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Magnificent7決算は好調も、AI投資による利益率低下懸念でテクノロジー銘柄中心に株価下落|米国市場サマリー
先週は、Magnificent7銘柄の決算が発表され、どの企業も予想を上回る好業績だったものの、特にMicrosoftとMetaのAI投資の大きさが利益率圧迫の懸念につながり、テクノロジー銘柄大きく売られました。週末にかけて反発上昇もあったものの、週間ではS&P500・NASDAQともに大幅下落で終えています。また、SMCIの監査役辞任報道による続落も大きなニュースとなりました。為替は、日銀が金融政策決定会合で政策金利据え置きを発表したものの、市場は織り込み済みのため、大きく相場は動かず1週間を終えています。米国株式市場:Mag7決算は予想を上回るも、AI投資の利益率影響が懸念されてテクノロジー銘柄中心に下落10月28日(月) 米国株式市場は上昇。来週の大統領選挙を控え、大手企業の決算発表が相次ぐ中、投資家の期待が高まりました。イスラエルの報復攻撃が石油施設や核関連施設を避けたことで原油供給懸念が和らぎ、市場の改善につながりました。金融セクターが上昇する一方で、エネルギーセクターは0.65%下落。ボーイングは最大220億ドルの資金調達計画が嫌気されて2.8%下落、3MはJPモルガンが目標株価を引き上げたことで4.4%上昇しました。10月29日(火) NASDAQは最高値を更新。S&P 500は続伸する一方で、ダウは下落しました。Alphabetの決算が予想を上回り、株価が上昇しました。Fordは通期利益見通しを下方修正し8.4%下落。通信サービスセクターが上昇率トップとなり、公益事業は2.1%下落しました。米10年債利回りが約4カ月ぶりの高水準を記録したこともあり、株価上昇は限定的でした。10月30日(水) 主要株価指数は下落。MicrosoftとMetaが引け後に決算発表し、どちらも市場予想を上回りましたが、株価は発表前に横ばいで推移しました。半導体株はAMDの弱い見通しを受けて売られ、AMDは10.6%下落しました。Super Micro Computerは監査役の辞任報道で32.6%急落。NVIDIAは1.4%下落しました。エネルギーセクターがプラスで引けた一方、情報技術セクターが1.34%下落しました。10月31日(木) 株式市場は続落。MicrosoftとMetaがAI投資の増加で利益率が懸念され、それぞれ4.1%、6%下落しました。Amazonはクラウド事業の好調により売上高が予想を上回り、AppleもiPhoneの販売が好調で売上高と利益が予想を上回りましたが、中国市場での売上減少が嫌気され1.2%下落しました。PCE価格指数は予想通りの結果で、市場はFRBが11月のFOMCで利下げを実施するとの見方を織り込みました。11月1日(金) 主要3指数は反発。10月の雇用統計は予想を大幅に下回ったものの、前日のAmazonの好調な決算が買いを誘いました。Amazonは6.2%上昇。Appleは中国での売上減少が響き1.2%下落。週足ではS&P 500が1.38%、NASDAQが1.51%、ダウが0.16%下落しました。Intelは予想を上回る売上見通しで7.8%上昇、フィラデルフィア半導体指数も1%高となりました。Chevronは第3四半期の利益が予想を上回り2.8%上昇しました。今週は注目のM7決算があり、どの決算も予想を上回る内容だったものの、MicrosoftとMetaのAI投資増加による利益率低下懸念から、木曜にテクノロジー銘柄中心に大きく株価が下落しました。これは前四半期決算で大型テクノロジー銘柄のAI投資が半導体需要への期待を喚起して、株高につながったのとは大きく異なる反応となりました。ただ、決算自体の内容は悪くなかったので、金曜日には反発上昇も見せて1週間を終えています。為替市場:日銀は政策金利を据え置きにするも、市場は織り込み済みで為替は動かず為替は、日銀の金融政策決定会合があり、政策金利の据え置きが決定されましたが、市場予想と一致していたため、為替に対する影響は限定的でした。為替は週間でほぼ横ばいとなり、米大統領戦が終わり米経済のソフトランディングが見えてきたタイミングで、日銀が追加利上げに踏み切るかどうかが次のポイントになりそうです。今週のマーケット:FOMCで米国の追加利下げはあるか今週(2024/11/4-11/8)は、FOMCが開催され、FRBによる追加利下げが決定されるかが大きな焦点になります。前回利下げ後からの米経済はかなり好調で、一時は年内利下げはないのではとされていましたが、今週の経済指標は利下げを後押しするような内容だったので、結果に注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest
【ウーバー決算みどころ】ライドシェア事業の好調つづくか(UBER)
本記事では、ウーバー・テクノロジーズの2024年4-6月期の決算を振り返り、10月31日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来で約35%上昇し、S&P500指数の上昇率の約1.5倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を上回る増収増益で株価上昇8月6日に発表された2024年4-6月期決算では、売上高が前年同期比16%増と市場予想を上回りました。この発表を受けて、ウーバーの株価は米株式市場午前の取引で8%超の上昇となりました。売上高:$107億(予想:$105.7億)EPS:$0.47(予想:$0.31) 部門別では、ライドシェア事業の売上高が中南米とアジア太平洋地域を中心に予想以上に伸び、前年同期比25%増の61億ドルと成長を大きく牽引しました。Uber Eatsを含む宅配サービス事業も同8%増の33億ドルと両事業ともに市場予想を上回りました。ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は「ウーバーの成長エンジンは引き続き好調で、6四半期連続で乗車数の増加率が20%を超え、収益性も過去最高を記録しました」と述べています。7-9月期の注目点:ライドシェア事業の2桁成長は維持されるか2024年7-9月期のウーバーの「売上高予想は$109.9億、EPS予想は$0.37」、平均目標株価は$90.2です。ロボットタクシーを巡る競争環境は改善か4月のテスラのロボットタクシーの発表を受け、ウーバーの株価は数ヶ月にわたって下落していましたが、10月10日のロボットタクシーイベントが詳細を欠いたものであったことから、アナリストのウーバーの株価に対する見通しは改善しました。ウーバーは9月13日にアルファベット傘下の自動運転車会社ウェイモとの提携拡大を発表。ウェイモは既にサンフランシスコ、ロサンゼルス、アリゾナ州フェニックスで商業ベースのロボットタクシーサービスを展開していますが、ジョージア州アトランタとテキサス州オースティンで2025年初頭に自動運転の配車サービスを開始する際には、ウーバーのアプリのみを使用します。一方、テスラもまたテキサス州とカリフォルニア州での配車サービスの展開を10月24日に発表しています。ライドシェア事業の好調つづくか投資家やアナリストは、引き続きライドシェア事業の売上成長や利益率が維持されるかに注目しています。これまでの成長は主にUberの月間平均乗客数と利用頻度の増加によるもので、アナリストらは新機能の導入がウーバーの収益増加の源泉であると指摘してきました。同社の「Uber for Business」は4-6月期に総予約数の急成長を遂げ、出張管理を簡素化する新機能の導入により、7-9月期も継続して成長すると予想されています。企業向けの成長に加えて、低価格のバイクタクシーサービス「Uber Moto」は引き続き人気があり、乗車数は大幅に増加しています。さらに、「Uber XL」など旅行に特化した新サービスも好調な成果を上げており、さらなる成長の可能性が高まっています。ウーバーは以前から、旅行を計画する人や消費者がさまざまなサービスを予約できるスーパーアプリを目指す意向を表明しており、10月17日には旅行予約のエクスペディア社への買収提案を検討する可能性が報じられました。
