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トリプルウィッチングとは?市場の変動に注意

トリプルウィッチングとは?市場の変動に注意

トリプルウィッチング(Triple Witching)とは、米国市場において個別株オプション・株価指数先物・株価指数オプションの3つのデリバティブ商品が同日に決済期日を迎えることを指します。この日は投資家が期限切れのポジションをクローズ、ロールアウト、または相殺するため、特に取引の最後の1時間に取引活動が急増する傾向があり、市場のボラティリティが高まることが特徴です。トリプルウィッチングは通常、3月、6月、9月、12月の第3金曜日に発生します。2024: 3月15日 / 6月21日 / 9月20日 / 12月20日2025: 3月21日 / 6月20日 / 9月19日 / 12月19日2026: 3月20日 / 6月19日 / 9月18日 / 12月18日クアドラプルウィッチングとはまた、トリプルウィッチングに加えてもう1つ個別株先物の満期が重なり、4つの金融商品が同日に決済期日を迎える現象をクアドラプルウィッチング(Quadruple Witching)といいます。この日もトリプルウィッチングと同様に、3月、6月、9月、12月の第三金曜日に訪れます。ただし、個別株先物は2002年11月から2020年9月まではシカゴ取引所で取引されていましたが、現在は米国で取引されていません。トリプルウィッチングは強気か弱気か歴史的に見ると、トリプルウィッチングの日は市場にとって「上昇」の日でも「下降」の日でもなく、市場の方向性を予測するのが非常に難しい日です。取引量と流動性が増える傾向があるため、一部の投資家は短期的な取引チャンスとして捉えることがありますが、多くの投資家はこの日の動きを基に来週以降の市場動向を読み解くことを避ける傾向があります。また、重要な経済指標の発表やFOMCの政策決定など、より広範なマクロ経済イベントが重なると、市場に大きな動きを引き起こす可能性があることに注意することが重要です。

利下げで注目?外国債券の基礎知識と金利との関係

利下げで注目?外国債券の基礎知識と金利との関係

本記事では、外国債券投資を始めたい方に向けて、債券の基礎知識と金利との関係について解説します。目次債券とは外国債券の種類外国債券投資の利点債券と金利の関係利下げサイクルで注目される債券投資世界で利下げが本格化する2024年債券とは債券は、政府や企業が資金調達するために発行する借用証書の一種です。投資家は債券を購入することで、発行者にお金を貸し、その見返りとして定期的に利子を受け取り、満期時には元本が返済(償還)されます。外国債券の種類債券は、発行体や通貨によって区分されます。広義には「発行体」、「発行地」、「通貨」いずれかが外国の債券を外国債券とし、狭義には元本の払い込み・利子の受け取り・償還すべてが外貨で行われる債券をさします。以下は主要な外貨建債券の種類です。外貨建債券の種類公社債:国や地方公共団体、政府系機関などが発行する債券。国債、政府関係機関債など国際機関債:世界銀行(国際復興開発銀行)など国際機関が発行する債券民間債:民間企業が発行する債券。社債など外国債券投資の利点債券は「利子の支払日」や「償還日」があらかじめ決まっているため、定期的な収入を得ることができ、計画的に資金運用が可能です。また、満期まで保有すれば元本額が払い戻されるため、株式投資に比べて安全な運用ができ、他の投資と組み合わせることでポートフォリオのリスクを分散することもできます。そして、外国債券ならではのメリットとして、利回りの高さと、為替変動による差益があります。日本国債は安全性が高い一方で、長期にわたり低金利政策が続いているため、利回りが非常に低いのが現状です。外国債券は、相対的に高い利回りが期待でき、投資家にとって魅力的な選択肢となります。ただし、一般に金利の高い債券は信用リスクも高い傾向があるので、そのトレードオフを理解して選ぶ必要があります。発行体の信用リスクや健全性を図るには発行体の「格付け」が参考になります。格付けは、格付機関が発行体の債務支払能力を評価し、信用力を示したもので、格付けが高い発行体ほど債務不履行に陥る可能性は少なくなります。また、債券購入後に円安が進行すると、利子や償還金、売却益を受け取る時に為替差益(為替レートの変動によって生じる利益)を得ることができます。逆に、円高が進行した場合には損失が発生する可能性もあるため、適切なリスク管理が求められます。債券と金利の関係債券価格と金利は逆の動きをする「逆相関」と呼ばれる性質を持っています。金利が上がると、新しく発行される債券の利率が高くなるため、既存の債券の利率が相対的に低くなり、既存の債券の価格は下がります。一方で、金利が下がると、新しく発行される債券の利率が低くなるため、既存の債券の利率が相対的に高くなり、債券価格は上がります。利下げサイクルで注目される債券投資利下げサイクルでは債券価格が上昇するほか、中央銀行が金利を低く保つため、債券の利回りが安定します。過去の市場変動をふりかえると、政策金利が利下げに転換するような局面では、景気減速による企業業績の悪化から株式やハイイールド債等のリスク資産は軟調に推移し、国債などの高格付けの債券はパフォーマンスが好調になる傾向があります。具体的には、ITバブルが崩壊した2000年5月末から2003年6月末にかけて米政策金利は6%超の水準から1%台まで引き下げられ、この間に米国株式は28.2%下落したのに対して、米国債は35.6%上昇しました。またリーマンショックの2006年6月末から2008年12月末にかけて、米政策金利は5%台から0%近辺に引き下げら、この間に米国株式は25.1%下落し、米国債は29.5%上昇しました。世界で利下げが本格化する2024年主要中央銀行のなかでは、3月にスイス中銀、5月にスウェーデン中銀、6月5日にカナダ中銀が、それぞれ利下げを実施しました。欧州中央銀行(ECB)は、6月6日の理事会で、中銀預金金利を4.0%から3.75%へと0.25%ポイント引き下げる決定を行いました。米国では、今年に入ってからの物価指数が比較的高い水準で推移していたことから利下げ期待はやや後退していますが、米連邦準備制度理事会(FRB)も2024年後半に利下げに踏み切る可能性があると期待されています。

