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【ブロードコム決算みどころ】AI半導体需要とソフトウェアの業績に高まる期待(Broadcom)

【ブロードコム決算みどころ】AI半導体需要とソフトウェアの業績に高まる期待(Broadcom)

本記事では、半導体大手ブロードコム(AVGO)の2024年2-4月期の決算を振り返り、9月5日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約50%弱上昇し、S&P500指数の上昇率の約2.5倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を上回る収益と見通し上方修正で株価上昇6月12日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比43%増と市場予想を上回りました。通期の売上高見通しも市場予想を上回り、時間外取引で株価が一時13%上昇しました。売上高:$124.9億(予想:$120.6億)EPS:$10.96(予想:$10.85) セグメント別では、ソフトウェア部門が2023年11月に買収したソフトウェアプロバイダーVMwareの売上が寄与し、売上高前年比2倍と成長を大きく牽引しました。半導体部門は同6%増の72億ドルとなりました。そのほか、2024年7月15日付で1株を10株にする株式分割が発表されました。5-7月期の注目点:半導体部門の成長続くか2024年5-7月期のブロードコムの「売上高予想は$129.7億、EPS予想は$1.21」、平均目標株価は$193.4です。OpenAIの顧客獲得でAIチップの地位を固める直近の決算において、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなどのブロードコムの大口顧客が軒並み設備投資額が過去最高に達したと発表されたため、半導体部門の売上成長への関心が高まっています。また、JPモルガンは顧客向けメモの中で、ブロードコムは最近AIチップの新規顧客としてOpenAIを含む2社獲得し、「経営陣は今後5年間でAI半導体は1500億ドル以上のビジネスチャンスがあると語っている」と述べています。市場はこの協業について好意的な反応を示しており、ウェルズ・ファーゴのアナリストは、OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマンが最大7兆ドルの資金を確保し、チップ生産能力を増強する計画を持っていることを指摘しています。今年のブロードコムのAIチップの収益は、すでにグーグルとメタ・プラットフォームズの2社だけで、90億ドル以上の増加が予想されており、TikTokの親会社バイトダンスからの需要の増加も予想されています。

決算結果が予想を上回るも株価は下落?24/8のNVIDIA決算の市場への影響

決算結果が予想を上回るも株価は下落?24/8のNVIDIA決算の市場への影響

こんにちは。ブルーモ証券代表の中村です。米国時間8/28の市場閉場後に、注目されていたNVIDIAの24年5-7月期決算が発表されました。結果は市場予想を上回ったものの、NVIDIAの株価は閉場後の時間外取引で6%程度下落しています。本記事では決算結果の紹介と、今後の市場に与える影響について分析していきたいと思います。NVIDIA決算の結果今期決算内容のサマリー売上:300億ドル(予想は287億ドル)EPS:68セント(予想は65セント)現四半期の見通し:中間値で325億ドル(予想は317億ドル)自社株買い:500億ドル分を追加NVIDIAの売上は過去1年間で2倍以上になっており(+122%)、業績に関しては引き続き強い内容でした。NVIDIAの四半期売上推移グラフ出所:Barron's決算後の会見での発言決算後の会見で事業に関するポイントをまとめます。データセンター売上成長の鈍化:売上の8割以上を占めるデータセンター事業で、四半期成長が+16.4%で、前四半期の+22.6%に比べて鈍化した。大きな取引先である中国市場が、輸出規制もあり厳しい状況にあると発言。新商品Blackwellの見通し進展:新しいAI半導体チップBlackwellの出荷遅延は生産効率を向上させるための仕様変更によるものだったと発表。第4四半期から本格的な出荷・売上計上が始まり、来年にかけて広がっていくと発言。営業利益率は高水準を維持:NVIDIAの営業利益率は62%と高い水準で、S&P500の情報技術セクターの67社中では2番目に高い。1年前の50%からは大幅に上がっているが、前四半期の64%からは僅かに下がった。今後の株式市場への影響NVIDIAに対する過剰期待の落ち着き2024年の株式相場はNVIDIAの急成長に牽引されていましたが、どんな事業でも永続的に指数関数的な成長を続けることは不可能で、どこかで成長は鈍化していくと考えるのが合理的です。NVIDIAの場合、業績は好調なものの、高すぎる期待に対する調整が入ったのが今回決算だったと言えます。市場全体への影響はどうかというと、決算後のNVIDIA株価変動の方向とS&P500指数の変動の方向が一致したのは、過去8回の決算中4回だけです。NVIDIA株価とS&P500指数の相関係数は0.65(1が完全に同じように動き、-1が完全に逆に動く)なので、連動はしているもののそこまで一致はしていません。なので、NVIDIAをはじめとするとMagnificent7の株価が急上昇した近年の相場環境では市場全体への影響は大きかったですが、今回のNVIDIA決算と株価下落によって市場全体が大きく下落していくとまでは言えないと考えます(仮に決算が予想を下回っていたら、AIエコシステムや経済全体への懸念から、市場全体への下落圧力になりましたが、決算自体は予想以上の内容でした)。市場は利下げによる全体底上げ型の上昇相場に入れるか次第Magnificent7の株価急上昇という上昇ファクターは薄れつつある米国市場ですが、9月の利下げに伴う市場全体底上げ型の成長余地は残されていると考えられます。そして、利下げに伴う上昇相場が来る場合、小型株や半導体以外のセクターでも成長が期待できると考えられます。その意味で、今回の決算結果はNVIDIAに頼った成長からの調整・転機であり、投資家としては広範な市場の成長に期待しつつ、FRBの金融政策により注目すべき環境になったと言えます。

