投資を学ぶ/ライブラリー/ブルーモ経済調査部 Economic Research Department

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ブルーモ経済調査部(Economic Research Department)

ブルーモ証券株式会社で経済・金融の調査を担当しているチームです。代表の中村をはじめ、市場や企業の分析経験豊かなメンバーで構成されています。日々の経済動向や、個人投資家向けの資産運用のコツをお届けします。

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トランプ関税で株式市場は乱高下。日銀の利上げ期待が高まりドル円は大きく円高に進む|米国市場サマリー

トランプ関税で株式市場は乱高下。日銀の利上げ期待が高まりドル円は大きく円高に進む|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領の追加関税措置のもたらす貿易戦争懸念から、株価下落で始まりましたが、すぐにメキシコ・カナダへの関税発動を1ヶ月間延期したことで、市場は反転上昇しました。経済指標はISM指標ではインフレ抑制傾向だったものの、失業率が低かったため、FRBの利下げ期待は遠のいています。週の終わりにはトランプ大統領の相互関税発言で市場は再度下落して1週間を終えています。為替は、政府・日銀の要人による利上げを擁護する発言により、日銀の利上げ期待が高まり、大きく円高に進んでいます。米国側では、利下げ期待が遠のき、金利高を示唆する結果になっていますが、市場は日本側の金利上昇により強く反応した形になります。米国株式市場:トランプ関税ディールに相場は振り回される2月3日(月) 米国株式市場は大幅に下落しました。トランプ大統領がカナダ・メキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を課す大統領令に署名したことを受け、貿易戦争が経済成長と企業収益を圧迫するとの懸念が高まりました。自動車、ビール、原子力発電関連銘柄が売られ、General Motors (-5.2%)、Ford (-3.3%)、Tesla (-4.7%)が下落しました。また、NVIDIA (-5.3%)、Amazon (-2.2%) などのハイテク株も売られました。暗号資産市場も影響を受け、Coinbase (-5.6%) が下落しました。市場全体に不安感が広がり、小型株指数Russell 2000も2.3%下落しました。2月4日(火) 市場は反発し、S&P 500とNASDAQが上昇しました。エネルギー株が2.18%上昇し、市場をけん引しました。トランプ大統領がメキシコとカナダへの関税発動を1カ月延期したことで、貿易摩擦の懸念が和らぎました。データ解析企業Palantir Technologies (+24%) は第1四半期と通年の売上高見通しが市場予想を上回ったことで急伸しました。一方、PayPal (-13.2%) は第4四半期の営業利益率が縮小し、大幅に下落しました。Alphabet (+2.6%) は通常取引で上昇しましたが、引け後の決算発表ではクラウド事業の減速が影響し、時間外取引で7%超下落しました。2月5日(水) 市場は続伸しましたが、Alphabet (-7.3%) はクラウド事業の成長減速を受けて下落しました。一方、AI関連株は一部回復し、NVIDIA (+5.4%)、Broadcom (+4.3%) が上昇しました。Advanced Micro Devices (AMD -6.3%) はデータセンター事業の売上高減少見通しを受けて売られました。ISM非製造業総合指数は予想外に低下し、価格上昇が抑制されたことで、FRBの利下げ期待が高まりました。FRBのバーキン総裁は、年内の追加利下げの可能性に言及しました。S&P 500の主要11セクターのうち8セクターが上昇し、不動産セクターが特に好調でした。2月6日(木) S&P 500とNASDAQは上昇しましたが、ダウは下落しました。企業決算が注目され、Amazon (+1.1%) は引け後に決算を発表し、売上高が市場予想を上回りましたが、クラウド事業が低調でした。AI関連の投資動向に注目が集まる中、NVIDIA (+3.1%) は引き続き買われました。製薬大手Eli Lilly (+3.3%) は通期利益見通しが市場予想を上回り上昇しました。一方、Honeywell (-5.6%) は2025年の業績見通しがさえず、3つの独立した企業に分割する計画を発表したことが影響しました。S&P 500の主要11セクターのうち8セクターが上昇し、金融と消費財セクターが特に好調でした。2月7日(金) 市場は主要3指数とも下落しました。トランプ大統領が「多くの国に対する相互関税」を発表すると述べたことで、貿易摩擦への懸念が高まりました。1月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、ミシガン大学消費者信頼感指数も7カ月ぶりの低水準となりました。Amazon (-4.1%) はクラウド事業の低迷と第1四半期の業績見通しの不透明感から下落しました。一方、Uber (+6.6%) は著名投資家ビル・アックマン氏の大量保有が報じられ、上昇しました。S&P 500の主要11セクターはすべて下落し、特に一般消費財セクターが約2.5%下落しました。投資家の不安心理を示すVIX指数 (+6.6%) も上昇しました。為替市場:政府・日銀要人発言で日銀の利上げ期待が高まり、大きく円高が進行する為替は、日本の勤労統計が予想を上回り、政府・日銀の要人から利上げをサポートする発言が出たことで、日銀の利上げ期待主導で円高が進みました。一方、米国ではトランプ関税や低失業率で利下げ期待が下火になっていますが、ドル円は日銀の利上げにより反応した形です。日本側では、赤沢経済再生担当相が足元でインフレとの見立てを示したのと、日銀の田村審議委員が25年度後半に1%程度まで短期金利を引き上げることが必要との見解を表明したのが効いています。今週のマーケット:伝統的な大型企業の決算が続く今週(2025/2/10-2/14)は、McDonald'sやCoca-Colaといった伝統的な大型企業の決算が続き、テクノロジーセクター以外での米国企業の業績に注目が集まります。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

