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【エヌビディア決算みどころ】株価最高値更新なるか、Blackwell情報にも注目(NVIDIA)
本記事では、半導体大手エヌビディア(NVDA)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月28日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来で約164%上昇しており、S&P500のなかでもトップパフォーマンスの銘柄となっています。前期の振り返り:AI 需要持続で過去最高収益を達成5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比3.6倍と市場予想を上回る結果となりました。5-7月期の売上高見通しも市場予想を上回り、株価は翌日に9.3%上昇しました。売上高:$260.4億(予想:$246.5億)EPS:$6.12(予想:$5.59) セグメント別では、主力のデータセンター部門が生成AIのトレーニングおよび推論に対する力強い需要から、売上高前年同期比5.3倍と成長を大きく牽引しました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、「生成AIがクラウド サービスプロバイダーにとどまらず、さまざまな産業へ拡大しており、数十億ドル規模の市場をいくつも生み出している」と説明し、最新GPUアーキテクチャ「Blackwell」プラットフォームがフル生産中であり、「エヌビディアは次の成長の波の準備ができている」と述べています。そのほか、2024年6月7日を効力発生日とした10対1の株式分割を実施と、四半期配当を1株当たり10セントに引き上げることが発表されました。5-7月期の注目点:Blackwellの最新情報と8-10月期の見通し2024年5-7月期のエヌビディアの「売上高予想は$286.4億、EPS予想は$0.64」、平均目標株価は$140です。アナリストらは堅調な業績を予想していますが、決算発表前に株価が大きく上昇した場合、良好な決算内容であっても株価上昇が鈍いものとなる可能性があります。エヌビディアの需要に、アナリストは楽観エヌビディアの成長を示す指標として「ハイパースケーラーの設備投資支出」が挙げられますが、第二四半期の決算発表では主要ハイパースケーラー全てが設備投資の見通しを引き上げ、同社の主要顧客が設備投資を減速する懸念が払拭され、力強い需要が示されました。エヌビディアの最大の顧客であるマイクロソフトは、今後12か月間の設備投資額がさらに高くなると予想しており、メタは設備投資額のガイダンスの中央値を10億ドル引き上げました。アマゾンもAWSインフラの需要増加に対応するため、今年後半からAIへの支出を増やすと予想しています。Blackwell投入の具体的なタイムラインはまた、8月3日にBlackwellの発売が遅れる可能性があると報道されましたが、エヌビディアは「下半期には生産が拡大する見込みである」とコメントしています。BlackwellチップはHopperモデルよりも約2倍高速でありながら、エネルギー消費を著しく抑え、数兆パラメータのLLMによるリアルタイム生成AIの構築および実行を可能にします。この製品のリリースにより、NVIDIAは2025年および 2026年度も2桁成長を達成する期待が高まっており、投資家は決算発表でBlackwell製品拡大のより具体的なタイムラインが発表されることを期待しています。ただし、アナリストは発売の遅延が発生した場合も、旧型製品の売上がギャップを埋めるのに役立ち、収益や需要に大きな影響が及ぶことはないとの見方を示しています。
【スノーフレーク決算みどころ】生成AI強化で成長加速なるか(Snowflake)
本記事では、クラウド技術を活用したビッグデータの保管・分析サービスを提供する米スノーフレーク(SNOW)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月21日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。スノーフレークの株価は年初来で約33%下落しており、52週間の安値付近で取引されています。前期の振り返り:予想を上回る増収と見通しで株価上昇5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比33%増と市場予想を上回る結果となりました。また、5-7月期の見通しについても市場予想を上回ったことから、時間外取引で株価が一時4%上昇しました。売上高:$8.29億(予想:$7.87億)EPS:$0.14(予想:$0.18) 製品収益は、前年同期比34%増の約7億9,000 万ドル、残存履行義務は同46%増の50億ドルとなりました。スリダール・ラマスワミ最高経営責任者(CEO)は、「多くの主要指標で好調な業績を達成して第1四半期を終えた」と述べています。5-7月期の注目点:AI製品の動向と業績見通し2024年5-7月期のスノーフレークの「売上高予想は$8.52億、EPS予想は$0.16」、平均目標株価は$201となっています。生成AI強化で成長加速なるかスノーフレークは直近生成AI領域を強化しており、6月に開催されたユーザーカンファレンス「Snowflake Data Cloud Summit 2024」では、エヌビディアとの新たな協業やApache Icebergのオープンカタログである「Polaris Catalog」などが発表され、AIデータクラウド分野におけるリーダーシップを確立しようとする同社の姿勢が示されました。ゴールドマン・サックスによると、スノーフレークのTAM(獲得可能な最大市場規模)は2028年までに1,500億ドルを超えると推定され、AI製品の市場参入を成功させることができれば、30%を超える成長が見込まれます。また8月8日には、カナダのAI企業Cohereとの提携検討が報じられました。提携が実現されれば、スノーフレークの顧客はチャットボットやコーディングアシスタントといったCohereのAIアプリケーションを利用できるようになります。CohereはOpenAIの数少ない競合として知られ、エヌビディアや富士通をはじめ多くのテクノロジー企業から支援を受けており、評価額は55億ドル(約8500億円)に達しています。そのほか、スノーフレークの最近の動きとしては、エンジニアリングおよびサポート担当執行役員 (EVP)のGrzegorz Czajkowski氏の辞任の発表が挙げられます。Czajkowski氏は同社の成長に大きく貢献しており、スノーフレークの優位性と市場での地位を維持するために極めて重要な役職であることから、投資家は後任者の行方を注視しています。
【決算サマリー】ディズニー / ウーバー (Disney / Uber)
本記事では、DisneyとUberの24年8月決算のサマリーをお届けします。Disneyはストリーミング部門が黒字化して好調なもののテーマパーク事業の減速が目立ち、Uberはモビリティ部門での成長が予想を上回ったことから決算後に株価が上昇しました。ディズニー(Disney)Disneyは、第3四半期の決算でアナリスト予想を上回り、ストリーミング事業が予想より早く黒字化したことを発表しました。調整後の1株当たり利益は1.39ドルで、市場予想の1.19ドルを上回り、売上は231億6,000万ドルで予想の230億7,000万ドルを超えました。総セグメント営業利益は前年同期比で19%増の42億2,500万ドルとなり、特にストリーミング部門の好調が牽引しました。Disneyのストリーミング事業は、Disney+、Hulu、ESPN+の組み合わせで初めて黒字化し、予想よりも早い段階で利益を達成しました。この期間のストリーミング事業の営業利益は4,700万ドルで、前年同期の5億1,200万ドルの損失から大きく改善しました。しかし、ESPN+を除くと、直接消費者向けのストリーミングユニットでは1,900万ドルの損失が計上されました。Disney+ Coreの加入者数は前期比で1%増の1億1,830万人に達し、Huluの加入者も2%増の5,110万人となりました。また、エンターテイメントセグメントの売上は4%増の105億8,000万ドルで、特にDisney+ Coreの価格上昇と顧客増加が寄与しました。CEOのボブ・アイガー氏は、今後のストリーミングサービスの成長を見込んでおり、価格引き上げによる顧客の離脱は「重要ではない」と述べています。また、Disneyは今後、プラットフォームの技術機能を強化し、ライブチャンネルを追加する計画です。さらに、パスワード共有の取り締まりも進める予定です。テーマパーク事業は消費者需要の減速とインフレの影響を受けましたが、全体的な体験ユニットの売上は2%増の83億8,600万ドルとなりました。国内パークの営業利益は6%減少しましたが、国際パークの営業利益は2%増加しました。テーマパーク事業の減速は続いていますが、エンターテイメント部門の成長がそれを補っています。全体として、Disneyは売上の多様化とストリーミング事業の強化に成功しており、今後の成長に対して楽観的な見通しを示しています。ウーバー(Uber)Uberは第2四半期の決算で、市場の予想を上回る業績を発表し、その結果として株価は11%上昇しました。同社の売上は前年同期比で16%増加し、107億ドルに達しました。調整後の1株当たりの利益は47セントで、アナリスト予想の31セントを上回りました。特に、モビリティ部門の総予約額が206億ドルに達し、前年同期比で23%増加したことが、今回の業績の大きな要因となりました。また、デリバリー部門でも総予約額が16%増の181億ドルに達し、成長を続けています。第3四半期の見通しとして、Uberは予約額が402.5億ドルから417.5億ドルになると予測しており、調整後の利益は15.8億ドルから16.8億ドルの範囲で見込んでいます。これに対して、市場の予想は、予約額が411.8億ドルで、調整後の利益が16.2億ドルでした。Uberはまた、第2四半期において10億2000万ドルの純利益を報告しており、その中にはUberが保有する株式投資の再評価から得られた3億3300万ドルの税引前利益が含まれています。最近では、5月にInstacartとの提携を発表し、Instacartアプリに「レストラン」タブを追加し、Uber Eatsによる配達を可能にすることを目指しています。また、7月には中国の電気自動車メーカーBYDとの提携も発表され、ヨーロッパやラテンアメリカのUberドライバー向けに約10万台のEVを導入する計画を明らかにしました。さらに、将来的にはBYDの自動運転対応車両をUberプラットフォーム上で展開することも計画されています。自動運転車に関して、UberはWaymoと提携してアリゾナ州で自動運転車によるライドシェアやフードデリバリーサービスを提供していますが、CEOのダラ・コスロシャヒ氏は、自動運転車市場が「勝者総取り」になるとは考えておらず、Uberが引き続き最も流動的で最大のマーケットプレイスを維持する意向を示しました。Uberの株価は年初から5%下落していましたが、この発表を受けて若干の上昇を見せました。Uberは今後も、コアとなるモビリティ事業の成長を基盤にしながら、食品や旅行の注文頻度の増加を通じて業績の向上を目指しています。
【イーライリリー決算みどころ】肥満症薬の売上成長と供給状況は(Eli Lilly)
本記事では、米製薬会社イーライリリー・アンド・カンパニー(LLY)の2024年1-3月期決算を振り返りつつ、8月8日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約36%上昇し、S&P500指数の上昇率の3倍に迫るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:増収増益で通期予想も上方修正4月30日に発表された2024年1-3月期決算では、堅調な糖尿病薬と肥満症薬の販売から売上高が前年同期比26%増、純利益が同67%増でした。また、生産能力の拡大を予想していることから通期予想も424億ドルから436億ドルへ上方修正となりました。売上高:$87.7億(予想:$89.4億)EPS:$2.58(予想:$2.48) 糖尿病薬「マンジャロ」の売上高は前年同期の3倍強となる18億650万ドル、肥満症薬「ゼプバウンド」の売上高は5億1740万ドルでした。マンジャロは減量効果があるとして、米国で肥満症薬としても使用されています。これらの薬に使われるチルゼパチドは睡眠中に起こる呼吸障害の軽減にも有効なことが後期臨床試験(治験)で確認されています。4-6月期の注目点:肥満症薬の売上成長と供給状況は2024年4-6月期のイーライリリーの「売上高予想は$100億、EPS予想は$2.75」、平均目標株価は$942です。市場関係者は、引き続き肥満症薬の成長性に注目しています。肥満症薬市場における競争は激化7月25日、競合バイキングセラピューティクス(VKTX)とロシュ(RHHBY)が肥満症薬で有望な開発状況を発表したことから、リリーの株価は4.5%下落し、5月以来の安値を付けました。2030年までに1300億ドルに達すると見込まれる、肥満症薬市場でのリリーとノボ・ノルディスクの2社による独占は終わる可能性があると投資家に受け止められたようです。しかし、JPモルガンのアナリストらは、マウンジャロとゼプバウンドの売上には大きな上昇余地があると見ており、今後もイーライリリーとノボノルディスクが肥満症薬市場での優位を維持する可能性が高いとの考えを示しています。一方、肥満症薬の需要拡大により、リリーは4月にゼプバウンドの供給が短期・中期的にかなり逼迫した状態が続くとの見通しを示していましたが、8月1日、ゼプバウンドが数日中に米国内で正式に供給不足から脱する見込みであると発表され、リリーの株価は3.5%上昇しました。5月には生産増強のため53億ドル(約8300億円)を投じており、供給状況の改善に取り組んでいます。アルツハイマー病薬はどのように拡がるか7月2日、リリーのアルツハイマー病薬「ドナネマブ」は米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。ドナネマブは治療薬ではありませんが、臨床試験ではアルツハイマー病の進行を遅らせ、患者がより長く自立した生活を送り、安全に日常活動に参加できるようになることが示されました。日本国内においても、8月1日、厚生労働省の承認を得ました。アナリストらは、ドナネマブが2024年に2,400万ドルの売上をもたらし、2026年には10億1,000万ドルを売り上げる大型新薬となることを予想しています。腸疾患治療薬のポートフォリオも強化そのほか、7月8日にはバイオ医薬品「モーフィック・ホールディングス」を32億ドルで買収すると発表しました。モーフィックとの取引により、炎症性腸疾患治療薬のポートフォリオを強化し、数十億ドル規模の市場でのシェア拡大を図ります。取引は第3四半期に完了すると予想されています。
【ディズニー決算みどころ】株価反発なるか、Disney+の成長がカギに(Disney)
本記事では、ディズニー(DIS)の2024年1-3月期決算を振り返りつつ、8月7日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。ディズニーの株価は、3月に記録した2024年の最高値123.74から約25%下落しています。今回の決算で、センチメントを転換できるのでしょうか?前期の振り返り:配信事業前倒しの黒字化も株価下落5月7日に発表された2024年1-3月期決算では、売上高が前年同期比1%増と市場予想を下回りました。また、インドでの合弁事業で20億ドル以上の減損損失を計上したことから最終赤字となり、時間外取引で株価は9.5%下落となりました。売上高:$220.8億(予想:$221.2億)EPS:$1.21(予想:$1.10) テーマパーク事業を含む「エクスペリエンス」部門の売上は、ディズニー・クルーズライン事業とフロリダ・香港のパークが牽引し、前年同期比10%増、営業利益が同12%増となりました。「エンターテインメント」部門は、広告収入とアフィリエイト収入の減少により5%減となりましたが、近年課題となっていたDisney+を含むストーリーミング事業の売上高が13%増加し、予定より2期早く黒字を計上しました。