ジャクソンホール会議で 9月利下げを強く示唆。株価は上昇し、円高が進む|米国市場サマリー

ジャクソンホール会議で 9月利下げを強く示唆。株価は上昇し、円高が進む|米国市場サマリー

先週は、景気後退懸念からの回復と利下げ期待で株価は上昇しました。ジャクソンホール会議を控えて、一時的にリスクオフによる株価下落もありましたが、パウエル議長から9月利下げを強く示唆する声明が出たことで、市場は反発上昇して終えました。為替は、日銀植田総裁の国会答弁とFRBパウエル議長のジャクソンホール会議声明により、日米金利差の縮小が想定され、円高の進んだ1週間でした。米国株式市場:9月利下げ期待で株価上昇、ジャクソンホール会議も好感触で終える8月19日(月) 米国株式市場は続伸し、NVIDIA、Microsoft、Alphabetが買われ、NASDAQが目立って上昇しました。S&P 500とNASDAQは8営業日連続で上昇し、景気後退懸念からの回復が続いています。FRBが9月に利下げを行う可能性が高まっており、ジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言が注目されています。8月20日(火) 市場は小反落し、連続上昇がストップ。ジャクソンホール会議を控え、材料不足の中で一服感が広がりました。S&P 500とNASDAQは8営業日連続の上昇を終え、エネルギーセクターが最大の下落率を記録しました。8月21日(水) 市場は小反発。米雇用統計の下方改定とFOMC議事要旨が9月の利下げ観測を支え、半導体株の上昇がNASDAQを押し上げました。FOMC議事要旨では、9月の会合で金融政策の緩和が適切であるとの見解が示されました。8月22日(木) 市場は反落。ハイテク株が売られ、NASDAQが下落しました。ジャクソンホール会議を前に、NVIDIAの決算やパウエル議長の講演を控えてリスク回避の動きが見られました。8月23日(金) 市場は急反発。パウエル議長が9月の利下げを示唆したことを受け、NVIDIAやApple、Teslaなどの大型株が上昇。金融株や小型株も上昇し、S&P 500の全11セクターがプラス圏で終了しました。先週から続く連続上昇は火曜でストップしましたが、その後も利下げ期待で相場は揺れつつも上昇していきました。ジャクソンホール会議でFRBのパウエル議長から9月利下げを強く示す声明が出たことで、利下げを先取りしての株価上昇で1週間を終えています。雇用統計の下方改定もありましたが、景気後退懸念にはつながらず、逆に利下げを期待させて相場が上昇するという、7月以前の関係性が復活しています。為替市場:植田総裁発言とジャクソンホール会議で円高が進む為替は、日銀植田総裁が国会答弁で経済・物価見通し次第での金融引き締めを示唆したこと、ジャクソンホール会議でFRBパウエル議長が9月利下げを強く示したことで、日米金利差の縮小が想定され、円高が進んだ1週間でした。今週のマーケット:NVIDA決算は再度期待を超えてくるか、株価全体への影響に注目今週(2024/8/26-8/30)は、今年のマーケット急上昇をもたらしてきたNVIDIAの決算が控えています。前2期はどちらも予想を上回る結果でしたが、今回も同様に市場全体を牽引するのか、注目です。週後半には実体経済寄りの経済指標も控えています。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

債券の黄金時代?債券ETFへ注目が集まる理由

債券の黄金時代?債券ETFへ注目が集まる理由

2024年、米国の債券ETF(上場投資信託)には年初から7月下旬までに約1500億ドル(約23兆円)が流入し、過去最高を記録しました。2年間の純流出から一転、高利回りと利下げ見込みが投資家に好機をもたらしています。本記事では「債券投資に注目が集まる理由」を解説します。利下げ見込みで債券ETFに資金流入足元では利下げに伴う債券価格の上昇を見込んで、債券ETFが人気化しています。債券価格の変動要因として、短期金利に対する投資家の見通しが大きな役割を果たします。連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げに踏み切ることはほぼ確実との見方が市場で広がる中、投資家は利回りが高水準のうちに債券を確保しようとしています。現在、債券の利回りとパフォーマンスは約20年ぶりの高水準にあります。8月23日時点のS&P 米国債 7-10年指数で測定される米国債(満期が7年以上、10年未満)の1年リターンは約8.7%、S&P グローバル先進国社債指数で測定される投資適格社債の1年リターンが約10.8%と、どちらも全世界株式(オール・カントリー)の米ドルベースでの10年平均利回り9%と同等の水準にあります。 安全性の高い金融商品でも十分なリターンを狙えることが示されていることから、格付け最高位の債券から得られるトータルリターンに焦点を当てた金融商品を購入する投資家も多くなっています。米資産運用大手ブラックロックの債券部門最高投資責任者(CIO)であるリック・リーダー氏は「現在、債券で得られる利回りと収益率は非常に魅力的であり、債券にもっと資金が流入すると予想する」と語ります。景気後退リスクをヘッジする手段にもまた、米国市場の懸念がインフレから景気後退に変わったため、債券は株式市場の混乱に対するヘッジとしての価値を増しています。8月初旬には景気後退懸念を受け、2023年3月に銀行危機への不安が台頭して以来の債券相場上昇となりました。ただし、8月2日以降に発表された米指標では、リセッション(景気後退)の兆候は示されず、ゴールドマン・サックスは今後1年以内に米国が景気後退に陥る確率を20%に引き下げています。債券投資大手ピムコは「株式のバリュエーションに無理が生じている可能性があることは、債券にとって好都合」であり、「長期的に見渡せる範囲でリセッションがなければ、アクティブ債券投資は良好な成績を残せるだろう。リセッションがあれば、さらに成績は良くなる」と説明しています。債券ETFであれば、債券投資が簡単に債券ETFはすでに複数の商品が含まれているため、1回の取引で分散効果が得られ、また最低投資額が1万円代と小口のものが多くなっています。一方で、直接投資の場合は債券の取引単位は大きく、個人では取引できる銘柄が限られます。さらに、ETFは「Exchange-Traded Fund(上場投資信託)」の名前にもある通り上場しているため、取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができ、債券に直接投資するときには得られない流動性も提供します。運用管理においても、債券ETFであれば株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握がしやすいというメリットが挙げられます。

【クラウドストライク決算みどころ】システム障害による通期ガイダンスへの影響は(CrowdStrike)

【クラウドストライク決算みどころ】システム障害による通期ガイダンスへの影響は(CrowdStrike)

本記事では、米サイバーセキュリティ企業クラウドストライク(CRWD)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月28日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は、7月19日に発生した大規模システム障害で急落しましたが、8月2日の安値から約25%上昇し、現在は年初来で約10%上昇しています。前期の振り返り:通期見通しを上方修正で株価上昇6月4日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比33%増と市場予想を上回る結果となりました。2025年度通期の収益見通しも上方修正し、株価は時間外取引で大幅上昇しました。売上高:$9.21億(予想:$9.05億)EPS:$0.93(予想:$0.89) 年間経常収益(ARR)は前年同期比33%の36億5000万ドル、そのうち2億1200万ドルは四半期中に追加された新規ARRです。ARRはサブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされています。バート・ポドベレ最高財務責任者(CFO)は「好調なトップライン業績に加えて、記録的な粗利益や売上高の35%にあたるフリー・キャッシュ・フローなどは、ARR100億ドルに向けた収益性の高い事業拡大に焦点を当てていることを示しています」と述べています。5-7月期の注目点:システム障害による通期ガイダンスへの影響2024年5-7月期のクラウドストライクの「売上高予想9.58億、EPS予想は$0.97」、平均目標株価は$342です。システム障害が発生して以来初の決算報告であり、売上に与える短期的な影響について投資家に最新情報を提供するとみられます。システム障害の影響はシステム障害は四半期終了の10日前に発生したもので、5-7月期の業績への影響は限定的であると想定されています。一方、障害の影響を受けた顧客が契約条件を再交渉することで割引率や解約率に影響する可能性が高く、経営陣が通期のガイダンスをどのように扱うかが重要になります。一部アナリストは、クラウドストライクの顧客が同社に最大40%の値引きを迫る可能性があり、さらに今四半期に交渉される取引のほぼ半数が延期となる可能性があると述べています。また、クラウドストライクは障害の影響を受けた顧客から法的措置を受ける可能性があり、決算報告において潜在的な訴訟費用の見通しに関しても情報を提供する可能性があります。直近では、デルタ航空が5億ドル以上の損害賠償を請求したことが報じられています。

【エヌビディア決算みどころ】株価最高値更新なるか、Blackwell情報にも注目(NVIDIA)

【エヌビディア決算みどころ】株価最高値更新なるか、Blackwell情報にも注目(NVIDIA)

