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米中貿易摩擦の緩和と好調なテクノロジー株決算で投資家心理は好転して株価上昇|米国市場サマリー

米中貿易摩擦の緩和と好調なテクノロジー株決算で投資家心理は好転して株価上昇|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領によるFRBパウエル議長批判や利下げ要求で急落して始まりましたが、その後は米中貿易摩擦の緩和期待を背景に急回復しました。財務長官が貿易緩和を示唆したことで投資家心理が好転し、ハイテク株を中心に買い戻されました。週後半はAlphabetなど好決算企業が相場を支援し、NASDAQとS&P500は4日続伸して週を終えました。為替は、週初にトランプ大統領のFRB議長解任検討報道や米中貿易摩擦の懸念から一時139円台まで下落しました。​しかし、週後半にかけてトランプ大統領がパウエル議長の解任を否定し、中国が一部米国製品への関税撤廃を検討しているとの報道が伝わると、リスク回避姿勢が後退し、ドルは反発。​25日には一時143.80円まで上昇し、週末には143.68円で取引を終えました。米国株式市場:貿易摩擦の緊張緩和で株価上昇。テック企業の好決算も後押しに4月21日(月) トランプ大統領がFRBのパウエル議長に対し強い批判を展開し、即時利下げを要求したことで、FRBの独立性が脅かされるとの懸念が強まり、市場は大幅下落しました。ダウ平均は一時1300ドル以上下げ、最終的に971ドルの下落。NASDAQとS&P500もそれぞれ2%超の下落となり、大型ハイテク株群の「マグニフィセント・セブン」も売り込まれました。Teslaが新モデルの生産遅延報道で5.8%下落、NvidiaもファーウェイのGPU量産報道で4.5%安と振るわず、全面安の展開でした。4月22日(火) 前日の悲観から一転し、米財務長官が米中貿易摩擦の緩和を示唆する発言をしたことで、投資家心理が大きく改善し、市場は急反発しました。ダウ平均は1016ドル高、NASDAQとS&P500も2.5%超の上昇を記録。特に金融株や一般消費財セクターが強く買われました。決算発表では3Mが第1四半期の利益好調を背景に8.1%高。一方、関税の影響で業績悪化を示したNorthrop Grummanは12.7%、RTXも9.8%下落しました。4月23日(水) トランプ大統領が前日に引き続きパウエル議長を批判しつつも、解任の可能性を明確に否定したこと、さらに米中貿易摩擦の緩和に向けた交渉の進展期待が高まり、市場は続伸しました。ダウ平均は419ドル高で引けました。Teslaがイーロン・マスクCEOが経営に再び専念すると発表したことで5.3%上昇、Boeingも業績が市場予想より改善し6.1%の上昇を見せました。一方、General Dynamicsは受注減少を嫌気し3.3%安となりました。4月24日(木) 企業の決算好調と米中貿易摩擦のさらなる緩和期待により、市場の楽観ムードが継続しました。ダウ平均は486ドル上昇、NASDAQは2.7%高となりました。特に好決算を発表したServiceNowが15.5%の急伸を見せ、ハイテク株の上昇を主導しました。一方、消費関連のProcter & GambleとPepsiCoは景気減速懸念を背景に見通しを下方修正し、それぞれ3.7%と4.9%下落しました。4月25日(金) 米中関税措置の一部品目除外など、具体的な緩和策が出たことで、市場は4日続伸しました。NASDAQとS&P500は堅調に推移。Alphabet(Googleの親会社)は第1四半期の好決算が評価され1.7%高となりました。一方、Intelは業績見通しが市場予想を下回ったことで6.7%安と逆行安の展開。週間ベースでは主要指数が揃って上昇し、小型株のラッセル2000も昨年11月以来の上昇率を記録するなど、市場の回復ムードが強まりました。為替市場:一時リスクオフで円高が進むも、緊張緩和と日米財務大臣会合を受けて円安に為替は、米国の金融政策や米中貿易摩擦に関する報道に左右され、乱高下する展開となりました。週初、トランプ大統領がFRBのパウエル議長の解任を検討しているとの報道や、米中貿易交渉の進展が見られないことから、ドルは対円で一時140.72円まで下落し、昨年9月以来の安値を記録しました​。しかし、週後半にかけては、中国が米国からの一部輸入品に対する125%の関税を撤廃することを検討しているとの報道が伝わり、米中貿易摩擦の緩和期待が高まりました​。また、日米財務相会談では、為替水準や目標に関する言及がなかったことが明らかになり、円安是正への懸念が後退しました​。これらの要因から、ドルは対円で買い戻され、25日には一時143.91円まで上昇し、週末には143.68円で取引を終えました​。週を通じて、ドル円相場は約3円の値幅で推移し、米中貿易摩擦や米国の金融政策に対する市場の関心の高さが示されました。今週のマーケット:決算ラッシュが続く。M7決算もNVIDIA以外は出揃う今週(2025/4/28-5/2)は、決算ラッシュが続き、M7決算もNVIDIA以外の6社が出揃うことになります。ハイテク株への追い風は続くが注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

トランプ関税で市場は一進一退。FRBパウエル議長の弱気発言で株式市場は一時的に冷え込む|米国市場サマリー

トランプ関税で市場は一進一退。FRBパウエル議長の弱気発言で株式市場は一時的に冷え込む|米国市場サマリー

先週は、トランプ政権による関税政策の混乱と経済減速懸念から大きく揺れ動きました。​週初はスマートフォンやコンピューターの関税免除を受けてAppleなどが上昇し、主要指数も反発しました。​しかし、半導体への新たな関税が発表されると、NVIDIAは5.5億ドルの費用計上を明らかにし、同社株は6.9%下落、AMDも7.3%下落しました。​また、FRBのパウエル議長が経済成長の減速を示唆し、インフレリスクへの警戒を強調したことで、利下げ期待が後退し、投資家心理が悪化しました。​トランプ大統領はパウエル議長を公然と批判し、利下げを求める発言を繰り返しました。為替は、米国の関税政策の不透明感や米中貿易摩擦への懸念から、方向感に欠ける展開となりました。​ドルは対円で下落し、週末には一時142円台前半まで円高が進行しました。​市場はトランプ政権の関税方針やFRBの金融政策に注目し、慎重な姿勢を維持しています。米国株式市場:トランプ関税の適用範囲で引き続き市場は動揺。パウエルFRB議長から弱気見通しも出る4月14日(月) 米国株式市場は主要3指数が上昇して取引を終えました。スマートフォンやパソコンなどが相互関税の対象から除外されたことが投資家心理を支え、Appleが2.2%上昇しました。Dell Technologiesは4%、HPは2.5%高となり、ハイテク株が市場を押し上げました。一方、NVIDIAは0.2%安と小幅に下落し、Philadelphia Semiconductor Indexは0.3%の上昇にとどまりました。関税政策への不透明感は依然として根強く、投資家の慎重姿勢は続いています。Goldman Sachsは第1四半期に15%の増益となり株価は1.9%上昇しました。恐怖指数(VIX)は30.89と後退し、4月3日以来の低水準となりました。4月15日(火) この日の米国市場は小幅反落しました。Bank of AmericaとCitigroupが好決算を発表し株価を押し上げましたが、関税に対する不透明感が市場全体の重しとなりました。Ford Motorは2.7%安、General Motorsは1.3%安と自動車株が売られ、S&P500の一般消費財セクターは0.8%下落しました。BofAは3.6%上昇し、Merckは1%下落しました。Boeingは中国からの追加発注を拒否されたとの報道を受けて2.4%安となり、ダウ平均を押し下げました。ヘルスケア株や日用品株も軟調でしたが、全体としては往来相場(相場がある一定の幅で上がったり下がったりを繰り返すこと)となり、取引量は平常水準でした。4月16日(水) この日は米国株式市場が大幅に下落し、特にダウは699ドル安と大きく下げました。NVIDIAが中国向け半導体に関する新たな規制の影響で、5.5億ドルの費用負担を発表し、同社株は6.9%安となりました。AMDも7.3%下落し、Philadelphia Semiconductor Indexは4.1%下げました。パウエルFRB議長はこの日、米経済の成長は減速しつつあると述べ、関税がGDP見通しに影響を与えていると指摘したことも市場のセンチメントを冷やしました。市場ではインフレ懸念が再燃し、VIX指数は32.64まで上昇しました。4月17日(木) この日の米国株式市場はまちまちの展開となり、S&P500は上昇したもののNASDAQは小幅に反落しました。トランプ大統領が日本との貿易協議において「大きな進展があった」と発言し、米中関係でも「良いディールになる」と述べたことが一時的な楽観ムードを誘いました。個別では、Eli Lillyが糖尿病治療薬の臨床試験結果を好感されて14%急騰し、Appleも1.4%上昇しました。一方で、UnitedHealthが利益見通しを下方修正し22%急落。CVS HealthやHumanaもそれぞれ下落し、医療保険セクターは軟調でした。全体ではエネルギーと主要消費財セクターが上昇を主導しました。4月18日(金) 米国休日(Good Friday)により市場休場為替市場:米国の関税政策と日米貿易交渉で方向感を欠きつつ、週間では円高が進行為替は、米国の関税政策に対する市場の不透明感と日米貿易交渉の動向を背景に、方向感に欠ける展開となりました。​週初の14日、ドル円は143.95円で始まり、トランプ政権がスマートフォンなどの電子機器を関税対象から一時除外すると発表したものの、その後別の関税を課す方針を示したことで、先行き不透明感が強まり、142.23円まで下落しました。​15日には一時144.04円まで反発する場面もありましたが、上値は重く、143円台前半での取引が続きました。​16日には米中貿易戦争激化への警戒感が続く中でドル売りが優勢となり、141円台後半へと下落しましたが、17日に行われた関税をめぐる日米交渉で為替に関する議論はなかったと伝わったことで買い戻しが進み、143.08円前後へと上値を伸ばしました。​しかし、早期の利下げに慎重な姿勢を取る米FRBのパウエル議長についてトランプ大統領が「対応が遅すぎる」などと発言したことが重しとなり、18日には142.17円で週の取引を終えました。今週のマーケット:決算ラッシュ。テクノロジー銘柄は業績で市場を安心させられるか今週(2025/4/21-4/25)は、株価が大きく揺れて注目のテスラ決算やFANG+にも入ったServiceNow決算があるので注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

「パウエル議長を解任する」トランプ大統領発言の実現性と市場・経済への影響とは?

「パウエル議長を解任する」トランプ大統領発言の実現性と市場・経済への影響とは?

