Library

ライブラリー

ブルーモで始める、かんたんNISA

ブルーモで始める、かんたんNISA

本記事では、ブルーモのかんたんNISA機能(2024年10月リリース)の使い方を徹底解説します。かんたんNISA機能を使うと、税金がお得にかんたんNISA機能は、これまで通りブルーモで投資をしながら、自動でNISA口座を活用でき、投資リターンにかかる税金を節約できるお得な機能です。そもそもNISA制度とは?NISAとは、証券会社に通常の口座に加えて特別な非課税口座を開設できる制度で、通常の口座でかかる投資リターンに対する税金を一定の範囲で免除(非課税)してくれます。政府が個人の資産運用を促進するために設けた制度で、非課税になることで何かペナルティが発生するわけではないので、積極的に活用したい制度です。2014年から存在した制度ですが、2024年から非課税期間が無期限化して、非課税枠も広がり、さらに有利な制度となりました。新しいNISA制度の詳細は以下からご覧ください。ブルーモのかんたんNISAの特徴ブルーモのかんたんNISAは、ブルーモでNISA口座を開いていると、自動で投資する際にNISA口座を活用してくれます。自分で選んだ銘柄がNISAの対象外だった場合、目標ポートフォリオ編集画面で分かるので、アプリ内の指示に従って編集を進めれば、NISAに最適なポートフォリオを作ることも可能です。また、NISA口座開設の申込みもオンライン完結ですぐ終わるので、気軽にNISA口座を開くことができます(他の証券会社からNISA口座を移管する場合も全てオンライン)。かんたんNISAの完全活用法まずはアプリから口座開設新規に利用される方は通常の口座開設と同時にNISA口座も申込めます。既にブルーモを利用されている方は、アプリ内のNISAボタンをタップするとNISA口座開設に進めます。口座開設申込みには本人確認書類が必要です。口座開設を申込むと税務署の審査を経て、およそ2週間ほどで口座が開設されますので、しばしお待ちください。NISA口座を他社から移管する場合は、事前手続きが必要なのでこちらをご覧ください。目標ポートフォリオをNISAに最適化次に目標ポートフォリオをNISA最適なものにします。NISA口座の開設完了後に目標ポートフォリオを開いていただくと、NISAに最適化できる場合は表示が出るようになります。アプリの指示に従ってポートフォリオを組み替えると、NISA制度をフルに活用できるNISA最適なポートフォリオが完成します。公式ポートフォリオにもNISA最適ポートフォリオをいくつか用意しているので、そちらをコピーして始めることも可能です。つみたて投資設定をしてNISAをフル活用NISA制度の投資枠を有効活用するには、定期入金・投資が必要になります(つみたて投資枠が定期的な投資のみを対象にするため)。NISA口座を開設して、ポートフォリオをNISAに最適化したら、つみたて投資を設定して、定期的にNISAポートフォリオで投資するようにしましょう。既にブルーモを使っている場合は?新しく投資する分はNISA優先にNISA口座の開設が完了すると(2週間ほどかかります)、新たに入金やリバランスで買付する際、NISA口座を優先して割り付けるようになります。特に追加での設定は不要なので、これまでの投資を継続するだけでNISA口座が使われます。既に投資している分はリバランスの際にNISA口座で買い直します既に投資されている分は通常口座での保管のままですので、そのままではNISA口座が適用されません。銘柄を入れ替えてリバランスすると、新規に買付が発生するので、その取引については通常口座の投資分を売って、NISA口座で買い直すことになります。おすすめはNISA最適化の際のリバランスと、つみたて投資設定既にブルーモご利用中の方におすすめなのは、ポートフォリオをNISA最適化する際に一度リバランスをして、それからはつみたて投資設定で投資いただくことです。既に投資されている金額とポートフォリオによっては、完全にNISA口座での買い直しにならないかも知れませんが、徐々にNISA枠をつみたてと合わせて徐々にNISA枠を埋めていきましょう。今後、既に通常の口座で保有している投資分をNISA口座で買い直す機能も検討中なので、アプリのフィードバックボタンから、是非皆さんご意見を聞かせてください。

FRBが0.5%の利下げを決定し、株価上昇でS&P500は最高値。日銀は政策金利維持で円安へ|米国市場サマリー

FRBが0.5%の利下げを決定し、株価上昇でS&P500は最高値。日銀は政策金利維持で円安へ|米国市場サマリー

先週は、FRBが0.5%の大幅利下げを決定したことから、米国経済のソフトランディング見込みが高まり、株価は全体的に上昇してS&P500は最高値を更新しています。また、FANG+構成銘柄が変更され、TeslaとSnowflakeが外れました。為替は、日銀が政策金利を維持したことと、FRBが今後の緩和を急がないとの見通しを示したことで、日米金利差縮小の見通しが弱まり、円安が進行しました。米国株式市場:FRBが0.5%の大幅利上げを決定し、ソフトランディング見込みが強まる9月16日(月) 米国株式市場は、ハイテク株の売りが影響し、NASDAQが下落しました。特にAppleが2.78%下落し、新型iPhoneの需要低迷の懸念が響きました。半導体株も下げ、NVIDIAが1.95%、Broadcomが2.19%下落しました。市場は、17-18日のFOMC会合でのFRBによる0.5%の利下げへの期待が高まりました。Intelは国防総省の支援を受けて6.36%上昇しました。一方、エネルギーや金融セクターはそれぞれ1%以上上昇し、市場全体を支えました。9月17日(火) S&P 500は一時上昇し、取引中に最高値を付けましたが、終値はほぼ横ばいとなりました。8月の小売売上高が市場予想を上回り、経済の堅調さを示しました。市場はFOMC会合での0.5%利下げを約65%織り込みました。Microsoftは自社株買いを発表し、0.88%上昇しました。エネルギーセクターは原油価格の上昇を背景に1.41%上昇し、S&P主要セクター中最大の上昇となりました。小型株のRussell 2000は0.74%上昇しました。9月18日(水) 米国株式市場は小幅安で終了しました。FRBが17-18日のFOMCで4年半ぶりの0.5%の利下げを決定し、政策金利を4.75%-5.00%に引き下げました。パウエル議長は、インフレ率が目標の2%に向かっていると述べつつ、年内に追加利下げの可能性を示唆しました。市場は一時1%近く上昇しましたが、その後は下落に転じました。ラッセル2000指数は小幅上昇し、地方銀行株も堅調に推移しました。9月19日(木) ダウ工業株30種とS&P 500は最高値を更新しました。FRBが0.5%の利下げを行ったことが市場に好意的に受け止められ、投資家心理が改善しました。新規失業保険申請件数が予想外に減少し、労働市場の強さを示しました。ハイテク株では、Teslaが7%超、AppleとMetaが約4%上昇し、NVIDIAも4%上昇しました。これにより、フィラデルフィア半導体指数が4.3%上昇しました。小型株や地方銀行株も上昇し、市場全体に好調な流れが続きました。9月20日(金) 市場は横ばいで取引を終えましたが、ダウは再び最高値を更新しました。スポーツ用品大手Nikeが新しいCEOを発表し、6.84%上昇しました。S&P 500の他のセクターは控えめな動きでしたが、公益事業セクターが2.69%上昇しました。Intelは買収報道を背景に3.31%上昇し、ダウ平均を支えました。また、この日は「トリプルウィッチング」と呼ばれる先物・オプション取引の期限日で、出来高が増加し、ボラティリティが高まりました。FRBの利下げが0.5%と大幅だったことと、各種経済指標も経済の堅調さを示す内容だったことから、週間を通して株価は上昇しました。FRBの0.5%利下げは事前にかなり織り込まれていたものの、市場が消化したタイミングで大きな株価上昇の後押しになりました。また、FANG+の構成銘柄が9月のリバランスで変更となり、TeslaとSnowflakeが外れ、新たにCrowdStrikeとServiceNowが追加されました。為替市場:日銀は政策金利維持を決定し、円安が進む為替は、FRBのパウエル議長が今後の緩和を急がないメッセージを出したことに加え、日銀が金融政策決定会合で政策金利維持を決定したことで、日米金利差縮小に対する見通しが弱まり、円安が進行しました。今週のマーケット:利上げ後の株価推移に注目今週(2024/9/23-9/27)は、実体経済関連の指標が公表され、FRBの利上げで確度が高まったとされる米国経済のソフトランディングに対する見通しがどう変化するかに注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