【アップル決算みどころ】iPhone 16需要への懸念、売上見通しへの影響は(Apple)
本記事では、アップルの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月31日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約25%上昇し、S&P500指数の上昇率をわずかに上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:新型iPad好調も中国販売不振で、株価横ばい8月1日に発表された2024年4-6月期決算では、「iPad」の新モデルの販売好調などで売上高が前年同期比5%増と市場予想を上回りました。一方で投資家の懸念材料である中国市場の売上高は6.5%減の147億ドルと市場予想を下回り、時間外取引で株価は横ばいとなりました。売上高:$857.8億(予想:$845.3億)EPS:$1.40(予想:$1.35) 事業別売上高は、総売上の約46%を占めるiPhoneが前年同期比1%減の393億ドル。四半期中に最も成長したiPadの売上高は、同24%増の72億ドルとなりました。一方、アップルにとって重要な成長カテゴリーである、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同14%増の242億ドルとなりました。また、iPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどアップル社製のアクティブデバイス数は、すべての製品セグメントと地域セグメントにおいて過去最高を更新しました。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は電話会見で、iPhoneやMac、iPadに搭載予定のAI新機能「Apple Intelligence」が新機種購入の新たな理由になると指摘し、「人を強く引きつけるアップグレードサイクルの極めて重要な時期になるだろう」と語りました。一部のアナリストは近い将来に新たなiPhoneアップグレードサイクルを迎え、アップルが時価総額4兆ドルに到達する軌道に乗っている可能性があると指摘します。7-9月期の注目点:iPhoneの売上見通し2024年7-9月期のアップルの「売上高予想は$944億、EPS予想は$1.6」、平均目標株価は$244です。iPhone 16需要への懸念市場調査会社IDCによると、2024年7-9月期のiPhone出荷台数は3.5%増の5,600万台となりましたが、スマートフォン市場のシェアは若干減少しました。新型iPhone 16の発売は9月20日と四半期末の約10日前でしたが、iPhone 16シリーズの最初の週末の予約販売台数は推定3,700万台にとどまり、昨年のiPhone 15シリーズの最初の週末の販売台数と比べて約12.7%の減少となりました。また、2024年10月から2025年6月にかけてのiPhone 16の生産計画が1,000万台削減されたとの報道により、全体的な需要に対する懸念も高まっており、同社の売上見通しに影響する可能性があります。一部アナリストは、来年早期にリリースされる「iPhone SE 4」によってもiPhone 16の販売数が圧迫される可能性があると指摘しています。しかし、アップル株に強気なアナリストらは、ホリデーシーズンでアップルが成長を加速できるとの見方を維持しており、10-12月期は8%増収と同四半期としては2021年以来の大きな伸びを見込んでいます。一部の政府機関によるiPhoneの使用制限など逆風に直面している中国市場では、iPhone 16の販売台数が最初の3週間でiPhone 15と比べて約20%増加し、好調な売れ行きとなりました。中国市場における2024年7-9月期のiPhone出荷台数は0.3%減少と推定されます。iPhone に次ぐ収益源であるサービス部門については、AppStoreでの売上増加により好調な推移が想定されています。
【イーライリリー決算みどころ】肥満症薬の供給不足解消、売上見通し引き上げあるか(Eli Lilly)
本記事では、米製薬会社イーライリリー・アンド・カンパニー(LLY)の2024年4-6月期決算を振り返りつつ、10月30日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約50%上昇し、S&P500指数の上昇率の2倍以上のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:増収増益で通期予想も上方修正8月8日に発表された2024年4-6月期決算では、堅調な糖尿病薬と肥満症薬の販売から売上高が前年同期比36%増、EPSが同86%増でした。また、通期予想も436億ドルから454-466億ドルへ上方修正し、同日の株価は9.5%上昇しました。売上高:$113.0億(予想:$99.8億)EPS:$3.92(予想:$2.74) 糖尿病薬「マンジャロ」の売上高は31億ドル、肥満症薬「ゼプバウンド」の売上高は12億ドルと市場予想の8億ドルを大幅に上回りました。マンジャロは減量効果があるとして、米国で肥満症薬としても使用されています。デイブ・リックス最高経営責任者(CEO)は、「マンジャロ、ゼプバウンド、ベージニオは生産の拡大を続けており、第2四半期の好業績の主要な原動力となりました」と述べています。7-9月期の注目点:肥満症薬の売上成長とパイプライン2024年7-9月期のイーライリリーの「売上高予想は$120.9億、EPS予想は$1.45」、平均目標株価は$1020です。市場関係者は、引き続き肥満症薬の成長性に注目しています。肥満症薬の売上好調続くか、品薄状態は解消マンジャロとゼプバウンドは2024年上半期に約67億ドルの売上を上げ、リリーの総収益の約44%を占めていますが、肥満症薬の需要拡大により、マンジャロは2022年終盤から、ゼプバウンドは今年4月から、供給が短期・中期的にかなり逼迫した状態が続くとの見通しが示されていました。同社は5月に生産増強のため53億ドル(約8300億円)を投じており、10月2日に供給不足の解消が米食品医薬品局(FDA)から示されたことから、売上見通しを再び引き上げるかどうかが注目されます。また、これらの薬に使われるチルゼパチドは睡眠中に起こる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の軽減にも有効なことが後期臨床試験(治験)で確認されており、心不全、心血管リスク、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)などの他の適応症についても開発されていることから、これらの適応症の拡大が承認され、追加の地域で発売されれば、売上がさらに伸びる可能性があると期待されています。