2025年4月17日、トランプ大統領がパウエルFRB議長を「一刻も早く解任すべき」と発言し、一時的に市場が動揺しています。この発言について、米国の制度上「FRB議長の解任」は可能なのか、どのようなタイムラインが想定されるか、そして実際に解任が行われた場合の市場や経済への影響を解説します。大統領は現職FRB議長を解任できるのか – 法的枠組みと前例米連邦準備制度理事会(FRB)議長は大統領が指名し上院が承認するポストですが、その任期中に大統領が一存で解任できるかは 法的に厳しい と考えられます。法律上、FRB理事(議長を含む)は「正当な理由(for cause)」がなければ任期途中で解任できないと定められています。この「正当な理由」とは職務上の不正行為や職務怠慢など重大な落ち度を指す法律用語であり、単に金融政策の方針が政権と合わないといった理由は通常該当しません。実際、パウエル議長自身も「法律上(正当な理由なしに)FRB議長を解任することは認められていない」と明言しています。歴史的に見ても前例はありません。 1913年のFRB創設以来、在任中の議長が大統領によって解任されたケースは一度もなく、FRBの独立性は厳格に尊重されてきました。例えば高インフレと闘ったボルカー議長に対し、1980年代初頭に一部議員が弾劾を口にしたことはありましたが、実際に罷免されたことはなく、議長人事は任期満了や自主的な退任・再任拒否によってのみ行われてきました。1970年代末にはカーター大統領が当時のミラー議長を財務長官職に横滑りさせる形で交代させた例がありますが、これは本人同意の上での人事であり「解任」とは異なります。こうした経緯から、法制度上も慣例上も、現職FRB議長の解任は極めて困難です。トランプ氏自身、2019年の在任時にもパウエル氏の降格・解任を検討しましたが、法的な制約や市場への悪影響を懸念し結局踏みとどまった経緯があります。法律の文言上は「正当な理由による解任」が可能とはいえ、その解釈には争いの余地があり、大統領の恣意的な介入を許せばFRBの独立性という制度の根幹を揺るがすことになります。実際、パウエル議長は「任期満了の2026年まで辞任するつもりはない」と繰り返し表明しており、トランプ氏が解任に動いても法廷闘争になる可能性が高いと見られています。解任を試みる場合の手続き・タイムライン仮に大統領が現職のFRB議長解任に踏み切るシナリオでは、前例がないため不透明な部分もありますが、以下のような手続きとタイムラインが想定されます。大統領からの圧力・辞任要求: トランプ氏はすでに「求めれば彼(パウエル議長)は辞任するだろう」と述べており、まずは口頭または非公式に議長本人へ辞任を促す可能性があります。今回トランプ氏は記者団に対し「私が彼を辞めさせたいと思えば、即座にそうできる」とまで発言しており、辞任要求をちらつかせつつ自発的退任を迫るシナリオが考えられます。もっともパウエル氏はこれを拒否する構えであり、要求に応じないことが予想されています。正式な解任通知と「正当な理由」の主張: パウエル氏が辞任しない場合、大統領は正式に解任手続きに入るでしょう。この際、大統領側は法律上の要件を満たすために何らかの「正当な理由」を示す必要があります。例えば「金融政策運営の失敗により経済に損害を与えた」などと主張する可能性がありますが、金融政策の判断ミスは正当な理由と認められるか極めて疑わしく、法律解釈上グレーゾーンです。解任の意向が正式化すれば、ホワイトハウスから書簡や声明という形でパウエル氏に通知され、同時に後任人事の準備が進むでしょう。法廷闘争と政治的駆け引き: パウエル氏側が解任を不服として法的措置に訴える可能性があります。実際に解任通知が出れば、直ちに差し止めを求めて裁判所に提訴し、「正当な理由」が無効であることを争う展開が見込まれます。FRB議長の地位は国家中枢の独立機関トップであり、このような訴訟は迅速に連邦裁判所~最高裁まで争われる可能性があります​。一方で政権側も強硬策として即座に後任の指名・承認プロセスを進め、既成事実化を図るでしょう。なお現職議長の任期は2026年5月までと限られているため、仮に法廷闘争が長引けば「裁判が決着する頃には任期満了」という事態も考えられ、解任の実効性が失われる可能性もあります。暫定措置と後任指名: 解任通告がなされパウエル氏が職務を追われた場合、FRB内では副議長が議長代行を務めると想定されます(法律上、議長不在時は副議長が職務を代行する規定があります)。そのうえで大統領は速やかに新議長を指名し、上院に承認を要請するでしょう。報道によれば、トランプ氏は解任後の後任候補としてケビン・ウォーシュ元FRB理事の名を挙げて議論していたとされています。上院承認には通常数週間~数カ月を要しますが、仮に上院多数派が大統領与党であれば比較的早期の承認もあり得ます。他方、議長解任に議会の反発が強い場合、承認審議が難航し 長期間「空席」や暫定議長体制 が続くリスクもあります。政策への即時影響: 仮にパウエル氏解任が既成事実化すれば、新議長(または代行)は大統領の意向を汲んで速やかな金融緩和(利下げ)に動く可能性が高いと見られます。トランプ氏は「FRBには米国民のため金利を引き下げる義務がある」と公言しており、パウエル氏が解任されれば早期の利下げが現実味を帯びます。その場合、市場では短期的に株高・金利低下の反応が出るかもしれません。しかしこの政策転換は次項で述べるように中長期的な市場・経済リスクを孕むため、歓迎一色とは限らないでしょう。以上のように、大統領が議長解任に動けば法廷闘争と政治闘争が絡み合い、短期間で決着しない可能性が高いです​。前FRB理事のウォーシュ氏も「解任を試みるべきではなく、任期を全うさせるべきだ」とトランプ氏に進言したと報じられており、現実的には2026年の任期満了を待つ方がスムーズとの見方が強い状況です。トランプ発言への反応 – 政府・議会・FRB・市場・メディアの視点トランプ氏がパウエル議長の解任に言及したことに対し、米国内外で様々な反応が生じています。以下、政府(政権内部)、議会、FRB当局者、金融市場、主要メディアの各方面の動きをまとめます。政権内部(政府)の反応: トランプ政権内でも、パウエル解任には慎重論が出ています。ベッセント米財務長官(トランプ氏が任命)はホワイトハウス高官らに対し「FRB議長の解任は金融市場を不安定化させるリスクがある」と繰り返し警告していると報じられました。実際、ベッセント長官はメディアに「金融政策は宝石箱(のように大事なもの)だ。守らねばならない」と述べており、FRB独立性の維持が重要との立場を明確にしています。これはトランプ大統領と真っ向から見解を異にする発言であり、政権内部ですら解任強行への懸念が強いことを示しています。またウォーシュ元理事との協議でも、ウォーシュ氏は解任に反対し任期満了まで続投させるよう助言したとされ、トランプ氏の周辺からもブレーキがかけられている状況です。議会の反応: 米議会からは超党派でFRBの独立性を守る声が上がっています。上院銀行委員会など金融政策を所管する議員はかねてより「大統領がFRBに介入すべきでない」との立場を表明してきました。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は今回のトランプ氏の発言を受け、「もし大統領がパウエル議長を解任できるなら、米国市場は暴落する」と警告し、FRBの独立性は世界経済の安定に不可欠だと強調しました。ウォーレン氏はニューヨーク証券取引所での講演で「仮に大統領が魔法の杖を振るように金利を思い通りにできるなら、我が国は他の三流独裁国家と何ら変わらなくなってしまう」とまで述べ、大統領による介入を痛烈に批判しています。共和党側からも、公には発言が少ないものの、FRBの独立を支持する声は根強いとみられます。パウエル議長自身も「FRBの独立性はワシントンや議会において広く理解・支持されている」と述べており、実際に議会多数派が議長解任に反対する場合には後任議長の上院承認を拒否するといった形で対抗する可能性も指摘されています。FRB当局者・パウエル議長本人の反応: パウエル議長本人は冷静ながらも断固たる態度を示しています。前述のとおり「法律上、大統領に解任する権限はない」と述べ、任期を全うする意向を明言しました。また4月16日にシカゴで行った講演では、トランプ政権の通商政策(関税引き上げ)が経済に与える不確実性に言及し、「FRBは政治的な圧力や党派的な思惑と無関係に政策金利を設定していく」と独立性への信念を表明しています。これには聴衆の経営者らから拍手が起こったと伝えられ​、FRB内部のみならず経済界も議長の姿勢を支持していることがうかがえます。また地区連銀総裁の中にも、市場動向について「現時点で利下げの必要は感じない」と述べる者(ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁)がおり​、FRB当局者は総じて政策判断は金融・経済情勢次第であり、政治圧力には左右されないとの立場を崩していません。もっとも、議長解任が現実になればFRB制度への衝撃は大きく、匿名では動揺を示す関係者もいると推測されますが、公の場ではFRB側は冷静さを保ち独立性を訴える対応に徹しています​。金融市場の反応: 市場は今回のトランプ発言を警戒混じりに織り込みつつある状況です。オンライン予測市場では「年内にパウエル議長が職を追われるか」の賭け率が25%前後に急上昇し、1カ月前の2倍近い確率が織り込まれたとの報道があります​。これは市場参加者が一定の現実味を感じ始めたことを示唆します。実際4月17日前後には米国債利回りや株価に神経質な動きが見られ、投資家は「万一解任ならFRBの信頼性低下につながる」というリスクシナリオを意識しています。一部には「パウエル氏が外れるなら、後任の下で早期利下げが実現する」と期待し株式市場にプラスとの見方もありますが、それ以上に「中央銀行の独立性喪失」はインフレ高進や長期金利上昇に直結しかねないため、総合的にはネガティブ要因と受け止められています。著名ストラテジストのクリシュナ・グハ氏(元NY連銀幹部)は「仮にFRB独立性への脅威が現実のものとなれば、市場のストレスは増大し、景気停滞とインフレが同時進行するスタグフレーション的なリスクが高まる」と分析しています。ドル為替相場についても、FRBへの信認低下はドル離れを誘発しかねず下落圧力となる可能性が指摘されています(中央銀行の独立性は基軸通貨ドルへの信頼の柱であり、これが揺らげばドル安・米国からの資本流出を招く懸念がある)。総じて金融市場は、議長解任の脅し自体が市場不安要因となりつつあり、実際に解任が強行されればボラティリティの急騰や価格急変動を引き起こしかねないとの見方が有力です​。メディア・世論の反応: 米主要メディアはトランプ氏の発言を大きく報じ、概ね批判的な論調です。ウォールストリート・ジャーナルは「トランプ氏が数カ月にわたりパウエル解任を私的に検討していた」とスクープしつつ、ウォーシュ氏らの反対論も伝え、同紙の論調は「FRBの独立性を脅かす危険な試み」といったものです。ニューヨーク・タイムズやフィナンシャル・タイムズ(以下「FT」)も、仮に解任に踏み切れば市場と経済への悪影響は計り知れず、アメリカの制度的信用を損なうとする論説を展開しています(FTは「トランプ氏は任期満了前にパウエル氏を解任しないと示唆していたが、発言が揺らいでいる」と報道)。CNNは「トランプ氏が自らの解任権限に言及」と速報し、パウエル氏の「法律が許さない」との反論を伝えました。またBloombergはベッセント財務長官へのインタビューで彼女が独立性擁護を訴えたことを報じています​。さらにガーディアン紙など海外メディアも「トランプ氏が再びFRBに攻撃を加えた」「中央銀行への前代未聞の介入」と伝えており、欧州からも懸念の目が向けられています。世論面では、一般国民にとってFRB議長解任は馴染み薄いテーマながら、「政権の思惑で金利が上下するようになればインフレや景気が不安定化するのでは」との懸念が専門家を中心に語られ始めています。総じてメディアと識者は「解任は法律的にも疑問で、経済・市場へのコストが大きすぎる」との点で概ね一致した見解を示していると言えるでしょう。解任が実現した場合の影響 – 金融市場への波及(株式・債券・為替)仮に最悪のシナリオとしてパウエル議長の解任が強行された場合、金融市場と米国経済(金融政策の信頼性、インフレ、金利など)に重大な影響が及ぶと予想されます。その主なポイントを専門家の見解とともに分析します。まず金融市場ですが、FRB議長解任という異例事態は、短期的な政策変更期待と長期的な信認低下リスクの双方を市場にもたらします。株式市場: 一時的には「利下げ実施→景気刺激」を期待して株価が上昇する可能性があります。実際トランプ氏は「利下げができる人物に替える」と示唆しており、市場の一部には緩和期待があります。しかし、多くの専門家は株高は持続しないとみています。ウォーレン上院議員は「FRB議長解任が現実になれば株式市場は崩落しかねない」と警告しており、FRBへの信頼喪失に伴うリスクオフ(安全資産志向)で株式から資金が逃げる懸念が大きいです。特に金融株や長期投資を必要とするセクターは、金利の先行き不透明化で売り込まれる可能性があります。総じて、目先の利下げメリットより制度不安のデメリットが上回り、株式市場全体には下押し圧力となるとの見方が優勢です​。債券市場(金利): 政策金利こそ新議長の下で引き下げられる可能性がありますが、長期金利はむしろ上昇圧力が強まると予測されます​。理由は、インフレ抑制に対するFRBのコミットメントが疑問視されれば将来のインフレ期待が高まり、債券投資家がリスクプレミアム(金利上乗せ)を要求するからです。エバーコアISIのクリシュナ・グハ氏は「FRB独立性への脅威が現実化すれば市場ストレスが高まり、インフレと金利のテールリスク(極端な悪化シナリオ)が急増する」と述べています。具体的には、長期国債の利回りが上昇(価格下落)し、住宅ローン金利や企業の社債利回りも上昇しかねません。パウエル解任に伴う一時的な利下げは 「短期金利低下・長期金利上昇」という逆効果 を招き、イールドカーブのスティープ化(長短金利差の拡大)や、場合によっては米国債格付けへの不安につながる恐れも指摘されています。要するに、金融引き締めを怠るリスクが金利上昇という形で市場に跳ね返る可能性が高いのです。為替市場(米ドル相場): ドル安圧力が高まる公算です。FRBの独立性はドルの信用の源泉であり、政治介入によってそれが傷つけば国外投資家がドル資産から撤退する誘因となりま。トランプ政権下での低金利政策観測が強まれば金利差縮小でドルの魅力も低下します。実際トルコやアルゼンチンなど、政府が中央銀行総裁を解任した新興国では通貨価値が急落しインフレが悪化する例があり、米国とて無縁ではありません。もっともドルは基軸通貨の地位があるため急落しにくいとの見方もありますが、専門家は「じわじわとドル安・他通貨高が進行し、為替市場のボラティリティ(変動幅)が拡大する」と予想します。IMFのゲオルギエワ専務理事も「中央銀行の信頼性と機動力が政治干渉で損なわれれば、世界経済に悪影響を及ぼし得る」と指摘しており、その意味でドルの国際的地位にも長期的な悪影響が及ぶ懸念があります。解任が実現した場合の影響 – 米国経済全体への波及(信頼性・インフレ・金利動向)FRB議長解任が現実となれば、米国の金融政策運営に対する国内外の信頼が根底から揺らぐ可能性があります。具体的な経済への波及効果を専門家の見解も交えて整理します。金融政策の信頼性低下:もっとも深刻なのは、「FRBは長期的な物価安定より政権の意向を優先するのではないか」という疑念が生じることです。FRBは建前上、議会から与えられた物価安定と雇用最大化の使命を負っていますが、議長解任によって政治圧力に屈すれば、その使命遂行への信頼が損なわれます。ウォーレン議員が「市場や経済を支えているインフラは、政策決定が政治と無関係に行われるという信念だ」と語った通り​、中央銀行への信頼は経済安定の土台です。これが崩れると、企業・消費者・投資家のすべてが将来のインフレや金利に確信を持てなくなり、長期の投資計画や契約が立てづらくなります。その不確実性コストは計り知れず、経済の効率性を低下させる要因となります。インフレ率とインフレ期待への影響: パウエル氏解任→利下げ圧力という流れは、短期的には景気刺激になる一方でインフレ圧力を高めるリスクがあります。現状でもインフレ率はFRB目標を上回って推移している中、政治主導での利下げは需要超過を招きかねません。また重要なのはインフレ期待の昂ぶりです。経済主体が「将来もFRBは政治的理由でインフレを許容するかもしれない」と考えれば、労使交渉や価格設定でインフレを織り込むようになります。その結果、期待インフレが高止まりし、実際のインフレ率も上方にバイアスがかかる恐れがあります。こうした状況を抑え込むには、後にFRBが大幅な利上げを強いられる(いわゆるボルカー式の劇薬が必要になる)可能性もあり、長期的な物価安定達成がより困難になるとの指摘があります。金利環境・経済成長への影響: トランプ氏の思惑通り利下げが実施されれば、短期的には融資コスト低下で経済成長を下支えするかもしれません。しかし前述のように長期金利が上昇すれば、住宅投資や設備投資にはむしろ逆風となります。また市場の信頼低下から株価が不安定化すれば、負の資産効果(株安による消費・投資マインド低下)で景気にマイナスです。エバーコアISIのグハ氏は「独立性への急激な脅威は市場ストレスを強め、景気減速とインフレ高進を同時にもたらすスタグフレーション方向にシフトさせる」と警告しています。つまり景気後退と物価上昇が併存する最悪シナリオさえ現実味を帯びるのです。これは1970年代のような状況で、克服には痛みを伴う政策対応が避けられません。IMFも「中央銀行は信頼性と敏捷性が肝要だが、政治介入はそれを制限してしまう」と述べ、長引く経済停滞を懸念しています。国際的な信頼と資本フロー: 米国の経済運営に対する国際的信認も低下し得ます。FRBの独立性はしばしば他国の中央銀行の模範とされ、ドル資産への投資も「政治から距離を置いた安定した政策」による安心感が支えています​。仮に議長解任で米国が政治優先に舵を切れば、各国は米国債やドル預金に慎重になり、海外からの資金流入が細る恐れがあります。米国は巨額の財政赤字を海外資本で賄っている面がありますが、その構図にも亀裂が入りかねません。結果として金利上昇圧力が一段と高まり、経常収支や財政のファイナンスにも悪影響が波及する可能性があります。以上のように、パウエル議長の解任が実行されれば、金融市場は短期的ショックと長期的不安定化を、米国経済はインフレ取り巻くリスク増大と信用低下を被ると予想されています。これは単なる仮説ではなく、主要メディアや専門家の共通認識です。実際、著名経済学者や金融機関も「FRB議長解任は米国経済にとって自傷行為」との見解を示しており、ウォーレン議員は「違法な解任を強行すれば市場をクラッシュさせ、米国民にさらなる経済的苦痛を与えるだけだ」と非難しています。結論として、FRB議長の解任は制度的にも経済的にもリスクが大きすぎるため、現実となれば市場の混乱や経済への悪影響は避けられないでしょう。