トランプ関税に揺れる市場、米国株市場の先行きは

トランプ関税に揺れる市場、米国株市場の先行きは

2月1日、ドナルド・トランプ大統領はメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名しました。経済成長やインフレ再燃を巡る懸念から、週明け3日の米国株市況は、S&P 500指数が0.8%安、ナスダック総合指数が1.2%安となりました。本記事では、トランプ政権の関税政策動向を解説し、米国株市場の見通しについて市場関係者の見方を紹介いたします。対メキシコ・カナダ関税は発動1カ月見送り2月3日、メキシコとカナダに対する関税の発動延期が明らかになり、相場の多くが反転しました。両国は国境警備を強化し、合成麻薬フェンタニルの密輸取り締まりを強化することを約束しました。現時点では、トランプ氏にとって「関税は交渉ツール」との見方が市場では主流となっていますが、短期的な混乱で終わるかどうか判断するのは難しいとの声もあります。中国は対抗措置を発表も慎重姿勢一方、中国に対しては4日に追加関税を発動しました。同日、中国も米国からの輸入品に10日から最大15%の追加関税を課すと発表したほか、グーグルへの独占禁止法調査開始やタングステンなど金属5品目への輸出規制といった対抗措置とみられる発表が相次ぎました。しかし、中国の関税措置の対象が140億ドル(約2.2兆円)相当と、トランプ氏による関税措置の対象と比べてわずかに留めたことから、金融市場の大きな混乱は免れました。市場関係者は、中国の対米輸出が米国の対中輸出規模の3倍ほどあり、関税を課す対象品目が少なく米国との貿易不均衡が大きいため、全面的な関税戦争は中国の利益にはならないと分析しています。目下は、中国の関税措置が発動される10日までに両首脳が合意に至ることができるかどうかに注目が集まります。ただし、メキシコやカナダとは異なり、中国がトランプ氏の経済的・政治的要求をすんなりと受け入れるとは考えにくいことから、米中の関税動向が今年の市場変動の主因となる可能性があると指摘するアナリストもいます。米国株は短期的に下落も、長期的には楽観かストラテジストらは、トランプ政権による関税措置が適用されれば、企業の業績見通しが悪化し、S&P 500指数は短期的に5~10%下げるリスクがあると分析しています。ただし、関税が交渉のための一時的な措置と投資家が考えている限り、株式市場への影響は小さく、一方で関税が引き上げられるとの見方が強まれば、株式への影響はより大きくなると述べています。また、第1次トランプ政権の関税戦争に対する市場の反応を振り返ると、長期的には市場に大きな影響は出ない可能性があると、楽観視するアナリストもいます。2018年から2019年にかけての関税戦争も市場に大きな影響を及ぼし、交渉が決裂したり追加関税が適用されたりすると、米国株は売られ、2019年10月に第1段階の貿易協定が発表されると米国株は大幅に上昇しました。S&P 500指数は、2018年に4.4%下落しましたが、2019年には31.5%上昇しました。

