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金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金に対する強気な市場状況を反映し、9月金ETF(上場投資信託)は14億ドルの流入超となり、5カ月連続での流入超を記録しました。米連邦準備理事会(FRB) が9月18日に利下げ開始を決定したことが好材料となり投資家に好機をもたらしています。本記事では「金価格が上昇している理由」を解説のうえ、ETFを通じた金投資の利点について紹介いたします。最高値を更新し続ける金価格金価格は3月以来急騰し、10月17日には初めて1オンス2700ドルを上回りました。金価格は年初来で約35%上昇しており、S&P500指数の上昇率の約1.5倍のパフォーマンスとなっています。安全資産の需要増、米利下げも追い風金価格は様々な要因によって影響を受けますが、最近の上昇はFRBを含む主要中央銀行による金融緩和への期待と地政学的緊張によって牽引されています。通常、金利が低下すると、銀行に預けた資金や債券から得られる利息が少なくなり、相対的に利息収入が得られない金の魅力が高まります。2000年以降、3回あった米利下げサイクルでは金価格は上昇し、世界株式を上回るパフォーマンスとなっています。また、金は市場の不確実性に対するヘッジとしても見られており、米大統領選や中東紛争をめぐる不透明感から、安全資産としての魅力がさらに高まっています。ゴールドマン・サックスは「世界的な金利低下、構造的な中央銀行の需要増加、地政学、金融、景気後退のリスクに対する金のヘッジ効果により、金ロングをあらためて推奨する」とし、2025年初めの金価格予想を1オンス2700ドルから2900ドルに引き上げました。金価格に連動し、銀価格も高騰また、銀価格も年初来で35%以上上昇し、約12年ぶりの高値近辺で推移しています。金相場高騰に追随していることに加え、銀は太陽光パネルや電子機器など工業用の需要が高まっています。ETFであれば、金投資が簡単に金ETFは、金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託で、現物投資と異なり保管リスクがなく、最低投資額が金価格の10分の1〜100分の1と小口のものも多くなっています。さらに、上場投資信託の名前にもある通り上場しているため、取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができ、運用管理においても、金ETFであれば株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握がしやすいというメリットが挙げられます。また現物投資と、ETFを通じて金投資するのでは、利益に対する税金の取り扱いが異なります。現物投資して得た利益は、給与などの他の所得と合わせて総合課税の対象となり、税率は累進課税が適用されます。一方、金ETFに投資して得た利益は株式と同様に税率は20.315%となり、損失が出た場合は株式などとの損益通算ができます。

なぜ大幅利下げ観測が後退?年内利下げ不要論も

なぜ大幅利下げ観測が後退?年内利下げ不要論も

直近の米金融市場では、利下げ観測後退を背景にドル高・円安が進む展開となっています。投資家にとって、今後の利下げ幅とペースは重要な問題であり、本記事では米利下げ観測の変化とその要因を解説します。11月に0.25%の利下げ観測がコンセンサスにFRB(連邦準備制度理事会)は9月17-18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を0.5%引き下げ、4.75-5%にすることを決定しました。パウエル議長は会合後に記者会見で、大幅利下げに踏み切った一因は労働市場の力強さを維持するための「再調整」と説明しています。予想外に強かった9月雇用統計ところが、10月4日に発表された9月の雇用統計は、7月と8月の就業者数は合計7.2万人の上方修正され、9月の就業者数の伸びは25.4万人と市場予想を大幅に上回りました。失業率も予想外に4.2%から4.1%に低下し、労働市場の底堅さが示されたことから、10月雇用統計が大崩れしない限り、11月のFOMCでは再び0.5ポイントの大幅利下げには踏み切らず、通常の0.25ポイントの利下げを実施する見方が大勢となりました。その後10月10日に発表された、9月の消費者物価指数(CPI)は市場予想をやや上回る伸びとなりました。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年同月比が3.3%上昇と8月の3.2%上昇から反転し、物価上昇率が順調に低下していない可能性があるとの懸念を生じさせました。一方、同日に発表された週次の新規失業保険申請件数は、ハリケーンなどが影響し、前週比3.3万件増と週間の増加幅としては2021年7月以来最大となりました。ハリケーン「ヘリーン」は米南東部の広範囲で甚大な被害を出し、一部では道路や電力の復旧に苦慮しており、事業回復には時間がかかると想定されています。市場はコアCPIインフレ率の上昇よりも失業保険申請件数の急増を重視し、11月の利下げ確率は約90%に急上昇しました。また、10月の労働市場関連の経済指標には、ボーイング従業員3万3000人が加盟する労働組合による9月のストライキとハリケーンの影響から解釈が難しくなることが指摘されています。利下げ継続に慎重な見方も一部からは、米経済の力強さと根強いインフレによって、年内の利下げはあと1回に留まるとの見通しも出ています。具体的には、10月の雇用統計が比較的力強く、インフレ鈍化の流れが休止する状況が続けば、追加利下げを控える可能性が指摘されています。また、著名エコノミストのエド・ヤルデニ氏は、原油価格が上昇傾向にあり、中国が景気刺激策を打ち出す中で、FRBがさらなる利下げを行えば、インフレを引き起こす懸念があるりFRBは年内の利下げは必要ないという見方を示しています。今後の注目イベント11月1日 雇用統計11月5日 大統領選挙11月6〜7日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合11月13日 消費者物価指数(CPI)12月6日 雇用統計12月11日 消費者物価指数(CPI)12月17〜18日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合

【米国株見通し】S&P500は年末6000突破なるか

【米国株見通し】S&P500は年末6000突破なるか

2024年第3四半期、公益から資本財、金融に至るまで幅広い銘柄が上昇したことにより、S&P500指数は5.5%上昇し、年初来の上昇率は21%に達しました。四半期ベースでは4四半期連続高で2021年以来の長期上昇局面。1-9月の上昇率としては1997年以来の大きさとなります。本記事では、2024年第4四半期の米国株の見通しを紹介し、個人投資家が注目すべき動向を考察します。S&P500、年末6000超えの予想も企業業績が力強く、米経済が十分健全に見えることから、多くの投資家は強気相場が少なくとも年末まで続く可能性が高いと考え、10-12月(第4四半期)は第3四半期と同様にボラティリティーは高いものの、好調さを維持したまま年末を迎えることが予想されています。ゴールドマン・サックス・グループのスコット・ルブナー氏は顧客向けレポートで「年末の米国株の上げは10月28日に開始すると強気にみている。目標の6000が低過ぎるのではないかと懸念している」と述べています。ルブナー氏の算出によると、1928年以降、S&P500は10月27日から平均で約4%上昇する傾向にあり、米大統領選後は株高になりやすいです。また、ブラックロックは顧客向けレポートにおいて「第3四半期のボラティリティは、部分的には景気減速への懸念と連邦準備制度理事会 (FRB) が対応に遅れを取っているのではないかという懸念に起因しており、株式市場の基盤となるファンダメンタルズとはほとんど関係がないと私たちは考えている」と述べています。 ボラティリティが予想される第4四半期足元の米国株に対して慎重な姿勢については、金融政策の不透明感のほか米大統領選挙や中東地域の緊張等、金融市場を取り巻く不確実性を反映しています。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX)は10月1日、一時20.7まで上昇しましたが、投資調査会社CFRAによると、10月の平均ボラティリティーは1945年以降、他の11カ月の平均を34%上回っています。ボラティリティには株価の上昇と下降の両方が伴い、不安をかき立てるものですが、珍しいことではなく、健全な株式をセール価格で買い増す機会となることもあります。ブラックロックの分析によると、VIXが12以下の場合、6か月後のS&P500のリターンは約5%、VIXが29以上に達した場合の6か月後のリターンは16%と、1990年までさかのぼるデータではボラティリティが高いほど短期リターンが高くなることが示されています。試される「ソフトランディング」特に市場心理に影響を与える可能性が高いのは、FRBの利下げ動向です。アナリストらは「ソフトランディングのシナリオや金融緩和継続への期待を後押ししないデータには過敏に反応するだろう」と指摘しており、雇用統計やFRB高官の発言に注目が集まります。10月3日時点のFedWatchでは、11月会合で0.25%の利下げ、12月会合で0.5%の利下げ予想と引き続き積極的な利下げ期待が反映されています。第4四半期注目のイベント10月4日 雇用統計11月1日 雇用統計11月5日 大統領選挙11月6〜7日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合11月14日 エヌビディア(NVDA)決算12月6日 雇用統計12月17〜18日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合