なぜ大幅利下げも円安・株価下落?先行き不透明も米国株は緩やかな上昇期待

なぜ大幅利下げも円安・株価下落?先行き不透明も米国株は緩やかな上昇期待

FRB(連邦準備制度理事会)は9月17-18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を0.5%引き下げ、4.75-5%にすることを決定しました。18日の米金融市場では一時株高や円高・ドル安が進む場面がありましたが、米株相場は下落して終え、為替も142円台に反発しました。本記事では、大幅利下げも株安・円安となった背景を解説します。0.5ポイントの利下げも、見通しは市場期待とずれ会合後に公表された経済見通し資料では、年内の利下げ幅見通しについて19名のFOMC参加者のうち10名が少なくとも0.5%の追加利下げを支持していることが示されたものの、0.25%以内でも十分という参加者も9名おり、意見の相違が見られました。9月会合で発表されたドットチャート(出典: SEP)一方、市場の一部では2025年末にかけてより積極的な利下げ予想があり、市場予想よりも控えめな利下げ見通しを受けて、投機勢による円買いポジションの解消や利確が生じ、為替や株の変動が大きくなったと考えられています。パウエルFRB議長は、今回の0.5%の引き下げについては労働市場の冷え込みを回避するためのリスク管理であり、先行き同様のペースで緩和を進めるわけではないとの旨の発言もしており、今後のデータ次第で利下げペースを速める方向・落とす方向のいずれにも柔軟に対応する姿勢を示しました。9月19日時点のFedWatchでは、11月会合で0.25%の利下げ、12月会合で0.5%の利下げ予想と積極的な利下げ期待が反映されています。一部アナリストは「今後は市場の期待とFRBのせめぎ合いとなり、どちらが正しいかを決めるのはインフレデータではなく雇用データとなるだろう」と指摘。次回11月会合までに雇用統計の発表は2ヶ月分控えています。米国株は緩やかな上昇が期待また、9月会合の結果発表後に実施した「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査では、今回の利下げによりソフトランディングの可能性が高まり、米国株は年内に緩やかに上昇するとの見方が示されました。調査回答者のうち、44%が18日の終値から6%未満の上昇、37%は6%を超える上昇を予測。6%の上昇は、S&P500指数の今年これまでの上昇ペースとほぼ一致します。残りの19%は下落の見通しを示しました。株価上昇に対する慎重な期待は、金融政策の不透明感のほか米大統領選挙や地政学リスク等、金融市場を取り巻く不確実性を反映しています。

【コストコ決算みどころ】好業績期待も株価に割高感か(Costco Wholesale)

【コストコ決算みどころ】好業績期待も株価に割高感か(Costco Wholesale)

本記事では、会員制量販店のコストコ・ホールセール(COST)の2024年第3四半期決算を振り返り、9月26日に控える2024年第4四半期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約37.9%上昇し、S&P500指数の上昇率の約2倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を上回る好業績5月30日に発表された2024年第3四半期決算では、売上高が前年同期比9.1%増、純利益が同29%増と市場予想を上回る結果となりました。ガソリン価格と為替調整後の既存店売上高は6.5%増加し、Eコマースも20.7%増加しました。会員費を含む総収入:$585.2億(予想:$581.3億)EPS:$3.78(予想:$3.71) 好調をけん引するのは、2023年から販売を開始した「金の延べ棒や銀貨」や世界中から集めた輸入品など、コストコならではユニークな商品であり、同社は毎月2億ドル(305億円)相当の金の延べ棒と銀貨を販売しています。ロン・ヴァクリス最高経営責任者(CEO)は、「スポーツ用品、玩具、家具、家庭用品、これらすべての分野が現在非常に好調」、「商品の継続的イノベーションがコストコの顧客たちをワクワクさせ続けている」と述べています。第3四半期末の有料会員数は前年比8%増の7,450万人。昨年の会員更新率は米国とカナダで93%と好調で、世界全体でも90%を超え、会員の満足度を維持しています。また会員制モデルで顧客が比較的な裕福なコストコは、消費支出の後退の影響をさほど受けておらず、競合のターゲットやウォルマートのような広範な値下げを行わずに競争力を維持するとしています。第4四半期の注目点:好業績期待も株価に割高感か2024年第4四半期のコストコの「総収入予想は$801.5億、EPS予想は$5.07」、平均目標株価は$897です。投資家の懸念は株価収益率の高さコストコは1998年以来、ほぼ毎年10%を超えるROIC(投資資本利益率)を達成している、歴史上最も好成績を収める銘柄のひとつです。一方、同社の株価収益率(PER)は約56倍とS&P500の中で最も高価な小売株であり、業界平均より約60%高く、2位のアマゾンより29%高くなっています。割高な株価に対する懸念にもかかわらず、同社の8月の世界売上高が7.1%増、米国売上高が6.7%増となったことを受けて、アナリストらは売上高の勢いが強く、食品以外の分野でも前向きな傾向にあるとして、目標株価を相次いで引き上げました。エバーコアISIのアナリストは、コストコの米国売上高は「米国全体の小売売上高の2倍の伸び」であると指摘しています。モルガン・スタンレーのアナリストはコストコの目標株価を855ドルから950ドルに引き上げ、現在の株価収益率は高いが、同社の成長原動力は持続可能であるため、目標株価は達成可能な水準であるとの考えを示しています。7年ぶりの年会費引き上げまた、コストコは米国とカナダの顧客を対象に9月1日から年会費を7年ぶりに引き上げました。ゴールドスター会員とビジネス会員は年間60ドルから65ドルに、エグゼクティブ会員は年間120ドルから130ドルとなります。会費の引き上げは約5200万人の会員に影響し、その半数強がエグゼクティブ会員です。コストコは小売売上高が好調であることを強調していますが、同社の粗利益率は12~13%とウォルマートの約半分の低い利幅で販売しているため、会費は利益成長の鍵となっています。