本記事では、半導体大手エヌビディア(NVDA)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月28日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来で約164%上昇しており、S&P500のなかでもトップパフォーマンスの銘柄となっています。前期の振り返り:AI 需要持続で過去最高収益を達成5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比3.6倍と市場予想を上回る結果となりました。5-7月期の売上高見通しも市場予想を上回り、株価は翌日に9.3%上昇しました。売上高:$260.4億(予想:$246.5億)EPS:$6.12(予想:$5.59) セグメント別では、主力のデータセンター部門が生成AIのトレーニングおよび推論に対する力強い需要から、売上高前年同期比5.3倍と成長を大きく牽引しました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、「生成AIがクラウド サービスプロバイダーにとどまらず、さまざまな産業へ拡大しており、数十億ドル規模の市場をいくつも生み出している」と説明し、最新GPUアーキテクチャ「Blackwell」プラットフォームがフル生産中であり、「エヌビディアは次の成長の波の準備ができている」と述べています。そのほか、2024年6月7日を効力発生日とした10対1の株式分割を実施と、四半期配当を1株当たり10セントに引き上げることが発表されました。5-7月期の注目点:Blackwellの最新情報と8-10月期の見通し2024年5-7月期のエヌビディアの「売上高予想は$286.4億、EPS予想は$0.64」、平均目標株価は$140です。アナリストらは堅調な業績を予想していますが、決算発表前に株価が大きく上昇した場合、良好な決算内容であっても株価上昇が鈍いものとなる可能性があります。エヌビディアの需要に、アナリストは楽観エヌビディアの成長を示す指標として「ハイパースケーラーの設備投資支出」が挙げられますが、第二四半期の決算発表では主要ハイパースケーラー全てが設備投資の見通しを引き上げ、同社の主要顧客が設備投資を減速する懸念が払拭され、力強い需要が示されました。エヌビディアの最大の顧客であるマイクロソフトは、今後12か月間の設備投資額がさらに高くなると予想しており、メタは設備投資額のガイダンスの中央値を10億ドル引き上げました。アマゾンもAWSインフラの需要増加に対応するため、今年後半からAIへの支出を増やすと予想しています。Blackwell投入の具体的なタイムラインはまた、8月3日にBlackwellの発売が遅れる可能性があると報道されましたが、エヌビディアは「下半期には生産が拡大する見込みである」とコメントしています。BlackwellチップはHopperモデルよりも約2倍高速でありながら、エネルギー消費を著しく抑え、数兆パラメータのLLMによるリアルタイム生成AIの構築および実行を可能にします。この製品のリリースにより、NVIDIAは2025年および 2026年度も2桁成長を達成する期待が高まっており、投資家は決算発表でBlackwell製品拡大のより具体的なタイムラインが発表されることを期待しています。ただし、アナリストは発売の遅延が発生した場合も、旧型製品の売上がギャップを埋めるのに役立ち、収益や需要に大きな影響が及ぶことはないとの見方を示しています。

好調な経済指標で景気後退懸念はさらに和らぐ。株価は大幅上昇|米国市場サマリー

好調な経済指標で景気後退懸念はさらに和らぐ。株価は大幅上昇|米国市場サマリー

先週は、各種経済指標で景気の底堅さとインフレ沈静化を示す好調な結果が出たため、米国の景気後退懸念は一層後退し、週間の株価上昇率は今年最大となりました。結果、米国市場は8月に入ってからの株価下落分を完全に取り戻した形になりました。為替は、米国小売売上高の好調を受けて一時的に円安に振れるも、すぐに円高に戻し、週間ではやや円高で終わっています。米国株式市場:好調な経済指標で景気後退懸念は収まり、株価は大幅上昇8月12日(月) 米国株式市場はまちまちで終了。投資家は今後発表される消費者物価指数(CPI)などの経済指標に注目し、FRBの金融政策の見通しを見極めようとしました。ダウは反落したが、S&P 500とNASDAQは小幅に続伸しました。8月13日(火) 市場は上昇し、PPI(卸売物価指数)の伸び鈍化を受けて、FRBが9月に利下げを行うとの期待が強まりました。スターバックスの株価がCEO交代で大幅に上昇した一方で、エネルギーセクターは原油価格の下落で軟調でした。8月14日(水) S&P 500は5日連続で上昇し、NASDAQも続伸。7月のCPIの結果が市場予想を下回り、FRBの9月利下げ観測が高まりました。アルファベットは米司法省による分割検討報道を受けて下落しました。8月15日(木) 市場は大幅に続伸し、NASDAQは2%以上上昇しました。7月の小売売上高が予想を上回り、消費の堅調さが確認され、景気後退への懸念が和らぎました。ウォルマートが好調な決算を発表し、株価が大幅に上昇しました。8月16日(金) 市場は続伸し、NASDAQは7日連続で上昇しました。週間上昇率としては今年最大を記録し、ジャクソンホール会議に向けて投資家の注目が集まっています。景気後退の懸念が和らぎ、FRBの9月利下げ開始観測がさらに強まりました。CPIとPPIの結果が予想を下回ったことで、9月利下げ観測が強まる一方、小売売上高は予想を上回って景気後退懸念が緩和されたので、全体的に市場は上昇して1週間を終えました。為替市場:米国の小売売上高で円安に触れるが、すぐに戻す為替は、米国の小売売上高が好調だったことで、FRBが9月に大幅利下げをする可能性が低くなったと見られ、一時的に円安方向に動いて149円台までいきました。しかし、その後円高に戻しており、週間で見るとやや円安という水準で終わっています。こうした中、円高ショックで解消された円キャリー取引が、再度動き出す気配も見えています。今週のマーケット:ジャクソンホール会議から金融政策の見通しが出るか今週(2024/8/19-8/23)は、失業保険申請件数以外は大きな指標の発表はありませんが、22日からジャクソンホール会議があるので、そこでFRB高官から今後の金融政策に関する発言が出るかに注目です。また、最近調子の悪いFANG+銘柄のSnowflake決算も控えています。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【バフェットのポートフォリオ解説】アップル株なぜ半減?2銘柄への新規投資も明らかに