一部の投資家は、閉塞性睡眠時無呼吸の治療薬が今年後半に発売される可能性があると予想しており、発売時期に関する最新情報を待っています。パイプラインも注目リリーは過去1年間にいくつかの新薬の承認を取得しており、7月2日には、アルツハイマー病薬「ドナネマブ」は米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。ドナネマブは治療薬ではありませんが、臨床試験ではアルツハイマー病の進行を遅らせ、患者がより長く自立した生活を送り、安全に日常活動に参加できるようになることが示されました。ドナネマブは、日本国内においても厚生労働省の承認を得ており、バイオジェンとエーザイの「レケンビ」に続いて、アルツハイマー病治療薬として市場に出ている2番目の薬となります。アナリストらは、ドナネマブが2024年に2,400万ドルの売上をもたらし、2026年には10億1,000万ドルを売り上げる大型新薬となることを予想しています。主力の肥満治療についても幅広く投資しており、現在臨床開発中の新分子は 11 種類あり、うち2つの候補薬後期開発段階にあります。
【メタ決算みどころ】広告収益の好調続くか、AI・メタバースの設備投資状況は(META)
本記事では、メタ・プラットフォームズの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月30日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。AIの進歩と好調な広告収益に支えられ、同社の株価は年初から65%以上上昇し、S&P500指数の上昇率の3倍弱のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:AI活用で堅調な収益、株価急伸7月31日に発表された2024年4-6月期決算では、堅調な広告収益と大規模リストラが功を奏し、売上高が前年同期比22%増、純利益は同73%増と市場予想を上回りました。また、第3四半期の売上高についても明るい見通しを示したことから、株価は時間外取引で7%上昇となりました。売上高:$390.7億(予想:$383.1億)EPS:$5.16(予想:$4.73) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出していますが、2024年4-6月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比10%増加し、広告あたりの平均価格は同10%増加しました。スーザン・リー最高財務責任者(CFO)は「健全な広告需要が世界的に続いている」とし、同社のAIを活用したデジタル広告事業の効率性を改善するプロジェクトの成果も出ていると説明しました。また、第2四半期のコストは7%増加しましたが、営業利益率は29%から38%に上昇し、収益の伸びがコストの伸びを大幅に上回りました。アナリストは、メタの利益率が健全なことから、同社の積極的なAIとメタバースへの支出について投資家が抱いていた収益性への懸念は和らぐ可能性があると指摘しています。2024年の設備投資は370億ー400億ドルになるとの見通しが示されています。7-9月期の注目点:広告収益の伸びと設備投資のコスト圧力2024年7-9月期のメタの「売上高予想は$382.6億、EPS予想は$4.7」、平均目標株価は$612です。広告収益の伸びはどれくらいか2024年は米国大統領選挙の年であり、また米国経済の見通しは依然として堅調で企業の広告支出の増加を促し、デジタル広告市場に有利なマクロ環境となっています。アナリスト予想においても堅調な二桁成長が期待されており、JMPセキュリティーズは、AI技術の進歩が後押しし、メタのパフォーマンスについて今後数年間の楽観的な見通しを予想しています。9月25-26日に開催された年次カンファレス「Connect 2024」でも、Meta AIへの音声機能の追加や同社の大規模言語モデル「Llama」の最新バージョンである「Llama 3.2」のリリースなどAI分野で多数のアップデートが発表されました。AI・メタバースの設備投資状況はConnect 2024では、約10 年かけて開発されたスマートグラス「Orion」の披露も行われ、メタバースでは前例のないレベルの熱狂が巻き起こりました。レンズにテキストメッセージやビデオ通話、さらにはYouTube動画を表示できる機能を搭載しており、今後数年間でハイエンドのノートパソコンやスマホと同価格帯で販売することを目指しています。また、廉価版のVRヘッドセット「Quest 3S」の発売により、AppleのARデバイス「Vision Pro」に対するメタの競争力が向上すると予想されています。Ray-Ban Metaスマートグラスについても、SpotifyやAmazon Musicとの統合拡大によりユーザー体験を向上したほか、2024年のホリデーショッピングシーズンに向けてより多くの消費者に提供できるように準備を進めています。ARとVRのハードウェアおよびソフトウェア部門である「Reality Labs」部門の4-6月期の売上高は、3.5億ドルと総売上高の1%未満でありながら、四半期ごとに数十億ドルの営業損失を記録しており、多くの投資家から当該領域の収益化が進むのか不安視されていました。決算発表で、スマートグラス需要への楽観的な見通しやReality Labsのコスト削減に関する言及がされた場合、株価のプラス要因として働くことが予想されます。
Teslaは好決算で20%上昇、NVIDIAは時価総額世界1位に。大型テクノロジー株が大きく反発|米国市場サマリー
先週は、FRB利下げ期待の後退から一時株価は大きく下がるも、好調なTesla決算や大型テクノロジー株に対する強気相場から反発上昇し、S&P500は下落するもNASDAQは上昇して1週間を終えています。NVIDIAは一時的に時価総額世界1位に返り咲きました。為替は、足元の堅調な米国経済と大統領選後のインフレを見越して米国債利回り・長期金利が上昇し、日米金利差の維持が意識されて円安に推移しています。米国株式市場:国債利回り上昇で相場は一時大きく下落するも、テクノロジー株は反発上昇で強気相場10月21日(月) 米国株式市場はダウ工業株30種とS&P 500が反落。長期金利の上昇により投資家はリスクを警戒し、主要企業の決算発表を待つ姿勢が目立ちました。ダウ、S&P 500、NASDAQはいずれも前週まで6週連続で上昇していたため、一部利益確定の売りも見られました。NASDAQは、NVIDIAが4.14%上昇し過去最高値を更新したことにより続伸。一方で10年債利回りが12週間ぶりの高水準をつけ、米経済の堅調さがFRBの利下げペースに影響する懸念も広がりました。10月22日(火) 米国株式市場はダウとS&P 500が横ばい、NASDAQが小幅続伸。10年債利回りが4.22%と7月以来の高水準を記録したため、FRBの政策方針や利回りの影響が意識され、決算発表を控えた慎重な姿勢が続きました。GE Aerospaceは供給制約が売上高に影響を与え9%下落、Verizonも予想を下回る決算で5.03%下落しました。一方、General Motorsは予想を上回る好調な決算で9.81%上昇しました。10月23日(水) 市場は国債利回りの上昇が続き、大型株が売りを浴び、FRBの利下げ観測が後退したことで全体的に下落しました。