【アマゾン決算みどころ】AWS・広告事業の好調つづくか(Amazon)

【アマゾン決算みどころ】AWS・広告事業の好調つづくか(Amazon)

本記事では、アマゾンの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、2月6日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に44%上昇し、S&P500指数の上昇率の2倍弱のパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:堅調な業績見通しで株価上昇10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比10%増と市場予想を上回りました。年末商戦を含む、10-12月期の売上高・営業利益についても堅調な見通しを示したことから、株価は時間外取引で6%上昇しました。売上高:$1589億(予想:$1573億)EPS:$1.43(予想:$1.14) 事業別売上高は、「クラウド事業」が前年同期比19%増の275億ドルと市場予想と一致しました。ただし、競合のマイクロソフトやグーグルのクラウド事業は同四半期に30%以上成長しており、一部アナリストは高い増収率であったものの、売上成長率が21-22%になる期待感があったと指摘しています。主力のオンラインストア部門の売上高は、TemuやSheinなど中国発の割引サイトとの競争激化に直面しているなか、前年同期比7%増の614億ドル。同社で最も急成長している広告事業の売上高は前年同期比19%増の143億ドルと、市場予想をわずかに上回りました。また、2024年通年の設備投資額は約750億ドルとの見通しを示し、来年はさらに投資額を増やす予定を明らかにしました。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は電話会見で、AIをおそらく二度とないチャンスと捉え、積極的に追求していると述べました。10-12月期の注目点:営業利益率と業績見通し2024年10-12月期のアマゾンの「売上高予想は$1873億、EPS予想は$1.47」、平均目標株価は$252です。クラウド事業の利益率はさらに改善か2024年のアマゾンの株価成長は、主に営業利益率とEPSの成長が牽引しました。同社の営業利益の約60%を稼ぐクラウド事業は、7-9月期に営業利益率が38%に達し、AIインフラへの巨額な投資にもかかわらず、同社は過去最高の四半期営業利益を計上しました。アナリストらは、企業がAIクラウドへの支出を急速に拡大していることから、アマゾンのクラウド事業の売上と利益率が引き続き成長することを見込んでいますが、利益率にサプライズがあれば株価に影響を及ぼす可能性があります。またアナリストらは、中国のAIスタートアップ企業DeepSeekによる低コストAIモデル「RI」の出現について、アマゾンは有利な立場にあると指摘します。同社は、AIモデルがコモディティ化されることを予測した、クラウド/AI プラットフォームを設計しており、コスト効率の変化を活用するのに最適なクラウド・AI戦略をとっています。1月30日にはアマゾンはマイクロソフトに続き、DeepSeekの低コストAIモデルへのアクセスをAWS(Amazon Web Services)上で提供開始しました。アマゾンの幹部らは、R1の台頭について「AWSのAIアプローチが想定していたタイプの出来事である」と述べています。広告事業の好調つづくかアマゾンにとってもうひとつの高利益事業である広告事業も力強い成長を見せています。同社はデジタル広告市場でも大きなシェアを獲得しつつあり、現在米国でアルファベットとメタに次ぐ第3位となっています。市場調査会社eMarketerの予測によると、アマゾンの米国のデジタル市場シェアは2025年に15.4%を達し、引き続き2桁の売上成長を維持する見込みです。また直近では、小売業者が自社のウェブサイト上で広告を表示できるようにする広告ツール「Amazonリテール広告サービス」を発表し、広告事業のさらなる拡大が見込まれています。