トランプ関税が90日間停止、株式市場は歴史的な反発上昇に。米中貿易摩擦の懸念は残る|米国市場サマリー

トランプ関税が90日間停止、株式市場は歴史的な反発上昇に。米中貿易摩擦の懸念は残る|米国市場サマリー

先週は、1週間を通じてトランプ大統領による関税政策への懸念から大きく揺れ動きました。NASDAQは一時6%下落するなど調整局面から弱気相場入りが確認され、S&P500も大幅に下落しました。トランプ氏が発表した相互関税や中国への関税強化が市場の不安を高め、VIX指数も60を超える場面がありました。ただ、9日には関税の一部を90日間停止すると発表され、株価は2008年のリーマンショック時以来の大幅反発上昇しました。10日には再び反落したものの、11日には銀行の好決算とFRBの市場支援姿勢が安心感を呼び、主要3指数は反発し、波乱の週をプラス圏で締めくくりました。為替は、米中貿易摩擦の激化と米国の関税政策の混乱を受けて大幅な円高が進行しました。週初148円から週末には一時142円台後半まで急落し、米経済減速懸念や日本株安によるリスク回避が主な要因となりました。米国株式市場:トランプ関税の90日間停止で株価は歴史的な反発上昇。週間比をプラスで終える4月7日(月) この日の米国株式市場は、トランプ大統領が中国に対し新たな追加関税を表明したことを受けて不安定な展開となり、ダウ工業株30種とS&P 500は続落しました。特に序盤には主要3指数が1年以上ぶりの安値をつけました。S&P 500は午前の取引で過去最高値から20%下落し弱気相場入り寸前となりましたが、その後、トランプ氏が中国を除くすべての国に対する関税を90日間停止する可能性があると伝わると一時3%以上反発しました。しかし、ホワイトハウスがこの報道を否定したことで、再び下落に転じました。VIX指数(恐怖指数)は一時60を超え、終値としては5年ぶりの高水準となる46.98を記録しました。個別銘柄では、Appleが3.7%安、Teslaが2.6%安となる一方、NVIDIAは3%超、Amazonは2.5%上昇しました。4月8日(火) この日は序盤に上昇したものの、トランプ大統領が中国に対する関税を9日に予定通り発動すると表明し、株価は下げに転じました。S&P 500は約1年ぶりに5,000を割り込み、終値として昨年4月以来の水準となりました。ホワイトハウスは、70か国と関税交渉を進めているとしつつも、トランプ氏は関税発動を想定していると発言。また、USTRのグリア代表も免除措置の短期的な実施は想定していないと述べたことから、市場の楽観ムードが後退しました。ヘルスケア関連ではUnitedHealth Groupが5.4%、Humanaが10.7%上昇し、支払い引き上げの発表が好感されました。一方、全体的に売りが優勢で、VIX指数は52.33まで再上昇しました。4月9日(水) この日は、トランプ大統領が貿易相手国に対する相互関税の上乗せを90日間停止すると発表し、市場に安心感が広がりました。S&P 500は9.5%上昇し、2008年以来最大の上昇率を記録しました。小型株中心のRussell 2000指数も8.66%上昇し、約4年ぶりの大幅上昇となりました。NVIDIAは18.7%、Appleは15.3%急騰し、大型テック株が市場全体をけん引しました。S&P 500の11セクター全てがプラスとなり、情報技術セクターが14%超上昇しました。VIX指数は一時57.96まで上昇後、33.62まで急低下しましたが、依然として高水準を維持しています。4月10日(木) この日の株式市場は大幅に反落しました。前日の急騰の反動に加え、トランプ大統領の関税政策がもたらす経済への影響に対する懸念が再燃し、主要3指数は大きく下落しました。S&P 500は3%超、NASDAQは4%超の下落となり、前日の上昇分を大きく失いました。特にNVIDIAやAmazon、Appleなどマグニフィセントセブンが再び売られました。FRB理事のボウマン氏は経済の堅調さを指摘しつつも、貿易政策によるボラティリティの高まりを認めました。一方、消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇と、前月の2.8%から鈍化しており、利下げ期待を一部支えました。4月11日(金) 週末の市場は、好調な米銀の四半期決算が安心感をもたらし、主要3指数は大幅に反発して終了しました。JP Morgan、Morgan Stanley、Wells Fargoの決算はいずれも予想を上回り、銀行株が市場をけん引しました。S&P 500は1.6%上昇し、週間ベースではプラス圏で終了。素材やテクノロジーセクターが最も上昇し、NASDAQも前日の下げを一部取り戻しました。ミシガン大学の消費者信頼感指数は50.8と、2022年6月以来の水準に低下しましたが、卸売物価指数の鈍化が買い材料となりました。市場では不確実性が高い状況が続くものの、ボラティリティはやや落ち着きを見せています。為替市場:貿易摩擦による景気後退懸念と米国債利回り低下で円高が進む為替は、米中貿易摩擦の一段の激化と米国の関税政策をめぐる不透明感から、大幅な円高が進みました。週初の4月7日、ドル円は148.5円でスタートしましたが、トランプ大統領が中国製品への関税を最大125%に引き上げ、中国も米国製品に84%の報復関税を課したことで、市場は世界経済の先行きへの懸念を強め、リスク回避的な円買いが加速しました。その結果、週末にかけてドル円は一時142円台後半まで急落し、約6円の値幅で推移しました。この急速な円高は、貿易摩擦による米国経済の減速懸念や米国債利回りの低下に伴うドルの魅力低下が主な要因となりました。また、円高による日本の輸出企業の収益悪化懸念が広がり、日経平均株価の大幅下落も円高圧力を強める一因となりました。今週のマーケット:米中関税交渉に進展はあるか。企業決算シーズンが本格スタート今週(2025/4/14-4/18)は、米中関税交渉の行方が大きくマーケットを左右すると思われますが、大手企業決算も本格開始するので注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