物価水準は概ね予想通りでFRBの9月利下げが確実視。米国株は反発もあり大幅上昇|米国市場サマリー

物価水準は概ね予想通りでFRBの9月利下げが確実視。米国株は反発もあり大幅上昇|米国市場サマリー

先週は、前週の大幅下落に対する反発上昇から始まり、CPIとPPIが概ね予想通りの水準だったことから、今週のFOMCでのFRBの利下げが確実視され、株価は大幅上昇して1週間を終えました。NVIDIA株も急回復しました。為替は、日銀追加利上げとFRBの利下げ幅拡大が意識され、円高が進んでドル円は140円台になった1週間でした。米国株式市場:CPIが予想通りの水準で9月利下げが固まり、株価は大幅上昇9月9日(月) 米国株式市場は主要3指数が1%以上反発しました。前週の大幅な売りに対し、投資家の安値拾いの買いが広がりました。特に、前週15.3%下落したNVIDIAが3.5%上昇しました。市場は、11日に発表される消費者物価指数(CPI)や来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を注視していました。S&P 500の11セクターすべてが上昇し、特に一般消費財セクターが1.63%の上昇で市場をリードしました。9月10日(火) S&P 500は小幅に上昇し、ダウ工業株30種は下落しました。エネルギーセクターが1.9%の大幅下落となり、OPECが2024年と2025年の石油需要見通しを下方修正したことが影響しました。また、Goldman SachsとJPMorgan Chaseは業績見通しの悪化を発表し、金融セクター全体が下落しました。9月11日(水) 米消費者物価指数(CPI)が予想通りの結果となり、NVIDIAが8%急伸しました。米政府がNVIDIAに対してサウジアラビアへの先端チップ輸出を許可する検討をしているという報道が材料視されました。S&P 500の主要セクターでは、情報技術セクターが3.3%上昇し、一般消費財も1.3%上昇しました。9月12日(木) 8月の卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことで、FRBが25ベーシスポイントの利下げを実施するとの見通しが強まりました。この日の市場では、より景気に敏感な小型株が優位に立ち、Warner Bros. Discoveryが10.4%上昇するなど、通信サービスセクターが2%の上昇率を記録しました。一方、Modernaは売上見通しの下振れにより12.4%急落しました。9月13日(金) 主要3指数が続伸し、投資家はFRBの大幅利下げの可能性に注目しています。Uberは自動運転車の導入計画を発表し、6.4%上昇しましたが、Adobeは業績予想の下振れにより8.5%下落しました。先週の大幅下落の反動から、今週は反発上昇からスタートし、さらにCPIが予想通りの結果だったことからFRBの利下げが確実視されたことで株価はさらに上昇しました。先週大幅下落したNVIDIAの株価も急回復を見せました。為替市場:FRBの利下げ幅拡大を意識して今週も円高が進む為替は、日銀の追加利上げ観測とFRBの利下げ幅が広がる可能性を市場が意識したことから、今週も円高が進み、ドル円は140円台まで進みました。株式市場と比べても、為替市場は日米金利水準の縮小を意識しやすい動きが続いています。今週のマーケット:FOMCでついに利下げ決定されるか今週(2024/9/16-9/20)は、FOMCが開催され、FRBから利下げ発表がされる見通しです。市場は既に0.25%の利下げを織り込んでいると見られますが、コロナショック以来の利下げにどう反応するか要注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

景気動向が鍵?利下げが株価に与える影響

景気動向が鍵?利下げが株価に与える影響

FRB(連邦準備制度理事会)が9月のFOMC(連邦公開市場委員会)にて利下げ転換に踏み切ることが市場で広く予想されています。本記事では「利下げが米国株に与える影響」について解説します。ソフトランディングか景気後退か短期金利の引き下げにより企業や消費者の借り入れコストが下がり、理論的には利下げ後は株価が好調になるとされています。しかし、過去の主要な利下げサイクルを振り返ると市場の反応は様々であり、今後の株価動向を理解するにはFRBが金利を引き下げた背景を考察する必要があります。FRBが経済をコントロールし、ソフトランディングを実現したと市場が認識した場合、株価は堅調に推移することが期待されます。しかし、FRBが景気後退のリスクを受けて反動的に金利を引き下げていると捉えられた場合、株価は調整局面に入ることが考えられます。直近の経済指標のほとんどが米経済の底堅さを示していることから、多くのアナリストやエコノミストにとってソフトランディングは基本シナリオとなっています。7月・8月と予想を下回る雇用統計が発表されたことから景気後退懸念も再燃していますが、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、今後1年間に米国が景気後退に陥る可能性は20%と予想しています。市場の関心は「FRBがどの程度利下げを進めていくか、景気がどの程度のペースで減速するか」であり、ソフトランディングになるのかハードランディングになるのかになるのか見極めている状況にあります。大幅利下げにはリスク懸念の声も9月13日時点のFedWatchでは、9月会合で0.25ポイントの利下げを織り込んでいるほか、11月と12月会合の両方で0.5ポイントの利下げを予想しています。一部アナリストは、9月会合で0.5ポイントの利下げに踏み切った場合、米経済の健全性について懸念を生み出す可能性があると指摘します。これは1990年以降のFRBの5回の利下げサイクルのうち、0.5ポイントの利下げでサイクルを開始した2回(2001年と2007年) はいずれも景気後退が続いたためです。またFRB高官の一部は、早計な金融緩和によるインフレ上振れリスクへの懸念を示しています。企業収益や経済動向にも注目一方、2024年のFRBの利下げ幅が市場予想を下回ったとしても、必ずしも株価にとって悪いことではないとの声もあります。ヤルデニ・リサーチのストラテジストは、金利変化よりも企業利益の方が将来の株式市場のリターンを予測する上で信頼できる指標であり、経済成長が予想以上に強く、労働市場の指標もそれほど悪くなく、消費者支出も引き続き増加している環境では、利益が伸び続ける中で株価の上昇余地が広がると述べています。

米大統領選挙で株価上昇が期待されるセクターは?

米大統領選挙で株価上昇が期待されるセクターは?

本記事では、ハリス氏対トランプ氏の接戦が予想される大統領選動向について解説のうえ、過去の選挙結果とセクター別パフォーマンスの関係について紹介いたします。大統領選のアノマリー(規則性や傾向)については過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。討論会後、支持率は再び横並びに9月10日夜に行われた、カマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領による第1回大統領候補討論会を受けて、大統領選動向への注目が高まっています。討論会はハリス氏が勝利したという見方が多く、市場は討論後ハリス氏に有利な兆候を示しました。しかし、世界最大の予想賭博市場である「Polymarket」によると、現在ハリス氏の支持率は50%、トランプ氏は49%と引き続き1ポイント差の接戦となっており、選挙情勢や市場への大きな影響は生じていません。ストラテジストによると、討論会前後のオプション市場ではS&P500は±1.1%の変動しか織り込まれておらず、今回の結果は比較的低いボラティリティーが見込まれていたことと一致しています。税金や関税についての議論は限定的また、株式投資家にとって最大の関心事である税金や関税に関する方針について討論会ではあまり言及がなかったことも指摘されています。ゴールドマン・サックス・グループによると、法人税率を現在の21%から15%に引き下げるトランプ氏の税制案ではS&P500構成企業の利益が約4%押し上げられ、一方法人税率を28%に引き上げるハリス氏の案ではS&P500構成企業の利益を約8%減少させる可能性があると試算しています。関税については、トランプ氏は全ての貿易相手国に一律10%の関税と中国からの輸入には60%超える対中関税を導入する方針を打ち出しています。2回目の討論会は開催されない可能性もハリス陣営は、10月に2回目のテレビ討論会を希望していますが、トランプ氏は11日朝、FOXニュースの番組にて討論会の司会者は不公平と述べ、討論会をもう一回行う気はあまりないと示唆しています。選挙結果とセクター別パフォーマンスネッド・デービス・リサーチ(Ned Davis Research)の調査によると、1972年からの大統領任期全体のデータを見ると、民主党の大統領候補が勝利した後の最初の数ヶ月間は景気循環株が他のセクターを上回り、共和党の勝利後はディフェンシブ株が最も好調でした。景気循環株とは、景気動向によって業績が大きく変動する銘柄を指し、ディフェンシブ株とは、ヘルスケアや生活必需品といった経済全体の状況に関係なく一定の需要と安定した収益がある銘柄を指します。民主党政権下では情報技術と工業セクターが優れたパフォーマンスを誇り、ダウ工業株30種平均を83%上回りました。一方、共和党政権下ではヘルスケアセクターのパフォーマンスが良く、ダウ平均を75%上回りました。ただし、ネッド・デイビス・リサーチは、今年はハリス氏・トランプ氏の両候補とも薬価の抑制に取り組んでおり、選挙結果にかかわらずヘルスケア業界は苦戦する可能性があると指摘しています。大統領選は、考慮すべきリスクの一つアナリストらは、政治ニュースで市場は変動するものの、常に多くの変数が相互作用しており、大統領選はあくまで考慮すべき多くの事柄のうちの1つと捉えています。特に今年は、米経済の不確実性やFRB(米連邦準備理事会)の政策変更に直面し、株式市場のリスクが高まっています。相場が不安定となっても、資産運用の王道である「長期・積立・分散」の原則に従うことが資産運用を成功させるためのコツとなります。「トランプトレード」やトランプ氏再選が米国株市場に与える影響についても過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。