Disney+の会員数は四半期で630万人増加し、ARPU(ユーザー1人あたりの平均売上)も6%上昇しました。エンターテインメント部門全体が減収となった主な要因は、映画やテレビシリーズの配給を行うコンテンツ販売・ライセンス事業が40%減となったことです。ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は「マーベルを中心に制作本数を減らし、より質に重点を置くよう努めている」、「テレビシリーズは年間4本から2本程度に減らし、映画の制作本数も年間4本から2本、多くても3本に減らす予定である」と語っています。4-6月期の注目点:Disney+の成長性2024年4-6月期のディズニーの「売上高予想は$230.4億、EPS予想は$1.19」、平均目標株価は$124です。市場関係者は主にストリーミング事業に注目しています。注目はDisney+の会員数の伸びとARPUの見通しディズニーは直近、パスワード共有の取り締まり、レコメンデーションエンジンの改善、HuluとDisney+の統合などを通じて、ユーザーのエンゲージメントを高め、プラットフォームに費やす時間を増やすことに取り組んでいます。Disney+のパスワード共有の取り締まりについては、6月から一部の市場で開始し、9月には世界中に展開する計画が明らかになっており、Netflixがパスワード共有の取り締まりを実施後に会員数が大幅に増加したように、Disney+も会員数が増加が見込まれます。コンテンツ販売・ライセンス事業は好調か興行面での失敗が続いていたコンテンツ販売・ライセンス事業ですが、5月に公開された『猿の惑星』シリーズ最新作『猿の惑星/キングダム』は予想を上回る興行収入となりました。また、6月に公開されたアニメ映画『インサイド・ヘッド2』が世界興行収入15億ドル以上も稼ぎ出し、好調な業績が予想されています。テーマパーク事業の成長減速に警戒国内外のテーマパークやクルーズラインなどを含む「エクスペリエンス」部門は、1-3月期の同社の売上高の3分の1以上、営業利益の約60%を占めました。しかし、パンデミック後の旅行需要が落ち着いてきたこともあり、ディズニーの経営陣は高い成長率は持続可能でないことを示しています。テーマパーク事業は、4-6月期にかけて成長が鈍化し、営業利益は前年同期と同程度になると予想されています。一方で、UBSのアナリストは、ディズニーのクルーズラインの好調が国内テーマパーク事業の低迷を相殺するのに役立つ可能性があると述べています。UBSによると、1-3月期の予約占有率は5隻のクルーズ船すべてで97%となっています。またディズニーは、テーマパークとクルーズ事業を10年間で600億ドル拡大すると発表しており、7月9日には2029年に東京から出航する新しいクルーズ船の就航計画も発表しています。
【決算サマリー】アップル / アマゾン (Apple / Amazon)
本記事では、Magnificent7銘柄2社の24年8月決算のサマリーをお届けします。AppleはiPhoneの売上は為替の影響もあり減少したものの、サービス部門に牽引されて売上が伸びて好調な決算でした。一方、AmazonはAWSの成長がMicrosoftやAlphabetに遅れており、オンラインストア売上も予測に届かなかったことから悪材料となり、株価は時間外取引で下落しています。アップル(Apple)Appleは第3四半期の業績で市場予想を上回り、売上が5%増加しましたが、株価は取引終了後の時間外取引で横ばいでした。6月29日に終了した四半期の業績について、Appleは1株当たり利益が1.40ドルで予想の1.35ドルを上回り、売上が857.8億ドルで予想の845.3億ドルを上回りました。iPhoneの売上は393億ドルで予想の388.1億ドルを上回りました。Macの売上は70.1億ドルで予想の70.2億ドルに若干届きませんでしたが、iPadの売上は71.6億ドルで予想の66.1億ドルを上回りました。ウェアラブル、ホーム、アクセサリーの売上は81億ドルで予想の77.9億ドルを上回りました。サービスの売上は242.1億ドルで予想の240.1億ドルを上回り、売上総利益率は46.3%で予想の46.1%を上回りました。AppleのCFO、ルカ・マエストリ氏はアナリストとの電話会議で、同社は現在の四半期でも同様の売上成長を見込んでおり、サービス部門も前年と同じ約14%の成長を続けると述べました。Appleはまた、第3四半期の営業費用を142億ドルから144億ドルの間とし、売上総利益率を45.5%から46.5%と見込んでいます。第3四半期の純利益は前年同期の198.8億ドルから214.5億ドルに増加しました。iPhoneはAppleの総売上の約46%を占める最も重要な製品であり、売上は1%減少しましたが、通貨の影響を除けば前年同期比で成長したとティム・クックCEOは述べました。クック氏は、Appleの新しい「Apple Intelligence」サービスの販売開始が秋まで待たれる中、同サービスに向けた支出が増加していることを指摘しました。また、AIへの投資も増加していると述べました。Appleは第3四半期で最も成長した部門はiPadで、前年同期比24%増加し、71.6億ドルの売上を記録しました。Mac部門の売上は前年同期比で2%増加し、70億ドルでした。Apple WatchやBeats、AirPods、HomePodなどのウェアラブルおよびアクセサリーの売上は2%減少し、81億ドルでしたが、新規購入者が多く、成長の余地があるとクック氏は述べました。サービス事業はAppleにとって最も重要な成長カテゴリーであり、ハードウェア保証、月額クラウドストレージ契約、およびApple TV+などのコンテンツ契約を含み、242.1億ドルの売上を報告しました。これは前年同期比で14%増加し、Appleの予想と一致しました。Appleは、各地域でのアクティブデバイス数が過去最高となったと発表しましたが、具体的な数字は示しませんでした。2月に同社は22億台のアクティブデバイスを報告していました。また、有料契約が10億件に達し、これはApp Storeを通じたiPhoneアプリの契約を含みます。しかし、Appleの売上は中国本土、台湾、香港を含む中華圏で6%減少し、147.2億ドルとなりました。Appleは中国本土でHuaweiなどの地元ライバルの製品と競争しており、圧力を受けています。クック氏は、長期的には自信を持っていると述べました。Appleは、四半期中に320億ドルを配当金と自社株買いに費やしたと発表しました。アマゾン(Amazon)Amazonは、第2四半期の売上が予想を下回り、今後のガイダンスも期待外れであると発表しました。これを受けて、株価は時間外取引で6%下落しました。Amazonの第2四半期の業績は、1株あたり1.26ドルの利益で、予想の1.03ドルを上回りましたが、売上は1,479.8億ドルで予想の1,485.6億ドルを下回りました。クラウド部門のAWSは予測を上回り、前年同期比で19%成長しましたが、マイクロソフトやグーグルと比較すると成長率は遅れています。広告売上は前年同期比で20%増加し、12.77億ドルとなりましたが、予測をわずかに下回りました。このユニットは最も大きな利益を生み出す部門の一つであり、新しいオファリングを追加して市場シェアを拡大しています。Amazonは、現在の四半期の売上を1,540億ドルから1,585億ドルの範囲で予測しており、これは前年同期比で8%から11%の成長を示しています。しかし、この予測の中央値である1,562.5億ドルは、アナリストの平均予測1,582.4億ドルを下回っています。第3四半期の営業利益は115億ドルから150億ドルの範囲でAmazonは予測していますが、アナリストは153億ドルの営業利益を予測しています。Amazonは、小売業の成長が鈍化しており、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面しています。オンラインストア部門の売上は前年同期比でわずか5%の増加でしたが、サードパーティ販売者サービスの売上は12%増加しました。財務責任者のブライアン・オルサフスキーは、北米の売上成長が社内予測を下回ったと述べ、これは消費者がより安価な製品を選ぶ傾向が強まったためだと指摘しました。オルサフスキーは、顧客が安価な製品を選び、平均販売価格(ASP)が低下していることを強調しました。Amazonは、中国の販売者とのイベントで、主に20ドル未満のブランドなしの商品を提供するディスカウントストアを開設する計画を発表しました。このストアでは衣料品、家庭用品、その他の商品が提供される予定です。Amazonの純利益は前年同期の67.5億ドル、1株あたり65セントから、135億ドル、1株あたり1.26ドルに倍増しました。オルサフスキーは、消費者が世界の出来事に気を取られていることがガイダンスの弱さの一因であると述べ、オリンピックやドナルド・トランプの暗殺未遂事件が影響を与えたと指摘しました。
【ウーバー決算みどころ】黒字回帰で株価回復なるか(UBER)
本記事では、ウーバー・テクノロジーズの2024年1-3月期の決算を振り返り、8月6日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。前期の振り返り:予想外の純損失で株価急落5月8日に発表された2024年1-3月期決算では、売上高が前年比15%増でしたが、訴訟費用や保有株式の評価損(7.21億ドル)などが響き、市場予想に反して最終赤字となりました。この発表を受けて、ウーバーの株価は時間外取引で7%下落しました。売上高:$101.3億(予想:$100.9億)EPS:-$0.32(予想:$0.22) 調整後EBITDA(償却前営業利益)は、前年同期比82%増の13.8億ドルと急増し、市場予想をやや上回りました。ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、最終赤字について本来の事業とは無関係であることを強調し、「四半期の業績は、UBERが大規模かつ安定的に収益性の高い成長を実現できる能力を改めて証明している」と述べています。ただし、ウーバーのバランスシート上の株式保有額が大きいため、株式投資は収益を圧迫し続ける可能性があることも示唆されました。4-6月期の注目点:中期的に2桁成長が維持されるか2024年4-6月期のウーバーの「売上高予想は$105.7億、EPS予想は$0.31」、平均目標株価は$86.8です。アナリストらは配車・食品宅配市場での激しい競争に関わらず、ウーバーの長期的な成長に対して楽観的な見通しを示しており、同社の新たな取り組みが業績にどのように貢献するかに注目しています。新たな成長エンジンの創出なるかアナリストらはこれまで、新機能の導入がウーバーの収益増加の源泉であると指摘してきました。5月15日に行われた同社の年次イベント「Go-Get 2024」では、シェアライドの事前予約機能「UberX シェア」の導入、大学生にUber Oneのサブスクリプションを割引価格で提供する計画や、コストコとの提携拡大などが発表されました。また、5月14日に発表されたフードパンダの買収は、アジア地域におけるデリバリーセグメントの成長の重要な推進力であると見られています。自動運転車とロボタクシーの影響はまた、投資家やアナリストは、テスラが今秋に予定しているロボットタクシーの発表が、ウーバーにどのような影響を与えるか見極めようとしています。1-3月期の決算において、コスロシャヒCEOは自動運転技術の発展に伴いウーバーはさまざまな企業と提携する計画であると述べた上で、自動運転技術はより安全な乗車と消費者のコスト削減をもたらし、同社の顧客基盤が拡大する可能性があるとの考えを示しました。7月31日には、中国最大の電気自動車メーカーである比亜迪(BYD)と提携し、EV10万台をライドシェアサービスに導入する計画が発表されています。労働訴訟問題に進展その他の注目すべき事項として、ウーバーは直近、投資家が懸念材料と指摘していた大きな障壁について、重要な進展をとげています。7月25日、カリフォルニア州最高裁判所は、「ドライバーを従業員ではなく独立した個人事業主として分類可能」という判決を下し、ウーバーやリフトの株価は一時急伸しました。運転手を従業員として分類する判決が最高裁で出ていれば、待遇改善の費用として多額の追加コストを払う必要が生じ、米国最大の市場であるカリフォルニア州で利用者の価格を引き上げる可能性がありました。
【決算サマリー】マイクロソフト / メタ (Microsoft / Meta)
本記事では、Magnificent7銘柄2社の24年7月決算のサマリーをお届けします。Microsoftはクラウド事業の成長鈍化が悪材料となり、時間外取引で株価は急落しましたが、インフラ投資を増やすメッセージが他の半導体企業には好材料となりました。Metaは広告事業が好調だったことから、時間外取引で株価は急上昇しています。マイクロソフト(Microsoft)Microsoftの株価は決算後の時間外取引で最大7%下落しました。これは、予想を上回る売上と売上高にもかかわらず、クラウド事業の結果が期待外れだったためです。しかし、経営陣は2025年上半期にクラウド成長の加速を予測し、楽観的な見解を示しました。Microsoftは第4四半期(6月30日終了)の売上高が647億3000万ドル、調整後の1株当たり利益が2.95ドルとなり、いずれもアナリストの予想を上回りました。純利益は220億4000万ドルで、前年同期の200億8000万ドルから増加しました。ガイダンスでは、第1四半期の売上高を638億ドルから648億ドルの範囲と予測しており、アナリスト予想の652億4000万ドルを下回りました。クラウド部門の売上高は285億2000万ドルで、予想の286億8000万ドルを下回りました。Azureのクラウドサービスの売上高は29%増加し、アナリスト予想の31%を下回りました。Azureの成長のうち、8%ポイントはAIサービスによるものでした。CEOのサティア・ナデラは、「AIによる市場シェアの拡大が加速した」と述べましたが、Azure AIサービスの需要は供給能力を上回っているとしました。財務責任者のエイミー・フッドは、第2四半期のAzure収益成長を28%から29%と予測し、年度後半に成長の加速を期待しています。生産性とビジネスプロセス部門は203億2000万ドルの売上を上げ、11%増加しました。個人向けコンピューティング部門は159億ドルの売上を上げ、14%増加しました。今期の結果は、PC市場の安定化から利益を得ました。メタ(Meta)Metaの株価は決算発後の時間外取引で急上昇しました。同社が売上と利益で市場の予想を上回り、現在の四半期の見通しも予想を上回ったためです。Metaの業績は以下のようになりました。1株当たり利益は5.16ドルで予想の4.73ドルを上回り、売上高は390.7億ドルで予想の383.1億ドルを上回りました。第3四半期の売上高見通しは385億ドルから410億ドルで、中央値の397.5億ドルは予想の391億ドルを上回っています。Metaは前年同期比で22%の売上高増加を報告し、純利益は73%増加して134.7億ドルとなりました。広告収入は前年同期比で22%増加し、デジタル広告市場でのシェアを拡大しています。競合のAlphabetはGoogleの広告売上高が11%増加しましたが、YouTubeは予想を下回りました。Metaの第2四半期の経費は242億ドルで、これはテキサス州の顔認識データ訴訟の和解に14億ドルを含んでいます。資本支出は84.7億ドルで、予想の95.1億ドルを下回りました。年間の経費見通しは変わらず960億ドルから990億ドルのままで、資本支出の範囲は370億ドルから400億ドルに狭まりました。ユーザーメトリクスでは、四半期のデイリーアクティブユーザー数(DAP)は32.7億人で予想と一致しました。MetaはFacebookとMessengerのユーザー数の報告から、全アプリのユーザー数の報告に変更しました。Metaの業績は、2022年後半から始まったコスト削減の影響を受け続けています。複数回のレイオフで合計約21,000人の雇用を削減し、営業利益は前年同期比58%増の149億ドルとなり、営業利益率は29%から38%に拡大しました。従業員数は前年同期比1%減の70,799人となりました。一方で、Metaは人工知能と仮想現実、拡張現実技術に多額の投資を続けています。CEOのマーク・ザッカーバーグは競争力を維持するために、これらの技術に必要なデータセンターインフラとコンピューティングリソースを提供することを目指しています。「我々は強力な四半期を過ごし、Meta AIは年末までに世界で最も利用されるAIアシスタントになる軌道に乗っています」とザッカーバーグは声明で述べています。「我々は最初のフロンティアレベルのオープンソースAIモデルをリリースし、Ray-Ban Meta AIグラスで良好な成長を続けています。また、アプリ全体での成長も順調です。」Metaは2025年にAIの研究と製品開発をサポートするための資本支出の大幅な増加を予想しています。ザッカーバーグは今年の初めに、Metaの計算インフラは2024年末までに35万枚のNvidia H100グラフィックスカードを含む予定であると述べました。これは数十億ドル相当の設備投資に相当します。Metaの株価は今年の年初来で34%上昇しており、ナスダックの増加を上回っています。株価は取引時間外で4.4%上昇しました。
【決算サマリー】マクドナルド / スターバックス (McDonald / Starbucks)
本記事では、外食2社の24年7月決算のサマリーをお届けします。McDonaldは決算は悪かったものの、バリューミールによる成長期待から株価が上昇しています。Starbucksも予想に満たない決算でしたが、投資家の懸念ほどは悪い状態ではなかったので、決算後に株価は上昇しました。マクドナルド(McDonald)マクドナルドは第2四半期の利益と売上が市場予想に届かなかったものの、株価は上昇しました。これは、同社が6月25日に導入した5ドルのバリューミールが第2四半期後半に良い結果をもたらすと期待されているためです。マクドナルドの6月末までの3か月間の調整後1株当たり利益は2.97ドルで、市場の予想である3.07ドルを下回りました。売上は64億9000万ドルで、予想の66億2000万ドルを下回りました。第2四半期の利益は前年同期比で6.3%減少し、2022年第3四半期以来の初の減少となりました。米国と国際市場の同店舗売上高はそれぞれ0.7%と1.1%減少しました。これに対し、前年同期にはそれぞれ10%と12%の成長を記録していました。しかし、経営陣は楽観的で、特に5ドルのコンボミールについては非常に期待しています。この商品は、インフレによるメニュー価格の上昇で外食を控えている低所得世帯を再び取り込むことを目的としています。「5ドルミールの販売数は予想を上回っており、ブランドの価値と手頃さに対する感情が好転し始めています」と、米国マクドナルドの社長であるジョー・アーリンガー氏は述べています。開始以来、来客数は改善していますが、まだ売上の増加にはつながっていません。それでも、5ドルミールを購入した顧客の平均チェック額は10ドルを超えており、追加購入が売上高の増加に寄与すると予想されています。経営陣は、インフレの影響が今後数四半期続くと予想していますが、マクドナルドの規模と競争優位性を考えると、同社が競争で優位に立てると自信を持っています。さらに、マクドナルドは今後4年間で1万店の新店舗を開設し、2027年末までに店舗数を5万店に増やす計画を発表しています。また、昨年には新しい飲料チェーン「CosMc’s」を立ち上げ、スターバックスやダンキンドーナツに対抗し、朝食時間帯の支配を維持するためにクリスピークリームドーナツとの独占販売契約も締結しています。このような成長戦略により、マクドナルドはさらに多くの消費者を引き付け、業績を向上させることが期待されています。スターバックス(Starbucks)Starbucksの四半期収益はアナリストの予想を下回りましたが、投資家の懸念よりは良い結果となり、株価は時間外取引で5%以上上昇しました。Starbucksは第3四半期の純利益が10.5億ドル(1株あたり93セント)で、前年同期の11.4億ドル(1株あたり99セント)から減少しました。調整後の1株あたり利益は予想通りの93セントでしたが、売上は91.1億ドルで予想の92.4億ドルを下回りました。同社の同店売上高は3%減少し、取引数が5%減少しました。米国内の店舗への来店者数は6%減少しましたが、平均購入価格の上昇で売上はわずかに2%減少しました。CEOのラクスマン・ナラスィムハンは、厳しい消費環境がカフェの売上に影響を与えていると述べました。米国内では新製品が好調で、夏の新商品「サマーベリーフレッシャーズ」は発売初週の記録を更新しました。また、来四半期にはパンプキンスパイスドリンクが復活します。さらに、モバイルアプリの改善により注文の準備時間が正確に予測できるようになり、顧客の不満が減少しました。北米以外では同店売上高が7%減少し、中国では14%減少しました。中国市場では、地元のコーヒーショップが価格で競争を激化させていますが、四半期ごとに取引数と週間売上が改善している兆しもあります。同社は中国での成長を加速させるための戦略的パートナーシップを模索していると述べましたが、具体的な形態はまだ明らかにされていません。第3四半期には新たに526店舗を開店しました。Starbucksは前四半期に提供した見通しを再確認しており、売上高は低い一桁成長、1株あたり利益は横ばいから低い一桁成長を予測しています。
【アマゾン決算みどころ】AWSは市場シェアを守れるか、株主還元方針にも注目(Amazon)
本記事では、アマゾンの2024年1-3月期の決算を振り返りつつ、8月1日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。アマゾンの株価は年初来から20%以上上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド好調で大幅な増収増益4月30日に発表された2024年1-3月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比13%増、純利益は同3倍となりました。4-6月期の売上高見通しは市場予想を下回ったものの、株価は時間外取引で僅かに上昇しました。売上高:$1433億(予想:$1426億)EPS:$0.98(予想:$0.84) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比17%増と、前期の13%増から4ポイント上昇しました。また、営業利益率は24%から37.6%に大幅に上昇しました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は、AI機能の魅力がAWSの成長を再加速させており、AWSの成長が年間売上高1000億ドルを達成するペースにあると述べています。4-6月期の注目点:AWS・小売の成長性と株主還元の有無2024年4-6月期のアマゾンの「売上高予想は$1487億、EPS予想は$1.03」、平均目標株価は$224.9です。市場関係者は売上高、利益ともに堅調な業績を期待しており、AWS・小売の成長性に注目しています。AWSは市場シェアを守れるかアナリストらは、アマゾンが生成AIサービス「Amazon Bedrock」プラットフォームを通じて提供製品を拡大したことから、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の需要増加が同社の収益を予想以上に押し上げる可能性があると述べています。AWSはクラウドインフラ市場でシェアトップのプロバイダーであり、2023年にはアマゾンに営業利益の3分の2をもたらしました。しかし、2024年1-3月期決算ではアマゾンのクラウド部門の売上高が前年同期比で17%増加したのに対し、競合他社のクラウド事業売上高はマイクロソフトが31%増、アルファベットは28%増と「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。そのため、AWSの成長率と先に決算発表を終えたアルファベットとマイクロソフトのクラウド事業の成長率の差分にも注目が集まることが想定されます。また、アマゾンは前期の決算発表において、AIサービス構築に向けて年間の設備投資を拡大する姿勢を明らかにしており、大規模な支出に見合う高い成長が達成可能かを投資家に示す必要があります。モルガンスタンレーは、AWSの売上高が少なくとも前年同期比18%増になる必要があると考えを示しています。小売事業と広告事業も利幅拡大か人員削減や倉庫ネットワークの効率化をはじめとする近年の収益性改善施策が功を奏し、小売事業の利益率拡大も見込まれています。また、7-9月期の業績予想に影響を与える「プライムデー」の売上高は142億ドルと、前年比11%増で過去最高を記録しました。アナリストらはプロモーションイベントとしてのプライムデーの成功は、記録的な売上とプライム会員の新規加入の増加に表れているだけでなく、アマゾンの広告事業にも貢献した可能性が高いと予想しています。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、1月29日にアマゾンが動画配信サービス「Prime Video」に広告を導入したことから、広告収入がさらに拡大すると見込まれています。一部アナリストは、今年だけでPrime Videoが約29億ドルの広告収入をもたらす可能性があると見積もっています。キャッシュは株主に還元されるかアマゾンの今年の手元資金は1000億ドル(約15.3兆円)を超えると予測され、手元資金の使い道にも注目が集まっています。アマゾンは創業以来キャッシュを事業に投入しており、前四半期の決算説明会においても、ブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)が「株主還元よりも設備投資と債務返済を優先し続ける」と述べています。一方、アマゾンが今後数四半期に数百億ドル規模の自社株買いまたは配当開始を発表するとの予想も強まっています。メタ・プラットフォームズやアルファベットは、今年の決算発表で自社株買いと初の配当を実施すると発表し、株価を大きく押し上げました。アマゾンも株主還元に積極な姿勢へと転じれば、株価上昇の後押しとなることが想定されます。
【アップル決算みどころ】中国市場低迷も、AI機能へ高まる期待(Apple)
本記事では、アップルの2024年1-3月期の決算を振り返りつつ、8月1日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。アップルの株価は、4月中旬に年間最安値を記録した後AI戦略への期待から一時40%以上急騰し、現在の株価は年初来約17%の上昇となっています。前期の振り返り:増収見通しと増配・自社株買い発表で株価上昇5月2日に発表された2024年1-3月期決算では、売上高が前年比4.3%減となりましたが市場予想を上回りました。また、4-6月期は増収に戻るとの見通しが示されたほか、配当の4%引き上げと1100億ドルの自社株買いも発表し、時間外取引で株価は約8%上昇となりました。売上高:$908億(予想:$903.2億)EPS:$1.53(予想:$1.5) 事業別売上高は、全体の約半分を占めるiPhoneが前年同期比10%減の460億ドル。アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同14%増の239億ドルと過去最高を達成しました。iPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどアップル社製のアクティブデバイス数は、すべての製品セグメントと地域セグメントにおいて過去最高を更新しました。4-6月期の注目点:iPhoneの売上とAI戦略の動向2024年4-6月期のアップルの「売上高予想は$841.7億、EPS予想は$1.34」、平均目標株価は$227です。市場関係者はiPhoneの収益・同社のAI戦略に注目しています。中国市場の販売減速は底打ちか中国市場でのiPhoneの販売減速をめぐる懸念がアップルの株価を圧迫してきましたが、アナリストらは4-6月期で下げ止まり、新型iPhone 16の発売を前に回復に向かう可能性があると予想しています。市場調査会社によると、2024年4-6月期のアップルの中国でのiPhone出荷台数は前年同期比3-4%減少し、市場シェア3位から6位に転落しました。中国本土では、国内メーカーが市場でリーダーシップを発揮しており、初めて上位5位を国内勢が独占しました。一方、アップルは中国以外の生産拠点や収入源としてインドに注目しています。同社は決算報告でインドの売上高を公表していませんが、関係者によるとインドでの売上高は3月までの1年間で約33%増の80億ドル(約1兆2600億円)と急速にユーザーを獲得しています。iPhone 16への期待、AI関連情報の発表はあるかアップルは6月10日、開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference(WWDC)」にて、AI機能「Apple Intelligence」をiPhoneやMac、iPadに搭載する計画を発表しました。Apple Intelligenceによって、音声アシスタントの「Siri」やメール、ウェブ検索などさまざまなアプリの機能がアップデートされます。AI機能搭載の新型デバイスの需要について同社は自信を深めており、9月に発売が予想されている「iPhone 16」は少なくとも9000万台の出荷を目指しています。世界中のiPhoneの約95%は、Apple Intelligenceをより有効に活用するために、ある時点でアップグレードが必要になると予想されており、一部のアナリストらはiPhoneメーカーは近い将来に新たなiPhoneアップグレードサイクルを迎え、時価総額4兆ドルに到達する軌道に乗っている可能性があると指摘します。決算発表を前にApple Intelligenceの投入が当初予定より遅れる可能性が報じられましたが、ソフトウェア開発者向けにはiOS 18とiPadOS 18のベータ版を通じ、早ければ今週に公開し、テストを行うことを計画しています。決算発表においても、ベータ版のプレビュー画面や関連情報を提供する可能性が期待されます。
【決算サマリー】アッヴィ / ダナハー / サーモフィッシャー・サイエンティフィック (AbbVie / Danaher / Thermo Fisher Scientific)
本記事では、ヘルスケア3社の24年7月決算のサマリーをお届けします。AbbVieは免疫療法薬の大きな成長がガイダンス引き上げにつながり、決算後の株価は上昇しています。Danaherも予想を上回る業績とサービスへの需要回帰が好材料となり、決算後の株価は7%以上上昇。Thermo Fisherも利益が予想を上回った好調な決算でした。アッヴィ(AbbVie)AbbVieの株価は、同社が第2四半期の強力な業績を報告し、ガイダンスを引き上げた後に上昇しました。同社は、第2四半期の調整後1株当たり利益が2.65ドル、売上高が144億6000万ドルで、アナリストの予想を上回りました。AbbVieの株価は4.2%上昇して183.62ドルとなり、過去最高値を更新する勢いです。今年の株価は18%増加しており、S&P 500の14%の増加を上回っています。AbbVieの売上で最も好調なのは免疫療法薬です。クローン病や潰瘍性大腸炎を治療するHumiraの売上はジェネリック医薬品との競争で30%減少しましたが、同社の他の2つの免疫療法薬であるSkyriziとRinvoqの売上はそれぞれ45%と56%増加しました。AbbVieは、年間調整後1株当たり利益の見通しを10.71ドルから10.91ドルに引き上げました。CEOのロバート・マイケルは、Humira以外の成長プラットフォームの勢い、事業への継続的な投資、パイプラインの進展に基づいて、長期的な見通しが非常に良好であると述べています。William Blairのアナリスト、ティム・ルゴは、HumiraとImbruvicaの減少の形についてはいまだ不確定要素があるものの、AbbVieの強力な成長見通しに対して投資家が安心できるほどの見通しが得られたと述べています。ダナハー(Danahe)Danaher株は決算後に7%急上昇しました。同社は医薬品開発者や科学者向けのツールやサービス、医療診断を提供しており、第2四半期の業績が市場予想を上回ったことが株価上昇の要因です。Danaherは第2四半期に調整後の1株当たり利益が1.72ドル、売上高が57億ドルを記録しました。これは、アナリスト予想の1株当たり利益1.57ドル、売上高56億ドルを上回る結果です。前年同期比でコア売上高は3.5%減少しましたが、それでも市場予想を上回るものでした。パンデミック中に需要が急増した後、バイオプロセッシングやバイオテクノロジーサービスの需要減少により売上は減少していましたが、現在はバイオプロセッシング事業に「ポジティブな勢い」が見られると同社は述べています。アナリストもこのスランプが終わりに近づいていると見ています。William Blairのアナリスト、Matt Larewは同社のバイオプロセッシング事業が今年末までに完全回復することに「慎重に楽観的」であると述べています。また、Danaherは最近1900万株を買い戻しており、この買い戻しはM&A戦略からの転換を意味するものではないとしています。Raymond Jamesのアナリスト、Andrew Cooperは、株式買い戻しが「自信のサインで良い兆候」であると評価しています。Danaherは、第3四半期の中核売上高が前年同期比で「低い一桁台の減少」を予想しており、2024会計年度全体でも同様の「低い一桁台の減少」を見込んでいます。サーモフィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)Thermo Fisher Scientificの最新四半期決算は、調整済み1株当たり利益が5.37ドルで、コンセンサス予想の5.13ドルを上回りました。前年同期の5.15ドルと比較して増加しています。四半期報告は、4.68%の利益サプライズとなりました。前四半期でも、予想の4.70ドルを実際の5.11ドルが上回り、8.72%のサプライズを提供しました。過去4四半期で、同社は一貫してEPS予想を上回っています。また、Thermo Fisher Scientificの売上は106.9億ドルから105.4億ドルに若干減少したものの、コンセンサス予想を0.29%上回りました。今年初めから株価は約4%上昇しており、S&P 500の16.5%の上昇には劣ります。今後の株価動向については不確実性がありますが、Thermo Fisherの株価見通しを判断するためには、収益予想の修正傾向が重要です。
【メタ決算みどころ】広告収益の伸びと設備投資額が焦点か(META)
本記事では、メタ・プラットフォームズの2024年1-3月期の決算を振り返りつつ、7月31日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。AIの進歩と好調な広告収益に支えられ、メタの株価は年初来から33%以上上昇し、S&P500指数の上昇率の2倍を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:4四半期連続の増収増益も株価下落4月24日に発表された2024年1-3月期決算では、堅調な広告収益と大規模リストラが功を奏し、売上高が前年同期比27%増、純利益は同2.2倍となりました。しかし、第二四半期の売上高見通しが市場予想を下回ったほか、AI開発の設備投資額目標を引き上げたことから、株価は時間外取引で16%下落となりました。売上高:$364.6億(予想:$361.4億)EPS:$4.71(予想:$4.32) メタの収益は97%以上を広告事業で稼ぎ出していますが、2024年1-3月期にMetaのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年比20%増加し、広告あたりの平均価格は6%増加しました。特にメタの大規模言語モデル「Llama 3」により強化された、広告レコメンデーションが好調で、FacebookやInstagramのフィードの約半数はAIによるレコメンデーションコンテンツとなっています。広告主の大半は、メタの広告自動化ツールである「Advantage+」を使用しており、誰に広告を表示するかやキャンペーン予算などを自動で最適化することができます。また、FacebookとInstagramでのビデオコンテンツの視聴時間が増加しており、短尺動画「Reels」の視聴時間は8~10%増加と成長を牽引しています。決算発表にて、マーク・ザッカ―バーグ最高経営責任者(CEO)は「Llama 3を搭載したメタAIの新バージョンは、世界をリードするAIの構築に向けた新たな一歩です。当社のアプリは全体的に健全な成長を遂げており、メタバースの構築も着実に前進し続けています」と述べました。4-6月期の注目点:広告収益の伸びと設備投資のコスト圧力2024年4-6月期のメタの「売上高予想は$382.6億、EPS予想は$4.7」、平均目標株価は$534です。メタは前回の決算にて設備投資の増額に嫌気された経緯もあり、市場の注目は7-9月期の売上高見通しと同社の設備投資動向に集まります。また、7月23日に決算を発表したアルファベットとテスラへの市場のネガティブな反応から、警戒感が高まっています。広告収益の伸びはどれくらいか2024年はパリ五輪と米国大統領選挙の年であり、デジタル広告市場に有利なマクロ環境となっています。アナリスト予想においても堅調な二桁成長が期待されており、一部のアナリストはLlama 3のアップデート版である「Llama 3.1」とAI Studioを通じて、メタの広告パフォーマンスがさらに改善される可能性を指摘しています。Llama 3.1は、決算発表に先駆けて7月23日にリリースされており、パラメータ数は4,050億個で、Llama 3同様にAWS、Azure、Google、Oracle など、ほぼすべての主要クラウドサービスで利用可能となります。同社の発表によると最先端レベルのモデルであり、複数のベンチマークでOpenAIの「GPT-4o」やAnthropicの「Claude 3.5 Sonnet」を上回っています。一方で、中国からの広告出稿急増による押し上げ効果の一巡が懸念されています。4-6月期のアジア太平洋地域の収入は前年同期比マイナスとなり、1-3月期の4割超の成長から急減速すると見込まれています。AI・メタバースの設備投資状況はまた、メタはAIとメタバースの開発に長年投資していますが、投資家は当該領域から収益化が進むかを重要視しています。特に、メタバースの開発に重点を置くReality Labs部門は、2024年1-3月期までに450億ドル(約7兆円)以上の損失を計上しており、損失は今後も拡大していくと予想されています。ただし好材料として、7月18日にReality Labs部門の予算を約20%削減する計画が報じられています。バンクオブアメリカのアナリストらは、コスト削減策によりメタは約30億ドルの節約となるとの見解を示しています。
【決算サマリー】コカコーラ / ビザ / スポティファイ (CocaCola / Visa / Spotify)
本記事では、普段の生活に馴染みのあるブランド3社の24年7月決算のサマリーをお届けします。CocaColaは四半期の成長を追い風に2024年の年間見通しを引き上げた好調な決算でした。Visaは珍しく売上高が予測に届かず、決算後に株価が下落しました。Spotifyは利益構造の改善が大きく進展し、決算後に株価は14%以上上がりました。コカコーラ(CocaCola)CocaColaは第2四半期の世界的な飲料需要の増加を受けて、2024年の年間見通しを引き上げました。具体的には、自然売上成長率を従来の予測8%から9%に、利益成長率を4%から5%に修正しました。CFOのジョン・マーフィーは、2024年の見通しが上半期のビジネスの勢いと第2四半期の計画実行に対する自信を反映していると述べました。第2四半期の結果は、1株当たり利益が84セントで予想の81セントを上回り、売上高は123.6億ドルで予想の117.6億ドルを上回りました。ただし、純利益は前年の25.5億ドルから24.1億ドルに減少しましたが、調整後の1株当たり利益は84セントに達しました。売上高は3%増加し、M&Aや為替の影響を除いた売上は15%増加しました。ユニットケースの販売量は2%増加し、特に国際市場が好調でしたが、北米市場では1%減少しました。北米では、水、スポーツ飲料、コーヒー、紅茶、コカ・コーラブランドの販売が減少しましたが、ジュース、乳製品、植物ベース飲料が成長しました。CocaColaのCEOジェームス・クインシーは、北米市場での販売量減少の原因を「家庭外チャンネルでの弱い販売」とし、食事と飲み物のセットメニューをマーケティングすることで需要を喚起しようとしています。炭酸ソフトドリンクの世界的な販売量は3%増加し、特にアジア太平洋地域とラテンアメリカ地域での需要が強かったです。ジュース、乳製品、植物ベース飲料の事業も2%成長しましたが、水、スポーツ、コーヒー、紅茶部門の販売量は横ばいで、ボトル入り水とコスタコーヒーの売上が英国で減少しました。価格は前年同期比で9%上昇しましたが、その半分はアルゼンチンなどの一部市場でのハイパーインフレーションによるものでした。ビザ(Visa)Visaの株価は決算後の時間外取引で約3%下落しました。これは、最新四半期での取引量のわずかな減速が影響したためです。第3四半期の支払取引量は前年同期比で7%増加し、処理された取引は10%増加しました。これは、前四半期の支払取引量8%増、処理取引11%増と比較してわずかに減速しました。国際取引量は前年同期比で14%増加しました。しかし、7月の最初の3週間の米国全体の取引量は6月と比較して減速し、特にデビットカードの減速が顕著でした。Visaは年間の収益成長見通しを維持しており、CFOのクリス・スーは、当初の予測の多くが実現しているが、2つの例外があると述べました。1つは、予想よりも低い為替の変動性であり、もう1つはアジアでの回復ペースが予想より遅れていることです。中国の経済状況と多くのアジア通貨の弱さが影響しており、日本円は対米ドルで38年ぶりの安値を記録しています。これが消費者の購買力に影響を与えています。それでも、Visaのビジネスは全体的に「安定」しており、スーは「年間の目標を達成できると感じている」と述べました。タッチレス決済の採用が特に米国で増加しており、ニューヨークでは75%に達しています。これはVisaにとって好都合であり、タッチレス決済を利用する消費者は、スワイプやディップを利用する消費者よりも多くの支出をする傾向があります。第3四半期の純利益は48.7億ドルで、前年同期の41.6億ドルから増加し、調整後の1株当たり利益は2.42ドルで、アナリストの予測と一致しました。売上は89億ドルに増加しましたが、予測の89.2億ドルにはわずかに届きませんでした。ジェフリーズのアナリスト、トレバー・ウィリアムズは、Visaにとって「珍しいトップラインのミス」であると指摘しました。スポティファイ(Spotify)Spotifyは、四半期の利益が記録的に上昇し、アナリストの予想を上回ったことを発表しました。この発表を受けて、同社の株価は14%以上上昇しました。昨年、スウェーデンのオーディオストリーミング大手であるSpotifyは、コスト削減のためにレイオフやマーケティング予算の削減を行う一方で、プロモーションやポッドキャストへの新たな投資を通じてユーザー基盤の拡大を図りました。2024年第2四半期には、有料のSpotify登録者数が期待を少し上回る2億4600万人に達しました。CEOのダニエル・エク氏は、学生向けや共有家庭向けの様々なプランが功を奏していると述べました。利益は前年同期比で45%増加し、11億1000万ユーロ(12億1000万ドル)となり、アナリスト予想の10億7000万ユーロをわずかに上回りました。1株当たりの利益は1.33ユーロで、アナリスト予想の1.06ユーロを上回りました。売上は前年同期比で20%増加し、38億1000万ユーロとなりましたが、アナリスト予想の38億2000万ユーロにはわずかに届きませんでした。Spotifyは月間アクティブユーザー(MAU)の目標を631万人に設定していましたが、実際には626万人に留まりました。オムディアのアナリスト、サイモン・ダイソン氏は、この四半期の結果は非常に良好であり、目標を下回ったものの、自信を持っていると述べました。エク氏は、マーケティング活動の「継続的な調整」が目標達成を妨げたと説明しましたが、「強力なMAU成長に戻るのは時間の問題であり、それについては良い感触を持っている」と述べました。Spotifyの利益率は前四半期の27.6%から29.2%に拡大しました。
【決算サマリー】テスラ / アルファベット (Tesla / Alphabet)
本記事では、7月23日に発表されたテスラ(Tesla)、アルファベット(Alphabet)の四半期決算サマリーをお届けします。Teslaは利益の減少と自動車販売の不調、ロボタクシー発表の延期から決算後の時間外取引で大きく下落しました。Alphabetは好調な決算内容でしたが、競争激化によりYouTube広告収入が予想を下回ったこともあり、株価は時間外取引でやや下がっています。テスラ(Tesla)Teslaの第2四半期の利益は予想を下回り、自動車販売が2期連続で減少したことから、株価は時間外取引で8%以上下落しました。1株当たりの調整後利益は52セントで予想の62セントを下回り、売上は255億ドルで予想の247.7億ドルを上回りました。しかし、自動車売上は前年同期比で7%減少し、199億ドルとなりました。Teslaは第2四半期に記録的な規制クレジット収入を計上したと述べ、他の自動車メーカーが排出要件の達成に遅れていることを指摘しました。CEOのElon Muskは、10月10日にロボタクシーの発表イベントを開催すると述べましたが、以前は8月8日とされていました。Muskは、自動運転技術の展開には規制上の障害はないと述べ、Waymoの商業ロボタクシーサービスを「限定的」かつ「脆弱」と評しました。第2四半期の純利益は前年同期比45%減の14.8億ドル(1株当たり42セント)で、自動車販売の減少と割引による利益率の低下が影響しました。エネルギー生成および貯蔵事業の収益は前年同期比でほぼ倍増し、30億ドルを超えました。Teslaはメキシコでの自動車製造計画を一時停止し、既存の工場での生産を増やす計画を発表しました。第2四半期の資本支出は前年同期比で10%増加し、22.7億ドルとなりました。また、AIインフラストラクチャに6億ドルの費用を計上しました。Teslaの株価は年初から約0.5%下落しており、競合他社が米国での電気自動車の販売を33%増やしたのに対し、Teslaの販売は9.6%減少しました。アルファベット(Alphabet)Googleの親会社であるAlphabetは、第2四半期の決算報告を発表し、売上と利益がアナリストの予想を上回ったものの、YouTubeの広告収入は予想を下回りました。この結果を受けて、Alphabetの株価は時間外取引で約2%下落しました。具体的には、1株当たりの利益が予想の1.84ドルに対して1.89ドル、売上が予想の841.9億ドルに対して847.4億ドルとなりました。純利益は236億ドル、1株当たり1.89ドルで、前年同期の184億ドル、1株当たり1.44ドルから増加しました。YouTubeの広告収入は89.3億ドルの予想に対して86.6億ドル、Google Cloudの収入は102億ドルの予想に対して103.5億ドル、トラフィック獲得コスト(TAC)は135.4億ドルの予想に対して133.9億ドルでした。Alphabetの売上は前年同期比で14%増加し、特に検索とクラウドが成長を牽引しました。クラウドの収入は初めて四半期で100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。広告収入は646.2億ドルで、前年同期の581.4億ドルから増加しましたが、インフレと金利の上昇により広告予算が引き締められた影響で、成長ペースは第1四半期よりも遅くなりました。YouTubeの広告収入は86.6億ドルで、前年同期の76.6億ドルから増加しましたが、TikTokなどのソーシャルビデオサイトとの競争が激化しています。Alphabetの「Other Bets」部門には自動運転車会社Waymoが含まれ、この部門の収入は前年同期の2.85億ドルから3.65億ドルに増加しました。CFOのRuth Poratは、Waymoに対する新たな50億ドルの複数年投資を発表しました。第2四半期中に、Waymoはサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。CEOのSundar Pichaiは、Waymoが主にサンフランシスコとフェニックスで週50,000回の有料公共乗車を提供していると述べました。Pichaiは、「この四半期の強力な業績は、検索とクラウドの勢いが続いていることを示しています。我々はAIスタックのあらゆる層で革新を進めています」と述べました。