【バフェットのポートフォリオ解説】アップル株なぜ半減?2銘柄への新規投資も明らかに

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の2024年6月末時点でのポートフォリオが、8月14日に米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書「フォーム13F」にて明らかになりました。本記事では、バフェット氏の最新ポートフォリオを紹介の上、今回新たに投資が明らかになったアルタ・ビューティーとハイコについて解説します。バフェットポートフォリオの中身上位10銘柄で90%以上、アップル株は半減も引き続き1位バフェット氏は集中度の高いポートフォリオを運用していることで知られ、上場ポートフォリオは41社で構成されているにもかかわらず、上位5銘柄で70%以上、上位10銘柄は90%以上占めています。上位保有銘柄アップル(AAPL) : 30.1%バンク・オブ・アメリカ(BAC) : 14.7%アメリカン・エキスプレス(AXP) : 12.5%コカコーラ(KO): 9.1%シェブロン(CVX): 6.6%オキシデンタル・ペトロリアム (OXY): 5.8%クラフト・ハインツ(KHC): 3.8%ムーディーズ(MCO): 3.7%チャブ(CB): 2.5%ダビータ(DVA): 1.8%特筆すべきは、4-6月にアップル株の保有を50%近く削減したことでしょう。一部のアナリストは、アップルの長期的な成長能力に少しでも懸念があれば、バフェット氏は全ポジションを手じまいしていた可能性が高いとし、アップル株の保有削減は「単なるリスク管理」または「経済情勢の悪化への備え」であるとの考えを示しています。5月15日に開示された、バークシャーの2024年3月末時点のポートフォリオでは、アップル株は4割近くを占めていましたが、今回の株式売却により保有比率は3割へ低下しました。バフェット氏は、7月以降にアップル株をさらに売却したかどうかを明らかにしていませんが、5月時点では「アップルが年末までバークシャーにとって最大の保有株であり続けると予想している」と述べています。また、ポートフォリオの中で2番目に大きなポジションを占める、バンク・オブ・アメリカ株も7月中旬以降にポジションを8.8%削減していますが、開示されているのは6月末時点でのポートフォリオのため、古い保有状況が示されています。投資縮小の理由や意図について、バフェット氏はこれまでのところ明らかにしていません。化粧品小売と航空機器部品メーカーへのへの新規投資が明らかにそのほか、注目を集めたのはアルタ・ビューティー(ULTA)とハイコ(HEI.A)への新規投資です。アルタ・ビューティーは年商が1兆円を超える米国最大の美容小売チェーンで、米国全50州に約1,395店舗を展開しています。百貨店コスメを自宅近くで試せるのが魅力であり、ポイント獲得プログラムには4,300 万人以上の会員がいます。アルタの株価は、同社が成長鈍化の可能性を警告したことから低迷しており、予想株価収益率 (PER)は12.8倍と非常に割安で取引されていました。アルタのポジションは約2億6000万ドルに相当し、バークシャーにとっては少額の保有となります。ハイコは、民間航空機の交換部品や防衛製品の部品製造するほか、世界の主要航空会社を顧客とする保守サービスを提供しています。航空機部品の製造は当局の認証が必要なため参入障壁が高く、製造業に珍しく営業利益率が20%を超えています。ハイコの株価は、同社製品に対する高い需要と市場でのプレゼンス拡大から年初来約35%上昇しています。バークシャーは、2016年に航空機部品メーカーのプレシジョン・キャストパーツを321億ドルで買収しており、航空宇宙分野にも精通しています。手元資金は2005年6月以来の最大にバークシャーは2024年4-6月期に755億ドル相当の株式を売り越したため、現金と米短期債保有額を合計した広義の手元資金は6月末時点で2769億ドル(約40兆5700億円)に達し、過去最高値を更新しました。バークシャーは最低300億ドルの現金を保有することを約束していますが、適正価格で購入できる企業全体や個別株が見つからない場合には、現金を蓄積させることが多くなっています。バフェットポートフォリオを簡単コピー?ブルーモ証券では、2024年6月末時点でのバークシャーのポートフォリオをワンタップでコピーし、投資を始めることができます。株式のみで構成されるポートフォリオのほか、米短期債を含む手元資金を反映したポートフォリオのコピーもできますし、そこから変更を加えてオリジナルのポートフォリオの作成も可能です。

【スノーフレーク決算みどころ】生成AI強化で成長加速なるか(Snowflake)

【スノーフレーク決算みどころ】生成AI強化で成長加速なるか(Snowflake)

本記事では、クラウド技術を活用したビッグデータの保管・分析サービスを提供する米スノーフレーク(SNOW)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月21日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。スノーフレークの株価は年初来で約33%下落しており、52週間の安値付近で取引されています。前期の振り返り:予想を上回る増収と見通しで株価上昇5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比33%増と市場予想を上回る結果となりました。また、5-7月期の見通しについても市場予想を上回ったことから、時間外取引で株価が一時4%上昇しました。売上高:$8.29億(予想:$7.87億)EPS:$0.14(予想:$0.18) 製品収益は、前年同期比34%増の約7億9,000 万ドル、残存履行義務は同46%増の50億ドルとなりました。スリダール・ラマスワミ最高経営責任者(CEO)は、「多くの主要指標で好調な業績を達成して第1四半期を終えた」と述べています。5-7月期の注目点:AI製品の動向と業績見通し2024年5-7月期のスノーフレークの「売上高予想は$8.52億、EPS予想は$0.16」、平均目標株価は$201となっています。生成AI強化で成長加速なるかスノーフレークは直近生成AI領域を強化しており、6月に開催されたユーザーカンファレンス「Snowflake Data Cloud Summit 2024」では、エヌビディアとの新たな協業やApache Icebergのオープンカタログである「Polaris Catalog」などが発表され、AIデータクラウド分野におけるリーダーシップを確立しようとする同社の姿勢が示されました。ゴールドマン・サックスによると、スノーフレークのTAM(獲得可能な最大市場規模)は2028年までに1,500億ドルを超えると推定され、AI製品の市場参入を成功させることができれば、30%を超える成長が見込まれます。また8月8日には、カナダのAI企業Cohereとの提携検討が報じられました。提携が実現されれば、スノーフレークの顧客はチャットボットやコーディングアシスタントといったCohereのAIアプリケーションを利用できるようになります。CohereはOpenAIの数少ない競合として知られ、エヌビディアや富士通をはじめ多くのテクノロジー企業から支援を受けており、評価額は55億ドル(約8500億円)に達しています。そのほか、スノーフレークの最近の動きとしては、エンジニアリングおよびサポート担当執行役員 (EVP)のGrzegorz Czajkowski氏の辞任の発表が挙げられます。Czajkowski氏は同社の成長に大きく貢献しており、スノーフレークの優位性と市場での地位を維持するために極めて重要な役職であることから、投資家は後任者の行方を注視しています。

【決算サマリー】ディズニー / ウーバー (Disney / Uber)

【決算サマリー】ディズニー / ウーバー (Disney / Uber)