それでも米国株は魅力的か?米国株投資の強みとリスク

それでも米国株は魅力的か?米国株投資の強みとリスク

直近の株価と為替の急変動を見て、今後の資産運用に不安を感じる方もいると思います。足下の相場変動から少し距離をおいて考えると、米国株投資には①イノベーションの中心地としての恩恵、②株主還元の徹底した経済構造、③マクロ経済の頑健性といった強みがあり、いくつかのリスクはあるものの、他のアセットクラスと比較しても引き続き長期投資のコアとしての優位性はあると考えられます。2024年はAIブーム、FRB利下げ、米国景気後退懸念、大統領選、日銀利上げと大きなイベントが続き、相場が急変動しやすい環境が続いています。新NISAで投資を始めた方で日々不安に感じている方も多いと思うので、本記事では改めて米国株投資の強みとリスクについて解説していきたいと思います。米国株投資の強みまず、米国株投資を魅力的にさせている、米国経済のファンダメンタルな(本質的な)強みを解説します。要約すると、①イノベーションの中心地として米国の代替先がないこと、②株主還元の徹底した経済構造、③内需と利下げ余地に支えられたマクロ経済の頑健性が強みと考えています。イノベーションの中心地として米国の代替先がない皆さんの日々の生活を支えている半導体・OS・クラウドインフラ・SNS・検索サービスなど、情報社会のインフラは、Alphabet, Amazon, Microsoft, Apple, Meta, NVIDIAといった米国のテクノロジー企業に独占されています。さらに次の技術革新と言われるAIや自動運転の研究開発も米国がリードしており、この領域でも米国企業が付加価値の大部分を取っていきそうな情勢です。生成AIではChatGPTのOpenAIやClaudeのAnthropicは米国企業ですし、自動運転の最先端はTeslaとAlphabetの子会社Waymoが走っています。こうしたイノベーションが生まれる土台になっているのは、世界から人材を集める米国の教育・雇用システムと、シリコンバレーを中心としたITスタートアップのエコシステムです。米国のトップ大学は世界から優秀な人材を集めつつ、移民社会がチャレンジする活力を生んでいます。私のスタンフォードMBA時代の同級生も、移民の両親が機械工をしながら教育に力を入れた結果、スタンフォード大学→CIA→業界トップのVC(かつスタンフォードMBAを働きながら取得)という成功したキャリアを移民2世として築いていました。ITスタートアップのエコシステムはここで語り尽くせないですが、上場株にも関係する話としては、スタートアップのM&Aが活発なところが大きな特徴です。Cisco, Salesforce, Adobeといった企業は老舗ですが、新興テック企業を買収することで持続的な成長に成功しています。こうした資金循環がスタートアップのチャレンジを加速しつつ、上場企業の技術進歩にも貢献していると言えます。少し前までは中国のテック企業の成長が凄まじく、世界を中国企業が席巻するのではないかと言われましたが、その後グローバルに広がる様子は見えず、イノベーションの世界は米国の一極構造が続いています。イノベーションの中心地として米国を代替できる存在が見えてこない中では、世界全体での技術進歩の果実を米国が最も大きく享受する構造が続き、米国企業の成長率への追い風は変わらないと言えます。株主還元の徹底した経済構造米国の資本市場(=機関投資家・ファンド)は企業に株主還元を強く求めるため、上場企業で非効率な経営は放置されず、経営陣の交代も頻繁に起きます。こうした経営の効率化に加え、成長投資のない内部留保や余剰アセットの保有を企業に許さないプレッシャーがかかり、利益の株主への配当還元も優先されます。成熟した米国よりも経済成長率が高い国もありますが、新興国では経済成長の果実を投資家が得る前に、政府が取っていったり(国有企業などがある場合)、消費者に配分されるケース(価格統制など行われた場合)も見られます。例えば、中国経済は過去5年間で年間平均5%弱で成長していますが、中国の代表的な株式指数の1つである上海総合指数は過去5年間で9%も下落しています。投資先企業に対する影響力が皆無の個人投資家にとって、激しい競争の中で全ての株主に対して全力で還元してくれる米国企業は、お得な投資先と言えるでしょう。内需と利下げ余地に支えられたマクロ経済の頑健性グローバルで稼げるテクノロジー企業の成長を背景に、米国の内需も活発です。こうした内需が非テクノロジー企業の業績向上にも貢献し、経済全体が強い状態が続いています。経済が強すぎるが故に、米国は高いインフレを引き起こし、2022年頃から大規模な金融引き締めが進んで現在に至ります。足下では金融引き締めが効果を出して、インフレ鎮静化傾向が見えてきたのですが、同時に製造業中心に企業業績にも翳りが見えています。これが景気後退懸念として、2024年の米国株式市場を不安定化させている大きな要因です。しかし、現状FRBはまだまだ金利引き下げの余地を残しており、経済を刺激できる状態です。インフレ鎮静化と景気拡大の継続を両立する「ソフトランディング」を実現することをFRBとして目指していますが、仮に一時的な景気後退に入ったとしても、利下げで景気回復を進められる見通しは高いと言えます。こうしたマクロ経済の頑健性が、金融危機やコロナショックのタイミングと異なり「出口の見えない不透明性」を排除しているのも強みです。米国株投資のリスク為替変動の影響は一旦考慮せず(直近では日本株相場も円高の時に下がる傾向にあり、米国株投資だけの話でもないため)、米国株相場の観点から米国株に投資することのリスクを解説します。短期的なリスク:高まりすぎた期待値との調整短期的な市場変動は、企業業績や米国経済全体の成長といったファンダメンタルズ(本質)では決まらず、株式市場の需給で決まります。これを大きく左右するのが、アクティブに運用している機関投資家やヘッジファンドです。米国株式市場の短期的な変動は大手投資家のセンチメント(今後の市場動向に対する見立て・温度感)が大きな要因となり、その方向性次第で短期的な株価下落のリスクがあります。2023年後半からの米国株市場は、Magnificent7と言われる大型テクノロジー企業7社に資金を入れておけば上がっていく相場環境で、短期的・裁量的な売買を繰り返すヘッジファンドも「Magnificent7のロング(長期保有)」戦略を取っていました。こうした資金集中が2024年の大型テクノロジー株の上昇を支えていた面もあるので、この高まりすぎた期待値が修正され、ヘッジファンドの資金が離れると短期的には株価が下落するリスクがあると言えます。しかし、こうした株価下落は短期動向なので、企業業績が健全に伸びていれば一定の株価上昇は見込めるものとして、心配しすぎることはないと言えます。中期的なリスク:米国経済の景気後退局面中期的なリスクとしては、米国経済が金融引き締め後のソフトランディングに失敗し、景気後退局面入りすることです。以前に記事でもまとめていますが、景気後退入りした場合、平均10ヶ月間程度は株価の上がりにくい状態が継続することになります。FRBが利下げをするのは確定路線なので、焦点となるのはFRBの利下げスピードです。インフレを沈静化しつつも、縮小しつつある米国景気の底上げに間に合うかどうかが今後の大きなポイントになります。利下げは2025年にかけて行われると予想されるので、市場予測ベースでは2025年中までに45%程度の確率で景気後退入りするリスクがあると見積もれば良いでしょう。長期的なリスク:テクノロジーでの敗北長期投資目線で最も注目すべきなのは、米国株投資の強みの源泉であるイノベーションの中心地としての地位が今後も安泰かという点です。今後、他の国や地域が世界の技術進歩をリードするようなトレンドが生まれれば、その地域により重点的に資産を配分した方が有利となります。長期的なリスクなので、はっきりと顕在化したタイミングを言えるわけではありませんが、以下のようなポイントに注目しておくと良いでしょう。まず、日常生活の前提となっているテクノロジーやサービスに占める米国企業の割合が減っていかないかという点です。例えば、クラウドサービスやモバイルOSに米国企業以外の大手テクノロジー企業が占める割合が増えてきたら、それは危険な兆候といえます。次に、大きな技術革新のタイミングで米国以外のテクノロジー企業が台頭してこないかという点です。過去の米国経済の急成長は、GAFAをはじめとした現在の大型テクノロジー企業の台頭で説明されるため、次世代のこうした企業が米国から出続けなければ、長期的な成長に翳りが出ると考えられます。運用先として他のオプションはあるのか株式指数の間での比較過去10年、過去5年での各国指数の推移を下記で計算しました。過去10年では、NASDAQ>S&P500・ブラジル株式・インド株式>日経平均>ヨーロッパ株式>中国株式過去5年では、インド株式>NASDAQ>S&P500>日経平均>ヨーロッパ株式>ブラジル株式>中国株式という結果になりました。株式で見ると米国株・インド株への投資リターンが最も高かったことになります。IXIC:NASDAQ、SPX:S&P500、NIKKEI:日経225、SX5E:ユーロ株式指数、DAX:ドイツ株式指数、HSI:香港ハンセン指数、NIFTY:インド株式指数、IBOV:ブラジル株式指数10年推移(2015/3/10-2024/9/9)5年推移(2019/12/31-2024/9/9)アセットクラス横断の比較また、他のアセットクラスとして、債券や不動産のような商品で固定利回りを得ると考え、安定利回りとして年率+3%くらいをベースレートとしておくと、5年間で+16%、10年間で+34%くらいの成長率になります。S&P500の成長率は過去5年で+69%、過去10年で+167%なので、株式は価格変動があり短期ではロスが出ることもありつつ、長期の運用では固定利回り商品に比べて大きな差がつくことになります。全く違う観点で金に投資すると考えてゴールドETFの値動きを見ると(計測期間は先ほどの株式指数比較と同じ)、過去5年間で+62%、過去10年間で+107%と、この期間でのリターンはS&P500には及ばないものの、実はかなり良かったことになります。結論:長期投資のコアは米国株優位で揺るがず過去リターンの結果からは、一部の新興国や金は有力なオプションにもなりつつ、米国株のリターンの高さが際立っていました。このことから、短期的な安定性を求める(=近いタイミングでの取り崩し・出金を考えている)場合以外は、米国株がリターンの観点からは有利だったと言えます。今後の見通しについては、長期的な成長性や経済構造⁨⁩は強いので、それが崩れるかどうかだけを見ておけば(特にイノベーションの中心地としてのポジション)、米国株を長期投資のコアとして据えることに、十分な優位性があると考えられます。