なぜ大幅利下げも円安・株価下落?先行き不透明も米国株は緩やかな上昇期待

なぜ大幅利下げも円安・株価下落?先行き不透明も米国株は緩やかな上昇期待

FRB(連邦準備制度理事会)は9月17-18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を0.5%引き下げ、4.75-5%にすることを決定しました。18日の米金融市場では一時株高や円高・ドル安が進む場面がありましたが、米株相場は下落して終え、為替も142円台に反発しました。本記事では、大幅利下げも株安・円安となった背景を解説します。0.5ポイントの利下げも、見通しは市場期待とずれ会合後に公表された経済見通し資料では、年内の利下げ幅見通しについて19名のFOMC参加者のうち10名が少なくとも0.5%の追加利下げを支持していることが示されたものの、0.25%以内でも十分という参加者も9名おり、意見の相違が見られました。9月会合で発表されたドットチャート(出典: SEP)一方、市場の一部では2025年末にかけてより積極的な利下げ予想があり、市場予想よりも控えめな利下げ見通しを受けて、投機勢による円買いポジションの解消や利確が生じ、為替や株の変動が大きくなったと考えられています。パウエルFRB議長は、今回の0.5%の引き下げについては労働市場の冷え込みを回避するためのリスク管理であり、先行き同様のペースで緩和を進めるわけではないとの旨の発言もしており、今後のデータ次第で利下げペースを速める方向・落とす方向のいずれにも柔軟に対応する姿勢を示しました。9月19日時点のFedWatchでは、11月会合で0.25%の利下げ、12月会合で0.5%の利下げ予想と積極的な利下げ期待が反映されています。一部アナリストは「今後は市場の期待とFRBのせめぎ合いとなり、どちらが正しいかを決めるのはインフレデータではなく雇用データとなるだろう」と指摘。次回11月会合までに雇用統計の発表は2ヶ月分控えています。米国株は緩やかな上昇が期待また、9月会合の結果発表後に実施した「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査では、今回の利下げによりソフトランディングの可能性が高まり、米国株は年内に緩やかに上昇するとの見方が示されました。調査回答者のうち、44%が18日の終値から6%未満の上昇、37%は6%を超える上昇を予測。6%の上昇は、S&P500指数の今年これまでの上昇ペースとほぼ一致します。残りの19%は下落の見通しを示しました。株価上昇に対する慎重な期待は、金融政策の不透明感のほか米大統領選挙や地政学リスク等、金融市場を取り巻く不確実性を反映しています。

FANG+とは?構成銘柄の選定基準や過去リターンを徹底解説

FANG+とは?構成銘柄の選定基準や過去リターンを徹底解説

本記事では、「FANG+」指数の構成銘柄や比率、銘柄の入れ替え基準と入れ替え時期、過去のパフォーマンスについて詳しく解説します。FANG+とは「FANG(ファング)」とは、もともと2015年に株式評論家ジム・クレイマー氏によって作られた造語でFacebook(現Meta Platforms)AmazonNetflixGoogle(Alphabet傘下)の4銘柄の頭文字を意味します。これらの銘柄に、世界の時価総額上位2銘柄であるアップル、マイクロソフトを含む6銘柄を加えた大型テクノロジー10銘柄に10%ずつ等配分投資をする株価指数がFANG+指数で、米インターコンチネンタル取引所(ICE)が2017年9月26日から提供を開始しました。構成銘柄と入れ替え基準構成銘柄の入れ替えは四半期ごとに行われ、3月、6月、9月、12月の第3金曜日の後に変更が適用されます。銘柄はFANG(メタ、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット)、アップル、マイクロソフトの6銘柄を主軸とし、残り4銘柄は以下の要素に基づいてランク付して抽出され、現在は半導体大手のエヌビディアとブロードコム、サイバーセキュリティのクラウドストライク、業務SaaSのサービスナウが選出されています。時価総額(35%の重み)平均日次取引高(35%の重み)売上高対株価比率(15%の重み)1年の売上成長率(15%の重み)2024年9月にちょうど変動4銘柄の組み替えがあり、電気自動車のテスラ、データプラットフォームのスノーフレークが落とされ、クラウドストライクとサービスナウが新たに組み込まれました。過去には、中国のアリババやバイドゥ、Twitter(現X)、 アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)なども選出されていました。過去のパフォーマンスICEの分析によると、NYSE FANG+指数は2014年9月19日から 2024年8月30日までの期間に年率27.62%のリターンを上げています。一方、同期間のNASDAQ-100は18.18%、S&P 500は12.99%、S&P 500情報技術セクターは22.06%のリターンとなっており、他の主要な米国指数を一貫して上回っています。出所:ICEFANG+にワンタップで簡単投資?ブルーモ証券の提供する投資アプリ「Bloomo」では、米国株・ETFを組み合わせたオリジナルなポートフォリオで簡単に投資することが可能です。今回紹介したFANG+のポートフォリオをワンタップでコピーし投資を始めることができ、そこから変更を加えてオリジナルのポートフォリオの作成も可能です。投資信託と同様に日本円を入金するだけで分散投資できて、自分でやると面倒なリバランスもワンタップで実行できるので、テクノロジー銘柄インデックスに興味がありつつ、自分でも中身をいじりたい方にはおすすめできます。その他のテクノロジー銘柄インデックス(Magnificent 7やUS Tech Top20)とのパフォーマンス比較や、FANG+に投資する場合のオプションについてご関心のある方は、以下の記事もぜひご覧下さい。