トランプ関税延期で急騰、翌日反落した米国株市場を分析

トランプ関税延期で急騰、翌日反落した米国株市場を分析

4月9日、トランプ前大統領が関税延期を発表し米国株は急騰したものの、翌10日に利益確定売りや利下げ期待の後退から大幅反落しました。特にハイテク・自動車株の下げが顕著です。市場関係者は米中関係の不透明感から慎重姿勢を示しており、今後の相場は貿易交渉やFRB政策、企業決算次第で大きく変動する可能性があります。本記事では、トランプ関税影響後の市場の動きと今後のシナリオについて解説していきます。急騰から急落へ – 主要株価指数の動き (4月9日・10日)4月9日(水)の米国株式市場は、主要株価指数が歴史的な急騰を記録しました。ダウ平均は前日比+2,962ドル(+7.9%)高の40,608ドル、S&P500指数は+9.5%高と2008年以来の上昇率となり、ナスダック総合指数に至っては+12.2%高と過去2番目の上昇幅を示しました。これはトランプ前大統領が90日間の関税延期措置を発表したことを好感し、投資家に安堵感が広がったためです。実際、トランプ氏は9日午後に「90日間の関税一時停止」を宣言し、中国に対する関税のみ125%へ引き上げると発表しました。このニュースを受け市場心理が大きく改善し、わずか1日で約4兆ドル規模の時価総額が回復したとも言われます​。しかし翌4月10日(木)の米株市場は一転して大幅反落となりました。ダウ平均は-1,014ドル(-2.5%)安と急落し、S&P500は-3%以上、ナスダック総合は-4%以上の下落で、前日の上昇分を大きく失いました。取引序盤から売り注文が優勢となり主要指数は一時5~6%以上の大幅安となりましたが、終盤にかけてやや下げ渋りました。それでも投資家心理は再び悪化し、安全資産への逃避から米国債や金価格が上昇、為替市場では円やスイスフラン高・ドル安が進む展開となりました​。関税延期発表の短期効果とその反動4月9日の急騰は、関税延期というサプライズに対する短期的な安心感から生じたものです。直近1週間で株価が大きく下落していたこともあり、発表直後には空売りの買い戻しや押し目買いが一斉に入り、上昇に拍車をかけました。市場関係者からは「待ち望んでいた転機であり、市場の即時反応は圧倒的にポジティブだ」との声も聞かれました。実際、トランプ氏は発表当日の朝にSNSで「今は買い時だ!」と投稿しており、市場の一部ではタイミングへの疑念も指摘されています。しかしこの安堵感も長続きはしませんでした。わずか翌日には「90日後に再び関税が復活する可能性」や「対中関係の不透明さ」が意識され、投資家心理が翻転します。前日の急騰で短期利益を得た投資家による利益確定売りが広がったことに加え、貿易戦争リスク後退で景気減速懸念が和らいだため利下げ観測が後退したことも相場の重石となりました。実際、米国の3月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.4%と伸びが鈍化したものの、依然インフレ率は目標を上回っており、FRB(米連邦準備制度)が早期に金利を下げる可能性は低いとの見方が強まりました​。加えて米長期金利は週初に一時4.5%近くまで急騰しており​、こうした金利上昇による割高感もハイテク株など成長株の売り圧力につながりました。セクター別の明暗 – ハイテク・自動車・素材・公益関税延期の恩恵が大きいセクターほど振れ幅も大きくなりました。4月9日の急騰局面では、S&P500指数を構成する全11セクターが上昇し、中でもハイテク(情報技術)株は+14.15%と群を抜く上昇率でした。半導体やソフトウェアなど貿易摩擦で売り込まれていた銘柄に買い戻しが集中し、例えばアップルは+15.3%、エヌビディアは+18.7%の急騰となりました。電気自動車メーカーのテスラもこの日+22%と大幅高で、自動車株全般が恩恵を受けました​。また貿易戦争の懸念緩和から素材(資源・素材)セクターも上昇し、エネルギー関連株も原油高を背景に買われました(実際、WTI原油先物はこの日+4%超の上昇)​。一方でディフェンシブな公益事業セクターの上昇は+3.9%と最も小幅にとどまりました​。金利上昇局面では高配当利回りの公益株は相対的に魅力が低下しやすく、リスク選好の流れの中で出遅れた形です。翌4月10日の下落局面では、前日大きく反発したセクターほど大きく売られる展開となりました。ハイテク株は再び売りに押され、アップルやアマゾンなど時価総額上位の「マグニフィセント・セブン」と称される銘柄群はそれぞれ-2.3%~-7.3%の下落となりました​。前日に急騰したテスラも一転して約10%下落し、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードといった自動車株も軒並み反落しました(中古車販売大手カーマックスは決算失望もあり-17%の急落)。素材・エネルギー株も、中国向け需要減退懸念から金属・鉱業株に売りが出て原油相場も反落するなど、関連セクターが下押しされています。もっとも、公益事業株や生活必需品などディフェンシブ銘柄は比較的下げ幅が小さく、安全資産とみなされるセクターが下支えとなりました。専門家の見解 – 今後の株価はどう動くか今回の乱高下を受けて、市場関係者は今後の展開について概ね慎重な見方を示しています。急騰直後には「90日間の猶予が得られたことで不透明感が和らいだ」として一部で強気な声も上がりましたが、翌日の急反落で「やはり先行き楽観は禁物」との認識が広がりました。ボルビン・ウェルス・マネジメント社長のジーナ・ボルビン氏は「今回の措置は必要とされていた明確さへの一歩だが、90日後に何が起きるかという不確実性が残っている」と指摘しています。実際、関税延期は問題の先送りに過ぎないため、市場は再び90日後を睨んで神経質にならざるを得ません。チャールズ・シュワブのケビン・ゴードン氏も「これだけ急激な戻りの後では強気・弱気いずれにせよ確信を持つのは危険だ」と述べ、目先の値動きに一喜一憂しないよう警鐘を鳴らしています。一方、ゴールドマン・サックスは景気後退予測を撤回し、2025年の経済成長見通しを従来のベースラインに戻すと発表しました​。これは関税問題が解決に向かえば米経済の腰折れは回避できるとの見方ですが、同時に「高いボラティリティ(変動率)は当面続く」とも警告されています。総じて市場関係者の見解は「短期的な安堵と中長期的な警戒」が入り混じった状態と言え、今後も慎重な姿勢が求められそうです。想定される今後のシナリオ(楽観・中立・悲観)と注目材料今後の米国株市場は、貿易交渉の行方や金融政策次第で複数のシナリオが考えられます。特に米中関係、FRBの政策、主要企業の決算動向がカギを握ります。以下に代表的な3つのシナリオを整理します。楽観シナリオ: 90日間の猶予期間中に米中を含む貿易交渉が進展し、関税問題が大幅に解消に向かうパターンです。この場合、企業の業績見通しも改善し、FRBも景気腰折れ懸念が和らぐことで急激な利下げの必要がなくなります。貿易不安の解消によって投資家心理が安定すれば、主要株価指数は再び史上最高値圏を目指す回復軌道に乗る可能性があります。実際、関税停止を受けてゴールドマン・サックスが景気後退予測を取り下げたように​、景気の底堅さが確認されれば年後半にかけて株価は緩やかに上昇基調をたどる展開が期待できるでしょう。中立シナリオ: 部分的な楽観と悲観要素が混在するシナリオです。米中交渉は難航するものの対話は継続し、市場は楽観と失望を繰り返しながらもみ合いとなる展開です。FRBはインフレ動向を睨みつつ現行金利を維持し、必要に応じて小幅な調整にとどめます。企業業績はセクター間で明暗が分かれ、好調なハイテク企業と貿易摩擦で打撃を受ける製造業などが混在します。株価水準は方向感に欠けるレンジ相場となり、日々のニュース(例えば米中首脳会談や関税に関する発言、経済指標や企業決算)に敏感に反応しやすいでしょう。市場のボラティリティは高止まりし、投資家は慎重なポジション調整を続けると見られます。悲観シナリオ: 交渉決裂や追加関税発動など最悪の事態を想定したケースです。90日後に関税猶予が終了し、米中双方で報復関税がエスカレートする場合、世界経済の減速リスクが一気に高まります。企業収益は下方修正が相次ぎ、FRBも景気悪化を受けて緊急利下げに追い込まれる可能性があります。しかし関税による物価上昇圧力もあり、金融政策の対応も後手に回る恐れがあります。こうした場合、株式市場は二番底・暴落のリスクに直面し、S&P500やナスダックは再び年初来安値を試す展開も考えられます。市場関係者からは「まだ警戒を解くのは早過ぎる。関税の悪影響はこれから経済指標に表れる」との指摘もあり​、最悪シナリオも念頭に置いておく必要があります。いずれのシナリオにおいても、投資家は米中貿易協議のヘッドラインやFRB高官の発言、そして今後本格化する企業の四半期決算に注目する必要があります。特に米主要企業の決算シーズンでは、関税や景気動向が各社業績に与えた影響や先行き見通しが示されるため、市場の方向性を占う重要な手掛かりとなるでしょう。また、直近では物価指標(消費者物価・生産者物価)や雇用統計などの経済指標も発表されており、これらも金融政策の行方に影響を与えます。総じて、足元の米国株式市場は楽観と悲観材料が交錯する不安定な状況にありますが、長期視点では企業のファンダメンタルズや経済の基調を冷静に見極めつつ対応することが重要です。今回の急騰・急落劇も「長期投資では市場タイミングを計る難しさ」を改めて示すものと言え、個人投資家も引き続き分散投資とリスク管理を心掛けたいところです​。