DeepSeekショックから回復も、FOMC金利維持とトランプ関税で株価の上がりにくい展開が続く|米国市場サマリー

DeepSeekショックから回復も、FOMC金利維持とトランプ関税で株価の上がりにくい展開が続く|米国市場サマリー

先週は、中国発の生成AIであるDeepSeekのショックで、半導体を中心とした株安から始まりました。翌日には株価が反発上昇しましたが、FOMCが金利維持の決定を出し、インフレ抑制に対する見立ても後退させたことから、株価上昇の重しになりました。週末にはトランプ大統領が関税追加を発表し、今後のインフレ懸念から株安に振れて1週間を終えています。為替は、FOMCの金利維持決定にもかかわらず、米国長期金利は低下したことから、円高が進みました。トランプ大統領の関税についても、カナダドル・メキシコペソの売りが円高に繋がる展開となりました。米国株式市場:DeepSeek・FOMC金利維持・トランプ関税発動で上下の大きい展開1月27日(月) 米国株式市場は急落し、S&P 500とNASDAQが大幅に下落しました。中国の新興企業DeepSeekが低コストのAIモデルを発表したことで、AI市場における米企業の競争力に対する懸念が広がり、NVIDIAが17%急落しました。同社の時価総額は約5,930億ドル減少し、1日での損失額として米国市場で過去最大を記録しました。AI分野への懸念は、Microsoft (-2.1%)、Alphabet (-4.2%)、Dell (-8.7%)、Digital Realty (-8.7%)などの関連銘柄にも影響を及ぼしました。特に、データセンター関連銘柄や電力会社も売られ、Vistraは28.3%急落しました。1月28日(火) 市場は前日の急落を受け、AI関連銘柄が買い戻され、NASDAQが2%上昇しました。NVIDIAは8.9%反発し、情報技術セクター全体の回復を牽引しました。Apple (+3.7%)やMicrosoftなどのハイテク株も上昇し、今週の決算発表への期待が高まりました。市場の一部では、DeepSeekのAI技術がまだ不確定要素を多く含んでおり、前日の売りは過剰反応だったと見られています。投資家は引き続き、AI関連の技術動向と米企業の競争力に注目しています。1月29日(水) FOMCの政策金利据え置きを受け、米国株式市場は反落しました。FRBがインフレ抑制への進展について慎重な姿勢を示したことで、利下げ時期が不透明となり、ハイテク株を中心に売りが広がりました。NVIDIA (-4.1%)、Microsoft (-1.1%) などの大型株が下落し、NASDAQは1%超の下げ幅を記録しました。FOMC声明では、インフレ率が目標の2%に向かう「進展」という文言が削除され、物価上昇率が高止まりしていると指摘されました。これにより、市場ではFRBの利下げが当初予想よりも遅れるとの懸念が高まりました。1月30日(木) 市場は企業決算を消化し、反発しました。Tesla (+2.9%) が低価格モデルを今年前半に投入し、自動運転サービスの試験を6月に開始すると発表し、株価を押し上げました。一方で、Microsoft (-6.2%) はクラウド事業の成長見通しが期待を下回り、売られました。Meta (+1.6%) は第4四半期の売上高が市場予想を上回り、IBM (+13%) も1999年以来の大幅上昇を記録しました。一方、UPS (-14.1%) は2025年の売上高見通しが市場予想を下回ったことで急落しました。FRBの金融政策や企業決算の結果が引き続き市場の焦点となっています。1月31日(金) 市場は反落し、トランプ政権がメキシコ・カナダからの輸入品に25%、中国への10%の関税を2月1日に発動すると発表したことが重しとなりました。これを受けて、S&P 500ではエネルギーセクターが大きく下落し、Chevron (-4.6%)、ExxonMobil (-2.5%) などが売られました。また、FRBの声明ではインフレ目標への進展に関する言及が削除され、利下げ再開のタイミングが不透明になったことも市場の重しとなりました。月間ではダウ工業株30種 (+4.7%)、S&P 500 (+2.7%)、NASDAQ (+1.6%) がそれぞれ上昇しました。市場は今後の経済指標とFRBの動向を注視する展開が続いています。為替市場:米国長期金利の低下やトランプ関税で円高へ為替は、FOMCで金利維持が決定されたものの、その後の利下げ可能性が意識されたことで米国長期金利が低下し、その影響で円高が進みました。また、トランプ大統領がメキシコ・カナダへの関税賦課の意向を示したことでカナダドル・メキシコペソが売られ、リスク回避的に円が買われたことも円高要因となりました。一方、トランプ政権での関税政策は外交交渉に使われていることもあり、その影響を受けての為替相場は読みにくい状況が続いています。今週のマーケット:M7決算後半戦と雇用統計に注目今週(2025/2/3-2/7)は、M7のうちAlphabet, Amazonの2社が決算を迎えます。また、週末には雇用統計の発表があり、米国の景気動向の現在地に注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【ディズニー決算みどころ】映画事業の好調続く、Disney+の成長は(Disney)