ラッセル2000とは?米小型株に資金がシフトする理由

ラッセル2000とは?米小型株に資金がシフトする理由

本記事では「ラッセル2000」について解説のうえ、米小型株の今後の見通しについて紹介いたします。ラッセル2000とはラッセル2000(Russell 2000)とは、米国株式市場において小型株のパフォーマンスを反映する株価指数で、米国証券取引所に上場している銘柄のうち時価総額上位1001位から3000位の銘柄で構成されています。小型株は経済動向に対して敏感であり、大型株よりもリスクが高いと考えられていることから、ラッセル2000は米国経済の健全性やリスク許容度を測る手段ともなっています。米小型株に資金がシフトする理由?足元では、米連邦準備理事会(FRB)の9月利下げ観測と米経済の底堅さを示す経済指標の発表をきっかけに、大型テック株から中小型株への資金シフトしつつあり、ラッセル2000は8月5日の安値から約9%上昇しています。利下げの恩恵を受けやすいアナリストの中には、今が中小型株のポジションを増やすのに好機であり、FRBの政策転換によりラッセル2000指数は40%上昇する可能性があると考える人もいます。ラッセル2000を構成する企業の約4割は赤字であり、変動金利の負債を抱えています。短期金利の低下は借入コストの低下につながり、こうした企業にとって有利に働く経済状況といえます。8月23日のジャクソンホール会議にて、パウエル議長はインフレ鈍化の面に進展が見られるとの認識を示し「政策を調整する時が来た」と述べ、早くて9月に利下げを開始するとの見通しを裏付けました。一方、雇用市場のリスクが指摘されており、9月6日に発表が予定されている雇用統計が、利下げのタイミングとペースを見通す判断材料として大きく注目を集めています。出遅れ感あり、相対的に割安歴史的に、大型株に対して小型株の相対評価が現在ほど低いのは、1999~2000年のドットコムバブルと2007年の金融危機の2回のみで、長期投資家にとって潜在的な機会となっています。ラッセル2000の株価収益率は15倍程度で取引され、S&P500の26倍、ナスダックの33倍と比べて魅力的な水準となっています。

トリプルウィッチングとは?市場の変動に注意

トリプルウィッチングとは?市場の変動に注意

トリプルウィッチング(Triple Witching)とは、米国市場において個別株オプション・株価指数先物・株価指数オプションの3つのデリバティブ商品が同日に決済期日を迎えることを指します。この日は投資家が期限切れのポジションをクローズ、ロールアウト、または相殺するため、特に取引の最後の1時間に取引活動が急増する傾向があり、市場のボラティリティが高まることが特徴です。トリプルウィッチングは通常、3月、6月、9月、12月の第3金曜日に発生します。2024: 3月15日 / 6月21日 / 9月20日 / 12月20日2025: 3月21日 / 6月20日 / 9月19日 / 12月19日2026: 3月20日 / 6月19日 / 9月18日 / 12月18日クアドラプルウィッチングとはまた、トリプルウィッチングに加えてもう1つ個別株先物の満期が重なり、4つの金融商品が同日に決済期日を迎える現象をクアドラプルウィッチング(Quadruple Witching)といいます。この日もトリプルウィッチングと同様に、3月、6月、9月、12月の第三金曜日に訪れます。ただし、個別株先物は2002年11月から2020年9月まではシカゴ取引所で取引されていましたが、現在は米国で取引されていません。トリプルウィッチングは強気か弱気か歴史的に見ると、トリプルウィッチングの日は市場にとって「上昇」の日でも「下降」の日でもなく、市場の方向性を予測するのが非常に難しい日です。取引量と流動性が増える傾向があるため、一部の投資家は短期的な取引チャンスとして捉えることがありますが、多くの投資家はこの日の動きを基に来週以降の市場動向を読み解くことを避ける傾向があります。また、重要な経済指標の発表やFOMCの政策決定など、より広範なマクロ経済イベントが重なると、市場に大きな動きを引き起こす可能性があることに注意することが重要です。

【徹底解説】インド株式の基礎知識と投資家が注目すべきポイント

【徹底解説】インド株式の基礎知識と投資家が注目すべきポイント

本記事では、世界で最も急速に成長している市場の一つであるインド株式市場の魅力やリスクについて詳しく解説します。目次インド経済の成長要因政府の製造業振興とデジタル化推進地政学的背景:製造拠点としての台頭人口統計上の優位性インド株式のリスク雇用創出の課題政治リスク割高なバリュエーションインドの代表的な株価指数であるSENSEX指数は過去5年間で約2倍弱に成長し、米国を代表する株価指数であるS&P500指数を上回る上昇率となっています。さらに、1月には上場株の時価総額が香港を抜き、世界4位に躍進しました。インド経済の成長要因近年のインドは大規模なインフラ投資の追い風を受け、さらには経済安全保障の観点から欧米を中心に中国市場の有望な代替投資先としての期待も高まっており、成長の勢いを加速させています。政府の製造業振興とデジタル化推進2014年に首相に就任したモディ首相の下で、インドはより多くの製造業を国内に誘致するため、「Make in India」を掲げ、規制の負担を緩和し、道路やその他のインフラに投資し、税制優遇措置や還付金を提供してきました。デジタルインフラの構築についても政府が主導権を握っており、サプライチェーンのデジタル化が功を奏し、インドは世界銀行の物流パフォーマンス指数で2018年から2023年の間に6位上昇しました。これにより、多くの企業がインドに注目し、投資を拡大しています。地政学的背景:製造拠点としての台頭新型コロナウイルス感染症によって生じたグローバルでのサプライチェーンの混乱は、多くの企業の中国依存を明らかにしました。また2022年2月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ロシアからの企業の撤退が相次ぎ、多くの企業が中国やロシア以外での製品生産を決定する中で、世界的に競争力のある拠点としてインドに製造拠点を設ける動きが本格化しています。たとえば、Appleは2022年よりインドでのiPhoneの生産を拡大しており、関係者によると現在ではiPhoneの7台に約1台、最大約14%をインドで生産しています。また、2023年6月に米国の半導体大手マイクロン・テクノロジーの工場建設発表が呼び水となり、半導体製造に絡む企業が集結しつつあります。日本企業からもルネサスエレクトロニクスが2024年1月に、インドに現地企業と合弁で半導体の組み立てや検査を手掛ける工場を建設すると発表しました。人口統計上の優位性インドは人口14億人を超え、中国を抜いて世界で最も人口の多い国となっていますが、歴史的に新興市場の成功を支えてきた「若者人口の多さ」が特徴です。人口の中央値は28歳で中国や米国の39歳と比べて非常に若く、ミレニアル世代とZ世代が2030年までにインドの人口の50%以上を占めることが予想されています。豊富な労働力は、サービスや製造業の分野での短期的な成長目標を達成するだけでなく、消費者支出の成長に寄与します。これは、世界中で商品需要が冷え込み、製造業が低迷する中、投資家が注目している点で、国際通貨基金(IMF)は2025年にも名目GDPでインドが日本を追い抜くと予想しています。インド株式のリスクインドはマクロ経済の安定性で際立っており、その中長期的な成長の可能性は、外国資本の誘致、サプライチェーンの再編、地政学的立場、人口動態などによって支えられています。一方で、インド株式投資にはリスクも存在します。雇用創出の課題インドは人口統計上の優位性がある一方で、労働力参加率は40%半ばと世界平均の65%を大きく下回っています。雇用創出が生産年齢人口の増加に追いついていないことが大きな原因ですが、女性、特に既婚女性の労働力参加をあまり支持しない文化も原因の1つとなっています。インド女性の労働力参加率は2000年の31%から2022年には24%に低下しました。また、労働力の約半数は農業に従事しており、労働者一人当たりの生産量を抑制しています。多くの雇用を創出するには成長余地の大きい製造業を育成することが有効ですが、政府によるグローバル企業の誘致も現時点では大規模な雇用創出につながっておらず、今後のインド経済の持続的な高成長には製造業振興策の成功が鍵といえます。政治リスクインドは世界最大の民主主義国であり、2024年には地方選挙、国会議員選挙、議会選挙が予定されており、政治的な不安定さや政策変更が経済に影響を与える可能性があります。直近では、予想外の選挙結果から株価が乱高下する場面もありました。長期的な視点で投資を行い、短期的な変動に耐えることが大切です。割高なバリュエーション米国株と同様に、インド株は予想利益の20倍強で取引されています。現在の株価はすでに同国の成長の可能性を織り込んでおり、上場株式の比較的割高なバリュエーションは一部の投資家にとって懸念材料となっています。インド株式市場は歴史的に企業の利益成長によってけん引されてきたため、企業業績の推移を把握することが重要です。ただし、ゴールドマン・サックスは今年と来年に年15%程度の利益成長を予想しており、こうした利益成長でバリュエーションは抑制されると述べています。また、選挙期間中は低迷していた外国からの投資フローが再び増加するとの期待もされています。

