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【アドビ決算みどころ】AI製品好調で、株価続伸なるか(Adobe)

【アドビ決算みどころ】AI製品好調で、株価続伸なるか(Adobe)

本記事では、アドビ(ADBE)の2024年3-5月期の決算を振り返り、9月12日に控える2024年6-8月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来約3%の下落となっていますが、6月上旬の安値から過去3か月で30%以上上昇しています。オプション市場は決算発表後に約±4%の変動を織り込んでいます。前期の振り返り:通期見通し上方修正で株価大幅上昇6月13日に発表された2024年3-5月期決算では、売上高が前年同期比10%増、EPSは同15%増と市場予想を上回る結果となりました。また、2024年度通期の売上高見通しも上方修正したことを受けて、時間外取引で株価が16%超の上昇となりました。売上高:$53.1億(予想:$52.9億)EPS:$4.48(予想:$4.39) 全体の約75%を占める主要事業セグメントである、デジタルメディア部門の収益は前年同期比11%の成長を遂げ、アナリストらが注目する6-8月期の新規年間経常収益(ARR)は4.6億ドルと、市場予想の4.35億ドルを上回りました。ARRはサブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされています。アドビは近年、より手頃な価格で同様のサービスを提供するCanvaやFigma、AI に重点を置いた新興スタートアップなどとの競争に直面しており、一部のアナリストから「アドビはこれまで企業としての高い競争優位性を維持してきたが、AI はこうした競争障壁の多くを崩し、時間の経過とともに競争圧力が高まっている」と指摘されていました。しかし、今回の決算ではAI 搭載製品を拡充しユーザーエクスペリエンスを向上させることに注力する同社の取り組みが、顧客の支持を集めていることを示唆する結果となりました。ダン・ダーン最高財務責任者(CFO)は、「市場をリードする当社の製品、強力な実行力、そして世界クラスの財務規律により、2024年後半以降も当社は好調な状態にあります」と声明文で述べています。6-8月期の注目点:デジタルメディア部門のARRの成長見通し2024年6-8月期のアドビの「売上高予想は$53.7億、EPS予想は$4.53」、平均目標株価は$610です。デジタルメディア部門の好調な成長が予想されることから、市場関係者は同社の見通しに強気です。下半期は価格設定が追い風になる予想注目は引き続き、デジタルメディア部門の新規ARRの成長見通しです。下半期は、過去2年間におけるCreative Cloudの値上げ実施の成果に加えて、現在ベータ版であるさまざまなAI搭載製品がリリースされることで収益化が開始し、ARRの成長に貢献すると想定されています。特に、アドビの最近の成長は「Acrobat AI Assistant」と同社の画像生成AI「Adobe Firefly」の貢献が大きく、Firefly AIは発売以来90億枚を超える画像を生成しています。また、決算後の10月14日-16日には、毎年恒例の 「MAX Creativity Conference」 がマイアミでの開催を予定しており、大きく注目を集めています。