10年債利回りが3カ月ぶりの高水準となったため、利回り動向への市場の関心が再燃しました。特に利回りに敏感な大型テクノロジー銘柄、NVIDIA、Apple、Meta、Amazonが下落し、NASDAQを下押し。McDonald’sは食中毒報道で5.12%、Coca-Colaは利益見通し据え置きで2.07%下落。Texas Instrumentsは好調な自動車向け需要に支えられ4%上昇しました。10月24日(木) NASDAQとS&P 500が反発。Teslaが予想外に強い2024年の納車台数見通しを示したことで21.9%急騰し、一般消費財セクターの3.24%上昇を牽引しました。10年債利回りも4.2%まで低下し市場心理が改善。UPSは好調な決算で5.28%上昇。一方でIBMは売上が予想を下回り6.17%、Honeywellも市場予想を下回る見通しで5.10%下落し、ダウは続落しました。10月25日(金) NASDAQは続伸し、一時はNVIDIAがAppleを抜いて時価総額で世界一位に(終値では再度逆転)。AI需要の高まりが株価押し上げの要因となり、同社の株価は一時5.29%上昇。Teslaも好調な販売見通しで3.36%上昇、超大型株「マグニフィセント・セブン」の強気トレンドが続いています。McDonald’sは食中毒問題で2.97%下落し、地方銀行New York Community Bancorpは不動産融資損失が続き8.26%下落しました。今週は米経済の堅調さからFRBの利下げが遅れるとの見通しが国債利回り上昇に反映され、週半ばで市場は大きく下落しました。しかし、好調な決算でTeslaが大きく上昇したこともあり、再び大型テクノロジー銘柄への強気相場が復活し、S&P500は下落しつつもNASDAQは上昇して1週間を終えています。為替市場:堅調な米国経済と大統領選後のインフレを見越し、米国金利高止まりを意識した円安が進む為替は、米国の国債利回りが上昇し、FRBの利下げが遅れるとの見通しから、円安に進みました。背景には、堅調な米国経済の状況に加え、米国大統領選でトランプ前大統領の当選見通しが高まっており、選挙後にインフレ加速・高金利維持をシナリオとして織り込み始めていることがあります。今週のマーケット:M7決算が本格化、大型テクノロジー株の行方は今週(2024/10/28-11/1)は、M7決算の多くが出揃います。前四半期は不調なM7決算から弱気相場入りしたこともあり、今回のM7決算も年末までの相場動向を占う重要なものになります。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest
出金はいつしたら良い?長期資産形成を成功させるためのコツ
資産運用で利益が出ると、「利益を確保して出金したい」「損失が出る前に売ってしまいたい」と感じる方も多いかもしれません。しかし、長期的に資産を増やす観点から考えると、短期的な利益確定には慎重な判断が必要です。以下に、出金を検討するときに思い出したい、資産運用を成功させるための3つの重要なポイントを詳しく説明します。1. 利益確定によるデメリットを理解する資産がプラスに転じると、売却してその利益を確定したくなるものですが、長期的に資産を成長させるためには、短期の利益確定にはいくつかのリスクとデメリットがあります。税金が発生する資産を売却して利益が出た場合、約20%の税金が利益から差し引かれます。その結果、再投資する際の元本が減り、資産を成長させるための複利効果も小さくなります。長期的な運用を目指すのであれば、売却せずに資産を保有し続けることで、税金の支払いを先送りし、資産が複利で成長する恩恵を最大限に受けることができます。タイミングの見極めが難しい短期的な利益確定では、相場の上昇・下落を予測して適切なタイミングを見極める必要があり、これはプロであっても容易ではありません。売却した後に相場がさらに上昇することも多く、保有し続けていれば得られたはずのリターンを逃してしまう可能性が高くなります。こうした理由から、長期的な視点で持ち続けるほうが、安定した成長を期待できます。複利効果を失う複利の力は、長期的に資産運用を続けることで最大限に発揮されます。利益確定によって出金を繰り返すと、その都度複利効果が断たれ、最終的なリターンが小さくなりがちです。資産を保有し続け、再投資することで「利益が利益を生む」サイクルを活かすことができ、長期的に安定した資産成長が期待できます。たとえば、10年間5%の複利で運用した場合、元本は1.63倍になりますが、毎年の利益確定があるとこの成長は抑えられます。出金の判断は慎重に行い、複利の力が長期的に働くことで資産を着実に増やしていくことを意識しましょう。2. 出金は「本当に必要なときに、必要な分だけ」に留める資産運用の基本方針として、出金のタイミングを「資金が本当に必要なとき」に限定するのが賢明です。急な出費や緊急の資金が必要な場合には、必要な額だけを引き出し、残りの資産はそのまま運用を続けることが、資産成長を最大化する上で大切です。出金をこのように「必要最小限」に留めることで、資産が運用される時間を長く保ち、最終的なリターンを大きくすることができます。3. 短期の相場変動を気にしすぎない資産運用をしていると、短期的な相場変動によって一喜一憂しがちですが、こうした変動に過剰に反応することは、長期的な成長の妨げになりがちです。人間は、「利益があるうちに確保したい」「損失をできるだけ避けたい」という心理が強く働くため、少しでも相場が上昇すると利益確定したくなり、逆に下落すると早めに売却したくなる傾向にあります。しかし、こうした感情的な反応が続くと、資産運用の本来の目標である「長期的な資産成長」に悪影響を及ぼす可能性が高まります。たとえば、過去30年間で米国株(S&P500指数)は平均年率8%で成長してきましたが、年ごとのリターンはプラスとマイナスの変動がありました。長期的に見れば、リーマンショックやコロナショックのような大きな下落も、運用を続けることで回復し、その後の成長を享受することができたケースが多くあります。まとめ:出金は生活の必要ベースにして、長期目線の運用を続ける資産運用で利益が出たときに出金したくなる気持ちは自然なものですが、長期的な資産成長を目指すなら、短期的な利益確定は慎重に検討すべきです。「本当に必要なときに必要な分だけ出金し、それ以外は淡々と運用を続ける」ことで、資産が複利の恩恵を最大限に活かして成長しやすくなります。短期の変動に囚われず、計画に沿った運用を続けることで、最終的な資産成長が期待できるでしょう。
【アドバンスト・マイクロ・デバイセズ決算みどころ】データセンター部門の成長が焦点に、新型チップの最新情報はあるか(Advanced Micro Devices)