利下げで注目?外国債券の基礎知識と金利との関係

利下げで注目?外国債券の基礎知識と金利との関係

本記事では、外国債券投資を始めたい方に向けて、債券の基礎知識と金利との関係について解説します。目次債券とは外国債券の種類外国債券投資の利点債券と金利の関係利下げサイクルで注目される債券投資世界で利下げが本格化する2024年債券とは債券は、政府や企業が資金調達するために発行する借用証書の一種です。投資家は債券を購入することで、発行者にお金を貸し、その見返りとして定期的に利子を受け取り、満期時には元本が返済(償還)されます。外国債券の種類債券は、発行体や通貨によって区分されます。広義には「発行体」、「発行地」、「通貨」いずれかが外国の債券を外国債券とし、狭義には元本の払い込み・利子の受け取り・償還すべてが外貨で行われる債券をさします。以下は主要な外貨建債券の種類です。外貨建債券の種類公社債:国や地方公共団体、政府系機関などが発行する債券。国債、政府関係機関債など国際機関債:世界銀行(国際復興開発銀行)など国際機関が発行する債券民間債:民間企業が発行する債券。社債など外国債券投資の利点債券は「利子の支払日」や「償還日」があらかじめ決まっているため、定期的な収入を得ることができ、計画的に資金運用が可能です。また、満期まで保有すれば元本額が払い戻されるため、株式投資に比べて安全な運用ができ、他の投資と組み合わせることでポートフォリオのリスクを分散することもできます。そして、外国債券ならではのメリットとして、利回りの高さと、為替変動による差益があります。日本国債は安全性が高い一方で、長期にわたり低金利政策が続いているため、利回りが非常に低いのが現状です。外国債券は、相対的に高い利回りが期待でき、投資家にとって魅力的な選択肢となります。ただし、一般に金利の高い債券は信用リスクも高い傾向があるので、そのトレードオフを理解して選ぶ必要があります。発行体の信用リスクや健全性を図るには発行体の「格付け」が参考になります。格付けは、格付機関が発行体の債務支払能力を評価し、信用力を示したもので、格付けが高い発行体ほど債務不履行に陥る可能性は少なくなります。また、債券購入後に円安が進行すると、利子や償還金、売却益を受け取る時に為替差益(為替レートの変動によって生じる利益)を得ることができます。逆に、円高が進行した場合には損失が発生する可能性もあるため、適切なリスク管理が求められます。債券と金利の関係債券価格と金利は逆の動きをする「逆相関」と呼ばれる性質を持っています。金利が上がると、新しく発行される債券の利率が高くなるため、既存の債券の利率が相対的に低くなり、既存の債券の価格は下がります。一方で、金利が下がると、新しく発行される債券の利率が低くなるため、既存の債券の利率が相対的に高くなり、債券価格は上がります。利下げサイクルで注目される債券投資利下げサイクルでは債券価格が上昇するほか、中央銀行が金利を低く保つため、債券の利回りが安定します。過去の市場変動をふりかえると、政策金利が利下げに転換するような局面では、景気減速による企業業績の悪化から株式やハイイールド債等のリスク資産は軟調に推移し、国債などの高格付けの債券はパフォーマンスが好調になる傾向があります。具体的には、ITバブルが崩壊した2000年5月末から2003年6月末にかけて米政策金利は6%超の水準から1%台まで引き下げられ、この間に米国株式は28.2%下落したのに対して、米国債は35.6%上昇しました。またリーマンショックの2006年6月末から2008年12月末にかけて、米政策金利は5%台から0%近辺に引き下げら、この間に米国株式は25.1%下落し、米国債は29.5%上昇しました。世界で利下げが本格化する2024年主要中央銀行のなかでは、3月にスイス中銀、5月にスウェーデン中銀、6月5日にカナダ中銀が、それぞれ利下げを実施しました。欧州中央銀行(ECB)は、6月6日の理事会で、中銀預金金利を4.0%から3.75%へと0.25%ポイント引き下げる決定を行いました。米国では、今年に入ってからの物価指数が比較的高い水準で推移していたことから利下げ期待はやや後退していますが、米連邦準備制度理事会(FRB)も2024年後半に利下げに踏み切る可能性があると期待されています。

