ後で様子見の1週間でしたが、米国の経済指標がポジティブなものだったことから、S&P500は最高値を更新しています。特にPCE価格指数の鈍化から、次回11月のFOMCでFRBが0.5%の追加利下げをする可能性も期待され始めています。中国の大型景気刺激策により、素材株も上昇しました。為替市場:自民党総裁に石破氏が選出され、円高が進む為替は、堅調な米国経済の指標から米国の利下げペースが緩やかになるとの観測から円安が進んでいましたが、27日の自民党総裁戦で石破氏が新総裁に選出されると、大きく円高が進みました。金融緩和継続に前向きな高市氏が総裁に選出されなかったことで、日銀の利上げを見越しての動きと見られます。一方、市場関係者からは、日本の政治要因でここからさらに大きく円高が進むとは思えないとのコメントも出ています。今週のマーケット:景気指数と雇用統計に注目今週(2024/9/30-10/4)は、景気指数と雇用統計の発表があります。現在、11月のFRB利下げも控える中なので、景気指数が弱くても利下げ期待の強化として株高材料になる可能性もあり、大きなサプライズがない限り、株価に対する方向性は見通しにくい状況です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【ナイキ決算みどころ】逆風下で回復の兆しを見せるか、CEO交代の影響は(NIKE)

【ナイキ決算みどころ】逆風下で回復の兆しを見せるか、CEO交代の影響は(NIKE)

本記事では、ナイキ(NKE)の2024年3-5月期決算を振り返り、10月1日に控える2024年6-8月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約16%下落していますが、著名なバリュー投資家のビル・アックマン氏がナイキ株約300万株に2.29億ドルを投じたことが明らかとなり、8月に株価は11%以上上昇しました。前期の振り返り:通期見通し引き下げで株価急落6月27日に発表された2024年3-5月期決算では、売上高が前年同期比1.7%減と市場予想を下回る結果となりました。また、消費者需要の減速により売上高が1桁台半ばの割合で減少すると、2025年度通期の見通しを引き下げたことから、株価は翌日20%下落しました。総収入:$126億(予想:$129億)EPS:$1.01(予想:$0.84) ブランド別では、「ナイキ」ブランドの売上高が前年同期比1%減の121億ドル。「コンバース(CONVERSE)」ブランドは北米と西欧で販売が振るわず、売上高が同18%減の4.8億ドルとなりました。地域別の売上高では、北米が前年同期比1%減の55億ドル、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は同2%減の33億ドル、中国は同3%増の19億ドル、APLA(中国を除くアジア太平洋地域と中南米)は同1%増の17億ドルと、アジア太平洋地域と中南米で業績をわずかに伸ばしたものの、主要地域での販売不調が示されました。マット・フレンド最高財務責任者(CFO)は電話会見で「この規模での復活には時間がかかる」と述べ、ライフスタイル商品の需要が鈍化していることを受けて、製品ラインナップの再編を進めていると説明しました。6-8月期の注目点:業績見通しとCEO交代の影響2024年6-8月期のナイキの「総収入予想は$116.4億、EPS予想は$0.52」、平均目標株価は$91.9です。アナリストらは業績見通しに慎重姿勢複数のアナリストは、ナイキが2024年後半の業績見通しを引き下げる可能性を予想していますが、これは買い手側が予想していることであるため、株価に悪影響を与えない可能性があるとしています。JPモルガンの分析では、同社の苦戦の主な要因として主要地域における逆風であると指摘しており、短期的には財務上の課題が続くと予想しています。アナリストはナイキの回復軌道にとって、同社のデジタル販売、卸売業績、主要地域での消費者需要が重要になると考えています。決算後の投資家向け説明会にも注目ナイキは9月19日、ジョン・ドナホー最高経営責任者(CEO)の後任としてエリオット・ヒル氏が10月14日付けで新CEOに就任すると発表しました。ヒル氏は同社のこれまでの成功の多くに貢献した人物で、1988年にインターンとしてナイキでキャリアをスタートし、2020年に退職するまで欧州や北米で上級管理職を歴任し、最終的にはナイキとジョーダンブランドの商業・マーケティング業務を指揮していました。アナリストらはナイキというブランドを熟知しているヒル氏のCEO就任を歓迎しており、中期的にポジティブな成長を達成可能であると予測しています。CEOの交代は決算発表の2週間後となるため、ヒル氏から具体的な同社のビジョンを聞くのは11月19日の投資家向け説明会等になることが予想されますが、投資家はヒル氏の就任がナイキに与える影響を測るため、今後の業績見通しや具体的な戦略についての報告を待ち望んでいます。