【マグニフィセント7決算解説】AI需要に懸念、株価調整局面入りか

【マグニフィセント7決算解説】AI需要に懸念、株価調整局面入りか

本記事では、米大型テクノロジー企業7社で構成される、Magnificent 7(マグニフィセント・セブン)の2024年第2四半期決算の振り返りをお届けします。テスラ(Tesla): 純利益大幅減で株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では、売上高が前年同期比2%増、純利益は同45%減となりました。投資家から注目されていた自動車部門の粗利益率(規制クレジット除く)についても14.6%と、1-3月期の16.4%から低下し、株価は翌日12%下落しました。売上高:$255.0億(予想:$247.7億)EPS:$0.52(予想:$0.62) セグメント別では、自動車部門の売上が前年同期比7%減の199億ドルでしたが、テスラのエネルギー生成・貯蔵部門の売上が倍増したことにより、全体の売上高の成長に寄与しました。また、7-9月の自動車生産が4-6月期よりも増える見通しを明らかにしたものの、2024年の納車台数の伸び率は前年より「著しく低くなる」見通しをあらためて示しました。テスラは引き続きコスト削減に重点を置くとし、新モデルのサイバートラックは年内に黒字化する方向。低価格車の計画も前進しており、25年前半に生産開始の見込みです。そのほか、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、「ロボタクシー」の発表イベントを10月10日に延期すると明らかにしました。ロボタクシーはヒューマノイドロボット「オプティマス」と同様に、テキサス州オースティンにある工場で製造されます。アナリストからはテスラの株価を押し上げる強力な材料が短期的に不足との指摘もあり、一部アナリストは10月のロボタクシー発表が実質的な内容より願望に近いものになる可能性があると懐疑的に見ています。アルファベット(Alphabet): 好業績も設備投資見通し高止まりで、株価下落7月23日に発表された2024年4-6月期決算では検索とクラウドが成長を牽引し、売上高が前年同期比14%増、純利益が同28.6%増と市場予想を上回る堅調な結果でした。しかし、YouTubeの広告収入が予想に届かず、年間を通じて設備投資額が高止まりするとの見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$847.4億(予想:$841.9億)EPS:$1.89(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比11%増の646億ドル。うち、Youtube広告が同13%増の87億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の103.5億ドルと、四半期で初めて100億ドルを超え、営業利益も10億ドルに達しました。「その他の事業」の売上高は、自動運転車会社Waymoを含め、前年同期比28%増の3.65億ドルとなりました。Waymoは、第2四半期中にサンフランシスコ全域のユーザー向けにサービスを拡大し、2020年にフェニックス都市圏でのサービス開始に続く2つ目の都市全域展開を実現しました。また、アルファベットはWaymoに対する新たな50億ドルの複数年投資計画を発表しました。四半期設備投資額は130億ドルとなり、年内の四半期設備投資額は120億ドル以上になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIスタックのあらゆる層で革新を進めている」と述べた上で、「過小投資のリスクは、過剰投資のリスクよりはるかに大きい」との考えを示しました。一部アナリストは、グーグルのAIへの巨額投資について、一部投資家が「AIによってどのぐらいの売り上げを得ているか」明確な証拠を求めている段階に入り、これが懐疑的な見方や株価の不安定な動きにつながっていると指摘しています。マイクロソフト(Microsoft): クラウド事業が成長鈍化で、株価下落7月29日に発表された2024年4-6月期では、売上高が前年同期比15%増、純利益は同10%増と市場予想を上回る結果となりました。しかし、同社で最も成長しているセグメントであるクラウド事業の成長が減速したため、時間外取引で株価が一時9%下落しました。売上高:$647.3億(予想:$643.8億)EPS:$2.95(予想:$2.94) セグメント別では、インテリジェント・クラウド部門の売上高は前年同期比21%増の368億ドルで、うちAzureの売上高が同29%増と市場予想の31%を下回る結果となりました。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「Azureの成長は7-9月も減速が続く」述べましたが、データセンターとサーバーへの投資が需要の取り込みにつながり、2025年度後半にAzureの成長を加速できるとの見通しも示しました。生産性とビジネスプロセス部門は11%増の203億ドル、個人向けコンピューティング部門は14%増の159億ドルの売上を上げました。メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms): AI活用で堅調な収益、株価急伸7月31日に発表された2024年4-6月期決算では、堅調な広告収益と大規模リストラが功を奏し、売上高が前年同期比22%増、純利益は同73%増と市場予想を上回りました。また、第3四半期の売上高についても明るい見通しを示したことから、株価は時間外取引で7%上昇となりました。売上高:$390.7億(予想:$383.1億)EPS:$5.16(予想:$4.73) メタの収益は98%以上を広告事業で稼ぎ出していますが、2024年4-6月期にメタのサービス全体で配信された広告インプレッションは前年同期比10%増加し、広告あたりの平均価格は同10%増加しました。スーザン・リー最高財務責任者(CFO)は「健全な広告需要が世界的に続いている」とし、同社のAIを活用したデジタル広告事業の効率性を改善するプロジェクトの成果も出ていると説明しました。また、第2四半期のコストは7%増加しましたが、営業利益率は29%から38%に上昇し、収益の伸びがコストの伸びを大幅に上回りました。アナリストは、メタの利益率が健全なことから、同社の積極的なAIとメタバースへの支出について投資家が抱いていた収益性への懸念は和らぐ可能性があると指摘しています。2024年の設備投資は370億ー400億ドルになるとの見通しが示されています。アップル(Apple): 新型iPad好調も中国販売不振で、株価横ばい8月1日に発表された2024年4-6月期決算では、「iPad」の新モデルの販売好調などで売上高が前年同期比5%増と市場予想を上回りました。一方で投資家の懸念材料である中国市場の売上高は6.5%減の147億ドルと市場予想を下回り、時間外取引で株価は横ばいとなりました。売上高:$857.8億(予想:$845.3億)EPS:$1.40(予想:$1.35) 事業別売上高は、総売上の約46%を占めるiPhoneが前年同期比1%減の393億ドル。四半期中に最も成長したiPadの売上高は、同24%増の72億ドルとなりました。一方、アップルにとって重要な成長カテゴリーである、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同14%増の242億ドルとなりました。また、iPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどアップル社製のアクティブデバイス数は、すべての製品セグメントと地域セグメントにおいて過去最高を更新しました。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は電話会見で、iPhoneやMac、iPadに搭載予定のAI新機能「Apple Intelligence」が新機種購入の新たな理由になると指摘し、「人を強く引きつけるアップグレードサイクルの極めて重要な時期になるだろう」と語りました。新型デバイスの需要について同社は自信を深めており、9月に発売が予想されている「iPhone 16」は少なくとも9000万台の出荷を目指しています。一部のアナリストは近い将来に新たなiPhoneアップグレードサイクルを迎え、アップルが時価総額4兆ドルに到達する軌道に乗っている可能性があると指摘します。ただし、サービス部門についてはアップストアの変更を求める規制当局からの圧力にさらされているため、サブスクリプションプランやアプリのダウンロードからの収入が抑制される恐れがあります。アマゾン(Amazon): 営業利益見通しが予想を下回り、株価下落8月1日に発表された2024年4-6月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比10%増となりましたが市場予想を下回りました。7-9月期の営業利益見通しについても市場予想を下回り、株価は時間外取引で6%下落しました。売上高:$1480億(予想:$1486億)EPS:$1.26(予想:$1.03) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比19%増と市場予想を上回りました。しかし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業と比較すると成長率は遅れ、「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。オンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面し、前年同期比5%増。サードパーティ販売者サービスの売上は同12%増となりました。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、売上高は前年同期比20%増でしたが、市場予想をわずかに下回りました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は記者会見で、2024年上期にクラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターなどの設備投資に305億ドルを投じたとし、下期には投資額を増やす予定と述べています。エヌビディア(NVIDIA): 売上高見通しが期待に届かず、株価急落8月28日に発表された2024年5-7月期決算では、売上高が前年同期比2.2倍、純利益は同2.7倍と市場予想を上回り、500億ドルの自社株買いも発表されました。しかし、8-10月期の売上高見通しが市場予想のレンジ内に留まり、株価は決算発表後の3営業日で14%下落下落しました。売上高:$300億(予想:$287億)EPS:$0.68(予想:$0.65) 売上の8割以上を占めるデータセンター部門が売上高前年同期比154%増の263億ドルとなりました。一方、8月3日に報道された次世代AI半導体「Blackwell」の発売の遅れについては、出荷遅延は生産効率を向上させるための仕様変更によるものであり、11-1月期に数十億ドルの売上高を達成するを見込みと述べるにとどまり、それ以上詳しく説明しなかったことから、投資家の失望を誘いました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は電話会見で、「世界のデータセンターに設置されている時代遅れの機器を置き換えるには、1兆ドル規模の機器が必要になる。その交換作業は始まったばかり」と述べています。また決算後、9月3日に企業のAI支出に警戒感を示す調査レポートが2つ発表され、投資家の動揺を誘いました。一部アナリストは、長期的にはエヌビディア株に引き続き前向きであるものの、「問題なのは明るい材料が提供されそうな予定が当面は見当たらないこと」と指摘しています。

【ブロードコム決算みどころ】AI半導体需要とソフトウェアの業績に高まる期待(Broadcom)

【ブロードコム決算みどころ】AI半導体需要とソフトウェアの業績に高まる期待(Broadcom)

本記事では、半導体大手ブロードコム(AVGO)の2024年2-4月期の決算を振り返り、9月5日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約50%弱上昇し、S&P500指数の上昇率の約2.5倍のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を上回る収益と見通し上方修正で株価上昇6月12日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比43%増と市場予想を上回りました。通期の売上高見通しも市場予想を上回り、時間外取引で株価が一時13%上昇しました。売上高:$124.9億(予想:$120.6億)EPS:$10.96(予想:$10.85) セグメント別では、ソフトウェア部門が2023年11月に買収したソフトウェアプロバイダーVMwareの売上が寄与し、売上高前年比2倍と成長を大きく牽引しました。半導体部門は同6%増の72億ドルとなりました。そのほか、2024年7月15日付で1株を10株にする株式分割が発表されました。5-7月期の注目点:半導体部門の成長続くか2024年5-7月期のブロードコムの「売上高予想は$129.7億、EPS予想は$1.21」、平均目標株価は$193.4です。OpenAIの顧客獲得でAIチップの地位を固める直近の決算において、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなどのブロードコムの大口顧客が軒並み設備投資額が過去最高に達したと発表されたため、半導体部門の売上成長への関心が高まっています。また、JPモルガンは顧客向けメモの中で、ブロードコムは最近AIチップの新規顧客としてOpenAIを含む2社獲得し、「経営陣は今後5年間でAI半導体は1500億ドル以上のビジネスチャンスがあると語っている」と述べています。市場はこの協業について好意的な反応を示しており、ウェルズ・ファーゴのアナリストは、OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマンが最大7兆ドルの資金を確保し、チップ生産能力を増強する計画を持っていることを指摘しています。今年のブロードコムのAIチップの収益は、すでにグーグルとメタ・プラットフォームズの2社だけで、90億ドル以上の増加が予想されており、TikTokの親会社バイトダンスからの需要の増加も予想されています。