本記事では、半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の2024年4-6月期の決算を振り返り、10月29日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来で約11%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:AI 需要で収益拡大、純利益10倍弱に7月31日に発表された2024年4-6月期決算では、売上高が前年同期比9%増、純利益は同9.8倍と市場予想を上回る結果となりました。7-9月期の売上高見通しも市場予想を上回り、株価は時間外取引で約9%上昇しました。売上高:$58.4億(予想:$57.2億)EPS:$0.69(予想:$0.68) 部門別では、データセンター向けが生成AIのトレーニングおよび推論に対する力強い需要から、売上高前年同期比2.2倍の28億ドルと成長を大きく牽引しました。パソコン向けは49%増の15億ドルだった一方、ゲーム向けは59%減の6.5億ドルとなりました。リサ・スー最高経営責任者(CEO)は、電話会見にてAI向け半導体の2024年度通期売上高の見通しを従来の40億ドルから45億ドルに上方修正し、2025年末までは受給が逼迫する見込みであると述べています。7-9月期の注目点:データセンター向け部門の成長性2024年7-9月期のAMDの「売上高予想は$67.1億、EPS予想は$0.92」、平均目標株価は$188です。鍵はデータセンター向け部門の成長近年のAMDの株価は、AIブームの恩恵を受けたデータセンター向け部門の成長が牽引しており、引き続き決算の注目になります。特に、AMDの主要顧客であるMicrosoft、Meta Platformsなどのビックテックは軒並みAIインフラの構築に競い合う中で設備投資額を増やしていることから、アナリストの予想を上回る可能性も指摘されています。また10月10日、サンフランシスコで開いた「Advancing AI」イベントでは、AMDは新型AIチップ「MI325X」を発表し、量産を今年第4四半期に開始する計画を明らかにしました。MI325Xチップはメモリ容量の増加のほか、従来のMI300XおよびMI250Xチップに比べてパフォーマンスが大幅に向上する新しい基盤アーキテクチャが搭載される予定です。この発表は今年初めの同社の開示情報に基づいて広く予想されていましたが、期待されていた新たな提携発表や業績見通しの引き上げに関する情報の提供がなかったことから、株価は4%下落し1ヶ月ぶりの大幅安となりました。しかし、アナリストらはAMDの新型AIチップは「十分な需要」があり、依然として株価上昇を牽引できるとの考えを示しています。ただし、一部のアナリストは、MI325Xチップは「エヌビディアの最新のBlackwellチップより1年遅れており、近い将来に状況を変えるきっかけはない」と指摘し、当面はAMDがエヌビディアを追いかけることになると予測しています。
【米大統領選挙直前】トランプトレード活性化、選挙結果に関わらず好調な銘柄は?
本記事では、米大統領選動向について解説のうえ、選挙結果に関わらず好調に推移する可能性がある銘柄を紹介いたします。11月5日の開票まで2週間を切り、相場要因として選挙トレードの存在感が増しています。過去の選挙結果とセクター別パフォーマンスの関係についても過去の記事で解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。世論調査は接戦を示すも、トランプトレードが活性化10月中旬に実施された世論調査では、選挙結果を左右する主要な激戦州でカマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領両候補の支持率が49%と接戦が続いています。しかし、世界最大の予想賭博市場である「Polymarket」では10月25日時点で、トランプ氏の支持率が61%、ハリス氏は39%とオッズがトランプ氏優勢へと大きく傾いています。10月初めの時点では、予想賭博市場でのトランプ氏とハリス氏のオッズは拮抗していましたが、過去数週間にトランプ氏の勝率が上昇するにつれて、金利上昇・ドル買いが進み、「トランプトレード」が意識されるようになりました。ヘッジファンドのポートフォリオを追跡しているJPモルガンのポジショニング調査部門によると、世界のヘッジファンドはトランプ氏が勝利した場合に良いパフォーマンスを期待できる銘柄を過去数週間に購入し、民主党政権下で良好なパフォーマンスが期待できる銘柄は急激に売られたと指摘しています。ただし、Polymarketにおけるトランプ氏勝利の確率の急上昇は、4,500万ドル(約69億円)を賭けたユーザーによる影響と見られており、当該ユーザーは金融業のバックグラウンドがあるフランス人であると特定されています。選挙リスクを軽減する取引も意識される一方、トランプ氏とハリス氏の接戦のほか、共和党ないし民主党が議会上下両院で多数派を獲得する可能性がどの程度であるのか読めないことから、一部のヘッジファンドは大統領選に向けて特定の投資ポジションを構築することはせず、ボラティリティーを抑える方法や、選挙結果にかかわらず勝てそうな取引に注力しています。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのカート・ライマン氏は、公益株と金融株はどちらの政権下でも好調に推移する可能性があると述べています。公益株は高配当で、経済環境にかかわらず比較的安定したパフォーマンスが期待できるディフェンシブ銘柄であり、AI関連のエネルギー需要の恩恵も受けます。一方、金融株は割安感があるとし、金融業界は最近好決算を発表したと指摘します。また、伝統的なヘッジ手段である金も今年急騰しており、多くの投資家がボラティリティへのヘッジをしていることが伺えます。
【マイクロソフト決算みどころ】設備投資のコスト圧力、オープンAIとの関係に懸念の声(Microsoft)
本記事では、マイクロソフトの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月30日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約13%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。7-9月期の注目点:Azureの成長性とAI投資のコスト圧力2024年7-9月期の「売上高予想は$645.1億、EPS予想は$3.1」、平均目標株価は$497です。クラウド部門はAI投資に見合う成長を示せるかマイクロソフトのクラウド部門は同社で最も成長しているセグメントであるため、投資家が最も注目する傾向があります。直近4四半期において、Azureは競合のAWSよりも速いペースで成長しており、世界のクラウドインフラ市場でのシェアを25%にまで伸ばし、シェア首位であるAWSの31%に近づいています。一方で過去5年間、マイクロソフトの設備投資額は収益よりもはるかに速いペースで増加しており、積極的な設備投資によるコスト圧力にも注目が集まります。2024年度の設備投資額は前年比75%増の557億ドルに達し、売上高の23%に相当する額となりました。フッド氏は7月の決算発表で、2025年度も設備投資額が増加する見込みであると述べており、アナリスト予想では設備投資額が売上高に占める割合は2025年度は28%となっています。AIインフラへの莫大な投資は、短中期的に利益率の拡大を制限する可能性があり、少なくとも今後1年間は同社の収益にとって逆風となると指摘されています。したがって、Azure AIの成長が停滞したり市場の期待に応えられない場合は、株価の調整が引き起こされる可能性があります。オープンAIとの関係も懸念材料にまたこれまでに130億ドルの投資している、オープンAIとの関係性にも懸念が示されています。10月2日、オープンAIは66億ドルの資金を調達し、企業価値が1570億ドルと評価されました。マイクロソフトはオープンAIの最大の外部株主であり、追加で7.5億ドルを投じましたが、利害関係者の増加は両社の関係を弱める可能性があると指摘されています。オープンAIが非営利組織から営利企業への移行を進める中で、株式をどのように分配するのかも注目されており、マイクロソフトの株式保有額が大きければ大きいほど、規制当局が監視の目が厳しくなると予想されています。さらに、ミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)をはじめオープンAIの幹部が相次ぎ退社するなど、新たな波紋を呼んでいます。一部アナリストは、オープンAIの損失が同社の最大の懸念事項であるとし、これらの損失は2025年度には20億〜30億ドルになる可能性があると予想しています。