スタグフレーションとは?米国経済の行方に警戒

スタグフレーションとは?米国経済の行方に警戒

本記事では「スタグフレーション」とは何か、なぜ米国経済にスタグフレーションの懸念が浮上しているのかを解説します。目次スタグフレーションとはなぜ、米国経済のスタグフレーション懸念が浮上したのか第1四半期GDP低迷をきっかけに意識FRBは堅調な景気評価を維持景気後退を示したISM景況指数雇用統計で一安心も、焦点はCPIか投資家がとるべきリスクヘッジはスタグフレーションとはスタグフレーション(stagflation)は、景気後退を意味する「スタグネーション(stagnation)」と物価上昇を表す「インフレーション(inflation)」を組み合わせ用語で、経済成長が停滞し、インフレ率が高く、失業率が高い状態を指します。米金融市場については、連邦準備理事会(FRB)が景気の悪化を引き起こすことなく消費者物価を抑制する「ゴルディロックス」シナリオが期待されていましたが、1-3月期の物価上昇率の高止まりや原油高を受けて、インフレ再燃への警戒感が高まっていました。なぜ、米国経済にスタグフレーション懸念が浮上したのか第1四半期GDP低迷をきっかけに意識4月25日に発表された第1四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率1.6%増と昨年第4四半期の3.4%の半分以下に落ちただけでなく、市場予想の2.5%を大きく下回る結果となりました。一方、第1四半期のコアPC物価指数は3.7%上昇しと市場予想を上回り、インフレの根強さを示しました。経済成長の減速と高いインフレ率がスタグフレーションへの懸念を煽り、米利下げ開始予想は一時12月に後ずれしました。ただし、バンク・オブ・アメリカのアナリストらは、第1四半期GDPが予想を下回ったのは主に貿易赤字の拡大と企業の在庫積み増しペース鈍化の影響であり、消費者の需要は依然として底堅く、スタグフレーションの兆候を示すものではないと指摘しています。FRBは堅調な景気評価を維持4月30日から5月1日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、FRBは政策金利を5.25-5.5%で据え置くことを決定しました。発表された声明文では、米国経済の現状について「経済活動は堅調なペースで拡大し、雇用の伸びは引き続き力強く、失業率は低いままである」と全体的な評価を維持しました。パウエル議長は会見で、第1四半期GDPの低迷については「在庫投資、政府支出、純輸出を除いた民間最終消費支出は2023年下半期と同じくらい好調」で重要視しない姿勢を示し、労働市場は1年前ほどではないにせよ引き続き逼迫していると述べました。米経済がスタグフレーションに陥るリスクについては、インフレ率が一時10%を超え、失業率も高水準だった1970年代終盤(※)とは状況が大きく異なると指摘。現在は成長が底堅く、インフレ率も3%を下回っており、「スタグ」も「フレーション」も見られないとの認識を示しました。※米国で深刻なスタグフレーションが最後に発生したのは、1970 年代のオイルショックです。第一次オイルショック(1973 年〜)は第4次中東戦争におけるアラブの石油禁輸措置、第二次オイルショック(1979年〜)はイラン革命に起因しました。第二次オイルショックによる高インフレは、FRBが金利を引き上げてインフレを緩和しようとしたため、経済は不況に陥り、失業率は10%超えまで上昇しました。景気後退を示したISM景況指数しかし、5月1日に発表された4月のISM製造業景況指数は、49.2と好不況の境目とされる50を下回り、市場予想を下回る結果となりました。さらに、米国経済を牽引してきたサービス業も、ISMサービス業景況指数が49.4と50を下回り、2022年末ぶりの低水準に。堅調なペースで拡大していた経済が勢いを失い始めていることを示す結果となる一方で、支払価格の上昇や担当者のコメントからはインフレ圧力の根強さが示唆され、スタグフレーションへの懸念が高まりました。ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は、「ビジネス全般が総じて減速しつつあると調査の回答者は指摘した」と述べつつも、「基準値の50を下回っているからといって過度に興奮する必要もない」と語っています。雇用統計で一安心も、焦点はCPIか5月3日に発表された4月の雇用統計は、雇用者数の減速や賃金上昇率の鈍化など、労働市場の逼迫が緩和し、インフレ圧力が和らぎつつあることを示しました。 また失業率は3.9%に上昇したものの、引き続き低水準となりました。市場はゴルディロックスを想起させる結果に反応し、年内に25bpの利下げ2回との見方を再び織り込みました。ただし、雇用統計はブレの大きい統計とされており、単月の結果をもって見通しを判断することは必ずしも適切ではありません。一部アナリストは、米金融政策にとって消費者物価指数(CPI)の方が雇用統計のデータよりもはるかに重要であると指摘しており、5月15日に発表されるCPIと小売売上高の結果に注目が集まります。投資家がとるべきリスクヘッジ直近の米経済指標は強弱が混在しており、中長期的にも景況動向の不透明感が強まっています。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、FRBが景気後退を引き起こすことなくインフレを抑制できると期待しているものの、スタグフレーションの可能性はあると警告しています。では、投資家はスタグフレーションでの資産減少リスクを回避するために何ができるでしょうか?最適なポートフォリオは、投資家個人の財務目標、リスク許容度、投資期間によって異なるため、万能な答えはありません。しかし、一般的に、スタグフレーション状況では、「公益事業」と「エネルギー」セクターが最もパフォーマンスを上げており、スタグフレーション懸念の2022年に最もパフォーマンスの良いセクターであったとバンク・オブ・アメリカは顧客向けレポートで述べています。また、インフレ加速時に好成績を収めることが多いコモディティへの投資や、価格決定力が強く消費者に高いコストを転嫁できる企業への投資も選択肢として考えられます。ブルーモでは、相場下落時の投資オプションについても解説しております。ご関心のある方は、こちらもぜひご覧ください。