トランプ関税発動で株式市場は調整局面に。リスクオフで円高も進行する|米国市場サマリー

トランプ関税発動で株式市場は調整局面に。リスクオフで円高も進行する|米国市場サマリー

先週は、トランプ政権による広範な関税政策の発表を受けて大幅下落しました。NASDAQは最高値からの下落率が20%を超え、弱気相場入りが確認され、S&P500も調整局面に入りました。AppleやNVIDIA、Amazonなど主力ハイテク株が大きく売られ、金融株や消費関連株も下落しました。関税によるインフレ懸念や世界的な景気後退の可能性に加え、米政府機関閉鎖のリスクも重なり、投資家心理は悪化しています。今後のFRBの金融政策や経済指標に注目が集まります。為替は、関税措置による世界経済の減速懸念と、それに伴う投資家のリスク回避姿勢の強まりによって大きく円高が進みました。​特に、米国の主要貿易相手国である日本に対する24%の追加関税が発表されたことが、円買いを加速させました。米国株式市場:トランプ関税のショックで世界全体の株式市場が下落。コロナ危機以来の下落幅に3月31日(月) S&P500とダウ工業株30種が反発し、3月を上昇で締めくくる形となりました。トランプ政権が相互関税の導入に慎重な姿勢を示したとの報道が安心感を呼び、クレジットカード企業や銀行株など金融セクターがS&P500の上昇をけん引しました。しかしハイテク株には売りが続き、NASDAQは続落しました。エヌビディア(NVIDIA)やマイクロソフト(Microsoft)などが売られ、投資家はAI関連企業の成長力とコスト増に対して警戒感を強めています。3月全体ではS&P500が4.6%、NASDAQが10.5%、ダウが1.3%下落し、2022年以来最悪の月間パフォーマンスを記録しました。4月1日(火) 方向感の定まらない展開となり、S&P500とNASDAQが上昇した一方で、ダウは下落しました。関税発表を控え、市場には高い不確実性が残るなか、電気自動車大手テスラ(Tesla)が3.6%上昇するなど、年初から売り込まれていたハイテク株に反発の動きが見られました。アマゾン(Amazon)、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ(Meta)も1~1.8%上昇しました。一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は7.6%下落し、ヘルスケアセクター全体を1.8%押し下げました。4月2日(水) トランプ大統領がホワイトハウスで行った演説で、すべての輸入品に一律10%の関税を課すという計画を発表したことが明らかとなり、取引終了後に先物市場は大きく下落しました。通常取引中はテスラが5.3%上昇するなど、一般消費財セクターが2%上昇し、主要指数を支えました。AmazonもTikTokの米事業買収の報道を受けて2%上昇しました。4月3日(木) 市場が一転して急落し、ダウが1,679ドル、NASDAQが約6%、S&P500が約5%下落しました。これは新型コロナウイルスによる市場混乱がピークを迎えた2020年6月以来の下げ幅となり、S&P500の構成銘柄の時価総額はこの日だけで2兆4,000億ドル失われました。トランプ氏の相互関税計画が米国経済の景気後退を引き起こすとの懸念が強まり、Appleが9.2%、NVIDIAが7.8%、Amazonが9%それぞれ急落しました。NikeやRalph Laurenなどの小売企業も、生産拠点への追加関税懸念から大幅安となり、銀行株や小型株も売られました。4月4日(金) 続落し、ダウはさらに2,231ドル安、NASDAQは5.8%下落しました。これにより、ダウは12月の高値から調整局面に入り、NASDAQは22.7%下落してベアマーケット入りが確認されました。中国は報復として、米国製品に34%の関税を課すと発表し、米中の貿易摩擦が本格化しました。投資家の不安心理を示すVIX指数は30を超え、過去8か月で最も高い水準に急騰しました。全てのセクターが下落し、特にエネルギー、金融、テクノロジーセクターが大きく売られました。米国上場の中国株も大きく売り込まれ、Appleの株価はさらに下落しました。為替市場:トランプ関税発動のショックでリスクオフが進み、円が買われて大きく円高に為替は、米国の新たな関税措置の発表を受け、大きく変動しました。​週の初め、ドル円は149.8円で始まり、4月2日には一時150.4円の高値を記録しました。​しかし、トランプ大統領が全輸入品に対する10%の基本関税と、特定の貿易相手国への追加関税を発表したことで、市場はリスク回避の動きを強め、安全資産である円が買われました。 ​その結果、4月3日にはドル円は145.1円まで下落し、週末の4月4日には147円で取引を終えました。今週のマーケット:市場はトランプ関税を消化。CPIは反転材料になるか今週(2025/4/7-4/11)は、景気指数と失業率の発表があり、米国景気後退懸念を払拭する結果になるかに注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

関税の一部見送りで株価回復も、追加自動車関税で市場は反落し、インフレ率高止まりでさらに下落|米国市場サマリー

関税の一部見送りで株価回復も、追加自動車関税で市場は反落し、インフレ率高止まりでさらに下落|米国市場サマリー

先週は、トランプ政権から関税政策の一部発動を見送るとのコメントが出たことから、株価は上昇して1週間が始まりました。しかし、トランプ大統領が輸入車に対して25%の追加関税をかけると発表すると、市場は反落しました。また、PCE物価指数でインフレ率が予想よりも上振れしたことで、インフレ懸念から株価は大きく下落し、特にハイテク銘柄が売られました。為替は、トランプ関税による米国株式の上下と連動して、円安・円高が進んだ1週間でした。関税政策の一部反動見送りで円安が進んだ後、自動車追加関税とインフレ懸念で米国株式市場が下がると、リスクオフ傾向が出て円高に戻しています。週間で見るとやや円安でした。米国株式市場:トランプ関税で市場は大きく揺れる。インフレ率の高止まりで株価は下落3月24日(月) 市場は大幅続伸し、S&P500は2週間ぶりの高値で取引を終えました。トランプ政権が自動車など一部産業への関税発動を4月2日に見送る可能性が報じられたことで、投資家の間に安心感が広がりました。これを受けて、NVIDIAが3%超、Advanced Micro Devices(AMD)が7%上昇し、Philadelphia半導体指数は3%高となりました。また、Teslaは関税見送り観測を背景に約12%の急騰を記録し、2024年11月以来の大幅上昇となりました。S&P500は13日の安値から約4%回復しましたが、2月の最高値からは依然として6%下落しています。小型株を中心としたRussell2000も2.55%高となり、投資家の不安心理を示すVIX指数は1カ月ぶりの低水準に低下しました。3月25日(火) トランプ政権の関税政策に柔軟性が見られるとの観測が続いたことを受け、株式市場は続伸しました。トランプ大統領は自動車関税の発表について、予定していた4月2日の実施を一部見送る可能性を示唆しました。ただし、同日の発言や方針には依然として不透明感が残っており、市場では慎重な見方も続いています。経済指標では、Conference Boardが発表した3月の消費者信頼感指数が92.9に低下し、4年以上ぶりの水準となりました。個別では、Appleが1.4%上昇し、NASDAQを下支えしましたが、NVIDIAは小幅安となりました。Teslaは前日に続き3.5%の上昇となりました。一方、KB Homeは売上高見通しの引き下げを受けて5%超下落しました。3月26日(水) S&P500とNASDAQが大幅に反落しました。ホワイトハウスがトランプ大統領の自動車関税に関する記者会見を発表し、先行きへの懸念が強まりました。Teslaは5.6%、General Motors(GM)は3.1%下落し、自動車業界に対する圧力が高まりました。また、NVIDIAが約6%、Broadcomが約5%下落し、半導体セクターも売られました。S&P500の11セクターのうち6業種が下落し、情報技術と通信サービスが特に大きく下げました。商務省が発表した2月の耐久財受注は予想外に増加しましたが、これは関税に備えた前倒し発注によるものとみられます。Dollar Treeは、一部事業の売却交渉報道を受けて3.1%上昇し、GameStopはビットコインの財務資産採用を背景に12%近く急騰しました。3月27日(木) 続落となり、自動車関税の発表を受けて、GMが7%超、Fordが3.9%下落しました。部品メーカーのAptivとBorgWarnerも約5%の下落となりました。Teslaは米国内生産が中心との理由から0.4%の小幅上昇にとどまりました。Appleは1.05%上昇し、S&P500の下げを一部緩和しました。業種別では11セクター中8セクターが下落し、エネルギーと通信サービスが特に軟調でした。政府統計では、新規失業保険申請件数が小幅に減少し、また第4四半期GDP確報値が2.4%に上方修正されました。Dollar Treeは、事業売却の発表とアナリストによる目標株価引き上げを受けて11%急騰しました。3月28日(金) 成長鈍化とインフレ懸念を背景に、主要指数が大幅に下落しました。Appleが2.7%、Microsoftが3%、Amazonが4.3%下落し、大手ハイテク株が軒並み売られました。2月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.5%上昇し、インフレ圧力の高まりが意識されました。また、ミシガン大学の調査では、5年先の期待インフレ率が4.1%と、1993年以来の高水準となりました。ルルレモン・アスレティカは業績予想が市場予想を下回り、14%の急落となりました。一方、金価格の上昇を受けて、Harmony Gold MiningとGold Fieldsはそれぞれ9.5%、4.5%上昇しました。週間ベースでは、S&P500が1.5%、NASDAQが2.6%、ダウ平均が約1%下落しました。VIX指数は3ポイント上昇し、市場の不安心理が高まっていることを示しました。来週予定されている最大25%の自動車関税発動を控え、市場は引き続き高い警戒感の中での取引となる見通しです。為替市場:トランプ関税の一部見送り報道で円安になるも、その後の不透明感で小幅な動きに留まる為替は、トランプ政権の関税政策発動の一部見送り報道から、一時的に米株高をトリガーにした円安が進行しました。しかし、自動車への追加関税やインフレ率の高止まり報道を受けて、再び株価下落が進み、それに伴い円高への揺り戻しが進みました。週間で見るとやや円安で終えています。今週のマーケット:景気指数と雇用統計は景気後退懸念に対する有効材料になるか今週(2025/3/31-4/4)は、景気指数と失業率の発表があり、米国景気後退懸念を払拭する結果になるかに注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

FOMCは金利維持もパウエル発言で株価反発の兆し。S&P500は5週間ぶりに反発上昇|米国市場サマリー

FOMCは金利維持もパウエル発言で株価反発の兆し。S&P500は5週間ぶりに反発上昇|米国市場サマリー

先週は、FOMC前の不透明感から一時的に株価が下落するも、FRBパウエル議長のインフレ影響へのコメントが市場への安心感を生み出し、反発上昇。週間ではS&P500は5週間ぶりの上昇で終えています。ただし、トランプ政権の貿易政策やFRBの対応をめぐる不透明感は依然として市場心理を左右する要因となっています。為替は、FOMC後に円高が一時的に進むも、その後反発して円安に戻し、週間ではやや円安で終えています。今週は実需ベースでのドル買いが進んだのと、投機筋が円買いのポジションを解消したことで円安となりました。米国株式市場:関税政策への不透明感が市場を支配するものの、FRBパウエル議長発言で反発の兆しも3月17日(月) NASDAQとS&P500が4週連続で下落していたことから、割安感が意識された銘柄に買いが入り、主要指数は上昇して取引を終えました。この日に発表された2月の小売売上高は前月比0.2%増となり、前月の1.2%減(下方修正)からは改善しましたが、市場予想を下回り、トランプ政権による関税措置や政府職員削減への懸念がなお影響していたと見られます。また、3月のニューヨーク連銀製造業業況指数がマイナス20.0と大幅に悪化し、住宅建設業者指数も7カ月ぶりの低水準となるなど、経済指標は弱い内容となりました。個別では、Teslaが目標株価の引き下げを受けて4.79%下落した一方で、Intelは新CEO就任に関する報道を受けて6.82%上昇しました。3月18日(火) FOMC(連邦公開市場委員会)を控えた様子見姿勢が強まり、株価は反落しました。トランプ政権の関税政策が経済やインフレに及ぼす影響が見通せないことへの警戒感が市場を圧迫しました。米労働省が発表した2月の輸入物価指数が予想を上回り、インフレ懸念が高まったことも売り材料となりました。S&P500のグロース株指数は一時2.2%下落し、セクター別では通信サービスが2.14%の下落で最大のマイナスとなりました。個別では、Alphabetがサイバーセキュリティ企業Wizを約320億ドルで買収すると発表し、同社にとって過去最大の買収となったことで株価は2.2%下落しました。NVIDIAも開発者会議の開催中に3.35%下落し、TeslaはRBCによる目標株価の大幅引き下げを受けて5.34%の大幅安となりました。3月19日(水) FRBが市場予想通り政策金利を据え置いたことを受けて、株価は反発しました。パウエルFRB議長が、関税による物価上昇の影響について「評価には時期尚早」と述べたことで、不透明感がやや後退し、安心感が広がりました。S&P500の全11業種が上昇し、特に一般消費財セクターが約2%の上昇を記録しました。個別銘柄では、Boeingが関税による短期的な影響はないと発表し、株価は6.84%上昇しました。一方で、General Millsは通期売上高の見通しを下方修正し、2.05%下落しました。3月20日(木) 小幅に反落して取引を終えました。関税を巡る懸念や経済指標の内容を受けて、市場はプラス圏とマイナス圏を行き来する不安定な展開となりました。この日発表された新規失業保険申請件数は小幅に増加したものの、依然として労働市場の安定を示す内容でした。一方、2月の景気先行指数は前月比0.3%低下し、経済の減速懸念が再び浮上しました。S&P500のセクター別では、情報技術が下落し、エネルギーはイランへの制裁発動による原油価格の上昇を背景に堅調でした。個別では、Accentureは政府支出削減による新規契約の遅れを理由に7.26%下落しました。3月21日(金) S&P500とダウ工業株30種が小幅に反発し、NASDAQも約0.5%上昇して取引を終えました。トランプ大統領が関税政策について柔軟に対応する方針を示したことで、4月初めに予定されている相互関税の発動に対する懸念が後退しました。週足では、S&P500が0.5%高、NASDAQが0.17%高となり、いずれも5週間ぶりの上昇を記録しました。ダウ平均も1.2%高と、2カ月ぶりの大幅な週間上昇となりました。個別では、FedExが業績見通しの下方修正を嫌気され6.45%下落し、競合のUPSも1.61%下げました。Nikeは第4四半期の売上見通しが市場予想を下回り、5.46%下落しました。一方、Boeingは米空軍との契約獲得を発表し、3.06%上昇しましたが、契約を逃したLockheed Martinは5.79%下落しました。為替市場:FOMC後は円高になるも、投機筋のポジション解消で円安に戻す為替は、実需ベースでのドル買いが進み、週半ばまでは円安が進みました。FOMC後に一時的に円高が進んで148円台になるものの、投機筋の円買いポジションが解消されたことで円安に反発し、週間ではやや円安となりました。日銀の利上げも6月か7月になりそうな見通しから、このまま円安が進行するという見通しは少数にとどまっています。今週のマーケット:PCE物価指数はインフレ判断の材料になるか今週(2025/3/24-3/28)は、実質GDPやPCE物価指数といった経済指標の発表があります。比較的落ち着いた1週間とはなりそうです。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

景気後退懸念で株価は大きく下落。インフレ鈍化と買い戻しで反発し、株式市場は一進一退に|米国市場サマリー

景気後退懸念で株価は大きく下落。インフレ鈍化と買い戻しで反発し、株式市場は一進一退に|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領の報道番組での景気後退シナリオ容認ともみられる発言を契機に、米国の景気後退懸念が市場に広がり、週頭から株価が大きく下落しました。CPI結果でインフレ鈍化傾向が見えたので、一時株価は回復するも、トランプ大統領がEUに対する関税も表明したことで再度下落します。週末には、直近の相場が下落し過ぎているとの見立てから、買い戻しが入り、株価は急上昇して1週間を終えました。為替は、米国の景気後退懸念からリスクオフ先として円が買われ、一時的に円高が進行しました。しかし、米国の株式市場が反発すると、円買いを強めていた海外投機筋が一部資金を引き上げ、円安が進行しました。全体としては、円安が進んだ1週間となりました。米国株式市場:景気後退懸念から株式市場は大幅下落するも、インフレ鈍化と買い戻しで市場は一進一退3月10日(月) 米国株式市場は急落し、景気後退懸念が強まりました。ダウ (-890ドル)、NASDAQ (-4%)、S&P 500 (-2.7%) と大幅安となり、S&P 500は200日移動平均線を割り込む 事態となりました。トランプ大統領の関税政策 や米政府機関閉鎖の可能性 が不安要因となりました。NVIDIA、Tesla (-15.4%)、Coinbase (-17.6%) などハイテク株が売られました。3月11日(火) 市場は続落しましたが、ウクライナとロシアの暫定停戦報道 を受けて下げ幅を縮小しました。S&P 500は一時、最高値から10%以上の下落 となり、調整局面入りが懸念されました。トランプ大統領がカナダからの鉄鋼・アルミニウム関税を50%に引き上げ たことで、景気減速懸念が高まりました。Kohl’s (-24.1%)、Delta Air Lines (-7.3%)、American Airlines (-8.3%) など消費・航空関連株が大幅安となりました。3月12日(水) S&P 500は反発しました。2月の消費者物価指数 (CPI) が前年比2.8%上昇 し、市場予想を下回ったことで、インフレ鈍化が好感されました。NASDAQは1%以上上昇 し、ハイテク株に買いが入りました。Intel (+4.6%)、NVIDIA、AMD など半導体株が上昇。一方、PepsiCo (-2.7%) は投資判断引き下げを受け下落しました。3月13日(木) 市場は大幅下落し、S&P 500は調整局面入りを確認しました。トランプ大統領がEUのアルコール製品に200%関税を課すと表明 したことで、関税合戦が激化し、景気後退懸念が強まりました。NASDAQ (-2%) は売り込まれ、ダウ輸送株指数も急落しました。Intel (+14.6%) は新CEOの就任を好感し急伸しましたが、Adobe (-13.9%) は四半期売上見通しが予想並みだったことで急落しました。3月14日(金) 市場は反発し、売られすぎ感からの買い戻しが入りました。S&P 500とNASDAQは昨年11月6日以来の大きな上昇率 を記録し、主要11セクターがすべて上昇しました。Tesla (+3.9%) は上海工場でのモデルY廉価版生産計画が報じられ買われました。NVIDIA (+5.3%) もCEOの講演を控え期待が高まりました。しかし、S&P 500とNASDAQは4週連続の下落 となり、市場は依然として不安定な状況が続いています。為替市場:トランプ大統領が日本の通貨安を批判し、米国からのリスクオフも進んだことで円高が進む為替は、米国の景気後退懸念からリスクオフで円が買われ、一時147円まで円高が進みました。しかし、株式市場の反発に合わせて、円安に戻しており、全体としては円安が進んだ1週間となりました。現在の円高要因には海外投機筋による円買いもあるとされ、投機筋のポジション解消次第では円安が進むとみられますが、トランプ大統領の関税政策により経済への不透明感が強いため、為替の反発は限定的になっています。今週のマーケット:FOMCは金利据え置きが予想されるも、コメントに注目か今週(2025/3/17-3/21)は、FOMCが開催されますが、現在の市場予想は金利据え置きです。FOMC後の要人発言が今後の金利水準や株価への影響では大事でしょう。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

トランプ関税が二転三転する中、株式市場は下落して調整局面へ。米国リスクオフで円高も進む|米国市場サマリー

トランプ関税が二転三転する中、株式市場は下落して調整局面へ。米国リスクオフで円高も進む|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領の関税政策が二転三転し、市場に不透明感が広がる中で株価は下落し、NASDAQは一時最高値から10%下落となりました。雇用統計も雇用は伸びつつも失業率は上昇し、相場に対して大きなサポートにはなりませんでした。一方、FRBのパウエル議長は「米国の景気は良い状態」と発言し、相場の反発要因となりました。為替は、トランプ大統領が日本政府に対して通貨安政策をやめるように発言し、米国株式市場全体が軟調でリスクオフが進んでいることから、円高が大きく進んだ1週間となりました。日銀副総裁講演を経ての日銀利上げ期待上昇も後押しになっています。米国株式市場:トランプ関税で混迷する中で株式市場は調整局面に、パウエル議長は「景気は良い状態」と発言3月3日(月) 米国株式市場は主要3指数が反落しました。ISM製造業景気指数の低下 や、トランプ大統領がカナダとメキシコへの25%関税発動を表明 したことが影響しました。NVIDIA (-8.7%)、Amazon (-3.4%) など主要ハイテク株が売られました。一方で、不動産、ヘルスケア、公益事業セクター は上昇しました。Tesla (-2.84%) は一時上昇しましたが、終値では下落。Intel (-4%) も一時の上昇を打ち消しました。3月4日(火) 市場は続落し、NASDAQは調整局面に迫りました。トランプ政権がメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税 を導入し、中国製品への追加関税を20%に引き上げ たことで貿易摩擦が激化しました。金融・工業セクターが大きく下落 し、Citigroup (-6.2%)、JPMorgan Chase (-4%) が売られました。NASDAQは一時、昨年12月16日につけた最高値から10%下落する場面がありました。また、Ford (-2.9%)、GM (-4.6%) も下落しました。3月5日(水) 株式市場は反発しました。トランプ大統領がカナダとメキシコに対する関税導入を30日間延期 する可能性を示唆し、これを好感した買いが入りました。主要セクターの中では素材、工業、一般消費財、通信サービスが上昇 しました。一方、エネルギーと公益事業は下落 しました。Ford (+5.8%)、GM (+7.2%)、Tesla (+2.6%) など自動車株が買われましたが、Intel (-2.4%) はトランプ大統領のCHIPS法廃止発言 を受けて下落しました。また、CrowdStrike (-6.3%) は売上高見通しが市場予想を下回り、急落しました。3月6日(木) 市場は反落し、NASDAQは昨年12月以来の調整局面に入りました。トランプ大統領はカナダとメキシコへの関税を1カ月間免除する と発表しましたが、関税政策の混乱が市場の不安を高めました。情報技術、不動産、一般消費財セクターが大幅安 となり、NASDAQは12月16日以来、10.4%下落 しました。Tesla (-5.6%) はベアード証券が「弱気フレッシュ・ピック」に指定したことで下落。Marvell Technology (-20%) は決算が期待を下回り急落し、Broadcom、NVIDIA など半導体株も売られました。3月7日(金) 市場は反発しました。FRBのパウエル議長が「景気は良い状態にある」と発言 し、序盤の下落から持ち直しました。公益事業、エネルギー、情報技術、工業セクターが上昇 しました。Broadcom (+8.6%) は第2四半期の好調な業績見通しを発表し急伸しました。一方、HP Enterprise (-12%) は関税の影響で利益見通しが悪化し下落。また、Costco (-6%) は商品コスト上昇の影響で市場予想を下回る四半期業績を発表し売られました。週間ではS&P 500 (-3.1%)、NASDAQ (-3.45%)、ダウ (-2.37%) と軟調な展開となりました。為替市場:トランプ大統領が日本の通貨安を批判し、米国からのリスクオフも進んだことで円高が進む為替は、トランプ大統領が日本に対して通貨安政策を牽制したことから、円高が進行しつつ1週間が始まりました。5日の内田日銀副総裁の講演から、日銀の利上げ継続を市場は期待し、さらに円高を加速させる要因となりました。米雇用統計がいまいちの結果に終わったことから、米国からのリスクオフが進み、結果として円が買われる局面ともなり、ドル円は大きく円高が進んで1週間を終えています。今週のマーケット:CPIの発表。トランプ関税を前にインフレ傾向は一服するか今週(2025/3/10-3/14)は、米国のインフレ傾向を左右するCPI・PPIの発表があり、今後の利下げ動向にも影響するため要注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