スタグフレーションとは?米国経済の行方に警戒

スタグフレーションとは?米国経済の行方に警戒

本記事では「スタグフレーション」とは何か、なぜ米国経済にスタグフレーションの懸念が浮上しているのかを解説します。目次スタグフレーションとはなぜ、米国経済のスタグフレーション懸念が浮上したのか第1四半期GDP低迷をきっかけに意識FRBは堅調な景気評価を維持景気後退を示したISM景況指数雇用統計で一安心も、焦点はCPIか投資家がとるべきリスクヘッジはスタグフレーションとはスタグフレーション(stagflation)は、景気後退を意味する「スタグネーション(stagnation)」と物価上昇を表す「インフレーション(inflation)」を組み合わせ用語で、経済成長が停滞し、インフレ率が高く、失業率が高い状態を指します。米金融市場については、連邦準備理事会(FRB)が景気の悪化を引き起こすことなく消費者物価を抑制する「ゴルディロックス」シナリオが期待されていましたが、1-3月期の物価上昇率の高止まりや原油高を受けて、インフレ再燃への警戒感が高まっていました。なぜ、米国経済にスタグフレーション懸念が浮上したのか第1四半期GDP低迷をきっかけに意識4月25日に発表された第1四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率1.6%増と昨年第4四半期の3.4%の半分以下に落ちただけでなく、市場予想の2.5%を大きく下回る結果となりました。一方、第1四半期のコアPC物価指数は3.7%上昇しと市場予想を上回り、インフレの根強さを示しました。経済成長の減速と高いインフレ率がスタグフレーションへの懸念を煽り、米利下げ開始予想は一時12月に後ずれしました。ただし、バンク・オブ・アメリカのアナリストらは、第1四半期GDPが予想を下回ったのは主に貿易赤字の拡大と企業の在庫積み増しペース鈍化の影響であり、消費者の需要は依然として底堅く、スタグフレーションの兆候を示すものではないと指摘しています。FRBは堅調な景気評価を維持4月30日から5月1日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、FRBは政策金利を5.25-5.5%で据え置くことを決定しました。発表された声明文では、米国経済の現状について「経済活動は堅調なペースで拡大し、雇用の伸びは引き続き力強く、失業率は低いままである」と全体的な評価を維持しました。パウエル議長は会見で、第1四半期GDPの低迷については「在庫投資、政府支出、純輸出を除いた民間最終消費支出は2023年下半期と同じくらい好調」で重要視しない姿勢を示し、労働市場は1年前ほどではないにせよ引き続き逼迫していると述べました。米経済がスタグフレーションに陥るリスクについては、インフレ率が一時10%を超え、失業率も高水準だった1970年代終盤(※)とは状況が大きく異なると指摘。現在は成長が底堅く、インフレ率も3%を下回っており、「スタグ」も「フレーション」も見られないとの認識を示しました。※米国で深刻なスタグフレーションが最後に発生したのは、1970 年代のオイルショックです。第一次オイルショック(1973 年〜)は第4次中東戦争におけるアラブの石油禁輸措置、第二次オイルショック(1979年〜)はイラン革命に起因しました。第二次オイルショックによる高インフレは、FRBが金利を引き上げてインフレを緩和しようとしたため、経済は不況に陥り、失業率は10%超えまで上昇しました。景気後退を示したISM景況指数しかし、5月1日に発表された4月のISM製造業景況指数は、49.2と好不況の境目とされる50を下回り、市場予想を下回る結果となりました。さらに、米国経済を牽引してきたサービス業も、ISMサービス業景況指数が49.4と50を下回り、2022年末ぶりの低水準に。堅調なペースで拡大していた経済が勢いを失い始めていることを示す結果となる一方で、支払価格の上昇や担当者のコメントからはインフレ圧力の根強さが示唆され、スタグフレーションへの懸念が高まりました。ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は、「ビジネス全般が総じて減速しつつあると調査の回答者は指摘した」と述べつつも、「基準値の50を下回っているからといって過度に興奮する必要もない」と語っています。雇用統計で一安心も、焦点はCPIか5月3日に発表された4月の雇用統計は、雇用者数の減速や賃金上昇率の鈍化など、労働市場の逼迫が緩和し、インフレ圧力が和らぎつつあることを示しました。 また失業率は3.9%に上昇したものの、引き続き低水準となりました。市場はゴルディロックスを想起させる結果に反応し、年内に25bpの利下げ2回との見方を再び織り込みました。ただし、雇用統計はブレの大きい統計とされており、単月の結果をもって見通しを判断することは必ずしも適切ではありません。一部アナリストは、米金融政策にとって消費者物価指数(CPI)の方が雇用統計のデータよりもはるかに重要であると指摘しており、5月15日に発表されるCPIと小売売上高の結果に注目が集まります。投資家がとるべきリスクヘッジ直近の米経済指標は強弱が混在しており、中長期的にも景況動向の不透明感が強まっています。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、FRBが景気後退を引き起こすことなくインフレを抑制できると期待しているものの、スタグフレーションの可能性はあると警告しています。では、投資家はスタグフレーションでの資産減少リスクを回避するために何ができるでしょうか?最適なポートフォリオは、投資家個人の財務目標、リスク許容度、投資期間によって異なるため、万能な答えはありません。しかし、一般的に、スタグフレーション状況では、「公益事業」と「エネルギー」セクターが最もパフォーマンスを上げており、スタグフレーション懸念の2022年に最もパフォーマンスの良いセクターであったとバンク・オブ・アメリカは顧客向けレポートで述べています。また、インフレ加速時に好成績を収めることが多いコモディティへの投資や、価格決定力が強く消費者に高いコストを転嫁できる企業への投資も選択肢として考えられます。ブルーモでは、相場下落時の投資オプションについても解説しております。ご関心のある方は、こちらもぜひご覧ください。

