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【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

本記事では、マイクロソフトの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月30日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約13%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。7-9月期の注目点:Azureの成長性とAI投資のコスト圧力2024年7-9月期の「売上高予想は$645.1億、EPS予想は$3.1」、平均目標株価は$497です。クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるかマイクロソフトのクラウド部門は同社で最も成長しているセグメントであるため、投資家が最も注目する傾向があります。直近4四半期において、Azureは競合のAWSよりも速いペースで成長しており、世界のクラウドインフラ市場でのシェアを25%にまで伸ばし、シェア首位であるAWSの31%に近づいています。一方で過去5年間、マイクロソフトの設備投資額は収益よりもはるかに速いペースで増加しており、積極的な設備投資によるコスト圧力にも注目が集まります。2024年度の設備投資額は前年比75%増の557億ドルに達し、売上高の23%に相当する額となりました。フッド氏は7月の決算発表で、2025年度も設備投資額が増加する見込みであると述べており、アナリスト予想では設備投資額が売上高に占める割合は2025年度は28%となっています。AIインフラへの莫大な投資は、短中期的に利益率の拡大を制限する可能性があり、少なくとも今後1年間は同社の収益にとって逆風となると指摘されています。したがって、Azure AIの成長が停滞したり市場の期待に応えられない場合は、株価の調整が引き起こされる可能性があります。オープンAIとの関係も懸念材料にまたこれまでに130億ドルの投資している、オープンAIとの関係性にも懸念が示されています。10月2日、オープンAIは66億ドルの資金を調達し、企業価値が1570億ドルと評価されました。マイクロソフトはオープンAIの最大の外部株主であり、追加で7.5億ドルを投じましたが、利害関係者の増加は両社の関係を弱める可能性があると指摘されています。オープンAIが非営利組織から営利企業への移行を進める中で、株式をどのように分配するのかも注目されており、マイクロソフトの株式保有額が大きければ大きいほど、規制当局が監視の目が厳しくなると予想されています。さらに、ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)をはじめオープンAIの幹部が相次ぎ退社するなど、新たな波紋を呼んでいます。一部アナリストは、オープンAIの損失が同社の最大の懸念事項であるとし、これらの損失は2025年度には20億〜30億ドルになる可能性があると予想しています。

半導体下落でNASDAQは低調。銀行株と小型株が好調でS&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

半導体下落でNASDAQは低調。銀行株と小型株が好調でS&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

先週は、ASMLの低い売上見通しから半導体需要低迷懸念が広がり、半導体中心にグロース市場が下落しました。一方、小売売上高が予想を上回ったこともあり、決算が好調だった銀行株の上昇がダウ平均やS&P500を押し上げ、最高値を更新しています。また、小型株指数も好調で、市場全体でテクノロジー株からその他セクターへの資金還流が進んでいます。為替は、米国小売売上高の結果を受け、強い経済からFRBが利下げペースを遅らせる見通しが出て、円安が進みました。米国株式市場:半導体需要低迷懸念でNASDAQは下落するも、堅調な経済と決算でS&P500は上昇10月14日(月) 米国株式市場は上昇し、S&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新しました。企業決算発表を控え、半導体やテクノロジー株が買われ、特にNVIDIAが2.4%上昇し終値として最高値を記録。半導体企業指数(SOX)は1.8%上昇し、S&P情報技術指数もセクター別でトップの上昇率を示しました。一方、Caterpillarはアナリストの投資判断引き下げを受けて2%下落、Boeingも1.3%下落しました。10月15日(火) 米国株式市場は反落し、NASDAQが下落を主導しました。特に半導体株が需要低迷懸念で売られ、NVIDIAは4.7%下落。ASMLが示した低調な売上見通しが影響し、フィラデルフィア半導体指数は5.3%の大幅下落となりました。また、UnitedHealth Groupは利益見通しが市場予想を下回ったことで8%下落。原油価格の下落を受け、エネルギー株も売られましたが、Bank of AmericaとCharles Schwabは好調な決算を受け、それぞれ上昇しました。10月16日(水) 米国株式市場はダウ工業株30種が反発し、最高値を更新。銀行大手の好決算が市場を押し上げ、Morgan Stanleyが6.5%急伸しました。金融株や小型株が好調で、ラッセル2000指数は1.6%上昇し、S&P小型株指数も1.4%上昇。半導体株ではNVIDIAが前日の下落から3.1%上昇し、S&P 500の複数セクターが最高値で取引を終えました。航空株も好調で、United Airlinesが12.4%上昇しました。10月17日(木) 米国株式市場はダウ工業株30種が上昇し、5日中4日で最高値を更新。小売売上高が予想を上回り、経済の堅調さが示されました。台湾のTSMCが強気な見通しを発表し、同社株は9.8%急伸、NVIDIAも0.9%上昇。保険会社のTravelersや資産運用のBlackstoneも好決算を受け、それぞれ9%、6.3%上昇しました。地方銀行の決算も好調で、M&T BankやSynovus Financialが5%超上昇しました。10月18日(金) 米国株式市場はS&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新し、NASDAQもプラス圏で引けました。Netflixが11.1%急騰し、テクノロジー株が市場を押し上げました。特にAppleは1.2%上昇し、iPhoneの中国での好調な売上が支援材料となりました。半導体大手NVIDIAも0.8%上昇。金融セクターは一服し、S&P銀行株指数は0.1%下落しましたが、全体的に市場は強気ムードが続いています。今週は火曜日にASMLの低い売上見通しが半導体市場の需要低迷懸念につながり、グロース市場は前半で大きく落ち込みました。しかし、その後は予想を上回る小売売上高で経済の堅調さが示され、決算では特に銀行株が予想を超える内容だったため、ダウ平均は最高値を連続更新しました。小型株もテクノロジー株から流出した資金の受け皿となり大きく上昇しています。銀行株だけでなく、NetflixやUnited Airlinesといった銘柄の決算も口調で、今四半期決算は順調な滑り出しとなっています。為替市場:FRB利下げ観測に合わせて方向性を欠いた1週間に為替は、米国の小売売上高が上振れしたため、FRBの年内利下げ期待がさらに後退し、円安に触れて一時150円もつけました。来週に向けては重要指標もなく、しばらくは方向性を欠く展開になりそうです。今週のマーケット:M7決算が始まる今週(2024/10/21-10/25)は、M7決算がついに始まります。テクノロジー銘柄への期待形成に重要な決算となるので要注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金に対する強気な市場状況を反映し、9月金ETF(上場投資信託)は14億ドルの流入超となり、5カ月連続での流入超を記録しました。米連邦準備理事会(FRB) が9月18日に利下げ開始を決定したことが好材料となり投資家に好機をもたらしています。本記事では「金価格が上昇している理由」を解説のうえ、ETFを通じた金投資の利点について紹介いたします。最高値を更新し続ける金価格金価格は3月以来急騰し、10月17日には初めて1オンス2700ドルを上回りました。金価格は年初来で約35%上昇しており、S&P500指数の上昇率の約1.5倍のパフォーマンスとなっています。安全資産の需要増、米利下げも追い風金価格は様々な要因によって影響を受けますが、最近の上昇はFRBを含む主要中央銀行による金融緩和への期待と地政学的緊張によって牽引されています。通常、金利が低下すると、銀行に預けた資金や債券から得られる利息が少なくなり、相対的に利息収入が得られない金の魅力が高まります。2000年以降、3回あった米利下げサイクルでは金価格は上昇し、世界株式を上回るパフォーマンスとなっています。また、金は市場の不確実性に対するヘッジとしても見られており、米大統領選や中東紛争をめぐる不透明感から、安全資産としての魅力がさらに高まっています。ゴールドマン・サックスは「世界的な金利低下、構造的な中央銀行の需要増加、地政学、金融、景気後退のリスクに対する金のヘッジ効果により、金ロングをあらためて推奨する」とし、2025年初めの金価格予想を1オンス2700ドルから2900ドルに引き上げました。金価格に連動し、銀価格も高騰また、銀価格も年初来で35%以上上昇し、約12年ぶりの高値近辺で推移しています。金相場高騰に追随していることに加え、銀は太陽光パネルや電子機器など工業用の需要が高まっています。ETFであれば、金投資が簡単に金ETFは、金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託で、現物投資と異なり保管リスクがなく、最低投資額が金価格の10分の1〜100分の1と小口のものも多くなっています。さらに、上場投資信託の名前にもある通り上場しているため、取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができ、運用管理においても、金ETFであれば株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握がしやすいというメリットが挙げられます。また現物投資と、ETFを通じて金投資するのでは、利益に対する税金の取り扱いが異なります。現物投資して得た利益は、給与などの他の所得と合わせて総合課税の対象となり、税率は累進課税が適用されます。一方、金ETFに投資して得た利益は株式と同様に税率は20.315%となり、損失が出た場合は株式などとの損益通算ができます。

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景気動向が鍵?利下げが株価に与える影響

景気動向が鍵?利下げが株価に与える影響

FRB(連邦準備制度理事会)が9月のFOMC(連邦公開市場委員会)にて利下げ転換に踏み切ることが市場で広く予想されています。本記事では「利下げが米国株に与える影響」について解説します。ソフトランディングか景気後退か短期金利の引き下げにより企業や消費者の借り入れコストが下がり、理論的には利下げ後は株価が好調になるとされています。しかし、過去の主要な利下げサイクルを振り返ると市場の反応は様々であり、今後の株価動向を理解するにはFRBが金利を引き下げた背景を考察する必要があります。FRBが経済をコントロールし、ソフトランディングを実現したと市場が認識した場合、株価は堅調に推移することが期待されます。しかし、FRBが景気後退のリスクを受けて反動的に金利を引き下げていると捉えられた場合、株価は調整局面に入ることが考えられます。直近の経済指標のほとんどが米経済の底堅さを示していることから、多くのアナリストやエコノミストにとってソフトランディングは基本シナリオとなっています。7月・8月と予想を下回る雇用統計が発表されたことから景気後退懸念も再燃していますが、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、今後1年間に米国が景気後退に陥る可能性は20%と予想しています。市場の関心は「FRBがどの程度利下げを進めていくか、景気がどの程度のペースで減速するか」であり、ソフトランディングになるのかハードランディングになるのかになるのか見極めている状況にあります。大幅利下げにはリスク懸念の声も9月13日時点のFedWatchでは、9月会合で0.25ポイントの利下げを織り込んでいるほか、11月と12月会合の両方で0.5ポイントの利下げを予想しています。一部アナリストは、9月会合で0.5ポイントの利下げに踏み切った場合、米経済の健全性について懸念を生み出す可能性があると指摘します。これは1990年以降のFRBの5回の利下げサイクルのうち、0.5ポイントの利下げでサイクルを開始した2回(2001年と2007年) はいずれも景気後退が続いたためです。またFRB高官の一部は、早計な金融緩和によるインフレ上振れリスクへの懸念を示しています。企業収益や経済動向にも注目一方、2024年のFRBの利下げ幅が市場予想を下回ったとしても、必ずしも株価にとって悪いことではないとの声もあります。ヤルデニ・リサーチのストラテジストは、金利変化よりも企業利益の方が将来の株式市場のリターンを予測する上で信頼できる指標であり、経済成長が予想以上に強く、労働市場の指標もそれほど悪くなく、消費者支出も引き続き増加している環境では、利益が伸び続ける中で株価の上昇余地が広がると述べています。

米大統領選挙で株価上昇が期待されるセクターは?

米大統領選挙で株価上昇が期待されるセクターは?

本記事では、ハリス氏対トランプ氏の接戦が予想される大統領選動向について解説のうえ、過去の選挙結果とセクター別パフォーマンスの関係について紹介いたします。大統領選のアノマリー(規則性や傾向)については過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。討論会後、支持率は再び横並びに9月10日夜に行われた、カマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領による第1回大統領候補討論会を受けて、大統領選動向への注目が高まっています。討論会はハリス氏が勝利したという見方が多く、市場は討論後ハリス氏に有利な兆候を示しました。しかし、世界最大の予想賭博市場である「Polymarket」によると、現在ハリス氏の支持率は50%、トランプ氏は49%と引き続き1ポイント差の接戦となっており、選挙情勢や市場への大きな影響は生じていません。ストラテジストによると、討論会前後のオプション市場ではS&P500は±1.1%の変動しか織り込まれておらず、今回の結果は比較的低いボラティリティーが見込まれていたことと一致しています。税金や関税についての議論は限定的また、株式投資家にとって最大の関心事である税金や関税に関する方針について討論会ではあまり言及がなかったことも指摘されています。ゴールドマン・サックス・グループによると、法人税率を現在の21%から15%に引き下げるトランプ氏の税制案ではS&P500構成企業の利益が約4%押し上げられ、一方法人税率を28%に引き上げるハリス氏の案ではS&P500構成企業の利益を約8%減少させる可能性があると試算しています。関税については、トランプ氏は全ての貿易相手国に一律10%の関税と中国からの輸入には60%超える対中関税を導入する方針を打ち出しています。2回目の討論会は開催されない可能性もハリス陣営は、10月に2回目のテレビ討論会を希望していますが、トランプ氏は11日朝、FOXニュースの番組にて討論会の司会者は不公平と述べ、討論会をもう一回行う気はあまりないと示唆しています。選挙結果とセクター別パフォーマンスネッド・デービス・リサーチ(Ned Davis Research)の調査によると、1972年からの大統領任期全体のデータを見ると、民主党の大統領候補が勝利した後の最初の数ヶ月間は景気循環株が他のセクターを上回り、共和党の勝利後はディフェンシブ株が最も好調でした。景気循環株とは、景気動向によって業績が大きく変動する銘柄を指し、ディフェンシブ株とは、ヘルスケアや生活必需品といった経済全体の状況に関係なく一定の需要と安定した収益がある銘柄を指します。民主党政権下では情報技術と工業セクターが優れたパフォーマンスを誇り、ダウ工業株30種平均を83%上回りました。一方、共和党政権下ではヘルスケアセクターのパフォーマンスが良く、ダウ平均を75%上回りました。ただし、ネッド・デイビス・リサーチは、今年はハリス氏・トランプ氏の両候補とも薬価の抑制に取り組んでおり、選挙結果にかかわらずヘルスケア業界は苦戦する可能性があると指摘しています。大統領選は、考慮すべきリスクの一つアナリストらは、政治ニュースで市場は変動するものの、常に多くの変数が相互作用しており、大統領選はあくまで考慮すべき多くの事柄のうちの1つと捉えています。特に今年は、米経済の不確実性やFRB(米連邦準備理事会)の政策変更に直面し、株式市場のリスクが高まっています。相場が不安定となっても、資産運用の王道である「長期・積立・分散」の原則に従うことが資産運用を成功させるためのコツとなります。「トランプトレード」やトランプ氏再選が米国株市場に与える影響についても過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。

それでも米国株は魅力的か?米国株投資の強みとリスク

それでも米国株は魅力的か?米国株投資の強みとリスク

直近の株価と為替の急変動を見て、今後の資産運用に不安を感じる方もいると思います。足下の相場変動から少し距離をおいて考えると、米国株投資には①イノベーションの中心地としての恩恵、②株主還元の徹底した経済構造、③マクロ経済の頑健性といった強みがあり、いくつかのリスクはあるものの、他のアセットクラスと比較しても引き続き長期投資のコアとしての優位性はあると考えられます。2024年はAIブーム、FRB利下げ、米国景気後退懸念、大統領選、日銀利上げと大きなイベントが続き、相場が急変動しやすい環境が続いています。新NISAで投資を始めた方で日々不安に感じている方も多いと思うので、本記事では改めて米国株投資の強みとリスクについて解説していきたいと思います。米国株投資の強みまず、米国株投資を魅力的にさせている、米国経済のファンダメンタルな(本質的な)強みを解説します。要約すると、①イノベーションの中心地として米国の代替先がないこと、②株主還元の徹底した経済構造、③内需と利下げ余地に支えられたマクロ経済の頑健性が強みと考えています。イノベーションの中心地として米国の代替先がない皆さんの日々の生活を支えている半導体・OS・クラウドインフラ・SNS・検索サービスなど、情報社会のインフラは、Alphabet, Amazon, Microsoft, Apple, Meta, NVIDIAといった米国のテクノロジー企業に独占されています。さらに次の技術革新と言われるAIや自動運転の研究開発も米国がリードしており、この領域でも米国企業が付加価値の大部分を取っていきそうな情勢です。生成AIではChatGPTのOpenAIやClaudeのAnthropicは米国企業ですし、自動運転の最先端はTeslaとAlphabetの子会社Waymoが走っています。こうしたイノベーションが生まれる土台になっているのは、世界から人材を集める米国の教育・雇用システムと、シリコンバレーを中心としたITスタートアップのエコシステムです。米国のトップ大学は世界から優秀な人材を集めつつ、移民社会がチャレンジする活力を生んでいます。私のスタンフォードMBA時代の同級生も、移民の両親が機械工をしながら教育に力を入れた結果、スタンフォード大学→CIA→業界トップのVC(かつスタンフォードMBAを働きながら取得)という成功したキャリアを移民2世として築いていました。ITスタートアップのエコシステムはここで語り尽くせないですが、上場株にも関係する話としては、スタートアップのM&Aが活発なところが大きな特徴です。Cisco, Salesforce, Adobeといった企業は老舗ですが、新興テック企業を買収することで持続的な成長に成功しています。こうした資金循環がスタートアップのチャレンジを加速しつつ、上場企業の技術進歩にも貢献していると言えます。少し前までは中国のテック企業の成長が凄まじく、世界を中国企業が席巻するのではないかと言われましたが、その後グローバルに広がる様子は見えず、イノベーションの世界は米国の一極構造が続いています。イノベーションの中心地として米国を代替できる存在が見えてこない中では、世界全体での技術進歩の果実を米国が最も大きく享受する構造が続き、米国企業の成長率への追い風は変わらないと言えます。株主還元の徹底した経済構造米国の資本市場(=機関投資家・ファンド)は企業に株主還元を強く求めるため、上場企業で非効率な経営は放置されず、経営陣の交代も頻繁に起きます。こうした経営の効率化に加え、成長投資のない内部留保や余剰アセットの保有を企業に許さないプレッシャーがかかり、利益の株主への配当還元も優先されます。成熟した米国よりも経済成長率が高い国もありますが、新興国では経済成長の果実を投資家が得る前に、政府が取っていったり(国有企業などがある場合)、消費者に配分されるケース(価格統制など行われた場合)も見られます。例えば、中国経済は過去5年間で年間平均5%弱で成長していますが、中国の代表的な株式指数の1つである上海総合指数は過去5年間で9%も下落しています。投資先企業に対する影響力が皆無の個人投資家にとって、激しい競争の中で全ての株主に対して全力で還元してくれる米国企業は、お得な投資先と言えるでしょう。内需と利下げ余地に支えられたマクロ経済の頑健性グローバルで稼げるテクノロジー企業の成長を背景に、米国の内需も活発です。こうした内需が非テクノロジー企業の業績向上にも貢献し、経済全体が強い状態が続いています。経済が強すぎるが故に、米国は高いインフレを引き起こし、2022年頃から大規模な金融引き締めが進んで現在に至ります。足下では金融引き締めが効果を出して、インフレ鎮静化傾向が見えてきたのですが、同時に製造業中心に企業業績にも翳りが見えています。これが景気後退懸念として、2024年の米国株式市場を不安定化させている大きな要因です。しかし、現状FRBはまだまだ金利引き下げの余地を残しており、経済を刺激できる状態です。インフレ鎮静化と景気拡大の継続を両立する「ソフトランディング」を実現することをFRBとして目指していますが、仮に一時的な景気後退に入ったとしても、利下げで景気回復を進められる見通しは高いと言えます。こうしたマクロ経済の頑健性が、金融危機やコロナショックのタイミングと異なり「出口の見えない不透明性」を排除しているのも強みです。米国株投資のリスク為替変動の影響は一旦考慮せず(直近では日本株相場も円高の時に下がる傾向にあり、米国株投資だけの話でもないため)、米国株相場の観点から米国株に投資することのリスクを解説します。短期的なリスク:高まりすぎた期待値との調整短期的な市場変動は、企業業績や米国経済全体の成長といったファンダメンタルズ(本質)では決まらず、株式市場の需給で決まります。これを大きく左右するのが、アクティブに運用している機関投資家やヘッジファンドです。米国株式市場の短期的な変動は大手投資家のセンチメント(今後の市場動向に対する見立て・温度感)が大きな要因となり、その方向性次第で短期的な株価下落のリスクがあります。2023年後半からの米国株市場は、Magnificent7と言われる大型テクノロジー企業7社に資金を入れておけば上がっていく相場環境で、短期的・裁量的な売買を繰り返すヘッジファンドも「Magnificent7のロング(長期保有)」戦略を取っていました。こうした資金集中が2024年の大型テクノロジー株の上昇を支えていた面もあるので、この高まりすぎた期待値が修正され、ヘッジファンドの資金が離れると短期的には株価が下落するリスクがあると言えます。しかし、こうした株価下落は短期動向なので、企業業績が健全に伸びていれば一定の株価上昇は見込めるものとして、心配しすぎることはないと言えます。中期的なリスク:米国経済の景気後退局面中期的なリスクとしては、米国経済が金融引き締め後のソフトランディングに失敗し、景気後退局面入りすることです。以前に記事でもまとめていますが、景気後退入りした場合、平均10ヶ月間程度は株価の上がりにくい状態が継続することになります。FRBが利下げをするのは確定路線なので、焦点となるのはFRBの利下げスピードです。インフレを沈静化しつつも、縮小しつつある米国景気の底上げに間に合うかどうかが今後の大きなポイントになります。利下げは2025年にかけて行われると予想されるので、市場予測ベースでは2025年中までに45%程度の確率で景気後退入りするリスクがあると見積もれば良いでしょう。長期的なリスク:テクノロジーでの敗北長期投資目線で最も注目すべきなのは、米国株投資の強みの源泉であるイノベーションの中心地としての地位が今後も安泰かという点です。今後、他の国や地域が世界の技術進歩をリードするようなトレンドが生まれれば、その地域により重点的に資産を配分した方が有利となります。長期的なリスクなので、はっきりと顕在化したタイミングを言えるわけではありませんが、以下のようなポイントに注目しておくと良いでしょう。まず、日常生活の前提となっているテクノロジーやサービスに占める米国企業の割合が減っていかないかという点です。例えば、クラウドサービスやモバイルOSに米国企業以外の大手テクノロジー企業が占める割合が増えてきたら、それは危険な兆候といえます。次に、大きな技術革新のタイミングで米国以外のテクノロジー企業が台頭してこないかという点です。過去の米国経済の急成長は、GAFAをはじめとした現在の大型テクノロジー企業の台頭で説明されるため、次世代のこうした企業が米国から出続けなければ、長期的な成長に翳りが出ると考えられます。運用先として他のオプションはあるのか株式指数の間での比較過去10年、過去5年での各国指数の推移を下記で計算しました。過去10年では、NASDAQ>S&P500・ブラジル株式・インド株式>日経平均>ヨーロッパ株式>中国株式過去5年では、インド株式>NASDAQ>S&P500>日経平均>ヨーロッパ株式>ブラジル株式>中国株式という結果になりました。株式で見ると米国株・インド株への投資リターンが最も高かったことになります。IXIC:NASDAQ、SPX:S&P500、NIKKEI:日経225、SX5E:ユーロ株式指数、DAX:ドイツ株式指数、HSI:香港ハンセン指数、NIFTY:インド株式指数、IBOV:ブラジル株式指数10年推移(2015/3/10-2024/9/9)5年推移(2019/12/31-2024/9/9)アセットクラス横断の比較また、他のアセットクラスとして、債券や不動産のような商品で固定利回りを得ると考え、安定利回りとして年率+3%くらいをベースレートとしておくと、5年間で+16%、10年間で+34%くらいの成長率になります。S&P500の成長率は過去5年で+69%、過去10年で+167%なので、株式は価格変動があり短期ではロスが出ることもありつつ、長期の運用では固定利回り商品に比べて大きな差がつくことになります。全く違う観点で金に投資すると考えてゴールドETFの値動きを見ると(計測期間は先ほどの株式指数比較と同じ)、過去5年間で+62%、過去10年間で+107%と、この期間でのリターンはS&P500には及ばないものの、実はかなり良かったことになります。結論:長期投資のコアは米国株優位で揺るがず過去リターンの結果からは、一部の新興国や金は有力なオプションにもなりつつ、米国株のリターンの高さが際立っていました。このことから、短期的な安定性を求める(=近いタイミングでの取り崩し・出金を考えている)場合以外は、米国株がリターンの観点からは有利だったと言えます。今後の見通しについては、長期的な成長性や経済構造⁨⁩は強いので、それが崩れるかどうかだけを見ておけば(特にイノベーションの中心地としてのポジション)、米国株を長期投資のコアとして据えることに、十分な優位性があると考えられます。

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半導体下落でNASDAQは低調。銀行株と小型株が好調でS&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

半導体下落でNASDAQは低調。銀行株と小型株が好調でS&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

先週は、ASMLの低い売上見通しから半導体需要低迷懸念が広がり、半導体中心にグロース市場が下落しました。一方、小売売上高が予想を上回ったこともあり、決算が好調だった銀行株の上昇がダウ平均やS&P500を押し上げ、最高値を更新しています。また、小型株指数も好調で、市場全体でテクノロジー株からその他セクターへの資金還流が進んでいます。為替は、米国小売売上高の結果を受け、強い経済からFRBが利下げペースを遅らせる見通しが出て、円安が進みました。米国株式市場:半導体需要低迷懸念でNASDAQは下落するも、堅調な経済と決算でS&P500は上昇10月14日(月) 米国株式市場は上昇し、S&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新しました。企業決算発表を控え、半導体やテクノロジー株が買われ、特にNVIDIAが2.4%上昇し終値として最高値を記録。半導体企業指数(SOX)は1.8%上昇し、S&P情報技術指数もセクター別でトップの上昇率を示しました。一方、Caterpillarはアナリストの投資判断引き下げを受けて2%下落、Boeingも1.3%下落しました。10月15日(火) 米国株式市場は反落し、NASDAQが下落を主導しました。特に半導体株が需要低迷懸念で売られ、NVIDIAは4.7%下落。ASMLが示した低調な売上見通しが影響し、フィラデルフィア半導体指数は5.3%の大幅下落となりました。また、UnitedHealth Groupは利益見通しが市場予想を下回ったことで8%下落。原油価格の下落を受け、エネルギー株も売られましたが、Bank of AmericaとCharles Schwabは好調な決算を受け、それぞれ上昇しました。10月16日(水) 米国株式市場はダウ工業株30種が反発し、最高値を更新。銀行大手の好決算が市場を押し上げ、Morgan Stanleyが6.5%急伸しました。金融株や小型株が好調で、ラッセル2000指数は1.6%上昇し、S&P小型株指数も1.4%上昇。半導体株ではNVIDIAが前日の下落から3.1%上昇し、S&P 500の複数セクターが最高値で取引を終えました。航空株も好調で、United Airlinesが12.4%上昇しました。10月17日(木) 米国株式市場はダウ工業株30種が上昇し、5日中4日で最高値を更新。小売売上高が予想を上回り、経済の堅調さが示されました。台湾のTSMCが強気な見通しを発表し、同社株は9.8%急伸、NVIDIAも0.9%上昇。保険会社のTravelersや資産運用のBlackstoneも好決算を受け、それぞれ9%、6.3%上昇しました。地方銀行の決算も好調で、M&T BankやSynovus Financialが5%超上昇しました。10月18日(金) 米国株式市場はS&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新し、NASDAQもプラス圏で引けました。Netflixが11.1%急騰し、テクノロジー株が市場を押し上げました。特にAppleは1.2%上昇し、iPhoneの中国での好調な売上が支援材料となりました。半導体大手NVIDIAも0.8%上昇。金融セクターは一服し、S&P銀行株指数は0.1%下落しましたが、全体的に市場は強気ムードが続いています。今週は火曜日にASMLの低い売上見通しが半導体市場の需要低迷懸念につながり、グロース市場は前半で大きく落ち込みました。しかし、その後は予想を上回る小売売上高で経済の堅調さが示され、決算では特に銀行株が予想を超える内容だったため、ダウ平均は最高値を連続更新しました。小型株もテクノロジー株から流出した資金の受け皿となり大きく上昇しています。銀行株だけでなく、NetflixやUnited Airlinesといった銘柄の決算も口調で、今四半期決算は順調な滑り出しとなっています。為替市場:FRB利下げ観測に合わせて方向性を欠いた1週間に為替は、米国の小売売上高が上振れしたため、FRBの年内利下げ期待がさらに後退し、円安に触れて一時150円もつけました。来週に向けては重要指標もなく、しばらくは方向性を欠く展開になりそうです。今週のマーケット:M7決算が始まる今週(2024/10/21-10/25)は、M7決算がついに始まります。テクノロジー銘柄への期待形成に重要な決算となるので要注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

FOMC議事要旨とCPIで利下げ期待は一進一退しつつ、S&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

FOMC議事要旨とCPIで利下げ期待は一進一退しつつ、S&P500は最高値を更新|米国市場サマリー

先週は、FOMC議事要旨が想定より利下げに前向きだったことから、利下げ期待が強まり株価が上昇しました。CPIは予想よりやや上振れしたので利下げ期待は一進一退でしたが、JP Morgan等の大手金融機関決算が好調だったことでS&P500は最高値を更新して上昇し、1週間を終えました。為替は、先週の雇用統計から利下げ期待が後退して一時円高になりましたが、その後FOMC議事要旨で円安が進み、さらにCPIで円高にやや戻しました。結果として、方向性を欠く1週間となりました。米国株式市場:利下げ観測はFOMC議事要旨とCPIで一進一退も、S&P500は最高値更新10月7日(月) 米国株式市場は主要3指数が約1%下落しました。FRBの利下げ観測が後退し、中東での紛争が原油価格に与える影響が懸念され、AlphabetやAmazon、Appleの株が売られました。特にGoogleがモバイルアプリ事業の見直しを命じられたことが、投資家のセンチメントを悪化させました。VIX指数が大きく上昇し、投資家の不安感が高まりました。エネルギーセクターのみが上昇しましたが、その他のセクターは軟調でした。10月8日(火) 米国株式市場は反発し、ハイテク株への買い戻しが進みました。特にNVIDIA、Apple、Teslaなどが上昇し、NASDAQも強含みました。データ解析企業のPalantirとサイバーセキュリティー企業Palo Alto Networksも相場を押し上げましたが、素材セクターは下落しました。エネルギーセクターは原油安を受けて2.6%下落し、全体的には慎重な姿勢が続いています。10月9日(水) 米国株式市場は主要株価3指数が続伸し、S&P 500とダウ工業株30種が終値で最高値を更新しました。FOMC議事要旨が公表され、FRBが年内にさらに利下げを行う可能性が高まったことが市場に安心感を与えました。Alphabetは米司法省による事業分割懸念から売られましたが、他の業種が強含みました。特にクルーズ関連株が好調で、Norwegian Cruise Lineが大幅上昇しました。10月10日(木) 米国株式市場は反落し、9月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回ったことで、利下げ観測がやや後退しました。デルタ航空などの航空株は売られましたが、エネルギー株は原油価格の上昇を受けて堅調でした。インフレと雇用のデータが交錯する中、FRBの次の一手に市場の注目が集まっています。10月11日(金) S&P 500とダウ工業株30種は最高値で引け、金融株が好調でした。JP MorganとWells Fargoが好調な四半期決算を発表し、銀行株が相場をけん引しました。また、インフレ指標を受け、11月のFOMCで利下げが行われるとの観測が強まりました。テスラはロボタクシーの発表を行いましたが、具体的な生産計画が明らかにされなかったため、株価は一時下落しました。今週はFOMC議事要旨が公開され、FRB内部が想定より利下げに前向きだったことが明らかになり、年内追加利下げの観測が強まって株価が上昇しました。しかし、CPIの数値が予想をやや上回るものだったこともあり、利下げ観測については一進一退が続いています。決算シーズンが始まり、金融銘柄の業績が好調だったことからS&P500やダウ平均は押し上げられ、最高値を更新しています。為替市場:FRB利下げ観測に合わせて方向性を欠いた1週間に為替は、先週のサプライズだった雇用統計の影響で一時円高が進むも、FOMC議事要旨で再度利下げ観測が強まり円安に戻し、上振れたCPIでやや円高方向によって1週間を終えています。トータルではやや円安という結果でした。為替はしばらく大きな材料がないまま相場が動きそうです。今週のマーケット:金融銘柄とヘルスケア銘柄の大型決算に注目今週(2024/10/7-10/11)は、決算シーズンが本格化し、金融銘柄の残りとヘルスケア銘柄の決算が控えているので注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

中東情勢は緊迫化するも米雇用統計が期待を大きく上回り、株価回復・円安が進む|米国市場サマリー

中東情勢は緊迫化するも米雇用統計が期待を大きく上回り、株価回復・円安が進む|米国市場サマリー

先週は、中東情勢の緊迫化から週の前半は株価が下落しましたが、金曜日の雇用統計が予想を大きく上回る好内容だったことから、株価は大きく回復して1週間を終えています。一方、FRBの追加利下げは急がない情勢になったのではないかとの見立ても出ています。為替は、石破首相が日銀の追加利上げに対して否定的な見解を表明したことから、石破政権での利上げ加速を見越していた市場の期待が変化し、円安が進みました。また、米国の雇用統計結果を受けて、FRBの利下げペースが鈍化するとの見通しから、週末にかけてさらに円安が加速しました。米国株式市場:中東情勢は緊迫化するも、雇用統計が期待を大きく上回る9月30日(月) 米国株式市場は、S&P 500が小幅反発し、終値で最高値を更新しました。FRBのパウエル議長が追加利下げを急がない姿勢を示したため、一時下落しましたが、四半期末に向けたモメンタム取引が後押しし、最終的に上昇しました。パウエル議長は、年内にさらに2回の利下げを実施する可能性を示しましたが、市場は慎重に反応しました。個別では、CVS Healthが2.4%上昇し、ヘッジファンドの活動が注目されました。10月1日(火) NASDAQは1%以上下落し、特にハイテク株が売られました。背景には、イランがイスラエルに対してミサイルを発射し、中東情勢の緊迫化がありました。これにより、リスク回避の動きが強まり、防衛関連株が買われました。Northrop Grummanが3%上昇、Lockheed Martinも3.6%上昇するなど、防衛関連銘柄が軒並み上昇しました。原油価格の上昇によりエネルギー株も買われ、ExxonMobilは2.3%高となりましたが、Delta Air Linesは1.6%下落しました。10月2日(水) 米国株式市場はS&P 500が横ばいで終了しました。NVIDIAが1.6%上昇し、半導体株が市場を支えましたが、Teslaは第3四半期の納入台数が予想を下回り、3.5%下落しました。中東情勢の緊張が続く中、バイデン米大統領はイスラエルがイランに対する核施設攻撃を行うことを支持しない意向を表明し、均衡ある対応を促しました。加えて、労働市場の堅調さを示すデータが発表され、9月の全米雇用報告では、民間部門雇用者数が予想を上回りました。10月3日(木) NASDAQは、FRBが注目している雇用統計の発表を控え、慎重なムードが広がり下落しました。新規失業保険申請件数は小幅に増加したものの、FRBが利下げを検討する要因とはならないと見られています。市場では中東情勢の緊迫化が続き、投資家のリスク回避姿勢が強まり、原油価格が高騰したため、エネルギーセクターが1.6%上昇しました。10月4日(金) 米国株式市場は、ダウ工業株30種が過去最高値を更新し、NASDAQも1%以上の上昇を見せました。米労働省が発表した9月の非農業部門雇用者数が25万4000人増と予想を大幅に上回り、これが市場の安心感を後押ししました。これを受けて、FRBが11月の会合で50ベーシスポイントの大幅利下げを行う可能性は低下しました。S&P金融セクターは1.6%上昇し、Russell 2000指数も1.5%上昇するなど、小型株が好調でした。今週前半は中東情勢の緊迫化からリスクオフの流れとなり、株式市場は下落しましたが、金曜日の雇用統計が予想を大幅に上回る堅調なものだったので、米経済に対する安心感を醸成し、週間で見ると株価は横ばいで終えています。中東情勢が緊迫化する中でも、軍需の拡大を見越した防衛関連株の上昇や、原油価格上昇の恩恵を受けるエネルギー企業の株価は上昇し、市場の反応は一律ではありませんでした。為替市場:石破首相発言と強い米雇用統計で日米金利差の維持が意識され、大きく円安が進む為替は、先週の自民党総裁に石破氏が選出されたことで利上げ期待から円高に触れていましたが、今週は首相に選出された石破氏から「追加の利上げをするような環境に現在はない」との発言を受け、円安が進みました。また、米国の雇用統計が予想を大きく上回る内容だったことから、FRBの利下げペースも緩まるとの観測から、さらに日米金利差の維持が意識されて円安が進みました。今週のマーケット:景気指数と雇用統計に注目今週(2024/10/7-10/11)は、第4四半期の決算発表が始まり、消費財と金融の大手企業決算があります。さらに次の利下げ動向に大きく影響するCPIの発表があるので注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

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【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)

本記事では、マイクロソフトの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月30日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約13%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。7-9月期の注目点:Azureの成長性とAI投資のコスト圧力2024年7-9月期の「売上高予想は$645.1億、EPS予想は$3.1」、平均目標株価は$497です。クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるかマイクロソフトのクラウド部門は同社で最も成長しているセグメントであるため、投資家が最も注目する傾向があります。直近4四半期において、Azureは競合のAWSよりも速いペースで成長しており、世界のクラウドインフラ市場でのシェアを25%にまで伸ばし、シェア首位であるAWSの31%に近づいています。一方で過去5年間、マイクロソフトの設備投資額は収益よりもはるかに速いペースで増加しており、積極的な設備投資によるコスト圧力にも注目が集まります。2024年度の設備投資額は前年比75%増の557億ドルに達し、売上高の23%に相当する額となりました。フッド氏は7月の決算発表で、2025年度も設備投資額が増加する見込みであると述べており、アナリスト予想では設備投資額が売上高に占める割合は2025年度は28%となっています。AIインフラへの莫大な投資は、短中期的に利益率の拡大を制限する可能性があり、少なくとも今後1年間は同社の収益にとって逆風となると指摘されています。したがって、Azure AIの成長が停滞したり市場の期待に応えられない場合は、株価の調整が引き起こされる可能性があります。オープンAIとの関係も懸念材料にまたこれまでに130億ドルの投資している、オープンAIとの関係性にも懸念が示されています。10月2日、オープンAIは66億ドルの資金を調達し、企業価値が1570億ドルと評価されました。マイクロソフトはオープンAIの最大の外部株主であり、追加で7.5億ドルを投じましたが、利害関係者の増加は両社の関係を弱める可能性があると指摘されています。オープンAIが非営利組織から営利企業への移行を進める中で、株式をどのように分配するのかも注目されており、マイクロソフトの株式保有額が大きければ大きいほど、規制当局が監視の目が厳しくなると予想されています。さらに、ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)をはじめオープンAIの幹部が相次ぎ退社するなど、新たな波紋を呼んでいます。一部アナリストは、オープンAIの損失が同社の最大の懸念事項であるとし、これらの損失は2025年度には20億〜30億ドルになる可能性があると予想しています。

【アマゾン決算みどころ】AI投資と宇宙開発の利益率への影響は(Amazon)

【アマゾン決算みどころ】AI投資と宇宙開発の利益率への影響は(Amazon)

本記事では、アマゾンの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月24日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。アマゾンの株価は年初来から25%以上上昇し、S&P500指数の上昇率と同程度のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:営業利益見通しが予想を下回り、株価下落8月1日に発表された2024年4-6月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比10%増となりましたが市場予想を下回りました。7-9月期の営業利益見通しについても市場予想を下回り、株価は時間外取引で6%下落しました。売上高:$1480億(予想:$1486億)EPS:$1.26(予想:$1.03) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業と比較すると成長率は遅れ、「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。オンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面し、前年同期比5%増。サードパーティ販売者サービスの売上は同12%増となりました。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、売上高は前年同期比20%増でしたが、市場予想をわずかに下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2024年上期にクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターなどの設備投資に305億ドルを投じたとし、下期には投資額を増やす予定と述べています。7-9月期の注目点:小売・AWSの成長性と営業利益率2024年7-9月期のアマゾンの「売上高予想は$1572億、EPS予想は$1.14」、平均目標株価は$221.2です。プライムデー効果で小売事業は好調予想7-9月期の業績に影響を与える、7月の「プライムデー」の売上高は142億ドルと、前年比11%増で過去最高を記録しました。アナリストらはプロモーションイベントとしてのプライムデーの成功は、記録的な売上とプライム会員の新規加入の増加に表れているだけでなく、アマゾンの広告事業にも貢献した可能性が高いと予想しています。スポーツコンテンツ強化で広告事業も好調かアマゾンの広告収入は今年前半に市場予想をわずかに下回りましたが、一部アナリストは、今年後半は全体の収益に大きく貢献すると予想しています。特に、Prime VideoサービスでのNFLの試合の増加、2025シーズンのNBA66試合、2024年PPA世界選手権の独占放映権など、スポーツコンテンツの大幅な拡大が指摘されており、ライブスポーツ中継での広告が貢献し、来年の広告契約獲得目標である18億ドルを既に達成したと報じられています。また最近のニュースとしては、10月9日米国のPrime Videoサービスに、月額9.99ドルの追加サブスクリプションとしてApple TV+を提供することを発表しています。AI投資と宇宙開発の営業利益率への影響はAWSについては、クラウドインフラ市場でシェアトップのプロバイダーであり、2023年にはアマゾンに営業利益の3分の2をもたらしましたが、前期決算発表において、AIサービス構築に向けて年間の設備投資を拡大する姿勢を明らかにしており、大規模な支出に見合う高い成長が達成可能かを投資家に示す必要があります。また最近、アマゾンの衛星インターネット事業「Project Kuiper」が同社の営業利益率にどのような影響を与えるかについて、アナリストの間で議論が活発化しています。Project Kuiperは、世界中のネットワークが行き届いていない地域に、高速で低遅延のインターネット接続を提供することを目指しており、すでに2つのプロトタイプ衛星のテストを終え、量産衛星の打ち上げは2025年に開始される予定です。ジャシー氏は4月に株主に宛てた書簡の中で、同事業を「非常に大きな収益機会」と述べています。同社はこの取り組みに少なくとも100億ドルを費やすとしていますが、SpaceXのStarlinkとの競争を見据えると、コストは200億ドル以上に上昇する可能性が高いと予想されています。一部アナリストは、プロジェクトのコストにより2025年のアマゾンの北米部門の営業利益目標は6%の下方修正に直面する可能性があると、Project Kuiperがアマゾンの利益率に重しになるとの懸念を示しています。一方、アマゾンの今年の手元資金は1000億ドル(約15.3兆円)を超えると予測されることから、「たとえカイパーに200億ドルの費用がかかり、今後18カ月間利益率を多少圧迫するとしても、誤差である」と強気な見方を示すアナリストもいます。

【アルファベット決算みどころ】堅調な業績期待も、独占是正案が株価の重しか(GOOGLE)

【アルファベット決算みどころ】堅調な業績期待も、独占是正案が株価の重しか(GOOGLE)

本記事では、アルファベットの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月22日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。独占是正案に関する警戒から、同社の株価は年初来から約19%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:好業績も設備投資見通し高止まりで、株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では検索とクラウドが成長を牽引し、売上高が前年同期比14%増、純利益が同28.6%増と市場予想を上回る堅調な結果でした。しかし、YouTubeの広告収入が予想に届かず、年間を通じて設備投資額が高止まりするとの見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$847.4億(予想:$841.9億)EPS:$1.89(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億ドル。うち、Youtube広告が同13%増の87億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の103.5億ドルと、四半期で初めて100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。「その他の事業」の売上高は、自動運転車会社「ウェイモ」を含め、前年同期比28%増の3.65億ドルとなりました。ウェイモは、第2四半期中にサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。また、アルファベットはウェイモに対する新たな50億ドルの複数年投資計画を発表しました。四半期設備投資額は130億ドルとなり、年内の四半期設備投資額は120億ドル以上になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIスタックのあらゆる層で革新を進めている」と述べた上で、「過小投資のリスクは、過剰投資のリスクよりはるかに大きい」との考えを示しました。一部アナリストは、グーグルのAIへの巨額投資について、一部投資家が「AIによってどのぐらいの売り上げを得ているか」明確な証拠を求めている段階に入り、これが懐疑的な見方や株価の不安定な動きにつながっていると指摘しています。7-9月期の注目点:YouTubeとクラウドの成長性2024年7-9月期のアルファベットの「売上高予想は$863.5億、EPS予想は$1.84」、目標株価は201.8です。独占禁止法訴訟が長期化同社に関する最近の報道の多くは、同社に対する反トラスト法(独占禁止法)の調査に焦点を当てています。8月、連邦地方裁判所はグーグルのインターネット検索サービスが独占禁止法に違反したとの判決を下し、10月8日には独占に伴う弊害の是正に向け、司法省が同社に一部事業の切り離しを求める勧告をするよう裁判所に求める可能性があると明らかにしました。是正案が実現すれば、独占禁止法に基づく企業分割の歴史的ケースとなります。司法省は11月20日までに具体的な是正案を裁判所に提出する見通しであり、グーグルは連邦地裁の判断を不服として控訴するとしています。一方、上述の裁判は「インターネット検索」についてですが、9月9日にはグーグルの「オンライン広告」を巡る独占禁止法訴訟が始まりました。司法省は、グーグルのデジタル広告市場における優位性が広告主とコンテンツ制作者に損害を与えていると主張しており、検索と同様に今回の広告訴訟でもグーグルの事業分割を求める構えです。最終弁論は11月25日に予定されており、判決は年末までに下される可能性が高いと考えられています。アナリストの多くは、裁判結果に関する不確実性がアルファベット株の短期から中期的な重荷になると予想し、同社の目標株価を引き下げたものの、長期的な見通しに対しては引き続き前向きな姿勢を示しています。クラウド部門の好調は続くかアナリストらは7-9月期の売上高、利益ともに堅調な業績を期待しており、グーグルクラウドとYouTubeの成長が鍵と見ています。クラウド部門はアマゾンとマイクロソフトに次ぐ第3位のサービスプロバイダーですが、新たな機会を狙い設備投資を増やしています。最近開催されたクラウドイベント「Gemini at Work 2024」では継続的にイノベーションを行っていることが強調され、AIワークロードの投資収益率が改善し、クラウド部門のさらなる収益成長の可能性が示されました。株価に反映されていなウェイモ事業また現時点では、アルファベットの株価評価にウェイモ事業はほとんど反映されていませんが、テスラに先駆けてロボタクシーサービスを米国で唯一運営しており、投資家が新たな展開を注視すべき企業資産です。10月4日、ウェイモとヒュンダイは複数年にわたる戦略的提携を提携したことを発表しました。提携の第一段階では、両社はウェイモの最新の自動運転技術をヒュンダイの完全電気自動車「IONIQ 5 SUV」に組み込み、最終的にはウェイモのロボタクシー車両群の一部となる予定です。ヒュンダイは米国で第2位のEVメーカーであり、ヒュンダイ、起亜、ジェネシスのブランドを含めると約10%の市場シェアを占めています。

経済コラム

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金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由

金に対する強気な市場状況を反映し、9月金ETF(上場投資信託)は14億ドルの流入超となり、5カ月連続での流入超を記録しました。米連邦準備理事会(FRB) が9月18日に利下げ開始を決定したことが好材料となり投資家に好機をもたらしています。本記事では「金価格が上昇している理由」を解説のうえ、ETFを通じた金投資の利点について紹介いたします。最高値を更新し続ける金価格金価格は3月以来急騰し、10月17日には初めて1オンス2700ドルを上回りました。金価格は年初来で約35%上昇しており、S&P500指数の上昇率の約1.5倍のパフォーマンスとなっています。安全資産の需要増、米利下げも追い風金価格は様々な要因によって影響を受けますが、最近の上昇はFRBを含む主要中央銀行による金融緩和への期待と地政学的緊張によって牽引されています。通常、金利が低下すると、銀行に預けた資金や債券から得られる利息が少なくなり、相対的に利息収入が得られない金の魅力が高まります。2000年以降、3回あった米利下げサイクルでは金価格は上昇し、世界株式を上回るパフォーマンスとなっています。また、金は市場の不確実性に対するヘッジとしても見られており、米大統領選や中東紛争をめぐる不透明感から、安全資産としての魅力がさらに高まっています。ゴールドマン・サックスは「世界的な金利低下、構造的な中央銀行の需要増加、地政学、金融、景気後退のリスクに対する金のヘッジ効果により、金ロングをあらためて推奨する」とし、2025年初めの金価格予想を1オンス2700ドルから2900ドルに引き上げました。金価格に連動し、銀価格も高騰また、銀価格も年初来で35%以上上昇し、約12年ぶりの高値近辺で推移しています。金相場高騰に追随していることに加え、銀は太陽光パネルや電子機器など工業用の需要が高まっています。ETFであれば、金投資が簡単に金ETFは、金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託で、現物投資と異なり保管リスクがなく、最低投資額が金価格の10分の1〜100分の1と小口のものも多くなっています。さらに、上場投資信託の名前にもある通り上場しているため、取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができ、運用管理においても、金ETFであれば株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握がしやすいというメリットが挙げられます。また現物投資と、ETFを通じて金投資するのでは、利益に対する税金の取り扱いが異なります。現物投資して得た利益は、給与などの他の所得と合わせて総合課税の対象となり、税率は累進課税が適用されます。一方、金ETFに投資して得た利益は株式と同様に税率は20.315%となり、損失が出た場合は株式などとの損益通算ができます。

なぜ大幅利下げ観測が後退?年内利下げ不要論も

なぜ大幅利下げ観測が後退?年内利下げ不要論も

直近の米金融市場では、利下げ観測後退を背景にドル高・円安が進む展開となっています。投資家にとって、今後の利下げ幅とペースは重要な問題であり、本記事では米利下げ観測の変化とその要因を解説します。11月に0.25%の利下げ観測がコンセンサスにFRB(連邦準備制度理事会)は9月17-18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を0.5%引き下げ、4.75-5%にすることを決定しました。パウエル議長は会合後に記者会見で、大幅利下げに踏み切った一因は労働市場の力強さを維持するための「再調整」と説明しています。予想外に強かった9月雇用統計ところが、10月4日に発表された9月の雇用統計は、7月と8月の就業者数は合計7.2万人の上方修正され、9月の就業者数の伸びは25.4万人と市場予想を大幅に上回りました。失業率も予想外に4.2%から4.1%に低下し、労働市場の底堅さが示されたことから、10月雇用統計が大崩れしない限り、11月のFOMCでは再び0.5ポイントの大幅利下げには踏み切らず、通常の0.25ポイントの利下げを実施する見方が大勢となりました。その後10月10日に発表された、9月の消費者物価指数(CPI)は市場予想をやや上回る伸びとなりました。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年同月比が3.3%上昇と8月の3.2%上昇から反転し、物価上昇率が順調に低下していない可能性があるとの懸念を生じさせました。一方、同日に発表された週次の新規失業保険申請件数は、ハリケーンなどが影響し、前週比3.3万件増と週間の増加幅としては2021年7月以来最大となりました。ハリケーン「ヘリーン」は米南東部の広範囲で甚大な被害を出し、一部では道路や電力の復旧に苦慮しており、事業回復には時間がかかると想定されています。市場はコアCPIインフレ率の上昇よりも失業保険申請件数の急増を重視し、11月の利下げ確率は約90%に急上昇しました。また、10月の労働市場関連の経済指標には、ボーイング従業員3万3000人が加盟する労働組合による9月のストライキとハリケーンの影響から解釈が難しくなることが指摘されています。利下げ継続に慎重な見方も一部からは、米経済の力強さと根強いインフレによって、年内の利下げはあと1回に留まるとの見通しも出ています。具体的には、10月の雇用統計が比較的力強く、インフレ鈍化の流れが休止する状況が続けば、追加利下げを控える可能性が指摘されています。また、著名エコノミストのエド・ヤルデニ氏は、原油価格が上昇傾向にあり、中国が景気刺激策を打ち出す中で、FRBがさらなる利下げを行えば、インフレを引き起こす懸念があるりFRBは年内の利下げは必要ないという見方を示しています。今後の注目イベント11月1日 雇用統計11月5日 大統領選挙11月6〜7日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合11月13日 消費者物価指数(CPI)12月6日 雇用統計12月11日 消費者物価指数(CPI)12月17〜18日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合

【米国株見通し】S&P500は年末6000突破なるか

【米国株見通し】S&P500は年末6000突破なるか

2024年第3四半期、公益から資本財、金融に至るまで幅広い銘柄が上昇したことにより、S&P500指数は5.5%上昇し、年初来の上昇率は21%に達しました。四半期ベースでは4四半期連続高で2021年以来の長期上昇局面。1-9月の上昇率としては1997年以来の大きさとなります。本記事では、2024年第4四半期の米国株の見通しを紹介し、個人投資家が注目すべき動向を考察します。S&P500、年末6000超えの予想も企業業績が力強く、米経済が十分健全に見えることから、多くの投資家は強気相場が少なくとも年末まで続く可能性が高いと考え、10-12月(第4四半期)は第3四半期と同様にボラティリティーは高いものの、好調さを維持したまま年末を迎えることが予想されています。ゴールドマン・サックス・グループのスコット・ルブナー氏は顧客向けレポートで「年末の米国株の上げは10月28日に開始すると強気にみている。目標の6000が低過ぎるのではないかと懸念している」と述べています。ルブナー氏の算出によると、1928年以降、S&P500は10月27日から平均で約4%上昇する傾向にあり、米大統領選後は株高になりやすいです。また、ブラックロックは顧客向けレポートにおいて「第3四半期のボラティリティは、部分的には景気減速への懸念と連邦準備制度理事会 (FRB) が対応に遅れを取っているのではないかという懸念に起因しており、株式市場の基盤となるファンダメンタルズとはほとんど関係がないと私たちは考えている」と述べています。 ボラティリティが予想される第4四半期足元の米国株に対して慎重な姿勢については、金融政策の不透明感のほか米大統領選挙や中東地域の緊張等、金融市場を取り巻く不確実性を反映しています。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX)は10月1日、一時20.7まで上昇しましたが、投資調査会社CFRAによると、10月の平均ボラティリティーは1945年以降、他の11カ月の平均を34%上回っています。ボラティリティには株価の上昇と下降の両方が伴い、不安をかき立てるものですが、珍しいことではなく、健全な株式をセール価格で買い増す機会となることもあります。ブラックロックの分析によると、VIXが12以下の場合、6か月後のS&P500のリターンは約5%、VIXが29以上に達した場合の6か月後のリターンは16%と、1990年までさかのぼるデータではボラティリティが高いほど短期リターンが高くなることが示されています。試される「ソフトランディング」特に市場心理に影響を与える可能性が高いのは、FRBの利下げ動向です。アナリストらは「ソフトランディングのシナリオや金融緩和継続への期待を後押ししないデータには過敏に反応するだろう」と指摘しており、雇用統計やFRB高官の発言に注目が集まります。10月3日時点のFedWatchでは、11月会合で0.25%の利下げ、12月会合で0.5%の利下げ予想と引き続き積極的な利下げ期待が反映されています。第4四半期注目のイベント10月4日 雇用統計11月1日 雇用統計11月5日 大統領選挙11月6〜7日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合11月14日 エヌビディア(NVDA)決算12月6日 雇用統計12月17〜18日 連邦公開市場委員会(FOMC)会合

投資の基礎知識

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移管してもなくならない?意外と知られていない「NISA口座移管」の真実

移管してもなくならない?意外と知られていない「NISA口座移管」の真実

本記事では、意外と知られていない「NISA口座移管」の仕組みを徹底解説していきたいと思います。NISA口座移管のポイントは、①NISA口座はニーズに合わせて毎年異なる金融機関で開設できる、②一度NISA口座で投資した資産は口座移管してもずっと非課税(実は「移管」してもNISA口座はなくならない)、③政府が金融機関横断でNISA残高を把握するので複数開設しても安心、という3点になります。NISA口座移管のポイントNISA口座はニーズに合わせて毎年異なる金融機関で開設できる「NISA口座は1人1口座」というイメージが強いかも知れませんが、実は「1年間でNISA口座で取引できる金融機関は1つだけ」が制度の正しい説明になります。「NISA口座は1年に1金融機関」なので、毎年NISA口座を移管して、異なる金融機関でNISA口座をいくつも開いていくことも制度上は可能です。NISA口座を利用する金融機関を移管(変更)する理由としては、①「A証券会社で口座開設したが何を買って良いか分からなかったので、もっと分かりやすいB証券会社に移管する」②「C証券会社でおまかせ運用にNISAを使っていたが、個別株も取引したくなったのでD証券会社に移管する」③「E証券会社ではいま投資したい商品がないので、F証券会社に移管する」といったものが考えられます。一度NISA口座で投資した資産は口座移管してもずっと非課税NISA口座は自由に移管できるとして、次に出てくる疑問は「NISA口座を移管した場合、既に投資した資産はどうなるのか?」だと思います。結論から言うと、NISA口座で一度投資した資産は生涯ずっと非課税です(2024年からの新NISAの場合)。つまり、投資した資産から支払われる配当も非課税ですし、売却した際に出てくる利益も非課税です。NISA口座を移管するためには、現在投資しているNISA口座を「廃止」する必要がありますが、これには「勘定廃止」と「口座廃止」の2パターンがあります。「勘定廃止」はNISA口座と残高を残したまま、現在利用中の金融機関でのNISA投資をやめる(=別の金融機関に移管する)もので、この場合だとNISAで投資した資産は引き続き非課税のままとなります。「口座廃止」はNISA口座そのものを廃止するので、現在利用中の金融機関にNISA口座と資産は残りません。「口座廃止」をしたい場合、基本的にはご自身でNISA口座にある資産を売却いただく必要があります。上記から、NISA口座移管の際に「勘定廃止」を選べば、既にNISA口座で投資した資産は非課税のまま以前の金融機関で保有できます。政府が金融機関横断でNISA残高を把握するので複数開設しても安心NISA口座は毎年移管できて、移管することで既に投資した分の節税メリットが失われることがないことまでは分かった上で気になるのが、色々な金融機関でNISA口座を作って投資して、それを忘れてしまうことがないかという点かと思います。前提として、NISA制度の重複利用を防止するため、政府は個人をマイナンバーで紐付けて非課税適用を把握しているので、税務署(国税庁)には誰がどこでNISA口座を開設しているかという情報があります(なので、仮にどこでNISA口座を開いたか忘れても税務署に聞けば教えてくれます)。さらに、新NISA制度では個人の生涯を通じた上限となる買付残高が存在するため、個人の保有残高を政府がクラウドで把握・管理することになります。NISAの生涯残高が上限に達するのは早くても2028年末のため、まだ政府による残高管理は始まっていませんが、2026年を目処に政府のクラウドによる把握・管理が始まるとされています。なので、仮に複数の金融機関でNISA口座を開設・投資して、過去にどこで投資したか忘れてしまった場合でも、政府のクラウドで情報は把握できるので、資産にアクセスできなくなることはないようになっています。NISA口座移管の方法具体的にどのようにしてNISA口座を移管できるかを以下解説します。現在NISA口座を開いている金融機関で「廃止通知書」をもらうまず、現在NISA口座を開いている金融機関にNISA口座を廃止したい旨を伝えて、「廃止通知書」をもらいます。この際、上述したように、既にNISA口座で投資している資産がある場合、資産を維持しつつ「勘定廃止通知書」を貰い、NISA口座を開設したが投資しないでいた場合は「口座廃止通知書」を貰うのがお勧めです。「廃止通知書」は郵送で送られることが多いので、ご自宅で受け取る必要があります。移管する先の金融機関に「廃止通知書」を提出する次に、NISA口座を移管して新たに開設したい金融機関でNISA口座開設の申込みをして、先ほどの「廃止通知書」を提出します。「廃止通知書」が提出できたら、税務署の審査を待って(2週間ほどかかります)、NISA口座の開設が完了します。「廃止通知書」の提出方法は、制度改正があり、2024年からオンラインでも可能になっています。しかし、一部の金融機関では郵送手続きを求められることがあるので、その場合はご自身で送付いただく必要があります。ブルーモ証券では、スマホで「廃止通知書」の写真を撮り、アップロードするだけで提出が完了するようになっています。移管する場合は前年中に作業を終えるように注意「NISA口座は1年に1金融機関」なので、仮にNISA口座を移管しようと思っても、既に元の金融機関でNISA口座を利用していると、その年の間はNISA口座を移管できません。例えば、NISA口座で積立投資を設定していると、1月に元の金融機関のNISA口座にて投資がされた時点でその年はNISA口座が移管できないことになります。NISA制度は、口座移管をスムーズにするため、NISA口座の移管手続きを前年の10月から開始できるようにしています。つまり、移管したい年の1月から積立投資が行われてNISA口座を移管できなくならないように、前年のうちから移管手続きができます。NISA口座を移管される際は、自由に手続きができる「10月〜12月」をひとつのタイミングとして検討されることをお勧めします。ブルーモ証券でも「かんたんNISA」機能を提供ブルーモ証券では、簡単にNISA口座を活用して投資できる「かんたんNISA」機能を提供しており、著名投資家のポートフォリオをコピーしたり、自分の好きな銘柄で組んだポートフォリオで、NISA制度をフル活用することができます。ご関心ある方は、是非以下サイトをご覧ください。

ブルーモで始める、かんたんNISA

ブルーモで始める、かんたんNISA

本記事では、ブルーモのかんたんNISA機能(2024年10月リリース)の使い方を徹底解説します。かんたんNISA機能を使うと、税金がお得にかんたんNISA機能は、これまで通りブルーモで投資をしながら、自動でNISA口座を活用でき、投資リターンにかかる税金を節約できるお得な機能です。そもそもNISA制度とは?NISAとは、証券会社に通常の口座に加えて特別な非課税口座を開設できる制度で、通常の口座でかかる投資リターンに対する税金を一定の範囲で免除(非課税)してくれます。政府が個人の資産運用を促進するために設けた制度で、非課税になることで何かペナルティが発生するわけではないので、積極的に活用したい制度です。2014年から存在した制度ですが、2024年から非課税期間が無期限化して、非課税枠も広がり、さらに有利な制度となりました。新しいNISA制度の詳細は以下からご覧ください。ブルーモのかんたんNISAの特徴ブルーモのかんたんNISAは、ブルーモでNISA口座を開いていると、自動で投資する際にNISA口座を活用してくれます。自分で選んだ銘柄がNISAの対象外だった場合、目標ポートフォリオ編集画面で分かるので、アプリ内の指示に従って編集を進めれば、NISAに最適なポートフォリオを作ることも可能です。また、NISA口座開設の申込みもオンライン完結ですぐ終わるので、気軽にNISA口座を開くことができます(他の証券会社からNISA口座を移管する場合も全てオンライン)。かんたんNISAの完全活用法まずはアプリから口座開設新規に利用される方は通常の口座開設と同時にNISA口座も申込めます。既にブルーモを利用されている方は、アプリ内のNISAボタンをタップするとNISA口座開設に進めます。口座開設申込みには本人確認書類が必要です。口座開設を申込むと税務署の審査を経て、およそ2週間ほどで口座が開設されますので、しばしお待ちください。NISA口座を他社から移管する場合は、事前手続きが必要なのでこちらをご覧ください。目標ポートフォリオをNISAに最適化次に目標ポートフォリオをNISA最適なものにします。NISA口座の開設完了後に目標ポートフォリオを開いていただくと、NISAに最適化できる場合は表示が出るようになります。アプリの指示に従ってポートフォリオを組み替えると、NISA制度をフルに活用できるNISA最適なポートフォリオが完成します。公式ポートフォリオにもNISA最適ポートフォリオをいくつか用意しているので、そちらをコピーして始めることも可能です。つみたて投資設定をしてNISAをフル活用NISA制度の投資枠を有効活用するには、定期入金・投資が必要になります(つみたて投資枠が定期的な投資のみを対象にするため)。NISA口座を開設して、ポートフォリオをNISAに最適化したら、つみたて投資を設定して、定期的にNISAポートフォリオで投資するようにしましょう。既にブルーモを使っている場合は?新しく投資する分はNISA優先にNISA口座の開設が完了すると(2週間ほどかかります)、新たに入金やリバランスで買付する際、NISA口座を優先して割り付けるようになります。特に追加での設定は不要なので、これまでの投資を継続するだけでNISA口座が使われます。既に投資している分はリバランスの際にNISA口座で買い直します既に投資されている分は通常口座での保管のままですので、そのままではNISA口座が適用されません。銘柄を入れ替えてリバランスすると、新規に買付が発生するので、その取引については通常口座の投資分を売って、NISA口座で買い直すことになります。おすすめはNISA最適化の際のリバランスと、つみたて投資設定既にブルーモご利用中の方におすすめなのは、ポートフォリオをNISA最適化する際に一度リバランスをして、それからはつみたて投資設定で投資いただくことです。既に投資されている金額とポートフォリオによっては、完全にNISA口座での買い直しにならないかも知れませんが、徐々にNISA枠をつみたてと合わせて徐々にNISA枠を埋めていきましょう。今後、既に通常の口座で保有している投資分をNISA口座で買い直す機能も検討中なので、アプリのフィードバックボタンから、是非皆さんご意見を聞かせてください。

バリュー投資とグロース投資とは?投資戦略の選び方

バリュー投資とグロース投資とは?投資戦略の選び方

本記事では、バリュー投資とグロース投資について紹介し、投資スタイルの選び方のポイントを解説します。バリュー投資とはバリュー投資は、ウォーレン・バフェット氏も活用する運用手法で、企業の実態に比べて、株価が割安な銘柄に投資する方法です。優良企業なのに市場が注目していない場合や、悪材料の発表に市場が過剰反応した場合、このような状態になります。特徴低PER(株価収益率)や低PBR(株価純資産倍率)の企業を選定配当利回りが高い企業が多い長期的に安定したリターンを期待経済不況時にも安定感を持つメリットリスクが比較的低い: 割安な株を選ぶため、投資資金が減少するリスクが少ない配当収入: 高配当銘柄が多いため、インカムゲインが得られやすいデメリット成長性が低い: 割安な株は成長余地が少ない場合が多く、大きなキャピタルゲインが得られにくい市場評価の遅れ: 真の価値が市場で認められるまで時間がかかることがあるグロース投資とはグロース投資は、企業の売上高や利益が急速に伸びている企業に投資する方法で、株価の上昇から利益を得ることを目指す投資戦略です。マグニフィセント7銘柄への投資など、グロース株にはITや先進技術を扱う企業が多いです。特徴売上高や利益が急速に伸びている企業を選定配当利回りが低い、もしくは無配当の企業が多い長期的に高いリターンを期待市場の景気拡大時に高いパフォーマンスを示すメリット成長性が高い: 高成長企業に投資するため、大きなキャピタルゲインが期待できる市場のトレンドに乗りやすい: 成長株は市場の注目を集めやすく、短期的にも価格上昇が見込まれる。デメリットリスクが高い: 企業の成長が期待通りにいかない場合のリスクが高い配当が少ない: 利益を再投資に回すため、配当が少ないか無配当の企業が多いバリュー投資とグロース投資の選び方バリュー投資とグロース投資はそれぞれ異なる魅力を持っています。バリュー投資は安定性と配当収入を重視し、グロース投資は成長性と高リターンを狙います。どちらの投資戦略が適しているかは、あなたの投資目標やリスク許容度、市場環境によります。以下のポイントを参考に、自分に合った投資スタイルを見つけてください。1. リスク許容度リスクを抑えたい場合はバリュー投資高リターンを狙い、リスクを取れる場合はグロース投資グロース株とバリュー株を比べると、株価の振れ幅はグロース株のほうが大きいです。つまりグロース投資は「ハイリスク・ハイリターン」、バリュー投資は相対的に「ローリスク・ローリターン」といえます。2. 投資期間長期的に安定したリターンを狙うならバリュー投資中長期で大きな成長を狙うならグロース投資バリュー投資は、長期的な視点で見ると、市場の変動に対して安定したパフォーマンスを示しやすい傾向にあります。一方、成長株は市場の注目を集めやすく、短期間で価格が上昇する可能性があります。3. 市場環境金利上昇局面や経済が後退している時期にはバリュー投資金利低下局面や経済成長が期待される時期にはグロース投資高金利環境下では、既に安定した収益を上げている企業が評価されやすく、配当利回りの高い銘柄が魅力的になるため、バリュー投資が有利になります。一方、低金利環境下では、高成長が期待される企業が資金を調達しやすくなり、株価も上昇しやすいため、グロース投資が有利になります。また、景気が拡大している時期には、企業の業績が全般的に好調となるため、グロース投資が有利です。反対に、景気が後退している時期には、安定した収益を上げている企業や割安な株が見直されやすいため、バリュー投資が有利です。不況時には市場全体が下落することが多いですが、バリュー株は比較的安定したパフォーマンスを示すことがあります。

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