トランプ関税と悪い経済指標で株式市場は大きく下落。NVIDIA決算も回復させられず|米国市場サマリー

トランプ関税と悪い経済指標で株式市場は大きく下落。NVIDIA決算も回復させられず|米国市場サマリー

先週は、消費者信頼感指数の大幅下落と、トランプ大統領のメキシコ・カナダ・中国に対する関税政策の発表が響き、株価指数は大きく下落しました。NVIDIA決算は予想を上回る内容だったものの、粗利率の低下傾向を不安視され、株価の回復要因にはなりませんでした。株式市場は調整局面入りしたと見られています。為替は、トランプ大統領の関税政策による円安進行と、日本の株式市場下落による割安感からの円買いによる円高進行がクロスしましたが、全体としては円安が優位に進み、1週間を円安に進んで終えています。米国株式市場:経済指標悪化とトランプ関税で市場は大きく下落、NVIDIA決算も下落を止められず2月24日(月) NASDAQは1%以上下落し、3営業日続落しました。NVIDIA (-3.1%) の決算発表を前に、AI関連銘柄に売りが広がり、Broadcom (-4.9%)、Amazon (-1.8%)、Microsoft (-1.0%)、Palantir (-10.5%) も下落しました。一方、Apple (+0.7%) は今後4年間で米国に5,000億ドルを投資すると発表し上昇しました。Berkshire Hathaway (+4.0%) は営業利益の過去最高更新を受けて急伸。Nike (+4.9%) もジェフリーズの投資判断引き上げを受けて上昇しました。2月25日(火) NASDAQとS&P 500は4営業日続落し、一時1カ月ぶりの安値を記録しました。消費者信頼感指数が98.3に低下し、2021年8月以来の大幅な下落となった ことが影響しました。NVIDIA (-2.8%) は決算を控え下落し、フィラデルフィア半導体指数を押し下げました。また、暗号資産の下落 を受け、Coinbase (-6.4%)、MicroStrategy (-11.4%) など仮想通貨関連銘柄も売られました。Zoom (-8.5%) は通年の売上高見通しが市場予想を下回り急落しました。2月26日(水) S&P 500はほぼ横ばいで取引を終えました。NVIDIAの決算発表 が控え、市場は慎重な動きとなりました。午後にはトランプ大統領がEUからの輸入品に25%の関税を賦課すると発表 し、メキシコとカナダに対する関税についても4月2日に発動すると表明しました。一方、NVIDIAは上昇して終了し、フィラデルフィア半導体指数も上昇 しました。業種別では情報技術セクターが上昇 した一方、ヘルスケアや主要消費財セクターに売り が出ました。2月27日(木) NASDAQは2.78%下落し、1カ月ぶりの大幅下落 となりました。NVIDIA (-8.5%) は決算発表後に急落し、時価総額が2,740億ドル減少しました。売上高見通しは市場予想を上回ったものの、粗利益率の見通しが予想を下回った ことが嫌気されました。この影響でBroadcom (-7%)、AMD (-5%) も大幅安となり、フィラデルフィア半導体指数は6.1%下落 しました。一方、エネルギー株は原油高を受けて上昇 しました。また、トランプ大統領はメキシコとカナダに対する25%の関税を3月4日に発動すると表明 し、中国に対する追加関税をさらに10%上乗せすることも発表しました。2月28日(金) 市場は不安定な動きの中で反発しました。トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談が決裂したとの報道を受け、株価は一時下落しましたが、その後回復しました。NVIDIA (+4%)、Tesla (+4%) が上昇し、S&P 500を押し上げました。業種別では、S&P 500の11セクター全てが上昇 し、特に金融 (+2.1%)、一般消費財 (+1.8%) が目立ちました。Dell (-4.7%)、HP (-6.8%) は2026年度の見通しが嫌気され下落しました。一方、Snowflake (+4.5%) は売上高見通しが市場予想を上回り上昇しました。為替市場:日銀高田審議委員発言で日銀の早期利上げ観測が強まり、大きく円高に進む為替は、トランプ大統領の関税政策によるインフレ懸念から円安が進んでいますが、一方で日本の株式市場でも大幅な株安が進行しているため、割安感から円が買われる(=円で日本株を買う)動きも見られました。全体としては1週間を通じて円安に振れて終わっています。今週のマーケット:雇用統計が発表。米国経済への懸念は晴れるか今週(2025/3/3-3/7)は、金曜日の雇用統計の発表で米国経済に対する減速懸念が晴れるかに注目です。また、グロース銘柄で注目のCrowdstrikeやBroadcomの決算があるので、こちらもグロース市場に対する影響に注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

トランプ政策懸念で経済指標悪化、株式市場は大きく下落する。日銀利上げ観測で円高も進む|米国市場サマリー

トランプ政策懸念で経済指標悪化、株式市場は大きく下落する。日銀利上げ観測で円高も進む|米国市場サマリー

先週は、S&P500の最高値更新から始まりましたが、トランプ大統領が新たに自動車や医薬品・半導体に対して25%関税を課す方針を発表したことで市場は動揺し、さらにPMI(購買担当者景気指数)がトランプ政策に対する懸念から下がったことで、株式市場も大きく下げて1週間を終えています。為替は、日銀の高田審議委員が利上げに前向きな発言をして、石破首相と植田総裁の会談でも長期金利に対する話題は出なかったことから、日銀の利上げを政府も容認しているとの見立てが強まり、大きく円高が進みました。米国株式市場:トランプ政権への不安から経済指標が悪化し、株式市場も大きく下げる2月17日(月) President's Dayのため市場休場2月18日(火) 米国株式市場は上昇し、S&P 500は終値で過去最高値を更新しました。市場はFOMC議事要旨の公表や主要小売企業の決算を控える中、慎重な動きとなりました。Intel (+16.1%) は、TSMC や Broadcom が同社の事業買収に関心を示していると報じられ急騰。Philadelphia Semiconductor Index (+1.7%) も上昇しました。また、Constellation Brands (+4.0%) は Berkshire Hathaway の株式取得が明らかになり買われました。一方、Meta (-2.8%) は連騰が20日でストップしました。2月19日(水) 市場は小幅に続伸し、S&P 500は2日連続で終値の最高値を更新しました。投資家はFOMC議事要旨を精査し、トランプ大統領が発表した新たな関税措置を消化しました。FRBは議事要旨で、インフレの根強さや関税政策の影響に懸念を表明しました。トランプ大統領は、輸入自動車、半導体、医薬品に対し25%の関税を課す方針を示しました。Analog Devices (+9.7%) は四半期の利益と売上高が市場予想を上回り急伸。2月20日(木) 市場は反落し、ウォルマートの業績見通しの悪化や関税懸念が重しとなりました。Walmart (-6.5%) は今年度の売上高と利益の見通しが市場予想を下回り、消費者需要の減退を示唆しました。他の小売株も影響を受け、Target (-2.0%)、Costco (-2.6%) も下落しました。トランプ大統領は関税の対象を自動車、半導体、医薬品に加え、木材や林産品にも広げる方針を示しました。2月21日(金) 市場は大幅に下落し、S&P 500は昨年12月18日以来の1日として最大の下げ幅を記録しました。S&PグローバルのPMI(購買担当者景気指数)が50.4と低下し、NAR(全米リアルター協会)の中古住宅販売戸数が4.9%減少するなど、経済指標の悪化が投資家心理を冷やしました。UnitedHealth (-7.2%) は、米司法省がメディケア請求慣行を巡る調査に乗り出したと報じられ、大幅下落。Block (-17.7%) は第4四半期の利益が市場予想を下回り急落しました。Tesla (-4.7%)、Rivian (-4.7%) はリコール(無償修理)の発表を受け売られました。また、超大型ハイテク7銘柄(“Magnificent Seven”)は全てマイナスとなり、NVIDIA (-4.1%) も下落しました。為替市場:日銀高田審議委員発言で日銀の早期利上げ観測が強まり、大きく円高に進む為替は、19日に日銀の高田審議委員が「利上げで一段のギアシフトを進める局面にある」と発言したことで、日銀の早期利上げ観測が強まり、大きく円高に動いた1週間でした。20日の日銀植田総裁と石破首相の会談でも長期金利上昇に関する話は出なかったことから、政府も利上げを容認していると市場は見ていると考えられます。今週のマーケット:ついに注目のNVIDIA決算。Magnificent7の上昇は続くか今週(2025/2/24-2/28)は、注目のNVIDIA決算があり、テクノロジー銘柄の株価に大きな影響があると想定されます。また、PCE物価指数の公表もあるので、今後のFRB利下げ動向にも注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

相互関税の即時発動見送りで市場は上昇しNASDAQ最高値。CPI上振れも影響は限定的|米国市場サマリー

相互関税の即時発動見送りで市場は上昇しNASDAQ最高値。CPI上振れも影響は限定的|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領の発表した相互関税が即時発動されなかったことで、市場は反発上昇し、NASDAQは最高値を更新して終えています。FRBのパウエル議長から利下げに後ろ向きな発言をしたり、CPIが市場予想を上回ったことで、利下げ延期見通しが強まりましたが、市場は織り込み済みで株価下落には繋がりませんでした。セクター別では、鉄鋼・アルミニウムに対する25%関税が発表されたことで、鉄鋼株が上昇しています。為替は、CPI結果を受けた米金利上昇見通しで円安が週半ばにかけて進むも、トランプ大統領の相互関税が即時発動しなかったことで、インフレに対する影響は限定的との見通しが広がり、円高に戻して1週間を終えています。米国株式市場:相互関税が即時発動しなかったことで、市場は反発上昇してNASDAQは最高値を更新2月10日(月) 米国株式市場は反発し、NVIDIA (+2.9%)、Broadcom (+4.5%) などの半導体株やAI関連株が上昇しました。トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を課す計画を発表し、Nucor (+4%超)、Steel Dynamics (+4%超)、U.S. Steel (+4%超)、Cleveland-Cliffs (+18%) などの鉄鋼株が急伸しました。一方、Tesla (-3%) は、Elon Musk氏率いる投資家連合がOpenAIを管理する非営利組織に対し、974億ドルでの買収を提案したことが嫌気され下落しました。また、McDonald’s (+4.8%) は第4四半期の世界既存店売上高が予想を上回り上昇しました。2月11日(火) 市場はまちまちの展開となりました。パウエルFRB議長が「利下げを急ぐ必要はない」と発言し、経済の堅調さを強調したことが影響しました。トランプ大統領が鉄鋼・アルミ輸入に対する関税に加え、相互関税を発表する可能性があることも市場の警戒感を高めました。Coca-Cola (+4.7%) は第4四半期の売上高が予想を上回り、Apple (+2.2%) はAlibabaとのAI機能開発の提携報道を受けて上昇しました。一方、Tesla (-6.3%) は引き続き売られました。Elliott Investment Management の25億ドル超の株式取得報道を受け、Phillips 66 (+4.7%) も上昇しました。S&P 500の主要11セクターのうち、エネルギーや消費財など8セクターが上昇しました。2月12日(水) S&P 500は下落し、NVIDIA (-1%超)、Amazon (-1%超) などが市場の重しとなりました。1月の米消費者物価指数(CPI)が前年比3.0%上昇し、市場予想を上回ったことで、FRBの利下げが遠のくとの見方が広がりました。CVS Health (+15%) は第4四半期の利益が予想を上回り急伸し、Gilead Sciences (+7.5%) も好決算を受けて上昇しました。一方、Lyft (-8%) は第1四半期の総予約額見通しが市場予想を下回り、大幅に下落しました。2月13日(木) 市場は上昇し、NVIDIA (+3.2%)、Apple (+2%)、Tesla (+5.8%) などが買われ、S&P 500を押し上げました。トランプ大統領が相互関税導入を発表しましたが、すぐには発動されず、市場は冷静に受け止めました。米卸売物価指数(PPI)は前年比3.5%上昇し、インフレ圧力が依然として高いことを示しましたが、投資家は債券市場の利回り低下を受けて株式市場の見通しを強気にとらえました。また、MGM Resorts (+17%) は第4四半期の売上高と利益が予想を上回り急騰しました。2月14日(金) 市場はまちまちの展開となりました。NASDAQ 100は0.4%上昇し、過去最高値を更新しました。NVIDIA (+2.6%)、Apple (+1.3%) は上昇しましたが、Microsoft (-0.5%)、Amazon (-0.7%) は下落しました。トランプ大統領が13日に発表した相互関税が即時発動されなかったことを市場は消化する形となりました。また、Airbnb (+14%) は四半期決算の増収が好材料となり急騰しましたが、Applied Materials (-8%) は第2四半期の売上高予想が市場予想を下回り、大幅に下落しました。S&P 500の主要11セクターのうち7セクターが下落し、消費財 (-1.16%)、ヘルスケア (-1.11%) が特に売られました。為替市場:CPIの上振れで一時的に円安が進むも、トランプ相互関税の即時発動見送りで円高に戻す為替は、CPIが予想を上回ったことで米金利上昇が見通され、週の半ばにかけて円安方向に振れました。しかし、トランプ大統領が相互関税を即時発動しないことが分かると、インフレ影響が大きくないとの見通しが出て、米金下落と円高に戻す展開になりました。1週間でみるとやや円安になって終えています。今週のマーケット:伝統的企業の決算が続くが、市場はトランプ動向で左右されるか今週(2025/2/17-2/21)は、Occidental PetroleumやWalmartといった伝統的な大型企業の決算が続きますが、市場はトランプ大統領の政策・発言による影響をより受けると想定されます。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