ゼロから学ぶ日銀のマイナス金利解除

ゼロから学ぶ日銀のマイナス金利解除

こんにちは、ブルーモ証券代表の中村です。去年から度々経済ニュースで議論される「日銀のマイナス金利解除」について、この記事ではどんなものかを噛み砕いて解説し、海外株式に投資する個人投資家に対する影響を考察します。元関係者として政策決定の考察もできるのですが、今回は基本的な解説をします。もし、ディープな内容のリクエストあれば教えてください。この記事は投資初級者(投資はNISAとインデックスくらい)向けの内容です。筆者:中村 仁米国株資産運用アプリを提供するブルーモ証券の代表取締役。東京大学大学院経済学研究科(修士)を修了後、財務省にて総合調整・税務調査・国際金融業務に従事。その後、スタンフォード大学でMBAを取得し、米系コンサルティング会社のマッキンゼーにて主に金融機関向けのプロジェクトをリード。2022年にブルーモ証券を創業。大学院・財務省時代は各国の財政状況やニュースによって、国債金利がどのように変動するかをマクロ計量モデルで研究。目次マイナス金利政策とは何か?前提:そもそも日銀の金融政策とは?長期化した金融緩和の果てがマイナス金利政策個人投資家は何を見ておくべきか?日銀の政策変更タイミング(を市場はどう予想するか)FRBの動きとも合わせた為替相場の動きマイナス金利政策とは何か?マイナス金利解除を語る前提として、マイナス金利政策とは何かを簡単に解説します。前提:そもそも日銀の金融政策とは?日銀の役割は「物価を安定させること」です。日銀HPより(日本銀行の目的は何ですか?)日本銀行の金融政策の目的は、物価の安定を図ることにあります。物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤であり、日本銀行はこれを通じて国民経済の健全な発展に貢献するという役割を担っています(日本銀行法第1条第1項、第2条)。経済成長に適正なインフレ率は年間2−3%とされています。日銀はこの2−3%のインフレ率が継続する環境をつくるため、実体経済に働きかける手段として金融政策を実行しています(実体経済と中央銀行の関係についてはこちらの記事を参照)。なぜ「働きかける」という表現になるかというと、「物価」は日々の売買や企業の投資の中で決まっていく(たくさん買いたい人がいれば物価は上がるし、売りたい人が多ければ下がる)ので、それを直接日銀が操作できるわけではありません。日銀にできることは「日本円を発行すること」なので、基本は発行した日本円の流通量を変える等の手段で金利を操作し、それによって最終的に物価に働きかけようとします。金利が下がれば企業はお金をたくさん借りてたくさん使う(設備に投資する)はずなので物価は上昇し、金利が上がると逆に消費が減って物価は下落することが想定されています。大きな動きとしては、①日銀の金融政策→②金利の変化→③物価の変化、という図式を頭に入れていただければと思います。日銀は、インフレ率が低ければ金利を下げて経済活動を刺激し、高ければ金利を上げるというのが基本的なアクションになります。長期化した金融緩和の果てがマイナス金利政策日本は過去30年にわたってデフレ(インフレの逆で物価が下がること)が続き、経済成長にマイナスの影を落としてきました。「物価が下がるとお得で良いのではないか」と考えるかも知れませんが、モノの値段が上がらなければ賃金も上がらず、企業も投資を積極的にできない環境になるため、経済全体にとっては悪影響になります。これに対して日銀は金利を引き下げて物価上昇を目指しますが、金利は早々にゼロまで下がってしまい、そこから出口の見えない長期の金融緩和(=物価上昇を目指した金融政策)を続けることになります。