決算結果が予想を上回るも株価は下落?24/8のNVIDIA決算の市場への影響

決算結果が予想を上回るも株価は下落?24/8のNVIDIA決算の市場への影響

こんにちは。ブルーモ証券代表の中村です。米国時間8/28の市場閉場後に、注目されていたNVIDIAの24年5-7月期決算が発表されました。結果は市場予想を上回ったものの、NVIDIAの株価は閉場後の時間外取引で6%程度下落しています。本記事では決算結果の紹介と、今後の市場に与える影響について分析していきたいと思います。NVIDIA決算の結果今期決算内容のサマリー売上:300億ドル(予想は287億ドル)EPS:68セント(予想は65セント)現四半期の見通し:中間値で325億ドル(予想は317億ドル)自社株買い:500億ドル分を追加NVIDIAの売上は過去1年間で2倍以上になっており(+122%)、業績に関しては引き続き強い内容でした。NVIDIAの四半期売上推移グラフ出所:Barron's決算後の会見での発言決算後の会見で事業に関するポイントをまとめます。データセンター売上成長の鈍化:売上の8割以上を占めるデータセンター事業で、四半期成長が+16.4%で、前四半期の+22.6%に比べて鈍化した。大きな取引先である中国市場が、輸出規制もあり厳しい状況にあると発言。新商品Blackwellの見通し進展:新しいAI半導体チップBlackwellの出荷遅延は生産効率を向上させるための仕様変更によるものだったと発表。第4四半期から本格的な出荷・売上計上が始まり、来年にかけて広がっていくと発言。営業利益率は高水準を維持:NVIDIAの営業利益率は62%と高い水準で、S&P500の情報技術セクターの67社中では2番目に高い。1年前の50%からは大幅に上がっているが、前四半期の64%からは僅かに下がった。今後の株式市場への影響NVIDIAに対する過剰期待の落ち着き2024年の株式相場はNVIDIAの急成長に牽引されていましたが、どんな事業でも永続的に指数関数的な成長を続けることは不可能で、どこかで成長は鈍化していくと考えるのが合理的です。NVIDIAの場合、業績は好調なものの、高すぎる期待に対する調整が入ったのが今回決算だったと言えます。市場全体への影響はどうかというと、決算後のNVIDIA株価変動の方向とS&P500指数の変動の方向が一致したのは、過去8回の決算中4回だけです。NVIDIA株価とS&P500指数の相関係数は0.65(1が完全に同じように動き、-1が完全に逆に動く)なので、連動はしているもののそこまで一致はしていません。なので、NVIDIAをはじめとするとMagnificent7の株価が急上昇した近年の相場環境では市場全体への影響は大きかったですが、今回のNVIDIA決算と株価下落によって市場全体が大きく下落していくとまでは言えないと考えます(仮に決算が予想を下回っていたら、AIエコシステムや経済全体への懸念から、市場全体への下落圧力になりましたが、決算自体は予想以上の内容でした)。市場は利下げによる全体底上げ型の上昇相場に入れるか次第Magnificent7の株価急上昇という上昇ファクターは薄れつつある米国市場ですが、9月の利下げに伴う市場全体底上げ型の成長余地は残されていると考えられます。そして、利下げに伴う上昇相場が来る場合、小型株や半導体以外のセクターでも成長が期待できると考えられます。その意味で、今回の決算結果はNVIDIAに頼った成長からの調整・転機であり、投資家としては広範な市場の成長に期待しつつ、FRBの金融政策により注目すべき環境になったと言えます。

【クラウドストライク決算みどころ】システム障害による通期ガイダンスへの影響は(CrowdStrike)

【クラウドストライク決算みどころ】システム障害による通期ガイダンスへの影響は(CrowdStrike)

本記事では、米サイバーセキュリティ企業クラウドストライク(CRWD)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月28日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は、7月19日に発生した大規模システム障害で急落しましたが、8月2日の安値から約25%上昇し、現在は年初来で約10%上昇しています。前期の振り返り:通期見通しを上方修正で株価上昇6月4日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比33%増と市場予想を上回る結果となりました。2025年度通期の収益見通しも上方修正し、株価は時間外取引で大幅上昇しました。売上高:$9.21億(予想:$9.05億)EPS:$0.93(予想:$0.89) 年間経常収益(ARR)は前年同期比33%の36億5000万ドル、そのうち2億1200万ドルは四半期中に追加された新規ARRです。ARRはサブスクリプション(継続課金型)サービスの成長指標とみなされています。バート・ポドベレ最高財務責任者(CFO)は「好調なトップライン業績に加えて、記録的な粗利益や売上高の35%にあたるフリー・キャッシュ・フローなどは、ARR100億ドルに向けた収益性の高い事業拡大に焦点を当てていることを示しています」と述べています。5-7月期の注目点:システム障害による通期ガイダンスへの影響2024年5-7月期のクラウドストライクの「売上高予想9.58億、EPS予想は$0.97」、平均目標株価は$342です。システム障害が発生して以来初の決算報告であり、売上に与える短期的な影響について投資家に最新情報を提供するとみられます。システム障害の影響はシステム障害は四半期終了の10日前に発生したもので、5-7月期の業績への影響は限定的であると想定されています。一方、障害の影響を受けた顧客が契約条件を再交渉することで割引率や解約率に影響する可能性が高く、経営陣が通期のガイダンスをどのように扱うかが重要になります。一部アナリストは、クラウドストライクの顧客が同社に最大40%の値引きを迫る可能性があり、さらに今四半期に交渉される取引のほぼ半数が延期となる可能性があると述べています。また、クラウドストライクは障害の影響を受けた顧客から法的措置を受ける可能性があり、決算報告において潜在的な訴訟費用の見通しに関しても情報を提供する可能性があります。直近では、デルタ航空が5億ドル以上の損害賠償を請求したことが報じられています。

【エヌビディア決算みどころ】株価最高値更新なるか、Blackwell情報にも注目(NVIDIA)

【エヌビディア決算みどころ】株価最高値更新なるか、Blackwell情報にも注目(NVIDIA)

本記事では、半導体大手エヌビディア(NVDA)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月28日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来で約164%上昇しており、S&P500のなかでもトップパフォーマンスの銘柄となっています。前期の振り返り:AI 需要持続で過去最高収益を達成5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比3.6倍と市場予想を上回る結果となりました。5-7月期の売上高見通しも市場予想を上回り、株価は翌日に9.3%上昇しました。売上高:$260.4億(予想:$246.5億)EPS:$6.12(予想:$5.59) セグメント別では、主力のデータセンター部門が生成AIのトレーニングおよび推論に対する力強い需要から、売上高前年同期比5.3倍と成長を大きく牽引しました。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、「生成AIがクラウド サービスプロバイダーにとどまらず、さまざまな産業へ拡大しており、数十億ドル規模の市場をいくつも生み出している」と説明し、最新GPUアーキテクチャ「Blackwell」プラットフォームがフル生産中であり、「エヌビディアは次の成長の波の準備ができている」と述べています。そのほか、2024年6月7日を効力発生日とした10対1の株式分割を実施と、四半期配当を1株当たり10セントに引き上げることが発表されました。5-7月期の注目点:Blackwellの最新情報と8-10月期の見通し2024年5-7月期のエヌビディアの「売上高予想は$286.4億、EPS予想は$0.64」、平均目標株価は$140です。アナリストらは堅調な業績を予想していますが、決算発表前に株価が大きく上昇した場合、良好な決算内容であっても株価上昇が鈍いものとなる可能性があります。エヌビディアの需要に、アナリストは楽観エヌビディアの成長を示す指標として「ハイパースケーラーの設備投資支出」が挙げられますが、第二四半期の決算発表では主要ハイパースケーラー全てが設備投資の見通しを引き上げ、同社の主要顧客が設備投資を減速する懸念が払拭され、力強い需要が示されました。エヌビディアの最大の顧客であるマイクロソフトは、今後12か月間の設備投資額がさらに高くなると予想しており、メタは設備投資額のガイダンスの中央値を10億ドル引き上げました。アマゾンもAWSインフラの需要増加に対応するため、今年後半からAIへの支出を増やすと予想しています。Blackwell投入の具体的なタイムラインはまた、8月3日にBlackwellの発売が遅れる可能性があると報道されましたが、エヌビディアは「下半期には生産が拡大する見込みである」とコメントしています。BlackwellチップはHopperモデルよりも約2倍高速でありながら、エネルギー消費を著しく抑え、数兆パラメータのLLMによるリアルタイム生成AIの構築および実行を可能にします。この製品のリリースにより、NVIDIAは2025年および 2026年度も2桁成長を達成する期待が高まっており、投資家は決算発表でBlackwell製品拡大のより具体的なタイムラインが発表されることを期待しています。ただし、アナリストは発売の遅延が発生した場合も、旧型製品の売上がギャップを埋めるのに役立ち、収益や需要に大きな影響が及ぶことはないとの見方を示しています。