半導体下落でNASDAQは低調。銀行株と小型株が好調でS&P500は最高値を更新|米国市場サマリー
先週は、ASMLの低い売上見通しから半導体需要低迷懸念が広がり、半導体中心にグロース市場が下落しました。一方、小売売上高が予想を上回ったこともあり、決算が好調だった銀行株の上昇がダウ平均やS&P500を押し上げ、最高値を更新しています。また、小型株指数も好調で、市場全体でテクノロジー株からその他セクターへの資金還流が進んでいます。為替は、米国小売売上高の結果を受け、強い経済からFRBが利下げペースを遅らせる見通しが出て、円安が進みました。米国株式市場:半導体需要低迷懸念でNASDAQは下落するも、堅調な経済と決算でS&P500は上昇10月14日(月) 米国株式市場は上昇し、S&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新しました。企業決算発表を控え、半導体やテクノロジー株が買われ、特にNVIDIAが2.4%上昇し終値として最高値を記録。半導体企業指数(SOX)は1.8%上昇し、S&P情報技術指数もセクター別でトップの上昇率を示しました。一方、Caterpillarはアナリストの投資判断引き下げを受けて2%下落、Boeingも1.3%下落しました。10月15日(火) 米国株式市場は反落し、NASDAQが下落を主導しました。特に半導体株が需要低迷懸念で売られ、NVIDIAは4.7%下落。ASMLが示した低調な売上見通しが影響し、フィラデルフィア半導体指数は5.3%の大幅下落となりました。また、UnitedHealth Groupは利益見通しが市場予想を下回ったことで8%下落。原油価格の下落を受け、エネルギー株も売られましたが、Bank of AmericaとCharles Schwabは好調な決算を受け、それぞれ上昇しました。10月16日(水) 米国株式市場はダウ工業株30種が反発し、最高値を更新。銀行大手の好決算が市場を押し上げ、Morgan Stanleyが6.5%急伸しました。金融株や小型株が好調で、ラッセル2000指数は1.6%上昇し、S&P小型株指数も1.4%上昇。半導体株ではNVIDIAが前日の下落から3.1%上昇し、S&P 500の複数セクターが最高値で取引を終えました。航空株も好調で、United Airlinesが12.4%上昇しました。10月17日(木) 米国株式市場はダウ工業株30種が上昇し、5日中4日で最高値を更新。小売売上高が予想を上回り、経済の堅調さが示されました。台湾のTSMCが強気な見通しを発表し、同社株は9.8%急伸、NVIDIAも0.9%上昇。保険会社のTravelersや資産運用のBlackstoneも好決算を受け、それぞれ9%、6.3%上昇しました。地方銀行の決算も好調で、M&T BankやSynovus Financialが5%超上昇しました。10月18日(金) 米国株式市場はS&P 500とダウ工業株30種がともに最高値を更新し、NASDAQもプラス圏で引けました。Netflixが11.1%急騰し、テクノロジー株が市場を押し上げました。特にAppleは1.2%上昇し、iPhoneの中国での好調な売上が支援材料となりました。半導体大手NVIDIAも0.8%上昇。金融セクターは一服し、S&P銀行株指数は0.1%下落しましたが、全体的に市場は強気ムードが続いています。今週は火曜日にASMLの低い売上見通しが半導体市場の需要低迷懸念につながり、グロース市場は前半で大きく落ち込みました。しかし、その後は予想を上回る小売売上高で経済の堅調さが示され、決算では特に銀行株が予想を超える内容だったため、ダウ平均は最高値を連続更新しました。小型株もテクノロジー株から流出した資金の受け皿となり大きく上昇しています。銀行株だけでなく、NetflixやUnited Airlinesといった銘柄の決算も口調で、今四半期決算は順調な滑り出しとなっています。為替市場:FRB利下げ観測に合わせて方向性を欠いた1週間に為替は、米国の小売売上高が上振れしたため、FRBの年内利下げ期待がさらに後退し、円安に触れて一時150円もつけました。来週に向けては重要指標もなく、しばらくは方向性を欠く展開になりそうです。今週のマーケット:M7決算が始まる今週(2024/10/21-10/25)は、M7決算がついに始まります。テクノロジー銘柄への期待形成に重要な決算となるので要注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest
金相場はなぜ上昇?金ETFへ注目が集まる理由
金に対する強気な市場状況を反映し、9月金ETF(上場投資信託)は14億ドルの流入超となり、5カ月連続での流入超を記録しました。米連邦準備理事会(FRB) が9月18日に利下げ開始を決定したことが好材料となり投資家に好機をもたらしています。本記事では「金価格が上昇している理由」を解説のうえ、ETFを通じた金投資の利点について紹介いたします。最高値を更新し続ける金価格金価格は3月以来急騰し、10月17日には初めて1オンス2700ドルを上回りました。金価格は年初来で約35%上昇しており、S&P500指数の上昇率の約1.5倍のパフォーマンスとなっています。安全資産の需要増、米利下げも追い風金価格は様々な要因によって影響を受けますが、最近の上昇はFRBを含む主要中央銀行による金融緩和への期待と地政学的緊張によって牽引されています。通常、金利が低下すると、銀行に預けた資金や債券から得られる利息が少なくなり、相対的に利息収入が得られない金の魅力が高まります。2000年以降、3回あった米利下げサイクルでは金価格は上昇し、世界株式を上回るパフォーマンスとなっています。また、金は市場の不確実性に対するヘッジとしても見られており、米大統領選や中東紛争をめぐる不透明感から、安全資産としての魅力がさらに高まっています。ゴールドマン・サックスは「世界的な金利低下、構造的な中央銀行の需要増加、地政学、金融、景気後退のリスクに対する金のヘッジ効果により、金ロングをあらためて推奨する」とし、2025年初めの金価格予想を1オンス2700ドルから2900ドルに引き上げました。金価格に連動し、銀価格も高騰また、銀価格も年初来で35%以上上昇し、約12年ぶりの高値近辺で推移しています。金相場高騰に追随していることに加え、銀は太陽光パネルや電子機器など工業用の需要が高まっています。ETFであれば、金投資が簡単に金ETFは、金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託で、現物投資と異なり保管リスクがなく、最低投資額が金価格の10分の1〜100分の1と小口のものも多くなっています。さらに、上場投資信託の名前にもある通り上場しているため、取引所が空いている間リアルタイムで取引を行うことができ、運用管理においても、金ETFであれば株式と一体に証券口座内で管理できるため、損益状況やポートフォリオが把握がしやすいというメリットが挙げられます。また現物投資と、ETFを通じて金投資するのでは、利益に対する税金の取り扱いが異なります。現物投資して得た利益は、給与などの他の所得と合わせて総合課税の対象となり、税率は累進課税が適用されます。一方、金ETFに投資して得た利益は株式と同様に税率は20.315%となり、損失が出た場合は株式などとの損益通算ができます。