FANG+とは?構成銘柄の選定基準や過去リターンを徹底解説

FANG+とは?構成銘柄の選定基準や過去リターンを徹底解説

本記事では、「FANG+」指数の構成銘柄や比率、銘柄の入れ替え基準と入れ替え時期、過去のパフォーマンスについて詳しく解説します。FANG+とは「FANG(ファング)」とは、もともと2015年に株式評論家ジム・クレイマー氏によって作られた造語でFacebook(現Meta Platforms)AmazonNetflixGoogle(Alphabet傘下)の4銘柄の頭文字を意味します。これらの銘柄に、世界の時価総額上位2銘柄であるアップル、マイクロソフトを含む6銘柄を加えた大型テクノロジー10銘柄に10%ずつ等配分投資をする株価指数がFANG+指数で、米インターコンチネンタル取引所(ICE)が2017年9月26日から提供を開始しました。構成銘柄と入れ替え基準構成銘柄の入れ替えは四半期ごとに行われ、3月、6月、9月、12月の第3金曜日の後に変更が適用されます。銘柄はFANG(メタ、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット)、アップル、マイクロソフトの6銘柄を主軸とし、残り4銘柄は以下の要素に基づいてランク付して抽出され、現在は半導体大手のエヌビディアとブロードコム、サイバーセキュリティのクラウドストライク、業務SaaSのサービスナウが選出されています。時価総額(35%の重み)平均日次取引高(35%の重み)売上高対株価比率(15%の重み)1年の売上成長率(15%の重み)2024年9月にちょうど変動4銘柄の組み替えがあり、電気自動車のテスラ、データプラットフォームのスノーフレークが落とされ、クラウドストライクとサービスナウが新たに組み込まれました。過去には、中国のアリババやバイドゥ、Twitter(現X)、 アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)なども選出されていました。過去のパフォーマンスICEの分析によると、NYSE FANG+指数は2014年9月19日から 2024年8月30日までの期間に年率27.62%のリターンを上げています。一方、同期間のNASDAQ-100は18.18%、S&P 500は12.99%、S&P 500情報技術セクターは22.06%のリターンとなっており、他の主要な米国指数を一貫して上回っています。出所:ICEFANG+にワンタップで簡単投資?ブルーモ証券の提供する投資アプリ「Bloomo」では、米国株・ETFを組み合わせたオリジナルなポートフォリオで簡単に投資することが可能です。今回紹介したFANG+のポートフォリオをワンタップでコピーし投資を始めることができ、そこから変更を加えてオリジナルのポートフォリオの作成も可能です。投資信託と同様に日本円を入金するだけで分散投資できて、自分でやると面倒なリバランスもワンタップで実行できるので、テクノロジー銘柄インデックスに興味がありつつ、自分でも中身をいじりたい方にはおすすめできます。その他のテクノロジー銘柄インデックス(Magnificent 7やUS Tech Top20)とのパフォーマンス比較や、FANG+に投資する場合のオプションについてご関心のある方は、以下の記事もぜひご覧下さい。

【アドビ決算みどころ】AI製品好調で、株価続伸なるか(Adobe)

【アドビ決算みどころ】AI製品好調で、株価続伸なるか(Adobe)