トランプ関税で株式市場は乱高下。日銀の利上げ期待が高まりドル円は大きく円高に進む|米国市場サマリー

トランプ関税で株式市場は乱高下。日銀の利上げ期待が高まりドル円は大きく円高に進む|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領の追加関税措置のもたらす貿易戦争懸念から、株価下落で始まりましたが、すぐにメキシコ・カナダへの関税発動を1ヶ月間延期したことで、市場は反転上昇しました。経済指標はISM指標ではインフレ抑制傾向だったものの、失業率が低かったため、FRBの利下げ期待は遠のいています。週の終わりにはトランプ大統領の相互関税発言で市場は再度下落して1週間を終えています。為替は、政府・日銀の要人による利上げを擁護する発言により、日銀の利上げ期待が高まり、大きく円高に進んでいます。米国側では、利下げ期待が遠のき、金利高を示唆する結果になっていますが、市場は日本側の金利上昇により強く反応した形になります。米国株式市場:トランプ関税ディールに相場は振り回される2月3日(月) 米国株式市場は大幅に下落しました。トランプ大統領がカナダ・メキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を課す大統領令に署名したことを受け、貿易戦争が経済成長と企業収益を圧迫するとの懸念が高まりました。自動車、ビール、原子力発電関連銘柄が売られ、General Motors (-5.2%)、Ford (-3.3%)、Tesla (-4.7%)が下落しました。また、NVIDIA (-5.3%)、Amazon (-2.2%) などのハイテク株も売られました。暗号資産市場も影響を受け、Coinbase (-5.6%) が下落しました。市場全体に不安感が広がり、小型株指数Russell 2000も2.3%下落しました。2月4日(火) 市場は反発し、S&P 500とNASDAQが上昇しました。エネルギー株が2.18%上昇し、市場をけん引しました。トランプ大統領がメキシコとカナダへの関税発動を1カ月延期したことで、貿易摩擦の懸念が和らぎました。データ解析企業Palantir Technologies (+24%) は第1四半期と通年の売上高見通しが市場予想を上回ったことで急伸しました。一方、PayPal (-13.2%) は第4四半期の営業利益率が縮小し、大幅に下落しました。Alphabet (+2.6%) は通常取引で上昇しましたが、引け後の決算発表ではクラウド事業の減速が影響し、時間外取引で7%超下落しました。2月5日(水) 市場は続伸しましたが、Alphabet (-7.3%) はクラウド事業の成長減速を受けて下落しました。一方、AI関連株は一部回復し、NVIDIA (+5.4%)、Broadcom (+4.3%) が上昇しました。Advanced Micro Devices (AMD -6.3%) はデータセンター事業の売上高減少見通しを受けて売られました。ISM非製造業総合指数は予想外に低下し、価格上昇が抑制されたことで、FRBの利下げ期待が高まりました。FRBのバーキン総裁は、年内の追加利下げの可能性に言及しました。S&P 500の主要11セクターのうち8セクターが上昇し、不動産セクターが特に好調でした。2月6日(木) S&P 500とNASDAQは上昇しましたが、ダウは下落しました。企業決算が注目され、Amazon (+1.1%) は引け後に決算を発表し、売上高が市場予想を上回りましたが、クラウド事業が低調でした。AI関連の投資動向に注目が集まる中、NVIDIA (+3.1%) は引き続き買われました。製薬大手Eli Lilly (+3.3%) は通期利益見通しが市場予想を上回り上昇しました。一方、Honeywell (-5.6%) は2025年の業績見通しがさえず、3つの独立した企業に分割する計画を発表したことが影響しました。S&P 500の主要11セクターのうち8セクターが上昇し、金融と消費財セクターが特に好調でした。2月7日(金) 市場は主要3指数とも下落しました。トランプ大統領が「多くの国に対する相互関税」を発表すると述べたことで、貿易摩擦への懸念が高まりました。1月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、ミシガン大学消費者信頼感指数も7カ月ぶりの低水準となりました。Amazon (-4.1%) はクラウド事業の低迷と第1四半期の業績見通しの不透明感から下落しました。一方、Uber (+6.6%) は著名投資家ビル・アックマン氏の大量保有が報じられ、上昇しました。S&P 500の主要11セクターはすべて下落し、特に一般消費財セクターが約2.5%下落しました。投資家の不安心理を示すVIX指数 (+6.6%) も上昇しました。為替市場:政府・日銀要人発言で日銀の利上げ期待が高まり、大きく円高が進行する為替は、日本の勤労統計が予想を上回り、政府・日銀の要人から利上げをサポートする発言が出たことで、日銀の利上げ期待主導で円高が進みました。一方、米国ではトランプ関税や低失業率で利下げ期待が下火になっていますが、ドル円は日銀の利上げにより反応した形です。日本側では、赤沢経済再生担当相が足元でインフレとの見立てを示したのと、日銀の田村審議委員が25年度後半に1%程度まで短期金利を引き上げることが必要との見解を表明したのが効いています。今週のマーケット:伝統的な大型企業の決算が続く今週(2025/2/10-2/14)は、McDonald'sやCoca-Colaといった伝統的な大型企業の決算が続き、テクノロジーセクター以外での米国企業の業績に注目が集まります。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

DeepSeekショックから回復も、FOMC金利維持とトランプ関税で株価の上がりにくい展開が続く|米国市場サマリー

DeepSeekショックから回復も、FOMC金利維持とトランプ関税で株価の上がりにくい展開が続く|米国市場サマリー

先週は、中国発の生成AIであるDeepSeekのショックで、半導体を中心とした株安から始まりました。翌日には株価が反発上昇しましたが、FOMCが金利維持の決定を出し、インフレ抑制に対する見立ても後退させたことから、株価上昇の重しになりました。週末にはトランプ大統領が関税追加を発表し、今後のインフレ懸念から株安に振れて1週間を終えています。為替は、FOMCの金利維持決定にもかかわらず、米国長期金利は低下したことから、円高が進みました。トランプ大統領の関税についても、カナダドル・メキシコペソの売りが円高に繋がる展開となりました。米国株式市場:DeepSeek・FOMC金利維持・トランプ関税発動で上下の大きい展開1月27日(月) 米国株式市場は急落し、S&P 500とNASDAQが大幅に下落しました。中国の新興企業DeepSeekが低コストのAIモデルを発表したことで、AI市場における米企業の競争力に対する懸念が広がり、NVIDIAが17%急落しました。同社の時価総額は約5,930億ドル減少し、1日での損失額として米国市場で過去最大を記録しました。AI分野への懸念は、Microsoft (-2.1%)、Alphabet (-4.2%)、Dell (-8.7%)、Digital Realty (-8.7%)などの関連銘柄にも影響を及ぼしました。特に、データセンター関連銘柄や電力会社も売られ、Vistraは28.3%急落しました。1月28日(火) 市場は前日の急落を受け、AI関連銘柄が買い戻され、NASDAQが2%上昇しました。NVIDIAは8.9%反発し、情報技術セクター全体の回復を牽引しました。Apple (+3.7%)やMicrosoftなどのハイテク株も上昇し、今週の決算発表への期待が高まりました。市場の一部では、DeepSeekのAI技術がまだ不確定要素を多く含んでおり、前日の売りは過剰反応だったと見られています。投資家は引き続き、AI関連の技術動向と米企業の競争力に注目しています。1月29日(水) FOMCの政策金利据え置きを受け、米国株式市場は反落しました。FRBがインフレ抑制への進展について慎重な姿勢を示したことで、利下げ時期が不透明となり、ハイテク株を中心に売りが広がりました。NVIDIA (-4.1%)、Microsoft (-1.1%) などの大型株が下落し、NASDAQは1%超の下げ幅を記録しました。FOMC声明では、インフレ率が目標の2%に向かう「進展」という文言が削除され、物価上昇率が高止まりしていると指摘されました。これにより、市場ではFRBの利下げが当初予想よりも遅れるとの懸念が高まりました。1月30日(木) 市場は企業決算を消化し、反発しました。Tesla (+2.9%) が低価格モデルを今年前半に投入し、自動運転サービスの試験を6月に開始すると発表し、株価を押し上げました。一方で、Microsoft (-6.2%) はクラウド事業の成長見通しが期待を下回り、売られました。Meta (+1.6%) は第4四半期の売上高が市場予想を上回り、IBM (+13%) も1999年以来の大幅上昇を記録しました。一方、UPS (-14.1%) は2025年の売上高見通しが市場予想を下回ったことで急落しました。FRBの金融政策や企業決算の結果が引き続き市場の焦点となっています。1月31日(金) 市場は反落し、トランプ政権がメキシコ・カナダからの輸入品に25%、中国への10%の関税を2月1日に発動すると発表したことが重しとなりました。これを受けて、S&P 500ではエネルギーセクターが大きく下落し、Chevron (-4.6%)、ExxonMobil (-2.5%) などが売られました。また、FRBの声明ではインフレ目標への進展に関する言及が削除され、利下げ再開のタイミングが不透明になったことも市場の重しとなりました。月間ではダウ工業株30種 (+4.7%)、S&P 500 (+2.7%)、NASDAQ (+1.6%) がそれぞれ上昇しました。市場は今後の経済指標とFRBの動向を注視する展開が続いています。為替市場:米国長期金利の低下やトランプ関税で円高へ為替は、FOMCで金利維持が決定されたものの、その後の利下げ可能性が意識されたことで米国長期金利が低下し、その影響で円高が進みました。また、トランプ大統領がメキシコ・カナダへの関税賦課の意向を示したことでカナダドル・メキシコペソが売られ、リスク回避的に円が買われたことも円高要因となりました。一方、トランプ政権での関税政策は外交交渉に使われていることもあり、その影響を受けての為替相場は読みにくい状況が続いています。今週のマーケット:M7決算後半戦と雇用統計に注目今週(2025/2/3-2/7)は、M7のうちAlphabet, Amazonの2社が決算を迎えます。また、週末には雇用統計の発表があり、米国の景気動向の現在地に注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest