投資を学ぶ
「貯蓄から投資へ」「老後2000万円問題」という話を聞くけど、「投資は難しそう」「なんとなく怖い」「なにから学べばいいか分からない」といった人向けに、様々なコンテンツを用意しています。ブルーモと一緒に、投資や金融について学んでいきましょう。
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トランプ大統領が遂に就任し、穏健な関税政策で株価は上昇。日銀は利上げ決定も為替動かず|米国市場サマリー
先週は、トランプ大統領が遂に就任しました。就任後にいくつかの大統領令を出していますが、関税政策は急進的な措置に踏み切らなかったことから、インフレ鈍化・利下げに対するポジティブな印象を市場に与え、株価は上昇し、S&P500は最高値を更新しました。その他、積極的なAIインフラ投資計画も公表しています。為替は、日銀が追加利上げを決定して政策金利が0.5%に設定されるも、市場は既に先週の日銀総裁発言により利上げを織り込んでいたため、今週のドル円相場は動きませんでした。先週の円高進行で、今回利上げの効果は出きった形になります。米国株式市場:トランプ大統領就任、想定より穏健な関税政策にマーケットは好感触で株価上昇1月20日(月) 米国祝日(Martin Luther King Jr. Day)により市場休場1月21日(火) 主要株価指数は続伸し、S&P 500とダウ工業株30種は約1カ月ぶりの高値を記録しました。トランプ大統領が2期目初日に一律関税措置を講じなかったことが安心感を与えた一方、2月1日からカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を検討していると発言しました。この日、工業セクターは2.03%上昇し、3Mが第4四半期の好決算を受けて4.2%上昇しました。Ford Motorは2.5%高、General Motorsは5.7%高となり、自動車メーカー株が買われました。一方、Appleは投資判断引き下げを受けて3.2%下落しました。1月22日(水) S&P 500は日中最高値を更新し、NASDAQは続伸しました。トランプ大統領がAIインフラに最大5000億ドルを投じる計画を発表し、テクノロジー株が上昇しました。NVIDIAとMicrosoftの買いがフィラデルフィア半導体指数を1.7%押し上げました。また、Netflixは第4四半期に過去最高の新規会員数を獲得したことで9.7%上昇しました。ただし、公益事業セクターは2.2%下落し、この日の最大の下げを記録しました。1月23日(木) S&P 500は終値で過去最高を更新しました。トランプ大統領がダボス会議で原油価格と金利引き下げを求めたことが投資家心理を支えました。電力株が上昇し、Constellation Energyが4.1%、AESが3.6%上昇しました。一方で、American Airlinesは2025年の利益見通しが市場予想を下回ったことで8.7%下落しました。医療保険大手Elevanceは好決算を受けて2.7%上昇しました。1月24日(金) 主要株価指数は反落しました。来週のFOMCや主要経済指標への警戒感が高まりました。中古住宅販売は10カ月ぶりの高水準を記録した一方、消費者信頼感指数が6カ月ぶりに低下しました。半導体銘柄が売られ、NVIDIAは3.1%、Texas Instrumentsは7.2%下落しました。また、Boeingは第4四半期決算の大幅赤字警告を発表し、1.4%下落しました。週足では、S&P 500が1.74%、NASDAQが1.65%、ダウが2.15%上昇しました。為替市場:日銀が追加利上げを決定。市場は織り込み済みで為替相場は動かず為替は、24日の金融政策決定会合で日銀が追加利上げを決定し、日銀の政策金利が0.5%になりましたが、大きなドル円の動きにはなりませんでした。市場は前週から日銀の植田総裁による事前コミュニケーションがあったので、先週時点で円高は進んでおり、今週の正式決定は特にサプライズとはなりませんでした。ドル円のオプショントレーダーの間でも、短期的な円高進行は見通されていない模様です。今週のマーケット:M7決算とFOMCに注目今週(2025/1/20-1/24)は、M7のうちApple, Tesla, Meta, Microsoftの4社が決算を迎えます。また、29日にはFOMCが開催され、FRBの追加利下げの有無が市場動向にも影響するので要注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest
【アップル決算みどころ】サービス部門好調も、つづくiPhone販売減少(Apple)
本記事では、アップルの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月30日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約30%上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を下回る見通しで、株価下落10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、iPhone16の販売好調などで売上高が前年同期比6%増と市場予想を上回りました。しかし、同社が控えめな10-12月期の見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$949億(予想:$944億)EPS:$1.64(予想:$1.60) 事業別売上高は、総売上の約半分を占めるiPhoneの売上高が前年同期比5.5%増の462億ドルと市場予想を上回りました。ただし、新型iPhone 16の発売は9月20日と四半期末の約10日前のため、決算に反映されている売り上げは数日分のみになります。一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同12%増の250億ドルと過去最高を記録しましたが、市場予想を下回りました。ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は電話会見で、サービス部門の売上高は10-12月期も引き続き2桁の伸び率となり、2024年度と同程度になるとの見通しを示しています。地域別では、投資家の懸念材料である中国市場の売上高はほぼ横ばいの150.3億ドルでしたが、市場予想を下回り、中国市場での不振が持続する可能性を示しました。10-12月期の注目点:iPhoneの売上見通し2024年10-12月期のアップルの「売上高予想は$1250億、EPS予想は$2.36」、平均目標株価は$247です。つづくiPhone需要への懸念市場調査会社カウンターポイント・リサーチによると、中国での2024年10-12月期のiPhone販売台数は18.2%減少したと推定されており、アナリストによる目標株価の引き下げが相次いでいます。販売低迷については、新型モデル「iPhone 16」の目玉機能であるAI機能「Apple Intelligence」が中国市場で展開できなかったことが主な要因とされ、中国での販売不振により、10-12月期の全世界のiPhone販売台数も5%減少したと見込まれています。一部アナリストは、Apple Intelligenceについて機能の展開と普及が予想よりも遅いため、現行のiPhoneと今後発売される新型モデルの売上高の見積もりが高すぎると指摘するほか、消費者はまだスマートフォンのAIに興味を持っておらず、Apple Intelligenceの展開は段階的に進む可能性が高いと予想されています。しかし、最近の株価下落にはこうした懸念が織り込まれている可能性があり、アップルの株価下落については行き過ぎとする声も上がっています。ゴールドマン・サックスのアナリストは、2025年春の新型Mac、iPad、iPhone SEの発売、そして2025年秋から2026年秋にかけてのiPhone 17/18の新機能への期待論から、市場心理は2025年半ばに改善することを予想しています。一方で、iPhoneに次ぐ収益源であるサービス部門については、引き続き2桁の成長が想定されており、好調な推移は2025年1-3月期まで続くと予想されています。
【メタ決算みどころ】TikTok危機の影響、設備投資の見通しは(META)
本記事では、メタ・プラットフォームズの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月29日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。AIの進歩と好調な広告収益に支えられ、同社の株価は2024年に約65%上昇しました。前期の振り返り:AI支出懸念で株価下落10月30日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、来年にAI関連のインフラ費用の伸びが大幅に加速するとの見通しを示したことから、株価は時間外取引で約3%下落となりました。売上高:$406億(予想:$402億)EPS:$6.03(予想:$5.21) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出しており、2024年7-9月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比7%増加し、広告あたりの平均価格は同11%増加しました。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「当社アプリと事業全般におけるAIの進歩により、好調な四半期となった」と述べ、同社の生成AIモデル「Meta AI」、「Llama」、AI搭載スマートグラスの勢いが増していると指摘しました。また、2024年通年の設備投資見通しは370-400億ドルから380-400億ドルへ更新され、2025年も引き続き設備投資額が大幅に増加するとの予想が示されました。ザッカーバーグ氏は、インフラ支出拡大は「投資家が目先望んでいることではないかもしれない」と述べた上で、「ただ非常に大きな機会が存在していると思っている」と説明しました。10-12月期の注目点:広告収益の伸びと設備投資のコスト圧力2024年10-12月期のメタの「売上高予想は$470億、EPS予想は$6.73」、平均目標株価は$678です。TikTokの不確実性を巡る、広告収益への影響は1月20日トランプ大統領は、TikTokの米国内での禁止措置施行を75日間延期する大統領令に署名しました。アプリが存続するには、TikTok米事業の株式50%を米国の投資家に売却が求められます。アナリストらは、広告主やユーザーがTikTokから離れた場合、メタのInstagram ReelsとYouTubeのShortsが最も恩恵を受けると指摘しており、米国のソーシャルメディア広告費の15%を占めるTikTokの広告予算の一部が流入することで、2025年のメタの広告収入が若干増加すると見込んでいます。モルガン・スタンレーのアナリストは、メタがTikTokで現在費やされている米国ユーザー時間の10%を獲得するごとに、2026年のEPSに30〜60セントが追加される可能性があると試算しており、米国ユーザー時間の半分を獲得した場合には、2026年のEPSに1〜3ドルが追加される可能性が高いと指摘しています。また1月7日には、メタはサードパーティのファクトチェッカーを廃止し、代わりにユーザーが作成したコミュニティノートに置き換えることを発表しており、トランプ氏との関係修復を目指した動きがみられています。2025年の設備投資状況は1月29日の決算発表では10-12月期の業績発表と合わせて、2025年度の経費/設備投資の見通しが発表される予定です。投資家は、2025年のメタの設備投資額が前年比31%増の514億ドルと予想していますが、見通しにサプライズがあれば株価に影響を及ぼす可能性があります。
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もっとみるサンタクロースラリーとは?期待と懸念入り混じる2024年年末相場
2024年、S&P 500指数は今週の大きな下落にもかかわらず、年初来で23%以上上昇し歴史的に好調な年間終値を迎えることが期待されています。本記事では、サンタクロースラリーについて解説のうえ、2024年末の米国株市場見通しについて紹介します。サンタクロースラリーとはサンタクロースラリー(Santa Claus Rally)は、12月の最後の5営業日と翌年の最初の2営業日にかけて株価が上昇する傾向を指し、1950年以来、S&P 500指数はサンタクロースラリー期間中に約80%の確率で上昇し、平均1.3%上昇しています。株価の上昇は、新年を好調なスタートで迎えたいというポジティブ投資家心理や年末調整で株を売った後の買い戻しなどが影響しているとされています。また、機関投資家が休暇期間中に取引を控えことが多く、市場の取引量が減って価格変動への抵抗が少なくなることから、上昇トレンドが生まれやすくなります。2024年は期待と懸念が入り混じる足元では、連邦準備制度理事会(FRB)が12月の会合で今後の利下げペースが鈍化する可能性が示され、米国株式主要3指数はいずれも8月以来の大幅安を記録し、金融市場に動揺が広がっています。市場関係者の間では、12月18日の下落について「市場の過熱感が一部解消され、反発の下地が出来た」という見方もあれば、「下落幅が大きかったため、トレーダーが利益確定を行えば売りがさらに進む可能性もある」という見方もあります。ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのトム・リー氏は、大幅な売りは一時的なものである可能性が高いと予想しています。リー氏は、12月18日にシカゴ・オプション取引所のボラティリティ指数(VIX)が74%急上昇し、史上過去2番目に高い上昇率を記録したことを指摘し、歴史的にVIXが大幅に急上昇した後、株価は1ヶ月以内に回復していると述べています。また連邦準備制度理事会(FRB)の姿勢はよりタカ派的になったものの、FRBは引き続き市場を支援しており、この売りはまたとない買いの機会となると述べています。一方、ドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を受けて11月にS&P 500指数が5.7%、ナスダック総合指数が6.2%、ダウ平均株価が7.5%、小型株のラッセル2000が10.8%上昇したことを踏まえると、2024年は「年末のラリーが12月ではなく11月に早めに到来した可能性がある」と指摘する声もあります。2025年の米国株の見通しについての市場関係者の見方は、以下の記事をご覧ください。
2025年利下げ鈍化見通しで米国株式市場は急落。今後の市場への示唆とは
ブルーモ証券代表の中村です。12月18日のFOMC結果を受け、米国株式市場が大きく下落したので、背景で何が起きているのか・今後の市場への示唆は何かについて解説していきたいと思います。要約すると、2025年の利下げは鈍化見通しとなりましたが、事前にある程度予想されていたので、株式市場に対して継続的な影響があるとは考えにくい内容といえます。ただ、2025年の米国経済がインフレ・高金利環境になる方向性が明確になったことを理解してしておくと良いでしょう。12月FOMCの結果政策金利は引き下げられるも、2025年の利下げ鈍化見通しで株価が急落2024年最後のFOMCが12月18日に開催され、FRBは追加で0.25%の利下げを決定しました。利下げ自体は景気・株価に対してプラスなのですが、今回の利下げは事前に予想されていたため、それ自体が追加で株価上昇の材料になることはなく、同時に公表された2025年の利下げ見通しに注目が集まりました。FRBの2025年の利下げ見通しが、24年9月会合時点での1%から、24年12月会合時点では0.5%に後退しています。これは2025年に想定より利下げが行われないことを意味するので、企業の資金環境に対する追い風の減速懸念から12月18日の市場で株価は大きく下落しました。引用:Marketwatch2025年はインフレ基調とFRBは予想そもそも、FOMCでは四半期に一度(3月、6月、9月、12月)に「経済予想サマリー(SEP, Summary of Economic Projections)」という経済見通し資料をあわせて発表します。これはFOMC参加者の経済予想を集計したもので、実質GDP成長率、失業率、インフレ率、政策金利の見通しの要素を含みます。これらの予測は米経済の情勢を示し、金融政策の方向性を示す重要な指標です。なかでも、米国の短期金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準を点として図示した、「ドットチャート」からは利上げ/利下げ幅を予測できることから市場からの注目が高くなっています。24年12月に公表された経済予想サマリーでは、24年9月に比べて政策金利の分布が3.88-4.12%のレンジに大きくシフト・集中していることが分かります。FRBのその他経済指標の見通しを24年9月と24年12月で比べると、実態経済指標(GDPや失業率)には大きな変化はないものの、インフレ率(PCE inflation rate)の見通しが大きく上がっていることが分かります。つまり、今回のFRB利下げ見通しの後退は、24年9月時点と比べてFRBの米国インフレ率見通しが変わったことが直接の原因と言えます。今後の市場への示唆一時的に株価は下落したが、予想はされていた展開FOMCでの利下げ鈍化見通しはサプライズとして受け取られ、12月18日に株式市場を急落させましたが、FRBは事前にこの方向性を示唆するコメントを出しており、ある程度予想はできていた展開と言えます。2024年11月5日の米大統領戦でトランプ新大統領が当選したことを受け、米経済のインフレ基調は見えていたので、11月15日にFRBパウエル議長は「現在の強い経済状態であればFRBが利下げを急ぐ必要はない」とメッセージを出していました。なので、ある程度サプライズではあるものの織り込まれていたシナリオではあり、今後の株式市場の見通しに与える影響は限定的で、ここから大きく株価が下がり続けるリスクは低いと考えられます。引用:Reutersトランプ新政権でのインフレ・高金利環境がより明確に12月FOMC後の会見で、「FOMC参加者がインフレ率の上振れを予想している理由は大統領選にあるか」と聞かれ、FRBパウエル議長は「実際にそれだけではない」と回答し、足元のインフレ率が高止まりしていることも影響したと説明しています。しかし、11月15日のタイミングでコメントを出したことを考えると、トランプ新政権で予想される政策が大きく影響していることは明らかです。11月5日の大統領選後は、「トランプトレード」と呼ばれる一部銘柄の上昇と、米国株式市場全体の上昇相場が続きましたが、トランプ大統領の政策には関税引き上げが盛り込まれており、インフレ圧力がかかることに注意が必要です。2025年1月20日にトランプ新大統領は就任しますが、2025年はインフレ・高金利環境になる見通しは今回FOMC結果もあり、明確になってきたと言えます。2025年の米国株式市場も上昇基調の強気相場の予想が各社から出ていますが、同時に米国金利も高い状態が続くので、株式市場のパフォーマンスは常に債券金利の水準と比較される環境になると考えられます。
【トランプトレード】トランプ政権で株価上昇の恩恵が期待される銘柄10選
本記事では「トランプラリー」、「トランプトレード」で株価上昇の恩恵が期待される銘柄10選を紹介します。【暗号資産関連銘柄】COIN・MSTR7月末に開催された「ビットコイン2024」カンファレンスにて、トランプ大統領はアメリカを地球上の仮想通貨の首都にし、「戦略的ビットコイン準備金(SBR)」の立ち上げを示唆しました。暗号資産関連規制が緩和されるとの期待から、米大統領選でトランプ氏勝利後の2週間でビットコインの価格は約40%上昇し、仮想通貨関連銘柄も急騰しました。米国を拠点とする暗号資産取引所コインベース・グローバル(COIN)の株価は直近1ヶ月で約65%上昇。ビットコインを購入する会社として広く知られる、マイクロストラテジー(MSTR)の株価は約58%上昇しています。その他注目のビットコイン・暗号資産(仮想通貨)関連株については過去の記事でも解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。【銀行関連銘柄】GS・JPMトランプ政権での金融規制緩和と金利上昇の見方から、銀行の純利息収入が増加するとの期待が強く、銀行株の上昇を後押ししています。ゴールドマン・サックス(GS)の株価は直近1ヶ月で約17.5%上昇。 JPモルガン・チェース(JPM)の株価は約12%上昇し、史上最高値を更新しています。直近では、バイデン政権が掲げてきた反トラスト法(独占禁止法)の規制が緩和される可能性も報道されており、運用緩和が実現した場合、M&A(企業の合併・買収)が活性化し、投資銀行をはじめとするM&A関連銘柄には追い風となります。【ハイテク・工業関連銘柄】TSLA・CAT・RTX大統領選挙でトランプ氏を支援し、トランプ次期政権の「政府効率化省(DOGE)」のトップに就任するイーロン・マスク氏のテスラ(TSLA)は直近1ヶ月で約38%上昇。トランプ氏がEV購入に対する補助金の削減や関税の引き上げを実施すれば、テスラは競争から守られるだろうとアナリストらは指摘しています。また規制緩和と保護関税の見通しが工業株の上昇を後押ししています。産業用機械メーカーキャタピラー(CAT)は直近1ヶ月で約8%上昇。中国市場へのエクスポージャーが限定的であり、国内生産への注力から恩恵を享受する見通しです。同盟国に安全保障政策の負担を求めるとの見方から、防衛株へも資金が流れ込んでいます。地対空ミサイル「Patriot(パトリオット)」、巡航ミサイル「Tomahawk(トマホーク)」などを手掛る、米大手防衛関連企業RTXコーポレーション(RTX)の株価はトランプ氏の勝利後、上場来最高値を記録しました。【石油・天然ガス関連銘柄】XOM・CVXトランプ氏は石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大方針を表明しており、エクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)などの石油生産会社やガソリン車メーカーも恩恵を受ける可能性があります。一部の市場関係者は、石油業界の規制緩和は供給過剰を引き起こし、原油価格を下落させるリスクがあると警告していますが、政策の変更が実際のエネルギー需給に影響を及ぼすには、数年単位の年月を要します。一方で、トランプ氏がイランへの制裁を強化することで、短期的には供給減少で原油価格が急伸する可能性も指摘されています。【小型株】IWM法人税減税や中小企業に対する規制緩和が近づいているとの楽観的な見方を反映し、小型株指数ラッセル2000(IWM)は直近1ヶ月で約10%の上昇となっています。 これらの企業は収益の多くを米国国内で上げているため、保護主義の高まりからも恩恵を受ける可能性が高く、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測も追い風となると予想されています。トランプ銘柄にワンタップで簡単投資?ブルーモ証券の提供する投資アプリ「Bloomo」では、米国株・ETFを組み合わせたポートフォリオで簡単に投資することが可能です。今回紹介したトランプ政権で株価上昇の恩恵が期待される10銘柄から構成された「トランプトレード」ポートフォリオをワンタップでコピーし投資を始めることができ、そこから変更を加えてオリジナルのポートフォリオの作成も可能です。投資信託と同様に日本円を入金するだけで投資ができ、自分でやると面倒なリバランスもワンタップで実行できるので、投資信託に興味がありつつも、自分でも中身をいじりたい方にはおすすめできます。
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もっとみるトランプ大統領が遂に就任し、穏健な関税政策で株価は上昇。日銀は利上げ決定も為替動かず|米国市場サマリー
先週は、トランプ大統領が遂に就任しました。就任後にいくつかの大統領令を出していますが、関税政策は急進的な措置に踏み切らなかったことから、インフレ鈍化・利下げに対するポジティブな印象を市場に与え、株価は上昇し、S&P500は最高値を更新しました。その他、積極的なAIインフラ投資計画も公表しています。為替は、日銀が追加利上げを決定して政策金利が0.5%に設定されるも、市場は既に先週の日銀総裁発言により利上げを織り込んでいたため、今週のドル円相場は動きませんでした。先週の円高進行で、今回利上げの効果は出きった形になります。米国株式市場:トランプ大統領就任、想定より穏健な関税政策にマーケットは好感触で株価上昇1月20日(月) 米国祝日(Martin Luther King Jr. Day)により市場休場1月21日(火) 主要株価指数は続伸し、S&P 500とダウ工業株30種は約1カ月ぶりの高値を記録しました。トランプ大統領が2期目初日に一律関税措置を講じなかったことが安心感を与えた一方、2月1日からカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を検討していると発言しました。この日、工業セクターは2.03%上昇し、3Mが第4四半期の好決算を受けて4.2%上昇しました。Ford Motorは2.5%高、General Motorsは5.7%高となり、自動車メーカー株が買われました。一方、Appleは投資判断引き下げを受けて3.2%下落しました。1月22日(水) S&P 500は日中最高値を更新し、NASDAQは続伸しました。トランプ大統領がAIインフラに最大5000億ドルを投じる計画を発表し、テクノロジー株が上昇しました。NVIDIAとMicrosoftの買いがフィラデルフィア半導体指数を1.7%押し上げました。また、Netflixは第4四半期に過去最高の新規会員数を獲得したことで9.7%上昇しました。ただし、公益事業セクターは2.2%下落し、この日の最大の下げを記録しました。1月23日(木) S&P 500は終値で過去最高を更新しました。トランプ大統領がダボス会議で原油価格と金利引き下げを求めたことが投資家心理を支えました。電力株が上昇し、Constellation Energyが4.1%、AESが3.6%上昇しました。一方で、American Airlinesは2025年の利益見通しが市場予想を下回ったことで8.7%下落しました。医療保険大手Elevanceは好決算を受けて2.7%上昇しました。1月24日(金) 主要株価指数は反落しました。来週のFOMCや主要経済指標への警戒感が高まりました。中古住宅販売は10カ月ぶりの高水準を記録した一方、消費者信頼感指数が6カ月ぶりに低下しました。半導体銘柄が売られ、NVIDIAは3.1%、Texas Instrumentsは7.2%下落しました。また、Boeingは第4四半期決算の大幅赤字警告を発表し、1.4%下落しました。週足では、S&P 500が1.74%、NASDAQが1.65%、ダウが2.15%上昇しました。為替市場:日銀が追加利上げを決定。市場は織り込み済みで為替相場は動かず為替は、24日の金融政策決定会合で日銀が追加利上げを決定し、日銀の政策金利が0.5%になりましたが、大きなドル円の動きにはなりませんでした。市場は前週から日銀の植田総裁による事前コミュニケーションがあったので、先週時点で円高は進んでおり、今週の正式決定は特にサプライズとはなりませんでした。ドル円のオプショントレーダーの間でも、短期的な円高進行は見通されていない模様です。今週のマーケット:M7決算とFOMCに注目今週(2025/1/20-1/24)は、M7のうちApple, Tesla, Meta, Microsoftの4社が決算を迎えます。また、29日にはFOMCが開催され、FRBの追加利下げの有無が市場動向にも影響するので要注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest
CPIはインフレ鈍化傾向を示し、米国株は11月以来の大幅上昇。ドル円は1月利上げ期待で円高|米国市場サマリー
先週は、PPIとCPIがともにインフレ鈍化傾向を示したことで、ソフトランディングとFRB利下げに対する見立てが強まり、米国株は全面的に上昇し、11月以来となる大幅な週間上昇を見せました。決算シーズンは金融機関から始まりましたが、各社好業績で金融セクターの株価が上昇しています。為替は、日銀の植田総裁が1月利上げに前向きな発言をしたことで、市場では日銀の利上げ観測が強まり、米国側でのFRB利下げ観測の強まりもあって、ドル円は円高に大きく動きました。一方、来週の金融政策決定会合で利上げがされなければ、円安に戻す可能性もあるので、要注目です。米国株式市場:CPI結果によるインフレ鈍化で株価は11月以来の大幅上昇、金融セクターが好調1月13日(月) NASDAQは下落した一方で、S&P 500とダウ工業株30種は反発しました。特にUnitedHealth Groupが3.93%上昇し、ダウを押し上げました。バイデン政権が2026年に向けて保険会社への支払いを増やす案を発表したことが背景です。一方で、インフレ懸念や国債利回りの上昇が市場の重しとなりました。エネルギー株は2.25%上昇し、ロシア産原油への制裁強化が原油価格を押し上げました。半面、NVIDIAが1.97%下落、Micron Technologyは4.31%下落し、AI半導体輸出規制強化の懸念が響きました。Modernaは2025年の売上予想を10億ドル引き下げたことを受けて16.8%急落しました。1月14日(火) S&P 500は小幅上昇しましたが、NASDAQは下落しました。この日発表された卸売物価指数(PPI)は予想を下回り、一時的にインフレ懸念を和らげましたが、翌日の消費者物価指数(CPI)の発表を控え、市場は慎重な姿勢を維持しました。Goldman Sachsは決算発表を控えて1.52%上昇した一方で、Eli Lillyは肥満治療薬の売上見通しが嫌気されて6.59%下落しました。また、Boeingはパンデミック以降で最低の年間納入数を発表し、2.08%下落しました。1月15日(水) CPIデータがインフレ懸念をやや和らげたことを受け、主要株価指数が上昇しました。CPIは前年比2.9%上昇し、コアインフレ率は3.2%とわずかに鈍化しました。金融株が市場を牽引し、JPMorgan Chaseが1.97%、Wells Fargoが6.69%、Goldman Sachsが6.02%上昇しました。また、Beige Bookでは緩やかな経済成長と雇用の増加が報告されました。国債利回りが14カ月ぶりの高水準から低下したことも市場を支えました。1月16日(木) 市場は小幅に反落しましたが、企業決算への注目が集まりました。Morgan Stanleyは好調な決算を受けて4.03%上昇した一方で、Appleは中国市場での販売台数減少が響き4.04%下落しました。また、UnitedHealthは決算を嫌気して下落し、ダウの重しとなりました。FRBのChristopher Waller理事が「インフレが引き続き緩和すれば利下げのペースを早める可能性がある」と発言し、市場の関心を集めました。1月17日(金) 主要株価指数は反発し、S&P 500とダウ工業株30種は11月初旬以来最大の週間上昇率を記録しました。NASDAQも12月初旬以来の高値を更新しました。特に金融セクターが堅調で、S&P 500銀行株指数は週ベースで7.41%上昇しました。半導体株も活況を呈し、NVIDIAが3.1%、Intelが9.25%、Broadcomが3.5%上昇し、フィラデルフィア半導体指数は2.84%高となりました。一方で、Meta Platformsは小幅高にとどまりましたが、TikTokの米国内禁止に関する法案の進展が影響しました。為替市場:日銀総裁発言を受けて日銀の1月利下げ観測が広がり、円高が進む為替は、日銀の氷見野副総裁・植田総裁から利上げに対して前向きな発言が出たことから、来週の金融政策決定会合での利上げ観測が高まり、大きく円高に振れました。また、米国側でも、インフレ鈍化の兆しが見えたことで利下げ期待が加速し、円高モメンタムの維持に寄与していると考えられます。ただし、来週のトランプ大統領就任とに日銀金融政策決定会合の内容次第では再び円安に戻す可能性もあるので、要注目です。今週のマーケット:トランプ大統領就任と日銀金融政策決定会合でマーケットはどう動くか今週(2025/1/20-1/24)は、Netflixなど主要企業の決算も始まりますが、トランプ大統領就任による政策発表や、日銀金融政策決定会合で利上げが決定されるかなど、大きなニュースがあるので要注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest
強い経済指標でインフレ懸念、ハイテク株を中心に米国は株安。ドル円も円安がじりじり進む|米国市場サマリー
先週は、公表されたISM非製造業指数や雇用統計が期待を上回る強さで、米国経済のインフレ継続懸念とFRBの利下げ見通しが後退したことにより、全面的な株安となった1週間でした。特に長期金利の上昇により、ハイテク株の株価が大きな影響を受けました。就任を控えてトランプ次期大統領の関税政策にも注目が集まりました。為替は、米国経済のインフレ懸念に伴い、日米金利差の維持が強く意識され、円安に進んだ1週間でした。週の半ばでは一時的にドル円が158円台になるなど、去年7月以来の円安水準となっています。米国株式市場:強い経済指標がインフレ懸念・利下げ遅れ見通しを形成して株価は下落1月6日(月) S&P 500とNASDAQが続伸し、1週間ぶりの高値で取引を終了しました。半導体株が上昇を牽引し、トランプ次期政権の関税政策が予想より限定的になる可能性があるとの報道も追い風となりました。NVIDIA(3.43%高)、AMD(3.33%高)、Micron(10.45%高)などが好調で、フィラデルフィア半導体指数は2.84%上昇しました。一方、主要11セクターのうち7セクターが下落したものの、通信サービスや情報技術は上昇。トランプ氏が関税計画の弱体化を否定したものの、次期政権の政策への懸念はやや緩和されました。1月7日(火) 市場は下落に転じ、S&P 500の大半のセクターがマイナスとなりました。JOLTS(雇用動態調査)やISM非製造業指数が予想を上回る内容となり、インフレ懸念が再燃しました。NVIDIAは6.22%安、Teslaも4%下落。一方、MicronはNVIDIAの次世代チップにメモリーを供給することが報じられ、2.67%上昇しました。10年債利回りが8カ月ぶりの高水準に達し、特にハイテク株が圧迫される展開となりました。1月8日(水) 市場は横ばいで終了。トランプ氏が関税導入のため国家経済緊急事態を宣言する可能性が報じられる中、不安定な動きとなりました。FRBが議事要旨で、物価上昇リスクの増加を指摘する一方、インフレの減速が続く見通しを示したことで市場心理が揺れました。雇用関連データは強弱が混在。量子コンピューティング関連株がエヌビディアCEOの慎重な見通しを受け38%以上急落。eBayはFacebook Marketplaceとの提携試験が好感され9.86%上昇しました。1月9日(木) National day of mourning for Jimmy Carterにより市場休場1月10日(金) 市場は下落し、主要3指数が2週連続でマイナスを記録しました。12月雇用統計で雇用者数が市場予想を上回り、失業率も低下。これがFRBの利下げ見通しを後退させ、市場心理を冷やしました。NVIDIAは3%安、半導体株全体も下落しました。好調な決算を発表したWalgreens Boots Allianceは27.55%急騰した一方、Constellation Brandsは17.09%下落。VIX指数は3週間ぶりの高水準となり、市場のボラティリティが高まりました。為替市場:米国の経済指標を受け、金利差維持が意識されてじりじり円安が進む為替は、米国でインフレ懸念が再燃したことにより、米国金利も上昇し、これを受けてやや円安に進んだ1週間でした。特に、週の半ばでは一時的に158円を超える水準にもなり、去年7月以来の円安水準になっています。足元の円安は投機筋の影響ではなく、実需ベースと見られています。今週のマーケット:高金利でプラス影響を受ける大手金融機関決算に注目今週(2025/1/13-1/17)は、2025年の決算が始まります。金利高止まりで好業績の期待される大手金融機関の決算があるので注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest
米国企業特集
もっとみる【アップル決算みどころ】サービス部門好調も、つづくiPhone販売減少(Apple)
本記事では、アップルの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月30日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約30%上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を下回る見通しで、株価下落10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、iPhone16の販売好調などで売上高が前年同期比6%増と市場予想を上回りました。しかし、同社が控えめな10-12月期の見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$949億(予想:$944億)EPS:$1.64(予想:$1.60) 事業別売上高は、総売上の約半分を占めるiPhoneの売上高が前年同期比5.5%増の462億ドルと市場予想を上回りました。ただし、新型iPhone 16の発売は9月20日と四半期末の約10日前のため、決算に反映されている売り上げは数日分のみになります。一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同12%増の250億ドルと過去最高を記録しましたが、市場予想を下回りました。ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は電話会見で、サービス部門の売上高は10-12月期も引き続き2桁の伸び率となり、2024年度と同程度になるとの見通しを示しています。地域別では、投資家の懸念材料である中国市場の売上高はほぼ横ばいの150.3億ドルでしたが、市場予想を下回り、中国市場での不振が持続する可能性を示しました。10-12月期の注目点:iPhoneの売上見通し2024年10-12月期のアップルの「売上高予想は$1250億、EPS予想は$2.36」、平均目標株価は$247です。つづくiPhone需要への懸念市場調査会社カウンターポイント・リサーチによると、中国での2024年10-12月期のiPhone販売台数は18.2%減少したと推定されており、アナリストによる目標株価の引き下げが相次いでいます。販売低迷については、新型モデル「iPhone 16」の目玉機能であるAI機能「Apple Intelligence」が中国市場で展開できなかったことが主な要因とされ、中国での販売不振により、10-12月期の全世界のiPhone販売台数も5%減少したと見込まれています。一部アナリストは、Apple Intelligenceについて機能の展開と普及が予想よりも遅いため、現行のiPhoneと今後発売される新型モデルの売上高の見積もりが高すぎると指摘するほか、消費者はまだスマートフォンのAIに興味を持っておらず、Apple Intelligenceの展開は段階的に進む可能性が高いと予想されています。しかし、最近の株価下落にはこうした懸念が織り込まれている可能性があり、アップルの株価下落については行き過ぎとする声も上がっています。ゴールドマン・サックスのアナリストは、2025年春の新型Mac、iPad、iPhone SEの発売、そして2025年秋から2026年秋にかけてのiPhone 17/18の新機能への期待論から、市場心理は2025年半ばに改善することを予想しています。一方で、iPhoneに次ぐ収益源であるサービス部門については、引き続き2桁の成長が想定されており、好調な推移は2025年1-3月期まで続くと予想されています。
【メタ決算みどころ】TikTok危機の影響、設備投資の見通しは(META)
本記事では、メタ・プラットフォームズの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月29日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。AIの進歩と好調な広告収益に支えられ、同社の株価は2024年に約65%上昇しました。前期の振り返り:AI支出懸念で株価下落10月30日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、来年にAI関連のインフラ費用の伸びが大幅に加速するとの見通しを示したことから、株価は時間外取引で約3%下落となりました。売上高:$406億(予想:$402億)EPS:$6.03(予想:$5.21) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出しており、2024年7-9月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比7%増加し、広告あたりの平均価格は同11%増加しました。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「当社アプリと事業全般におけるAIの進歩により、好調な四半期となった」と述べ、同社の生成AIモデル「Meta AI」、「Llama」、AI搭載スマートグラスの勢いが増していると指摘しました。また、2024年通年の設備投資見通しは370-400億ドルから380-400億ドルへ更新され、2025年も引き続き設備投資額が大幅に増加するとの予想が示されました。ザッカーバーグ氏は、インフラ支出拡大は「投資家が目先望んでいることではないかもしれない」と述べた上で、「ただ非常に大きな機会が存在していると思っている」と説明しました。10-12月期の注目点:広告収益の伸びと設備投資のコスト圧力2024年10-12月期のメタの「売上高予想は$470億、EPS予想は$6.73」、平均目標株価は$678です。TikTokの不確実性を巡る、広告収益への影響は1月20日トランプ大統領は、TikTokの米国内での禁止措置施行を75日間延期する大統領令に署名しました。アプリが存続するには、TikTok米事業の株式50%を米国の投資家に売却が求められます。アナリストらは、広告主やユーザーがTikTokから離れた場合、メタのInstagram ReelsとYouTubeのShortsが最も恩恵を受けると指摘しており、米国のソーシャルメディア広告費の15%を占めるTikTokの広告予算の一部が流入することで、2025年のメタの広告収入が若干増加すると見込んでいます。モルガン・スタンレーのアナリストは、メタがTikTokで現在費やされている米国ユーザー時間の10%を獲得するごとに、2026年のEPSに30〜60セントが追加される可能性があると試算しており、米国ユーザー時間の半分を獲得した場合には、2026年のEPSに1〜3ドルが追加される可能性が高いと指摘しています。また1月7日には、メタはサードパーティのファクトチェッカーを廃止し、代わりにユーザーが作成したコミュニティノートに置き換えることを発表しており、トランプ氏との関係修復を目指した動きがみられています。2025年の設備投資状況は1月29日の決算発表では10-12月期の業績発表と合わせて、2025年度の経費/設備投資の見通しが発表される予定です。投資家は、2025年のメタの設備投資額が前年比31%増の514億ドルと予想していますが、見通しにサプライズがあれば株価に影響を及ぼす可能性があります。
【マイクロソフト決算みどころ】クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるか(Microsoft)
本記事では、マイクロソフトの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月29日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は、2024年に約12%上昇しましたが、S&P500指数の上昇率を大きく下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド事業が成長鈍化で、株価下落10月30日に発表された2024年7-9月期では、売上高が前年同期比16%増、純利益は同11%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、設備投資額が拡大する一方でクラウド事業の成長は減速するとの見通しが発表されたため、時間外取引で株価が3.6%下落しました。売上高:$656億(予想:$646億)EPS:$3.30(予想:$3.10) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比20%増の241億ドルで、うちAzureの売上高が同33%増と市場予想の32%をやや上回る結果となりました。ただし、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は一部のデータセンター能力が実現しなかったと説明し、これがAzure事業の10-12月期売上高の伸びを抑えるとの見通しを示しました。生産性とビジネスプロセス部門は12%増の241億ドル、個人向けコンピューティング部門は17%増の132億ドルの売上を上げました。また、設備投資額は200億ドルに達し、市場予想の192.3億ドルを上回り、過去最高を記録しました。アナリストらは、マイクロソフトのAIへの投資額は非常に高く、フリーキャッシュフローと利益率へ大きな足かせとなっていると指摘しています。10-12月期の注目点:クラウド部門の成長性と売上高見通し2024年10-12月期の「売上高予想は$689億、EPS予想は$3.13」、平均目標株価は$510です。クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるかマイクロソフトのインテリジェント・クラウド部門は、投資家が最も注目する傾向があり、同社はこれまでAIサービスへの需要が供給能力を上回っていると説明してきました。しかし過去5年間、マイクロソフトの設備投資額は収益よりも速いペースで増加しており、積極的な投資によるコストの増加が収益にとって逆風であると指摘されてきました。アナリスト予想では設備投資額が売上高に占める割合は2025年度は28%となっており、1月3日には、AIモデルのトレーニングや運用などに対応するデータセンターの建設に2025年度に約800億ドル投じる計画が明らかになりました。一方、同社は22日にドナルド・トランプ大統領らが発表したソフトバンクグループとオープンAI、オラクルによるAIインフラ共同出資事業「スターゲート・プロジェクト」のテクノロジーパートナーになっています。マイクロソフトはこれまでオープンAIに約140億ドルを出資していますが、スターゲート・プロジェクトはオープンAIとマイクロソフトの提携内容が見直されたことが示唆されています。市場関係者は、AI関連支出を他の企業に一部転嫁できることから、マイクロソフトにとって好ましい展開であると指摘しています。その他、米ゼネラル・モーターズのロボタクシー事業の撤退を受け、同事業への投資に関連して8億ドルの減損費用を計上することが見込まれており、1株当たり約9セントの利益に影響を与えると予想されています。
経済コラム
もっとみる中立金利とは?米金利高・ドル高は継続の見通し
本記事では、「中立金利」について解説のうえ、米国の中立金利を巡る市場関係者の見方を紹介いたします。中立金利とは中立金利とは、景気が過度な刺激や抑制を受けず、経済が安定して成長するための政策金利水準です。市場では政策金利のターミナルレート(利下げや利上げの終着点)として注目され、政策金利が中立金利を上回る場合は金融引き締め的、下回る場合は金融緩和的となります。米国の中立金利は3%予測米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の誘導目標として設定する政策金利は、FF(フェデラルファンド)レートとして知られ、FRB高官が推定する中立金利は「ロンガーラン」として四半期に一度経済見通し資料で発表されています。2024年は、ロンガーランが四半期予測ごとに上方修正され、12月会合で発表された予測中央値は3%と、前年の2.5%から上昇し、2018年以来の高水準となりました。ロンガーランを3.5%以上と推定するFRB高官の数も6名へと増えました。FRB高官の多くは中立金利について、コロナショック以前の低水準から上昇した公算が大きいとしていますが、最終的にどのような水準に落ち着くかについては不確実性が高まっていると指摘しています。2024年12月会合におけるFRB高官の政策金利見通し | Source: The Federal Reserveまた、トランプ新政権の経済政策の影響について、パウエル議長は「予測に組み込み始めた者もいれば、そうしなかった者もいた」と説明しており、12月の経済見通しでは政策リスクは限定的な織り込みとなっています。ロンガーラン上昇で金利高止まりが意識市場関係者の間では「より高い中立金利に移行」し、すでに政策金利は中立金利に相当近づいたと可能性があると指摘する声が複数上がっています。中立金利の上昇は、利下げペースが緩むだけでなく、政策金利の到達目標であるターミナルレートが上昇するため、利下げの下限が上昇し、金利の高止まりにつながる可能性があることを念頭に置く必要があります。1月8日に開示された12月会合の議事要旨は「委員会は政策緩和のペースを緩めるのが適切な時期にある、もしくは近い段階にあると示唆した」とし、「一部の参加者は、委員会が9月に緩和政策を開始したときよりも政策金利は中立値に大幅に近づいたと指摘した」、「多くの参加者はさまざまな要因によって、今後数四半期の金融政策決定においては慎重なアプローチが必要なことが強調されたと示唆した」と記され、当面の金利据え置きの可能性を示しています。FedWatchによると、議事要旨の発表後の金融市場は、FRBが5月会合までは政策金利の引き下げを見送り、6月会合以降に1回の0.25%利下げを実施するとの見方を織り込んでいます。2025年内に2度目の利下げが行われる可能性は50%程度となっています。対米利差拡大でドル高進展か一方、欧州中央銀行(ECB)は今後4回連続の利下げを予想し、イングランド銀行(英中央銀行)も2025年緩和継続方針を示していることから、市場では各国通貨の対米金利差が拡大し、2025年前半にかけてドル高が全面的に進む可能性が指摘されています。また、トランプ次期大統領の関税引き上げ公約もドル高基調を後押ししていますが、低金利やドル安を志向するトランプ氏がドル高をどれほど許容するのか、けん制に動くのか注目が集まります。2025年のドル円相場見通しについては、以下の記事を合わせてご覧ください。
なぜ米国株は上昇?2025年、個人投資家が注目すべき動向は
2024年、連邦準備理事会(FRB)による利下げ・生成AIブーム・堅調な米国経済を背景に、S&P500指数は年初来23%超で取引を終えました。2023-24年の2年続けての上昇率は約50%と、1990年代後半のドット・コム・バブル以降で最大の大きさとなります。本記事では2024年の米国株市場を振り返り、2025年に個人投資家が注目すべき動向を考察します。利下げ・生成AIブーム・堅調な米国経済の3つが相場を牽引1-3月:利下げ期待主導の市場全体底上げ型上昇2024年第1四半期、S&P500指数は10.2%上昇し、終値ベースで過去最高値を22回更新しました。2023年は「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク株が市場をけん引していましたが、第1四半期はアップルが11%、テスラが30%近く下落する一方で不動産を除く全セクターが上昇し、市場全体底上げ型の強気相場となりました。株価上昇がテクノロジーセクターを超えて広範囲に広がった背景としては、FRBの「年内3回」の利下げ期待があり、米経済がソフトランディングに向かい、企業業績が拡大するとの見通しが高まりました。一方ボトムアップサイドの要因としては、生成AI関連株の活況が挙げられます。第1四半期において、半導体大手エヌビディアは82.2%の上昇を記録し、時価総額が米国市場3位まで急浮上しました。その他AI事業に積極的なマイクロソフトや、アマゾン、メタプラットフォームズの年初来上昇率もS&P500をを上回る伸びを見せ、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの分析では、S&P500指数の第1四半期の上昇分の半分近くがこの4社で占められたとされています。4-6月:利下げ期待が後退し、ハイテク大手へ資金集中4月の下落と5-6月の力強い上昇を経て、第二四半期にS&P500指数は3.9%上昇しましたが、第1四半期の強気市場とは異なり、一部のハイテク銘柄のみが上昇に寄与する相場となりました。4月に発表された雇用統計や消費者物価指数(CPI)などの経済指標がインフレの根強さを示し、さらに第1四半期の国内総生産(GDP)速報値が市場予想を大きく下回る結果となったことから、米国経済のインフレ再燃やスタグフレーション懸念が浮上し、株価は値下がりに転じました。しかしその後、CPIが市場予想を下回るなどインフレの鈍化を示す材料が出始め、上昇基調に回帰しました。7-9月:ボラティリティが続くも、上昇継続第3四半期は、公益から資本財、金融に至るまで幅広い銘柄が上昇したことにより、S&P500指数は5.5%上昇し、四半期ベースでは4四半期連続高で2021年以来の長期上昇局面に達しました。7月前半は上昇基調が持続しましたが、7月17日以降は割高感のある大型グロース株から割安感のあるバリュー株や中小型株に投資資金がシフトする動きが、特に情報技術セクターで顕著に見られました。その後、8月に発表された7月の雇用統計が市場予想より悪かったことで米景気が悪化すると懸念され、ダウ平均は1000ドル以上下落と市場心理は一気にリスク回避に傾きました。しかし、低調な雇用統計の背景としてハリケーンの影響があったとの疑いが根強く、その後経済の底堅さを示す経済指標の発表が相次いだほか、FRBのパウエル議長が9月の利下げ開始を示唆したことで相場は急回復しました。9月にはFRBが0.50%の利下げを実施しました。年内さらに利下げが続く見通しに加え、第3、第4四半期の企業利益も過去最高となることが見込まれ、株価は上昇しました。10-12月:大統領選で上昇も、利下げ鈍化見通しで株価調整第4四半期は、ドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を受けて、11月に金融・エネルギー・工業株・一般消費財セクターを中心にS&P 500指数が5.7%上昇。しかし、FRBが12月会合で2025年の利下げが鈍化する見通しを発表し、株式市場は大きく下落。四半期全体ではわずか1.9%の上昇にとどまりました。2025年、個人投資家は何に注目すべきか?FRBの利下げ動向FRBが12月会合で発表した経済見通し資料では、2025年内での2回の0.25%利下げ予想が示されました。一方、1月6日時点のFedWatchによると、金融市場はFRBが1月会合では政策金利の引き下げを見送り、3月会合以降に1回の0.25%利下げを実施するとの見方を織り込んでいます。一部の市場関係者は、FRBの金融政策が「休止段階」に入っており、休止状態が長引くほど、市場は利上げと利下げを同程度に織り込む可能性が高いと指摘しており、すでに政策金利は中立金利に近づいたと考える向きもあります。トランプ次期大統領の政策また金融市場では、1月20日の大統領就任初日にトランプ氏が打ち出す大統領令に注目が集まっています。移民政策からエネルギー政策、暗号資産政策等、少なくとも25の大統領令を発表すると予想されています。市場関係者の多くは、トランプ氏が計画する政策が米経済に及ぼす影響については大きな不確実性を伴うと指摘していますが、直近では新政策がインフレに与える影響は「比較的小さい」という楽観的な見解も示されています。これまでに報道されているトランプ氏の公約・主張には以下のような内容が挙げられます。減税法人税を21%から15%に引き下げ中間層向けの減税株式売却益の減税関税引き上げ貿易相手国に一律10%の関税中国からの輸入品には追加で10%の対中関税を導入メキシコとカナダからの輸入には25%の関税石油・天然ガス産業の推進、パリ協定から離脱米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の2026年5月の任期満了を認める方針今後の注目のイベント1月10日 雇用統計1月15日 消費者物価指数(CPI)1月20日 トランプ大統領就式1月28〜29日 連邦公開市場委員会(FOMC)2025年の米国株の見通しについての市場関係者の見方は、以下の記事をご覧ください。
【2025年ドル円相場見通し:後編】日本のマクロ環境は円高への追い風を作りきれないか。2025年末で155円予想
こんにちは。ブルーモ証券代表の中村です。本記事では、前回記事で紹介した市場関係者の2025年末ドル円相場見通しに対して、筆者の予想とその根拠を解説していきたいと思います。結論としては、日本のマクロ環境は円高への追い風を作りきれないまま、米国側での高金利は続くので、現状の円安環境は来年も続くと考えています。よって、ドル円相場のレンジとしては145-165円、中央値としての相場見通しは155円と予想します。なお、本記事は筆者が財務省で勤務した経験に基づき、「政策当局で自分が担当だったらこういう方針にする」という目線で予想を立てているもので、政策当局に対する具体的なヒアリングに基づくものではないことを申し添えておきます。おさらい:市場関係者による2025年末の米ドル円相場見通し主要金融機関による2025年末の米ドル円相場見通しみずほ銀行:154(11月29日時点)三菱UFJ銀行:148(11月29日時点)三井住友銀行:133-149(12月20日時点)野村證券:140(12月6日時点)りそなHD:140(12月9日時点)ゴールドマン・サックス:159(11月14日時点)JPモルガン:148(12月17日時点)モルガン・スタンレー:138(11月14日時点)日本のマクロ環境はどこまで円高に追い風か2025年中には日銀の利上げが想定され、財務省も行き過ぎた円安に対して為替介入を行う可能性がありますが、どちらも効果は限定的と見ています。金利を上げきれない日本銀行日銀は金融緩和を段階的に終わらせ、金融引き締めに向かっていますが、長らくゼロ金利・マイナス金利の緩和的環境を続けた日本経済が「金利ある環境」に戻るハードルは高いです。現在の日本のマクロ経済は消費者物価が上昇基調にあるため、金利が上がっても生活実態との乖離は小さいのですが、金利が上がることによる政府部門に対する影響が懸念されます。国の借金である国債残高は現在1100兆円を超えており、政府予算に占める国債の償還金・利払い費は既に一般会計予算の1/4程度になっています。金利が上がると国債費が膨張し、政府はさらに国債を発行して資金調達をする必要に迫られます。資料:財政に関する資料(財務省)政府が国債発行すると、市中銀行がその国債を買いますが、これまでは日銀が緩和政策を取っていたため、市中銀行はすぐに国債を日銀に売却できました。しかし、日銀が金融引き締めに入ると国債の買い取り額が減るため、市中銀行の国債保有残高は急増し、それをどこまで消化可能なのかという問題に直面します。資料:東京財団日本国債の需要が市場で低迷すると、金利はさらに上昇することになるので、国内のマクロ経済環境は意図せず悪化します。東京財団の研究では、政策金利が1%程度にとどまった場合でも、10年金利が7%を超えるシミュレーションも出ています。資料:東京財団このシナリオは日銀も避けたいところなので、国債の市中消化をさらに求めることになる政府の財政悪化は日銀にとっても懸案事項となります。結果、日銀は政府の財政政策と協調しながら利上げをしていくことになり、日本政府がすぐに増税して国債以外での歳入増を図る道筋が見えない中では、利上げによるマクロ経済的リスクは高く、中々踏み込んだ利上げは難しい構造になっています。このため、日本の政策金利が1%を超える水準になるのはだいぶ先になるのではないか(そこまで引き上げるのは無理ではないか)というのが、筆者の見立てです。財務省の為替介入は投機的取引の牽制に使われるが、為替水準への決定打にならないドル円相場に対するもう一つの決定要因が財務省の為替介入です(筆者の古巣で、関係者は大体過去に一緒に仕事をした仲間でもあります)。前提として、財務省の為替介入はファンダメンタルズに逆らって為替水準を決定できるほどの効果はなく、主には投機的取引による相場撹乱を抑えるために実行されます(そもそも相場操縦的な為替介入は国際ルールで禁止されています)。2024年の為替介入も、円キャリー取引が活発化した中で、そうしたヘッジファンドの動きを止める意味合いもあって実行されました。とはいえ、為替水準として異常値と見られる相場レンジはあり、現状だと160-165円がひとつの目安になると思われます。この水準を超えてくる場合、投機筋の動きなどをより財務省も見るようになり、為替介入の確度が高まることになります。よって、財務省の為替介入はドル円のレンジに対して円安方向の限界値を形成するような効果があるものの、大きく円高に流れを変えるほどの効果はないと筆者は見ています。高金利環境の続く米国一方、米国側は新政権の政策方針が生むマクロ環境と、再度の利上げ環境に追い込まれたくないFRBの思惑が交差し、当面は高金利環境が続くと想定されます。トランプ政権での高関税・インフレは既定路線に2024年12月のFOMCで発表された経済見通しサマリーで、FRBは2025年のインフレ率上振れを予想していますが、トランプ政権での関税政策や積極的な財政政策などの影響で、米国のインフレ圧力が強まるトレンドは確定しています。トランプ大統領の任期は最短でも2025年から29年までなので、当面の経済環境としてインフレ圧力が続くと市場は見通しています。FRBはソフトランディングが見えれば利下げを止めるFRBはというと、パウエル議長の悲願であったソフトランディング(景気後退せずにインフレを抑制する)に対して、実体経済側の懸念は薄まりつつあるので、積極的に利下げを打ち出すモメンタムはなくなっています。むしろ「インフレを抑制できたか」が課題で、仮にインフレ率がさらに上振れすることになると、逆に再度の利上げなども検討せざるを得なくなり、マクロ経済環境に混乱をもたらします。FRBとしては利上げ検討が必要な環境にしたくないはずなので、利下げは2025年の早期に手仕舞いとなり、当面は金利を維持して様子見すると考えられます。むしろ、2026年の利下げも現在の予測通りに実行されるか怪しい環境だと筆者は考えています。
投資の基礎知識
もっとみる【新NISA】一括投資と毎月積立どちらがいい?メリットとデメリットを解説
本記事では、一括投資と毎月積立のメリットとデメリットを紹介し、新NISAでの実践方法を解説します。新NISA制度(少額投資非課税制度)の概要については、以下の解説記事をご覧ください。一括投資と毎月積立のメリットとデメリット一括投資は早期投資でリターンを最大化特徴投資資金を一度に全額投入運用成果が短期的には投資タイミングに依存メリット市場上昇時の利益最大化: 相場上昇する局面では高いリターンを得やすいデメリットタイミングリスク: 投資時期が市場のピーク付近の場合、大きな損失を被る可能性がある資金拘束: 一度に大きな資金を投資するため、流動性が低下一括投資は、リスクを許容しながら、将来の市場上昇を見越して積極的にリターンを追求したいと考える投資家に適しています。世界最大級の資産運用会社Vanguardによると、1976年から2022年にかけて一括投資は積立投資(ドルコスト平均法)と比べて約68%の確率で高い年間リターンを達成しています。これは市場が上昇傾向にある場合、より早く投資資金を市場に投入することでリターンを最大化できるためです。また、ポートフォリオに占める株式の比率が高いほど一括投資の優位性は大きくなります。毎月積立は投資のリスクを分散特徴一定額を定期的に投資投資タイミングが分散され、購入単価が平準化メリットリスク分散: 株価に関係なく投資するため、価格変動リスクを軽減デメリット上昇相場でのリターン低下: 一括投資と比べて、市場が継続的に上昇している場合はリターンが低くなる資産形成に時間がかかる: 投資額を積み上げるのに長期間を要する一方で積立投資は、投資タイミングを分割することで短期間の市場変動リスクを軽減し、特に市場が急落した場合に、一括投資よりもリターンが良いことがあります。そのため、市場の変動に対して冷静でいたい人や、短期損失やリスクを抑えつつ長期的に安定した資産形成を目指す投資家に向いています。新NISAでの一括投資と毎月積立の実践方法年間投資枠は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」で計360万円新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。つみたて投資枠は、金融庁の基準を満たした投資信託について購入できる枠で、年間投資枠は「120万円」までです。一方、成長投資枠は、投資信託のほか個別株等も購入できる枠で、年間投資枠は「240万円」までです。新NISAで一括投資できるのは、成長投資枠のみつみたて投資枠は積立での投資を前提とされており、原則毎月10万円が上限となっています。そのため、年間投資枠を一括投資することはできません。成長投資枠については、一括投資と積立投資どちらも利用可能なため、年間投資枠の240万円までは一括投資できます。毎月積立する場合は月額30万円まで毎月積立を実践したい方は、つみたて投資枠の10万円と成長投資枠の20万円を合計した30万円までは新NISAで毎月積立投資が可能です(ボーナス月を設定した場合は、年間投資枠の範囲内で追加買付が可能)。ブルーモ証券では、毎月のつみたて投資を設定すると、自動で月々の投資額をつみたて枠と成長投資枠の1:2の比率に分けて買付を行うため、意識せずともNISA枠が効率的に埋まるように投資ができます。ブルーモ証券のかんたんNISAの詳細についてご関心のある方は、以下をご覧ください。
出金はいつしたら良い?長期資産形成を成功させるためのコツ
資産運用で利益が出ると、「利益を確保して出金したい」「損失が出る前に売ってしまいたい」と感じる方も多いかもしれません。しかし、長期的に資産を増やす観点から考えると、短期的な利益確定には慎重な判断が必要です。以下に、出金を検討するときに思い出したい、資産運用を成功させるための3つの重要なポイントを詳しく説明します。1. 利益確定によるデメリットを理解する資産がプラスに転じると、売却してその利益を確定したくなるものですが、長期的に資産を成長させるためには、短期の利益確定にはいくつかのリスクとデメリットがあります。税金が発生する資産を売却して利益が出た場合、約20%の税金が利益から差し引かれます。その結果、再投資する際の元本が減り、資産を成長させるための複利効果も小さくなります。長期的な運用を目指すのであれば、売却せずに資産を保有し続けることで、税金の支払いを先送りし、資産が複利で成長する恩恵を最大限に受けることができます。タイミングの見極めが難しい短期的な利益確定では、相場の上昇・下落を予測して適切なタイミングを見極める必要があり、これはプロであっても容易ではありません。売却した後に相場がさらに上昇することも多く、保有し続けていれば得られたはずのリターンを逃してしまう可能性が高くなります。こうした理由から、長期的な視点で持ち続けるほうが、安定した成長を期待できます。複利効果を失う複利の力は、長期的に資産運用を続けることで最大限に発揮されます。利益確定によって出金を繰り返すと、その都度複利効果が断たれ、最終的なリターンが小さくなりがちです。資産を保有し続け、再投資することで「利益が利益を生む」サイクルを活かすことができ、長期的に安定した資産成長が期待できます。たとえば、10年間5%の複利で運用した場合、元本は1.63倍になりますが、毎年の利益確定があるとこの成長は抑えられます。出金の判断は慎重に行い、複利の力が長期的に働くことで資産を着実に増やしていくことを意識しましょう。2. 出金は「本当に必要なときに、必要な分だけ」に留める資産運用の基本方針として、出金のタイミングを「資金が本当に必要なとき」に限定するのが賢明です。急な出費や緊急の資金が必要な場合には、必要な額だけを引き出し、残りの資産はそのまま運用を続けることが、資産成長を最大化する上で大切です。出金をこのように「必要最小限」に留めることで、資産が運用される時間を長く保ち、最終的なリターンを大きくすることができます。3. 短期の相場変動を気にしすぎない資産運用をしていると、短期的な相場変動によって一喜一憂しがちですが、こうした変動に過剰に反応することは、長期的な成長の妨げになりがちです。人間は、「利益があるうちに確保したい」「損失をできるだけ避けたい」という心理が強く働くため、少しでも相場が上昇すると利益確定したくなり、逆に下落すると早めに売却したくなる傾向にあります。しかし、こうした感情的な反応が続くと、資産運用の本来の目標である「長期的な資産成長」に悪影響を及ぼす可能性が高まります。たとえば、過去30年間で米国株(S&P500指数)は平均年率8%で成長してきましたが、年ごとのリターンはプラスとマイナスの変動がありました。長期的に見れば、リーマンショックやコロナショックのような大きな下落も、運用を続けることで回復し、その後の成長を享受することができたケースが多くあります。まとめ:出金は生活の必要ベースにして、長期目線の運用を続ける資産運用で利益が出たときに出金したくなる気持ちは自然なものですが、長期的な資産成長を目指すなら、短期的な利益確定は慎重に検討すべきです。「本当に必要なときに必要な分だけ出金し、それ以外は淡々と運用を続ける」ことで、資産が複利の恩恵を最大限に活かして成長しやすくなります。短期の変動に囚われず、計画に沿った運用を続けることで、最終的な資産成長が期待できるでしょう。
移管してもなくならない?意外と知られていない「NISA口座移管」の真実
本記事では、意外と知られていない「NISA口座移管」の仕組みを徹底解説していきたいと思います。NISA口座移管のポイントは、①NISA口座はニーズに合わせて毎年異なる金融機関で開設できる、②一度NISA口座で投資した資産は口座移管してもずっと非課税(実は「移管」してもNISA口座はなくならない)、③政府が金融機関横断でNISA残高を把握するので複数開設しても安心、という3点になります。NISA口座移管のポイントNISA口座はニーズに合わせて毎年異なる金融機関で開設できる「NISA口座は1人1口座」というイメージが強いかも知れませんが、実は「1年間でNISA口座で取引できる金融機関は1つだけ」が制度の正しい説明になります。「NISA口座は1年に1金融機関」なので、毎年NISA口座を移管して、異なる金融機関でNISA口座をいくつも開いていくことも制度上は可能です。NISA口座を利用する金融機関を移管(変更)する理由としては、①「A証券会社で口座開設したが何を買って良いか分からなかったので、もっと分かりやすいB証券会社に移管する」②「C証券会社でおまかせ運用にNISAを使っていたが、個別株も取引したくなったのでD証券会社に移管する」③「E証券会社ではいま投資したい商品がないので、F証券会社に移管する」といったものが考えられます。一度NISA口座で投資した資産は口座移管してもずっと非課税NISA口座は自由に移管できるとして、次に出てくる疑問は「NISA口座を移管した場合、既に投資した資産はどうなるのか?」だと思います。結論から言うと、NISA口座で一度投資した資産は生涯ずっと非課税です(2024年からの新NISAの場合)。つまり、投資した資産から支払われる配当も非課税ですし、売却した際に出てくる利益も非課税です。NISA口座を移管するためには、現在投資しているNISA口座を「廃止」する必要がありますが、これには「勘定廃止」と「口座廃止」の2パターンがあります。「勘定廃止」はNISA口座と残高を残したまま、現在利用中の金融機関でのNISA投資をやめる(=別の金融機関に移管する)もので、この場合だとNISAで投資した資産は引き続き非課税のままとなります。「口座廃止」はNISA口座そのものを廃止するので、現在利用中の金融機関にNISA口座と資産は残りません。「口座廃止」をしたい場合、基本的にはご自身でNISA口座にある資産を売却いただく必要があります。上記から、NISA口座移管の際に「勘定廃止」を選べば、既にNISA口座で投資した資産は非課税のまま以前の金融機関で保有できます。政府が金融機関横断でNISA残高を把握するので複数開設しても安心NISA口座は毎年移管できて、移管することで既に投資した分の節税メリットが失われることがないことまでは分かった上で気になるのが、色々な金融機関でNISA口座を作って投資して、それを忘れてしまうことがないかという点かと思います。前提として、NISA制度の重複利用を防止するため、政府は個人をマイナンバーで紐付けて非課税適用を把握しているので、税務署(国税庁)には誰がどこでNISA口座を開設しているかという情報があります(なので、仮にどこでNISA口座を開いたか忘れても税務署に聞けば教えてくれます)。さらに、新NISA制度では個人の生涯を通じた上限となる買付残高が存在するため、個人の保有残高を政府がクラウドで把握・管理することになります。NISAの生涯残高が上限に達するのは早くても2028年末のため、まだ政府による残高管理は始まっていませんが、2026年を目処に政府のクラウドによる把握・管理が始まるとされています。なので、仮に複数の金融機関でNISA口座を開設・投資して、過去にどこで投資したか忘れてしまった場合でも、政府のクラウドで情報は把握できるので、資産にアクセスできなくなることはないようになっています。NISA口座移管の方法具体的にどのようにしてNISA口座を移管できるかを以下解説します。現在NISA口座を開いている金融機関で「廃止通知書」をもらうまず、現在NISA口座を開いている金融機関にNISA口座を廃止したい旨を伝えて、「廃止通知書」をもらいます。この際、上述したように、既にNISA口座で投資している資産がある場合、資産を維持しつつ「勘定廃止通知書」を貰い、NISA口座を開設したが投資しないでいた場合は「口座廃止通知書」を貰うのがお勧めです。「廃止通知書」は郵送で送られることが多いので、ご自宅で受け取る必要があります。移管する先の金融機関に「廃止通知書」を提出する次に、NISA口座を移管して新たに開設したい金融機関でNISA口座開設の申込みをして、先ほどの「廃止通知書」を提出します。「廃止通知書」が提出できたら、税務署の審査を待って(2週間ほどかかります)、NISA口座の開設が完了します。「廃止通知書」の提出方法は、制度改正があり、2024年からオンラインでも可能になっています。しかし、一部の金融機関では郵送手続きを求められることがあるので、その場合はご自身で送付いただく必要があります。ブルーモ証券では、スマホで「廃止通知書」の写真を撮り、アップロードするだけで提出が完了するようになっています。移管する場合は前年中に作業を終えるように注意「NISA口座は1年に1金融機関」なので、仮にNISA口座を移管しようと思っても、既に元の金融機関でNISA口座を利用していると、その年の間はNISA口座を移管できません。例えば、NISA口座で積立投資を設定していると、1月に元の金融機関のNISA口座にて投資がされた時点でその年はNISA口座が移管できないことになります。NISA制度は、口座移管をスムーズにするため、NISA口座の移管手続きを前年の10月から開始できるようにしています。つまり、移管したい年の1月から積立投資が行われてNISA口座を移管できなくならないように、前年のうちから移管手続きができます。NISA口座を移管される際は、自由に手続きができる「10月〜12月」をひとつのタイミングとして検討されることをお勧めします。ブルーモ証券でも「かんたんNISA」機能を提供ブルーモ証券では、簡単にNISA口座を活用して投資できる「かんたんNISA」機能を提供しており、著名投資家のポートフォリオをコピーしたり、自分の好きな銘柄で組んだポートフォリオで、NISA制度をフル活用することができます。ご関心ある方は、是非以下サイトをご覧ください。