日銀の植田総裁が、かつて日銀で勤務していた当時に書いた有名な書籍(私も学部時代に読みました)に「ゼロ金利との闘い」がありますが、20年前からゼロ金利でも上がらない物価に苦しんでいたことになります。2012年から始まった第二次安倍内閣では、デフレを中々脱却できない日本経済を大規模な経済政策で刺激する「アベノミクス」を展開しました。同じタイミングで日銀総裁に就任した黒田総裁は、政府と歩調を合わせて大胆な金融政策を順次展開していきました。その一つが2016年から現在まで続くマイナス金利政策です。「マイナス金利」とは、その名の通りお金を貸した(預けた)側が金利を支払う、通常とは全く逆の現象を意味します(通常はお金を借りると借りた側が金利を払う)。民間の銀行は余ったお金(預金として預かったお金のうち貸付等に当てられていない分)を日銀に預ける必要があります。通常はこのお金にプラスの金利がついて銀行の収入になるのですが、マイナス金利が適用されるとコストが発生します。銀行はお金が余って日銀に預けると損なので、なんとかお金を使おうとして積極的に貸し出しを進め、結果的に経済が活性化してデフレ脱却できるだろう、というのが当初の目算でした。しかし、効果は思ったより芳しくなく、マイナス金利を解除できないまま8年が経過して今に至ることになります。マイナス金利の前後でも、量的緩和やYCCなど様々な金融政策は実行されていますが、マイナス金利はデフレ脱却の苦しみを表す一つの象徴的な存在です。個人投資家は何を見ておくべきか?日銀の政策変更タイミング(を市場はどう予想するか)マイナス金利が解除されるとはどんな金融政策なのか、など技術的な話は一旦省略すると、マイナス金利解除で日本の短期金利はやや上がります。「やや」と表現したのは、上がると言っても1%などという単位ではなく、0.1-0.2%くらいの幅になります。日銀の金利が上がるタイミングで、日本の低金利と米国の高金利のギャップが縮まるので、為替レートが円高に推移すると想定されます。どうしてそうなるかの背景は、以前書いたこちらの記事を読んでみてください。日銀の金融政策は「金融政策決定会合」という場で決まるので、ここでどんな結果が出てくるかが重要です。今年の日程は以下に出ていますが、メディア等では3月4月あたりがマイナス金利解除のタイミングではないかと見られています。FRBの動きとも合わせた為替相場の動き為替レートなどの相場は期待で動く(実際の決定よりもそれが見通された時点で動く)ことが多いので、金融政策決定会合の前の「要人発言」や「経済指標」も大きな影響を持ちます。足下の為替レートの動きだと、①植田総裁の発言(国会等に呼ばれて発言することがよくあります)、②関係者からのリーク(政府の容認姿勢など)が大きな影響を与えていました。また、為替レートは日銀だけでなく、米国側でFRBがどう動くか(=利下げがどうなるか)にも左右されるので、FRBの動きも合わせて見ると理解しやすくなります。例えば、FRB側での利下げ期待の高まりと、日銀側でのマイナス金利解除の見通しが同時に出ると、円高に進む可能性はかなり高くなります。ただ、「どこまで円高にいくか」は予想の立てにくいところです。マイナス金利解除に対する材料が一定は出ている今日時点(24/3/13)でも147円台とそこまで円高は進んでおらず、どのあたりが転換点になるか、年内で140円台を切る水準まで行くのかやや不透明な状況だと見ています。長期投資であれば、ドル円の動きにタイムリーに反応する必要はないですが、保有資産が変動している時に「あー日銀が動いたから円高(円安)になっているんだ」と理解できると、自分のやっている資産運用に納得感が出ると思うので、少し注目してもらえると良いかなと思います。

米国テクノロジー銘柄インデックス比較分析:M7 / FANG+ / US Tech Top20

米国テクノロジー銘柄インデックス比較分析:M7 / FANG+ / US Tech Top20

こんにちは、ブルーモ証券代表の中村です。過去数年間の米国株式市場の成長を一部企業が牽引したこともあり、最近それらのテクノロジー銘柄に集中投資するインデックスが話題です。今回はこのテクノロジー銘柄インデックスについて解説していきます。この記事は投資初級者(投資はNISAとインデックスくらい)〜中級者(個別株やETFも少し買ったことがある)向けの内容です。筆者:中村 仁米国株長期投資アプリを提供するブルーモ証券の代表取締役。東京大学大学院経済学研究科(修士)を修了後、財務省にて総合調整・税務調査・国際金融業務に従事。その後、スタンフォード大学でMBAを取得し、米系コンサルティング会社のマッキンゼーにて主に金融機関向けのプロジェクトをリード。2022年にブルーモ証券を創業。大学院・財務省時代は各国の財政状況やニュースによって、国債金利がどのように変動するかをマクロ計量モデルで研究。目次M7 / FANG+ / US Tech Top20とは何か?Magnificent 7FANG+US Tech Top20M7 / FANG+ / US Tech Top20パフォーマンス比較投資する場合のオプション投資信託やETFを購入する該当する個別株を自分で保有するブルーモで簡単にテクノロジー銘柄インデックスに投資するM7 / FANG+ / US Tech Top20とは何か?それぞれ大型テクノロジー株の集合を示しており、「特に過去数年で急成長してきたテクノロジー企業を集めたもの」と認識していただければ大丈夫です。他の主要インデックスとの違いは、銘柄数が少ないこと、それに伴いリスク・リターンが大きいことになります。過去の急成長に注目はされますが、今後の成長を確証するものではないこと、少数銘柄に集中するためリスクは相応に高いことに注意する必要があります。M7→FANG+→US Tech Top20の順に銘柄数は多く・分散されています。以下が簡単な比較表です。Magnificent 7Magnificent 7とは、直訳すると「偉大な7社」で、映画「荒野の7人(原題:Magnificent 7)」から取って名付けられた7企業です。2023年にBank of AmericaのアナリストであるMichael Hartnettが呼称したことから広まり、現在では市場関係者から広く認知されるようになりました。この7企業の集合はインデックスとしてどこかの会社が管理しているものではなく、GAFA, GAFAMのような通称だと思っていただければ良いです。通称であるM7が注目されている理由は、この7企業の成長が2023年におけるS&P500指数の成長の76%だったという衝撃的な事実からです。この事実から、S&P500のその他企業を「S&P493」と呼称して、S&P500の成長は一部企業のものでしかないとする議論が生まれました。FANG+FANG+はICE社の提供する、大型テクノロジー企業10社で構成されたインデックスで、四半期に一度銘柄構成を見直しています。2017年から対外的に提供されており、3つのインデックスの中では最も歴史があります(とはいえ7年ですが)。現在の構成銘柄はM7に加えて、半導体のBroadcom、動画配信サービスのNetflix、データプラットフォームのSnowflakeが入っています。設定当初はAlibaba, Baidu, Twitterなどが構成銘柄に入っていましたが、その後Microsoft, Broadcom, Snowflakeに置き換えられていきました。構成銘柄は、Meta, Apple, Amazon, Netflix, Microsoft, Alphabetの6銘柄をベースとして、残り4銘柄を時価総額や平均出来高等でランク付して抽出しています。