【ディズニー決算みどころ】映画事業の好調続く、Disney+の成長は(Disney)

本記事では、ディズニー(DIS)の2024年7-9月期決算を振り返りつつ、2月5日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約24%上昇しました。前期の振り返り:利益が予想を上回り株価上昇11月14日に発表された2024年7-9月期決算では、マーベル映画「デッドプール&ウルヴァリン」のヒットが追い風となり、売上高が前年同期比6%増、EPSが同39%増と市場予想を上回りました。2026-27年についても2桁台の増益率を見込むとの予想を示したことから、時間外取引で株価は一時10%上昇となりました。売上高:$226億(予想:$224.5億)EPS:$1.14(予想:$1.10) 「エンターテインメント」部門は、Disney+を含むストーリーミング事業が2四半期連続で黒字を達成し、営業利益は前年同期比2倍以上の11億ドルとなりました。一方、テーマパーク事業を含む「エクスペリエンス」部門は、米国以外でのテーマパークでの利益減少から、営業利益が前年同期比6%減の16.6億ドルとなりました。ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は「今年はウォルト・ディズニーにとって極めて重要な成功の年」であるとし、「大きな課題と混乱の時期を乗り越え、成長に向けた好位置につけ、将来に楽観的な見通しを持つことができました」と声明文で述べています。また、昨年同様2025年度に30億ドル相当の自社株買い計画を発表し、12月4日には年間配当を1株1ドルに引き上げました。10-12月期の注目点:ストリーミング事業の収益性と業績見通し2024年10-12月期のディズニーの「売上高予想は$247億、EPS予想は$1.45」、平均目標株価は$128です。ストリーミング事業の収益性はさらに改善かディズニーのストリーミング事業は、主力のDisney+の料金が、10月17日から米国で月額2ドル引き上げられたことから、加入者数の増加に加え、価格上昇の恩恵を受けると考えられています。また、ネットフリックス同様に広告付きの低価格プランが好調であり、米国のDisney+加入者の約半数が広告付きプランを選択し、各種ストリーミングサービスにおける広告関連の収益が、インプレッションの増加とともに増加しています。映画事業の好調つづく2024年、『インサイド・ヘッド2』、『デッドプール&ウルヴァリン』、『モアナと伝説の海2』の世界興行収入上位3本の映画をディズニーが手掛け、コンテンツ販売・ライセンス事業は好調な業績を記録しました。11月に全米公開されたアニメ映画『モアナと伝説の海2』は、5日間のオープニング興行成績で映画史上No.1の興行収入記録を樹立し、12月に公開されたばかりの『ライオン・キング:ムファサ』も2024年世界興行収入興行収入7位になる等、10-12月期も好調な業績が予想されています。2025年も『キャプテン・アメリカ』、実写版『白雪姫』、『ズートピア』、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』シリーズ最新作の公開が控え、大ヒットが期待されています。

【ウーバー決算みどころ】ライドシェア事業の需要懸念も、利益率は改善か(UBER)

【ウーバー決算みどころ】ライドシェア事業の需要懸念も、利益率は改善か(UBER)

本記事では、ウーバー・テクノロジーズの2024年7-9月期の決算を振り返り、2月5日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。前期の振り返り:見通し弱く、株価下落10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比20%増と市場予想を上回りました。しかし、10-12月期のライドシェア事業の総予約件数が市場予想を下回ったことから、株価は米株式市場午前の取引で約9%の下落となりました。売上高:$112億(予想:$110億)EPS:$1.20(予想:$0.37) 部門別では、ライドシェア事業の売上高が旅行量の増加により、前年同期比26%増の64億ドルと成長を大きく牽引。Uber Eatsを含む宅配サービス事業は同18%増の35億ドルとなりました。また、株式投資に関連する17億ドルの税引前利益により、営業利益は過去最高の10.6億ドルを記録しました。プラシャンス・マヘンドララジャ最高財務責任者(CFO)は「当社は、自社株買いを通じて株主に資本を還元するとともに、今後の大きなチャンスを捉えられるよう、有機的な成長ベクトルに戦略的に投資することに引き続き注力します」と述べています。10-12月期の注目点:ライドシェア事業の成長は維持されるか2024年10-12月期のウーバーの「売上高予想は$118億、EPS予想は$0.49」、平均目標株価は$89.6です。ロボットタクシーを巡る潜在的な競争環境アナリストは、アルファベット傘下の自動運転車会社ウェイモやテスラのロボットタクシーの取り組みにより、ライドシェア業界が自動運転車に移行する中でウーバーが苦戦する可能性があると指摘しており、同社の株価の重しとなっています。ウーバーは、ジョージア州アトランタとテキサス州オースティンでの自動運転配車サービスについてはウェイモとの提携を発表していますが、ウェイモは急成長を遂げており、既にフェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスで商業ベースのロボットタクシーサービスを展開し、2026年にマイアミに拡大するをサービスを計画を発表しています。テスラもまた、今年テキサス州とカリフォルニア州での配車サービスの展開が予定されています。昨年11月には、ドナルド・トランプ大統領が自動運転車の規制緩和を検討していると報じられており、テスラに有利な自動運転車の規制枠組みができる可能性が高くなっています。ライドシェア事業の需要低減も、利益率は改善か前回決算での見通し発表から、10-12月期のライドシェア事業の成長はやや鈍化することが見込まれていますが、アナリストの中にはコスト最適化施策や広告収入の増加等により営業利益が大幅に増加し、経営陣が示したガイダンスの上限に近い利益成長率を達成する可能性があると予測する声もあります。直近の株価の低迷には、ライドシェア事業の競争環境や需要低減への懸念が織り込まれているため、決算報告で好調な売上成長や利益率が示されれば、株価上昇が期待されます。

【アルファベット決算みどころ】クラウド好調続くか、DeepSeekの影響は(GOOGLE)

【アルファベット決算みどころ】クラウド好調続くか、DeepSeekの影響は(GOOGLE)

本記事では、アルファベットの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、2月4日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約35.5%上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:クラウド好調で株価上昇10月29日に発表された2024年7-9月期決算ではクラウド事業が成長を牽引し、売上高が前年同期比15%増、純利益が同33.6%増と市場予想を上回り、時間外取引で株価は6%近くの上昇となりました。売上高:$883億(予想:$864億)EPS:$2.12(予想:$1.84) セグメント別では、主力の広告事業の売上高は前年同期比10%増の658.5億ドル。うち、Youtube広告が同12%増の89億ドルでした。グーグルクラウドの売上高は同29%増の113.5億ドルと、増収率が8四半期ぶりの高水準となりました。自動運転車会社ウェイモなどの「その他の事業」の売上高は、3.88億ドルとなりました。またグーグルは、競合のアマゾンやマイクロソフトに対抗するため、同社の生成AI「Gemini」の強化やAI検索サービスの改善に取り組み、多額の投資を続けています。四半期設備投資額は130億ドルとなり、10-12月期も同様になる見通しを明らかにしました。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「AIへの投資が検索事業とクラウド事業を通じて実を結んでいる」と述べ、またAI検索での回答にかかるコストを18ヶ月で90%削減したと説明しました。一方、投資家の懸念事項である米政府による反トラスト法(独占禁止法)訴訟について、ピチャイ氏は「予期せぬ結果」をもたらす可能性があると警告しました。10-12月期の注目点: AI戦略とクラウドの成長性2024年10-12月期のアルファベットの「売上高予想は$967億、EPS予想は$2.12」、目標株価は216です。DeepSeekは機会かリスクか中国のAIスタートアップ企業DeepSeekが、世界トップクラスのAIモデルと同等の性能を発揮するAIモデル「R1」を低コストで開発したと発表したことから、27日の米国株市場ではAI関連株が大幅下落し、アルファベットの株価も4.2%安となりました。DeepSeekのAIモデルは、データセンターでなくスマートフォンやPCでの使用を目的としているため、ChatGPTやアルファベットのGeminiと競合していると指摘する声もあり、決算会見では同社のAI事業戦略に関する経営陣の説明に注目が集まります。また、アルファベットの成長が鈍化した場合には、設備投資の高さが嫌気され株価の下落要因となる可能性も考えられます。2024年通期での設備投資額は約512億ドルとなる見通しですが、7-9月期の決算会見で2025年の設備投資についても「増加を見越している」ことが示されています。YouTube、クラウドの好調続くかグーグルに対する司法省の反トラスト法(独占禁止法)訴訟は続いており、主力のインターネット検索広告事業は司法省の監視下にあります。アナリストらは、YouTubeとクラウド事業の成長を鍵としており、YouTubeについては短編動画のShortsからどれだけの収益を上げるかを注視しています。一方、クラウド部門はアマゾンとマイクロソフトに次ぐ第3位のサービスプロバイダーですが、事業の好調な傾向が2025年度と2026年度も続くとし、営業利益へ貢献することが予想されています。株価に反映されていないウェイモ事業アルファベットの株価評価にウェイモ事業はほとんど反映されていませんが、テスラに先駆けてロボタクシーサービスを米国で運営しており、投資家にとって隠れた価値を提供している可能性のある企業資産です。10月下旬には、ウェイモはアルファベットが主導した資金調達で56億ドルを確保しました。さらに、有料配車回数が週15万回の移動を達成したことも明らかにし、8月の週10万回から急成長を遂げています。12月5日には、ウェイモは2026年に自動運転配車サービスをマイアミに拡大する計画を発表。ウェイモの自動運転配車サービスは現在、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスで運営されており、テキサス州オースティンとアトランタでもウーバー・テクノロジーズと提携してサービスを開始する予定となっています。

トランプ大統領が遂に就任し、穏健な関税政策で株価は上昇。日銀は利上げ決定も為替動かず|米国市場サマリー

トランプ大統領が遂に就任し、穏健な関税政策で株価は上昇。日銀は利上げ決定も為替動かず|米国市場サマリー

先週は、トランプ大統領が遂に就任しました。就任後にいくつかの大統領令を出していますが、関税政策は急進的な措置に踏み切らなかったことから、インフレ鈍化・利下げに対するポジティブな印象を市場に与え、株価は上昇し、S&P500は最高値を更新しました。その他、積極的なAIインフラ投資計画も公表しています。為替は、日銀が追加利上げを決定して政策金利が0.5%に設定されるも、市場は既に先週の日銀総裁発言により利上げを織り込んでいたため、今週のドル円相場は動きませんでした。先週の円高進行で、今回利上げの効果は出きった形になります。米国株式市場:トランプ大統領就任、想定より穏健な関税政策にマーケットは好感触で株価上昇1月20日(月) 米国祝日(Martin Luther King Jr. Day)により市場休場1月21日(火) 主要株価指数は続伸し、S&P 500とダウ工業株30種は約1カ月ぶりの高値を記録しました。トランプ大統領が2期目初日に一律関税措置を講じなかったことが安心感を与えた一方、2月1日からカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を検討していると発言しました。この日、工業セクターは2.03%上昇し、3Mが第4四半期の好決算を受けて4.2%上昇しました。Ford Motorは2.5%高、General Motorsは5.7%高となり、自動車メーカー株が買われました。一方、Appleは投資判断引き下げを受けて3.2%下落しました。1月22日(水) S&P 500は日中最高値を更新し、NASDAQは続伸しました。トランプ大統領がAIインフラに最大5000億ドルを投じる計画を発表し、テクノロジー株が上昇しました。NVIDIAとMicrosoftの買いがフィラデルフィア半導体指数を1.7%押し上げました。また、Netflixは第4四半期に過去最高の新規会員数を獲得したことで9.7%上昇しました。ただし、公益事業セクターは2.2%下落し、この日の最大の下げを記録しました。1月23日(木) S&P 500は終値で過去最高を更新しました。トランプ大統領がダボス会議で原油価格と金利引き下げを求めたことが投資家心理を支えました。電力株が上昇し、Constellation Energyが4.1%、AESが3.6%上昇しました。一方で、American Airlinesは2025年の利益見通しが市場予想を下回ったことで8.7%下落しました。医療保険大手Elevanceは好決算を受けて2.7%上昇しました。1月24日(金) 主要株価指数は反落しました。来週のFOMCや主要経済指標への警戒感が高まりました。中古住宅販売は10カ月ぶりの高水準を記録した一方、消費者信頼感指数が6カ月ぶりに低下しました。半導体銘柄が売られ、NVIDIAは3.1%、Texas Instrumentsは7.2%下落しました。また、Boeingは第4四半期決算の大幅赤字警告を発表し、1.4%下落しました。週足では、S&P 500が1.74%、NASDAQが1.65%、ダウが2.15%上昇しました。為替市場:日銀が追加利上げを決定。市場は織り込み済みで為替相場は動かず為替は、24日の金融政策決定会合で日銀が追加利上げを決定し、日銀の政策金利が0.5%になりましたが、大きなドル円の動きにはなりませんでした。市場は前週から日銀の植田総裁による事前コミュニケーションがあったので、先週時点で円高は進んでおり、今週の正式決定は特にサプライズとはなりませんでした。ドル円のオプショントレーダーの間でも、短期的な円高進行は見通されていない模様です。今週のマーケット:M7決算とFOMCに注目今週(2025/1/20-1/24)は、M7のうちApple, Tesla, Meta, Microsoftの4社が決算を迎えます。また、29日にはFOMCが開催され、FRBの追加利下げの有無が市場動向にも影響するので要注目です。ブルーモの公式Xでは決算や指標の速報をお届けしているので、興味ある方はフォローしてみてください。https://x.com/Bloomo_invest

【アップル決算みどころ】サービス部門好調も、つづくiPhone販売減少(Apple)

【アップル決算みどころ】サービス部門好調も、つづくiPhone販売減少(Apple)

本記事では、アップルの2024年7-9月期の決算を振り返りつつ、1月30日に控える2024年10-12月期決算の見どころを解説します。同社の株価は2024年に約30%上昇し、S&P500指数の上昇率を上回るパフォーマンスとなっています。前期の振り返り:予想を下回る見通しで、株価下落10月31日に発表された2024年7-9月期決算では、iPhone16の販売好調などで売上高が前年同期比6%増と市場予想を上回りました。しかし、同社が控えめな10-12月期の見通しを示したことから、時間外取引で株価は2%下落となりました。売上高:$949億(予想:$944億)EPS:$1.64(予想:$1.60) 事業別売上高は、総売上の約半分を占めるiPhoneの売上高が前年同期比5.5%増の462億ドルと市場予想を上回りました。ただし、新型iPhone 16の発売は9月20日と四半期末の約10日前のため、決算に反映されている売り上げは数日分のみになります。一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス部門の売上高は同12%増の250億ドルと過去最高を記録しましたが、市場予想を下回りました。ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は電話会見で、サービス部門の売上高は10-12月期も引き続き2桁の伸び率となり、2024年度と同程度になるとの見通しを示しています。地域別では、投資家の懸念材料である中国市場の売上高はほぼ横ばいの150.3億ドルでしたが、市場予想を下回り、中国市場での不振が持続する可能性を示しました。10-12月期の注目点:iPhoneの売上見通し2024年10-12月期のアップルの「売上高予想は$1250億、EPS予想は$2.36」、平均目標株価は$247です。つづくiPhone需要への懸念市場調査会社カウンターポイント・リサーチによると、中国での2024年10-12月期のiPhone販売台数は18.2%減少したと推定されており、アナリストによる目標株価の引き下げが相次いでいます。販売低迷については、新型モデル「iPhone 16」の目玉機能であるAI機能「Apple Intelligence」が中国市場で展開できなかったことが主な要因とされ、中国での販売不振により、10-12月期の全世界のiPhone販売台数も5%減少したと見込まれています。一部アナリストは、Apple Intelligenceについて機能の展開と普及が予想よりも遅いため、現行のiPhoneと今後発売される新型モデルの売上高の見積もりが高すぎると指摘するほか、消費者はまだスマートフォンのAIに興味を持っておらず、Apple Intelligenceの展開は段階的に進む可能性が高いと予想されています。しかし、最近の株価下落にはこうした懸念が織り込まれている可能性があり、アップルの株価下落については行き過ぎとする声も上がっています。ゴールドマン・サックスのアナリストは、2025年春の新型Mac、iPad、iPhone SEの発売、そして2025年秋から2026年秋にかけてのiPhone 17/18の新機能への期待論から、市場心理は2025年半ばに改善することを予想しています。一方で、iPhoneに次ぐ収益源であるサービス部門については、引き続き2桁の成長が想定されており、好調な推移は2025年1-3月期まで続くと予想されています。