本記事では、アドビ(ADBE)の2024年3-5月期の決算を振り返り、9月12日に控える2024年6-8月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約3%の下落となっていますが、6月上旬の安値から過去3か月で30%以上上昇しています。オプション市場は決算発表後に約±4%の変動を織り込んでいます。前期の振り返り:通期見通し上方修正で株価大幅上昇6月13日に発表された2024年3-5月期決算では、売上高が前年同期比10%増、EPSは同15%増と市場予想を上回る結果となりました。また、2024年度通期の売上高見通しも上方修正したことを受けて、時間外取引で株価が16%超の上昇となりました。売上高:$53.1億(予想:$52.9億)EPS:$4.48(予想:$4.39) 全体の約75%を占める主要事業セグメントである、デジタルメディア部門の収益は前年同期比11%の成長を遂げ、アナリストらが注目する6-8月期の新規年間経常収益(ARR)は4.6億ドルと、市場予想の4.35億ドルを上回りました。ARRはサブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされています。アドビは近年、より手頃な価格で同様のサービスを提供するCanvaやFigma、AI に重点を置いた新興スタートアップなどとの競争に直面しており、一部のアナリストから「アドビはこれまで企業としての高い競争優位性を維持してきたが、AI はこうした競争障壁の多くを崩し、時間の経過とともに競争圧力が高まっている」と指摘されていました。しかし、今回の決算ではAI 搭載製品を拡充しユーザーエクスペリエンスを向上させることに注力する同社の取り組みが、顧客の支持を集めていることを示唆する結果となりました。ダン・ダーン最高財務責任者(CFO)は、「市場をリードする当社の製品、強力な実行力、そして世界クラスの財務規律により、2024年後半以降も当社は好調な状態にあります」と声明文で述べています。6-8月期の注目点:デジタルメディア部門のARRの成長見通し2024年6-8月期のアドビの「売上高予想は$53.7億、EPS予想は$4.53」、平均目標株価は$610です。デジタルメディア部門の好調な成長が予想されることから、市場関係者は同社の見通しに強気です。下半期は価格設定が追い風になる予想注目は引き続き、デジタルメディア部門の新規ARRの成長見通しです。下半期は、過去2年間におけるCreative Cloudの値上げ実施の成果に加えて、現在ベータ版であるさまざまなAI搭載製品がリリースされることで収益化が開始し、ARRの成長に貢献すると想定されています。特に、アドビの最近の成長は「Acrobat AI Assistant」と同社の画像生成AI「Adobe Firefly」の貢献が大きく、Firefly AIは発売以来90億枚を超える画像を生成しています。また、決算後の10月14日-16日には、毎年恒例の 「MAX Creativity Conference」 がマイアミでの開催を予定しており、大きく注目を集めています。

弱い経済指標とアノマリー警戒で株式市場は大きく下落。9月利下げ期待で円高も進む|米国市場サマリー

弱い経済指標とアノマリー警戒で株式市場は大きく下落。9月利下げ期待で円高も進む|米国市場サマリー

先週は、米国の製造業指数と雇用統計の結果が弱かったことから米経済の景気後退が再び懸念される中、歴史的に9月に株価が下がりやすいアノマリーも警戒され、大幅に株価の下がった1週間でした。特にNVIDIAをはじめとするグロース株の下落が顕著となりました。為替は、経済指標の結果により、FRBの9月利下げが大幅になるとの期待も生まれ、円高が大きく進んだ1週間でした。米国株式市場:経済指標の弱さと9月アノマリー警戒で株式は大幅下落9月2日(月) レイバー・デーの祝日で株式市場は休場9月3日(火) 米国株式市場は、主要3指数が大幅に下落しました。特にNVIDIAは約10%の急落を記録し、同社の時価総額は2,790億ドル減少しました。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は7.8%安と、米製造業の活動低迷を示す指標が市場心理に悪影響を与えました。Alphabetは3.6%、Appleは2.7%、Microsoftは1.8%下落するなど、ハイテク株も軒並み下落しました。市場全体では、不安心理を示すVIX指数が急上昇しました。9月4日(水) 市場は不安定な取引を経て、S&P 500とNASDAQは小幅に下落し、ダウ工業株30種はわずかに上昇しました。NVIDIAは引き続き1.7%の下落を見せ、AppleやMicrosoftも弱含みました。JOLTS(雇用動態調査)では求人件数が低下し、労働市場の緩和が続いていることが示され、FRBが9月の会合で利下げを行う可能性が高まっています。公益事業株や主要消費財が堅調でした。9月5日(木) 市場では、S&P 500とダウがマイナス圏で引け、NASDAQは小幅高でした。Teslaは約5%上昇し、S&Pの一般消費財セクターを牽引しました。FRBの金融政策への注目が続く中、テクノロジーセクターは約4.8%の下落となりました。9月6日(金) 米8月雇用統計の発表後、労働市場の減速が確認される一方で、FRBの利下げ幅に対する市場の不透明感が続き、主要3指数が下落しました。特に、NVIDIA、Tesla、Alphabet、Amazonといった大型グロース株が大きく下落し、フィラデルフィア半導体指数は4.5%の下落を記録しました。各種経済指標が弱かったことに、9月は歴史的に株式パフォーマンスが低いことを警戒する市場心理が重なり、市場全体が大きく下落した1週間でした。指標によってFRBの9月利下げ幅が広がるかは不透明な中、景気後退懸念の方が相場をリードした形になります。為替市場:弱い経済指標で9月利下げへの期待が高まり大幅な円高進行為替は、製造業指数と雇用統計の弱さから、米国における利下げが想定よりも早いペースで進むとの期待が形成され、大きく円高に進みました。一方、日銀は年内に追加利上げに踏み切る期待は継続しており、円高進行の下支えになっています。今週のマーケット:FOMC直前のCPI公表に注目今週(2024/9/9-9/13)は、9月利下げを決めるFOMC直前の重要経済指標であるCPIが公表されます。ここでCPIの沈静化が明確になれば、9月利下げが大幅になる期待が形成され、株高に振れる可能性があるので要注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【マグニフィセント7決算解説】AI需要に懸念、株価調整局面入りか