US Tech Top20US Tech Top20 indexは、Solactive AG社の提供する大型テクノロジー銘柄インデックスで、自動化・クラウド・コンテンツ配信・電子商取引・半導体に関係する企業を集めています。構成銘柄は各セグメントで分散するように大型企業から順に20銘柄を抽出しており、半年に1度見直しがされます。各銘柄は最大8%の構成比率になるように調整されています。M7やFANG+にない企業としては、半導体のAMD、会計システムのIntuit、中南米版オンライン売買プラットフォームのMercado Libre、デジタルコンテンツ編集のAdobeなどが入っています。今回紹介する3つのインデックスの中では最も分散されていますが、知名度はまだまだ低いです。M7 / FANG+ / US Tech Top20パフォーマンス比較比較的新しい指標・概念のため、実際に運用したパフォーマンスが全て存在するわけではないので、「現在の構成銘柄・比率に対して、X年前から円建てで投資していたらどうなったか」でリターンのパフォーマンスを比較します(為替の影響も含まれます)。なお、数値は全て2024年3月5日現在のものになります。結論から言うと、過去1年・3年では3指標ともほとんど変わりませんでした。過去5年で見ると、M7 (+760%) >FANG+ (+660%) >US Tech Top20 (+590%) の順にパフォーマンスは高く、コロナ後の2019−2020年あたりの成長率がM7とその他のテクノロジー銘柄で差がついていることが分かる結果となりました。リスクについては、銘柄を増やした方が分散できているのですが、当社で分類すると全て最高の7(S&P500のリスクを4とした場合)になっています。どの指標も価格変動自体は大きいので、もっとリスクを下げたいのであれば、他の資産と一緒に保有した方が有効です。リターンはあくまでの過去の結果でしかないので、M7企業の今後に対する確信が強ければM7やFANG+を、他のテクノロジー企業が伸びる可能性にも賭けたいのならUS Tech Top20で分散するのがおすすめです。投資する場合のオプション投資信託やETFを購入する今回紹介したテクノロジー銘柄指標に合わせて分散投資する投資信託・ETFが販売されるので、いくつか紹介します。ここ最近での販売開始が多いのは、これらの指標に対する注目度の高さを示していると言えます。投資信託やETFで投資するメリットは、自分で個別に銘柄を購入する必要はなく、インデックスの目標比率と保有比率がズレた時には、運用会社が自動でリバランスをしてくれることです。出典:米国大型テクノロジー株式ファンド, iFreeNEXT FANG+インデックス, 一歩先いく US テック・トップ20 インデックス該当する個別株を自分で保有するS&P500やオルカンのように銘柄数が多い場合は投資信託やETFで保有すると効率が良いのですが、今回紹介した7−20銘柄程度のインデックスであれば、自分で直接個別株に投資して保有するのも有力なオプションです。投資信託やETFを購入する場合に比べて、銘柄を入れ替えたり・比率を変更したりして自分の意思が反映させやすく、自分オリジナルなテクノロジー銘柄インデックスを作れる一方、個別に銘柄を購入したり、途中でリバランスするのは手間がかかります。ブルーモで簡単にテクノロジー銘柄インデックスに投資するここから先は宣伝になりますが・・・ブルーモ証券の提供する投資アプリ「Bloomo」では、米国株・ETFを組み合わせたオリジナルなポートフォリオで簡単に投資することが可能です。今回紹介したM7 / FANG+ / US Tech Top20も公式ポートフォリオに入れているので、ワンタップでコピーして投資開始することも可能です。投資信託と同様に日本円を入金するだけで分散投資できて、自分でやると面倒なリバランスもワンタップで実行できるので、テクノロジー銘柄インデックスに興味がありつつ、自分でも中身をいじりたい方にはおすすめできます。手数料も年率0.55%と、今回紹介した投資信託と同程度なので、安心してご利用いただけます。

元財務官僚が解説する、資産形成に役立つ世界経済と金融市場の初歩

元財務官僚が解説する、資産形成に役立つ世界経済と金融市場の初歩

こんにちは、ブルーモ証券代表の中村です。最近「オルカン」「SP500」などを入口に海外株での資産形成を始める方が増えているので、その数字がどうして動くのか?ニュースはどんな意味を持つのか?という仕組みを分かりやすく解説したいと思います。この記事は投資初級者(投資はNISAとインデックスくらい)〜中級者(個別株やETFも少し買ったことがある)向けの内容です。筆者:中村 仁米国株長期投資アプリを提供するブルーモ証券の代表取締役。東京大学大学院経済学研究科(修士)を修了後、財務省にて総合調整・税務調査・国際金融業務に従事。その後、スタンフォード大学でMBAを取得し、米系コンサルティング会社のマッキンゼーにて主に金融機関向けのプロジェクトをリード。2022年にブルーモ証券を創業。大学院・財務省時代は各国の財政状況やニュースによって、国債金利がどのように変動するかをマクロ計量モデルで研究。目次はじめに:経済動向をどのくらい気にするべきか?見るべき指標とその決定構造基本的な見るべき指標と経済の仕組み①米国株式市場にいま何が起きているのか②ドル円の為替レートにいま何が起きているのか2024年に想定される市場シナリオ米国の利下げ期待による米国株式市場の変動日米金利差の縮小による為替レートの調整最後に:ブルーモでも市場ニュースやデータを発信中はじめに:経済動向をどのくらい気にするべきか?最初に元も子もないことを言いますが、前提として日々の経済ニュースに対して長期投資家が大きなアクションを取る必要性は低いです。安心して投資を続けてください。世界経済は長期では年平均3−4%で成長し続けており、その成長する世界経済に対して適切に分散投資していれば、長期において一定のリターンを得られる可能性が高いです。短期の下落に対して狼狽して投資をやめることの方が長期投資であれば機会損失なので、どっしり構えるべきです。では、なぜ世界経済と金融市場の構造について解説するかというと、自分の大切な資産がどう変動するかについて、納得感を持ち、投資を通じて本業にも役立つ経済知識を得られた方が良いと思っているからです。そんな前提で、以下お読みいただければと思います。見るべき指標とその決定構造基本的な見るべき指標と経済の仕組みまず、海外株で資産形成する上で重要な指標(=自分の資産価格の決定要因)は「①米国株式市場の指数」と「②ドル円の為替レート」になります。全世界株式に投資する場合も、米国株と世界株の相関は指数レベルでは高いので、絞るなら米国株式市場の指数を見ていれば傾向を把握できます。株式指数と為替レートがどのように決まるかについて、簡単なモデルとして日本・米国それぞれを「実体経済」「株式・債券市場」「政府・中央銀行」という3セクターに分け、国際的な「外国為替市場」を間に置いて考えます。簡単化した経済モデル実体経済:企業による商品・サービスの提供や消費者による購入・労働活動全体を指す。この活動を定量化したものが「企業決算」や「経済指標(GDP・インフレ率など)」となる。株式・債券市場:株式や債券が売買される場で、個人投資家以外にも機関投資家が参加し、ここの活動で株価や金利が決定される。政府・中央銀行:経済の安定成長を促すために市場外から介入する存在で、中央銀行(日銀・FRB)は金融政策で金利を誘導・操作し、政府は財政政策で外部から需要を生んで景気に働きかける。外国為替市場:各国通貨が売買される場で、貿易等の実需に基づく取引のほか、国際的な投資のための取引もされる。①米国株式市場にいま何が起きているのか株式市場の動きは、その市場を構成する企業の業績と、それに対する市場参加者(個人投資家や機関投資家)の期待によって決まっています。よって、企業決算の業績が良かったり、経済全体の調子が良ければ(経済指標でポジティブな数字が出れば)、株式市場は上昇することになります。さらに、企業業績に対する期待を大きく作用するのが金利になります。金利が低ければ、企業は積極的に資金調達して経済活動を拡大し、結果的に景気全体が良くなる一方、金利が高くなるとその逆で景気が悪くなります。そして、金利の影響は急成長中の新興企業(いわゆるグロース銘柄)ほど大きくなります。なぜなら、成熟企業(=株主配当をたくさん出せるような企業)は、外部からの資金調達ニーズがそこまで高くないのに対して、新興企業は利益を犠牲に成長している最中であり、そのニーズが高いからです。結果的に、金利上昇の影響は株式市場全体よりも、NASDAQのようなグロース市場が大きく受けることになります。米国で利上げのあった2022年にNASDAQは大きく落ち込み、利上げの終わりが見えてきた2023年には利下げ期待から大きく株価を戻しました。【#米国株】2023年を振り返る👀✅年初来上昇率12月、NYダウは過去最高値を更新しました。利下げの期待が追い風となり、#SP500 も過去最高値に迫る勢いです🚀上下の動きはあったものの、米国株式は非常に強いパフォーマンスを見せた一年でした💪皆さんは、市場の動きをどう感じましたか? pic.twitter.com/l7UEnSX608— ブルーモ証券|米国株長期投資アプリ (@Bloomo_invest) December 29, 2023 ②ドル円の為替レートにいま何が起きているのかドル円の為替レートは、外国為替市場で決定されますが、それを動かす現時点での大きなドライバーは日本と米国の金利水準になります。2024年2月現在、日本国債利回り(10年)は0.7%に対して、米国国債利回り(10年)は4.1%と、大きな開きがあります。この状態だと、為替レートの変動を無視すれば、円でお金を借りて、ドルでお金を貸すと利鞘が生まれる状態なので、円売り・ドル買いが進んで円安が進みます。過去2年間で急速に円安が進んでいるのは、米国の中央銀行(=FRB)が金利を引き上げる中で、日本の中央銀行(=日銀)は低金利政策を維持したので、その金利ギャップによる資本移動が要因としてあると考えられます。2024年に想定される市場シナリオ経済構造について説明しましたが、具体的に日々のニュースで語られる市場シナリオの前提を以下説明します。難しい話も入っているので、ニュースを読む際に「ふーんそうなんだ」くらいに思う材料として眺めてください。米国の利下げ期待による米国株式市場の変動2024年にはFRBの利下げが想定されており、この利下げのタイミング(ないしはその時期を市場が確信したタイミング)で米国株式市場が上昇するのではないかと想定されています。FRBが2022年に利上げをした背景である米国におけるインフレ率(CPIやPCEデフレーターなどで示される)は沈静化しつつあり、市場全体としては年内の利下げ期待が形成されています。しかし、米国の消費や雇用が高金利下でも依然として強く、FRBは早期の利下げがインフレを再加熱させることを懸念しており、慎重に今後の金融政策を決めている段階にあり、利下げ時期については流動的な状況です。そして、市場が「このくらいの時期には利下げがされるだろう」と抱いた期待が変わる度に、株式市場は上昇したり下落したりします(利下げ期待が遠のくと、企業業績向上が遠のいたと見られ、株式市場は下がります)。よって、2024年2月現在では、FRBが利下げに対してどんな判断をするかという「材料」に対して相場が形成される(それによって株価や金利が動く)状態になっています。その「材料」になるのが「経済指標」で、代表的なものでいうとCPI(消費者物価指数)のようなインフレ指標や、雇用統計・景況指数のような実体経済の景気指標であったりします。特にインフレ指標はダイレクトに利下げ判断に繋がるので、期待からズレた時の株式市場への影響は大きいです(インフレが期待より高ければ利下げは遠のいて、株式市場は下落する)。おはようございます☀️✅ 1月の消費者物価指数(#CPI)予想を上回り、連邦準備理事会(#FRB)の利下げ開始時期を巡る観測が後ずれ✅主要株式指数急落📉✅金利動向に敏感な $GOOGL $MSFT $AMZN $META など大型株下落📉✅ #SP500 のセクター別では公益事業、不動産、一般消費財が大幅下落📉… pic.twitter.com/UtDB7EbEr7— ブルーモ証券|米国株長期投資アプリ (@Bloomo_invest) February 13, 2024 日米金利差の縮小による為替レートの調整ドル円の為替レートが円安に動いた要因の一つが日米金利差だと説明しましたが、今年は米国の利下げと日本の利上げという異なる2つの政策決定から日米金利差が縮小すると予想されています。最近ではFRBの利下げ期待が為替レートに与える影響は大きく、米国で利下げ期待が遠のくと(米国金利がしばらく高いと期待されると)、円安に振れるという動きもよく見られています。また、日本の中央銀行である日銀の利上げ(ないし金融政策の変更)も大きなドライバーです。日銀はこれまで低金利政策を長らく維持してきたので、「いつ利上げするか」が争点になっています。2023年12月に日銀の植田総裁が国会にて「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことを受け、市場が早期に日銀の利上げ・日米金利差の縮小が起きること期待し、急速な円高が進む場面もありました。しかし、その後植田総裁は「例えば『3か月後、6か月後にFED(FRB)が動きそうだから、その前に焦って、私どもの政策変更をしておく』そのような考え方は不適切だ」と述べており、大きな政策変更はFRBの利下げ後になるのではないかと見られています。では、米国の利下げと日本の利上げが終わった時、長期的にどの程度までドル円に調整が入る(=円高になるか)かというと、その予想は難しく、専門家の見解も分かれている状態です。最後に:ブルーモでも市場ニュースやデータを発信中現在、ブルーモでは公式Xにて市場ニュースを発信しており、投資アプリ内では為替や指数のリアルタイムデータが閲覧できるようになっています。投資関連の情報は掘れば掘るほど出てきて、中々消化できないこともありますが、なるべくシンプルに海外株投資をする方向けにつくっているので、興味ある方は是非ご覧ください。また、Bloomoアプリで投資されている方は、「自分の投資ポートフォリオが変動している」→「市場全体の動きをアプリで見る」→「気になれば公式Xで詳しい情報も見る」という一連の投資体験ができるようになっています。雇用統計のサプライズを受け・FedWatchの3月金利据置予想は80%に・債券利回り、ドル円は急騰📈・多くの株価が下落する中 $META 20%越え上昇🚀— ブルーモ証券|米国株長期投資アプリ (@Bloomo_invest) February 2, 2024 SP500が5000を超えた!そんな歴史的な日に、ブルーモもリアルタイムの指数・為替表示機能をリリースしました pic.twitter.com/cPVdHUGVE9— Jin Nakamura | ブルーモ証券 CEO (@jinjin_japan) February 9, 2024 ご利用にあたっては取引に関するリスクと手数料をご確認ください