本記事では、DisneyとUberの24年8月決算のサマリーをお届けします。Disneyはストリーミング部門が黒字化して好調なもののテーマパーク事業の減速が目立ち、Uberはモビリティ部門での成長が予想を上回ったことから決算後に株価が上昇しました。ディズニー(Disney)Disneyは、第3四半期の決算でアナリスト予想を上回り、ストリーミング事業が予想より早く黒字化したことを発表しました。調整後の1株当たり利益は1.39ドルで、市場予想の1.19ドルを上回り、売上は231億6,000万ドルで予想の230億7,000万ドルを超えました。総セグメント営業利益は前年同期比で19%増の42億2,500万ドルとなり、特にストリーミング部門の好調が牽引しました。Disneyのストリーミング事業は、Disney+、Hulu、ESPN+の組み合わせで初めて黒字化し、予想よりも早い段階で利益を達成しました。この期間のストリーミング事業の営業利益は4,700万ドルで、前年同期の5億1,200万ドルの損失から大きく改善しました。しかし、ESPN+を除くと、直接消費者向けのストリーミングユニットでは1,900万ドルの損失が計上されました。Disney+ Coreの加入者数は前期比で1%増の1億1,830万人に達し、Huluの加入者も2%増の5,110万人となりました。また、エンターテイメントセグメントの売上は4%増の105億8,000万ドルで、特にDisney+ Coreの価格上昇と顧客増加が寄与しました。CEOのボブ・アイガー氏は、今後のストリーミングサービスの成長を見込んでおり、価格引き上げによる顧客の離脱は「重要ではない」と述べています。また、Disneyは今後、プラットフォームの技術機能を強化し、ライブチャンネルを追加する計画です。さらに、パスワード共有の取り締まりも進める予定です。テーマパーク事業は消費者需要の減速とインフレの影響を受けましたが、全体的な体験ユニットの売上は2%増の83億8,600万ドルとなりました。国内パークの営業利益は6%減少しましたが、国際パークの営業利益は2%増加しました。テーマパーク事業の減速は続いていますが、エンターテイメント部門の成長がそれを補っています。全体として、Disneyは売上の多様化とストリーミング事業の強化に成功しており、今後の成長に対して楽観的な見通しを示しています。ウーバー(Uber)Uberは第2四半期の決算で、市場の予想を上回る業績を発表し、その結果として株価は11%上昇しました。同社の売上は前年同期比で16%増加し、107億ドルに達しました。調整後の1株当たりの利益は47セントで、アナリスト予想の31セントを上回りました。特に、モビリティ部門の総予約額が206億ドルに達し、前年同期比で23%増加したことが、今回の業績の大きな要因となりました。また、デリバリー部門でも総予約額が16%増の181億ドルに達し、成長を続けています。第3四半期の見通しとして、Uberは予約額が402.5億ドルから417.5億ドルになると予測しており、調整後の利益は15.8億ドルから16.8億ドルの範囲で見込んでいます。これに対して、市場の予想は、予約額が411.8億ドルで、調整後の利益が16.2億ドルでした。Uberはまた、第2四半期において10億2000万ドルの純利益を報告しており、その中にはUberが保有する株式投資の再評価から得られた3億3300万ドルの税引前利益が含まれています。最近では、5月にInstacartとの提携を発表し、Instacartアプリに「レストラン」タブを追加し、Uber Eatsによる配達を可能にすることを目指しています。また、7月には中国の電気自動車メーカーBYDとの提携も発表され、ヨーロッパやラテンアメリカのUberドライバー向けに約10万台のEVを導入する計画を明らかにしました。さらに、将来的にはBYDの自動運転対応車両をUberプラットフォーム上で展開することも計画されています。自動運転車に関して、UberはWaymoと提携してアリゾナ州で自動運転車によるライドシェアやフードデリバリーサービスを提供していますが、CEOのダラ・コスロシャヒ氏は、自動運転車市場が「勝者総取り」になるとは考えておらず、Uberが引き続き最も流動的で最大のマーケットプレイスを維持する意向を示しました。Uberの株価は年初から5%下落していましたが、この発表を受けて若干の上昇を見せました。Uberは今後も、コアとなるモビリティ事業の成長を基盤にしながら、食品や旅行の注文頻度の増加を通じて業績の向上を目指しています。