ゼロから学ぶ日銀のマイナス金利解除

ゼロから学ぶ日銀のマイナス金利解除

こんにちは、ブルーモ証券代表の中村です。去年から度々経済ニュースで議論される「日銀のマイナス金利解除」について、この記事ではどんなものかを噛み砕いて解説し、海外株式に投資する個人投資家に対する影響を考察します。元関係者として政策決定の考察もできるのですが、今回は基本的な解説をします。もし、ディープな内容のリクエストあれば教えてください。この記事は投資初級者(投資はNISAとインデックスくらい)向けの内容です。筆者:中村 仁米国株資産運用アプリを提供するブルーモ証券の代表取締役。東京大学大学院経済学研究科(修士)を修了後、財務省にて総合調整・税務調査・国際金融業務に従事。その後、スタンフォード大学でMBAを取得し、米系コンサルティング会社のマッキンゼーにて主に金融機関向けのプロジェクトをリード。2022年にブルーモ証券を創業。大学院・財務省時代は各国の財政状況やニュースによって、国債金利がどのように変動するかをマクロ計量モデルで研究。目次マイナス金利政策とは何か?前提:そもそも日銀の金融政策とは?長期化した金融緩和の果てがマイナス金利政策個人投資家は何を見ておくべきか?日銀の政策変更タイミング(を市場はどう予想するか)FRBの動きとも合わせた為替相場の動きマイナス金利政策とは何か?マイナス金利解除を語る前提として、マイナス金利政策とは何かを簡単に解説します。前提:そもそも日銀の金融政策とは?日銀の役割は「物価を安定させること」です。日銀HPより(日本銀行の目的は何ですか?)日本銀行の金融政策の目的は、物価の安定を図ることにあります。物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤であり、日本銀行はこれを通じて国民経済の健全な発展に貢献するという役割を担っています(日本銀行法第1条第1項、第2条)。経済成長に適正なインフレ率は年間2−3%とされています。日銀はこの2−3%のインフレ率が継続する環境をつくるため、実体経済に働きかける手段として金融政策を実行しています(実体経済と中央銀行の関係についてはこちらの記事を参照)。なぜ「働きかける」という表現になるかというと、「物価」は日々の売買や企業の投資の中で決まっていく(たくさん買いたい人がいれば物価は上がるし、売りたい人が多ければ下がる)ので、それを直接日銀が操作できるわけではありません。日銀にできることは「日本円を発行すること」なので、基本は発行した日本円の流通量を変える等の手段で金利を操作し、それによって最終的に物価に働きかけようとします。金利が下がれば企業はお金をたくさん借りてたくさん使う(設備に投資する)はずなので物価は上昇し、金利が上がると逆に消費が減って物価は下落することが想定されています。大きな動きとしては、①日銀の金融政策→②金利の変化→③物価の変化、という図式を頭に入れていただければと思います。日銀は、インフレ率が低ければ金利を下げて経済活動を刺激し、高ければ金利を上げるというのが基本的なアクションになります。長期化した金融緩和の果てがマイナス金利政策日本は過去30年にわたってデフレ(インフレの逆で物価が下がること)が続き、経済成長にマイナスの影を落としてきました。「物価が下がるとお得で良いのではないか」と考えるかも知れませんが、モノの値段が上がらなければ賃金も上がらず、企業も投資を積極的にできない環境になるため、経済全体にとっては悪影響になります。これに対して日銀は金利を引き下げて物価上昇を目指しますが、金利は早々にゼロまで下がってしまい、そこから出口の見えない長期の金融緩和(=物価上昇を目指した金融政策)を続けることになります。日銀の植田総裁が、かつて日銀で勤務していた当時に書いた有名な書籍(私も学部時代に読みました)に「ゼロ金利との闘い」がありますが、20年前からゼロ金利でも上がらない物価に苦しんでいたことになります。2012年から始まった第二次安倍内閣では、デフレを中々脱却できない日本経済を大規模な経済政策で刺激する「アベノミクス」を展開しました。同じタイミングで日銀総裁に就任した黒田総裁は、政府と歩調を合わせて大胆な金融政策を順次展開していきました。その一つが2016年から現在まで続くマイナス金利政策です。「マイナス金利」とは、その名の通りお金を貸した(預けた)側が金利を支払う、通常とは全く逆の現象を意味します(通常はお金を借りると借りた側が金利を払う)。民間の銀行は余ったお金(預金として預かったお金のうち貸付等に当てられていない分)を日銀に預ける必要があります。通常はこのお金にプラスの金利がついて銀行の収入になるのですが、マイナス金利が適用されるとコストが発生します。銀行はお金が余って日銀に預けると損なので、なんとかお金を使おうとして積極的に貸し出しを進め、結果的に経済が活性化してデフレ脱却できるだろう、というのが当初の目算でした。しかし、効果は思ったより芳しくなく、マイナス金利を解除できないまま8年が経過して今に至ることになります。マイナス金利の前後でも、量的緩和やYCCなど様々な金融政策は実行されていますが、マイナス金利はデフレ脱却の苦しみを表す一つの象徴的な存在です。個人投資家は何を見ておくべきか?日銀の政策変更タイミング(を市場はどう予想するか)マイナス金利が解除されるとはどんな金融政策なのか、など技術的な話は一旦省略すると、マイナス金利解除で日本の短期金利はやや上がります。「やや」と表現したのは、上がると言っても1%などという単位ではなく、0.1-0.2%くらいの幅になります。日銀の金利が上がるタイミングで、日本の低金利と米国の高金利のギャップが縮まるので、為替レートが円高に推移すると想定されます。どうしてそうなるかの背景は、以前書いたこちらの記事を読んでみてください。日銀の金融政策は「金融政策決定会合」という場で決まるので、ここでどんな結果が出てくるかが重要です。今年の日程は以下に出ていますが、メディア等では3月4月あたりがマイナス金利解除のタイミングではないかと見られています。FRBの動きとも合わせた為替相場の動き為替レートなどの相場は期待で動く(実際の決定よりもそれが見通された時点で動く)ことが多いので、金融政策決定会合の前の「要人発言」や「経済指標」も大きな影響を持ちます。足下の為替レートの動きだと、①植田総裁の発言(国会等に呼ばれて発言することがよくあります)、②関係者からのリーク(政府の容認姿勢など)が大きな影響を与えていました。また、為替レートは日銀だけでなく、米国側でFRBがどう動くか(=利下げがどうなるか)にも左右されるので、FRBの動きも合わせて見ると理解しやすくなります。例えば、FRB側での利下げ期待の高まりと、日銀側でのマイナス金利解除の見通しが同時に出ると、円高に進む可能性はかなり高くなります。ただ、「どこまで円高にいくか」は予想の立てにくいところです。マイナス金利解除に対する材料が一定は出ている今日時点(24/3/13)でも147円台とそこまで円高は進んでおらず、どのあたりが転換点になるか、年内で140円台を切る水準まで行くのかやや不透明な状況だと見ています。長期投資であれば、ドル円の動きにタイムリーに反応する必要はないですが、保有資産が変動している時に「あー日銀が動いたから円高(円安)になっているんだ」と理解できると、自分のやっている資産運用に納得感が出ると思うので、少し注目してもらえると良いかなと思います。