【マグニフィセント7決算解説】AI需要に懸念、株価調整局面入りか

本記事では、米大型テクノロジー企業7社で構成される、Magnificent 7(マグニフィセント・セブン)の2024年第2四半期決算の振り返りをお届けします。テスラ(Tesla): 純利益大幅減で株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では、売上高が前年同期比2%増、純利益は同45%減となりました。投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)についても14.6%と、1-3月期の16.4%から低下し、株価は翌日12%下落しました。売上高:$255.0億(予想:$247.7億)EPS:$0.52(予想:$0.62) セグメント別では、自動車部門の売上が前年同期比7%減の199億ドルでしたが、テスラのエネルギー生成・貯蔵部門の売上が倍増したことにより、全体の売上高の成長に寄与しました。また、7-9月の自動車生産が4-6月期よりも増える見通しを明らかにしたものの、2024年の納車台数の伸び率は前年より「著しく低くなる」見通しをあらためて示しました。テスラは引き続きコスト削減に重点を置くとし、新モデルのサイバートラックは年内に黒字化する方向。低価格車の計画も前進しており、25年前半に生産開始の見込みです。そのほか、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、「ロボタクシー」の発表イベントを10月10日に延期すると明らかにしました。ロボタクシーはヒューマノイドロボット「オプティマス」と同様に、テキサス州オースティンにある工場で製造されます。アナリストからはテスラの株価を押し上げる強力な材料が短期的に不足との指摘もあり、一部アナリストは10月のロボタクシー発表が実質的な内容より願望に近いものになる可能性があると懐疑的に見ています。アルファベット(Alphabet): 好業績も設備投資見通し高止まりで、株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では検索とクラウドが成長を牽引し、売上高が前年同期比14%増、純利益が同28.6%増と市場予想を上回る堅調な結果でした。しかし、YouTubeの広告収入が予想に届かず、年間を通じて設備投資額が高止まりするとの見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$847.4億(予想:$841.9億)EPS:$1.89(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億ドル。うち、Youtube広告が同13%増の87億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の103.5億ドルと、四半期で初めて100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。「その他の事業」の売上高は、自動運転車会社Waymoを含め、前年同期比28%増の3.65億ドルとなりました。Waymoは、第2四半期中にサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。また、アルファベットはWaymoに対する新たな50億ドルの複数年投資計画を発表しました。四半期設備投資額は130億ドルとなり、年内の四半期設備投資額は120億ドル以上になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIスタックのあらゆる層で革新を進めている」と述べた上で、「過小投資のリスクは、過剰投資のリスクよりはるかに大きい」との考えを示しました。一部アナリストは、グーグルのAIへの巨額投資について、一部投資家が「AIによってどのぐらいの売り上げを得ているか」明確な証拠を求めている段階に入り、これが懐疑的な見方や株価の不安定な動きにつながっていると指摘しています。マイクロソフト(Microsoft): クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms): AI活用で堅調な収益、株価急伸7月31日に発表された2024年4-6月期決算では、堅調な広告収益と大規模リストラが功を奏し、売上高が前年同期比22%増、純利益は同73%増と市場予想を上回りました。また、第3四半期の売上高についても明るい見通しを示したことから、株価は時間外取引で7%上昇となりました。売上高:$390.7億(予想:$383.1億)EPS:$5.16(予想:$4.73) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出していますが、2024年4-6月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比10%増加し、広告あたりの平均価格は同10%増加しました。スーザン・リー最高財務責任者(CFO)は「健全な広告需要が世界的に続いている」とし、同社のAIを活用したデジタル広告事業の効率性を改善するプロジェクトの成果も出ていると説明しました。また、第2四半期のコストは7%増加しましたが、営業利益率は29%から38%に上昇し、収益の伸びがコストの伸びを大幅に上回りました。アナリストは、メタの利益率が健全なことから、同社の積極的なAIとメタバースへの支出について投資家が抱いていた収益性への懸念は和らぐ可能性があると指摘しています。2024年の設備投資は370億ー400億ドルになるとの見通しが示されています。アップル(Apple): 新型iPad好調も中国販売不振で、株価横ばい8月1日に発表された2024年4-6月期決算では、「iPad」の新モデルの販売好調などで売上高が前年同期比5%増と市場予想を上回りました。一方で投資家の懸念材料である中国市場の売上高は6.5%減の147億ドルと市場予想を下回り、時間外取引で株価は横ばいとなりました。売上高:$857.8億(予想:$845.3億)EPS:$1.40(予想:$1.35) 事業別売上高は、総売上の約46%を占めるiPhoneが前年同期比1%減の393億ドル。四半期中に最も成長したiPadの売上高は、同24%増の72億ドルとなりました。一方、アップルにとって重要な成長カテゴリーである、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同14%増の242億ドルとなりました。また、iPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどアップル社製のアクティブデバイス数は、すべての製品セグメントと地域セグメントにおいて過去最高を更新しました。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は電話会見で、iPhoneやMac、iPadに搭載予定のAI新機能「Apple Intelligence」が新機種購入の新たな理由になると指摘し、「人を強く引きつけるアップグレードサイクルの極めて重要な時期になるだろう」と語りました。新型デバイスの需要について同社は自信を深めており、9月に発売が予想されている「iPhone 16」は少なくとも9000万台の出荷を目指しています。一部のアナリストは近い将来に新たなiPhoneアップグレードサイクルを迎え、アップルが時価総額4兆ドルに到達する軌道に乗っている可能性があると指摘します。ただし、サービス部門についてはアップストアの変更を求める規制当局からの圧力にさらされているため、サブスクリプションプランやアプリのダウンロードからの収入が抑制される恐れがあります。アマゾン(Amazon): 営業利益見通しが予想を下回り、株価下落8月1日に発表された2024年4-6月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比10%増となりましたが市場予想を下回りました。7-9月期の営業利益見通しについても市場予想を下回り、株価は時間外取引で6%下落しました。売上高:$1480億(予想:$1486億)EPS:$1.26(予想:$1.03) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業と比較すると成長率は遅れ、「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。オンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面し、前年同期比5%増。サードパーティ販売者サービスの売上は同12%増となりました。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、売上高は前年同期比20%増でしたが、市場予想をわずかに下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2024年上期にクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターなどの設備投資に305億ドルを投じたとし、下期には投資額を増やす予定と述べています。エヌビディア(NVIDIA): 売上高見通しが期待に届かず、株価急落8月28日に発表された2024年5-7月期決算では、売上高が前年同期比2.2倍、純利益は同2.7倍と市場予想を上回り、500億ドルの自社株買いも発表されました。しかし、8-10月期の売上高見通しが市場予想のレンジ内に留まり、株価は決算発表後の3営業日で14%下落下落しました。売上高:$300億(予想:$287億)EPS:$0.68(予想:$0.65) 売上の8割以上を占めるデータセンター部門が売上高前年同期比154%増の263億ドルとなりました。一方、8月3日に報道された次世代AI半導体「Blackwell」の発売の遅れについては、出荷遅延は生産効率を向上させるための仕様変更によるものであり、11-1月期に数十億ドルの売上高を達成するを見込みと述べるにとどまり、それ以上詳しく説明しなかったことから、投資家の失望を誘いました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は電話会見で、「世界のデータセンターに設置されている時代遅れの機器を置き換えるには、1兆ドル規模の機器が必要になる。その交換作業は始まったばかり」と述べています。また決算後、9月3日に企業のAI支出に警戒感を示す調査レポートが2つ発表され、投資家の動揺を誘いました。一部アナリストは、長期的にはエヌビディア株に引き続き前向きであるものの、「問題なのは明るい材料が提供されそうな予定が当面は見当たらないこと」と指摘しています。

9月初日は大きな下落。過去データから予測する年末までの動き

9月初日は大きな下落。過去データから予測する年末までの動き

本記事では、厳しいスタートになった9月初日の米国市場を振り返り、過去データも踏まえて今後投資家が注目すべきポイントをまとめます。要約すると、①9月初日の下落は弱い製造業指数と9月アノマリーへの警戒が原因、②今月中の相場回復はFRB利下げと経済指標のサプライズ次第、③年末に向けては好材料が多い見通し、となります。弱い製造業指数を受けて9月初日は大幅下落9月3日の米国市場は、S&P500が2.1%下落、NASDAQ総合が3.3%下落し、月初の取引日での下落幅としては2020年以来の大幅下落となりました。特にNVIDIAは10%近い下落で、時価総額が2790億ドル減少し、米国企業の1日の時価総額減少としては最大記録を更新しました。市場のボラティリティ(変動性)を示すVIX指数も、33%上昇して20程度まで上がっています。この動きの背景には、昨日発表されたISM製造業指数が7月よりも上がったものの低い水準となり、新規受注の減少や在庫増から、製造業の低迷がしばらく続くことが予測され、市場全体に不安心理が広がったことがあります。また、9月は歴史的に株価パフォーマンスが悪いというアノマリー(規則性)が存在し、9月に入って投資家がこの動きを警戒したとも見られています。出所:Marketwatch9月の相場は利下げ動向と経済指標次第か歴史的にパフォーマンスの悪い傾向にある9月ですが、過去平均で見ると1%下落くらいが平均であり、初日の大幅下落から回復する可能性は十分にあると言えます。8月にも大きな相場下落があり、一時的に市場は恐慌状態に陥りましたが、その後懸念が晴れると株価は元の水準に戻っていきました(日本の個人投資家は円高がかなり進んだので、それでもマイナスとなりましたが)今年の9月は17−18日にFOMCが予定され、FRBがここで長らく期待されていた利下げを発表する見込みなので、利下げ決定とその後の見通しに対するFRB高官からのコメント次第で、株価が上昇する材料となります。一方、今後出てくる経済指標次第では、景気後退懸念が再燃するため、株価のリバウンド上昇は限定的になる恐れもあります。9月3日のISM製造業指数で雇用は改善していたことから、今のところ経済全体での景気後退懸念を示唆する内容ではありませんが、今後の指標には注意が必要です。足下は厳しいが年末に向けては好材料以前に米国市場のアノマリー記事で解説したように、大統領選のある年の米国市場は選挙前の9−10月は様子見の相場が続きますが、選挙が終わって大統領が決定した後から年末にかけて株価が再び上昇に転じる傾向にあります。大統領選後の情勢安定化・上昇トレンドを抜きにしても、Labor day(9月2日の米国祝日・市場休場日)から年末までの株価パフォーマンスを見ると、過去50年の平均では3%程度の上昇が観測されています。出所:Marketwatchまた、ほぼ確定となっているFRBの9月利下げに続き、さらに年内1−2回の追加利下げの可能性もあることから、年末に向けては好材料が出る余地はまだまだある状況です。足下の急激な株価下落で不安になるかも知れませんが、歴史的な8月暴落後に株価が復調した動きも思い出し、是非皆さんには長期目線での資産運用を継続いただければと思います。

NVIDIA決算は無事通過。リセッション懸念も後退し、市場は安定化へ|米国市場サマリー

NVIDIA決算は無事通過。リセッション懸念も後退し、市場は安定化へ|米国市場サマリー

先週は、NVIDIA決算の前後でテクノロジー株が売られてNASDAQは下落しましたが、強い経済指標からリセッション懸念が和らぎ、ダウ平均は最高値を更新するなど、株式市場全体は堅調でした。S&P500は横ばいで終えており、市場全体としてはリスクが下がった1週間でした。為替は、強い経済指標を受けて9月のFRB利下げ幅は0.25%に留まるとの見方が強まり、円安の進んだ1週間でした。米国株式市場:NVIDIA決算前後でテクノロジー株は下げるも、リセッション懸念は遠ざかる8月26日(月) S&P 500とNASDAQが下落して終了しました。半導体大手NVIDIAの28日の四半期決算発表を控え、売られたことが影響しました。ダウ工業株30種はプラス圏で終了し、CaterpillarやAmerican Expressの買いが押し上げ要因となりました。市場は、30日に発表される7月の個人消費支出(PCE)に注目しました。NVIDIAは2.25%下落し、決算がAI関連銘柄全体に影響を与える懸念が広がりました。8月27日(火) 主要株価指数が上昇し、ダウ工業株30種は終値で最高値を更新しました。NVIDIAの四半期決算発表が注目される中、大型ハイテク株の動きはまちまちでした。NVIDIAは1.5%上昇しましたが、Amazonは1.4%下落しました。S&P 500の情報技術や金融セクターが上昇を主導しました。8月28日(水) NVIDIAの四半期決算発表を控え、下落して終了しました。NVIDIAは2.1%下落し、同社の成長が永続しない可能性が懸念されました。また、他の半導体銘柄も売られ、BroadcomとAMDはそれぞれ約2%、2.75%下落しました。S&P 500の主要11セクターのうち8セクターがマイナス圏で取引を終えました。8月29日(木) ダウ工業株30種は最高値を更新しましたが、NVIDIAは決算発表後に6%超下落しました。米商務省が発表した第2四半期のGDP改定値が上方修正され、米経済がリセッションを回避できるとの観測が強まりました。AI関連株はまちまちで、Microsoftは0.6%上昇した一方、Alphabetは0.7%安となりました。Appleは1.5%上昇し、投資家の関心を集めました。8月30日(金) 株式市場は上昇し、ダウ工業株30種は再び終値ベースで最高値を更新しました。米個人消費支出(PCE)価格指数が発表され、大幅な利下げ観測が後退したことで、AmazonやTeslaなどに買いが入りました。この日はS&P 500の全11セクターが上昇し、特にAI関連銘柄として注目されるDellやIntelもそれぞれ4.3%、約10%高となりました。注目のNVIDIA決算を控えたリスクオフと、NVIDIA決算が期待を大きく超える内容ではなかったことから、テクノロジーセクターの下落した1週間でした。一方、経済全体はリセッション懸念が後退したため、S&P500は横ばいでダウ平均は最高値を更新しました。為替市場:9月のFRB利下げ幅は小幅との期待形成から円安が進む為替は、強い経済指標を受けて円安の進んだ1週間でした。米国GDPが上方改定され、PCE価格指数もインフラ鎮静化を示すほどの内容ではなかったことから、9月のFRB利下げ幅は0.25%に留まるとの見方が強まり、円安方向に振れました。今週のマーケット:9月利下げ前の経済指標に注目が集まる今週(2024/9/2-9/6)は、NVIDIA決算を終えて市場は落ち着きを取り戻しているので、景気指数や失業率が9月のFRB利下げ幅への期待にどう影響するかがポイントになります。現在は0.25%が優勢となりつつあるので、経済指標が弱いと更なる利下げを市場が期待しやすい環境にあります。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

ラッセル2000とは?米小型株に資金がシフトする理由

ラッセル2000とは?米小型株に資金がシフトする理由

本記事では「ラッセル2000」について解説のうえ、米小型株の今後の見通しについて紹介いたします。ラッセル2000とはラッセル2000(Russell 2000)とは、米国株式市場において小型株のパフォーマンスを反映する株価指数で、米国証券取引所に上場している銘柄のうち時価総額上位1001位から3000位の銘柄で構成されています。小型株は経済動向に対して敏感であり、大型株よりもリスクが高いと考えられていることから、ラッセル2000は米国経済の健全性やリスク許容度を測る手段ともなっています。米小型株に資金がシフトする理由?足元では、米連邦準備理事会(FRB)の9月利下げ観測と米経済の底堅さを示す経済指標の発表をきっかけに、大型テック株から中小型株への資金シフトしつつあり、ラッセル2000は8月5日の安値から約9%上昇しています。利下げの恩恵を受けやすいアナリストの中には、今が中小型株のポジションを増やすのに好機であり、FRBの政策転換によりラッセル2000指数は40%上昇する可能性があると考える人もいます。ラッセル2000を構成する企業の約4割は赤字であり、変動金利の負債を抱えています。短期金利の低下は借入コストの低下につながり、こうした企業にとって有利に働く経済状況といえます。8月23日のジャクソンホール会議にて、パウエル議長はインフレ鈍化の面に進展が見られるとの認識を示し「政策を調整する時が来た」と述べ、早くて9月に利下げを開始するとの見通しを裏付けました。一方、雇用市場のリスクが指摘されており、9月6日に発表が予定されている雇用統計が、利下げのタイミングとペースを見通す判断材料として大きく注目を集めています。出遅れ感あり、相対的に割安歴史的に、大型株に対して小型株の相対評価が現在ほど低いのは、1999~2000年のドットコムバブルと2007年の金融危機の2回のみで、長期投資家にとって潜在的な機会となっています。ラッセル2000の株価収益率は15倍程度で取引され、S&P500の26倍、ナスダックの33倍と比べて魅力的な水準となっています。