5年に1度の相場下落?個人投資家にとってピンチかチャンスか

5年に1度の相場下落?個人投資家にとってピンチかチャンスか

過去1ヶ月間を振り返ると、7月上旬の最高値から相場は大きく下落し、個人投資家の資産も大きく目減りしていますが、実は日本の個人投資家にとって今回は5年に1度くらいの大きさのインパクトでした。本記事では、過去の相場動向・景気循環の歴史・資産別での変動を分析することで、①今回は日本の個人投資家には5年に1度のイレギュラーだった、②下落のダメージは分散していた投資家ほど小さかった、③5年に1度の相場下落でも慌てず「長期・積立・分散」を継続すべき、点を解説していきたいと思います。日本の個人投資家には5年に1度のイレギュラーだった株安・円高が重なり、日本人にとってコロナショック以来の相場下落2024年7月から1ヶ月間の相場下落は、過去10年の円建てS&P500の推移で見ると、2020年のコロナショック以来の下落幅だったことが分かります。下落率で比較をするとコロナショック当時(2020/2/20-2020/3/23)の下落率は-34%、今回下落(2024/7/10-2024/8/5)の下落率は-18%と、それでもコロナショックの時の方がインパクトは大きかったです。一方、ドル建てS&P500はここまでの下落になっていないので、今回下落は「株安」と「円高」が重なったことによるダブルパンチが問題の本質でした。円建てS&P500のチャートドル建てS&P500のチャート出所:S&P Globalまた、米国市場としてはコロナショックと現在までの間に「FRB利上げ」によって株価が低迷した時期があった(2022年)のですが、その時期はちょうど円安が進行していたため、日本の個人投資家は円建てで資産を見た時に大きなロスは出ませんでした。ドル円と米国株式の変動方向が揃ったことが、今回下落が日本人にとって「コロナショック以来」の出来事になった背景にあります。過去10年で見ると「コロナショック」「今回の円高・株安ショック」が2つの大きな暴落で、さらにその前10年間を振り返ると「ドットコムバブル崩壊」「リーマンショック」があるので、今回下落は「5年に1度」と呼んで良い相場変動だと言えます。今回の相場下落が続くかは米国経済のソフトランディング次第景気には拡大期と後退期が存在し、現在は2020年4月以降の景気拡大期と捉えられています。FRBの利上げによるインフレ抑制が、この景気拡大期を終わらせて米国経済が景気後退に入るかが、相場の低迷が続くか上昇に戻るかの大きな岐路になります。「ハードランディング」シナリオは、FRBの高金利政策継続の影響で米国経済が景気後退に入るパターンです。この場合は平均10ヶ月間ほど経済活動が停滞し、株価の上がりにくい状態が続くことになります。このシナリオに対する懸念から、直近の株式市場は乱高下していました。「ソフトランディング」シナリオは、景気後退を経ずにインフレ率が下がり、米国金利が低下して景気拡大が続くパターンです。過去最長では10年間も景気拡大が続いたことがあるので、長い場合だと2030年まで景気拡大となることもあり得ます。過去には、1991−2001年の景気拡大期は、途中でFRBが利上げをしても景気後退を起こさなかった「ソフトランディング」が成功した事例として有名です。8月12日現在の最新見通しでは、JP Morganが年内の景気後退入りの確率を35%、2025年下半期までの景気後退入りの確率を45%と見込んでいます。出所:JETRO(日本貿易振興機構)今回下落のダメージは分散していた投資家ほど小さかった債券や金を組み込んだポートフォリオのダメージが比較的小さかった2024年7月10日を相場の頂点として、2024/7/10-2024/8/9の1ヶ月間の資産別の株価変動を比較したのが以下のグラフです結果はダメージの小さい方から、金(GLD)が+2.37%、米国短期国債(SHV)が+0.06%、世界株式・オルカン(VT)が-4.19%、S&P500(VOO)が-5.04%、FANG+(NYFANG)が-13.47%、日経平均(NIKKEI)が-16.96%、NVIDIA(NVDA)が-22.36%で、この期間のドル円は-9.31%でした円高を避けて日本株式に投資していたら良かったかというとそうでもなく、日本株は過去1ヶ月の間に-16%も下落しており、米国株式や世界株式と比較しても大きなマイナスとなっています。円高効果と合わせてS&P500に投資しているのとマイナスは大きく変わりませんでした。S&P500かオルカンかも大きな論点ではなく、オルカンの構成要素で米国株式が6割で、米国市場が落ちる時は世界的にも株価が落ちるため、誤差程度の差分しか出ていません。株式の集中という意味では、NVIDIA単体に投資していた場合はドル建てで-20%(円建てではおよそ-30%)と、かなり大きなマイナスになりました。一方、テクノロジーセクターに集中したFANG+インデックスは-13%、S&P500指数では-4%と、分散するほどにマイナスが小さかったことが分かります。さらに異なるアセットクラスで見ると、債券はほぼ変動せず、ゴールドはむしろやや上昇と、下落局面において全く異なる動きを見せています。債券や金をポートフォリオに入れてリスクヘッジしていた場合、ダメージを緩和できていた可能性が高いです。まとめると、今回のような下落局面では当たり前ですがリスクの高いポートフォリオほどマイナスが大きく、ダメージの大きさとしては「テック株集中」>「株式分散」>「バランス型(債券・金など組み合わせ)」という順番になりました。相場下落時にダメージを抑える効果のある資産については以下記事も参考にしてみてください。時間分散できていた投資家はインパクトが小さい保有資産の分散度合いでインパクトを分析しましたが、加えて投資タイミングの時間分散についても考えます。ポートフォリオの中身以外の観点から、今回の相場下落で「勝ち組」だった投資家を分類すると、以下のように整理できます。①大幅下落時に資金投入できた人:日経平均が歴代1位の下落幅だった8月5日など、大きく相場が落ちたタイミング(その後反発上昇するタイミング)で資金投入できた投資家は、全体がマイナスの期間でもプラスのリターンだった可能性があります。実際に8月5日の開場時に投資した場合、S&P500は1週間で4%も上昇しています。②投資余力をまだ残している人:まだ相場が底をついているか不透明なこともあり、今後追加で資金投入する余力を残している投資家は、下落からの回復局面でリターンを得られる可能性があるので、資金投入の時期次第ではリターンを向上させられます。③積立投資をしている人:そもそも積立で定期的に投資しているタイプの人で、いつ市場が底を打っても特定の一時点で集中投資する場合に比べてリターンが平準化されます。今回のような下落局面においても買いを継続的に入れているため、リターンにプラスの影響があったはずです。また、これまで投資してきた人は今回ショックで大きくダメージを受けていますが、最近投資を始めた人(まだ資金をそこまで投資に回していない人)は傷が浅いので、実は最近投資を始めた(これから始める)人にとっては有利な環境でもあります。5年に1度の相場下落でも慌てず「長期・積立・分散」を継続投資をやめたり、リスクの高い取引に走らないこと今回のような大幅下落に直面して、個人投資家として「やるべきではないこと」は以下のような行動になります。①投資をやめてしまうこと:今回の下落を受けた損切りで投資をやめてしまうことです。資産運用は下落時も上昇時も保有し続け、長期で負けないことが大事なので、下落局面でも歴史から長期の上昇を信じて投資し続けましょう。また、一度投資から資金を引くと、日々忙しい中で市場をチェックして再び戻ってくることは難しいです。②短期逆転トレードを狙うこと:一時的な損失を取り返すため、ハイリスク・ハイリターンな取引に手を出すこともお勧めできません。具体的にはレバレッジ型の取引や上下の激しい小型株への集中投資が挙げられます。今回の相場下落は、分散していれば-20%くらいの減少でしたが、さらにレバレッジがかかっていると-60% 超の下落となり、そこから巻き返すのにはかなり時間がかかってしまいます。※ 参考:24/7/10-24/8/9でSOXL(半導体セクターの3倍レバレッジETF)に投資した場合、ドル建てでも-54%の下落となります(円建てでは-60%以上)③上昇した銘柄を後追いすること:市場全体が下落する中でも、決算結果が良好だった銘柄などは上昇することがあります。こうした銘柄はいつも以上に目立ちますが、後追いで投資してもそこから短期での株価上昇は難しいケースもあります。「この企業は長期的になくならそうだから」でも「ブランドが好きだから」でも良いので、足下の株価上昇以外で自分が納得できる理由がある場合に投資すると良いでしょう。相場を気にしすぎず、積立投資でどっしり構えるくらいが良い最後に、今回の下落相場と足下で不安定な市場動向を受け、個人投資家の資産運用としてのアドバイスを3つご紹介します。①短期の変動を気にしすぎない:自分の資産変動はどうしても気になりますが、長期目線の投資であれば短期変動は気にし過ぎないことも大事です。本記事のようなコンテンツも気になる方のために書いていますが、資産運用の方針がクリアならそこまで日々のニュースを追わなくても良いです。②積立投資で下落相場の果実を得る:今後の相場がどちらに転んでも勝てるように、積立投資で定期的に資金投入するとリターンが安定するのでお勧めです。株安・円高のニュースが入った場合でも、「定期的に投資するタイミングで安く買えて良いか」とも思えるので、精神衛生上もプラスです。③投資余力あれば下落時に追加投資:まだ投資余力のあって相場動向も追いたい方は、さらなる下落があったタイミングで追加的に資金投入して、銘柄の平均取得単価を下げることも効果的です。ただ、相場の底を見極めて投資実行するのはかなり難しいので、ある程度下落した時に入れられていたらプラスくらいに捉えると良いでしょう。ブルーモで資産運用されているユーザーも長期目線の方が多いので、相場下落時もむしろ追加投資する方がいたり、最近リリースされたリバランス付き自動つみたて投資機能を活用される方が多いのが特徴的でした。資産運用の原則である「長期・積立・分散」については、以下記事もご覧ください。

米国の景気後退懸念で世界的な株安パニックが発生。その後沈静化して株価は横ばい|米国市場サマリー

米国の景気後退懸念で世界的な株安パニックが発生。その後沈静化して株価は横ばい|米国市場サマリー

先週は、米国の景気後退懸念から世界的な株安が広がり、月曜日の日経平均は歴代1位の下落幅となりました。しかし、その後ポジティブな経済指標が出てくるにつれて株価は回復し、週間で見ると横ばいで終えています。為替は、FRBが利下げを急ぐ観測が広がって円高が進みましたが、景気後退懸念が薄まるにつれて円安に戻り、こちらも週間では横ばいでした。米国株式市場:世界的なパニックが発生するも、沈静化して株価は横ばい8月5日(月) 米国株式市場は大幅に続落し、景気後退への懸念が世界市場を揺るがせ、投資家がリスク資産からの逃避を図りました。Appleの株価が大幅に下落し、著名投資家ウォーレン・バフェットが率いるBerkshire HathawayがApple株の保有を半減させたことが影響しました。これにより、NASDAQとS&P 500は3日連続の下落となり、5月上旬以来の安値を記録しました。主要なハイテク株が軒並み下落し、投資家の不安を示すVIXも上昇しました。8月6日(火) 市場は反発し、NASDAQとS&P 500が1%上昇しました。FRBの当局者が、7月の雇用統計が弱い内容だったものの、景気後退の懸念が過剰であると示唆したことが背景にあります。この発言を受け、景気後退への不安が和らぎ、前日の大幅な下げから反発しました。特にNVIDIAの株価が約4%上昇し、市場を牽引しました。8月7日(水) 市場は再び反落し、NASDAQは1%下落しました。午後に実施された米10年債の入札に対する需要が低調だったことが投資家の不安を煽り、ハイテク株が大きく売られました。Walt Disneyは、テーマパーク事業の需要が今後数四半期で鈍化するとの見通しを示したことで、4.5%下落しました。8月8日(木) 市場は急反発し、NASDAQとS&P 500は大きく上昇しました。労働省が発表した週間新規失業保険申請件数が予想以上に減少し、労働市場の急速な冷え込みを巡る懸念が和らいだためです。Eli Lillyの株価は、肥満症治療薬の売上高が好調で、通期利益見通しを引き上げたことから9.5%上昇しました。8月9日(金) 市場は続伸し、情報技術セクターが上昇を牽引しました。NASDAQは再び上昇し、週初の急落からほぼ横ばいに戻りました。VIXは低下し、投資家心理が改善しましたが、来週発表予定の消費者物価指数(CPI)と小売売上高を控え、慎重な姿勢も見られました。ゲームソフト大手のTake-Two Interactive Softwareは、2026年度と2027年度の成長予測を発表し、4.4%上昇しました。月曜日には日経平均も歴代1位の下落幅を記録し、世界市場全体が景気後退不安から株安になりましたが、その後米国の景気後退懸念は過剰だと示す材料が出てきたことを受けて持ち直しました。株価としては週間で見るとほぼ横ばいとなりました(月曜の開場前取引で5%ほど下落していたので、月曜の開場から見ると大きくプラス)。月曜のISM非製造業景気指数は予想を上回り、木曜の新規失業保険申請件数は予想を下回ったことが大きな回復材料になった形です。為替市場:景気後退懸念に合わせて円高・円安に揺れる為替は、月曜日に景気後退懸念からFRBが利下げを急ぐとの見通しが出て円高が進みましたが、懸念が緩和されるにつれ円安に戻し、週間で見るとほぼ横ばいで終わりました。為替の急変動に伴い、世界全体のキャリートレードのポジションは大きく解消したと見られています。今週のマーケット:CPIと小売売上高に注目今週(2024/8/12-8/16)は、景気後退懸念に影響する経済指標として、CPIと小売売上高に注目が集まります。これ以外にもPPIやニューヨーク連銀の景気指数もあるので、マーケットの不安が払拭し切っていない中、株価変動の材料が多い1週間になりそうです。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

ソフトランディングとは?米景気と株価は今後どうなるか

ソフトランディングとは?米景気と株価は今後どうなるか

本記事では、「ソフトランディング」について解説のうえ、米景気と株価の今後の見通しについて市場関係者の見方を紹介いたします。ソフトランディングとはソフトランディングとは、急激な景気の悪化を引き起こすことなく、インフレを抑制し、適度な景気減速を実現することをいいます。本来は、ロケットや飛行機が緩やかに着陸する様子を意味する言葉ですが、経済用語として広く使われるようになりました。反対に、経済政策の結果、急激な景気後退に陥ることを「ハードランディング」といい、ソフトランディングの対義語として使われます。景気後退懸念から米国株式市場は大幅下落米株式市場は、連邦準備理事会(FRB)によるソフトランディングの実現への期待が株価の追い風となっていたところ、7月の雇用統計などの経済指標が予想外に軟調となり、米景気のハードランディングが懸念され、市場心理は一気にリスク回避に傾きました。しかし、低調な雇用統計の背景としてハリケーンの影響があったとの疑いが根強く、その後に7月のISM非製造業景気指数が51.4を記録したこと等から、景気後退懸念は行き過ぎとの見方が広がりました。また8月7日には、JPモルガンの最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏が「米経済がソフトランディングする確率は35~40%程度」、「クレジットカードの借り手の債務不履行は増加しているものの、米国は現在景気後退には陥っていない」との見立てをCNBCのインタビューで明らかにしています。JPモルガン・チェースのトレーディングデスクは、米国株式市場の下落について、押し目買いのチャンスに近づいているとの見解を示しており、株価が強く反発するかどうかは消費者物価指数(CPI)、小売売上高といった今後の経済指標次第と述べています。市場は大幅利下げによる景気テコ入れに期待7月30-31日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会合の会見では、パウエル議長から9月にも利下げに動く可能性があるとの見解が示されました。エコノミストの多くは、景気の下支えに向けてFRBが今年の残りの3会合で0.25ポイントずつの利下げを行うと予想していますが、直近のFedWatchでは9月会合で0.5ポイントの利下げを織り込んでいるほか、9月と11月会合の両方で0.5ポイントの利下げが行われると予想する大手銀行もあります。また、今月の22〜24日には、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催され、市場ではパウエル議長が利下げの時期や想定する利下げ幅について言及する可能性があると例年以上に注目が集まっています。パウエル議長は、ジャクソンホール会議の冒頭演説をFRBの見通しを方向づける場として利用することが多くありました。今後の注目のイベント8月14日 消費者物価指数(CPI)8月15日 小売売上高8月22〜24日 ジャクソンホール会議8月28日 エヌビディア(NVDA)決算8月31日 個人消費支出(PCEデフレータ)

【イーライリリー決算みどころ】肥満症薬の売上成長と供給状況は(Eli Lilly)

【イーライリリー決算みどころ】肥満症薬の売上成長と供給状況は(Eli Lilly)

本記事では、米製薬会社イーライリリー・アンド・カンパニー(LLY)の2024年1-3月期決算を振り返りつつ、8月8日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約36%上昇し、S&P500指数の上昇率の3倍に迫るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:増収増益で通期予想も上方修正4月30日に発表された2024年1-3月期決算では、堅調な糖尿病薬と肥満症薬の販売から売上高が前年同期比26%増、純利益が同67%増でした。また、生産能力の拡大を予想していることから通期予想も424億ドルから436億ドルへ上方修正となりました。売上高:$87.7億(予想:$89.4億)EPS:$2.58(予想:$2.48) 糖尿病薬「マンジャロ」の売上高は前年同期の3倍強となる18億650万ドル、肥満症薬「ゼプバウンド」の売上高は5億1740万ドルでした。マンジャロは減量効果があるとして、米国で肥満症薬としても使用されています。これらの薬に使われるチルゼパチドは睡眠中に起こる呼吸障害の軽減にも有効なことが後期臨床試験(治験)で確認されています。4-6月期の注目点:肥満症薬の売上成長と供給状況は2024年4-6月期のイーライリリーの「売上高予想は$100億、EPS予想は$2.75」、平均目標株価は$942です。市場関係者は、引き続き肥満症薬の成長性に注目しています。肥満症薬市場における競争は激化7月25日、競合バイキングセラピューティクス(VKTX)とロシュ(RHHBY)が肥満症薬で有望な開発状況を発表したことから、リリーの株価は4.5%下落し、5月以来の安値を付けました。2030年までに1300億ドルに達すると見込まれる、肥満症薬市場でのリリーとノボ・ノルディスクの2社による独占は終わる可能性があると投資家に受け止められたようです。しかし、JPモルガンのアナリストらは、マウンジャロとゼプバウンドの売上には大きな上昇余地があると見ており、今後もイーライリリーとノボノルディスクが肥満症薬市場での優位を維持する可能性が高いとの考えを示しています。一方、肥満症薬の需要拡大により、リリーは4月にゼプバウンドの供給が短期・中期的にかなり逼迫した状態が続くとの見通しを示していましたが、8月1日、ゼプバウンドが数日中に米国内で正式に供給不足から脱する見込みであると発表され、リリーの株価は3.5%上昇しました。5月には生産増強のため53億ドル(約8300億円)を投じており、供給状況の改善に取り組んでいます。アルツハイマー病薬はどのように拡がるか7月2日、リリーのアルツハイマー病薬「ドナネマブ」は米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。ドナネマブは治療薬ではありませんが、臨床試験ではアルツハイマー病の進行を遅らせ、患者がより長く自立した生活を送り、安全に日常活動に参加できるようになることが示されました。日本国内においても、8月1日、厚生労働省の承認を得ました。アナリストらは、ドナネマブが2024年に2,400万ドルの売上をもたらし、2026年には10億1,000万ドルを売り上げる大型新薬となることを予想しています。腸疾患治療薬のポートフォリオも強化そのほか、7月8日にはバイオ医薬品「モーフィック・ホールディングス」を32億ドルで買収すると発表しました。モーフィックとの取引により、炎症性腸疾患治療薬のポートフォリオを強化し、数十億ドル規模の市場でのシェア拡大を図ります。取引は第3四半期に完了すると予想されています。

利下げ・大統領選で恩恵を受ける?バフェットポートフォリオに注目すべき理由

利下げ・大統領選で恩恵を受ける?バフェットポートフォリオに注目すべき理由

本記事では、ウォーレン・バフェットの2024年4-6月に行われた最新の売却動向を解説しつつ、バフェット氏のポートフォリオと金利・大統領選動向の関係について考察をします。バフェット氏の過去のポートフォリオや資産運用手法については過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。バフェットポートフォリオに大きな変化アップル株の保有が半減8月3日、バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、4-6月にアップル株の保有を50%近く削減したことが明らかになりました。バークシャーは1-3月にもアップルの保有を10%以上減らしており、その際は投資家に対し、売却益にかかる税率が背景にあると説明していました。一部のアナリストは、アップルの長期的な成長能力に少しでも懸念があれば、バフェット氏は全ポジションを手じまいしていた可能性が高いとし、アップル株の保有削減は「単なるリスク管理」または「経済情勢の悪化への備え」であるとの考えを示しています。5月15日に開示された、バークシャーの2024年3月末時点のポートフォリオでは、アップル株は4割近くを占めていましたが、今回の株式売却により保有比率は3割へ低下しました。2024年3月末時点での上位保有銘柄アップル(AAPL) : 40.8%バンク・オブ・アメリカ(BAC) : 11.8%アメリカン・エキスプレス(AXP) : 10.4%コカコーラ(KO): 7.4%シェブロン(CVX): 5.8%オキシデンタル・ペトロリアム (OXY): 4.9%クラフト・ハインツ(KHC): 3.6%ムーディーズ(MCO): 2.9%チャブ(CB): 2.0%ダビータ(DVA): 1.1%バンカメ株も投資縮小また、バークシャーは、ポートフォリオの中で2番目に大きなポジションを占める、バンク・オブ・アメリカ株も7月中旬以降にポジションを8.8%削減していることが報道されています。投資縮小の理由や意図について、バフェット氏はこれまでのところ明らかにしていません。バフェットポートフォリオは4セクターに集中バークシャーのポートフォリオは、テクノロジー、金​​融、エネルギー、生活必需品セクターの4セクターに集中しており、直近の売却状況を鑑みると、 S&P500と比較して金​​融、エネルギー、生活必需品セクターの比率が高くなっています。利下げ・トランプトレード注目の「金融」、「エネルギー」セクターバフェット氏は、長らく金融株を多く保有していることで知られていますが、近年はエネルギーセクターへの投資も増やしており、シェブロンとオキシデンタルの2社でポートフォリオの1割程度を占めています。直近の米国株式市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測の高まりを機に、割高感のある大型グロース株から割安感のあるバリュー株や中小株に投資資金がシフトする動きが見られ、公益・金融株等が買われました。また、金利の引き下げがドル安につながり、他の通貨を使用する国際バイヤーによるドル建て石油の需要が高まる可能性も指摘されています。一方、金融・エネルギー関連の銘柄は、ドナルド・トランプ氏が、金融規制の緩和や石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大方針を表明しているため、2024年大統領選でトランプ氏が再選した場合に恩恵を受けると期待されています。ただし、トランプ氏は石油・ガス業界に対して友好的であるものの、原油価格にとってはリスクが高いことに注意が必要です。ハリス政権が誕生した場合も、原油価格には好材料となり、エネルギーセクターは恩恵を受ける可能性があると考察されています。ハリス氏は以前、石油開発等に用いられる「フラッキング(水圧破砕法)」へ反対の姿勢を示していましたが、直近ではフラッキングを禁止することはないと主張を覆しています。不人気な「生活必需品」セクターで好調なコカ・コーラゴールドマン・サックスの顧客向けレポートによると、過去8回の連邦準備理事会の利上げサイクルにおいて、利下げ開始時点でパフォーマンスの良かったセクターは、1番目が「ヘルスケア」セクター、次いで2番目が「生活必需品」セクターでした。しかし、今のところ生活必需品セクターはセクターローテーションで大きな恩恵を受けていません。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同セクターは世界的に販売量を伸ばしているものの、特に米国の低所得消費者の間で価格決定力が不安定であることが背景にあるといいます。ただし、バフェット氏が長年絶賛するコカ・コーラは生活必需品セクターのなかで最も好調で、4-6月期のオーガニックグロースによる売上成長率は15%を記録したと報告しています。これは、消費不振の時期においても、同業他社よりも値上げを実施できる企業であり、ブランドの強さを物語っている可能性があります。不透明な投資環境で好まれる高配当株米国株式市場は、景気動向・FRB(米連邦準備理事会)の政策動向・地政学的な懸念など、当面は先行きの不透明感が払しょくされない状況が続くことが想定されます。このような環境下においては、安定したインカムゲインを得られる高配当株式への投資も有効な選択肢の一つとなります。バフェット氏は、2023年2月に公開された「株主への手紙」で、成功の秘訣としてコカコーラを例に挙げ、配当を支払う強固で確立されたビジネスの価値を説明しています。「1994年にコカ・コーラから受け取った現金配当は7500万ドルでした。2022年にはその配当が7億400万ドルに増加しました。成長は毎年、誕生日のように確実に起こりました。チャーリーと私がする必要があったのは、コカ・コーラの四半期ごとの配当金小切手を現金化することだけでした。我々はこれらの小切手が今後も増加する可能性が非常に高いと期待しています。」現在バークシャーのポートフォリオは年間約60億ドルの配当収入を生み出していますが、その7割以上は5社に由来しています。バークシャーの2023年年間配当収入 上位5銘柄バンク・オブ・アメリカ(BAC): 9億9,150万ドルオキシデンタル・ペトロリアム(OXY):8億9,750万ドルアップル(AAPL):8億6,930万ドルシェブロン(CVX):8億2,210万ドルコカコーラ(KO):7億7,600万ドル