米国テクノロジー銘柄インデックス比較分析:M7 / FANG+ / US Tech Top20

米国テクノロジー銘柄インデックス比較分析:M7 / FANG+ / US Tech Top20

こんにちは、ブルーモ証券代表の中村です。過去数年間の米国株式市場の成長を一部企業が牽引したこともあり、最近それらのテクノロジー銘柄に集中投資するインデックスが話題です。今回はこのテクノロジー銘柄インデックスについて解説していきます。この記事は投資初級者(投資はNISAとインデックスくらい)〜中級者(個別株やETFも少し買ったことがある)向けの内容です。筆者:中村 仁米国株長期投資アプリを提供するブルーモ証券の代表取締役。東京大学大学院経済学研究科(修士)を修了後、財務省にて総合調整・税務調査・国際金融業務に従事。その後、スタンフォード大学でMBAを取得し、米系コンサルティング会社のマッキンゼーにて主に金融機関向けのプロジェクトをリード。2022年にブルーモ証券を創業。大学院・財務省時代は各国の財政状況やニュースによって、国債金利がどのように変動するかをマクロ計量モデルで研究。目次M7 / FANG+ / US Tech Top20とは何か?Magnificent 7FANG+US Tech Top20M7 / FANG+ / US Tech Top20パフォーマンス比較投資する場合のオプション投資信託やETFを購入する該当する個別株を自分で保有するブルーモで簡単にテクノロジー銘柄インデックスに投資するM7 / FANG+ / US Tech Top20とは何か?それぞれ大型テクノロジー株の集合を示しており、「特に過去数年で急成長してきたテクノロジー企業を集めたもの」と認識していただければ大丈夫です。他の主要インデックスとの違いは、銘柄数が少ないこと、それに伴いリスク・リターンが大きいことになります。過去の急成長に注目はされますが、今後の成長を確証するものではないこと、少数銘柄に集中するためリスクは相応に高いことに注意する必要があります。M7→FANG+→US Tech Top20の順に銘柄数は多く・分散されています。以下が簡単な比較表です。Magnificent 7Magnificent 7とは、直訳すると「偉大な7社」で、映画「荒野の7人(原題:Magnificent 7)」から取って名付けられた7企業です。2023年にBank of AmericaのアナリストであるMichael Hartnettが呼称したことから広まり、現在では市場関係者から広く認知されるようになりました。この7企業の集合はインデックスとしてどこかの会社が管理しているものではなく、GAFA, GAFAMのような通称だと思っていただければ良いです。通称であるM7が注目されている理由は、この7企業の成長が2023年におけるS&P500指数の成長の76%だったという衝撃的な事実からです。この事実から、S&P500のその他企業を「S&P493」と呼称して、S&P500の成長は一部企業のものでしかないとする議論が生まれました。FANG+FANG+はICE社の提供する、大型テクノロジー企業10社で構成されたインデックスで、四半期に一度銘柄構成を見直しています。2017年から対外的に提供されており、3つのインデックスの中では最も歴史があります(とはいえ7年ですが)。現在の構成銘柄はM7に加えて、半導体のBroadcom、動画配信サービスのNetflix、データプラットフォームのSnowflakeが入っています。設定当初はAlibaba, Baidu, Twitterなどが構成銘柄に入っていましたが、その後Microsoft, Broadcom, Snowflakeに置き換えられていきました。構成銘柄は、Meta, Apple, Amazon, Netflix, Microsoft, Alphabetの6銘柄をベースとして、残り4銘柄を時価総額や平均出来高等でランク付して抽出しています。US Tech Top20US Tech Top20 indexは、Solactive AG社の提供する大型テクノロジー銘柄インデックスで、自動化・クラウド・コンテンツ配信・電子商取引・半導体に関係する企業を集めています。構成銘柄は各セグメントで分散するように大型企業から順に20銘柄を抽出しており、半年に1度見直しがされます。各銘柄は最大8%の構成比率になるように調整されています。M7やFANG+にない企業としては、半導体のAMD、会計システムのIntuit、中南米版オンライン売買プラットフォームのMercado Libre、デジタルコンテンツ編集のAdobeなどが入っています。今回紹介する3つのインデックスの中では最も分散されていますが、知名度はまだまだ低いです。M7 / FANG+ / US Tech Top20パフォーマンス比較比較的新しい指標・概念のため、実際に運用したパフォーマンスが全て存在するわけではないので、「現在の構成銘柄・比率に対して、X年前から円建てで投資していたらどうなったか」でリターンのパフォーマンスを比較します(為替の影響も含まれます)。なお、数値は全て2024年3月5日現在のものになります。結論から言うと、過去1年・3年では3指標ともほとんど変わりませんでした。過去5年で見ると、M7 (+760%) >FANG+ (+660%) >US Tech Top20 (+590%) の順にパフォーマンスは高く、コロナ後の2019−2020年あたりの成長率がM7とその他のテクノロジー銘柄で差がついていることが分かる結果となりました。リスクについては、銘柄を増やした方が分散できているのですが、当社で分類すると全て最高の7(S&P500のリスクを4とした場合)になっています。どの指標も価格変動自体は大きいので、もっとリスクを下げたいのであれば、他の資産と一緒に保有した方が有効です。リターンはあくまでの過去の結果でしかないので、M7企業の今後に対する確信が強ければM7やFANG+を、他のテクノロジー企業が伸びる可能性にも賭けたいのならUS Tech Top20で分散するのがおすすめです。投資する場合のオプション投資信託やETFを購入する今回紹介したテクノロジー銘柄指標に合わせて分散投資する投資信託・ETFが販売されるので、いくつか紹介します。ここ最近での販売開始が多いのは、これらの指標に対する注目度の高さを示していると言えます。投資信託やETFで投資するメリットは、自分で個別に銘柄を購入する必要はなく、インデックスの目標比率と保有比率がズレた時には、運用会社が自動でリバランスをしてくれることです。出典:米国大型テクノロジー株式ファンド, iFreeNEXT FANG+インデックス, 一歩先いく US テック・トップ20 インデックス該当する個別株を自分で保有するS&P500やオルカンのように銘柄数が多い場合は投資信託やETFで保有すると効率が良いのですが、今回紹介した7−20銘柄程度のインデックスであれば、自分で直接個別株に投資して保有するのも有力なオプションです。投資信託やETFを購入する場合に比べて、銘柄を入れ替えたり・比率を変更したりして自分の意思が反映させやすく、自分オリジナルなテクノロジー銘柄インデックスを作れる一方、個別に銘柄を購入したり、途中でリバランスするのは手間がかかります。ブルーモで簡単にテクノロジー銘柄インデックスに投資するここから先は宣伝になりますが・・・ブルーモ証券の提供する投資アプリ「Bloomo」では、米国株・ETFを組み合わせたオリジナルなポートフォリオで簡単に投資することが可能です。今回紹介したM7 / FANG+ / US Tech Top20も公式ポートフォリオに入れているので、ワンタップでコピーして投資開始することも可能です。投資信託と同様に日本円を入金するだけで分散投資できて、自分でやると面倒なリバランスもワンタップで実行できるので、テクノロジー銘柄インデックスに興味がありつつ、自分でも中身をいじりたい方にはおすすめできます。手数料も年率0.55%と、今回紹介した投資信託と同程度なので、安心してご利用いただけます。

元財務官僚が解説する、資産形成に役立つ世界経済と金融市場の初歩

元財務官僚が解説する、資産形成に役立つ世界経済と金融市場の初歩

こんにちは、ブルーモ証券代表の中村です。最近「オルカン」「SP500」などを入口に海外株での資産形成を始める方が増えているので、その数字がどうして動くのか?ニュースはどんな意味を持つのか?という仕組みを分かりやすく解説したいと思います。この記事は投資初級者(投資はNISAとインデックスくらい)〜中級者(個別株やETFも少し買ったことがある)向けの内容です。筆者:中村 仁米国株長期投資アプリを提供するブルーモ証券の代表取締役。東京大学大学院経済学研究科(修士)を修了後、財務省にて総合調整・税務調査・国際金融業務に従事。その後、スタンフォード大学でMBAを取得し、米系コンサルティング会社のマッキンゼーにて主に金融機関向けのプロジェクトをリード。2022年にブルーモ証券を創業。大学院・財務省時代は各国の財政状況やニュースによって、国債金利がどのように変動するかをマクロ計量モデルで研究。目次はじめに:経済動向をどのくらい気にするべきか?見るべき指標とその決定構造基本的な見るべき指標と経済の仕組み①米国株式市場にいま何が起きているのか②ドル円の為替レートにいま何が起きているのか2024年に想定される市場シナリオ米国の利下げ期待による米国株式市場の変動日米金利差の縮小による為替レートの調整最後に:ブルーモでも市場ニュースやデータを発信中はじめに:経済動向をどのくらい気にするべきか?最初に元も子もないことを言いますが、前提として日々の経済ニュースに対して長期投資家が大きなアクションを取る必要性は低いです。安心して投資を続けてください。世界経済は長期では年平均3−4%で成長し続けており、その成長する世界経済に対して適切に分散投資していれば、長期において一定のリターンを得られる可能性が高いです。短期の下落に対して狼狽して投資をやめることの方が長期投資であれば機会損失なので、どっしり構えるべきです。では、なぜ世界経済と金融市場の構造について解説するかというと、自分の大切な資産がどう変動するかについて、納得感を持ち、投資を通じて本業にも役立つ経済知識を得られた方が良いと思っているからです。そんな前提で、以下お読みいただければと思います。見るべき指標とその決定構造基本的な見るべき指標と経済の仕組みまず、海外株で資産形成する上で重要な指標(=自分の資産価格の決定要因)は「①米国株式市場の指数」と「②ドル円の為替レート」になります。全世界株式に投資する場合も、米国株と世界株の相関は指数レベルでは高いので、絞るなら米国株式市場の指数を見ていれば傾向を把握できます。株式指数と為替レートがどのように決まるかについて、簡単なモデルとして日本・米国それぞれを「実体経済」「株式・債券市場」「政府・中央銀行」という3セクターに分け、国際的な「外国為替市場」を間に置いて考えます。簡単化した経済モデル実体経済:企業による商品・サービスの提供や消費者による購入・労働活動全体を指す。この活動を定量化したものが「企業決算」や「経済指標(GDP・インフレ率など)」となる。株式・債券市場:株式や債券が売買される場で、個人投資家以外にも機関投資家が参加し、ここの活動で株価や金利が決定される。政府・中央銀行:経済の安定成長を促すために市場外から介入する存在で、中央銀行(日銀・FRB)は金融政策で金利を誘導・操作し、政府は財政政策で外部から需要を生んで景気に働きかける。外国為替市場:各国通貨が売買される場で、貿易等の実需に基づく取引のほか、国際的な投資のための取引もされる。①米国株式市場にいま何が起きているのか株式市場の動きは、その市場を構成する企業の業績と、それに対する市場参加者(個人投資家や機関投資家)の期待によって決まっています。よって、企業決算の業績が良かったり、経済全体の調子が良ければ(経済指標でポジティブな数字が出れば)、株式市場は上昇することになります。さらに、企業業績に対する期待を大きく作用するのが金利になります。金利が低ければ、企業は積極的に資金調達して経済活動を拡大し、結果的に景気全体が良くなる一方、金利が高くなるとその逆で景気が悪くなります。そして、金利の影響は急成長中の新興企業(いわゆるグロース銘柄)ほど大きくなります。なぜなら、成熟企業(=株主配当をたくさん出せるような企業)は、外部からの資金調達ニーズがそこまで高くないのに対して、新興企業は利益を犠牲に成長している最中であり、そのニーズが高いからです。結果的に、金利上昇の影響は株式市場全体よりも、NASDAQのようなグロース市場が大きく受けることになります。米国で利上げのあった2022年にNASDAQは大きく落ち込み、利上げの終わりが見えてきた2023年には利下げ期待から大きく株価を戻しました。【#米国株】2023年を振り返る👀✅年初来上昇率12月、NYダウは過去最高値を更新しました。利下げの期待が追い風となり、#SP500 も過去最高値に迫る勢いです🚀上下の動きはあったものの、米国株式は非常に強いパフォーマンスを見せた一年でした💪皆さんは、市場の動きをどう感じましたか? pic.twitter.com/l7UEnSX608— ブルーモ証券|米国株長期投資アプリ (@Bloomo_invest) December 29, 2023 ②ドル円の為替レートにいま何が起きているのかドル円の為替レートは、外国為替市場で決定されますが、それを動かす現時点での大きなドライバーは日本と米国の金利水準になります。2024年2月現在、日本国債利回り(10年)は0.7%に対して、米国国債利回り(10年)は4.1%と、大きな開きがあります。この状態だと、為替レートの変動を無視すれば、円でお金を借りて、ドルでお金を貸すと利鞘が生まれる状態なので、円売り・ドル買いが進んで円安が進みます。過去2年間で急速に円安が進んでいるのは、米国の中央銀行(=FRB)が金利を引き上げる中で、日本の中央銀行(=日銀)は低金利政策を維持したので、その金利ギャップによる資本移動が要因としてあると考えられます。2024年に想定される市場シナリオ経済構造について説明しましたが、具体的に日々のニュースで語られる市場シナリオの前提を以下説明します。難しい話も入っているので、ニュースを読む際に「ふーんそうなんだ」くらいに思う材料として眺めてください。米国の利下げ期待による米国株式市場の変動2024年にはFRBの利下げが想定されており、この利下げのタイミング(ないしはその時期を市場が確信したタイミング)で米国株式市場が上昇するのではないかと想定されています。FRBが2022年に利上げをした背景である米国におけるインフレ率(CPIやPCEデフレーターなどで示される)は沈静化しつつあり、市場全体としては年内の利下げ期待が形成されています。しかし、米国の消費や雇用が高金利下でも依然として強く、FRBは早期の利下げがインフレを再加熱させることを懸念しており、慎重に今後の金融政策を決めている段階にあり、利下げ時期については流動的な状況です。そして、市場が「このくらいの時期には利下げがされるだろう」と抱いた期待が変わる度に、株式市場は上昇したり下落したりします(利下げ期待が遠のくと、企業業績向上が遠のいたと見られ、株式市場は下がります)。よって、2024年2月現在では、FRBが利下げに対してどんな判断をするかという「材料」に対して相場が形成される(それによって株価や金利が動く)状態になっています。その「材料」になるのが「経済指標」で、代表的なものでいうとCPI(消費者物価指数)のようなインフレ指標や、雇用統計・景況指数のような実体経済の景気指標であったりします。特にインフレ指標はダイレクトに利下げ判断に繋がるので、期待からズレた時の株式市場への影響は大きいです(インフレが期待より高ければ利下げは遠のいて、株式市場は下落する)。おはようございます☀️✅ 1月の消費者物価指数(#CPI)予想を上回り、連邦準備理事会(#FRB)の利下げ開始時期を巡る観測が後ずれ✅主要株式指数急落📉✅金利動向に敏感な $GOOGL $MSFT $AMZN $META など大型株下落📉✅ #SP500 のセクター別では公益事業、不動産、一般消費財が大幅下落📉… pic.twitter.com/UtDB7EbEr7— ブルーモ証券|米国株長期投資アプリ (@Bloomo_invest) February 13, 2024 日米金利差の縮小による為替レートの調整ドル円の為替レートが円安に動いた要因の一つが日米金利差だと説明しましたが、今年は米国の利下げと日本の利上げという異なる2つの政策決定から日米金利差が縮小すると予想されています。最近ではFRBの利下げ期待が為替レートに与える影響は大きく、米国で利下げ期待が遠のくと(米国金利がしばらく高いと期待されると)、円安に振れるという動きもよく見られています。また、日本の中央銀行である日銀の利上げ(ないし金融政策の変更)も大きなドライバーです。日銀はこれまで低金利政策を長らく維持してきたので、「いつ利上げするか」が争点になっています。2023年12月に日銀の植田総裁が国会にて「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことを受け、市場が早期に日銀の利上げ・日米金利差の縮小が起きること期待し、急速な円高が進む場面もありました。しかし、その後植田総裁は「例えば『3か月後、6か月後にFED(FRB)が動きそうだから、その前に焦って、私どもの政策変更をしておく』そのような考え方は不適切だ」と述べており、大きな政策変更はFRBの利下げ後になるのではないかと見られています。では、米国の利下げと日本の利上げが終わった時、長期的にどの程度までドル円に調整が入る(=円高になるか)かというと、その予想は難しく、専門家の見解も分かれている状態です。最後に:ブルーモでも市場ニュースやデータを発信中現在、ブルーモでは公式Xにて市場ニュースを発信しており、投資アプリ内では為替や指数のリアルタイムデータが閲覧できるようになっています。投資関連の情報は掘れば掘るほど出てきて、中々消化できないこともありますが、なるべくシンプルに海外株投資をする方向けにつくっているので、興味ある方は是非ご覧ください。また、Bloomoアプリで投資されている方は、「自分の投資ポートフォリオが変動している」→「市場全体の動きをアプリで見る」→「気になれば公式Xで詳しい情報も見る」という一連の投資体験ができるようになっています。雇用統計のサプライズを受け・FedWatchの3月金利据置予想は80%に・債券利回り、ドル円は急騰📈・多くの株価が下落する中 $META 20%越え上昇🚀— ブルーモ証券|米国株長期投資アプリ (@Bloomo_invest) February 2, 2024 SP500が5000を超えた!そんな歴史的な日に、ブルーモもリアルタイムの指数・為替表示機能をリリースしました pic.twitter.com/cPVdHUGVE9— Jin Nakamura | ブルーモ証券 CEO (@jinjin_japan) February 9, 2024 ご利用にあたっては取引に関するリスクと手数料をご確認ください