【アマゾン決算みどころ】AI投資と宇宙開発の利益率への影響は(Amazon)
本記事では、アマゾンの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月31日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。アマゾンの株価は年初来から25%以上上昇し、S&P500指数の上昇率と同程度のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:営業利益見通しが予想を下回り、株価下落8月1日に発表された2024年4-6月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比10%増となりましたが市場予想を下回りました。7-9月期の営業利益見通しについても市場予想を下回り、株価は時間外取引で6%下落しました。売上高:$1480億(予想:$1486億)EPS:$1.26(予想:$1.03) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業と比較すると成長率は遅れ、「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。オンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面し、前年同期比5%増。サードパーティ販売者サービスの売上は同12%増となりました。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、売上高は前年同期比20%増でしたが、市場予想をわずかに下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2024年上期にクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターなどの設備投資に305億ドルを投じたとし、下期には投資額を増やす予定と述べています。7-9月期の注目点:小売・AWSの成長性と営業利益率2024年7-9月期のアマゾンの「売上高予想は$1572億、EPS予想は$1.14」、平均目標株価は$221.2です。プライムデー効果で小売事業は好調予想7-9月期の業績に影響を与える、7月の「プライムデー」の売上高は142億ドルと、前年比11%増で過去最高を記録しました。アナリストらはプロモーションイベントとしてのプライムデーの成功は、記録的な売上とプライム会員の新規加入の増加に表れているだけでなく、アマゾンの広告事業にも貢献した可能性が高いと予想しています。スポーツコンテンツ強化で広告事業も好調かアマゾンの広告収入は今年前半に市場予想をわずかに下回りましたが、一部アナリストは、今年後半は全体の収益に大きく貢献すると予想しています。特に、Prime VideoサービスでのNFLの試合の増加、2025シーズンのNBA66試合、2024年PPA世界選手権の独占放映権など、スポーツコンテンツの大幅な拡大が指摘されており、ライブスポーツ中継での広告が貢献し、来年の広告契約獲得目標である18億ドルを既に達成したと報じられています。また最近のニュースとしては、10月9日米国のPrime Videoサービスに、月額9.99ドルの追加サブスクリプションとしてApple TV+を提供することを発表しています。AI投資と宇宙開発の営業利益率への影響はAWSについては、クラウドインフラ市場でシェアトップのプロバイダーであり、2023年にはアマゾンに営業利益の3分の2をもたらしましたが、前期決算発表において、AIサービス構築に向けて年間の設備投資を拡大する姿勢を明らかにしており、大規模な支出に見合う高い成長が達成可能かを投資家に示す必要があります。また最近、アマゾンの衛星インターネット事業「Project Kuiper」が同社の営業利益率にどのような影響を与えるかについて、アナリストの間で議論が活発化しています。Project Kuiperは、世界中のネットワークが行き届いていない地域に、高速で低遅延のインターネット接続を提供することを目指しており、すでに2つのプロトタイプ衛星のテストを終え、量産衛星の打ち上げは2025年に開始される予定です。ジャシー氏は4月に株主に宛てた書簡の中で、同事業を「非常に大きな収益機会」と述べています。同社はこの取り組みに少なくとも100億ドルを費やすとしていますが、SpaceXのStarlinkとの競争を見据えると、コストは200億ドル以上に上昇する可能性が高いと予想されています。一部アナリストは、プロジェクトのコストにより2025年のアマゾンの北米部門の営業利益目標は6%の下方修正に直面する可能性があると、Project Kuiperがアマゾンの利益率に重しになるとの懸念を示しています。一方、アマゾンの今年の手元資金は1000億ドル(約15.3兆円)を超えると予測されることから、「たとえカイパーに200億ドルの費用がかかり、今後18カ月間利益率を多少圧迫するとしても、誤差である」と強気な見方を示すアナリストもいます。
【アルファベット決算みどころ】堅調な業績期待も、独占是正案が株価の重しか(GOOGLE)
本記事では、アルファベットの2024年4-6月期の決算を振り返りつつ、10月29日に控える2024年7-9月期決算の見どころを解説します。独占是正案に関する警戒から、同社の株価は年初来から約19%上昇していますが、S&P500指数の上昇率を下回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:好業績も設備投資見通し高止まりで、株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では検索とクラウドが成長を牽引し、売上高が前年同期比14%増、純利益が同28.6%増と市場予想を上回る堅調な結果でした。しかし、YouTubeの広告収入が予想に届かず、年間を通じて設備投資額が高止まりするとの見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$847.4億(予想:$841.9億)EPS:$1.89(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億ドル。うち、Youtube広告が同13%増の87億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の103.5億ドルと、四半期で初めて100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。「その他の事業」の売上高は、自動運転車会社「ウェイモ」を含め、前年同期比28%増の3.65億ドルとなりました。ウェイモは、第2四半期中にサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。また、アルファベットはウェイモに対する新たな50億ドルの複数年投資計画を発表しました。