【スノーフレーク決算みどころ】生成AI強化で成長加速なるか(Snowflake)

【スノーフレーク決算みどころ】生成AI強化で成長加速なるか(Snowflake)

本記事では、クラウド技術を活用したビッグデータの保管・分析サービスを提供する米スノーフレーク(SNOW)の2024年2-4月期の決算を振り返り、8月21日に控える2024年5-7月期決算の見どころを解説します。スノーフレークの株価は年初来で約33%下落しており、52週間の安値付近で取引されています。前期の振り返り:予想を上回る増収と見通しで株価上昇5月22日に発表された2024年2-4月期決算では、売上高が前年同期比33%増と市場予想を上回る結果となりました。また、5-7月期の見通しについても市場予想を上回ったことから、時間外取引で株価が一時4%上昇しました。売上高:$8.29億(予想:$7.87億)EPS:$0.14(予想:$0.18) 製品収益は、前年同期比34%増の約7億9,000 万ドル、残存履行義務は同46%増の50億ドルとなりました。スリダール・ラマスワミ最高経営責任者(CEO)は、「多くの主要指標で好調な業績を達成して第1四半期を終えた」と述べています。5-7月期の注目点:AI製品の動向と業績見通し2024年5-7月期のスノーフレークの「売上高予想は$8.52億、EPS予想は$0.16」、平均目標株価は$201となっています。生成AI強化で成長加速なるかスノーフレークは直近生成AI領域を強化しており、6月に開催されたユーザーカンファレンス「Snowflake Data Cloud Summit 2024」では、エヌビディアとの新たな協業やApache Icebergのオープンカタログである「Polaris Catalog」などが発表され、AIデータクラウド分野におけるリーダーシップを確立しようとする同社の姿勢が示されました。ゴールドマン・サックスによると、スノーフレークのTAM(獲得可能な最大市場規模)は2028年までに1,500億ドルを超えると推定され、AI製品の市場参入を成功させることができれば、30%を超える成長が見込まれます。また8月8日には、カナダのAI企業Cohereとの提携検討が報じられました。提携が実現されれば、スノーフレークの顧客はチャットボットやコーディングアシスタントといったCohereのAIアプリケーションを利用できるようになります。CohereはOpenAIの数少ない競合として知られ、エヌビディアや富士通をはじめ多くのテクノロジー企業から支援を受けており、評価額は55億ドル(約8500億円)に達しています。そのほか、スノーフレークの最近の動きとしては、エンジニアリングおよびサポート担当執行役員 (EVP)のGrzegorz Czajkowski氏の辞任の発表が挙げられます。Czajkowski氏は同社の成長に大きく貢献しており、スノーフレークの優位性と市場での地位を維持するために極めて重要な役職であることから、投資家は後任者の行方を注視しています。

【決算サマリー】ディズニー / ウーバー (Disney / Uber)

【決算サマリー】ディズニー / ウーバー (Disney / Uber)

本記事では、DisneyとUberの24年8月決算のサマリーをお届けします。Disneyはストリーミング部門が黒字化して好調なもののテーマパーク事業の減速が目立ち、Uberはモビリティ部門での成長が予想を上回ったことから決算後に株価が上昇しました。ディズニー(Disney)Disneyは、第3四半期の決算でアナリスト予想を上回り、ストリーミング事業が予想より早く黒字化したことを発表しました。調整後の1株当たり利益は1.39ドルで、市場予想の1.19ドルを上回り、売上は231億6,000万ドルで予想の230億7,000万ドルを超えました。総セグメント営業利益は前年同期比で19%増の42億2,500万ドルとなり、特にストリーミング部門の好調が牽引しました。Disneyのストリーミング事業は、Disney+、Hulu、ESPN+の組み合わせで初めて黒字化し、予想よりも早い段階で利益を達成しました。この期間のストリーミング事業の営業利益は4,700万ドルで、前年同期の5億1,200万ドルの損失から大きく改善しました。しかし、ESPN+を除くと、直接消費者向けのストリーミングユニットでは1,900万ドルの損失が計上されました。Disney+ Coreの加入者数は前期比で1%増の1億1,830万人に達し、Huluの加入者も2%増の5,110万人となりました。また、エンターテイメントセグメントの売上は4%増の105億8,000万ドルで、特にDisney+ Coreの価格上昇と顧客増加が寄与しました。CEOのボブ・アイガー氏は、今後のストリーミングサービスの成長を見込んでおり、価格引き上げによる顧客の離脱は「重要ではない」と述べています。また、Disneyは今後、プラットフォームの技術機能を強化し、ライブチャンネルを追加する計画です。さらに、パスワード共有の取り締まりも進める予定です。テーマパーク事業は消費者需要の減速とインフレの影響を受けましたが、全体的な体験ユニットの売上は2%増の83億8,600万ドルとなりました。国内パークの営業利益は6%減少しましたが、国際パークの営業利益は2%増加しました。テーマパーク事業の減速は続いていますが、エンターテイメント部門の成長がそれを補っています。全体として、Disneyは売上の多様化とストリーミング事業の強化に成功しており、今後の成長に対して楽観的な見通しを示しています。ウーバー(Uber)Uberは第2四半期の決算で、市場の予想を上回る業績を発表し、その結果として株価は11%上昇しました。同社の売上は前年同期比で16%増加し、107億ドルに達しました。調整後の1株当たりの利益は47セントで、アナリスト予想の31セントを上回りました。特に、モビリティ部門の総予約額が206億ドルに達し、前年同期比で23%増加したことが、今回の業績の大きな要因となりました。また、デリバリー部門でも総予約額が16%増の181億ドルに達し、成長を続けています。第3四半期の見通しとして、Uberは予約額が402.5億ドルから417.5億ドルになると予測しており、調整後の利益は15.8億ドルから16.8億ドルの範囲で見込んでいます。これに対して、市場の予想は、予約額が411.8億ドルで、調整後の利益が16.2億ドルでした。Uberはまた、第2四半期において10億2000万ドルの純利益を報告しており、その中にはUberが保有する株式投資の再評価から得られた3億3300万ドルの税引前利益が含まれています。最近では、5月にInstacartとの提携を発表し、Instacartアプリに「レストラン」タブを追加し、Uber Eatsによる配達を可能にすることを目指しています。また、7月には中国の電気自動車メーカーBYDとの提携も発表され、ヨーロッパやラテンアメリカのUberドライバー向けに約10万台のEVを導入する計画を明らかにしました。さらに、将来的にはBYDの自動運転対応車両をUberプラットフォーム上で展開することも計画されています。自動運転車に関して、UberはWaymoと提携してアリゾナ州で自動運転車によるライドシェアやフードデリバリーサービスを提供していますが、CEOのダラ・コスロシャヒ氏は、自動運転車市場が「勝者総取り」になるとは考えておらず、Uberが引き続き最も流動的で最大のマーケットプレイスを維持する意向を示しました。Uberの株価は年初から5%下落していましたが、この発表を受けて若干の上昇を見せました。Uberは今後も、コアとなるモビリティ事業の成長を基盤にしながら、食品や旅行の注文頻度の増加を通じて業績の向上を目指しています。

【イーライリリー決算みどころ】肥満症薬の売上成長と供給状況は(Eli Lilly)

【イーライリリー決算みどころ】肥満症薬の売上成長と供給状況は(Eli Lilly)

本記事では、米製薬会社イーライリリー・アンド・カンパニー(LLY)の2024年1-3月期決算を振り返りつつ、8月8日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。同社の株価は年初来から約36%上昇し、S&P500指数の上昇率の3倍に迫るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:増収増益で通期予想も上方修正4月30日に発表された2024年1-3月期決算では、堅調な糖尿病薬と肥満症薬の販売から売上高が前年同期比26%増、純利益が同67%増でした。また、生産能力の拡大を予想していることから通期予想も424億ドルから436億ドルへ上方修正となりました。売上高:$87.7億(予想:$89.4億)EPS:$2.58(予想:$2.48) 糖尿病薬「マンジャロ」の売上高は前年同期の3倍強となる18億650万ドル、肥満症薬「ゼプバウンド」の売上高は5億1740万ドルでした。マンジャロは減量効果があるとして、米国で肥満症薬としても使用されています。これらの薬に使われるチルゼパチドは睡眠中に起こる呼吸障害の軽減にも有効なことが後期臨床試験(治験)で確認されています。4-6月期の注目点:肥満症薬の売上成長と供給状況は2024年4-6月期のイーライリリーの「売上高予想は$100億、EPS予想は$2.75」、平均目標株価は$942です。市場関係者は、引き続き肥満症薬の成長性に注目しています。肥満症薬市場における競争は激化7月25日、競合バイキングセラピューティクス(VKTX)とロシュ(RHHBY)が肥満症薬で有望な開発状況を発表したことから、リリーの株価は4.5%下落し、5月以来の安値を付けました。2030年までに1300億ドルに達すると見込まれる、肥満症薬市場でのリリーとノボ・ノルディスクの2社による独占は終わる可能性があると投資家に受け止められたようです。しかし、JPモルガンのアナリストらは、マウンジャロとゼプバウンドの売上には大きな上昇余地があると見ており、今後もイーライリリーとノボノルディスクが肥満症薬市場での優位を維持する可能性が高いとの考えを示しています。一方、肥満症薬の需要拡大により、リリーは4月にゼプバウンドの供給が短期・中期的にかなり逼迫した状態が続くとの見通しを示していましたが、8月1日、ゼプバウンドが数日中に米国内で正式に供給不足から脱する見込みであると発表され、リリーの株価は3.5%上昇しました。5月には生産増強のため53億ドル(約8300億円)を投じており、供給状況の改善に取り組んでいます。アルツハイマー病薬はどのように拡がるか7月2日、リリーのアルツハイマー病薬「ドナネマブ」は米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。ドナネマブは治療薬ではありませんが、臨床試験ではアルツハイマー病の進行を遅らせ、患者がより長く自立した生活を送り、安全に日常活動に参加できるようになることが示されました。日本国内においても、8月1日、厚生労働省の承認を得ました。アナリストらは、ドナネマブが2024年に2,400万ドルの売上をもたらし、2026年には10億1,000万ドルを売り上げる大型新薬となることを予想しています。腸疾患治療薬のポートフォリオも強化そのほか、7月8日にはバイオ医薬品「モーフィック・ホールディングス」を32億ドルで買収すると発表しました。モーフィックとの取引により、炎症性腸疾患治療薬のポートフォリオを強化し、数十億ドル規模の市場でのシェア拡大を図ります。取引は第3四半期に完了すると予想されています。

【ディズニー決算みどころ】株価反発なるか、Disney+の成長がカギに(Disney)

【ディズニー決算みどころ】株価反発なるか、Disney+の成長がカギに(Disney)

本記事では、ディズニー(DIS)の2024年1-3月期決算を振り返りつつ、8月7日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。ディズニーの株価は、3月に記録した2024年の最高値123.74から約25%下落しています。今回の決算で、センチメントを転換できるのでしょうか?前期の振り返り:配信事業前倒しの黒字化も株価下落5月7日に発表された2024年1-3月期決算では、売上高が前年同期比1%増と市場予想を下回りました。また、インドでの合弁事業で20億ドル以上の減損損失を計上したことから最終赤字となり、時間外取引で株価は9.5%下落となりました。売上高:$220.8億(予想:$221.2億)EPS:$1.21(予想:$1.10) テーマパーク事業を含む「エクスペリエンス」部門の売上は、ディズニー・クルーズライン事業とフロリダ・香港のパークが牽引し、前年同期比10%増、営業利益が同12%増となりました。「エンターテインメント」部門は、広告収入とアフィリエイト収入の減少により5%減となりましたが、近年課題となっていたDisney+を含むストーリーミング事業の売上高が13%増加し、予定より2期早く黒字を計上しました。Disney+の会員数は四半期で630万人増加し、ARPU(ユーザー1人あたりの平均売上)も6%上昇しました。エンターテインメント部門全体が減収となった主な要因は、映画やテレビシリーズの配給を行うコンテンツ販売・ライセンス事業が40%減となったことです。ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は「マーベルを中心に制作本数を減らし、より質に重点を置くよう努めている」、「テレビシリーズは年間4本から2本程度に減らし、映画の制作本数も年間4本から2本、多くても3本に減らす予定である」と語っています。4-6月期の注目点:Disney+の成長性2024年4-6月期のディズニーの「売上高予想は$230.4億、EPS予想は$1.19」、平均目標株価は$124です。市場関係者は主にストリーミング事業に注目しています。注目はDisney+の会員数の伸びとARPUの見通しディズニーは直近、パスワード共有の取り締まり、レコメンデーションエンジンの改善、HuluとDisney+の統合などを通じて、ユーザーのエンゲージメントを高め、プラットフォームに費やす時間を増やすことに取り組んでいます。Disney+のパスワード共有の取り締まりについては、6月から一部の市場で開始し、9月には世界中に展開する計画が明らかになっており、Netflixがパスワード共有の取り締まりを実施後に会員数が大幅に増加したように、Disney+も会員数が増加が見込まれます。コンテンツ販売・ライセンス事業は好調か興行面での失敗が続いていたコンテンツ販売・ライセンス事業ですが、5月に公開された『猿の惑星』シリーズ最新作『猿の惑星/キングダム』は予想を上回る興行収入となりました。また、6月に公開されたアニメ映画『インサイド・ヘッド2』が世界興行収入15億ドル以上も稼ぎ出し、好調な業績が予想されています。テーマパーク事業の成長減速に警戒国内外のテーマパークやクルーズラインなどを含む「エクスペリエンス」部門は、1-3月期の同社の売上高の3分の1以上、営業利益の約60%を占めました。しかし、パンデミック後の旅行需要が落ち着いてきたこともあり、ディズニーの経営陣は高い成長率は持続可能でないことを示しています。テーマパーク事業は、4-6月期にかけて成長が鈍化し、営業利益は前年同期と同程度になると予想されています。一方で、UBSのアナリストは、ディズニーのクルーズラインの好調が国内テーマパーク事業の低迷を相殺するのに役立つ可能性があると述べています。UBSによると、1-3月期の予約占有率は5隻のクルーズ船すべてで97%となっています。またディズニーは、テーマパークとクルーズ事業を10年間で600億ドル拡大すると発表しており、7月9日には2029年に東京から出航する新しいクルーズ船の就航計画も発表しています。

【決算サマリー】アップル / アマゾン (Apple / Amazon)

【決算サマリー】アップル / アマゾン (Apple / Amazon)

本記事では、Magnificent7銘柄2社の24年8月決算のサマリーをお届けします。AppleはiPhoneの売上は為替の影響もあり減少したものの、サービス部門に牽引されて売上が伸びて好調な決算でした。一方、AmazonはAWSの成長がMicrosoftやAlphabetに遅れており、オンラインストア売上も予測に届かなかったことから悪材料となり、株価は時間外取引で下落しています。アップル(Apple)Appleは第3四半期の業績で市場予想を上回り、売上が5%増加しましたが、株価は取引終了後の時間外取引で横ばいでした。6月29日に終了した四半期の業績について、Appleは1株当たり利益が1.40ドルで予想の1.35ドルを上回り、売上が857.8億ドルで予想の845.3億ドルを上回りました。iPhoneの売上は393億ドルで予想の388.1億ドルを上回りました。Macの売上は70.1億ドルで予想の70.2億ドルに若干届きませんでしたが、iPadの売上は71.6億ドルで予想の66.1億ドルを上回りました。ウェアラブル、ホーム、アクセサリーの売上は81億ドルで予想の77.9億ドルを上回りました。サービスの売上は242.1億ドルで予想の240.1億ドルを上回り、売上総利益率は46.3%で予想の46.1%を上回りました。AppleのCFO、ルカ・マエストリ氏はアナリストとの電話会議で、同社は現在の四半期でも同様の売上成長を見込んでおり、サービス部門も前年と同じ約14%の成長を続けると述べました。Appleはまた、第3四半期の営業費用を142億ドルから144億ドルの間とし、売上総利益率を45.5%から46.5%と見込んでいます。第3四半期の純利益は前年同期の198.8億ドルから214.5億ドルに増加しました。iPhoneはAppleの総売上の約46%を占める最も重要な製品であり、売上は1%減少しましたが、通貨の影響を除けば前年同期比で成長したとティム・クックCEOは述べました。クック氏は、Appleの新しい「Apple Intelligence」サービスの販売開始が秋まで待たれる中、同サービスに向けた支出が増加していることを指摘しました。また、AIへの投資も増加していると述べました。Appleは第3四半期で最も成長した部門はiPadで、前年同期比24%増加し、71.6億ドルの売上を記録しました。Mac部門の売上は前年同期比で2%増加し、70億ドルでした。Apple WatchやBeats、AirPods、HomePodなどのウェアラブルおよびアクセサリーの売上は2%減少し、81億ドルでしたが、新規購入者が多く、成長の余地があるとクック氏は述べました。サービス事業はAppleにとって最も重要な成長カテゴリーであり、ハードウェア保証、月額クラウドストレージ契約、およびApple TV+などのコンテンツ契約を含み、242.1億ドルの売上を報告しました。これは前年同期比で14%増加し、Appleの予想と一致しました。Appleは、各地域でのアクティブデバイス数が過去最高となったと発表しましたが、具体的な数字は示しませんでした。2月に同社は22億台のアクティブデバイスを報告していました。また、有料契約が10億件に達し、これはApp Storeを通じたiPhoneアプリの契約を含みます。しかし、Appleの売上は中国本土、台湾、香港を含む中華圏で6%減少し、147.2億ドルとなりました。Appleは中国本土でHuaweiなどの地元ライバルの製品と競争しており、圧力を受けています。クック氏は、長期的には自信を持っていると述べました。Appleは、四半期中に320億ドルを配当金と自社株買いに費やしたと発表しました。アマゾン(Amazon)Amazonは、第2四半期の売上が予想を下回り、今後のガイダンスも期待外れであると発表しました。これを受けて、株価は時間外取引で6%下落しました。Amazonの第2四半期の業績は、1株あたり1.26ドルの利益で、予想の1.03ドルを上回りましたが、売上は1,479.8億ドルで予想の1,485.6億ドルを下回りました。クラウド部門のAWSは予測を上回り、前年同期比で19%成長しましたが、マイクロソフトやグーグルと比較すると成長率は遅れています。広告売上は前年同期比で20%増加し、12.77億ドルとなりましたが、予測をわずかに下回りました。このユニットは最も大きな利益を生み出す部門の一つであり、新しいオファリングを追加して市場シェアを拡大しています。Amazonは、現在の四半期の売上を1,540億ドルから1,585億ドルの範囲で予測しており、これは前年同期比で8%から11%の成長を示しています。しかし、この予測の中央値である1,562.5億ドルは、アナリストの平均予測1,582.4億ドルを下回っています。第3四半期の営業利益は115億ドルから150億ドルの範囲でAmazonは予測していますが、アナリストは153億ドルの営業利益を予測しています。Amazonは、小売業の成長が鈍化しており、TemuやSheinなどの割引サイトからの競争激化に直面しています。オンラインストア部門の売上は前年同期比でわずか5%の増加でしたが、サードパーティ販売者サービスの売上は12%増加しました。財務責任者のブライアン・オルサフスキーは、北米の売上成長が社内予測を下回ったと述べ、これは消費者がより安価な製品を選ぶ傾向が強まったためだと指摘しました。オルサフスキーは、顧客が安価な製品を選び、平均販売価格(ASP)が低下していることを強調しました。Amazonは、中国の販売者とのイベントで、主に20ドル未満のブランドなしの商品を提供するディスカウントストアを開設する計画を発表しました。このストアでは衣料品、家庭用品、その他の商品が提供される予定です。Amazonの純利益は前年同期の67.5億ドル、1株あたり65セントから、135億ドル、1株あたり1.26ドルに倍増しました。オルサフスキーは、消費者が世界の出来事に気を取られていることがガイダンスの弱さの一因であると述べ、オリンピックやドナルド・トランプの暗殺未遂事件が影響を与えたと指摘しました。

【ウーバー決算みどころ】黒字回帰で株価回復なるか(UBER)

【ウーバー決算みどころ】黒字回帰で株価回復なるか(UBER)

本記事では、ウーバー・テクノロジーズの2024年1-3月期の決算を振り返り、8月6日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。前期の振り返り:予想外の純損失で株価急落5月8日に発表された2024年1-3月期決算では、売上高が前年比15%増でしたが、訴訟費用や保有株式の評価損(7.21億ドル)などが響き、市場予想に反して最終赤字となりました。この発表を受けて、ウーバーの株価は時間外取引で7%下落しました。売上高:$101.3億(予想:$100.9億)EPS:-$0.32(予想:$0.22) 調整後EBITDA(償却前営業利益)は、前年同期比82%増の13.8億ドルと急増し、市場予想をやや上回りました。ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、最終赤字について本来の事業とは無関係であることを強調し、「四半期の業績は、UBERが大規模かつ安定的に収益性の高い成長を実現できる能力を改めて証明している」と述べています。ただし、ウーバーのバランスシート上の株式保有額が大きいため、株式投資は収益を圧迫し続ける可能性があることも示唆されました。4-6月期の注目点:中期的に2桁成長が維持されるか2024年4-6月期のウーバーの「売上高予想は$105.7億、EPS予想は$0.31」、平均目標株価は$86.8です。アナリストらは配車・食品宅配市場での激しい競争に関わらず、ウーバーの長期的な成長に対して楽観的な見通しを示しており、同社の新たな取り組みが業績にどのように貢献するかに注目しています。新たな成長エンジンの創出なるかアナリストらはこれまで、新機能の導入がウーバーの収益増加の源泉であると指摘してきました。5月15日に行われた同社の年次イベント「Go-Get 2024」では、シェアライドの事前予約機能「UberX シェア」の導入、大学生にUber Oneのサブスクリプションを割引価格で提供する計画や、コストコとの提携拡大などが発表されました。また、5月14日に発表されたフードパンダの買収は、アジア地域におけるデリバリーセグメントの成長の重要な推進力であると見られています。自動運転車とロボタクシーの影響はまた、投資家やアナリストは、テスラが今秋に予定しているロボットタクシーの発表が、ウーバーにどのような影響を与えるか見極めようとしています。1-3月期の決算において、コスロシャヒCEOは自動運転技術の発展に伴いウーバーはさまざまな企業と提携する計画であると述べた上で、自動運転技術はより安全な乗車と消費者のコスト削減をもたらし、同社の顧客基盤が拡大する可能性があるとの考えを示しました。7月31日には、中国最大の電気自動車メーカーである比亜迪(BYD)と提携し、EV10万台をライドシェアサービスに導入する計画が発表されています。労働訴訟問題に進展その他の注目すべき事項として、ウーバーは直近、投資家が懸念材料と指摘していた大きな障壁について、重要な進展をとげています。7月25日、カリフォルニア州最高裁判所は、「ドライバーを従業員ではなく独立した個人事業主として分類可能」という判決を下し、ウーバーやリフトの株価は一時急伸しました。運転手を従業員として分類する判決が最高裁で出ていれば、待遇改善の費用として多額の追加コストを払う必要が生じ、米国最大の市場であるカリフォルニア州で利用者の価格を引き上げる可能性がありました。

【決算サマリー】マイクロソフト / メタ (Microsoft / Meta)

【決算サマリー】マイクロソフト / メタ (Microsoft / Meta)

本記事では、Magnificent7銘柄2社の24年7月決算のサマリーをお届けします。Microsoftはクラウド事業の成長鈍化が悪材料となり、時間外取引で株価は急落しましたが、インフラ投資を増やすメッセージが他の半導体企業には好材料となりました。Metaは広告事業が好調だったことから、時間外取引で株価は急上昇しています。マイクロソフト(Microsoft)Microsoftの株価は決算後の時間外取引で最大7%下落しました。これは、予想を上回る売上と売上高にもかかわらず、クラウド事業の結果が期待外れだったためです。しかし、経営陣は2025年上半期にクラウド成長の加速を予測し、楽観的な見解を示しました。Microsoftは第4四半期(6月30日終了)の売上高が647億3000万ドル、調整後の1株当たり利益が2.95ドルとなり、いずれもアナリストの予想を上回りました。純利益は220億4000万ドルで、前年同期の200億8000万ドルから増加しました。ガイダンスでは、第1四半期の売上高を638億ドルから648億ドルの範囲と予測しており、アナリスト予想の652億4000万ドルを下回りました。クラウド部門の売上高は285億2000万ドルで、予想の286億8000万ドルを下回りました。Azureのクラウドサービスの売上高は29%増加し、アナリスト予想の31%を下回りました。Azureの成長のうち、8%ポイントはAIサービスによるものでした。CEOのサティア・ナデラは、「AIによる市場シェアの拡大が加速した」と述べましたが、Azure AIサービスの需要は供給能力を上回っているとしました。財務責任者のエイミー・フッドは、第2四半期のAzure収益成長を28%から29%と予測し、年度後半に成長の加速を期待しています。生産性とビジネスプロセス部門は203億2000万ドルの売上を上げ、11%増加しました。個人向けコンピューティング部門は159億ドルの売上を上げ、14%増加しました。今期の結果は、PC市場の安定化から利益を得ました。メタ(Meta)Metaの株価は決算発後の時間外取引で急上昇しました。同社が売上と利益で市場の予想を上回り、現在の四半期の見通しも予想を上回ったためです。Metaの業績は以下のようになりました。1株当たり利益は5.16ドルで予想の4.73ドルを上回り、売上高は390.7億ドルで予想の383.1億ドルを上回りました。第3四半期の売上高見通しは385億ドルから410億ドルで、中央値の397.5億ドルは予想の391億ドルを上回っています。Metaは前年同期比で22%の売上高増加を報告し、純利益は73%増加して134.7億ドルとなりました。広告収入は前年同期比で22%増加し、デジタル広告市場でのシェアを拡大しています。競合のAlphabetはGoogleの広告売上高が11%増加しましたが、YouTubeは予想を下回りました。Metaの第2四半期の経費は242億ドルで、これはテキサス州の顔認識データ訴訟の和解に14億ドルを含んでいます。資本支出は84.7億ドルで、予想の95.1億ドルを下回りました。年間の経費見通しは変わらず960億ドルから990億ドルのままで、資本支出の範囲は370億ドルから400億ドルに狭まりました。ユーザーメトリクスでは、四半期のデイリーアクティブユーザー数(DAP)は32.7億人で予想と一致しました。MetaはFacebookとMessengerのユーザー数の報告から、全アプリのユーザー数の報告に変更しました。Metaの業績は、2022年後半から始まったコスト削減の影響を受け続けています。複数回のレイオフで合計約21,000人の雇用を削減し、営業利益は前年同期比58%増の149億ドルとなり、営業利益率は29%から38%に拡大しました。従業員数は前年同期比1%減の70,799人となりました。一方で、Metaは人工知能と仮想現実、拡張現実技術に多額の投資を続けています。CEOのマーク・ザッカーバーグは競争力を維持するために、これらの技術に必要なデータセンターインフラとコンピューティングリソースを提供することを目指しています。「我々は強力な四半期を過ごし、Meta AIは年末までに世界で最も利用されるAIアシスタントになる軌道に乗っています」とザッカーバーグは声明で述べています。「我々は最初のフロンティアレベルのオープンソースAIモデルをリリースし、Ray-Ban Meta AIグラスで良好な成長を続けています。また、アプリ全体での成長も順調です。」Metaは2025年にAIの研究と製品開発をサポートするための資本支出の大幅な増加を予想しています。ザッカーバーグは今年の初めに、Metaの計算インフラは2024年末までに35万枚のNvidia H100グラフィックスカードを含む予定であると述べました。これは数十億ドル相当の設備投資に相当します。Metaの株価は今年の年初来で34%上昇しており、ナスダックの増加を上回っています。株価は取引時間外で4.4%上昇しました。

【決算サマリー】マクドナルド / スターバックス (McDonald / Starbucks)

【決算サマリー】マクドナルド / スターバックス (McDonald / Starbucks)

本記事では、外食2社の24年7月決算のサマリーをお届けします。McDonaldは決算は悪かったものの、バリューミールによる成長期待から株価が上昇しています。Starbucksも予想に満たない決算でしたが、投資家の懸念ほどは悪い状態ではなかったので、決算後に株価は上昇しました。マクドナルド(McDonald)マクドナルドは第2四半期の利益と売上が市場予想に届かなかったものの、株価は上昇しました。これは、同社が6月25日に導入した5ドルのバリューミールが第2四半期後半に良い結果をもたらすと期待されているためです。マクドナルドの6月末までの3か月間の調整後1株当たり利益は2.97ドルで、市場の予想である3.07ドルを下回りました。売上は64億9000万ドルで、予想の66億2000万ドルを下回りました。第2四半期の利益は前年同期比で6.3%減少し、2022年第3四半期以来の初の減少となりました。米国と国際市場の同店舗売上高はそれぞれ0.7%と1.1%減少しました。これに対し、前年同期にはそれぞれ10%と12%の成長を記録していました。しかし、経営陣は楽観的で、特に5ドルのコンボミールについては非常に期待しています。この商品は、インフレによるメニュー価格の上昇で外食を控えている低所得世帯を再び取り込むことを目的としています。「5ドルミールの販売数は予想を上回っており、ブランドの価値と手頃さに対する感情が好転し始めています」と、米国マクドナルドの社長であるジョー・アーリンガー氏は述べています。開始以来、来客数は改善していますが、まだ売上の増加にはつながっていません。それでも、5ドルミールを購入した顧客の平均チェック額は10ドルを超えており、追加購入が売上高の増加に寄与すると予想されています。経営陣は、インフレの影響が今後数四半期続くと予想していますが、マクドナルドの規模と競争優位性を考えると、同社が競争で優位に立てると自信を持っています。さらに、マクドナルドは今後4年間で1万店の新店舗を開設し、2027年末までに店舗数を5万店に増やす計画を発表しています。また、昨年には新しい飲料チェーン「CosMc’s」を立ち上げ、スターバックスやダンキンドーナツに対抗し、朝食時間帯の支配を維持するためにクリスピークリームドーナツとの独占販売契約も締結しています。このような成長戦略により、マクドナルドはさらに多くの消費者を引き付け、業績を向上させることが期待されています。スターバックス(Starbucks)Starbucksの四半期収益はアナリストの予想を下回りましたが、投資家の懸念よりは良い結果となり、株価は時間外取引で5%以上上昇しました。Starbucksは第3四半期の純利益が10.5億ドル(1株あたり93セント)で、前年同期の11.4億ドル(1株あたり99セント)から減少しました。調整後の1株あたり利益は予想通りの93セントでしたが、売上は91.1億ドルで予想の92.4億ドルを下回りました。同社の同店売上高は3%減少し、取引数が5%減少しました。米国内の店舗への来店者数は6%減少しましたが、平均購入価格の上昇で売上はわずかに2%減少しました。CEOのラクスマン・ナラスィムハンは、厳しい消費環境がカフェの売上に影響を与えていると述べました。米国内では新製品が好調で、夏の新商品「サマーベリーフレッシャーズ」は発売初週の記録を更新しました。また、来四半期にはパンプキンスパイスドリンクが復活します。さらに、モバイルアプリの改善により注文の準備時間が正確に予測できるようになり、顧客の不満が減少しました。北米以外では同店売上高が7%減少し、中国では14%減少しました。中国市場では、地元のコーヒーショップが価格で競争を激化させていますが、四半期ごとに取引数と週間売上が改善している兆しもあります。同社は中国での成長を加速させるための戦略的パートナーシップを模索していると述べましたが、具体的な形態はまだ明らかにされていません。第3四半期には新たに526店舗を開店しました。Starbucksは前四半期に提供した見通しを再確認しており、売上高は低い一桁成長、1株あたり利益は横ばいから低い一桁成長を予測しています。

【アマゾン決算みどころ】AWSは市場シェアを守れるか、株主還元方針にも注目(Amazon)

【アマゾン決算みどころ】AWSは市場シェアを守れるか、株主還元方針にも注目(Amazon)

本記事では、アマゾンの2024年1-3月期の決算を振り返りつつ、8月1日に控える2024年4-6月期決算の見どころを解説します。アマゾンの株価は年初来から20%以上上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド好調で大幅な増収増益4月30日に発表された2024年1-3月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比13%増、純利益は同3倍となりました。4-6月期の売上高見通しは市場予想を下回ったものの、株価は時間外取引で僅かに上昇しました。売上高:$1433億(予想:$1426億)EPS:$0.98(予想:$0.84) 事業別売上高は、営業利益の60%以上を稼ぐ「クラウド事業」の売上高が前年同期比17%増と、前期の13%増から4ポイント上昇しました。また、営業利益率は24%から37.6%に大幅に上昇しました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は、AI機能の魅力がAWSの成長を再加速させており、AWSの成長が年間売上高1000億ドルを達成するペースにあると述べています。4-6月期の注目点:AWS・小売の成長性と株主還元の有無2024年1-3月期のアマゾンの「売上高予想は$1487億、EPS予想は$1.03」、平均目標株価は$224.9です。市場関係者は売上高、利益ともに堅調な業績を期待しており、AWS・小売の成長性に注目しています。AWSは市場シェアを守れるかアナリストらは、アマゾンが生成AIサービス「Amazon Bedrock」プラットフォームを通じて提供製品を拡大したことから、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の需要増加が同社の収益を予想以上に押し上げる可能性があると述べています。AWSはクラウドインフラ市場でシェアトップのプロバイダーであり、2023年にはアマゾンに営業利益の3分の2をもたらしました。しかし、2024年1-3月期決算ではアマゾンのクラウド部門の売上高が前年同期比で17%増加したのに対し、競合他社のクラウド事業売上高はマイクロソフトが31%増、アルファベットは28%増と「アマゾンのクラウド事業の成長が相対的に緩やかなため、首位の座を維持できるか疑問が残る」という懸念の声を払拭しきれていません。そのため、AWSの成長率と先に決算発表を終えたアルファベットとマイクロソフトのクラウド事業の成長率の差分にも注目が集まることが想定されます。また、アマゾンは前期の決算発表において、AIサービス構築に向けて年間の設備投資を拡大する姿勢を明らかにしており、大規模な支出に見合う高い成長が達成可能かを投資家に示す必要があります。モルガンスタンレーは、AWSの売上高が少なくとも前年同期比18%増になる必要があると考えを示しています。小売事業と広告事業も利幅拡大か人員削減や倉庫ネットワークの効率化をはじめとする近年の収益性改善施策が功を奏し、小売事業の利益率拡大も見込まれています。また、7-9月期の業績予想に影響を与える「プライムデー」の売上高は142億ドルと、前年比11%増で過去最高を記録しました。アナリストらはプロモーションイベントとしてのプライムデーの成功は、記録的な売上とプライム会員の新規加入の増加に表れているだけでなく、アマゾンの広告事業にも貢献した可能性が高いと予想しています。広告事業は同社で最も急成長しているセグメントであり、1月29日にアマゾンが動画配信サービス「Prime Video」に広告を導入したことから、広告収入がさらに拡大すると見込まれています。一部アナリストは、今年だけでPrime Videoが約29億ドルの広告収入をもたらす可能性があると見積もっています。キャッシュは株主に還元されるかアマゾンの今年の手元資金は1000億ドル(約15.3兆円)を超えると予測され、手元資金の使い道にも注目が集まっています。アマゾンは創業以来キャッシュを事業に投入しており、前四半期の決算説明会においても、ブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)が「株主還元よりも設備投資と債務返済を優先し続ける」と述べています。一方、アマゾンが今後数四半期に数百億ドル規模の自社株買いまたは配当開始を発表するとの予想も強まっています。メタ・プラットフォームズやアルファベットは、今年の決算発表で自社株買いと初の配当を実施すると発表し、株価を大きく押し上げました。アマゾンも株主還元に積極な姿勢へと転じれば、株価上昇の後押しとなることが想定されます。