四半期設備投資額は130億ドルとなり、年内の四半期設備投資額は120億ドル以上になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIスタックのあらゆる層で革新を進めている」と述べた上で、「過小投資のリスクは、過剰投資のリスクよりはるかに大きい」との考えを示しました。一部アナリストは、グーグルのAIへの巨額投資について、一部投資家が「AIによってどのぐらいの売り上げを得ているか」明確な証拠を求めている段階に入り、これが懐疑的な見方や株価の不安定な動きにつながっていると指摘しています。7-9月期の注目点:YouTubeとクラウドの成長性2024年7-9月期のアルファベットの「売上高予想は$863.5億、EPS予想は$1.84」、目標株価は201.8です。独占禁止法訴訟が長期化同社に関する最近の報道の多くは、同社に対する反トラスト法(独占禁止法)の調査に焦点を当てています。8月、連邦地方裁判所はグーグルのインターネット検索サービスが独占禁止法に違反したとの判決を下し、10月8日には独占に伴う弊害の是正に向け、司法省が同社に一部事業の切り離しを求める勧告をするよう裁判所に求める可能性があると明らかにしました。是正案が実現すれば、独占禁止法に基づく企業分割の歴史的ケースとなります。司法省は11月20日までに具体的な是正案を裁判所に提出する見通しであり、グーグルは連邦地裁の判断を不服として控訴するとしています。一方、上述の裁判は「インターネット検索」についてですが、9月9日にはグーグルの「オンライン広告」を巡る独占禁止法訴訟が始まりました。司法省は、グーグルのデジタル広告市場における優位性が広告主とコンテンツ制作者に損害を与えていると主張しており、検索と同様に今回の広告訴訟でもグーグルの事業分割を求める構えです。最終弁論は11月25日に予定されており、判決は年末までに下される可能性が高いと考えられています。アナリストの多くは、裁判結果に関する不確実性がアルファベット株の短期から中期的な重荷になると予想し、同社の目標株価を引き下げたものの、長期的な見通しに対しては引き続き前向きな姿勢を示しています。クラウド部門の好調は続くかアナリストらは7-9月期の売上高、利益ともに堅調な業績を期待しており、グーグルクラウドとYouTubeの成長が鍵と見ています。クラウド部門はアマゾンとマイクロソフトに次ぐ第3位のサービスプロバイダーですが、新たな機会を狙い設備投資を増やしています。最近開催されたクラウドイベント「Gemini at Work 2024」では継続的にイノベーションを行っていることが強調され、AIワークロードの投資収益率が改善し、クラウド部門のさらなる収益成長の可能性が示されました。株価に反映されていなウェイモ事業また現時点では、アルファベットの株価評価にウェイモ事業はほとんど反映されていませんが、テスラに先駆けてロボタクシーサービスを米国で唯一運営しており、投資家が新たな展開を注視すべき企業資産です。10月4日、ウェイモとヒュンダイは複数年にわたる戦略的提携を提携したことを発表しました。提携の第一段階では、両社はウェイモの最新の自動運転技術をヒュンダイの完全電気自動車「IONIQ 5 SUV」に組み込み、最終的にはウェイモのロボタクシー車両群の一部となる予定です。ヒュンダイは米国で第2位のEVメーカーであり、ヒュンダイ、起亜、ジェネシスのブランドを含めると約10%の市場シェアを占めています。
FOMC議事要旨とCPIで利下げ期待は一進一退しつつ、S&P500は最高値を更新|米国市場サマリー
先週は、FOMC議事要旨が想定より利下げに前向きだったことから、利下げ期待が強まり株価が上昇しました。CPIは予想よりやや上振れしたので利下げ期待は一進一退でしたが、JP Morgan等の大手金融機関決算が好調だったことでS&P500は最高値を更新して上昇し、1週間を終えました。為替は、先週の雇用統計から利下げ期待が後退して一時円高になりましたが、その後FOMC議事要旨で円安が進み、さらにCPIで円高にやや戻しました。結果として、方向性を欠く1週間となりました。米国株式市場:利下げ観測はFOMC議事要旨とCPIで一進一退も、S&P500は最高値更新10月7日(月) 米国株式市場は主要3指数が約1%下落しました。FRBの利下げ観測が後退し、中東での紛争が原油価格に与える影響が懸念され、AlphabetやAmazon、Appleの株が売られました。特にGoogleがモバイルアプリ事業の見直しを命じられたことが、投資家のセンチメントを悪化させました。VIX指数が大きく上昇し、投資家の不安感が高まりました。エネルギーセクターのみが上昇しましたが、その他のセクターは軟調でした。10月8日(火) 米国株式市場は反発し、ハイテク株への買い戻しが進みました。特にNVIDIA、Apple、Teslaなどが上昇し、NASDAQも強含みました。データ解析企業のPalantirとサイバーセキュリティー企業Palo Alto Networksも相場を押し上げましたが、素材セクターは下落しました。エネルギーセクターは原油安を受けて2.6%下落し、全体的には慎重な姿勢が続いています。10月9日(水) 米国株式市場は主要株価3指数が続伸し、S&P 500とダウ工業株30種が終値で最高値を更新しました。FOMC議事要旨が公表され、FRBが年内にさらに利下げを行う可能性が高まったことが市場に安心感を与えました。Alphabetは米司法省による事業分割懸念から売られましたが、他の業種が強含みました。特にクルーズ関連株が好調で、Norwegian Cruise Lineが大幅上昇しました。10月10日(木) 米国株式市場は反落し、9月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回ったことで、利下げ観測がやや後退しました。デルタ航空などの航空株は売られましたが、エネルギー株は原油価格の上昇を受けて堅調でした。インフレと雇用のデータが交錯する中、FRBの次の一手に市場の注目が集まっています。10月11日(金) S&P 500とダウ工業株30種は最高値で引け、金融株が好調でした。JP MorganとWells Fargoが好調な四半期決算を発表し、銀行株が相場をけん引しました。また、インフレ指標を受け、11月のFOMCで利下げが行われるとの観測が強まりました。テスラはロボタクシーの発表を行いましたが、具体的な生産計画が明らかにされなかったため、株価は一時下落しました。今週はFOMC議事要旨が公開され、FRB内部が想定より利下げに前向きだったことが明らかになり、年内追加利下げの観測が強まって株価が上昇しました。しかし、CPIの数値が予想をやや上回るものだったこともあり、利下げ観測については一進一退が続いています。決算シーズンが始まり、金融銘柄の業績が好調だったことからS&P500やダウ平均は押し上げられ、最高値を更新しています。為替市場:FRB利下げ観測に合わせて方向性を欠いた1週間に為替は、先週のサプライズだった雇用統計の影響で一時円高が進むも、FOMC議事要旨で再度利下げ観測が強まり円安に戻し、上振れたCPIでやや円高方向によって1週間を終えています。トータルではやや円安という結果でした。為替はしばらく大きな材料がないまま相場が動きそうです。今週のマーケット:金融銘柄とヘルスケア銘柄の大型決算に注目今週(2024/10/7-10/11)は、決算シーズンが本格化し、金融銘柄の残りとヘルスケア銘柄の決算が控えているので注目です。ブルーモの公式Xでも決算や指標の速報をお届けするので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest